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Date: 2006/0330 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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世界最大のワイン会社E&J Galloのプレミアム部門であるGallo of Sonomaが名前を変更することになりました。新しい名前はGallo's Family Vineyards。より低価格のTwin Valleys部門と同じ名称を取ることにより,Twin Valleysを飲んでいる人が高いラインに手を出しやすくするというのが狙いだそう。
"Gallo of Sonoma, the Healdsburg-based fine wine division of the world's largest wine company, is changing its name to Gallo Family Vineyards."

Gallo bumps Sonoma name - To emphasize family ownership, Healdsburg-based division of E&J now Gallo's Family Vineyards

Gallo of Sonomaはソノマ最大の畑の持ち主。大工事によって無理やりスロープを作ってしまったことや,Northen SonomaというGallo以外はほとんど使っていないAVAを作らせてしまったことなど,非難もいろいろありますが,Sonomaのプロモータの1社であったことも確か。Sonomaにとっては痛手かもしれません。
Date: 2006/0329 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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スペインで新たな法律が可決されました。スペインの原産地呼称法であるD.O.で,コルク以外の栓を使ったワインは認めないことになりました。ポルトガルのコルクの業界団体のエリサ・ペドロ・ディレクタは「コルクの優位が改めて裏付けられた。『コルクは品質の証だ』と消費者が言ってきたことに対応したものだ」と歓迎しています。
"''Put a Cork in It'' Says New Spanish Law; Spain's Top Wine Producers Outlaw Alternative Closures in 11 Spanish Regions"

BUSINESS WIRE: The Global Leader in News Distribution

コルクは品質を保証するものではありません。むしろ,コルクはいわゆるブショネ(コルク臭)の原因の一つとして,悪影響を与える可能性の方がよほど高いです。コルクの利点は,コルクを開ける(引き抜く)という作業のイベント性以外にはないと思います。コルクがいいか他の栓がいいか決めるのは消費者であるべきです。法律で無理強いするべきものではありません。
Date: 2006/0327 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワインには,色が濃い(ダーク)=いいワインといった方程式というか迷信というか強迫観念のようなものがあります。ワインメーカーは色の濃いワインを作るために何やら怪しげなことをしているらしことを指摘する記事が相次いで出ました。
"I don’t really like to discuss wine color a whole lot these days because I think the whole subject is pretty tiresome at this point. But two articles that have come out recently in the wine industry media that have spurred my interest."

Cellar Rat Blog Archive Pinot Noir for Everyone Else

リンク先はその感想を述べたブログです。最初の記事はWine & Spiritsの4月号に出たもので,濃いPinotを作るためにSyrahなどのブレンドが行われているらしいという話。法律で25%まではブレンドが認められているので,それに違反しているわけではありませんが,ほとんどのワインメーカーはそれを認めず,ごく一部が「みんなやっていることだ」と答えたという話です。

もう一つは3月号のWines & Vines誌に出たもので,色の濃いワインを作るために「Mega Purple」なるものを混ぜているという話。Mega PurpleはConstellation Brands社の作ったものでブドウの皮からの抽出物を濃縮させたものだとのこと。これを混ぜると色が濃くなり,ボディがしっかりとして,軽い「甘み」が付くそうです。これもあるワイナリの社長は「みんなやっていること」と言っています。

このブログの著者はここでピノには2種類あるのではないかと提言しています。一つは色の濃いPCD(Pinot for Cab Drinkers),もう一つはPEE(Pinot for Everyone Else)。PEEは単一のピノを求めるのではなく,さまざまなタイプのピノを認めるというタイプ。

実際のところ,上記のようなことがどれくらい行われているのか分かりませんが,自分としてはPEEでいられるようにしたいような気がします。かといって自分がPCDでないと言う自信もないのですが。
Date: 2006/0327 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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サイドウェイでマイルスが「メルローなんて糞ったれは絶対に飲まない」と叫んで以来,すっかり影が薄くなったメルロー。例えばWine & Spirits誌の調査ではピノの比率が14%と過去最高を記録したのに対し,メルローは6.5%と1991年以来の低さに落ちてしまったそうです。そのMerlotを救うべく,Swanson Vineyardsが奮闘しています。merlotfightsback.comというサイトを作り,各地でセミナーを繰り広げます。
"For the third year, Swanson Vineyards is taking its "Merlot Fights Back” seminar on the road, getting people to re-think this complex varietal. Why Merlot and why now? Swanson is singlehandedly trying to rescue Merlot from being maligned, re-introducing Merlot as the marvelous and complicated grape fundamental to magnificent red wines made around the world."

Swanson Vineyards Merlot Seminars: Merlot Fights back

今年は業界向けですが,来年のセミナーはコンシューマ向けも予定しているそうです。

メルローは1990年代,一番伸びたブドウ品種だったわけですが,人気の一方で質の低いワインが大量に作られたのも事実。ただ,すべてのメルローがだめなわけでなく,Wine Spectator誌のWine of The Yearを取ったPalomaのMerlotなど,優れたものももちろんあります。僕自身も以前ワイナリでテイスティングしたMatanzas Creekのメルローなど衝撃的なおいしさだったのをよく覚えています。毛嫌いしないで飲んで欲しいと思います。
Date: 2006/0324 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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スクリーミング・イーグルといえば,いわゆるカルト・ワインの中でも最も高額で取り引きされているブランド。1000ドル以上は当たり前というワインです。そのオーナーのジーンジャン・フィリップスがワイナリを売却したそうです。

新しいオーナーはNBAの選手などの金銭管理をしているチャールズ・バンクスとデンバー・ナゲッツ(NBA),コロラド・アバランチのオーナーであるスタンリー・クロンク。売却額は明らかになっていません。
"Charles Banks, 38, who manages money for NBA players and other athletes, and Stanley Kroenke, owner of the Denver Nuggets, bought Screaming Eagle in Oakville from Jean Phillips, whose dedication to top-quality wines made the property famous. Terms were not disclosed."

Oakville's Screaming Eagle Winery sold

二人はこれまで「スクリーミング・イーグルのサポーターであり,コンシューマーであった」(バンクス)とのこと。バンクスは既にサンタバーバラにも畑を持ってワインを造っており(未出荷),少なくとも金に飽かせて気まぐれで買ったわけではなさそうです。

なお,スクリーミング・イーグルの畑の一部は植え替えを予定していて,畑の管理のためにデイビッド・エイブリューをやとったとのこと。現在のワインメーカーであるハイジ・バレットについては「望むだけいてほしい」そうです。

所詮,縁のないワインだとは思いますが,どうして売却したんでしょう。ちょっと気になります。

◆カルトワインの【絶対的頂点】
【スクリーミング・イーグル】
カベルネ・ソーヴィニヨン・ナパ・ヴァレー [2001]
価格210,000円 (税込220,500円) 送料別

Date: 2006/0323 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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サイエンスねたが続きますが,はみこさんフォローよろしく。イタリアの研究者が6年間かかってPinot Noirのゲノム情報を解読したそうです。
"On Monday experts from the San Michele all'Adige Agrarian Institute presented the results of six years of research, in which they decoded the plant's genome"

ANSA.it - News in English - Italians find gene key to fab wine
これによって,より環境への影響が少なく効果が高い農薬を開発したり,病気に強い品種を作りやすくなるといったメリットが見込まれるそうです。

ビタミンの話より,意味がありそう。
Date: 2006/0322 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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UCデービスなどの研究で,ビタミンCを酒石酸に変える遺伝子と酵素が分かってきたそうです。酒石酸はワインに含まれる酸味の主要な部分。このメカニズムを解き明かすと,「ビタミンC量を倍増したブドウ」などが可能になるかも。
"Genetically designed grapes with elevated levels of vitamin C may be more than wishful thinking, according to researchers at the University of California, Davis, and the University of Adelaide, Australia, who recently identified an enzyme in grapes that helps convert vitamin C into tartaric acid, a key acid in winemaking."

UC Davis News & Information ::

というような話なのですが,今一つよく分かってません。ビタミンCを倍増するということは,酒石酸に変える分を少なくするということだと思うのですが,酒石酸が減ったらワインの味わいは悪くならないのでしょうか?

そもそも遺伝子組み換えのブドウを認めるかどうかという話もあるので,簡単に実現するものでないのは確かですが,いろいろ分かってくることは興味深いです。
Date: 2006/0320 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパは年間あるものに400万ドルを費やし,ソノマは50万ドルしか使っていません。パソ・ローブレは140万ドル,ワシントンやオレゴンは100万ドルだそうです。

答えはプロモーション費用。ワイン・カントリーとしての宣伝費です。

ソノマには隣のナパに対する反感ややっかみなどいろいろな思いがあるようです。少なくともワインのレベルはどちらも高いのに,なんとなくナパが1番でソノマが2番という印象。確かにあるかもしれません。これを拭うべく,宣伝用に税金を年間120万ドル投じようという動きが起こっています。
"Napa Valley annually devotes $4 million to wooing well-heeled wine drinkers. Washington and Oregon, among the newest of the New World wine regions, each spends more than $1 million a year."

Grape growers to vote on PR tax - $1.2 million a year would promote Sonoma County wine

投票は5月に手紙で行うようです。果たしてどうなることか。ナパに比べるとソノマは気候や地域性もバラエティに富んでおり,単純にマーケティングするのは難しそうな気がします。ワイナリの票も割れるのでは。
Date: 2006/0311 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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EUと米国が1983年から続いてきた交渉をついに終結したそうです。これによってPortやCherry,Champagneなど「セミ・ジェネリック」な名前として使われてきた名前は違法になります。一方,米国から海外に輸出するとき,ワインの製法の違いなどを認めることになりました。
"Some European wine names, such as Port, Sherry and Champagne, are currently considered as semi-generics in the U.S. Under the agreement, their use will be limited in the U.S. The U.S. undertakes to change their legal status to restrict their use in future to wine originating in the EU."

AgProfessional.com

やっと決めたのかという感もあります。
Date: 2006/0308 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Sonomaにある中堅ワイナリRodney Strong。1961年にそのワイナリを興したロドニー・ストロング氏が亡くなりました。享年78歳。ワイナリのオーナーの座は既に1974年に去っていたものの,取締役としては名前を残していたそうです。
"Rodney Strong, Broadway dancer and Sonoma Valley pioneer has died aged 78."

Sonoma champion Rodney Strong dies aged 78 - decanter.com - the route to all good wine

全く知らなかったのですが,ロドニー・ストロング氏のワイナリを始める前の職業はダンサーだったそうです。21歳でフランスに渡り,パリの「Lido」でリード・ダンサーだったというからすごいものです。ブロードウェイで踊っていた時期もあるそうです。

奥さんもダンサーだったそうですが,2003年になくなっています。
Date: 2006/0302 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニア料理の実質的な生みの親であるアリス・ウォーターズが,彼女のレストランであるバークレーのシェ・パニースから半年間離れるそうです。
"Alice Waters has taken another sabbatical."

Alice Waters takes break from Chez Panisse
もうかなりの年だろうから引退を考えているのかとも思ったのですが,まだ60そこそこなんですね。シェ・パニースを開いたときはまだ27歳の若さだったということでちょっとびっくりしました。ただ,彼女の力が余りにもあり過ぎるので,今回は彼女なしでもやれるようにスタッフを育てるという意味があるとのことです。

一方,ナパで一番有名なレストランといえばフレンチ・ランドリー。オーナーのトーマス・ケラーはほかにも近所にブションというレストランを持ち,ニューヨークにもパー・セというレストランを開いてミシュラン・ニューヨークで三ツ星を得ています。

そのケラーは今度は地元ヨウンツヴィルに肉屋を開くそうです。これまでもシェフが肉をさばいていたそうで,それを分離するとか。またVintage InnとVillagio Inn & Spaの間の空き地でブション・プライベート・ダイニングというプロジェクトも進行中。これはケータリングをする代わりに企業のイベントをここで開いてもらおうというもののようです。

実業家としても精力的です。