2月24日に恒例の第11回Premiere Napa Valleyが開かれました。ナパのオークションと言えば6月のAuction Napa Valleyが有名ですが,Auction Napa Valleyがチャリティ目的で,オークションにかけられるワインもディナーやツアー付きのものなどが目立つのに対し,Premiere Napa Valleyは純粋に業界向けのバレル・テイスティングとオークションです。今年は昨年より16%超の216万ドルの売り上げがありました。
昨年,過去最高金額での入札を行い(その後,別ロットでそれを上回る入札がありましたが),注目を集めた中川ワイン販売は今年もトータル3位のビッダーになり,今年2番目に高額だったLewis CellarsのCabernet 5ケース4万2000ドル(1本当たり700ドル!)を競り落としました。
こういうワインはどこへどう流れていくんでしょうね。
"The 11th annual Premiere Napa Valley (PNV) barrel tasting and auction, held Saturday, February 24 at the Culinary Institute of America at Greystone in St. Helena, brought in over $2.16 million, a 16 percent increase from the record-setting 2006 auction."
Wine Business - Wine News
昨年,過去最高金額での入札を行い(その後,別ロットでそれを上回る入札がありましたが),注目を集めた中川ワイン販売は今年もトータル3位のビッダーになり,今年2番目に高額だったLewis CellarsのCabernet 5ケース4万2000ドル(1本当たり700ドル!)を競り落としました。
こういうワインはどこへどう流れていくんでしょうね。
Sonomaで最も尊敬されているワインメーカーとも言われるGary Farrell氏が自身の名を冠したワイナリGary Farrellから一歩退くことが明らかになりました。今後もコンサルタントとしてアドバイスはするそうですが,最高レベルのPinot Noirを作る新しいワイナリに注力する考えだとか。既に昨年6月にはワイン作り担当副社長を辞職していたそうです。
Gary Farrellは元々自身が所有していましたが2004年に英国のAllied Domecqに売却,2005年にはAllied Domecqが米国ワイン部門のほとんどをFortune Brandsに売却しています。同ブランド下にはほかにBuena Vista,Clos du Bois,Geyser Peakなどがあります。
大資本下に入ることでよく起こる品質低下の問題とはFarrellは無縁だったようですが,それでもやりたいこととやらせてもらえることのギャップは大きかったということなのでしょう。
Farrell氏は今後,かつてのビジネス・パートナーだったBill Hambrecht(Belvedere Vineyards and Winery)氏と新しいワイナリを始めます。両者が持っている最良の区画からピノを作っていきます。名前は未定ですが,契約によってGary Farrellの名前は使えないそうです。
Tony SoterやRichard Sanfordなど,こういった話は近年多くなっているような気がします。
"Renowned winemaker Gary Farrell has stepped down as head winemaker at the Healdsburg winery he founded in 1982, citing interference from its corporate owners and a desire to build a new world-class winery for Russian River pinot noir."
Winemaker Farrell launches new venture | Santa Rosa Press Democrat // News for California
Gary Farrellは元々自身が所有していましたが2004年に英国のAllied Domecqに売却,2005年にはAllied Domecqが米国ワイン部門のほとんどをFortune Brandsに売却しています。同ブランド下にはほかにBuena Vista,Clos du Bois,Geyser Peakなどがあります。
大資本下に入ることでよく起こる品質低下の問題とはFarrellは無縁だったようですが,それでもやりたいこととやらせてもらえることのギャップは大きかったということなのでしょう。
Farrell氏は今後,かつてのビジネス・パートナーだったBill Hambrecht(Belvedere Vineyards and Winery)氏と新しいワイナリを始めます。両者が持っている最良の区画からピノを作っていきます。名前は未定ですが,契約によってGary Farrellの名前は使えないそうです。
Tony SoterやRichard Sanfordなど,こういった話は近年多くなっているような気がします。
初のAmerican Wine Blog Awardが発表されました。Americanと名は付いていますが,米国だけでなく英語圏のワイン・ブログ全体が対象。実際にはやはり米国のブログが圧倒的でした。
いろいろ賞がある中で,興味深かったのは「BEST WINE PODCAST OR VIDEOBLOG」というジャンル。これはまだ日本ではあり得ないでしょう。ここでトップを取ったWine Library TVを見ましたが,かなりおもしろいです。Wine Libraryというワインショップのディレクターがワインをテイスティングして,その感想を言うというものですが,国民性を強く感じました(とはいえ,この人はロシア出身らしいのですが)。
何が違うって,とにかくよくしゃべる。激しくスピットする。先日「ワインの個性」という本を読んでから,日本のワイン業界に足りないものは何だろうということをよく考えているのですが(本の感想はなかなかうまく言葉にできないので後日),こういった饒舌さというのは日本にないものです。Opus One 2003は平気でおいしくないというし,Insignia 2003も100ドル以上という価格に値しないと切って捨てます。日本人ならこういったところはオブラートに包んでしまい,あたりさわりのないことしか言えないのではないかと思いました。
ちなみに「天候がテイスティングにどう影響するか」というテーマの回は笑えます。とりあえず,これだけ見てみてもいいのでは。
Fermentation: The Daily Wine Blog: American Wine Blog Awards Winners
いろいろ賞がある中で,興味深かったのは「BEST WINE PODCAST OR VIDEOBLOG」というジャンル。これはまだ日本ではあり得ないでしょう。ここでトップを取ったWine Library TVを見ましたが,かなりおもしろいです。Wine Libraryというワインショップのディレクターがワインをテイスティングして,その感想を言うというものですが,国民性を強く感じました(とはいえ,この人はロシア出身らしいのですが)。
何が違うって,とにかくよくしゃべる。激しくスピットする。先日「ワインの個性」という本を読んでから,日本のワイン業界に足りないものは何だろうということをよく考えているのですが(本の感想はなかなかうまく言葉にできないので後日),こういった饒舌さというのは日本にないものです。Opus One 2003は平気でおいしくないというし,Insignia 2003も100ドル以上という価格に値しないと切って捨てます。日本人ならこういったところはオブラートに包んでしまい,あたりさわりのないことしか言えないのではないかと思いました。
ちなみに「天候がテイスティングにどう影響するか」というテーマの回は笑えます。とりあえず,これだけ見てみてもいいのでは。
クイズ編はこちら。
まず,aの「Maynard Amerine」はUC Davisの教授として場所とそれに適した品種の啓蒙に尽くした人。積算温度を基にした気候区分の提唱者です(多分これはワイン・エキスパートなどの教科書にも載っていると思います)。ということで,答えは1。
bの「Andre Tchelistcheff」はロシアからの移民で,BVのワインメーカーとして活躍した人。1930年代末にBVのワインメーカーになり,コールド・ファーメンテーションやコントロールド・マロラクティック・ファーメンテーションなどのテクニックをもたらしました。MondaviなどNapaのあらゆるワイナリに影響を与えたと言っても過言ではありません。答えは8。
cの「Charles Krug」はその名の通りCharles Krug Wineryを興した人。このワイナリは禁酒法後売りに出され,Mondavi一家が購入して彼らのNapa進出のきっかけになりました。その後,Robertが一家を追い出されてRobert Mondavi Wineyrを作るに至ったのは有名な話です。今でもCharles KrugはRobertの弟Peterの家族が経営しています。自分の名を冠したワイナリを手放さなければならなくなったRobertとどちらが幸せなのか,人生とは分からないものです。答えは7。
dの「Gustave Niebaum」の名は現在のNiebaum-Coppola Wineryに残っています。彼が設立したワイナリはInglenook。1960年代にInglenookブランドを大手資本に売却してしまったため,Coppolaがワイナリを買い取ったときに創設者のNiebaumの名前を入れたという経緯があります。答えは6。
eの「Brother Timothy」はChristian Brothersというワイナリを設立した人。ワイナリは現在はなくなりましたが,その建物はCIA(Culinary Institute of America) Greystoneレストランに使われています。答えは3。
fの「Agoston Haraszthy」はカリフォルニア最古のワイナリと言われるBuena Vistaを創設した人。大変な野心家だったようですが,大言壮語の人でもあったようです。1868年に破産し,1869年にニカラグアで亡くなりました。溺れたあるいはクロコダイルに食べられたと見られています。答えは2。
gの「Georges de Latour」の名前は現在Beulieu Vineyards(BV)のGeorges de Latour Private Cabernet Sauvignonに残っています。答えは5。
hのHarold Olmoはブドウの種類の同定に大きな貢献をした人。答えは4。
この本あたりを読んでいると,よく分かると思います。
まず,aの「Maynard Amerine」はUC Davisの教授として場所とそれに適した品種の啓蒙に尽くした人。積算温度を基にした気候区分の提唱者です(多分これはワイン・エキスパートなどの教科書にも載っていると思います)。ということで,答えは1。
bの「Andre Tchelistcheff」はロシアからの移民で,BVのワインメーカーとして活躍した人。1930年代末にBVのワインメーカーになり,コールド・ファーメンテーションやコントロールド・マロラクティック・ファーメンテーションなどのテクニックをもたらしました。MondaviなどNapaのあらゆるワイナリに影響を与えたと言っても過言ではありません。答えは8。
cの「Charles Krug」はその名の通りCharles Krug Wineryを興した人。このワイナリは禁酒法後売りに出され,Mondavi一家が購入して彼らのNapa進出のきっかけになりました。その後,Robertが一家を追い出されてRobert Mondavi Wineyrを作るに至ったのは有名な話です。今でもCharles KrugはRobertの弟Peterの家族が経営しています。自分の名を冠したワイナリを手放さなければならなくなったRobertとどちらが幸せなのか,人生とは分からないものです。答えは7。
dの「Gustave Niebaum」の名は現在のNiebaum-Coppola Wineryに残っています。彼が設立したワイナリはInglenook。1960年代にInglenookブランドを大手資本に売却してしまったため,Coppolaがワイナリを買い取ったときに創設者のNiebaumの名前を入れたという経緯があります。答えは6。
eの「Brother Timothy」はChristian Brothersというワイナリを設立した人。ワイナリは現在はなくなりましたが,その建物はCIA(Culinary Institute of America) Greystoneレストランに使われています。答えは3。
fの「Agoston Haraszthy」はカリフォルニア最古のワイナリと言われるBuena Vistaを創設した人。大変な野心家だったようですが,大言壮語の人でもあったようです。1868年に破産し,1869年にニカラグアで亡くなりました。溺れたあるいはクロコダイルに食べられたと見られています。答えは2。
gの「Georges de Latour」の名前は現在Beulieu Vineyards(BV)のGeorges de Latour Private Cabernet Sauvignonに残っています。答えは5。
hのHarold Olmoはブドウの種類の同定に大きな貢献をした人。答えは4。
この本あたりを読んでいると,よく分かると思います。
The Culinary Institute of AmericaがVintners Hall of Fameという賞を創設しました。記念すべき第1回目の今年は,Robert Mondaviのほか,6人のFounders(創設者)と,2人のIcons(象徴的な人)が選ばれました。さて,その8人ですが,せっかくなのでクイズにしてみます。以下に8人の名前と何をした人かを書いておきます。正しく結び付けてみてください。
a Maynard Amerine
b Andre Tchelistcheff
c Charles Krug
d Gustave Niebaum
e Brother Timothy
f Agoston Haraszthy
g Georges de Latour
h Harold Olmo
1 ブドウの種類と生育に適した地域の啓蒙に尽くした
2 カリフォルニア最初のワイナリを設立した
3 Christian Brothersというワイナリを設立した
4 ブドウの種類の同定に大きな貢献をした
5 BVを設立した
6 Inglenookを設立した
7 Charles Krugを設立した
8 BVのワインメーカーとして活躍,多くのワインメーカーを教育した
a Maynard Amerine
b Andre Tchelistcheff
c Charles Krug
d Gustave Niebaum
e Brother Timothy
f Agoston Haraszthy
g Georges de Latour
h Harold Olmo
1 ブドウの種類と生育に適した地域の啓蒙に尽くした
2 カリフォルニア最初のワイナリを設立した
3 Christian Brothersというワイナリを設立した
4 ブドウの種類の同定に大きな貢献をした
5 BVを設立した
6 Inglenookを設立した
7 Charles Krugを設立した
8 BVのワインメーカーとして活躍,多くのワインメーカーを教育した
オーダーメイドでワインを作るサービスを提供するCrushpadが350万ドルの調達に成功したそうです。2007年には生産量を倍の2万5000ケースに拡張し,SNSサイトのcrushnet.comを充実させるとのこと。
記事中にはCrushpadがはやりの「user generated media」(一般にはCGM=consumer generated mediaの方がよく使われると思います)だ,なんて話も書いてありますが,そんな「御託」はいいとして,自分のワインを作るというのは,ワイン好きにとっては夢の一つであるのは間違いありません。いつか自分が作るときまではサービス続いてほしいと思います(笑)。
"Crushpad, the consumer-powered winery, today announced that the company has finalized $3.5 million in equity and debt financing. This financing enables Crushpad to double its production in 2007 to over 25,000 cases, dramatically expand its social networking site (http://www.crushnet.com) and set the stage for national expansion into new urban locations."
Crushpad Completes $3.5 Million Financing Round
記事中にはCrushpadがはやりの「user generated media」(一般にはCGM=consumer generated mediaの方がよく使われると思います)だ,なんて話も書いてありますが,そんな「御託」はいいとして,自分のワインを作るというのは,ワイン好きにとっては夢の一つであるのは間違いありません。いつか自分が作るときまではサービス続いてほしいと思います(笑)。
変わり者で知られるBonny Doonのランドール・グラーム氏がワシントン州でリースリング専業のワイナリを作りました。2007年の収穫からワインを作り始めるそうです。生産量は30万ケース。
Bonny DoonはPacific Rim Rieslingというリースリングを既にワシントン州のブドウで作っているので,全くの門外漢というわけではありません。ワシントン州のリースリング,最近なにやら盛り上がりかけている気配があります。
"Bonny Doon producer Randall Grahm has begun building an all-Riesling winery in Washington State."
Randall Grahm to produce Riesling in Washington - decanter.com - the route to all good wine
Bonny DoonはPacific Rim Rieslingというリースリングを既にワシントン州のブドウで作っているので,全くの門外漢というわけではありません。ワシントン州のリースリング,最近なにやら盛り上がりかけている気配があります。