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Date: 2007/1228 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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SFクロニクル紙が同紙のワイン・テイスティング・パネルの高得点(☆たくさん)リストを発表しました先日発表したTop100とは別のものです。

星の数2.5以上のもの全部で284本が品種や地域別に選ばれています。4☆が1本,3.5☆が9本。3☆が93本,2.5☆が181本というのが内訳。栄えある唯一の4☆「Extraordinary」に選ばれたのは「2004 Dominus Napa Valley Red Wine ($113)」でした。Dominusは,クロニクルに限らずWine Advocate誌などでも高評価です。2001年以降のWine Advocateのレイティングは95,96,95,94,96。日本ではあまり見向かれなくなってしまったのがちょっと不思議ですが,一時期スランプがあったせいでしょうか(スランプ続きのOpus Oneの人気は落ちないのにね)。

3.5☆は以下の9本。
2004 Domaine Bernard Moreau Chassagne-Montrachet Champs Gain ($65)
Spottswoode Estate St. Helena Cabernet Sauvignon ($110)
2004 Leonetti Cellar Reserve Walla Walla Valley ($110)
2005 Cristom Jessie's Vineyard Eola-Amity Hills Pinot Noir ($50)
2004 McCrea Cuvee Orleans Yakima Valley Syrah ($55)
2005 Le Vieux Donjon ($55)
2001 Bartolo Mascarello Barolo ($80)
1986 Delaforce Colheita Tawny Porto ($33, 500ml)
NV Taylor-Fladgate 40-year-old Tawny Porto ($150)


ワシントン州のワインが2本,オレゴンが1本入っているのが注目です。スポッツウッドのヴィンテージが入っていないのは写し間違いではありません。多分最新の2004でしょう。

ちなみにカリフォルニアのピノは3☆が最高でしたが11本とかなり多くの本数が3☆に選ばれています。40ドル以下のワインが3本あったのが気になりました。
2004 Naughty Boy Potter Valley Pinot Noir ($27)
2005 Rutz Cellars Maison Grand Cru Russian River Valley Pinot Noir ($35)
2004 Calera Ryan Vineyard Mt. Harlan Pinot Noir ($40)


Naughty Boyというワイナリは初めて名前を聞きました。Webサイトを見ると,犬がかわいいです(笑)。

Date: 2007/1227 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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FoleyやLinCourtといったワイナリをサンタバーバラ地域で持っているBill Foleyが買収攻勢を進めていることは以前紹介しました(関連記事1関連記事2関連記事3)。

Wine Spectator誌の記事によると,彼が新たに選んだ買収先はナパ。Merusというワイナリです。Merus(読み方はメラス?,メルス?)は所謂ガレージワインとして作られており,2000年以降急速に名を馳せたワイナリ。Wine Advocate誌ではデビュー・ヴィンテージの98年で93点を取ったのを皮切りに,99年も93点。2000年は90点と沈んだものの2001年が94-97,2002年と2003年が95,2004年が94点,2005年が96点,2006年が91-94点と高得点を連発しています。当然,市場ではプレミアムが付いて取引されていますが,ワイナリ経営は苦しかったようです。

Foleyによる買収後もワイン作りには影響がなく,1500ケースという生産量もキープするそうです。今後は畑を買ったり(今は全部購入したブドウを使っています),ワイナリ設備を作ったりといったことも視野に入れているとか。Merus単独で儲けたいというよりも,他のワイナリも買収してトータルでビジネスにしていくという感じでしょうか。



Wine Spectatorの記事には今年買収したAshley'sをTwo Sistersというブランドにした旨も書かれていました。Bill Foleyからはしばらく目が離せないかもしれません。

追伸:Parkerの掲示板では否定的な意見が目立っています。
Date: 2007/1223 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Jonata Winesというワイナリをご存知でしょうか。Screaming Eagleの現オーナーがSanta BarbaraのSanta Ynez Valleyに持っているワイナリです。2004年からワインを作り始め,今年最初のワインの出荷を始めました(Decanter誌の記事)。

ラインナップは結構ユニークです。
La Flor de JonataというSauvignon Blanc
La Poesia de JonataというPinot Noir
La Tierra de JonataというSangiovese
El Alma de JonataというCabernet Francブレンド
El Desafio de JonataというCabernet Sauvignonブレンド
La Sangre de Jonataというシラー
El Corazon de Jonataというシラーブレンド
La Miel de Jonataというデザートワインです。
詳しくはこちらを参照
Pinot以外はエステートの畑のブドウで作っています。これから有名になるのかどうか,ちょっと微妙な感じもしますが,一番安いワインで85ドルと,価格は最初から強気です。
Date: 2007/1221 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日紹介したナパさんのワイン「Jewel Wish」や「Divine Wish」,以前飲んだかんちゃんのワイン「0906」,さらには「世界バリバリバリュー」でも紹介されたという島田紳助さんのワイン「Dear Friends」(中身は0906と同じもの)と,オリジナルのワインを作るサービス「Crushpad」の注目が日本でも上がってきているようです。実際,このサイトにクラッシュパッドで検索してくる人も増えてきています(以前はCrushpadでの検索が多かったのがカタカナでの検索に変わりつつあるのが現状)。

これまでオリジナルのラベルを付けるようなサービスはあっても自分でブドウや醸造方法など一から選んで作れるなんていうのはなかったですし,できたワインがいいかげんなものでなく,ワイン評論家が高評価を与えることも珍しくないという本格的なものであることも魅力的です。

ただ,実際の手順など,よく分からないことも多いのは確か。特に日本から利用しようとなるとコミュニケーションなど不安になる部分もあるでしょう。

そこでクラッシュパッド・ジャパンでは日本語の資料を作っており,今回代理店になったWassy'sで資料を予約できるようになっています。Wassy'sでもクラッシュパッドでワインを作っているということなので,こちらも楽しみにできそうです。

Date: 2007/1220 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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SFクロニクル紙によると,サンフランシスコにあるセルフサービスのワイン・バー「VinoVenue」(こちらの記事を参照)が店を閉じているそうです

VinoVenueはプリペイド・カードを購入し,機械式に1オンスずつテイスティングができるというワインバー。当初から全国チェーンにすることを狙っていましたが,2007年2月にBrunton Vineyardsに売却。Bruntonが代わって全国展開をもくろんでいたところ。

Brunton VineyardsのGeno Brunton CEOによると閉店してしまったわけではなく家賃の件でオーナーともめているのが原因だとのこと。

問題が片付けば再オープンするということなのでしょうがサンフランシスコにおでかけ予定の方はお気をつけください。
Date: 2007/1219 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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TTB(Alcohol and Tobacco Tax and Trade Bureau)は先日紹介したAVAの問題についてパブコメ受け付けを延長するという。

AVA内部のAVAの問題に関しては60日,Calistogaの問題については90日というのがその期間。
Date: 2007/1213 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国産ワインの原産地呼称制度AVA(American Viticultural Area)に関して,業界に大きな波紋が広がっています。今年はPaso Robles(記事記事記事)やCalistoga(記事記事)でAVA制定にからんだ問題が起きていますが,11月にこれらについてTTBが出した提案が,AVA制度そのものに絡むものだったのです。

この提案では大きく二つのことを言っています。一つはCalistogaにおけるCalistoga Cellars(ここはCalistogaのブドウを少ししか使っていない)のような問題への対応。以前からあるブランドに対しては,そこのブドウからできているのではないことを明記した上で,使用を引き続き許すとしています。

また,もう一つはCalistogaやPaso Roblesの新AVAなど,既存のAVAの中に新しいAVAを作ることへの対処。新しい提案では,AVAの内側のAVA名を名乗ったときは外側のAVA名は名乗れないことになります。例えばStags LeapのワインにNapa Valleyと書くことは許されなくなります。

これに対してNapa Valley Vintnersは脅迫だと猛反論。どこに落ち着くのか現時点ではさっぱり分かりません。

こちらこちらも参考にどうぞ。
Date: 2007/1212 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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フレンチ・ランドリーやブションといった高級レストランのオーナー・シェフとして知られるトーマス・ケラー氏がYountvilleにインを作ろうとしています。計画は6年越しのものだとのことですが,YountvilleがようやくGoサインを出したそうです。
"Plans for Aloysius Inn, which may or may not be the final name for the proposed property on Webber Ave. and Washington St., include 20-units, a gym, a spa, pool and private courtyard."

The Cork Board » Blog Archive » Thomas Keller one step closer to turning Yountville into Kellerville with Aloysius Inn

この地域は住居と商業が混じったところで,商業施設を作る際に,低所得家庭用の住居を提供することが義務付けられているそうです。今回,11戸を提供することで話がついたとのこと。

肝心のインですが,仮称はAloysius Inn。20部屋でスパやプールなどがあるそうです。ここに泊まる人は宿泊施設よりどういった食事が提供されるかに興味があると思いますが,そのあたりは不明です。

2008年春に着工して,18ヶ月ほどの工期を見込んでいるとのことで,2009年秋にオープンする可能性があります。
Date: 2007/1210 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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オンライン・ワイン販売のWine.comが年間トップ100を発表しています。純粋に販売した本数によるというランキングです。というわけで,米国の消費者が何を好んでいるのかが見えてくるちょっとユニークなリストになっています。

1位はワシントンのHogue Genesis Cabernet Sauvignon 2003(16.79ドル)。2位はオーストラリアのSticks Chardonnay 2004(13.99ドル)。3位はスペインのCristalino NV Brut Cava(9.79ドル)。4位にようやくカリフォルニアからBig House Red 2004(10.29ドル)が入っています。

10ドル台のワインが大多数を占める中,高額なワインでは13位に入ったSilverado Cabernet Sauvignon 2003(2004年ものは41.99ドル)が目に付きます。またCaymusのConundrum 2005(27.99ドル)も19ドルと健闘。さらにSilver Oak Napa Valley Cabernet Sauvignon 2002(99ドル)も21ドルと相変わらず消費者人気は高いようです。Alexander Valleyの方も28位と上位にランクされています。

ピノ・ノワールは生産量が少ないものが多いので,こういうランキングでは不利になるようです。55位に入ったニュージーランドのAmisfield Pinot Noir 2005,79位に入ったOrogeny Vineyards Pinot Noir Green Valleyなど,下位にいくつか入った程度です。

ちなみにシルヴァラードのカベルネは「神の雫」のコラムで「リーマンのシャトー・マルゴー」(笑)と紹介されたものです。日本でも税抜き4000円台なので米国とさほど値段は変わりません。デイリーより少しいいワインを飲みたいときにはいいかも。

Date: 2007/1209 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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SFクロニクルは,今注目のワインメーカー5人も挙げています。Rusack,Kendricという全然知らないワイナリの名前も出てきます。このあたりは覚えておくといいかもしれません。

Winemaker to Watch: John and Helen Falcone, Rusack Vineyards
Winemaker to Watch: Stewart Johnson, Kendric Vineyards
Winemaker to Watch: Robert Pellegrini of Pellegrini Family Vineyards
Winemaker to Watch: Arnaud Weyrich of Roderer Estate
Winemaker to Watch: Jennifer Williams, St. Helena's Spottswoode
Date: 2007/1209 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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SFクロニクル紙がWinemaker of the Yearを発表しました。今年はCaleraのJosh Jensen氏。今年は日本でカレラブームが起こりましたが,カレラのワインが見直されるようになってきたのは日本だけではありません。
"Call him Mr. Limestone. As a cellar grunt in Burgundy, Josh Jensen became convinced that the calcium-rich soils of the Cote d'Or were the secret to the region's wines. He returned home to California and spent two years traversing the length of the state, looking for a limestone-rich parcel."

2007 Winemaker of the Year: Josh Jensen of Calera Wine Company

ところで「カリフォルニアのロマネコンティ」と呼ばれるもとになった,そもそもの苗木をどこで手に入れたかという問題ですが,この記事ではChaloneからということになっています。
Date: 2007/1207 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアの名誉の殿堂にロバート・モンダヴィが選ばれたというのは前に紹介しましたが,その表彰式が12月5日,サクラメントで開かれました。モンダヴィのほか,スティーブ・ジョブズ,ウィリー・メイズ,リタ・モレノ,エリザベス・テイラー,タイガー・ウッズといった殿堂入りメンバー,さらに故人で殿堂入りしたアンセル・アダムス,ジョン・ウェイン,ジョン・スタインバックなどの家族も参列。豪華な式典となったようです。

Wine Spectator誌のWebサイトにはMondaviとその家族(Margrit夫人,次男のTimと娘のMarciaのインタビュービデオ,スティーブ・ジョブズが表彰式でモンダヴィの紹介をするビデオが掲載されています。

殿堂入り,それ自体はすばらしいことですが,ビデオを見るとRobert翁の体が弱っているのが一目瞭然。思わずため息をついてしまいました。4年前,90歳の誕生日のときは杖をつき,手は振るえがあったものの,それでも自分の足で歩いていましたが,最早完全に車椅子の人。周囲で何が起きているのかも分かっているのかどうか,といった感じです。

思えば,この4年間で自分のワイナリは売却され,家族の秘密を暴く本が出版されるなど,Robert Mondavi Wineryを設立した1966年以降で最も辛い日が続いたわけです。ましてや90を超えた高齢。衰えても仕方ないのでしょう。

Wine Enthusiast誌のブログにはRobert翁の後を次ぐのは誰?なんていう記事も載っていましたが,正直言ってここに挙げられたJess
Jackson,Jerry Lohr,Randall Grahmではねえ…。Jess Jacksonは業界全体のことに興味があるようには見えないし,J. Lohrは知名度が低いし,Randall Grahmではだれも付いていけないし。Robert Mondaviという偉人を持ったことはカリフォルニアワインにとっては本当にすばらしいことだと思います。

PS. あえて挙げるなら,John Shafer,Bill Harlan,Pall Draperあたりかなあ。Francis Coppolaというのもあるかもしれないけど。
Date: 2007/1205 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Crushpadが家庭でワインのブレンドを実践できるキットFuseboxを発売しました。375mlのボトル6本(Cabernet Sauvignon×2,Merlot,Petit Verdot,Malbec,Cabernet Francすべてナパ産)と4人分のピペット,シリンダー,評価用カードなどが付属します。また,「Mystery Wine」と称する375mlのボトルも添付。これは買った人がブレンドを当てるためのものです。

価格は120ドルと案外手ごろ。クリスマスプレゼントにいかがでしょうか(間に合わなかったらごめん)。
Date: 2007/1203 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Robert Parkerの掲示板でバイオダイナミクス(ビオディナミ,自然派ワイン)が論争になっています。11月25日にスレッドが始まり,現時点でリプライが258。Brian LoringやPeter Cargasacchiといった論客に加え,Wine Advocate誌でブルゴーニュやアルザス,シャンパーニュ,ニュージーランドなどを担当するDavid Schildknechtも途中から積極的に書き込みをしています。

いつも思うことですが,これだけの長大なスレッドで破綻させずに議論を進めていけるというのは,結論というものは出ないにしろ,アメリカ人というのは大したものだと思います。

日本人が緻密で長い文章を書くのが苦手なのは教育のせい? それとも「見開き主義」の雑誌の影響?
Date: 2007/1203 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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さすがに初日で売り切れた「Samurai Beauty」。メモとして残す意味を含めてRAQ(rarely asked questions)を記しておきます。

1. Wine AdvocateではDiatom Samurai Vineyardって書いてあるけど?
パーカーさんの勘違いです。醸造はDiatomでしていますが,あくまでもCh. Igai Takaha ”Samurai Beauty”です。

2. Samurai Vineyardっていう畑があるの?
ありません。畑はHuberです。

3. パーカーさんは「These are brilliant tour de force Chardonnays that show what can be achieved with ripe, pure fruit, and no oak.」って書いているけど…
これもパーカーさんの勘違いです。Samurai BeautyはHuberを古い樽を使って作ったものです。このあたりはご当人のブログを参照してください。

4. Ch. Igai Takahaって何?
CWFCのナパさんのブランドです。家紋である違鷹羽(正確には“ちがいたかのは”と読むそうです)をローマ字で書いたChigai Takahaの最初のChをシャトーの略称に見立てたものです。

5. ナパさんてピノも作ってなかったっけ?
はい。Ch. Igai Takaha Pinot Noir Russian River Valley,Amber Ridge "Divine Wish"です。シャルドネでもCh.igai Takaha Chardonnay Santa Maria Valley "Jewel Wish"というのもあります。詳しくはこちら
この二つはDiatomとは無関係で,Crushpadで作っています。

6. "Divine Wish"とか "Jewel Wish"とか不思議な名前だけど?
ナパさんのお嬢様二人の名前から取っています。

7. じゃあSamurai Beautyは?
分かりません。ナパさんの思いつきではないかという気がします。ただ「Beauty」のところは奥様から字を取っているのかもしれません(^。^)。

8. Samurai Beautyは米国でも買えるの?
買えません。Wine Advocateが出た後,Greg Brewerのところにたくさん問い合わせがきたそうですが,Gregは「あれはナパさんのだから」ということで,米国の流通には出していないとのことです。

9. Wine Advocateで95点てすごいんですか?
すごいです。例えば,今カリフォルニアのChardonnayで一番珍重されているといってもいいAubertの場合,2005年の評価でLauren, Ritchie, ReulingがそれぞれRP95-97+, RP94-96, RP95-97と95点近辺の評価になっています。パーカーさんは96点以上だと「An extraordinary wine of profound and complex character displaying all the attributes expected of a classic wine of its variety. Wines of this caliber are worth a special effort to find, purchase, and consume.」だと書いていますが,そこに非常に近いということになります。