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Date: 2011/0228 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Napa Valleyの春を告げるイベントであるPremiere Napa Valleyが2月27日,St. HelenaのCulinary Institute of America(CIA)で開催されました(15th Annual Premiere Napa Valley Auction for the Trade Breaks Records, Bringing Nearly $2.4 Million)。

不況で売上が沈んだ昨年よりも大幅にアップし,トータルの売上は240万ドル。これまでの記録だった2008年の220万ドルを上回りました。さらにインポーターで知られる中川ワイン販売がScarecrowの5ケース・セットで12万5000ドルという1ロットの記録を作りました。従来は8万ドルが最高で初の10万ドル超えに会場も大いに沸いたとのことです。

ただ,中川の落札は全部で5ロットとやや控えめ。トータル落札額トップ10には入りませんでした。落札トップはGary's Wine and Marketplace。全部で32プロデューサの300ケースを落札,落札額も50万ドルを超えたそうです。

ところでScarecrowのワイン,落札額を1本あたりに換算しても20万円近く。おそらく特定の優良顧客に販売されるのでしょうけど,1本いくらになるんでしょうね? このワイン,Vinographyでも当日のトップと評価されています。飲めるはずはありませんが気になります。

なお,Premiere Napa Valleyは完全に業界向けのワイン・オークション。夏のAuction Napa Valleyが一般客も(お金を払えば)入れるのとは大きく異なり,業界内での評価が得られると言われています。ワイナリはこのオークション用に特別なロットを作り,専用のラベルが貼られます。例えば下のようなものです。



YouTubeにScarecrowのロットの動画がありました。

Date: 2011/0225 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Instituteが2010年のカリフォルニアワインの海外への輸出についてまとめた結果を公表しました(California Boosts 2010 U.S. Wine Exports to Record Year)。リーマン・ショックの影響で落ち込んだ2009年から見事に回復し11.4億ドルと過去最高を記録しました。

輸出が好調なのはいいのですが,数字をちょっと見ていくとかなりショッキングなことに気付きました。日本はもはやカリフォルニアにとってアジア最大のワインの輸出先ではありません。香港がトップになったのです。

2005年の数字から見ていくと香港の急成長ぶりは恐ろしくなるほどです。

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Date: 2011/0221 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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アカデミー賞脚色賞を受賞した映画「Sideways」の原作者であり,このほど続編となる「Vertical」を上梓したRex Pickett氏。ワインライターのW. Blake Gray氏が彼をインタビューした記事がPalate Pressに掲載されています

ありがたいことにGray氏の奥様がこの記事を翻訳なさっています(前半後半)。Rex Pickett氏,インタビューの様子だとかなりの偏屈,一歩間違えたら危ない人になってしまいそうな感じもありますが,それだけにSidewaysの映画が密かに持っていた痛さのようなところが実感されるインタビューでもあります。例えば冒頭にある「VerticalはSidewaysよりも、一層、僕なんだ。主人公のマイルズは、愛を探している。けれども彼が酒を飲み続ける限り、愛は見つからない。これが本当のテーマだ」なんて痛切です。

また,映画では主人公Milesが“I’m not drinking any fucking Merlot!”と叫んだのが有名な台詞になり,メルロー市場に打撃を加えましたが,出版されている原作にはこの台詞はありません。どうやらオリジナルのドラフトにあったものが映画に採用されたようです。ただ,Pickett氏がメルロー嫌いというのは事実であり,機会があればこの台詞を改めて加えたいとのこと。

Verticalの出版まで紆余曲折があったことは以前の記事にも書きましたが,映画化されるかどうか,この様子だとなんだか難航しそうな感じがします。
Date: 2011/0214 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアのピノ・ノワールのパイオニアの一つであるSaintsburyが一番下のラインであるGarnetをSilverado Winegrowersに売却しました(Saintsbury Sells Garnet Pinot Noir Line | News | News & Features | Wine Spectator)。

Silverado Winegrowersは30年近くGarnet用のブドウをSaintsburyに供給してきた生産者。今後はGarnetを自社ブランドとして提供する意向だとのこと。今回同時にGarnetを生産してきたSonomaダウンタウン近くのワイナリも購入したそうです。

一方,Saintsburyは30ドル以上の高価格ピノ・ノワールに専念する意向。四つの単一畑ピノ・ノワールのうちStanly RanchはSilverado Winegrowersからブドウの提供を受けており,それは今後も継続するそうです。
Date: 2011/0212 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2010年のカリフォルニアのブドウの収穫レポートをCalifornia Agricultural Statisticsが発表しました。こちらのページからさまざまなレポートやデータをダウンロードできます。

収穫量

収穫量はトータル398万トン。2009年の410万トンを下回っていますが,2006~2008年の数字を上回っています。難しい年だったと言われていますが,特別な不作というわけではなかったようです。

品種別比率

品種別に見るとシャルドネが16.4%でトップ,次がカベルネ・ソヴィニョンの11.2%,ジンファンデルが9.9%で続いています。ピノ・ノワールは3.7%と,増えているとはいえまだメルローの半分以下です。

フルレポートでは郡ごとに各品種の販売実績(固有名詞なしで販売量とその価格の一覧がずらっとでている)が挙げられており,業界の人にとってもどの地域のブドウがいくらで取引されているかを知る重要な資料になっています。100ページを超えるレポートですが,関心ある方はご覧になることをお勧めします。
Date: 2011/0210 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワインライターW. Brake Gray氏のツイートより。

スーパーマーケットでワインボトルの棚が崩れる瞬間の映像です。セキュリティ・カメラに残ったものだとのことで,本物です。



いやあ,すごいですね。どうするとああいうふうになるのでしょう? 重みに耐えかねた? 笑い事じゃないですが,笑うしかないですよね(笑)
Date: 2011/0207 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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俗にいう「パーカー・ポイント」で知られるWine Advocate誌でRobert ParkerからAntonio Galloniに大幅な移譲が行われることが発表されました。

これまでイタリアとシャンパーニュの担当だったGalloniは,今後はカリフォルニアとブルゴーニュのコート・ドール,シャブリも担当するようになります。これでParkerの担当範囲はボルドーとローヌだけになります。また古いヴィンテージの試飲については両地域およびカリフォルニアを担当します。例えばあるワイナリの垂直試飲といったテーマ性の高いものをやっていくようです。また,これまで十分にカバーしていなかったボジョレーとマコネはDavid Schildknechtが担当範囲とすることも発表されました。

これを受けてAntonio Galloniは,少なくとも2011年に関してはカリフォルニアの公開スケジュールはRobert Parkerのときとほぼ同じであるということを表明しており,またこれまであまりカバーしていないワイナリも追加していく意向を示しました。ブルゴーニュに関しては,ボトリング時期が生産者によってバラバラなため,訪問回数を多くし,大特集のほかに小さな記事をいくつか書いていきたいとのことです。

Wine Advocate誌は1978年にRobert Parkerが創刊したニューズレター形式の雑誌。広告を取らずにワインを100点法で客観的に分析することを特徴としています。特に1982年のボルドーを他の評論家が懐疑的なうちに最高の出来だと評して,その後のワイン業界をリードするようになりました。1996年にPierre A. Rovaniをレビュワーに加えてそれまでの一人体制から変わり,2005年にRovaniがやめてからは現在の多人数体制になっています。それでもこれまではPakerがメインでプラスその他のレビュワーという感じでしたが,今回の移譲によってGalloniがメインのレビュワーになると思います。

日本ではこれまでパーカーが点を付けていないものでもWine Advocate誌に載ったものは「パーカー・ポイント」ととすることが慣行的に行われてきましたが,これを機会にワイン・アドヴォケイトあるいはWAのポイントと改めることを期待します。

【追記】2011年は2月の193号でパーカーが北カリフォルニアのPart2を書き,6月の195号ではGalloniがカリフォルニアのセントラル・コーストとローヌ・レンジャーを,パーカーが1995年のナパ・カベルネをレビューします。年末の198号ではGalloniが北カリフォルニアをレビューする予定になっています。
Date: 2011/0205 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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毎年この時期にワインショップの店頭で配布しているカリフォルニアワインのブックレット,今年は「葉山考太郎のカリフォルニアワイン道 笑って覚えるカリフォルニアワイン講座」というタイトルが付いています。

ブックレット

これまでよりも大分やわらかい感じで,葉山さんが1990年代初頭に米国に駐在していてDuckhornのワインにはまった話や「偉人、変人、奇人ワインメーカー列伝」としてRobert MondaviやHeidi Barrett,Randall Grahmといった有名人を紹介しているコーナーなど,ワインに詳しくなくても面白く読めそうです。

既にカリフォルニアワイン・ファンの人もそうでない人もぜひ手にとってみてください。
Date: 2011/0204 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国のワイン研究をリードするカリフォルニア大学デイヴィス校(UC Davis)に新しいワイン醸造の施設が完成しました(Wines & Vines - Wine Industry News Headlines - Winemaking Facility Opens at UC Davis)。

建造に要した2000万ドルを超える全額を寄付によって作ったというこの施設ですが,なかでもKendall-Jacksonなどのワイナリを持つJess JacksonとBarbara R. Banke夫妻が300万ドルという多額の寄付をしたそうです。このほかJ. LoarのJerry Loarも100万ドルを寄付したとか。

この施設の一つの特徴は環境に優しい作りになっていることで,LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)で最上級のプラチナとして認められています。Jess Jacksonらの寄付もサステイナブルなワイン作りの研究施設に充てられたとのこと。

こういったすばらしい研究施設を作ることと,そこに寄付をする文化があるというのは米国の優れた面だと思います。
Date: 2011/0202 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国最大のZinfandelの祭典ZAP Festivalが先週サンフランシスコで開かれました。最近あまり話題には上がってこないZinfandelですが,グランド・テイスティングには8000人近くが来場とのことで,相変わらずの活況だったようです。参加ワイナリは206,ワインの数も400を超えていたとのこと。

今年で20周年を迎えたこのフェスティバルですが,一つの成果として数年前からUC Davisと共同で行ってきた「The Heritage Vineyard」プロジェクトの発表が行われたようです。Zinfandelはピノやシャルドネと異なり,クローン(同じ品種内での異なる遺伝子を持ったブドウのこと)の研究はあまりされていませんでした。それを調べようというこのプロジェクトの結果として今年から19種類の挿し木用の枝が提供されるようになるとのこと。今後のZinfandelの品質向上にもつながるのかもしれません。

また,Wine Spectator誌のTim Fish氏のブログによると,今回主として2008年のワインが提供され,一部2009年のサンプルもあったとのことですが,2008年はやはりやや難しい年だったようで,どちらかというと2009年の方ができがよいそうです。

テレビ局KTVUのページでは動画も見られます。RavenswoodのオーナーであるJoel Petersonがジンファンデルについて語っています。