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Date: 2013/0131 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国の著名ワインショップK&Lの運営するオークションにScreaming Eagleのセカンドワイン「Second Flight」が出ています(2006 - 2009 Screaming Eagle )。

2006年から2009年までのSecond Flightが2本ずつ、計8本が専用の木箱に入ったセットです。メーリングリストで購入した人が放出したものと見られます。

気になる値段ですが、最低入札価格が2800ドル。1本平均350ドルです(現時点では入札ゼロ)。セカンドワインとしてはむちゃくちゃ高いですが、Screaming Eagleがリリース価格で850ドルすることを考えれば、大分お買い得です。

なお、Wine Advocate誌では2006年と2007年が94点、2008年が92点、2009年が93点と高い評価を得ています。Screaming Eagleが90%近くカベルネ・ソヴィニョンで作られているのに対し、こちらはメルローが3割以上。それでも、Screaming Eagleの片鱗を味わえるワインに仕上がっているようです。

今入手すれば、稀少価値は抜群。350ドルが安いのか、高いのかはどうでしょうか。
Date: 2013/0130 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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いくつかセール情報まとめておきます。

柳屋ではKosta Browneの単一畑ピノ・ノワールが出ています。税込みでも1万5000円切るのですから以前に比べたらずいぶん安くなったものです。国内に出回る量は少ないですから、この機会にどうぞ。ヴィンテージは2010年。現状Kanzlerは売り切れGap's Crownは3本、Koplen3本、Keeferは4本。


続いてもう1つ柳屋からセールコーナーにあるEroica。ワシントン州のリースリングです。



さいごはモンダヴィのカベルネ・リザーブ。1996年のもの。30周年ワインです
Date: 2013/0128 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイナリにとって大きな課題であり希望でもある消費者への直接出荷が増えているそうです(Direct sales of wine rose 10 percent last year | PressDemocrat.com)。2012年のカリフォルニアのワイナリによる直接出荷は総額14億6000万ドル。2011年より10%増加しました。

消費者への直接出荷は、小売やディストリビューターを使うよりも利益率が高く、中小のワイナリにとっては死活を左右するものとなっています。しかし米国では禁酒法以来のしがらみで、直接出荷を許していない州が残っています。ただ、それも時代に移り変わりで次第に減りつつあるようです。1997年には直接出荷を許しているのは17州に過ぎなかったのですが、2012年には39州にまで増えました。

スマートフォンに代表される技術の進歩も消費者との直接のコミュニケーションを後押ししています。例えばメールに動画を埋め込んでサイトへのアクセスを誘うなどで、メールが大きな勧誘手段となっているそうです。
Date: 2013/0127 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ニールセンが米国のソーシャルメディアで語られるワインの種類について、約2年間調査を行いWine Market Councilで発表したそうです(Chardonnay, Moscato Get Social Media Buzzing)。

それによると、米国で一番ポピュラーな品種はシャルドネ。これはそりゃそうだろうというところですが、次がモスカートというのはちょっとびっくりです。モスカート・ダスティに代表される微発泡の甘口ワインで、ソーシャルメディアをよく使う若い女性に人気なのが、その理由ではないかと分析しています。

ただし、ソーシャルメディアの言及がセールスに結びついているとは限りません。ShirazとMalbecを比べると、ソーシャルメディア上ではShirazが2倍以上人気ですが、実際には過去1年でMalbecの売上は伸びていますが、Shirazは17.9%も落ちています。同様に、よく売れているPinot Grigioよりも落ち目のRieslingの方がソーシャルメディア上では多く言及されています。

これらについては、すべての言及がポジティブなものではないことが理由ではないかと考えているようです。

このあたりの分析から次に人気が上がるのが何か分かったりすると面白いとおもいますが、まだまだそこまでは行っていないようです。
Date: 2013/0125 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Napa Valley Vintnersが新しい教育プログラム「Napa Valley Rocks」を公開しています(Napa Valley Rocks: The Napa Valley Appellation Education Program)。ビデオを中心とし、パワーポイントなどのプレゼン資料もあります。ビデオは英語だけですが、資料には日本語のものもあります。

中身はさすがによくできています。Napa Valleyは世界的に有名なワイン栽培地域の中でもとても狭いことなど、知らないこともいろいろありました。動画の英語も分かりやすいので、多くの人がこれで付いてこれるでしょう。

カリフォルニアの中でナパが圧倒的に有名になっている理由としては、このようなNapa Valley Vintnersのプロモーションやエデュケーションの努力がかなり多くの要素を占めていると思います。ナパのこういう面については、他の地域も見習ってほしいものです。
Date: 2013/0122 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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SFクロニクルがWinemakers of the Yearを先日発表していました(Winemakers of the Year: Arnot-Roberts)。Arnot-RobertsというワイナリのDuncan Arnot MeyersとNathan Robertsの2人です。

このワイナリ、私は初めて名前を聞いたのですが、かなりユニークなワインを作っています。例えばGamay Noir、Trousseau、Ribolla Giallaといったマイナーのブドウ品種だったり、白ワインのフィールドブレンドによるワインだったり。カリフォルニアワインの歴史で登場するMartin Rayの作った畑のピノ・ノワールもあります。大部分のワインのアルコール度数が12%台というのも、カリフォルニアでは非常に珍しいものです。

ワイナリはソノマにありますが、この2人はナパ育ちの幼馴染。それぞれKongsgaardやLittoraiで修行してからこのワイナリを始めましt。生まれたときからワインに触れて育ってきた世代が、どこの真似でもないオリジナルなワインを作り始めたといったところでしょうか。
Date: 2013/0118 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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「2ドルのチャック(Two-Buck-Chuck)」の愛称で知られる、米国のチェーン店Trader Joe'sで売られる低価格ワインCharles Shaw。カリフォルニアの価格が従来の1.99ドルから2.49ドルに上がったそうです(Two-Buck Chuck Price Goes Up | Los Angeles Business Journal)。

元々、カリフォルニア以外の州では2ドルよりも高く売るところも多かったのですが、今回の価格変更で2.49~3.79ドルになったそうです。

えー、看板に偽りありじゃない、と思ったのですが、Charles Shawが登場してからもう11年。その間、一度も値上げしなかったというのを褒めるべきでしょう。

今回の値上げは、コストの増加を反映したものだそう。これで質を落とさずに済むとしています。
Date: 2013/0118 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wines & Vines誌によると、2012年末のワイン業界は景気のいい終わり方をしたようです(Wines & Vines - Wine Industry News Headlines - Wine Industry Ends Year on High Note)。

例えば、winejobs.comの求人数は前年より16%増えたとか、12月のワイナリから消費者への直接販売は前年より23%増、通年でも10%増だったとか。

リーマン・ショック後、冷え込んだとされる20ドル超のワインで見ても2012年12月の売上は3000万ドルで前年より500万ドル増、2008年と比べると倍以上に増えています。

共同購入型クーポン・サービスで売られるワインも増えています。日本でも急増し、問題が多発したものの最近は落ち着きを見せているこのタイプのクーポンですが、2012年12月にこれらのサービスでワインを売ったワイナリの数は前年の4倍にも達したそうです。
Date: 2013/0117 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワインのラベルにもいろいろありますが、Ridgeのラベルほど個性的で分かりやすいものはないように思います。シンプルで、スーパーの棚の中でも簡単に見つけることができます。



では、このRidgeのラベルと有名な化粧品などのブランドであるエスティローダーに共通するものは分かりますか?



デザインをしている人ならすぐにわかるかもしれませんが、エスティローダーのロゴで使っているフォントとRidgeのラベルのフォントは同じなのです。

Optimaというこのフォント、1958年にドイツLinotype社のヘルマン・ツァップさんが開発したもの。フォントは大きく分けると明朝系のセリフとゴシック系のサンセリフがありますが、これはサンセリフのフォント。ただ、セリフ系のような味わいもあり、上品さとゴージャスな感じを持ったフォントだとして、ファッション系を中心に、とても人気があります。

Ridgeは1962年のワイナリ創設以来、このフォントを使っています。Jim Robinsonさんという人がラベルのデザインを担当したそうです。米国でOptimaフォントを使った先駆けの1つであり、西海岸では一番初めだったとのことです。

なお、2002年にはOptimaを改良したOptima novaというフォントが作られています。これは、ヘルマン・ツァップさんと日本人のフォント・デザイナー小林章さんによるものです。下の本の表紙にも、そのフォントを使ったデザインがあるのが分かるでしょうか?


Date: 2013/0112 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマのワインはユーザーにどのように受け取られているかを調べたレポートがSonoma County Vintnersの会合で発表されました(Sonoma County's chardonnay a hit; pinot noir doesn't fare as well)。調査はナパのSt. HelenaにあるWineOpinions社によるものです。

調査は最もワインをよく飲み、また高いワインをしばしば飲む米国民を対象に行いました。

その結果、ソノマは品質およびコスト・パフォーマンスでどちらもトップ3に入った唯一の地域となり、20ドル以下のシャルドネでもトップの評価でした。

ただ、ハイエンドのピノ・ノワールではナパやオレゴンのウィラメット・ヴァレーに遅れを取りました。

また、およそ半分のユーザーはRussian River ValleyやAlexander Valleyのワインをたまに飲みますが、RockpileやGreen Valley、Bennett Valleyといった名前を知らない人も半数いました。

ナパでピノ・ノワール? と思ってしまいますが、ハイエンドのワインはナパという印象は強いのかもしれないですね。Napa Vintnersという強力な組織を持つナパと比べるとソノマはブランドの売り出しが弱い感じがします。ソノマのマーケティングももっと頑張ってほしいものです。
Date: 2013/0109 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワインのアジアへの輸出についての記事がWines & Vinesに載っていました(Wines & Vines - Wine Industry News Headlines - California Wine Exports in 2013)。

2012年の1月から10月までの輸出量を2011年の同期間と比べていますが、それによるとアジアでは日本への輸出額が9533万ドルと前年の8172万ドルから16.7%上昇、シェアも7.2%から8.1%へと広がりました。カリフォルニアワイン・インスティテュートでは日本は成熟した市場と位置づけています。

一方、2011年にシェアが11.8%だった香港は34%も減少してシェアも7.5%。日本が再び首位に立ちました。

その他のアジア諸国で目立つのはベトナム。1265万ドルから1937万ドルへと5割を超える急上昇ぶりです。ベトナムは輸入したワインにかけられる税金を80%から55%へと減らしたことが輸出増につながったようです。
Date: 2013/0105 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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前の記事で登場したShibumi Knollというワイナリについて調べてみました(Shibumi Knoll - Welcome)。

Shibumiというのはどう見ても日本語で、ワインとの絡みでいうとタンニンの「渋み」なのかと思ってしまいます。ところがワイナリのサイトでは「A Japanese term most closely translated to "effortless perfection", “understated elegance”, or “perfect peace”」とShibumiの意味が説明されています。どうやら、「渋い男性」といった形で使われる「渋み」のようですが、それにしても"effortless perfection"というのは、ずいぶんニュアンスが異なるような気がします。

この、「Shibumi」という単語、同名の小説から取ったものだそうです。



Amazon.co.jpのレビューではかなり評価の高い本書、発行されたのは1980年台ですが、Shibumi Knollのオーナーはその本を愛読しており、そこでワイナリの名前に採用したとのことです。なお、X-FactorのワインはソノマのRussian River Valleyのブドウを使っていますが、ワイナリはナパのSt. Helena。畑は以前Vineyard29のAida Vineyardだったところの一部だそうですから、かなりいいところのようです。
Date: 2013/0104 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Spectator誌の選ぶWine of the Yearではレイティングや値段、生産量といった数字で表される要素のほかに、何かを感じるワインとして「X-Factor」を加味しているとされています。

じゃあそのX-Factorって何かというと、よく分からないのではありますが、同誌カリフォルニア担当のJames Laube氏が、自身が選ぶ2012年のトップ10X-Factorワインを公表しています(My Top 10 X-Factor Wines of 2012 | James Laube)。

以下がそのワイン。MarcassinやShafer Hillside Selectといった誰でも思い浮かべるトップワインのほかに、温故知新のHeitz Martha'sやWilliams-SelyemのRochioli(これだけヴィンテージが1992年!)、FaviaやLagier Meredith、Rivers-Marieといった新進気鋭のワインなど、結構バラエティに富んでいます。

また、耳慣れないワインとして「Shibumi Knoll」なるものがあります。「渋み」?いったいなんでしょう。これについては別記事で取り上げたいと思います。
・Black Kite Pinot Noir Anderson Valley Angel Hawk 2009 (94 points, $70)
・Edge Hill St. Helena Estate Mixed Blacks Field Blend Napa Valley 2010 (92, $125)
・Favia Rompecabezas Amador County 2008 (95, $65)
・Heitz Cellar Cabernet Sauvignon Napa Valley Martha's Vineyard 2007 (94, $200)
・Lagier Meredith Mondeuse Mount Veeder 2010 (93, $42)
・Marcassin Pinot Noir Sonoma Coast Blue-Slide Ridge Vineyard 2007 (97, $90)
・Rivers-Marie Cabernet Sauvignon St. Helena Panek Vineyard 2009 (95, $75)
・Shafer Cabernet Sauvignon Stags Leap District Hillside Select 2002 (97, $190)
・Shibumi Knoll Chardonnay Russian River Valley Buena Tierra Vineyard 2005 (97, $45)
・Williams Selyem Russian River Valley Pinot Noir Rochioli Vineyard 1992 (97, $50)
Date: 2013/0101 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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みなさま、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。年末は大掃除で忙殺され、更新もできなかったのですが、今年はがんばりたいと思います。

で、毎年恒例の10大ニュースを最初の記事で取り上げます。

10位。カリフォルニアにバランスの時代が到来か?
IPOB(In Pursuit of Balance)というグループができたことに象徴されるように、カリフォルニアでもパワー一辺倒からバランスの時代へと変革が始まったような気がします。Wine Advocate誌のカリフォルニア担当がロバート・パーカーからアントニオ・ガローニに代わったことも影響しているのかもしれません(関連記事)。

9位。Inglenook、45年ぶりの復活
Coppolaが旧Inglenookのワイナリを買い取ったのが1975年。そのときからの悲願だったInglenookブランドを36年ぶりに2011年に買い取り、2012年にはInglenookを冠したワインが登場しました。ワイナリ名も変更し、新時代が到来しようとしています(関連記事)。

8位。Kenzoがいよいよ本領発揮か
David AbreuにHeidi Barrettという現在考えられる最高のメンバーでワイナリを始めたKenzo Estate。当初は日本人の成金が…みたいな印象もありましたが、2012年にはWine Spectator誌で注目のニューフェースに選ばれたり、念願のエステート・ボトルがリリースされたりと、いい話が増えている感じです(関連記事)。

7位。ついに景気上昇か
リーマン・ショック以降ワイン業界も高額ワインが売れないなど、難しい時期が続いていましたが、2012年にはついに反転に転じた感じです。さらに、2011年の収穫が少なかったこともあり、ブドウ不足による値上げという話も出てきています(関連記事)。

6位。Shafer RelentlessがWS誌のWine of the Year
Shafer Relentlessはシラー飲まず嫌いの人に飲んでほしいシラーです。まじで美味しいです。なのでWine of the Yearは理解できるのですが、このワイン、柳屋でしばらくセールになっていたのです。5000円台ですよ、5000円台。このブログでも2回くらい紹介しましたから、この値段でも瞬殺ではなかったようです。というわけでこのブログのお薦めに乗っておくといいことがある(かもしれない)ということです(関連記事)。

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