Archives

You are currently viewing archive for January 2014
Date: 2014/0128 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
SFクロニクル紙が毎年恒例の「Winemakers to Watch」を発表しています(Winemakers to Watch 2014: Mixing tradition and pioneering spirit - SFGate)。

担当エディタのJon Bonne氏は、昨年「The New California Wine」という本を上梓しています。その中で、濃くて甘いカリフォルニアワインは苦手であるとカミングアウトそており、IPOBなど濃い一辺倒でない昨今のカリフォルニアワインのトレンドを好意的に紹介しています。

今年のWinemakers to Watchもメジャーでない品種に取り組む生産者を挙げるなど、かなり趣味に走った感じがあります。

選ばれたのは次の5組。
Graham Tatomer.
Mark Adams.
Chris Broomell and Alysha Stehly.
Megan and Ryan Glaab.
John Lockwood.

Graham Tatomerはサンタバーバラでリースリングやグリューナー・ヴェルトリーナーを作っている人。Mark AdamsはPaso Roblesでシラーを作っている人。BroomellとStehlyはサンディエゴでワイン作りを始めた人。Glaab夫妻はヴェルメンティーノという品種を作り始めたこと。John LockwoodもナパのCoombsvilleでシラーなどを作っており、いずれもパイオニア的な要素が強く感じられました。

Winemakers to Watchは興味深いのですが、今回は若干マイナー志向が強すぎるのでは、という気も。
Date: 2014/0126 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
フランスのロワール・ヴァレーの生産者が「ニワトリ農法」に取り組んでいるそうです(Chickens Become Vineyard Workers | Wine News & Features)。日本では水田などで「アイガモ農法」というのがありますが、そのブドウ畑版です。

20140125-chikens.jpg

ニワトリたちは、雑草や虫を食べてくれる上、土を引っ掻き回すことによって土壌にもいい影響を与えるそうです。

ただし、狐に狙われないように防御策を作る必要があるほか、ブドウの実自体もニワトリにとっては魅力的なため、結実後は別のところに連れて行かれるとか。

ニワトリたちが産む卵は近所のレストランで使われ、最終的には食肉になってしまうとか。ちょっとかわいそうではありますが、面白い方法ですね。今後広がるのでしょうか。

Date: 2014/0124 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
ソノマ市の中心であるPlazaでテイスティング・ルームが増えすぎたとして、規制をしようという動きが生じています(Sonoma identity crisis: too many tasting rooms? | The Press Democrat)。

Preserving Sonomaというこの活動では、Plaza周辺がテイスティング・ルームやワインバーばかりになってしまったことを嘆き、今後テイスティング・ルームには許可を必要とするよう求めています。

ちなみに、現在Plaza周辺には24のテイスティング施設があるとのこと。

2011年にはソノマ郡の北方、Russian River ValleyやDry Creek Valley、Alexander Valleyの交わるあたりにあるHealdsburgで似たような議論があり、そのときは新たな規制を作らないことで決着しています。


著名ブログのFermentationを書いているTom Wark氏はこの動きに対して、「ばっかじゃない」と切り捨てています。ソノマ郡におけるワイン業界の経済効果は130億ドル以上。はっきり言ってワインと観光で成り立っている町であり、テイスティング・ルームに何の問題があるのだとしています。

私の意見としては、もちろん後者に賛成。ソノマはナパに対して観光では不利ですが、Plaza周辺だけで観光が成り立つようであれば、公共交通機関でサンフランシスコからここまで来れるようにすることで、かなりの集客が見込めるのではないかと思います。Plaza周辺にはカリフォルニア最古のワイナリであるBuena Vistaなど、見どころも多いので、いいと思いますよ。
Date: 2014/0120 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
カリフォルニア州知事のジェリー・ブラウンが2014年1月14日、州全域で水不足の非常事態宣言を発表しました(Capital Press | Governor declares drought emergency in California)。

水の節約に努めるとともに、消防士の採用を増やし、一般向けに節水キャンペーンを行うとのこと。また、農家には特例的に水が使えるような措置をするそうです。

既にMendocinoの一部では飲み水が枯渇しかかっており、Paso Roblesでは灌漑が必要な作物を新たに植えることを禁止しています。

関係者によると今回の水不足は40年に1回の規模とのこと。水不足の非常事態宣言が出るのは1987年から13回目と必ずしも珍しくありませんが、今回はシャレにならないと思っている人が多いようです。

カリフォルニアのブドウ畑では、灌漑なしというところもありますが、大部分は灌漑を使っています。灌漑しないで済ませるには収穫量を大幅に減らすといったことも必要になるかもしれません。

また、数年前に山火事の影響でMarcassinがシャルドネの生産をやめたように、秋に火事が起こると、ワインの味にも影響する恐れがあります。

いろいろな意味で、今年の大問題になってきそうです。
Date: 2014/0117 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
Silicon Valley Bankのレポートによると、2014年はワイン業界にとってはいい年になりそうです(Wine sales growth to accelerate in fine wine: Report)。2年連続で下落していた高級ワイン市場がようやく上向きになり、2012年2013年の豊作と相まって、順調に売上が伸びそうです。

懸念材料としては、需要を引っ張ってきたベイビー・ブーマー世代からミレニアル世代に消費の中心が移りはじめていること。ミレニアル世代はベイビー・ブーマー世代とくらべてワインを飲まないため、需要が減っていく可能性が大です。
Date: 2014/0116 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
Sonoma County Winegrape Commissionは1月15日、今後5年以内にソノマのすべてのブドウ畑とワイナリがサスティナブル(持続可能)の認証を受けるようにすると発表する見込みです(Sonoma County wine growers set goal of 100% sustainability - SFGate)。

これは、郡レベルでのコミットメントとしては初めてのもの。期間を決めたことと100%を目指すところがユニークです。100%という目標については、できる・できない、様々な意見が出ているようですが、個人的には何とかなるのではないかという気がしています。

ちなみにソノマにはブドウ畑が1800あり、そのうち85%は家族経営だとのこと。家族経営が多いことが、次世代に続くブドウ作りをすることにつながるのではないかと、しています。

なお、認証については、特にどれでないといけないというのはなさそうですが、California Sustainable Winegrowing Allianceという団体が、プログラムを作っており、それをベースにしていくつかのサードパーティが認証を行っています。畑では138、ワイナリでは103のチェック項目があり、そのうち必須とされる項目(畑では50、ワイナリでは32)で4段階の上から2番目以上の評価にならないといけないようです。
Date: 2014/0110 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
先日「キスラー謎のオーナー変更とスティーブ・キスラーの新ワイナリ」という記事を書きました。その後Occidental Winesで検索してみても何もヒットせず、状況がわからないので、パーカーの掲示板で質問してみました。

すると、キスラーに電話して話をしてくれた人がおり、また、それを見たのかパーカー自身がTwitterで釈明らしきことを書いていました。

まず、パーカーの投稿によるとスティーブ・キスラーは今後もキスラーにおいて、単なるコンサルタントではなく、CEOを続けるとのこと。キスラーでの役割をステップダウンするわけではなさそうです。

また、キスラーに電話した人によると、Occidental Winesが独立したワイナリとして活動するというより、キスラーの中における1プロジェクト的な感じのようです。少なくとも、これらのワインを購入するためにはキスラーのメーリングリストに入っている必要があるとのこと。

何やら、泰山鳴動して鼠一匹という感じではありますが、キスラーファンの人はひとまずホッとしたのではないでしょうか。
Date: 2014/0107 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
ロバート・パーカー率いるWine Advocate誌がアメリカン・イクスプレスと組んでワールドツアーを開催することが発表されました(Robert Parker & American Express International to Host Inaugural Wine Advocate Grand World Tour in 2014 - Yahoo Finance)。

アジアと米国、欧州を回るというこのツアー、2月末から3月のアジア5都市分のスケジュールが公開されています。北京、上海、香港、クアラ・ルンプール、シンガポールでの開催とのことで、日本では行われません。

市場の伸びといったことを考えると日本が外れるのは仕方ないのでしょうが、ちょっとさびしいものです。
Date: 2014/0105 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
「Zinfandelのゴッドファーザー」と呼ばれるRavenswoodのジョエル・ピーターソンがThe Drink Businessのインタビューに答えて、過去30年におけるジンファンデルのスタイルの変遷について語っています(Zin style moves back to balance)。

かつてジャグ・ワイン程度のクオリティのものしかなかったジンファンデルは、1970年代にフレンチ・オークを使ったアルコール度数12.5~14%のヨーロッパスタイルになっていきました。

1970年代末にはアマドール・カウンティなどからアルコール度数が16%を超えるようなワインが出てきましたが、その後RavenswoodやRidgeといった中庸のものに移って行きます。

しかし、1990年代なかばにTurley Wine Cellarsが登場し、樽を過剰に使い、アルコール度数が高く残糖もあるワインにロバート・パーカーが高得点を付けるようになります。

このような「フルーツ爆弾」的なワインは食事には合わせにくいものでした。

2009年以降、そういったスタイルからの変化が生じました。理由は2つ。1つは2010年2011年と涼しい年が続いて自然とアルコール度数が下がったこと、もう1つはジンファンデルは必ずしも甘くてアルコール度数が高いものでなくてもいいと考える新世代のワインメーカーが出てきたこと。

現在は、一部に根強いファンがいる濃いワインも残るものの、Turleyも含めてバランスの取れたスタイルのワインが増えているようです。

なお、これらにはジョエル・ピーターソンの私見的なところも多分にありそうです。例えば新世代のワインメーカーというのはジョエル・ピーターソンの息子であるBedrock Wineのモーガン・トウェイン・ピーターソンを意識しているのでしょう。

Ravenswoodのキャッチフレーズといえば「No Wimpy Wine」。軟弱なワインは作らないという宣言から、濃いワイン専門のように受け取られがちですが、意外とバランスを重視していることも分かりました。
Date: 2014/0103 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
【追記】続報を書きました

Wine Advocate誌の最新号(通巻210号)によると、キスラー(Kistler)の最大株主が創設者のSteve Kistlerから、Kosta Browne、Durell、Gap’s CrownなどのオーナーであるBill Priceに移ったようです。

Bill Priceがキスラーに出資したのは2008年のこと。今回の株式売却については「recently」としか記されていないので詳しいことは不明です。ただ、2008年の出資時点で「将来は持ち分を増やしたい」旨Bill Priceは語っていたため、既定の路線だったのかもしれません。

それを見越してなのか、Steve KistlerはOccidental Winesという新しいワイナリを設立しています。Wine Advocateにはデビューの2011年および、2012年の2ヴィンテージのレビュー(それぞれピノ・ノワール2種)が掲載されています。

ワインの名称はCuvee Catherine(キュベ・キャサリン)とCuvee Elizabeth(キュベ・エリザベス)。キスラーのピノ・ノワールと同じ名称です。2011年のヴィンテージについては、KistlerとOccidental Wines両方のレビューが掲載されていますが、Kistlerの方は昨年アントニオ・ガッローニによるものなので、今回Occidental Winesで掲載されたワインと全く同じなのか別のものなのかは分かりません。

ちなみに、今回の号でレビューが掲載されたKistlerのピノ・ノワールはCuvee NatalieとKistler Vineyardの2種のみ。順当に考えれば、Cuvee CatherineとCuvee ElizabethについてはOccidental Winesに移ったということでしょうか。

また、Occidental Winesでは基本的に自社畑のワインを作っていくもよう。近年顕著になった自社畑中心の動きと歩調を合わせているように思えます。Kistlerにおけるピノ・ノワールの作りも最近は天然酵母を使うなど変わってきているようで、しばらくはいろいろなことが起こりそうです。

なお、Steve KistlerはKistlerのコンサルタントも続けるとのことです。