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Date: 2014/0529 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのワイナリ、シャトー・ポテールが160万ドルの支払いを求めて人気ワインメーカーのデニス・マルベックを提訴しました(St. Helena wine consultant sued for $1.6 million)。

シャトー・ポテールは2012年にデニス・マルベックと契約。新しくセント・ヘレナに開くテイスティング・ルームの目玉にすべく200ドルで販売する「Fourmeaux」(シャトー・ポテールのオーナーの苗字)というワインの醸造を依頼しました。

このワインはソノマにあるメドロック・エイムズで醸造していました。シャトー・ポテールのオーナーによると、2012年11月にバクテリアによる揮発性の酸の比率が上がってしまったのに、それを阻止するための手段を取らず、取った手段によってかえってそれが増えてしまったとのこと。それにもかかわrず10日間の休暇を取得したことにより取り返しがつかなくなったとしています。

その後、5回フィルターをかけたものの、満足する品質にはならず、全部バルクで売ってしまう予定だとのことです。

一方、デニス・マルベックの弁護士によると、実際には品質は十分よかったのに、ポテールのオーナーはそれを無視して非難することしかしなかったとしています。

デニス・マルベックはボルドーのシャトー・ラトゥールのワインメーカーの家族として生まれ、本人も1990年代にはラトゥールのワインメーカーでした。2000年にラトゥールをやめてカリフォルニアに移り、コンサルティングを始めました。キャプサンディやブランキエで名を馳せています。
Date: 2014/0528 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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元NFLのマイアミ・ドルフィンズでクオーターバックだったダン・マリーノがワシントン州でワイン作りを始めました(Dan Marino Delivers Passing Time Wine | Wine News & Features)。名前は「Passing Time」。かつて彼の控えクオーターバックだったデーモン・フアードとパートナーを組んでいます。

ダン・マリーノと言えばかつてはNFLでいくつもの記録を打ち立てた名クオーターバック。現在もNFL記録を11個保持しているといいます。

ピッツバーグで育ち、近所に住むおじが家でワインを作っていたので、昔からワインには親しんでいたというダン・マリーノ。一方、デーモン・フアードはワシントン州の農家育ち。ただ、ワインについては何も知らず、ダン・マリーノが教えこんだようです。

ダン・マリーノはこれまでCBSの「The NFL Today」のキャスターを務めていたため、今回のワイン作りはフアードが中心に進めたそうですが、テレビの仕事よりもライフスタイルを重視するようになってきているとのことです。

今回のワインはわずか500ケース。75ドルで売り出すとのことで、ファンにとっては入手困難かもしれません。
Date: 2014/0527 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワインのインポーターインタビュー第一弾として、ワインライフ株式会社の杉本隆英社長を取り上げます。

このブログの古くからの読者はよくご存知だと思いますが、杉本さんと筆者とは15年近くの付き合いがあります。私が1999年8月に「カリフォルニアワインの玄関口」を立ち上げたとき最初にメールをくれたのが杉本さんでした。杉本さんは同年12月、カリフォルニアワインのファンクラブ(CWFC)を立ち上げ、会長として活躍。掲示板は特に活気があり、カリフォルニアワインの交流の場となっていました。また、多くのワイン会を開いてリアルの交流も盛んでした。

CWFCと並行して2002年には麻布十番にレストラン「カリフォルニア・ワイン・ガーデン(CWG)」を開店。2012年に閉店するまで日本のカリフォルニアワイン・シーンの中心として活躍しました。CWGの名前は現在、ワインライフのオンラインショッピング・サイトで使われています。

一方、杉本さんは2005年ころから米国で立ち上がったカスタムワイン醸造サービスCrushpadでワインを作り始めました。さらにはBrewer-Cliftonのグレッグ・ブリュワー、スティーブ・クリフトンなど、ワインメーカーとの交流でCrushpad外でも独自のワイン作りを始めました。

こうしてできたブランドが「シャトー・イガイ・タカハ」です。独特の家紋のラベルが特徴です。また、以前グレッグ・ブリュワーの個人ワイナリDiatomのワインだった「波紋」「美夜」「侍」などの漢字ラベルのものも、現在はシャトー・イガイ・タカハのワインとなっています。

ちょっと前置きが長くなりましたが、以下で杉本さんとのインタビューをお届けします。
ワインライフ 杉本隆英社長

――これまでの経緯を簡単に教えてください。
杉本:カリフォルニアワインにはまったのは、以前勤めていたシリコンバレーの会社で、ご褒美としてロバート・モンダヴィのWoodbridgeカベルネ・ソヴィニョンをもらったのがきっかけでした。それから1999年にCWFCを立ち上げ、2002年にCWGを始めました。
 米国でクラッシュパッドが始まり、ワインを作り始めました。そこで作ったワインを日本で売れるようにするために酒販免許が必要になり、Vin du 268(兵庫県三田市のワインショップ)を買収し、株式会社クラッシュパッドを立ち上げました。2007年11月15日が設立の日です。米国のクラッシュパッドは最終的にうまくいかなかったが、未だにホテルや会社の周年記念でワインを作りたいという話は来ます。一定の需要があることは分かりました。
 その後、2012年10月1日に社名をワインライフにして現在に至ります。

――ワインライフの理念はどのようなものですか。
杉本:まずはシャトー・イガイ・タカハをちゃんとすることが大事だと思っています。また、ワインの輸入だけでなく、楽しみ方を広げることに重きをおいています。ワインライフという会社名はワインで生活を豊かにする会社にしたいという意味を込めたものです。また、ソムリエなどにもっとよく知ってもらう活動もしています。

――イガイ・タカハ以外ではどのようなワイナリを取り扱っていますか。
杉本:Palmina、Transcendence、Reuling、Hilliard Bruce、Small Vines、Soliste、Tatomer、Sea Smoke、Paul Lato 心などがあります(注:Paul Lato心については「Paul Latoの新作は「心」、シャルドネとピノ・ノワールを試飲」を参照)。タカハの関係から輸入するようになったところが中心です。
 ワイナリの地域としてはサンタ・バーバラが多くなっています。ナパやソノマは既に大手のインポーターが扱っているワイナリが多く、小規模なインポーターでは食い込むのが難しいです。サンタ・バーバラはそこまで競争が厳しくない、というのが理由の1つです。もう1つの理由は、私自身サンタ・バーバラのワインのミネラル感が好きだからです。

――力を入れているワイナリや、ここがお薦めというのはありますか。
杉本:正直に言って、あまり有名でないワイナリのワインを売るのは難しいです。ワインの輸入というのは輸送にかかるコストなどがあり、なかなか儲かるものではありません。現在は8割方、イガイ・タカハのワインが占めている状況です。なのでタカハだけで会社がやっていけるような形にしたいと思います。

――タカハのワイン会を積極的にいろいろなところで開催していますね。
杉本:今は地方を開拓しています。地方でワインは売れないと言われていましたが、ワイン会をやると、すごく喜んでもらえます。47都道府県すべてでワイン会をやり、ワインを売るショップやレストランを作るのが目標です。

――読者のアンケートによると3000円~5000円のワインへの興味が一番多いようです。この価格帯のワインでお薦めはありますか。
杉本:イガイ・タカハの中でCrossed Wingというシリーズがあります。2012年にグレッグ・ブリュワーと、もっと親しみやすい価格のワインを作りたいと意気投合して始めたものです。また、ワインをより楽しくということで、人気ウクレレ奏者のジェイク・シマブクロとコラボしており、ジェイクが「Crossed Wing」という曲を作ってくれました。ジェイクの演奏とワインを楽しむイベントも開きました。
 Crossed Wingでは2013年にまず2860円のソヴィニョン・ブランを出し、その後ピノ・ノワール、アルネイス、ドルチェットと計4種類のワインを発売しました。
 2014年には、Crossed Wingのワインとしてイタリア系ブレンドの白と赤を追加します。白はKEA KEA、赤はULA ULAという名前になります。これらはハワイでも販売する予定です。

――カリフォルニアワインをやっていて良かったことを教えてください。

杉本:いろいろな人に出会えたことが一番ですね。最近、グレッグ・ブリュワーがBrewer-Clifton、Melvilleと並んでタカハのワインメーカーであることを名刺に入れてくれてるんです。それも嬉しかったです。

関連サイト:
ワインライフ株式会社 | Wine Life
California Wine Garden
楽天市場 Vin du 268 トップページ
Ch.igai Takaha | シャトー・イガイタカハ

インタビューを終えて
杉本さんの活動を見ていると、かつてのCWFCのワイン会や、CWG、現在の各都道府県でのワイン会など、リアルでの人との結びつきを大事にしていることがよく分かります。ほかのインポーターとは大きく違ったインポーターですが、唯一無二の存在として際立っています。
Date: 2014/0525 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ハーラン・エステートのBill Harlanが作る第3のプロジェクト「プロモントリー(Promontory)」がいよいよ発売されることになりそうです。「Harlanの新プロジェクト『Promontory』が明らかに」という記事を書いたのが2011年11月なので、それから2年半。満を持しての登場です。

既にロバート・パーカーは昨年10月発行のWine Advocate誌で2009年、2010年、2011年のレビューをしており、それぞれ97、98+、92-94という評価になっています。この時点でもう6ヴィンテージ、ここのワインを醸造していることも明らかにしています。

ハーラン・エステートのときも1987年に醸造を始めて、最初のリリースは1990年のものでしたから、おそらくプロモントリーもリリースされるのは2009年のものからになるのでしょう。

20140524-harlan-autograph.jpg

以前、サイトがオープンされたときに、登録しておいたので、今回はBill Harlan直筆サイン入りの手紙が来ました。もうじきリリースだとは書いてあるのでこの秋にはリリースレターが来るのではないでしょうか。

とはいえ、値段は相当なものになるでしょうから、実際に買うかどうかというのは難しい問題です。リリースレターが来たらまた書きますので、一緒に購入したい人がいたらご連絡ください。
Date: 2014/0522 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアのピノ・ノワール/シャルドネ(とシラー)のプロデューサーの中で最も注目されている一人がPaul Lato(ポール・ラトー)です(ワイナリ名もPaul Lato)。

ピノ・ノワールを8種類、シャルドネを3種類、シラーを2種類、グルナッシュを1種類作っていますが、米国ではほとんどがメーリング・リストとレストランの需要であっという間に出払ってしまいます。レストランもFrench Laundryなど一流のところで使われています。

日本には2009年ヴィンテージからilovecalwine社が輸入しており、米国よりも入手しやすい状況になっています。Paul Lato氏は日本びいきで、米国の需要だけで十分まかなえるところを日本にまわしてもらっているとのこと。日本人としてはありがたい限りです。

さて、そのPaul Latoの新作がKokoro(心)というワインです。シャルドネとピノ・ノワールがあり、ラベルに「心」という漢字が書かれています。

20140521-paullato-kokoro.jpg

これまでのワインが基本的に単一畑のものだけだったのに対し、この「心」は複数の畑のワインをブレンドしています。

ラベルに漢字が書かれたワインというと、シャトー・イガイ・タカハの「波紋」など漢字シリーズのワインを思い起こしますが、実はこのワイン、シャトー・イガイ・タカハの杉本さんが絡んでいます。

杉本さんとPaul Lato氏はかねてからの知り合いであり、杉本さんは夫婦でPaul Lato氏の自宅でディナーを楽しんだこともあったと言います(Paul Lato氏は元々コックを目指していたというくらい料理好きです)。6時間にもおよぶディナーで、大分お酒が回った杉本さんが、Paul Lato氏に「単一畑は畑の力だろ。醸造家ならブレンドも作ってみろ」と無茶ぶりしたのがきっかけでこのワインが生まれました。シャトー・イガイ・タカハの漢字シリーズと同様、杉本さんの奥さんである美代子さんが「心」の字を書いています。

そういった関係で、このワインだけはilovecalwine社ではなく、杉本さんのワインライフが扱うことになります。

さて、シャルドネはSierra Madre(50%)、Hilliard Bruce(30%)、Pisoni(20%)という構成。Pisoni以外はサンタ・バーバラの畑です。ヴィンテージは2012年。

これはちょっとびっくりするくらい美味しいワイン。柑橘系の香りが素晴らしく、味わうとパイナップルなどトロピカルフルーツのフレーバーも感じます。ミネラルもしっかり。それでいて全くくどさがなく、爽やかささえ感じるワインでした。

一方、ピノ・ノワールはSolomon Hillsが70%にZotovichが30%。どちらもサンタ・バーバラの畑です。ヴィンテージはこちらも2012年。

ピノ・ノワールはまだ少し固さを感じました。全体的にボリューム感よりも引き締まった筋肉質なワイン。もうちょっと柔らかくなってから飲むと本領を発揮しそうです。

このワイン、ピノ・ノワール/シャルドネともに生産量は600本(ケースじゃないよ!)程度。樽2つ分です。そのうちPaul Lato氏が360本ずつを販売。残りの240本ずつが日本への割り当てです。

価格はピノ・ノワールが1万8000円、シャルドネが1万5000円。7月7日から販売する予定です(出荷予定は9月9日)。

Date: 2014/0519 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Amazon.co.jpでワインの直販が始まっています。これまでもマーケットプレイスの位置付けでWassy'sなどいくつかのワインショップがワインを販売していましたが、Amazon.co.jp自身でワインを売るのは初めてです。

最大のメリットはAmazonの倉庫に保存され、そこから発送されること。「お急ぎ便」などが利用できるため、早ければ注文当日にワインが到着します。また、通常発送の送料は無料で、プライム会員になっていればお急ぎ便も無料です。

直販のカリフォルニアワインはここ

全部で1000余りのワインを扱っている中、カリフォルニアワインは39種とあまり多くはありません。価格は、例えばフランシスカンのカベルネ・ソヴィニョンが3066円。送料込みであることを考えれば、格安です。

まあ、ここではカリフォルニアワイン以外のものを買うほうがいいのかな、という感じはします。あと、保管状態などは気になるところです。

人気順ワイン一覧
Date: 2014/0518 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズ(Napa Valley Vintners=NVV)は5月15日、500番目のメンバーを承認したと発表しました(Napa Valley Vintners Welcomes 500th Winery Member)。

NVVのメンバーはNapa Valley産のワインの99%を生産しており、ナパの畑の83%を所有しています。ナパのワイナリがすべて加入しているわけではありませんが、カリフォルニアのワイナリの団体としては、圧倒的な力を持っていると言っていいでしょう。なお、有名なナパのワイナリの中ではAbreu、BryantなどがNVVに加入していません。

それにしてもナパだけで500という数は凄いですね。まだまだ知らないワイナリがたくさんあるわけです。『無敵のカリフォルニアワイン講座《ナパ編》』には150余りのワイナリの情報を掲載していますが、1/3にも達していないということになります。実際のところ、日本でワインが売られていて、載っていないというところも、把握しているだけで、いくつかあります。
Date: 2014/0516 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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インポーター紹介記事についてのアンケートにご協力いただき、ありがとうございました。
全部で20名からご回答いただきました。その結果を簡単に紹介いたします。

まず、新企画への賛否ですが、7割が「ぜひやってほしい」とのこと。予想以上に賛成が多かったです。
アンケート結果1

次に知っているインポーターの数ですが、10以上知っているという回答が多かったのにはびっくりしました。
アンケート結果2

最後に興味あるワインの価格帯。2000円~3000円と5000円~1万円あたりが多く、意見が割れました。
アンケート結果3

というわけで、アンケート企画案lは実施させていただきます。
Date: 2014/0515 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日大怪我を負ったDavid Hirschは手術が成功し、意識も戻っていることが判明しました(Inside Scoop SF » Hirsch Vineyards owner hurt in accident)。

娘のJasmine Hirschによると「手術後は冗談も言えるようになった。家族が集まったことでうれしいらしい」とのことです。

早い回復を望みます。
Date: 2014/0515 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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クリスタルなどで知られるフランスのシャンパン・ハウス「ルイ・ロデレール」がメンドシーノに作ったのがスパークリング・ワイン専門のロデレール・エステート。そこが新たにスティル・ワインのワイナリを始めました(Domaine Anderson Winery To Open In The Anderson Valley, CA -- NEW YORK, May 13, 2014 /PRNewswire/ --)。

新しいワイナリはDomaine Anderson。ピノ・ノワールを中心とし、シャルドネも作っています。AVAものと単一畑のワインをそれぞれ1つずつ製造しており、すべてエステートであるのも特筆できます。

5月17日にAnderson Valley Pinot Noir Festivalでデビューする予定です。

Domaine Andersonのサイトはこちら
Date: 2014/0514 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマ・コーストを代表する畑であるHirsch VineyardsのオーナーDavid Hirschが5月11日、畑で深刻な大怪我を負ったもようです(Hirsch Vineyards owner critically hurt in tractor accident | The Press Democrat)。

畑でトラクターの使い方を説明しているときにトラクターのバケットが頭を直撃し、頭蓋骨などにひどい傷を負ったとのこと。

ヘリコプターでSanta Rosaの病院に搬送されたものの、その後の状況は不明です。無事に回復することを祈念いたします。

Hirsch Vineyardsについては「Hirsch Vineyards: Sonoma Coastのパイオニア」をご参考に。また、娘のJasmine Hirschはバランス追求派(IPOB)の発起人の一人としても知られています。
Date: 2014/0512 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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3月末にネッド・グッドウィンの記事を紹介し、先日はそれへの反論の記事を載せました。

どちらも日本のワイン・シーンについての記事でしたが、ではこのサイトのテーマであるカリフォルニアワインにとって日本のワイン・シーンは今どうなのでしょうか。

私のような積極的なカリフォルニアワインファンにとっては、今の状況はサイトを始めた十数年前と比べてずいぶん良くなっているように思います。輸入されるワインは多様になっていますし、ネットショッピングの普及で、それらを見つけたり買ったりするのも難しくなくなりました。価格的にも、かつてのように1ドル換算で200円や300円にもなるようなワインはほとんどなくなったように思います。

ただ、カリフォルニアワインのファン層が広がっているかというと、あまり変わっていないような気がします。私のような積極的にカリフォルニアワインを選んで飲むファンと、スーパーなどで安価なラベルの1つとしてたまにカリフォルニアワインを飲むような人の層は存在しています。しかし、その間の、いろいろなワインが好きでその1つとしてカリフォルニアワインも飲むといった人はあまりいないような気がしています。

このサイトを見る人も、おそらくマニア層に偏っているため、マニアックなワインの紹介の方が安旨的なワインの紹介よりも受ける傾向があります。

もっと安ワインだけでないカリフォルニアワインをカジュアルに飲む層、つまりカリフォルニアワインについて詳しくはないけど、少しは知っているよ、といった人が増えてほしいと思っています。

そのために自分が何がすべきか、何ができるか考えています。

以前から考えている案の1つは、電子書籍で出しているワイン本の入門的なものを作ることです。電子書籍を買う人がどのような層かは分からないのですが、なんとなく、普段このサイトを見ているマニアの人よりもカジュアルな人が中心な感じがします。

今出しているものは内容がかなり詳しいですし、価格も電子書籍としてはそれほど安くないです。もっと、多くの人が手に取れるようなものを作れば、少しは普及に役立つのではないかと思っています。

もう1つは、日本に輸入されているカリフォルニアワインをもっといろいろ紹介できないかということです。カリフォルニアワインのインポーターは相当あります。私が知らないところも多いと思います。それぞれ、いろいろな思いを載せてワインを輸入しているのでしょうが、その思いを伝えるような記事が書けないかと考えています。具体的にはインポーターに、イチオシのワインやワイナリを聞くようなインタビュー記事はどうかと思っています。

今回は、この後者の記事について、皆様の意見も聞いてみたいと思っています。
お手数ですが、下のリンクからご回答いただけますでしょうか。
インポーター記事につてのアンケート
Date: 2014/0511 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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日本が唯一のマスター・オブ・ワインを失ったわけという記事を掲載したのが3月末のこと。この記事への反論として、ジャンシス・ロビンソンのサイトにAlder Yarrow氏による記事が掲載されました(An American perspective on Japan | Tasting Notes & Wine Reviews from Jancis Robinson)。

AlderとJancisから許可をいただきましたので、この記事についても訳を掲載させていただきます。なお、Alderは著名なワインブログVinographyの作者。Jancisのサイトでもレギュラーのライターとして活躍しています。

通常はAlderの記事はJancisのサイトの有料会員だけが読めるようになっていますが、今回の記事はより多くの人に読んでほしいということで堀賢一さんがJancisに依頼して無料掲載していただいています。

個人的な感想としては、ネッド・グッドウィンの記事とは対照的に、この記事は日本、特に東京のワインシーンの最良の部分を切り取っている感じがあります。ワインを売る方の立場として全国のワインシーンと向き合ってきたネッドに対して、コンシューマとしていい部分を見てきたアルダーというところが記事の大きな違いを生んだように思いました。

ただ、どちらの記事が正しい、間違っているということではなく、さまざまな意見を持ち、それを表明し、議論をし、良い方向へと業界を変えていく、そういったプロセスが必要なのだろうと思います。ネッドが一番望んでいたことも、反応を得ることだったのではないかと、僕は想像しています。

また、いろいろな意見や議論が起こることを期待しています。

「あるアメリカ人による日本の見方」

2週間前、日本に戻る機会があった。そこは私が2001年に、約2年間の東京での滞在を終え、私の心の一部を残していったところだ。私の日本での滞在はほとんどがひたすら疲れ果てた日々であった。当時勤めていたコンサルティング会社の支社を立ち上げるのに週80時間も働いていたのだ。だが、仕事に追われながらも、そこの人々や文化、そしてもちろん食事に恋してしまったのだ。

なので、ネッド・グッドウィンの日本のワイン文化への別れと有罪宣告に近いような記事を興味深く読み、そして少なからずうろたえてしまったのだ。彼が描いたその国のワインとの関わりは私自身の経験とはマッチしていなかった。14年前の滞在、最近の滞在、どちらもだ。

私が2000年に東京に引っ越したのは気まぐれみたいなものだった。ちょうど彼女と別れたばかりであり、サンフランシスコに家を買って、ルームメイトを持つなんていうことは二度としないと固く誓ったところだった。家の鍵を受け取って2週間後、私が務めていたインターネットのコンサルティング会社が日本のオフィスの立ち上げを手伝う気はないかと聞いてきた。私が育てていた20個の蘭は数人の友人にもらわれていき、人生の中でも難しく誇りある人生の一章へと歩んでいったのだった。

東京における最初の経験はソフィア・コッポラの「ロスト・イン・トランスレーション」にそっくりそのまま描かれている。その町に初めて来た人が感じる非現実的な疎外感がとても美しく描写されているのだ。

最初の方向感覚の喪失の後、海外で新しい会社を立ち上げるという、ずっと避難訓練を続けているかのような日々に日常生活が急激に入ってきた。一息つけることはめったになかったが、お決まりの様相を示していた。朝寝坊をし、スーパーでステーキを買い、ワインのボトルを選び、『空飛ぶモンティ・パイソン』の完全版を見ながら長い時間をかけてランチを取るのだった。モンティ・パイソンはつかの間の笑いを得られるだけでなく、母国語の心地よい響きも与えてくれた。

売り出し中のワイン・ジークとして、日本のワイン・セレクションは多岐にわたっており、興味深いものであることが分かってきた。日本語の能力の限界で、どこまで深くそれを探ったかは分からないが、スーパーやワイン専門店の棚を何時間もかけて見て回ったり、顧客や海外から来る同僚をもてなすためのレストランでのワインリストを見たりしていた。

ネッド・グッドウィンがこの国に長く滞在するようになる3年前であったが、彼が描いたような高価なステータスの高いワインやひどいボルドーであふれているとは思えなかった。実際のところ、主要なデパートはボルドー1級のワインやシャンパーニュのプレステージ・キュベ、有名なブルゴーニュやトスカーナといったワインばかりのコーナーを持っている。私はもっと独立したワインショップでワインを買っていた。そこでは、ほとんど聞いたこともないワインのセレクションがあり、その大半はリーズナブルな価格で売られていた。ある、ひきこもりの週末のこと、「キュベ・ミティーク」を発見した。ラングドックの赤のブレンドで、生産者の協同組合「ヴァルドルビュー」が作っているワインだ。まさに安くて高品質なワインであり、グッドウィンが東京に欠けているものとして嘆いていたようなワインだ。

東京のレストランのワインリストではかなり良いカリフォルニアワインが載っていることにいつも驚かされた。2000年においてもフランス料理やイタリア料理の素晴らしいレストランのいくつかで、ナパのワインがわずかではあってもリストされていたし、ときにはソノマもあった。価格は天文学的であったし、ヴィンテージといった重要な情報が抜けていることも多かったのではあるが。

最近の東京への旅行では、多くのレストランが未だにワインリストにヴィンテージを載せていなかった。これは日本酒がヴィンテージを記載しないといった文化的な習慣に由来するのだろう。また、多くのレストランは国際化されたワインの世界の要素を入れようとチャレンジしていた。しかし、一番驚いたのはワインが東京の食事にとても浸透してきていることだった。以前よりも遥かに多くのところでワインは供されていた。米国や欧州の高級レストランでの食事で期待するのと同じくらいのレベルで提供されることもときにはあった。

東京にあるいくつかのミシュラン星付きのレストランではワインリストは素晴らしいだけでなく、並外れてもいた。ある三つ星の懐石料理の店の“泡”のリストは、ほとんどのサンフランシスコの泡のリストを恥じ入らせるレベルだ。ジャック・セロスの「イニシャル」の価格は米国の小売価格の2倍に収まっており、米国のレストランのワインリストで一番安かったものより30%も下だった。同じ料理屋でKrugのグラン・キュヴェサンフランシスコの小売価格の一番安いものと比べてわずか1.25倍の値付けだった。

一番のワインリストはプレステージなワインでいっぱいのものだろうか? 確かに東京の高級レストランでボルドー1級やルーミエ、サッシカイアといったワインが彩っているのを見るのは珍しくない。しかし、いくつかのレストランのワイン・リストは並外れて多様であり、よく選ばれている。サンフランシスコのレストランでソノマのKalin Cellarsのセミヨンを持っているところは2、3しかないだろう。しかし東京のある懐石料理屋ではリストに載っていた。その隣りに書かれていたのはメンドシーノのKnez、VenetoからのZenato Luganaといった具合である。別のレストランではクロ・ルジャールのル・ブールをグラスで注文できた。米国ではそんなレストランは見たことがないのに。

おそらく、私が訪れたトップ・レストランのワインリストの中で最も印象的だったのは日本のワインの在庫が豊富だったことだ。私が日本に住んでいたころはまだほとんど存在していないも同然だったのに。日本国産のワインは評論家に高く評価されているとは言いがたいが、東京の多くのシェフからは大いなるサポートを受けている。

銀座小十は専門のソムリエを置いている唯一のレストランだった。そのソムリエはブドウの房の形の襟ピンを付けており、とても多様なワインリストを備えていた。私はいくつかの素晴らしいレストランで食事をしたとき、グッドウィン氏が日本のワインサービスで共通だとしたようなごまかしは全く見当たらなかった。(訳者注:元記事のどの部分を指しているのかははっきりしません。「グラスワインを飲んだお客さんに2杯めを勧めなかったり、空のグラスを埋めたりしないことは日本の「独自性」だと言われました。同じように最初のボトルを空けてしまったグループに次の1本を勧めなかったり、お客さんが選んだワインよりちょっとお金を出せばずっといい品質のワインが買えることを勧めなかったりするのも、同じような文化によるものです。」という部分かなあと思いました)

日本におけるワインショップの数は私が住んでいたころから爆発的に増えたように思われる。かつてよく通った道を徘徊してみると、ワインとウイスキーを売っている店を次から次へと見つけた。その大部分は庶民的な最後に何か一本を掴んで買うような買い物客よりも真面目なワインファンを狙っているように思えた。すべてをスペインのワインに専念している巨大なワインストアとバーにさえ出くわした。実際に訪問したことはないが、東京には現在自然派やビオディナミのワイン専門店があると聞いてびっくりした。その1つは6年間も成功裏に営業を続けているという。

日本のワインシーンの発展を考えてみると、私はその進化に大得意になっていることに気付いた。そして、グッドウィンが彼のこの業界の見方に他の要素で色目をつけたことに疑問を持ってしまうのだ。

別の視点として、私は友人のワインライターW Blake Grayに連絡を取った。彼も日本に住んでいたことがあり、定期的に戻ってもいる。彼からのメールには次のように書かれていた。

「私が日本に住んでいたのはグッドウィン氏よりも前のことです。私が着いたころは多くのレストランでは赤ワインを冷蔵庫に入れていました。グラスワインを提供するところはほとんどなく、あったとしてもスーパーマーケットで売っている一番下のワインを非常識な値段で売るようなものでした。私がいた間の日本におけるワインの理解の浸透はめざましく、実際のところ私の初期のイタリアワインへの傾倒は近所のレストランの非常に詳しい日本人ソムリエのおかげでした。私が戻って彼に会い、今はワインについてプロとして記事を書いていることを見せると、彼は涙を流して喜び、一緒に素晴らしいバローロを飲んだのでした。日本はワインの国際都市としてはニューヨークやサンフランシスコからまだ遅れを取っています。しかし、昨年12月にはカラオケボックスで、なかなかよりトスカーナのサンジョベーゼを飲んだのでした。」

日本のプライベートなカラオケルームを知らない人向けに付け加えると、伝統的にこれらの店の食事や飲み物は、あなたの知っているトップレスバーの悲惨な水準よりちょっとましといったところなのだ。

東京のいたるところで、私は人々がワインを飲むのを見た。若い女性が白ワインやロゼのグラスを銀座近くのカフェで飲んでいたり、若い女性を侍らせた年取ったビジネスマンが懐石料理の店で高価なボルドーを偉そうに注文していたり、スーツに身を固めた疲れた様子の女性が食品スーパーに突進していくつかの惣菜とボトルを手にして電車に乗り込むのを見たりした。

別の言葉で言うと、言語や食事、風景といった明らかな違いはあるにしても東京はまたワイン飲みにとってのもう1つの町なのである。詳しく見ていけばワインマーケットや文化はまだ至らないところがあるが、ここ数年、一人あたりのワイン消費は年率62%と急上昇している。この統計は、勇気づけられるものと解釈するしかないだろう。(訳者注:数字の根拠は調べていません。グッドウィン氏の記事では消費は増えていないとありました。この違いは気になるところです)

私自身の経験から見ても、日本は外国人が生活するのに信じられないほど難しく、ときには腹立たしい面もある。グッドウィン氏の日本における長い在住や彼の言語の流暢なことを軽視するつもりはない。明らかに、彼は日本で家庭やキャリアを築く上での数多くの挑戦に立ち向かい、おそらく打ち勝ってきたのだろう。しかし、私はこの国のワインシーンについての彼の悲観主義には同意できないのだ。

日本は今現在は唯一のマスター・オブ・ワインを失ってしまったかもしれないが、不在期間は長くはないだろうと予想している。東京では使われていない場所が1シーズン以上残ることはめったにないのだ。

Date: 2014/0507 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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コッポラがアルコール度数の低いワインのシリーズを始めました(Coppola launches lower alcohol wine)。

Giaというこのライン、映画監督のフランシスコ・フォード・コッポラ監督からすると孫娘にあたるGia Coppoplaにちなんで付けられたといいます。

アルコール度数は11.5%。Frizzante、ピノ・ノワール、ピノ・グリの3種類がラインナップされています。
Date: 2014/0504 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマのペタルマ・ギャップがAVA化に向けて動き出したという記事が出ていました(Petaluma360.com | Petaluma Argus-Courier | Petaluma, CA)。

ペタルマ・ギャップ(Petaluma Gap)は、ソノマの南西部。グリーン・ヴァレーの南、ソノマ・ヴァレーの西で太平洋からの風がサン・パブロ湾に抜ける通り道になっています。現在はソノマ・コーストの一部に入っていますが、ソノマ・コーストは非常に広く、ソノマ・コーストと一口にくくるのが難しいという問題があります。

実際、ソノマ・コーストの北の方にはFort Ross SeaviewというサブAVAが既に認められています。こちらは標高が高く、海からの風で気温が低いものの、霧にはあまりかからないといった特徴があります。同じソノマ・コーストでもペタルマ・ギャップとは大きく異なっています。

ペタルマ・ギャップの方は、まだ「Petaluma Gap Winegrowers Alliance」でそういった動きを始めようかというレベルであり、実現への道のりは全く見えません。
Date: 2014/0502 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ファッション・ブランドのカルティエがナパのワイナリCarter Cellarsを提訴しました(Jewelry V. Wine: Cartier Sues Carter Cellars | News | News & Features | Wine Spectator)。

訴えの内容としては、Carterのロゴがカルティエのロゴによく似ているということ。既に何回か話し合いが行われ、現在は和解するか訴えを先に進めるか小休止の状況です。

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はたしてどうなるでしょう。