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Date: 2015/0831 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ベッドロック(Bedrock)のモーガン・トウェイン・ピーターソンによる、畑や収穫風景の写真です。いずれもインスタグラムから。

テルデスキ・ランチの畑。日本にも輸入されているロレンツォ・ヘリテージがここのブドウで作られています。



アマドール郡にあるイソーラ・ヴィンヤードのジンファンデル。糖度は24度にも達しています。



モーガンが一番好きな樹の1つだというもの。エヴァンゲロ(Evangelho)の畑にある自根のマタロ。砂地で、根本あたりの砂が風で吹き飛ばされてしまっています。



ベッドロック・ヴィンヤードの古木から収穫されたもの。多品種が混じっています。


Date: 2015/0830 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Advocate誌の220号が発表されています。カリフォルニア関連では例年通りのジェブ・ダナックによるセントラル・コースト特集が掲載されていますが、今回はパソ・ロブレスとサンタ・バーバラに分かれています。また、それ以外にロバート・パーカーが、マーカッサン、リチャード・アローウッド50周年、25ドル以下のカリフォルニアワイン、ハンドレッド・エーカー、パラッツォと5種類の記事を書いています。

セントラル・コーストは、好ヴィンテージの2013年のワインが中心です。700本近いワインが掲載されているサンタ・バーバラではポール・ラトーのワインに軒並み高評価が付いているほか、カレラ、ブリュワー・クリフトンなどが高く評価されています。

ポール・ラトーはピノ・ノワールのシービスケット・ゾトヴィッチ・ヴィンヤードとソロモン・ヒルズ・ヴィンヤード・スエルテ、シャルドネのイースト・オブ・エデン・ピゾーニ・ヴィンヤードが97点など、95点以上が12種という高評価でした。ピノ・ノワールの「心」は94点。シャルドネの「心」は残念ながらレビューなしです。

なぜかサンタ・バーバラに入っているカレラはピノ・ノワールの単一畑が2012年、その他は2013年のレビューです。ピノ・ノワールではセレックが98点、ジェンセン、ミルズが96点、ド・ヴィリエが95点、ライアンが94点、リードが91点。セントラル・コーストのピノ・ノワールは91点、シャルドネは90点とこちらも安定しています。単一畑のシャルドネも95点と高評価。

ブリュワー・クリフトンではシャルドネのAcin(エイチン?)とピノ・ノワールのハプグッドが96点など。

スクリーミング・イーグルのオーナーが作るワインとして注目されているホナタ(Jonata)、ヒルト(Hilt)では、ヒルトのピノ・ノワール・オールド・ガード2013が93+、同ヴァンガードが91+。ホナタのシラーを中心としたラ・サングレ・デ・ホナタ2012が97点、カベルネ・フランを中心としたエル・アルマ・デ・ホナタが96+など。

また、シャトー・イガイタカハの侍シャルドネに92点、ピノ・ノワールの園にも92点といういい評価が出ています。アルコール度数が16%を超えることから、近年の軽い味わいを求める人には合わないかもしれないという点が指摘されていますが、どちらもフルフレーバーで快楽主義的に美味しいワインであると書かれています。
Date: 2015/0830 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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本ブログでも数回にわたって紹介した、ボニー・ドゥーンのランドール・グラームによる1万種のブドウを作るプロジェクト「ポープルシューム」のクラウド・ファンディングによる出資募集が終了しました。

残り56時間で目標の6割程度と、厳しい状況かと思ったのですが、1日締め切りを延長したこともあり最終日に出資目標を達成。15万ドルの目標のところ16万3792ドルの出資となっています(まだ終了まで時間があるので、もっと増える可能性があります)。

微力ではありますが、私も出資したので、今後のプロジェクトの進行を楽しみにしたいと思います。

Date: 2015/0829 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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江戸時代末期、薩摩藩から留学生として英国に渡り、その後米国東海岸を経てソノマのサンタ・ローザで「ファウンテングローブ」という一大農園を築いたのが長沢鼎です。今年は長沢らが英国に渡ってからちょうど150年。テレビ番組「知恵泉」でも取り上げられました。

その「知恵泉」にも出演されていた『長沢鼎 ブドウ王になったラスト・サムライ』の著者である多胡吉郎さんのセミナーに参加しました。主催は長沢の名前が付いたワインを販売する布袋ワインです。

「ブドウ王」と呼ばれた長沢ですが、「~~王」と呼ばれるには、その分野でただ優れているだけでなく、リーズナブルな価格で優れた製品を出す必要があると多胡さんは説明します。

実際、長沢のワインはさまざまなコンテストで賞を取ったばかりでなく、日本や欧州にまで輸出されていきました。欧州に輸出したカリフォルニアワインとしては最初のものだったと言います。

長沢の生涯については、書籍を読んでいただきたいのでここでは割愛しますが、セミナーではこの書籍の執筆秘話も紹介され、非常に興味深いものがありました。

この本は「ファクション」と言われるような、事実をベースにしながら一部脚色を加えて小説仕立てで書かれています。完全にファクトだけで書かれたノンフィクションよりも、読みやすいのが特徴です。

半面、どこまでが本当でどこからが脚色だかわかりにくいところもあるのですが、本書では少なくともファクトに反するような脚色は入れていないとのことです。

生涯結婚しなかった長沢ですが、本書では一部恋愛感情的な描かれ方をしている部分もあります。もちろん証拠があるわけではないのですが、当時の長沢の状況や書き残したものなどから判断して、そういった描写を加えたそうです。

また、セミナー中に布袋ワインが輸入する「パラダイス・リッジ カナエ・ザ・グレープ・キング シャルドネ」の試飲もありました。

ラベルには長沢の写真が、裏ラベルには簡単に長沢の生涯が書かれています。
Kanaye The Grape King Chardonnay

image

ほどよい酸味と適度な樽香があり、とても飲みやすいワインでした。

ファウンテングローブの建物で唯一現存している「ラウンド・バーン」です。

Fountaingrove Round Barn.jpg
"Fountaingrove Round Barn" by Frank Schulenburg - Own work. Licensed under CC BY-SA 3.0 via Commons.



長沢は1933年に禁酒法が開けた後、わずか数ヶ月でこの世を去りました。その後は、第二次世界大戦に伴う日本人排斥もあり、ファウンテングローブは解体してしまいました。残念なことです。

多胡吉郎さん


Date: 2015/0828 Category: 業界ニュース
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ナパの人気ワイナリーであるファー・ニエンテ(Far Niente)が姉妹ワイナリーとして「ベラ・ユニオン(Bella Union)」を設立しました(Napa Valley’s Far Niente Introduces Bella Union Winery | Business Wire)。

ベラ・ユニオン

ベラ・ユニオンはナパのラザフォードにある著名畑ベラ・オークスの隣に位置し、そこに25エーカーのカベルネ・ソーヴィニヨンの畑を持っています。ただ、ワインはここのブドウだけでなくハウエル・マウンテン、スタッグス・リープ・ディストリクト、セントヘレナのブドウもブレンドして作られています。

ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンのみ。2012年が最初のヴィンテージです。

ファー・ニエンテの姉妹ワイナリーはほかに、単一畑にこだわるニッケル&ニッケル、貴腐ワインのドルチェ、ルシアン・リバー・ヴァレーでピノ・ノワールを作るアンルートがあります。
Date: 2015/0827 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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EJガロがサンタルシアハイランズにある人気ワイナリー、タルボットを買収すると発表しました(E. & J. Gallo Announces Purchase of Talbott Vineyards)。買収金額は明らかにしていません。

タルボットは1982年にカーメル・ヴァレーで設立されたワイナリー。1990年にサンタルシアハイランズに移転しました。1994年に買ったスリーピーホローの畑はセントラルコーストを代表する畑の1つ。ここのシャルドネで世界一の称号を受けたこともあります。また、ローガン、カーリーハートといった人気ブランドも持っています。

今回、ガロに売却した理由は明らかにしていませんが、世代交代的な何かだったのでしょうか。

ガロは近年プレミアムなワインにも力を入れており、今年は既にソノマのJを買収しています。
Date: 2015/0827 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日、ワイントレインで黒人女性のグループが途中で下車させられる事件がありました。その件で続報です(Napa Valley wine train ))。

ワイントレインのCEOが100%ワイントレイン側が悪いと謝罪しています。

シチュエーションからすると、そう持っていくしかないのでしょうね。危機管理のコンサルタントに対応を依頼したそうです。ドラマでやっている「リスクの神様」を地で行くような話ですね。
Date: 2015/0826 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ボニー・ドゥーン(Bonny Doon)のランドール・グラーム(Randall Grahm)が取り組む、1万種もの新しいブドウ品種を開発する野心的なプロジェクトの出資締め切りがあと56時間になっています。

randall grahm

このプロジェクトについては既に「1万種の品種を作るランドール・グラームの壮大なプロジェクト、クラウド・ファンディングで出資者募集中、あなたの名前がブドウに付けられる」という記事で紹介しています。ただ、現在ノ出資額は約8万ドルと、目標の15万ドルには届きそうにありません。

15万ドルに満たない場合もプロジェクトは引き続き行われますが、作る品種の数が減るなどの変更が余儀なくされるおそれもあるかもしれません。

ぜひ、あなたもこの「ポープルシューム」プロジェクトにご協力ください。出資額は最低25ドルから。新たに、59ドル出資でこの畑からの最初のヴィンテージのワインをもらえたり、135ドルで最初のヴィンテージのマグナムと、ブドウの命名権といったものがあります。あなたも夢を追いませんか?

プロジェクトは以下のリンクからご覧ください。出資もこちらから。
POPELOUCHUM VINEYARD: 10,000 GRAPES FOR A NEW WINE | Indiegogo
Date: 2015/0825 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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黒人女性のグループがナパのワイントレインにおいて、折り返しのセントヘレナで強制途中下車を命ぜれました(Removal of Wine Train passengers ignites social media storm)。不満に思ったグループのリーダーが顛末をソーシャルメディアに載せたことから、炎上事件に発展しています。

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事件が起こったのは8月22日。読書クラブの友人だという11人の黒人女性グループがナパのワイントレインに乗車しました。

ところが折り返しのセントヘレナ駅で、係員から下車するようにと申し渡されました。警察官も脇に待機していました。

All I have to say is I'm so HAPPY my mother Elaine Morris wasn't on this train cause we might be needing bail money right about now... #lovemymama #shelivesinme #sometimesshecomesout

Posted by Lisa Renee Johnson on 2015年8月22日


女性は非常に恥ずかしい思いをしたとしており、この処罰には人種的な差別も含まれているのでないかと感じ、ソーシャルメディアに投稿しました

女性側によると、確かに列車の中ではちょっと羽目をはずしたものの、周りから顰蹙を買うほどではなかったといいます。

一方、ワイントレイン側は、何人かの乗客からクレームが来て、途中下車を申し入れたとしています。また、警官が待機していたのは、途中下車のときに、事故などが起きないようにするためだとのこと。

ワイントレインはさらに失策を犯します。この女性のFacebookに自己正当化のコメントをスタッフがしてしまったのです。この投稿はすぐに削除されましたが、女性が「魚拓」を取っていたため、新たな炎上の火種となってしまいました。

Date: 2015/0824 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ブドウのコンディションを大事にするために、気温が低い夜に収穫をするワイナリーは珍しくありませんが、実際に夜の収穫を目にすることはめったにないですよね。

ソノマ・コーストのハーシュ・ヴィンヤーズ(Hirsch)での収穫風景をジャスミン・ハーシュさんがインスタグラムにアップしたものを紹介します。

ブドウの実を摘むピッカーは頭にヘッドライトをつけています。遠くから見るとホタルのようだとジャスミンさんは書いています。なかなか幻想的な写真です。

2枚めの写真は、実際に作業をしているところです。闇の中にヘッドライトの光が輝き、ピッカーたちのハサミの音が響きます。ときおり、歌うような声で、ピッカーたちが声を掛け合うとありますが、どういう感じなんでしょうね。

3枚めは収穫した実の選別をしているところでしょうか。ジャスミンさん、とっても楽しそうです。

The pickers look like fireflies, as they move down the vine rows in their headlamps. #nightpick

Jasmine Hirschさん(@jasminehirsch)が投稿した写真 -







Definitely having too much fun on the #nightpick! Thank you @carlomondavi @nate_christenson for the great photo!

Jasmine Hirschさん(@jasminehirsch)が投稿した写真 -



Date: 2015/0822 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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サンタ・リタ・ヒルズの人気ワイナリー「クロ・ペペ」(Clos Pepe)が操業を止めました。2014年のヴィンテージはまだ樽の中ですが、そのびん詰が終わって売り出した後は、ワイナリーはなくなります(Farewell to Clos Pepe)。

Rainfall, precious rainfall, at Clos Pepe!! Good thing I sacrificed that goat!

Wes Hagenさん(@wes_hagen)が投稿した動画 -




理由は、創業者であるスティーブとケイシーのぺぺ夫妻が老齢で引退するため。畑はナパのホール(Hall)が作ったピノ・ノワール用のブランド「ウォルト」(Walt)に15年リースすることになっています。その後はもしかするとクロ・ペペ復活ということもあるかもしれません。

クロ・ペペの歴史は意外と新しく、1994年に土地を購入してブドウを植えました。サンタ・リタ・ヒルズでは9番目の畑でした。1998年に最初の収穫をして、畑を拡張。当初は他のワイナリーにブドウを売っていました。顧客の中にはオー・ボン・クリマ、シドゥーリ、ローリングなど著名なワイナリーが数多く含まれています。

2000年からは息子のウェス・ヘーガンがワインメーカーとなってワインを作ってきました。ウェスは様々な雑誌で表彰を受ける有力なワインメーカーになりました。

今後はウェス・ヘーガンはJ. Wikesというワイナリーでワインを作るとのことです。

また、ローリング、APヴァン、シドゥーリ、リキッド・ファームには今後もブドウを提供するとのことです。
Date: 2015/0821 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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少女時代の新曲「Lion Heart」のMVにワインが映っていました(下のビデオで2分15秒のところ)。


ちょっと気になったので、拡大してみました。
from Girl's Generation Lion Heart MV

すると、なんと一番下には「Santa Lucia Highlands」とあり、左上には「Pinot Noir」と書いてあります。

ただ、中央下にある「emos」というワイナリーは聞いたことがありません。

それで調べてみたところ、emosは少女時代や東方神起などが所属するSMエンターテインメントの創業者であるイ・スマン氏のプライベート・ラベルのようです。日本で言えばジャニー喜多川さんがワインを作る、みたいな感じでしょうか。

ナパのワインでemosブランドで販売しているものがあったり、以前はフランスのサン・テミリオンでワインを作ったという話も出てきました。カリフォルニアのテメキュラに畑を買ったというようなニュースもありました。サンタ・ルシア・ハイランズ関係のニュースはなかったので、どこかのワイナリーで作ってもらったのでしょうか。ちょっと気になります。
Date: 2015/0821 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ブドウの幹の病気が広がっています。下手をするとフィロキセラと同じくらいの影響を与えそうです(A Dire Threat to Grapevines and Wine | News | News & Features | Wine Spectator)。

代表的なのがエスカ(Esca)という病気。 ChlamydosporaとTogninia minimaという真菌によって引き起こされます。夏ごろに葉っぱに濃い赤や黄色の斑点が出るのが特徴だそうです。

試算によるとフランスでは畑の12%もがエスカなどの幹の病気に感染しており、毎年5〜6%が植え替える必要があるとか。年間10億ユーロに相当する影響を与えているというから、事態は深刻です。

カリフォルニアも例外ではなく、多かれ少なかれどの畑でも幹の病気は見つかるとのこと。

これらの病気が流行りだした原因はまだ明らかではないのですが、フランスの栽培者では、亜ヒ酸ナトリウムを使った農薬が2001年に禁止されたのが理由ではないかと考えている人が結構いるようです。

また、接ぎ木に使う「オメガ方式」(継いだ部分の形がΩ形になる)がよくないという説もあります。コストは安いのですが、幹の導管を壊してしまいがちだからだとのこと。

このほか、剪定の影響を示唆する人もいます。

ともかく、手をこまぬいていたら、フィロキセラの二の舞になりかねないとのことで、対策は待った無しの状況です。
Date: 2015/0819 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ハーシュ・ヴィンヤーズのジャスミン・ハーシュさんがインスタグラムに挙げていた写真を紹介します。

普通ワインメーカーが載せる写真はきれいに完熟したブドウばかりですが、そうでないブドウもあるのだよ、ということで3つのブドウの例です。




一番左は、一見なんでもなさそうですが、色が淡く未熟な果実です。このレベルのものは捨ててしまうしかないとのこと。

中央は、かなりしなびてきている様子。レーズン化が始まっています。選果時に弾くこともあるけど、入れてしまうこともあるとのことです。

右側は見るからに実の数が少ないです。春に天候が不順だと、開花が均一でなくこのようなブドウになってしまうそうです。

いくらカリフォルニアの条件が恵まれているからといっても、こういったブドウが全然できないわけではありません。
Date: 2015/0819 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ロシアの連邦消費者権利保護・福利監督局(Rospotrebnadzor)が、一部のカリフォルニアワインの販売を差し止めました(Russia suspends sale of three California wines)。

ナーリー・ヘッド(Gnarly Head)シャルドネ、ガイサー・ピーク(Geyser Peak)メルロー、およびクレーン・レイク(Crane Lake)モスカートが差し止められたワイン。理由は残留農薬が規定値を超えていたとのこと。

ただ、ロシアは政治的に敵対する国の製品販売を禁止してきた過去があり、今回もその1つではないかと見られています。ロシアと米国は昨年ウクライナ紛争が始まって以降、緊迫した関係が続いています。

ロシアは今月、グルジアワインについても安全性の基準に違反したとのことで、両国の輸入に関する合意を振り出しに戻すとしています。

おそロシア。
Date: 2015/0817 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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エル・ニーニョになりそうだという話は、これまで数回取り上げていますが、最近の観測にyると、観測史上最強のエル・ニーニョになる可能性があるとのことです。「ゴジラ」エル・ニーニョと呼ばれています。

8月5日の海水温
Courtesy NASA/JPL-Caltech

上の写真は8月5日における太平洋の海水温です。白や赤のところが水温が高い部分です。エル・ニーニョが大きな影響を及ぼした1998年の前年同時期の海水温は下の写真。

1997年8月21日の海水温

かなり似たような感じですが、今回の方が白い部分が広い模様です。

今回のエル・ニーニョは現在のところ1950年以降最強のものとなりそうだとのことです。

エル・ニーニョが発生すると、偏西風が強まり、通常メキシコや中央アメリカに雨をもたらす雲がカリフォルニアにまで到達するようになります。

旱魃に悩むカリフォルニアにとっては恵みの雨ですが、一方で、1998年のエル・ニーニョでは洪水や土砂災害で17人が亡くなるなど、災害のおそれも増えます。

どっちに振れても極端な天候になりそうな気配ではあります。
Date: 2015/0816 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマ州立大学の研究で、ノースコーストの住民にワイナリーについての評価をサーベイしたものが公表されています(Sonoma State survey finds wide support for North | The Press Democrat、元の研究発表はこちら(PDF

それによると、住民のうち46%がワイナリーに「非常に良い」と評価し、42%が「良い」と評価しているとのこと。合計で88%が肯定的な評価をしています。また、ワインビジネスが地元に良いイメージを与えているかどうかについても83%が肯定的な評価をしており、否定的な評価は2%にとどまっています。

ワインビジネスの影響
ワインビジネスによる雇用創世や経済活動にについてはナパでは76%、ソノマでは52%が重要だと考えています。

ただし、すべてが肯定的というわけではなく、例えば交通渋滞の原因になっているかどうかについては、ナパで63%がそう考えているといった結果も出ています。それにしても、経済活動のプラス効果を考えている人よりは少ないので、大問題とまでは言えないのではないかという印象です。

Date: 2015/0815 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワインボトルは750mlというのが常識ですが、消費者としてみれば、これが最適なパッケージングとは言えません。一人で1回に飲み切るには量が多すぎますし、残ったワインを数日で飲み切らないといけないのも不便です。

そこで米国のスタックテック社が考えた新しいボトルをウォルマートが採用、2014年11月に発売しました。人気レポーターのジュリアナ・ランシックとのコラボで「Xo, G」というのがブランド名です。人気は上々で、スタックテック社の売上は50%伸びているとのこと。

どんなボトルかは下の写真や動画をご覧ください。




Two for you, two for me! Now sharing a bottle of wine just got easier. What do you think of our mixed pack?!

Xo,G Wineさん(@xogwine)が投稿した写真 -






1つのボトルは通常の1/4の187ml。飛行機の中で飲むワインと同じ量です。これが4つ積み重なった形で販売されていて、それが9.97ドルです。

積み重なったボトルはプラスチックでラップされていますが、それをはずしてもボトルはつながったままです。ただ重ねているだけでなく、ロック機構があるため、それをはずさなければ崩れることはありません。

外したボトルは上のシールをはがして飲みます。

ワインのパッケージングとしては大いに「あり」ではないかと思います。飲む方にとっては1回分だけを開けられますし、ボトルもなかなかおしゃれな感じです。4つ積み重ねて販売や配送ができるので、従来のワインの売場にも置きやすいでしょう。もっと、高級なワインでも採用すると面白いのではないかと思います。

実際、スタックテック社は4ボトルで30ドルのElectric Sky Wineという新しいブランドも投入しています。

ワインを作る側にとっては、従来のボトルを変えるのは抵抗が大きいでしょうが、大きなブランドはもっといろいろなチャレンジをしてほしいですね。いつまでも750mlのボトルの時代ではないと思います。

例えばビールでも、昔は「大ビン」が当たり前でしたが、今はお店で見かけるくらいですよね。日本酒も一升瓶を見ることはだいぶ少なくなりました。ワインにももっと動きがあっていいでしょう。
Date: 2015/0814 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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第二のフィロキセラになるのではないかと恐れられたピアス氏病に、ついに特効薬ができるかもしれません。細菌に観戦するウイルス「ファージ」を使った対処法の実験が始まっています(Experimental Solution to Pierce's Disease)。

ピアス氏病は1990年代からカリフォルニアでも広がったブドウの病気で、ガラス羽シャープシューター(GWSS)という昆虫が媒介します。南カリフォルニアのテメキュラではこの病気のせいで、多くのブドウ畑が壊滅してしまいました。

Homalodisca vitripennis - Glassy-winged sharpshooter

この病気が恐ろしいのは感染したブドウを治す方法がないこと。これまではGWSSが広がらないように、苗木屋などで木を1本1本チェックしてGWSSの成虫や卵がないかどうかを調べることで感染の拡大を防いできました。

また、ピアス氏病に耐性を持つ接ぎ木用の根の開発も進んでいますが、まだ実験段階です。

今回の新たなアプローチはGWSSではなく、病気を起こす細菌そのものをなんとかしようというものです。

細菌に感染するウイルスを一般にファージ(正式にはバクテリオファージ)といいます。今回はピアス氏病を引き起こすファージを4種類使って細菌の活動を抑制させます。これまでの実験では、ピアス氏病に感染した木にこのファージを与えたところ、細菌の数は減ったそうです。

ルートストックやこういったアプローチがうまくいくことを期待します。
Date: 2015/0813 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日、「ロッキー・ファイアー」という山火事が起こったばかりのレイク郡で、新たな山火事「エルサレム」が起こりました(Jerusalem Fire in Lake County grows to 14,000 | The Press Democrat)。



今のところロッキー・ファイアーほどは大きくならなさそうですが、ナパにも近いところなので心配です。

旱魃が続いているので、今後も山火事には注意が必要になりそうです。
Date: 2015/0812 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ボニー・ドゥーン(Bonny Doon)のランドール・グラーム(Randall Grahm)が、1万種もの新しいブドウ品種を開発する野心的なプロジェクトに取り組んでいます。

randall grahm

このプロジェクトについては既に「1万種の品種を作るランドール・グラームの壮大なプロジェクト、クラウド・ファンディングで出資者募集中、あなたの名前がブドウに付けられる」という記事で紹介していますが、現在1カ月の出資募集期間のうち22日が過ぎました。ただ、出資額は6万275ドルと、目標の15万ドルの40%に現在のところとどまっています。

15万ドルに満たない場合もプロジェクトは引き続き行われますが、作る品種の数が減るなどの変更が余儀なくされるおそれもあるかもしれません。

ぜひ、あなたもこの「ポープルシューム」プロジェクトにご協力ください。出資額は最低25ドルから。100ドル出資すれば、自分が好きな名前を新しいぶどう品種に付けられます。

プロジェクトは以下のリンクからご覧ください。出資もこちらから。
POPELOUCHUM VINEYARD: 10,000 GRAPES FOR A NEW WINE | Indiegogo
Date: 2015/0810 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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バクテリアや菌類がテロワールに関係するかもしれないという研究が発表されています(Is Bacteria What Makes “Terroir” in Wine?)。

なんのこっちゃと思う人もいるでしょうから、元の論文も紹介しておきます(Microbial biogeography of wine grapes is conditioned by cultivar, vintage, and climate)。この論文ではワインのブドウに付いているバクテリアや菌類を調べています。付いているバクテリアの種類と、ブドウの種類やヴィンテージ、気候といったパラメータとの、関連を調べると、かなり関係している。つまり、テロワールの違いによってバクテリアのグループ化ができることがわかってきました。

現在のところ、これらのバクテリアがワインの味わいに影響していくのか、あるいは単にさまざまなパラメータの違いによって付いているバクテリアが違うだけなのかはわかっていません。今後の研究で明らかになってくるのかもしれません。
Date: 2015/0808 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2004年の映画「サイドウェイ」以来、不遇の時代を過ごしてきたメルローが、最近復活してきているそうです(Merlot’s Quiet Comeback)。

Duckhorn Vineyards

メルローが見直されているのは、高品質なものが増えてきているから。ダックホーン(Duckhorn)、トゥーミー(Twomey)、フランシスカン(Franciscan)、ルイス(Lewis)、パルメイヤー(Pahlmeyer)、シェーファー(Shafer)など、いずれもナパ産のメルローです。

メルローの復権は数字からも確認されており、2014年はワイン販売額の8.3%がメルローだったそうです。ピノ・ノワールは4.6%。

フランシスカンは、2013年のヴィンテージで初めてリザーブのメルローを作ります。主にレストランでの需要に向けてのものだそうです。また、以前記事に書きましたが、ダックホーンはフラグシップのスリー・パームズ・ヴィンヤードを自社で買い取りました。このように高級メルローに力を入れる動きがあるようです。

メルロー生産者にとっては、この10年は辛い時期だったかもしれませんが、それまで増えていた品質の低いメルローが淘汰されたという点では、必要な痛みだったのかもしれませんね。
Date: 2015/0805 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパでは史上最早で収穫が始まった2015年ですが、ソノマでも7月29日には収穫が始まっています(Early grape harvest gets going in Sonoma County | The Press Democrat)。

先陣を切ったのはやはりスパークリングワイン用のブドウで、ロシアン・リバー・ヴァレーのVineyard Elevenが7月29日に収穫を始めています。翌日にはカーネロスのグロリア・フェラーも収穫を開始。8月3日にはドライ・クリーク・ヴァレーのAmistaがシャルドネの収穫を始めました。

既に、サンタ・リタ・ヒルズなどでも収穫が始まっており、今年はカリフォルニア全域で早い収穫となりそうです。品質的には問題なさそうな今年の状況です。

収穫の早さにはIPOBなど、軽いワインへの志向が強まっているトレンドも関係あるのでしょうか。ちょっとそんなことも想像しています。

ところで、昨日山火事の記事を書きましたが、ゼパルタス(Zepaltas)はレイク郡にソーヴィニヨン・ブランの畑を持っていて、影響が懸念されています。畑自体が火事にあわなくても、煙が立ち込めることによって、ワインにも煙のフレーバーが付いてしまうからです。数年前にはそれで、フィルタリングによって煙のフレーバーを除いたことがあったそうですが、今年はどうなるか。今は状況を見ているようです。

そういえば、マーカッサンも数年前に煙の影響でピノ・ノワールを作るのをやめたことがありました。
Date: 2015/0804 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアのレイク郡に昨週水曜日に発生した山火事「ロッキー・ファイア」が広がり続けています(Rocky Fire grows to 60,000 acres, flames just 12 percent contained - SFGate)。

California National Guard



避難した人も1万2000人を超えています。3000人近くの消防士が消火にあたっていますが、奥深いところで苦戦を続けているようです。

乾燥しているだけに、火を止めるのは大変そうです。
Date: 2015/0803 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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古いボトルだと、コルクがグズグズになっていて、スクリューを差し込んでも割れてしまってどうにもならないことがあります。

さて、そういうときにどうすればいいか。ニューヨークのミシュラン三ツ星レストラン「イレブン・マジソン・パーク」のソムリエは、ボトルの首を熱した鉄の輪で切り取るという荒業を紹介しています。

その後はガラスの屑が入らないよう、漏斗とペーパーフィルターを使って中身を濾してデキャンティング。

最後の最後の方法といった感じですね。


Date: 2015/0801 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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サター・ホーム(Sutter Home)でホワイト・ジンファンデルが生まれて今年で40年です(Forty Years and $6 Billion of White Zin - Wines & Vines - Wine Industry News Headlines)。

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サター・ホームのオーナーであるトリンチェロによると、これまでに販売したホワイト・ジンファンデルの総額は60億ドルにも達するとか。現在でも毎年300万~350万ケースものホワイト・ジンファンデルを売っているとのことです。

ホワイト・ジンファンデルの誕生は偶然によるものでした。発酵が途中で止まってしまい、ピンク色でほのかに甘いワインになってしまったのを、しょうがなくて売りだしてみたら大ヒットになったというエピソードが伝えられています。

ホワイト・ジンファンデルは、ジンファンデルに格下イメージを与えた点でマイナスもありますが、これが売れたおかげで、当時重要視されていなかったジンファンデルの畑が引き抜かれずに残ったというプラスの面もあります。そういう意味では感謝しないといけないですね。