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Date: 2016/0330 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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「クヴェ(Kuvée)」という、現在開発中のワインボトルがあります。無線LANに対応し、ワインを開栓後30日間フレッシュに保つといいます。クラウド・ファンディングのIndiegogoで現在出資を受付中。5万ドルの目標のところを6万7000ドル以上集めている有望な製品です。
Kuveeワインボトル
(写真はIndiegogoから)



ちょっとおもしろそうかなという気もするのですが、この製品についての記事を読むと、かなり不思議な製品であることがわかります(Kuvée is trying to reinvent wine with a ridiculous Wi-Fi bottle)。


ビデオや写真で分かるようにクヴェはタッチスクリーンが付いたカバーと、それに差し込むカートリッジから成ります。カバーにカートリッジを差し込むと、タッチスクリーンにラベルやその他のワインの情報が表示されます。カートリッジ中のワインの残量もわかります。カバーは無線LANを経由してインターネットに接続でき、そこからカートリッジを注文できます。

カートリッジの内側はフレキシブルな袋状になっているようです。カートリッジの口は普段は閉じており、それでワインが酸素に触れるのを防いでいるようです。

何が奇妙かというと、まず大したメリットがないことです。30日ワインが持つのはいいですが、それだけなら既にCoravinがあります(「一度開けたワインを何年間もフレッシュに保つ革命的な新製品「Coravin」が登場」を参照)。Coravinなら普通のワインボトルで対応できますし、30日どころではなく数年単位でワインがもちます。

タッチスクリーンにワインの情報が表示されるのも、ラベルが貼ってあればそれを見るので十分だし、そこからワインが注文できなくてもなんら困ることはありません。

一方、金属製のカートリッジにワインが入っているので、どれくらい飲んだのかわかりにくいという問題があります。残量を表示する機能はありますが、正確ではなくあくまで概算で出すだけです。何よりも専用のカートリッジを買わないといけないというのが面倒です。

さらに、タッチスクリーンは結構な電池を消費するので、コンスタントに充電しないといけません。それも6時間くらいしか持たないというのですから、ほとんどずっと充電してつかうようなことになります。

メリットに比べてデメリットの方がかなり多いので、どうしてこれほど出資があるのか不思議な感じがします。
Date: 2016/0329 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワシントン州のワラワラでVital Winesというワイナリーが立ち上がりました。このワイナリーはノンプロフィットで、利益はブドウ畑の作業員たちのヘルスケアに使われます(Non-profit Winery to Fund Workers)。

ブドウ畑の作業員の多くはメキシコなどからの出稼ぎです。ブドウ畑では、刃物による傷を負ったり、ガラガラヘビの被害にあうこともありますが、ヘルスケアは十分とはいえません。ただ、ワラワラには既に、このような人たちでも治療を受けられる「SOS Health Services」というサービスがあり、今回のワインによる収益はそこに寄付されます。

ワインを作るためのブドウや、さまざまな道具、コルクやラベルといったものはすべて寄付でまかなっています。

このような試みがうまく働くといいですね。
Date: 2016/0328 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2013年にアラウホ夫妻が自身の名の付いたワイナリーを売却したときは、かなり驚きました(参考:シャトー・ラトゥールのオーナー会社がアラウホを買収)。

この記事の最後に、今後は別のところに畑を買って余生を過ごしたいとしていると書いていますが、その新しいプロジェクトが明らかになりました(Anson on Thursday: What the Araujo family did next after selling to Latour owner)。

新しいワイナリーの名前は「Accendo Cellars(アクセンド・セラーズ)」。ソーヴィニヨン・ブランが既に50ドルで発売されており、2016年秋にはカベルネ・ソーヴィニヨンもリリースする予定です。

Accendo Sauvignon Blanc

新しい畑はナパのヴァレー・フロアでシルバラード・トレイルの近くにあるそうです。ただ、今回は自社畑だけでなく購入した複数の畑のブドウをブレンドしてワインを作ることを中心としています。1950年代から60年代ころのイングルヌックやモンダヴィなどのワイン作りに倣いたいとのこと。

なお、ワインメーカーのフランソワーズ・ピションや、コンサルタントのミシェル・ローラン、ヴィンヤード・マネージャーのスティーブ・マサイアソンといったメンバーはアラウホ時代と変わっていません。バイオダイナミクスによる栽培を取り入れていることなども同様。

2016年デビューのワインの中では最も注目されるものの1つとなりそうです。
Date: 2016/0326 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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1年前に「ワインに水道水の許容量の4倍~5倍ものヒ素が含まれていると集団訴訟」という話がありました。

なんだか胡散臭い話だなあと思って見ていると、「「ワインに水道水許容量を超えるヒ素」の件でWine Instituteが声明」とのことで、実際には各国の基準を下回っているとのこと。

それっきり、この話は忘れていたのですが「Lawyers to Fight Dismissal of Arsenic Lawsuit - Wines & Vines」という記事が出ていました。

結局は提訴したものの、裁判官が却下してしまったとのこと。

まだ、上告する可能性はありますが、まず問題はないでしょう。
Date: 2016/0325 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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イタリアのグアラ・クロージャーズ(Guala Closures)はオーストリアのオーセンティック・ヴィジョン(Authentic Vision)社と共同で、偽造を防ぐ技術を入れた栓(クロージャー)を開発したと発表しました(GualaClosures Group — GUALA CLOSURES GROUP PARTNERS WITH AUTHENTIC VISION FOR ‘SMART’ NEW ANTI-COUNTERFEITING CLOSURE SOLUTION)。

Guala Closures

グアラは、一度開けたら元に戻せないような栓の技術を持っており、その栓にオーセンティック・ヴィジョンのタグを埋め込むことで偽造を防ぐそうです。

また、このタグをスマートフォンから読み取ることで、消費者はそのボトルの中身についての情報を調べられるようになっています。

さらには、かかるコストもこれまでとほとんど変わらないとのことで、今後の普及が期待されます。
Date: 2016/0324 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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世界で最も哀れなブドウの種類ってなんだと思いますか? W.ブレイク・グレイ氏によると「Colorino(コロリーノ)」というブドウだとのことです(The world’s most pathetic wine grape)。

このコロリーノ、イタリアのキャンティで使われているブドウです。とはいってもメインのブドウではありません。キャンティはサンジョベーゼを主体としたワイン。コロリーノは主に赤みを付けるために使われています。「フレーバーは?」、と問われると、生産者でさえ困ってしまうほど。

しかし、このブドウにとってはさらに不幸な転機が訪れます。2006年に、キャンティに白ワイン用の品種を加えることが禁止されたのです。

コロリーノの唯一のメリットは赤い色であり、キャンティやキャンティ・クラシコに白ワイン用のブドウを加えることが認められていたときには、色付け用としての意味を持っていました。

いまやその役割さえも奪われてしまい、存在意義を失いかけています。
Date: 2016/0323 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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サンフランシスコの東側に位置するマリン・カウンティにおけるワインのパイオニアであり、ナパのテキストブック(Textbook)などのブランドを持つペイ夫妻の妻スーザン・ペイが亡くなりました(Marin winemaking pioneer Susan Pey dies at 52)。

まだ52歳という若さ。乳がんだったそうです。

Scenic Root Winegrowersというサイトによると、マリン・カウンティの「Pey-Marin」、ナパの「Textbook」、ソノマ・コーストの「Spicerack」、そして「The Forager」というブランドを手がけていたようです。

このうちテキストブックは国内にも輸入されています。以前試飲したカベルネ・ソーヴィニヨンはまさにテキストブック的な完成度の高いワイン。ナパのワインとしては価格も安めであり、コスト・パフォーマンスが高いワインでした。

ご冥福をお祈りします。

Date: 2016/0320 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国の世代別アルコール消費をまとめた記事が載っていました(Millennials Catch Boomers in Wine Consumption - Wines & Vines)。
世代別ワイン消費
それによると、21歳~38歳のミレニアル世代が51歳~69歳のベイビー・ブーマーのワイン消費を超えたとのこと。ベイビー・ブーマーのワイン消費はやや下り坂に入っており、ミレニアル世代の重要性はこれからさらに増していきそうです。また、今後は現在20歳以下の「i世代」が成人になるため、その世代の動向も重要になってきます。

ミレニアル世代は人口的にも7900万人と、ベイビー・ブーマーの7500万、ジェネレーションXの4900万人を上回っています。ただ、人口一人当たりのワイン消費で見ると、今はミレニアル世代とベイビー・ブーマーは同等ですが、逆転は目の前に来ています。

また、週に複数回ワインを飲むようなヘビー・ユーザーが増えている一方で、たまにしか飲まない人は、より飲まなくなってきているといった、格差の拡大も起こっているようです。

ワインを飲む人の56%は女性で、ミレニアル世代のヘビー・ドリンカーで見ると66%とさらに比率は高まります。

ミレニアル世代にリーチするためにはSNSが重要になってきています。34%はFacebookを使っており、YouTubeユーザーやTwitterユーザーは19%。ワイン専用SNSのVivoやDelectableはまだ少なく前者は4%、後者は3%。InstagramとPinterestの重要性は若い世代で上がっています。

また、若い世代ほどカリフォルニアだけでなくいろいろな産地のワインを飲む傾向があります。

公開されているだけでもかなり興味深いレポートなので、フルのレポートを読めば米国のワインマーケットについて非常に勉強になると思います。

いつも思うことですが、日本ではこのレベルのリサーチはされているのでしょうか。サントリーなど大手のメーカーはやっているのかなあ、表に出ないだけで… やみくもに調査すればいいってものではないですが、根拠のある数字を知りたいものです。
Date: 2016/0319 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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リッジ(Ridge)がオーガニックへの転換をゆっくりと進めています。オーガニックの認証を受け始めたのは2008年ですが、そこまで5年間オーガニックでの栽培を行っており、それ以前は10年間かけて持続的な栽培を実践していました。

サンタ・クルーズ・マウンテンズにあるモンテ・ベッロの畑の場合、2010年にはオーガニックの認証を受けた畑がゼロだったのに大して、2015年には73%に達しています。また、ソノマにある畑も2017年にはオーガニックの割合が86%に達するそうです

リッジのSCMの畑

一気に進まないのは、ワインの味への影響が出るのを避けるため。

現在のペースだと2018~2020年にすべてオーガニックになるそうです。
なんとなく、リッジらしい進め方ですね。
Date: 2016/0318 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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レストランでワインリストからワインを選ぶとき、何を選ぶのがいいでしょうか。一番安いもの?

一番安いワインは、実は一番割高なんてこともありえます。そこで、無難な選択肢として安い方から2番めのワインを選ぶのがいい、という法則ができてきました。これを「Second Cheapest Wine Principle」略して「SCWP」といいます。

この法則が本当に成り立っているのか、ニューヨークのレストランで調べた記事がありました(PUNCH | Testing Out the Second-Cheapest Wine Principle)。

結論からいうと、SCWPは多くのレストランで成り立っていました。

ただ、敵もさることながらで、ソムリエが飲んでもらいたいワインを2番めに持ってくるなんてこともあるようです。

そもそもこのSCWPルールがどれだけメジャーなのか分かりませんが、記事の書きっぷりでは、割と手広く使われていそうな感じでした。
Date: 2016/0315 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマのアレキサンダー・ヴァレーにあるジョーダン(Jordan)のブログに2016年冬の天候のレポートが載っていました(2016 Vintage Weather Report | Jordan Winery Sonoma County)。

エルニーニョで旱魃に一息、といったところではありますが、降水量は平年の84%。もちろんここ数年と比べれば全然マシですが、これでも平年以下か、というのはありますね。

ただし、Jordanでは水不足に備えてワイナリー内に自社の貯水池を2つ作っており、それらは2つとも満水になったとのこと。完全に安心とは言えないものの、まずは一安心の春になったようです。

2016年がいいシーズンになりますように。

The vines are soaking up this week's rainfall.

Jordan Wineryさん(@jordanwinery)が投稿した写真 -


Date: 2016/0313 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ(Stag's Leap Wine Cellars)がパリスの審判から今年で40周年になることを記念して、2013年のSLV(Stags Leap Vineyard)カベルネ・ソーヴィニヨンで、復刻ラベルを採用すると発表しました。

1973年SLV
画像はYoutubeから

また、3月1日から5月26日までは、パリスの審判に参加したナパのワイナリーによるパスポート・プログラムが開催されます。参加するのはスタッグス・リープ・ワイン・セラーズのほか、シャトー・モンテリーナ、フリーマーク・アビイ、スプリング・マウンテンヴィンヤード、クロ・デュ・ヴァル。参加費は200ドルで、これらのワイナリーで特別なテイスティングが可能だとのこと。

このほか、5月24日の10時~16時にはシャトー・モンテリーナと共同でオープンハウスを執り行います。

もう40年なのか、やっと40年なのか。確かにエポックメイキングなことではありましたが、そろそろカリフォルニア・ワインにとっても、パリスの審判以外での何かがほしい感じがします。
Date: 2016/0311 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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著名なワイン評論家のジェームス・サックリングが、2013年のナパのワインのトップ10を発表しています(Top Ten 2013 Napa Reds | Wine ratings, Wine reviews, Wine tasting notes & Wine videos)。

評価の非常に高いヴィンテージだけあって、トップ10のうち7本には100点を付けています。列記すると

Paul Hobbs Cabernet Sauvignon Beckstoffer To-Kalon
Dominus Estate
Opus One
Screaming Eagle
Dana Estates Cabernet Sauvignon Helms Vineyard
Harlan Estate
Realm Cellars Beckstoffer To-Kalon

また、99点のワインは
Continuum
Peter Michael Au Paradis
Bond Pluribus
の3本。

いずれ劣らぬ名ワインであり、ある意味面白みは全然ないのですが、この中でオーパス・ワンとドミナスが入っているのは、他のワインと生産量が全然違うことを考えると立派ですね。

なお、国内流通のヴィンテージで見ると、オーパス・ワンは2012年、ドミナスはまだ2010年です。2013年まではまだまだですが、また価格が上がってしまいそうです。

Date: 2016/0310 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine & Spirits誌は、もう27回目になる恒例のレストランにおけるワインの人気投票「Restaurant Poll」を実施しています。その、今年の結果からシャルドネの好みの傾向を考察した記事がありました(American Wine Drinkers Cut Back on Butter | Wine News & Features | Mobile)。

今年の人気ー位はCakebread(ケークブレッド)、二位はJordan(ジョーダン)で、どちらもコテコテ系ではない「フードフレンドリー」なシャルドネを得意としています。また、投票したソムリエの一人はは、「カリフォルニアのシャルドネはシャブリ的なスタイルになってきている」とコメントしています。

また、コテコテ系(元記事ではButtery)の代表格である、ロンバウアー(Rombauer)やソノマカトラー(Sonona-Cutrer)は近年ランクを大きく落としています。ロンバウアーは2011年までトップ5だったのが今年は47位、ソノマカトラーは昨年三位が今年は16位です。

また、高級系コテコテのキスラー(Kistler)も、昨年8位から25位に落ちています。ただし、キスラーについては「近年はコテコテ系から変わってきた」というコメントもあります。

シャルドネがレストランで一番人気なのは変わりませんがグラスではピノ・ノワールの人気も上がっています。

グラスワインの人気一位はメイオミ(Meiomi)。ケイマスの一族が作ったピノ・ノワール専業ワイナリーで、昨年巨額で売却して話題になりました。

メイオミはピノ・ノワールの中でも甘々系と言われていますが、そうでないワインも入っています。二位にはコパン(Copain)、四位タイにはサンディ(Sandhi)と、IPOBのワイナリー、しかもそれほど規模が大きくないところが入っています。

このように、アメリカ人のワインの好みの変化を表しているように見えるレストラン・ポールですが、気をつけなければいけないことがあります。

一つは調査の回収率。2952軒のレストランに依頼して、回答は250軒にとどまっています。ニューヨークやカリフォルニアといった「意識高い系」の比率が高くなっています。

もう一つは調査の回答は必ずしも実績に基づいていないこと。ソムリエが実際に売った数ではなく、何を売りたいかを表したものであることです。

なるほどなあ、といろいろ勉強になりました。
Date: 2016/0308 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Advocate誌の223号が発表されました。カリフォルニアでは「Focusing Primarily on Sonoma」というタイトルでロバート・パーカーがソノマのワインを中心にレビューしています。

最近では100点のワインが出るのが当たり前になってしまっていますが、今回も例外ではなく6本のワインに100点がついています。

そのうち3本はマーカッサン(Marcassin)。妥当なところですが、今回はシャルドネだけでなくついにピノ・ノワールでも満点が付きました。2014年のBessie’s Blockという非常に限定されたブロックのブドウを使ったワインのようです。シャルドネは2012年と2013年のMarcassin Vineyardが満点。

このほかポール・ホブズ(Paul Hobbs)が初の満点。ただし、ワインはソノマ産ではなくナパのベクストファー・トカロンとベクストファー・ドクター・クレーンの2本です。

残り1つの満点はスプリング・マウンテンのソノマ側に畑を持つヒドゥン・リッジ(Hidden Ridge)というワイナリー。「 2013 Cabernet Sauvignon Impassable Mountain Reserve」というワインです。「one of the most compelling and profound Cabernet Sauvignons I have ever tasted」ということでレビューの文章も、これ以上はないというほど褒め称えています。

ここは最大斜度55度という急斜面の畑でカベルネ・ソーヴィニヨンを作っています。ワインを作り始めたのは2003年からのようなので、まだ10年ちょっとの若いワイナリー。Wine Advocate誌でのレビューも2008ヴィンテージからとなっています。満点を取ったワインは定価125ドルですが、これですぐプレミアが付くでしょうね。まだリリースされていないようなので、今MLに申しこめばもしかしたらチャンスがあるかもしれません。55ドルのレギュラー版カベルネも97+という高得点。

このほかにも、高得点を取ったワイナリーで、あまり馴染みのないところがいろいろあります。

Bevan Cellars(ビーヴァン・セラーズ)は既にナパのワインで満点を取ったことがありますが、2010年のワインから急に高得点を取り出した、まだ新しいワイナリー。今回はシラーのMoaveni Vineyard 2013が99点。

Bevan CellarsのRussel Bevanがコンサルティング・ワインメーカーを務めるNine Sunsは今回が初登場で、ナパのプリチャード・ヒル産のカベルネ系のブレンドが98点。ワインはまだリリースされていないようです。

2013年のSyrah Obsidian Vineyardが99点を取ったDonelan Familyも2007ヴィンテージから掲載のワイナリー。

Jeff Cohn Cellarsはそれほど新しいワイナリーというわけではありませんが、これまではそれほどレイティングで目立つワイナリーではありませんでした。今回は2本のシラーが98点。どうも2013年のソノマのシラーはかなりいいようですね。

1998年以来16年ぶりに2014年のワインがレビューされたChase CellarsはEstate Reserveのジンファンデルが97点。ただ、ここは新参者でもなんでもなく、Turleyで有名なHayneの畑を持っているワイナリーだそうです。

発音が難しいワイナリーとして知られているGundlach Bundschu。正しくは「ガンロック・バンシュー」ですが、「グンドラック・ブーンドシュー」などと書かれているのを見たこともあります(参考:Gundlach Bundschu: 150年以上の歴史を持つカリフォルニア最古の家族経営ワイナリ)。

ここはカリフォルニアで2番めに古いワイナリーであり、一番古い家族経営のワイナリーなのですが、これまでワインの評価自体はそれほど高くありませんでした。それが今回2013年のメルローとプロプライエタリ・レッドで97点という高得点。ある意味、今回一番驚いたことでした。
ガンロック・バンシュー
Date: 2016/0303 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ジャン・シャルル・ボワセ(Jean-Charles Boisset=JCB)がナパのヨントヴィルに新しくテイスティング・サロンを開きました。その訪問記事が出ています(The Coolest New Destination in Napa Valley is in Yountville)。

JCBのワイナリーについては以前「JCBのワイナリーが興味深い」という記事でも書いていますが、ナパのRaymondやソノマのBuena Vistaといった買収したワイナリーで、非常に個性的で面白いツアーを開いています。

ヨントヴィルのサロンはJCBブランドで出ているワインの試飲用。テイスティング用のテーブルに液晶画面が仕込んであって、ワインの情報などを表示できるようになっています。

百聞は一見にしかずといいますが、ここだけは行ってみないとコメントできそうにありません。ともかく、ジャン・シャルル・ボワセが作るものだから、はずれはないでしょう。なお、彼は「平均的なことをやるのには興味が無い」と言っています。今後のさらなる展開に期待します。

サンフランシスコのサロン

なお、写真はサンフランシスコのサロン。中央の男性がJCBです。
どうも彼を見ていると、『チャーリーとチョコレート工場』のジョニー・デップを思ってしまいます(顔は似ていませんが)。ワイナリーやサロンの非現実的な風景がそう思わせるのかもしれません。

うーん、行ってみたいなあ。
Date: 2016/0302 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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レイヴンズウッドのジョエル・ピーターソンが新しいワイナリーを設立しました。名前はワンス&フューチャー(Once &Future)。この3月にジンファンデルとプチ・シラーをリリースします(Joel Peterson set the course for California Zin. Now he returns to his roots - San Francisco Chronicle)
ワンス&フューチャー
画像はホームページから。

レイヴンズウッドと言えば、リッジと並んでジンファンデルの古木からのワインを広めたパイオニア。「No Wimpy Wines」という標語でも知られているように、男性的な力強いワインを作っています。

とはいえ、実はレイヴンズウッドのオーナーは現在はConstellation Brands。元々の共同のオーナーが引退するときに、ジョエルにはそれを買うだけの資金がなく、権利を手放したのでした。

その後、ヴィントナーズ・ブレンドの成功でワイナリーの経営はよくなったのですが、やはりやりたいことが何でもできるわけではないのでしょう。

また、息子のモーガン・トゥエイン・ピーターソンのベッドロックが成功したことが、ジョエルの何かを炊きつけたのかもしれません。

このワイナリーのために、1980年代に使っていた大きなレッドウッドのタンクを引っ張り出してきたとのこと。昔のワイン作りに立ち返ってできた、そのワインはレイヴンズウッドと比べると、かなりデリケートな味わいのものになったようです。

ちなみにジンファンデルの畑はベッドロック(!!)、プチ・シラーはカリストガにある畑からだそうです。生産量はそれぞれ200ケース、270ケース。

なお、レイヴンズウッドを辞めたという話ではないはずです(多分)。

これは興味深いですね。息子のワインと飲み比べしてみたい。

それと、余談ですが、この記事書いているのは元クロニクルのライターのジョン・ボネですね。クロニクルに戻ったのでしょうか?