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Date: 2016/1130 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Spectator誌の年間トップ10の発表が始まっています。現在7位まで発表、7位にリッジのモンテベロ(モンテベッロ)カベルネ・ソーヴィニヨン2012が選ばれました(Wine No. 7 — Wine Spectator's Top 100 of 2016)。

モンテベロは40年前のパリ・テイスティングに出たワインの1つであり、その後の回顧テイスティングでも常に高く評価されているワイン。カリフォルニアワインの中では非常に欧州的な抑制された味わいを特徴としています。2012年のように温暖な年は、ときにやや固くなりすぎ(若いときは)と思われるモンテベロの中では比較的若い時期から飲みやすくなるようです。

世界最高のカベルネ・ソーヴィニヨンの1つと言っても過言ではないでしょう。スペクテーターの動画ではリッジのポール・ドレーパーを「もしナパにいたら一番有名なワインメーカーになっていただろう」としています。今年引退したポール・ドレーパーにとっても記念すべき年間7位になりそうです。


Date: 2016/1129 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワインセラーパリ16区で棚卸しセールの第3弾が始まっています。12月12日まで開催。

第3弾はカリフォルニアワインがたくさん。しかもシン・クア・ノンやデュモル、コングスガード、マーカッサンなど無茶苦茶レアなものばかりです。ワイナリーが、特別に作ったキュベを出品するプリミア・ナパ・ヴァレー・オークションものもいろいろあります。

一覧はこちらから

めぼしいものをいくつか挙げておきます。
ピゾーニの畑のシラーは極めてめずらしい


ハーランのオークションもの。しかもカベルネ・フラン

もちろんカベルネも




濃い系ジンファネルの雄


デュモルがこの値段
Date: 2016/1128 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ふるさと納税で、ワインをもらえる自治体はたくさんありますが、中にはカリフォルニアワインが含まれているところもあります。ここでは3つの自治体を紹介します。いずれもふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」に掲載されています。

◎千葉県館山市
館山市では、市の出身の元X Japan、Yoshikiさんにちなんで、Yoshikiさんの名を冠したワインを返礼品に入れています。そのワイン「Y by Yoshiki」は、マイケル・モンダヴィが作るカリフォルニアワインです。
Y by Yoshiki
・2万円で2008年の白ワインがもらえるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 千葉県館山市 - 【B04】 YOSHIKIワイン(白)(750ml)
・2万円で2008年の赤ワインがもらえるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 千葉県館山市 - 【B03】 YOSHIKIワイン(赤)(750ml)
・3万円で最新ヴィンテージの赤ワインがもらえるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 千葉県館山市 - 【C08】ふるさとチョイス、クレジット決済限定【数量限定】新作 YOSHIKIワイン Napa Valley 赤
・3万円で2008年の赤と白のセットがもらえるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 千葉県館山市 - 【C02】 YOSHIKIワイン(赤・白2本セット)
・5万円で最新ヴィンテージの赤と白のセットがもらえるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 千葉県館山市 - 【D09】ふるさとチョイス、クレジット決済限定【数量限定】新作 YOSHIKIワイン Napa Valley 赤・白2本セット

お薦めは3万円で最新ヴィンテージの赤ワインがもらえるものでしょうか。最新ヴィンテージの価格は税別で1万4800円ですから、還元率は約50%と高いです。

◎鹿児島県いちき串木野市
ここは、旧薩摩藩から英国への留学生を送り出した土地ということで、その留学生の一人だった「グレープ・キング」こと長沢鼎にちなんだカリフォルニアワインを返礼品に入れています。
・2万円で長沢鼎にちなんだシャルドネと、ハムやソーセージのセットがもれるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 鹿児島県いちき串木野市 - B-063 「カナエ・ザ・グレープキング」&ハム・ソーセージ・ベーコンセット

◎岡山県新庄村
ここは理由は不明ながら返礼品にカリフォルニアワインを入れています。
・3万円でニュートンのアンフィルタード2本(メルローとシャルドネ)がもらえるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 岡山県真庭郡新庄村 - 136.カルフォルニアワイン ニュートン・ヴィンヤード アンフィルタード赤・白2本セット
・1万2000円でコッポラのディレクターズ・カット・カベルネ・ソーヴィニヨンがもらえるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 岡山県真庭郡新庄村 - 131.カルフォルニアワイン コッポラ ディレクターズ・カット・カベルネソービニヨン
・1万3000円でダックホーンのピノ・ノワール「マイグレーション」がもらえるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 岡山県真庭郡新庄村 - 133.カルフォルニアワイン ダックホーン ピノ・ノワール・マイグレーション
・1万5000円で689(シックス・エイト・ナイン)の赤白セットがもらえるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 岡山県真庭郡新庄村 - 134.カルフォルニアワイン シックス・エイト・ナイン赤・白2本セット
・2万5000円でマウント・エデンのシャルドネがもらえるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 岡山県真庭郡新庄村 - 142.マウント・エデン・シャルドネ

個人的にお薦めはマウント・エデンのシャルドネですね。これは本当においしいですから。
Date: 2016/1126 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Enthusiastが2016年の年間トップ100のワインを発表しました。お買い得トップ100の「Best Buy」、長期保管向けの「Cellar Selection」、そして全体のトップ100です。

ベストバイでは33位にパルドゥッチのシャルドネ2014。バランスよい味わいだとのこと。


17位にはAtoZのリースリング。


11位にボーグルのプティ・シラー。


7位はワシントンの雄コロンビア・クレストのカベルネ。


セラー・セレクションに移ります。
日本に入っているのがヴィンテージ違いのものが結構あります。同じヴィンテージに限定すると
10位にシェイファーのカベルネ・ソーヴィニヨン ワン・ポイント・ファイブ2013
シェイファーのレギュラーのカベルネです。ヒルサイド・セレクトのセカンドという言い方もできるかも、と考えるとすごい順位。95点です。


8位はオレゴンのアイリーのシャルドネ。96点です。


全体のトップ100に移ります。
31位はドメーヌ・セリーヌのシャルドネ・エヴェンスタッド・リザーヴ2013。オレゴンが結構目立ちます。


28位はワシントンの注目ワイナリー「グラマシー」のシラー・ローワー・イースト2013。


9位はドメーヌ・エデンのピノ・ノワール2013。ドメーヌ・エデンはマウント・エデンの別畑によるワインですが、驚きの高評価です。95点。


1位はウェイフェアラーのシャルドネ2014です。日本には残念ながらまだ前ヴィンテージまでしか入っていません。以前紹介したパルメイヤーがソノマ・コーストに作った注目のワイナリーです。
Date: 2016/1125 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイン評論家のジェームズ・サックリングが2016年のナパのワインのトップ100を発表しています(The Top 100 Reds of Napa Valley 2016 - JamesSuckling.com)。

既に報じたように、2016年全体の1位にオーパス・ワン2013年が選ばれていますので、当然ナパの1位もオーパス・ワン2013。続いてドミナス2013、レアムのベクストファー・トカロン2013、ポールホブズのベクストファー・トカロン2013、コンティニューム2013とトップ5が続きます。

上位はいずれも高名なワインで、意外性はあまりありませんが、一番驚いたのが10位のワイン。なんとドミナスのセカンドワイン「ナパヌック」が入っているのです。ナパヌックはセカンドワインの中でも高く評価されている銘柄ではありますが、それにしてもハーランやコルギンなどを差し置いて10位というのは驚きです。

このほかには15位にケンゾー・エステートの藍2013が入っていたのもちょっとびっくり。これは大健闘といって良さそうです。

ヴィンテージ違いですが


こちらもヴィンテージ違いですが
Date: 2016/1124 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ドナルド・トランプ次期大統領の移民政策は畑の労働者を移民に頼るカリフォルニアのワイナリーにとって、大きな懸念となっていますが、同時に起こったあることが、もう一つの懸念になりそうです。

あることというのは娯楽用マリファナの解禁。大統領選当日の投票によって、カリフォルニアでも娯楽用のマリファナが解禁になりました。これによって、マリファナの栽培も増えることが予想されますが、畑の労働者をマリファナに取られる恐れが増してきたのです(Harvest Wars - Wines & Vines)。

マリファナの栽培が盛んなメンドシーノでは、既にこの問題は懸念を超えています。メンドシーノでブドウ畑を管理するVineard Logisticsという会社では、今年の8月中旬には収穫担当が22人いたのに、6週間後には8人にまで減ってしまいました。

それというのもマリファナの収穫時期はブドウと重なる上、マリファナの方が労働は楽で、給料もいいのだそうです。

マリファナはブドウと比べると収穫までの手間も少ないのですが、ちょうど人手が必要なときが、ブドウと重なってしまうのです。

ブドウの収穫を機械化できればいいのですが、メンドシーノのAnderson Valleyでは、それも難しいといいます。というのはAnderson Valleyでは多くの生産者がホール・クラスター(茎を取り除かない状態)でブドウの実を収穫したいと考えているのですが、機械では実だけを収穫していまうからです。

マリファナの栽培とは、水の取り合いといったコンフリクトもあり、これから先、ブドウ栽培のライバルになってくる場面が増えるのかもしれません。

Cannabis sativa
Date: 2016/1123 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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昨日のグラスに続いて泡モノの記事をもう1つ載せます。

Art of Champagne(アート オブ シャンパーニュ)」は、日本のトップソムリエ3人がプロデュースするシャンパーニュの頒布会。全7回(シャンパーニュ計9本)で、毎回映像作品とガイドブックが付属します。

映像作品のタイトルは以下の通り。
・第一回:プロローグ シャンパーニュの旅へようこそ
・第二回:アッサンブラージュの魔法
・第三回:樽の功罪
・第四回:熟成とドザージュの必要性
・第五回:有機的なアプローチ
・第六回:シャンパーニュテロワール
・第七回:エピローグ スペシャル・キュヴェ
ソムリエ3人
プロデュースするソムリエは大越基裕氏・千葉和外氏・林基就氏。大越さんと千葉さんはお会いしたことがありますが、どちらも素晴らしいソムリエです、なんて僕が言うのは失礼なくらいすごい人。

1月から配布開始で、1000名限定。毎月の価格は1万4800円とさすがの高さですが、シャンパーニュを極めたいなら安いくらいでしょう。

カリフォルニアワインは、多くの品種で世界のトップクラスのワインを作っていますが、泡に関してはシャンパーニュに一日の長があると、言われてますね。僕はそれでもカリフォルニアのスパークリングが好きですが、やはり極めるならシャンパーニュを知らないといけないのでしょうね。

20161122-artofchampagne2.jpg
Date: 2016/1122 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先週、東京で開かれたVINEXPOに行ってきました。カリフォルニアワインはほとんどなく、普段飲まない地域のワインをいろいろ試飲しましたが、リーデルのブースでちょっと面白い試飲をやっていました。
リーデルの試飲

同じシャンパーニュを、一つはリーデルのVinumシリーズのシャンパーニュ・グラス(写真左)で、もう一つは同じリーデルですが、新しいVeritasシリーズのシャンパーニュ・グラス(写真右)で比べてみようというものです。

見た目は従来のフルートグラス型の方がすっきりしていますね。泡の立ち上りも綺麗です。

香りは、全然違います。そもそも従来のフルートグラスだと、口を付けて飲むときに、鼻はグラスの上になってしまいますから、ほとんど香りを感じません。香りを感じるには、鼻だけをグラスに近づける必要があります。それに対して、新しいグラスは口を付けて飲むときに、鼻もグラスの内側に入りますから、自然に味と香りを一緒に楽しめます。

また、香り自体、フルートグラスだとややツンとくる感じですが、新しいグラスは柔らかくふわっと入ってきます。

味も予想以上に違いました。フルートグラスではワインが一気にのどの奥に入ってくるせいか、酸味を強く感じるようでした。新しいグラスは、口全体にワインが広がるので、より複雑でデリケートな味わいが感じられます。

スパークリングワインにもよるかもしれませんが、高級なものは、Veritasのグラスの方が、より楽しめるとおもいます。

また、VeritasのグラスはVinumと比べて、ステムが細く、とてもエレガントで、またグラスも軽いです。機械でこれを作るのはすごい技術だと思います。それだけでも飲むときの気持ちが上がるように思います。



Date: 2016/1120 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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下の子が15歳の誕生日でした。料理のリクエストを聞いたら「なんでもいいから肉」とのこと。たまには、ということでどどんと1kg超の肉をコストコで買ってきました。ステーキ用の肉としては、安いものを買ったので、さすがにちょっと筋も多かったですが、赤身肉を堪能しました。たまねぎたっぷり使ったソースもまあまあ美味しくできました。

たまにはステーキ

ワインもたまにはいいものを開けようと、スタッグリンのカベルネ・ソーヴィニヨン2006。ナパ・ツアーのときにホテルの部屋にあったハーフボトルです。妻に味見させたら、「先日のボージョレ・ヌーボーより全然おいしい」って、そりゃそうです。価格も何十倍もしますから。
スタッグリン・カベルネ・ソーヴィニヨン2006

スタッグリン、ラザフォードのワインですが、いわゆるラザフォード・ダストっぽさはなく、オークヴィルあたりのヴァレー・フロアのワインと近い味わいです。とにかくシルキーでスムーズ。ふだんだったら、フルボトル空けるのに3~4日かかるのに、気付いたらハーフボトルがなくなっていました。危険なほどスムーズ。この味わいは、サシの入った和牛よりも赤みの肉に合うかもしれません。



スタッグリンはさすがに高いですが、ヴァレー・フロア系の優秀なワインとしては、最近飲んだナパ・ハイランズも捨てがたいです。このレベルで4000円台は驚きのコスパ。格付けチェックゲームでスタッグリンと並べたら、2~3割の人はこっちが上っていうかも。

Date: 2016/1119 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ベッドロックのモーガン・トゥエイン・ピーターソンが作るスパークリング・ワイン「アンダー・ザ・ワイヤー」(Under The Wire)の国内販売が始まりました。

アンダー・ザ・ワイヤーについてはモーガンの来日時に記事を書いています(スパークリングワインにもテロワールを!モーガン・ピーターソンの新プロジェクト)。

シャンパーニュで、生産者が自社畑のブドウを使って作る「グロワーズ・シャンパーニュ」が徐々に支持されるようになってきていますが、アンダー・ザ・ワイヤーも単一畑でブドウも単一品種、ヴィンテージも混ぜないスパークリングワインとして作るところなどが共通しています。

ただ、アンダー・ザ・ワイヤーの場合は自社畑ではなく、購入したブドウで作りますから、シャンパーニュの分類でいうとNM(Negociant-Manipulantネゴシアン・マニピュラン)になるのではありますが。

私が春に試飲したのはシャローンにあるBrosseau(ブロッソー)の畑のものでしたが、今回入荷しているのは、その次に作り始めたメンドシーノのアルダー・スプリングス(Alder Springs)のピノ・ノワールで作るブリュットとロゼです。

アルダー・スプリングスはパッツ&ホールのピノ・ノワールでは何回も飲んだことがありますが、非常に複雑で熟成に向いたブドウができるところです。今回のスパークリングがどのような味わいなのかも気になるところです。



Date: 2016/1118 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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オーベール(Aubert)の「ちょい古」2009年のワインを試飲する機会をいただきました。ラインナップはシャルドネがソノマ・コースト、ハイド(Larry Hyde & Sons Vineyard)、UV-SL、ローレン(Lauren)の4種。ピノ・ノワールがUV、UV-SL、リッチー(Ritchie)の3種です。

Aubert
畑の名前はラベルの左下に薄く書かれているだけなので、よく見ないと違いがわかりません。

以前2011年のワインを試飲したときは、全般にピノ・ノワールよりもシャルドネがよく、中でもローレンは一頭地を抜くに感じました。

少し熟成が入ってきたこのヴィンテージはどうでしょうか。

【シャルドネ】
・ソノマ・コースト
 蜜の香り。パイナップル、オレンジ、奥ゆかしい酸、アフターにかすかに苦味。
 予想よりずっとよく、ちょっと驚きました。主催者によるとソノマ・コーストはリッチーのブドウが結構はいっているのでリッチーに味わいが似ているとのこと。

・ハイド
 やや閉じ気味だが、バランスよい。ソノマ・コーストと比べるとトロピカルフルーツの味わいは少なめ。時間が立つとだんだん開いてきた。
 主催者によると、ハイドは他のワイナリーが作ってもハイドの味になるので、わざわざオーベールで買う意味はあまりないのかも、とのこと。一般的なシャルドネのレベルで評すれば、非常に上のワインだが、オーベールの中ではちょっと埋没気味かも。

・UV-SL
 ソノマ・コーストやハイドと比べ明らかに濃い色調。はちみつのような甘さ。酸はおだやかでまるでデザートワインを飲んでいるかのよう。甘露という言葉が似合うワイン。
 アルコール度数15.8と一番高く、一般的なシャルドネの範疇からははずれてしまいそうなほどの甘みを感じました。実際に残糖があってこう感じるのか、アルコール度数の高さなどからこう感じるのかは分かりません。1本飲んだら飲み疲れてしまうかもしれませんが、グラスで1~2杯だけ飲むなら、とても魅力的なワイン。

・ローレン
 4本のシャルドネの中では一番酸を強く感じる。逆にフルーツの味わいは抑えめだが、時間が経つにつれ、だんだんいろいろな要素が浮かび上がってくる。
 UV-SLで驚いた後だからかもしれませんが、以前試飲したときのような圧倒的な美味しさではなく、じわじわ美味しくなってくる感じがしました。さすがにレベルは高いですが、期待値が高すぎたので、若干肩透かしだったかも。

さて、シャルドネで熟成を感じたかという点ですが、ちょっと微妙でした。ハイドやローレンで見られたような味わいの落ち着きは時間が経ったことによって起こったものかもしれませんが、現段階ではこの後、熟成してさらに魅力を増していくかどうかは分かりません。ひねた味わいが出てくる前に飲んだ方がオーベールらしく楽しめるのかもしれません。

【ピノ・ノワール】
・UV
 色はかすかに褐色が入ってきていて熟成を感じる。酸は比較的強め。赤系のフルーツ。
 ピノ・ノワールは予想よりも熟成が始まって来ていました。いい感じに熟成していきそうな雰囲気。

・UV-SL
 フランボワーズ、ストロベリーなど赤系のフルーツの風味が豊か。シルキーでスムーズ。
 UVほどではないですが、これも少し熟成を感じます。ただ、熟成しなくても今の段階でとても美味しいです。UV-SLすごい。

・リッチー
 3つのピノ・ノワールの中で、これだけは赤系の果実に加え、ブルーベリーのような青系の果実の味わいも感じる。スパイスも。
 骨太の味わいはカレラ・クローンによるものでしょうか。今現在の魅力はUV-SLにゆずりますが、ポテンシャルを感じるワインでした。

ピノ・ノワールはシャルドネと比べて、熟成の方向性が少し見えている感じがしました。このままもう5~10年ほど進むとかなりいい感じになってきそうな気がします。

また、シャルドネのソノマ・コーストのレベルの高さにはびっくり。これは日本でもそこまで高くないので、オーベールの入門用としては最適だと思います。


それと今回はやっぱりUV-SLですね。シャルドネもピノ・ノワールも素晴らしいワインでした。太平洋にかなり近い涼しいところの畑だそうですが、ソノマ・コーストの奥深さを感じます。
Date: 2016/1117 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズの「バイザグラス」に参加しているカモシヤさんを紹介します。

カモシヤは名古屋の中心、栄駅からすぐのところにある味噌おでんの店。グラスワインのほかにも30種類以上のワインをストックしています。味噌もワインも発酵して作るものなので「醸す」の意味からカモシヤと名付けたとのこと。また、スタッフとお客さんで雰囲気を醸し出してほしいとの意味合いも含めています。

住所は名古屋市 中区 錦3-16-8 森万ビル1F
大通り沿いで地下鉄の栄駅や、名鉄の栄町駅からわずか1分のところです。東京で言えば銀座4丁目の交差点くらいの都心で、こんな気の置けない店があるのにちょっとびっくりしてしまいます。
お店外観

席はカウンターが6席にテーブル18席。グループでテーブル席についてじっくり飲み食いするもよし、一人でカウンターでちょっとつまむもよし、使い勝手の良さそうな店です。
お店の中1
お店の中2

オーナーの橋本さん。かなりの長身でちょっとこわもて風ですが、実際にしゃべってみるとそんなことはないです。実は6月のナパツアーではずっとバスの隣席でいろいろおしゃべりさせてもらいました。
橋本さん

看板メニューを2点紹介します。

ひとつはアボカドのおでん。味噌おでんでアボカド!?と思ってしまいますが、カレー風味の塩が振ってあって美味しいのだそうです。アボカド好きな私も、さすがに味噌おでんにカレー風味のアボカドというのは想像外。かなり気になるメニューです。
アボカド

もう1つは一番人気の名古屋ハヤシ。

名古屋ハヤシは名古屋の新名物として現在広がりつつある料理だそうです。「名古屋ハヤシ倶楽部 | ハヤシライスで名古屋を元気にしよう!」というオフィシャルのページによると、デミグラスソースと赤味噌、卵を使うのが特徴。ソースとご飯を混ぜて供するのもきまりです。カモシヤでは八穀米を固めに炊いて、ハーブ七味をかけていただきます。

これは見るからに美味しそうですね。というかまずいはずがない。
名古屋ハヤシ
名古屋ハヤシ2

バイザグラスのグラスワインは上の写真にもあるニュートンのシャルドネと、ベリンジャーのナパ・ヴァレー・メルロー。

グラスワイン

味のくっきりした味噌おでんだから、ワインもしっかりめの味わいのものが合うでしょうね。ジンファンデルなども飲みたくなりそうです。

上に紹介した以外のスタンダードなおでんメニューも美味しそうです。
おでん

便利な場所にある使い勝手のいい店ですから、名古屋在住の人はもちろん、出張で名古屋に行かれるかたも立ち寄られてはいかがでしょうか。


なお、この記事はナパ・ヴァレー・ヴィントナーズ・ジャパンからの依頼で書いています。
Date: 2016/1116 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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クラウドファンディングサイトのIndiegogoで日本ワインを海外に紹介する書籍「A Journey Into Japanese Wine」への出資を募集しています。
20161115-a_journey_to_japanese_wine.png

プロジェクトを始めたのはWeiwen Linというシンガポールの人。既に自腹で日本におけるワインの取材を済ませています。36軒のワイナリーを取材したそうです。出資したお金は、それらの取材費用のカバーを含めて使われます。

出資は50ドルから。これでこの本1冊がもらえます。100ドル以上出すと、ワインが付くセットがあるのですが、ワインの出荷はシンガポール国内のみとのことなので、実質的には50ドルのプロジェクトが、日本から参加できる唯一のものとなります。

プロジェクトのページ
A Journey Into Japanese Wine | Indiegogo
Facebookページ
A Journey Into Japanese Wine
Date: 2016/1115 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日、山梨ヌーボーの記事を書いたとき、カリフォルニアにもヌーボーはあるものの、あまりふるわないことなどを付記しました。その大勢は変わってはいむせんが、一部でヌーボーを作り、楽しむ動きは起こっており、今年もそれは拡大しているようです(California taps into bright young things of harvest: Nouveau wines - San Francisco Chronicle)。

比較的有名なところでは、ベッドロックが2015年からジンファンデルのヌーボーを作っています。わずか100ケースの販売ですが、人気は上々とのこと。

以前、カリフォルニアのヌーボーを作っていたのは、ジョセフ・フェルプスやベリンジャーといった、比較的大きなワイナリーでしたが、今回は、小さなところから、草の根的に広がりを見せています。

Poeというワイナリーがヌーボーを始めたのは2013年。Scribeが2014年。2015年にはBedrock、Coturriが開始。2016年はCruse, Stirm, Brocといったワイナリーが追随しています。

ヌーボーはその製法からバブルガムやバナナの香りがするのが特徴。それが、一般のワイン好きには避けられる要因でもあったわけですが、これらの新しいヌーボーはそれだけでない、暖かい味わいが出ているようです。

ヌーボーはその年の収穫がその年に製品になることで、ワイナリーにとってはキャッシュフローの改善というメリットがありますが、一方で短期間に売り切らないといけないというデメリットもあります。一方、単価が安く、短い期間に売り尽くさないといけないというプレッシャーもあります。今のところ、メリットの方が目立つようですが、今後はどうなるでしょうか。

ベッドロックのヌーボーはニューヨークのレストランで、なんと8カ月もグラスワインとして供されたそうです。それだけ、変わったもの、面白いものを飲みたいユーザーが増えているということでしょうか。
Date: 2016/1114 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先週には、日本でもお披露目のテイスティングが行われたオーパス・ワンの最新ヴィンテージ2013。有名な評論家のジェームズ・サックリングは2016年のベストワインに選んでいます(The Top 100 Wines of 2016 - JamesSuckling.com)。

サックリングのベスト100を見ると、かなりカベルネ系に偏っている印象はありますが、それでも年間のベストというのは、ちょっと驚きました。なお、今年5月には同ワインに100点のレイティングをつけたことを本ブログでも報告していますが、100点はほかにも10本近くのナパのワインについていました。

先週のテイスティングに参加した人の評価も上々だったようで、近年の品質安定を裏付けています。

なお、ジェームズ・サックリングのベスト100で、ほかに10位以内にはドミナス2013が入っています(6位)。こちらも近年高評価が続いています。



Date: 2016/1112 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・ヴァレーの栽培家の業界団体Napa Valley Grapegrowersの調査によると、アンケートに回答したメンバーの86%が2017年に一部ででも畑の植え替えを予定しているとのこと。2015年に一部でも植え替えいたメンバーは60%、2016年は62%とのことで、かなり植え替えが進行している様子がうかがえます(Majority of Napa Growers to Replace Vines by 2017 - Wines & Vines)。先日も紹介したRootstockカンファレンスで明らかになりました。

畑の植え替えの間隔は、数十年おきというのが一般的ですが、最近は10年さらには5年で植え替えるところも増えているそうです。最大の理由は病害対策。現在は、ピアス病と、ブドウの葉が赤くなる「red blotch」と呼ばれる病気が大きな理由になっています。

ピアス病はいまだに特効薬のない病気。主にガラス羽シャープシューターという昆虫によって広がるため、現在でも苗木の取り扱い店では、この卵がついていないかどうか、すべての樹について検査することになっています。

ただ、現在はやっているのは、より行動範囲の狭い青緑シャープシューター(写真)によるもので、川の近くなど、ある程度限定された地域で流行しています(広がるピアス氏病ナパ、ソノマでピアス氏病が「大発生」)。

Blue-Green Sharpshooter

ただ、畑によっては70%が感染しているとのこと。この病気は15~20年周期で流行り、今はそのピークに来ているようです、

また、ピアス病に耐性のある樹が開発されており、かなり効果がありそうなので、植え替えにはそれが使われるケースもあるようです。

このほか、ブドウ畑の管理における人手不足も植え替えの一因になっているそうです。機械化しやすい形にするための植え替えだとか。

ナパでは現在、ブドウ畑の労働者は時給14ドル~というのが一般的だそうですが、ナパやその近辺は賃料が物価が高く、これではやっていけないため、セントラル・ヴァレー方面から出稼ぎに来ている人も多いとか。

このほか、近年はブドウ畑における女性の労働者も増えているそうです。一方で、子供の世代はその仕事を引き継がないことが多いとのこと。

先日お伝えしたトランプ次期大統領のことも含め、畑の労働者の問題は今後重要になってきそうです。
Date: 2016/1111 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Napa Valley Grapegrowersが2016年11月8日に開催したRootstockカンファレンスで、ブドウの収量とワインの品質の関係について興味深い講演がありました(Balanced Vines Produce Better Wines - Wines & Vines)。

講演者は、E&Jガロのニック・ドクーズリアン(Nick Dokoozlian)博士と、オレゴン州立大学のパトリシア・スキンキス(Patricia Skinkis)助教授。ドクーズリアン博士はUCデイヴィス時代から有名な研究者で、現在はガロで栽培・化学・醸造の副社長を務めています。

一般に、ブドウの収量が少ないほど、ワインの品質は高くなると考えられており、実際に、高品質のワインの説明では畑の収量の少なさを引き合いに出すことがしばしばあります。

しかし、ドクーズリアン博士によると、その相関は明らかでないとのこと。この考えは欧州、主にフランスから来たもので、フランスでは気候の関係などで、確かにそれは成り立っているのですが、カリフォルニアには当てはめられないのだそうです。

ガロは数多くのブドウ畑を持っていますが、収量が多くて高品質のところもあれば、収量が低くて高品質のところもあるとのこと。

問題の一つは、収量の問題は、畑の面積だけを見ており、畑の管理や、剪定などを考慮に入れていないこと。

博士によると、収量と、太陽にさらされる葉の面積との関係は非常に重要だとのこと。カベルネ・ソーヴィニヨンの場合、10cm2/gと14cm2/gの間で、急激に品質が上がるとのこと。ピノ・ノワールでは、品質の上がり具合はカベルネほどではないですが、4cm2/gと8~9cm2/gの間でやはり品質の上昇が見られるとのこと。

ブドウの房の数を減らすこと(クロップ・シンニング)は、収量あたりの葉の面積を上げる手っ取り早い方法ですが、実はそれを20~40%やってもあまり品質には影響せず、品質に影響を与えるには75%も減らさないといけないとのこと。

また、緑の実を落とすことは熟成を早めるのには役立ちますが、品質にはあまり影響していないそうです。

博士は低収量の畑でよく使われている、枝を縦方向に伸ばすバーティカル・シューティングは前述の日照の面であまりよくないとして好まず、スプリット・キャノピーが多くの地域で優勢だとしています。

バーティカル・シューティングの例
オーガニックで栽培されている畑(Ovid)
スピリット・キャノピーの例
ホーニッグの畑

結論としては、バランスの取れたブドウが高品質なワインを作るということで、収穫を減らしすぎない方がいいとしています。「ほとんどのナパとソノマの畑は収量を減らしすぎ」とのこと。

一方、オレゴン州立大のスキンキス助教授はオレゴンのピノ・ノワールについて話をしました。スキンキス助教授は、枝1本あたりの房の数と品質との関係を調べたところ、1枝あたり0.5房だと野菜っぽく、1.5房が最適、自然の平均は1.8房だったとのこと。また、房の数と糖度やPHなどはほとんど関係なく、一番大きな影響があったのはアントシアニンだったとのことです。

ただ、カリフォルニアとオレゴンは生育条件が大きく異なるので、これをそのままカリフォルニアに適用することは難しそうです。

これまで、収量と品質についての研究はあまり見たことがなかったので、これから多く議論されることになるのかもしれないですね。興味深い話題でした。
Date: 2016/1110 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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多くの日本人にとっては、これだけは起こってほしくなかった、ということが起こってしまった感じですが、なってしまったものはしょうがない。あとはそれがいい方向に向かうことを期待するばかりです。

Donald Trump

では、トランプ大統領がワイン業界にどう影響するかですが、既に英国のDecanter誌に記事が出ていました(What a Trump presidency might mean for wine)。ここでは、それも踏まえながら、個人的な見解も含めて書いていきます。

2016年は、英国のEU離脱(Brexit)という、これもショッキングな投票結果がありましたが、それになぞらえている記事です。英国のポンドはBrexitの決定以降、かなり弱くなり、大幅なポンド安が続いています。そのため、英国ではワインの値上がりが続いていますが、日本円に換算するとむしろ値下がり傾向にあるというのは先日「高級ワインのインデックス、日本円換算では値下がり傾向」という記事で紹介した通りです。

日本時間の水曜日の開票中は、トランプ大統領の可能性が高まることで市場が乱高下し、円ドルの為替も朝方の1ドル105円近辺から一時は1ドル101円台にまで円高になりました。ただ、選挙結果が決まったあとはむしろ落ち着いた値動きに戻り、Brexitのときのように、一気にドル安に流れるということはありませんでした。このあたりは、コンピュータによる取引の判断が影響したということもあるようですが(「円はなぜ100円を突き抜けなかったか 米大統領選が映す機械取引の妙」参照)、ひとまず落ち着いたのは良かったと思います。

ただ、トランプ大統領が実際に政権について以降、ドル安傾向が強まる可能性は高いように思います。強いアメリカの復活をスローガンとするトランプ氏ですから、輸出企業が有利になるような施策を打ち出すことになるでしょう。また、保護主義が高まり、TPPの承認も棚上げになるでしょう。

TPPではワインの関税撤廃も入っていますから、これが実行されないのは、米国から日本にワインを輸入する際にはマイナスになります。ただ、ドル安円高は、日本の産業全体にとってはマイナスかもしれませんが、ワインの輸入価格という面ではプラスです。ワインの関税は1本あたり100円くらいですから、1000円以下の安ワインの市場を除くと、これがなくなるかどうかより、為替の影響の方が遥かに大きいです。

一方で、米国は世界最大のワインの市場となっていますが、ドル安によってEUから輸入するワインは値上がりするでしょう。高級ワインではフランスなどEUのものよりもカリフォルニアワインを選ぶ動きが高まるかもしれません。1万円を超えるような高級ワインでは、日本に輸入したくてもモノがない、といったことも起こるかもしれません。EUから米国への輸出が減ると、EU諸国はよりアジアを重視するようになる、といった変化の可能性もあるかもしれません。

為替と関税関係をまとめると、TPP非承認はマイナスだが、ドル安に振れることで、2000円以上のワインではメリットが出てくる。ただし高級ワインは争奪戦が激しくなるかもしれません。

また、米国のワイン業界にとっては、メキシコからの移民の問題が最大の懸念材料になるでしょう。トランプ氏は、メキシコとの間に壁を作れと主張するほど、移民に警戒的です。一方で、カリフォルニアなどのブドウ畑で働く人は大半がメキシコ人です。もちろん正式な手続きを経て米国に来ている人も多いでしょうが、不法移民がいない、ということはないでしょう。トランプ氏が大統領になった暁にどういう施策を打ってくるかは気になるところです。新たな移民が入ってこなくなったとしてら人手不足で畑を管理できなくなったり、コストが上がったりということも起こるかもしれません。結果としてワインの品質が落ちたり、価格が上昇するといったことが本当に起こる可能性もありそうです。

実際にトランプ大統領になってみないと何がどうなるかわかりませんが、マイナスのことだけではなさそうだと思って見ていきましょう。
Date: 2016/1109 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ちょっと紹介するのが遅くなってしまいましたが、先週木曜日発売の週刊モーニングの『マリアージュ~神の雫 最終章~』でも、再びカリフォルニアワインが出てきました。

今度はデザートのガトーショコラに合わせるワインという話。
ガトーショコラ

カカオ比率
カカオがたっぷりはいっているようです。
これに、どうワインを合わせるかというと、
特徴ジンファンデル

で、どのワインかというと
プリズナー

ということで、プリズナーでした。

プリズナーは品種を名乗らず、単に「レッド・ブレンド」と称するブレンドものの先駆けとなったワイン。元々オリン・スイフトが作っていたワインですが、2016年にはコンステレーション・ブランズに買収されています。




Date: 2016/1108 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2011年に売却されたソノマのセゲシオ(ソノマのセゲシオもワイナリを売却,ワイナリの世代交代は難しいのか?)。家族経営の難しさを露呈してしまいましたが、その後もワインメーカーのテッド・セゲシオはワイナリーに残ってワインメーカーとして働いています。

そして、そのいとこで、かつてはパートナーだったピート・セゲシオはジャーニーマン(Journeyman)という新しいワイナリーに取り組んでいます。

San Lorenzo

実はセゲシオ売却時にサン・ロレンツォという19世紀に植えられた畑は売却対象になっていなかったのですが、ワイナリー売却時の条件として、3年間は競合製品を作ってはいけないことになっていました。それもクリアして、いよいよピート・セゲシオもジンファンデルに復帰してきました。

ジャーニーマンではシャルドネとピノ・ノワールのほか、このほどSan Lorenzo The Pearlというジンファンデル系のフラッグシップのワイン、およびSan Lorenzo Rock Gardenというジンファンデルを発売。The Pearlは100年を超える樹齢のブドウを使ったもので、フィールドブレンドで約70%がジンファンデルだとのこと。Rock Gardenは20年前に植えられた区画で、一番急斜面のところだそうです。

古い樹齢の畑は極めて限られたリソースですが、それでもこうやって新しいワイナリーが出てくるのは面白いですね。
Date: 2016/1107 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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11月というと、ボージョレ・ヌーボーの解禁日である第3週の木曜日が話題になりますが、日本にも「山梨ヌーボー」があり、11月3日が解禁日になっています。

山梨ヌーボーとは|山梨ヌーボー2016 11/3解禁」のページによると、「デラウエアーや巨峰などの新酒ワインは一足先に発売されていますが、日本が世界に誇る日本固有のぶどう品種である甲州とマスカット・ベーリーAで造られた新酒ワインを「山梨ヌーボー」と命名して解禁日を設けました」とのことです。解禁日の11月3日には東京の日比谷公園で「山梨ヌーボーまつり」というイベントが開催されています。

11月4日に東京・神田の柳屋に立ち寄ったところ、山梨のワイナリーの中でも高品質な甲州で、Decanter誌のコンクールで賞を受賞している中央葡萄酒(グレイスワイン)が試飲をしていました。

中央葡萄酒の試飲@柳屋

近年品質が高まっていると言われている「日本ワイン」には私も関心がありましたが、カリフォルニアだけでも手一杯で、なかなか飲む機会もないため、いろいろ話を聞きながら試飲してきました。

試飲した3種は新酒のセレナと、2015年の「グリド甲州」、「グレイス甲州」です。フラッグシップの「キュベ三澤 明野甲州」も置いてありましたがさすがに試飲対象外でした。

セレナとグレイスは甲州のフリーランジュースだけを使ったワイン。フリーランらしく、どちらもさわやかな味わい。セレナはきりっとした酸が特徴で、シャブリかと思ってしまうほど。ハーブっぽさも少し感じます。

グレイスの方は、さわやかさに加えてふくよかさもあり、バランスのいいワイン。2016年のDecanter誌のコンクールで95点。プラチナ賞とベストアジア賞を受賞したワインです。飲んだ3種の中では1ランク上の味わいでした。

もう1つの「グリド甲州」はプレスした果汁を使ったワイン。それだけに、一番コクがあり、苦味も少し感じます。面白いワインですが、個人的な好みの方向からは少しはずれていました。こちらはDecanterのアジアのコンクールでプラチナとベスト・イン・ショーを受賞しています。

日本ワインの話や、畑の話など、いろいろ伺いながら試飲できてかなり勉強になりました。

ワインは、味で選ぶならグレイスだったのですが、せっかく年に一度の新酒解禁の次の日ということで、今回はセレナを購入。さっそく自宅で飲んでいます。

日本食に合わせるなら、ボージョレ・ヌーボーよりはこちらの方がずっといいと思います。ぜひお試しあれ。

余談ですが、カリフォルニアにもヌーボーはないわけではありません。しかし、日本のように新酒を祝うという文化がないため、積極的に展開しているワイナリーは少なく、日本にも入ってきていないと思います。

Date: 2016/1106 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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キスラーのスティーブ・キスラーがソノマのサーモン・クリークを汚染したとのことで罰金の支払いを命じられています(Sonoma County vintner Steve Kistler to pay more than $500,000 to settle creek pollution case | The Press Democrat)。

罪状によると、キスラーは、ワイナリー内の池をきれいにするため、池の水を、小さい池に移すように命じたとのこと。それが溢れて川を汚したそうです。

水は非常に汚れており白く濁っていたので、発見した人は最初乳製品を流したと思ったほどだったとか。その汚れのせいで、サーモンやマスの幼魚が死んでしまった可能性が高いそうです。

キスラーは、溢れた水が川を汚したと気付いた時点で止めたと主張していますが、実際には止める手立てを打たなかったとシェリフ側は述べています。

キスラーは32万2498ドルを清掃などのために支払い、25万7202ドルを環境プロジェクトに寄付されるそうです。
Date: 2016/1105 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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20161104-wsetalumniaward.png
ワインの資格団体であるワイン&スピリッツ・エデュケーション・トラスト(Wine & Spirit Education Trust:略称WSET)とジャンシス・ロビンソン・ドット・コムは、WSETの卒業生の中でも優れた人に与える賞を創設、このたび初回の候補が発表されました(Nominees Announced For New WSET Outstanding Alumni Award | Wine & Spirit Education Trust)。

WSETの最高資格であるDiplomaを取得した人が対象です。なお、ワイン業界最高の資格であるマスター・オブ・ワインも、Diplomaを取得が最初の条件であり、Diplomaはマスター・オブ・ワインに次ぐ資格と言えるでしょう。

初回の候補者は以下の通り
Maureen Downey:偽造ワインの専門家で、WineFraud.comを立ち上げた人。
Joe Fattorini:レストランにおけるワインの販売とマーケティングに関する本を初めて書いた人。
Isabelle Legeron MW:自然派ワインの推奨社でRAW Wineという英国のワイン・イベントを立ち上げた人。このイベントはベルリンとニューヨークでも開催されている。
Yang Lu:中国のソムリエの第一人者。
大橋健一MW:世界における日本酒(Sake)のプロモーションに貢献しており、マスター・オブ・サケの資格も持っている。

2015年に日本在住の日本人として初めてマスター・オブ・ワインになった大橋さんが5人の中の一人に選ばれています。これはとても名誉なことだと思います。

ここまで来たら、ぜひ卒業生賞に選ばれてほしいものです。

なお、賞はDiploma取得者の投票によって選ばれます。11月14日までが投票期間で、11月末に発表される予定です。
Date: 2016/1104 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2011年に自身の名前の付いたMacPail Family Winesをヘス・コレクションに売却したジェームズ・マックファイルが新たなプロジェクトを始めています(Grapewagon Custom Crush By MacPhail Debuts In Healdsburg)。

一つは新しいワイナリー、もう一つはカスタム・クラッシュ(醸造設備を他のワイナリーに貸すサービス)。実は、ヘスへの売却にはワイナリーの設備は含まれておらず、それを利用してカスタム・クラッシュを始めたのでした。名前はグレープワゴン。既に10を超えるワイナリーが使っており、フル稼働の状態です。

新しいワイナリーはトング・ダンサー(Tongue Dancer)。ソノマ・コーストのパットナム(Putnam)という畑のブドウを使って、ピノ・ノワールとピノのロゼを作っています。既にワイン・エンシュージアスト誌で92点を得るなど、高く評価されており、メーリングリストメンバーでないと入手できない状況です。


新しいプロジェクト、今のところ、堅調で良かったです。ただ、ワイナリーに自分の名前を付けるべきではないなと思いました。
Date: 2016/1103 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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TTB(アルコール・タバコ税貿易管理局)が、ソノマのペタルマ・ギャップのAVA制定に関してパブリック・コメントの募集をはじめました(TTB Opens Public Comment Period on Proposed Petaluma Gap AVA)。募集期間は12月27日まで、その後はAVAとして認めるかどうかTTBが審査します。

現在のところ、コメントは7つはいっていますが、いずれもAVA策定に肯定的です。コメントしている人の中には著名ブログVinographyのAlder Yarrowもいます。

Petaluma Gap

ペタルマ・ギャップは、かねてより広すぎると言われていたソノマ・コーストAVAの東南側(上の図でわかるようにソノマ・コーストの完全に内側ではなく、南のマリン郡側に少しはみでています)。ここの地域の特性は風。西の太平洋から南のサン・パブロ湾に向かって強い風が吹き荒れます。その風の吹く通路が「ギャップ」と言われるゆえんです。

ペタルマ・ギャップで有名なワイナリーは、ケラー・エステートなどがあります。どちらかというと、ここに本拠地を持つというよりも、この地域のワインも作っているワイナリーが多い印象です。「Wineries | Petaluma Gap Winegrowers Alliance」にペタルマ・ギャップの業界団体に所属しているワイナリーの一覧があります。

ソノマ・コーストは以前から広すぎると言われていましたが、ペタルマ・ギャップのAVA化によって、ペタルマ・ギャップ側と「トゥルー・ソノマ・コースト」側に分かれていくのではないかと思います。

順調に行けば、おそらく2017年内にはAVAになるのではないでしょうか。
Date: 2016/1102 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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発表されたばかりのWine Advocate誌227号には、ロバート・パーカーによる、北カリフォルニア・レポートのパート1が掲載されています。ここ5年くらいのヴィンテージの中でも品質的には一番高く評価する人が多い2013年のワインが中心であり、予想に違わず100点のワインも多数出ています。

その多くがナパのカベルネ系でしたが、中でひときわ目に付いたのがベッドロック。このブログでも再三取り上げていますが、レイヴンズウッドのジョエル・ピーターソンの息子、モーガン・ピーターソンのワイナリーです。
Bedrock

なんと100点2本に99点1本の快挙です。ジンファンデル系でなかったのは少し残念ですが、ソノマのシラーとしては初の100点です。Weillという畑の情報はあまり見つからなかったのですが、ソノマ・ヴァレーにあり、以前はレイミーなどにブドウを供給していたとのこと。

Exposition 1から3まであるのは、ワインの作り方に違いがあるため。Exposition 1は除梗なしの作り。Exposition 2は半分除梗し、ヴィオニエを8%ブレンド、Exposition 3は完全に除梗し、ヴィオニエは16%。今回の試飲をまるでコートロティのギガルでテイスティングしているかのようだったと評するパーカーは、最後のワインをとりわけ、ラ・ムーリンヌに似ているとしています。

日本にはこれまで入ってきていないワインですが、実は今回、少ない生産量(Exposition 3は125ケースとのこと)の中から少数ですが、日本にも回してくれるそうです。

本当に少しなので小売にまで回るのは難しそうな気がしますが、期待しましょう。

ところで、モーガンは現在35歳。30代で100点のワインを作ったワインメーカーがどれだけいるか調べたこともないし、調べるのも難しすぎますが、かなり若いのではないでしょうか。

ベッドロックのジンファンデル系フラッグシップはこちら。
Date: 2016/1101 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・ヴァレーに行ったときに寄り道する定番の場所が、ナパヴァレーへのWelocmeを表したサイン。実はオークヴィルとカリストガの2カ所にありますが、特に有名で人気なのはオークヴィルの方。ただ、この場所が危険なのでは、という話もあるようです(Do the 'Welcome Napa Valley' signs need more welcoming sites?)。

何が危険かというと、オークヴィルのサインはHighway29沿いで、道の西側にあります。このサインの場所に行くには、Highway29を北上している場合、道の左側です。米国では車は右側ですから、反対車線を横切って左折しないといけません。それが危険だとのことです。

ナパ・ヴァレー・サインの前で

確かに、そういう面はあるかもしれません。ただ、今の場所で仮に反対側に移したら、今のように背景に山が入るような写真は撮れません。ロケーション的には今のところが優れています。なので、仮に新しいサインの場所を見つけるにしても、今のサインをなくすのではなく、追加ということになりそうです。

それはそれとして、実はカリストガのあたりにもあるというのは初耳でした。