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Date: 2017/0228 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパで21回めとなるプルミエ・ナパ・ヴァレー・オークションが開催されました。オークションの売上総額は420万ドル超。過去3年を下回り、これまでで4番めの売上となりました。
プルミエ・ナパ・ヴァレー
プルミエ・ナパ・ヴァレー

プルミエ・ナパ・ヴァレーは業界向けのオークション。各ワイナリーは、オークション用に専用のワインを作り、毎年決められたラベルを付けて販売します。2016年からは世界中から参加できるオンライン・オークションも開始し、2017年は売上の2割を占めるまでになりました。日本からの参加もあったようです。

最も高額なロットはスケアクロウで20万ドルでした。

Date: 2017/0226 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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いくらから上を「ラグジュアリー」ワインとするべきか、という記事がありました(What Price is Luxury Wine? Research Studies Unclear)。

Opus One

「ラグジュアリー」の研究家(そんな人がいるんですね)によるとラグジュアリーなものとは「必要だったり普通だったりというよりも魅力的なもの」だとのこと(なんだか当たり前ですが)。その要素としては、高価、高品質、希少、権威、象徴、特別感を得られること、の6つがあります。近年ではこれにサステナビリティも加わるそうです。

価格による分類は、これまでいくつかの研究がありますが、結果は結構バラバラです。ジーンという人による1999年の研究では50ドル以上を「アイコン・ワイン」としています。

2005年の研究ではラグジュアリーを25~50ドル、スーパー・ラグジュアリーを50~100ドル、アイコンを100ドル超としています。

2016年のオーストラリアでの研究ではウルトラプレミアムが70~99豪ドル(51~72米ドル)、ラグジュアリー/アイコンが100豪ドル(73米ドル)以上としています。

また、ニールセンのデータでは25ドル以上は一括して高級ワインという位置づけです。

そこで、この記事では「手頃なラグジュアリー」を50~99ドル、ラグジュアリーを100~499ドル、アイコンを500~999ドル、ドリーム・ワインを1000ドル~とすることを提案しています。

感覚的にはこれくらいの分類は納得感がありますが、25~50ドルも「ちょっとだけ背伸びワイン」みたいな感じで名前をつけてあげたい気もします。
Date: 2017/0224 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Purse
マリサ・チャイナという人が作ったバッグ「PortoVino」が思わぬ大ヒットを見せています。バッグの中にボトル2本分のワインを隠し入れられるというこのバッグ、動画がFacebookを中心にバズって4500万回を超える再生回数になったとか。



それに伴い、バッグの販売サイトもサイトが落ちるほどのアクセスになったそうです。在庫もあっという間に売り切れてしまったとのこと。

現在、次のロットを発注しているそうですが、4月にならないと完成しないそうで、今しばらくは在庫ゼロが続きそうです。

今後はもっとカジュアルなスタイルのものも作るそうです。

実用性はよくわかりませんが、面白いですね。
Date: 2017/0222 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2月27日18時~21時に、東京・赤坂のあじる亭レピスで「カリフォルニアナイト」が開催されます。料理はビュッフェ形式で、いつきていつ帰っても構わないとのこと。ワインは布袋ワインズさんが40種提供します。

これで料金はわずか4500円。嘘みたいな安さです。
あじる亭

あじる亭には「あじる亭カリフォルニア」という店もありますがそれとは別なのでお間違えのないように。

念のため、予約した方がいいそうです。
電話は03-6277-7794


Date: 2017/0221 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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トランプ米大統領が米国人の雇用を奪っていると、移民に反対なのはよく知られていますが、トランプ・ワイナリーが今月、23人の移民の労働者を4月から10月まで雇うとビザの申請を出していることが判明しました(Trump Vineyard Requests Visas For Still More Foreign Workers | The Huffington Post)。12月に6人の雇用を申請したのに続く、移民の労働者のビザ申請となります。

もちろん、これ自体は悪いことでもなんでもありませんが、労働集約型の産業であるワイナリーにとっては移民の労働者がいないと立ち行かなくなるというのが現実です。トランプ大統領にはぜひその現実を理解してほしいところです。

ちなみに、ワイナリーの運営はトランプ大統領の次男のエリックが担当しており、会社名は「エリック・トランプ・ワイン・マニュファクチャリング」社となっています。ワイナリーのWebサイトには、この会社は「ドナルド・トランプやトランプ・オーガニゼーションに所有も管理も付属もしていない」と書かれています。

しかし、ワイナリーの土地は「トランプ・ヴィンヤード・エステーツ」社が所有しており、この会社はトランプ・オーガニゼーションの不動産部門に属しています。今回のビザ申請もこの会社が出しています。

それから、前の記事でも書いたようにトランプ大統領本人は、アルコール類一切飲みません。アルコール中毒で亡くなった長兄の言いつけを守っているとのことです。
トランプ・ワイン



Date: 2017/0220 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ボニー・ドゥーンのランドール・グラームが手がける最新のプロジェクトがポープルシューム(Popelouchum)です。このプロジェクトでは2015年にクラウドファンディングで出資を募っており、そのときに詳しく記事に書きました。

1万種の品種を作るランドール・グラームの壮大なプロジェクト、クラウド・ファンディングで出資者募集中、あなたの名前がブドウに付けられる

ブドウは通常、接ぎ木で増やすため、遺伝子的には全く同じブドウがずっと育てられることになりますが、このプロジェクトでは、かけあわせで種子を作り1万種の新しい品種から次世代のグラン・クリュが登場することを期待しています。

最近、デカンター誌に載った記事によると(Bonny Doon founder Randall Grahm's new California wine - Jane Anson)、植樹可能なエリアが70ヘクタールあり、うち40ヘクタールをRossese (Tibouren), Furmint, Ruche, Grenache Blanc/Gris, Syrahといった既存の品種で使い、残りの30ヘクタールを種子から育てたブドウにするとのこと。

また、ランドール・グラームはこの畑をAVAにしようとしていて、必要な書類を準備しているそうです。

ツイッターにはポープルシュームの畑の計画が載っていました。



同心円状のかなりユニークな形になるようです。

20150722-randallgrahm.jpg
Date: 2017/0219 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国市場で今、一番伸びているのはボックスワインの高級版だそうです(Premium Boxed Wines Are Smoking Hot - Wines & Vines)。

高級ボックスワインは2016年の成長率が24.2%と、さまざまなフォーマットの中でもトップの成長率。ちなみにガラス瓶のテーブルワインは4.2%。安価なボックスワインは1.9%減少でした。

高級ボックスワインの代表的なブランドの1つがボタ・ボックス(Bota Box)。デリカート・ファミリーのブランドです。2016年に28%上昇して、上昇率で5位、ブランドの売上で全体の15位に入りました。
Bota Box

このほか、コンステレーション・ブランズのブラック・ボックスというブランドも人気。上昇率ではボタ・ボックスを上回り、全体の3位でした。
Black Box

ちなみに高級ボックスワインの価格は3リットルで20ドル前後。750mlに換算すれば5ドルですから、日本の感覚だとかなり安いです。

日本でも売っているフランジアの場合だと5リットルで16ドル前後。750mlに換算すれば2.4ドルですから、高級ボックスワインはおよそ倍額ということになります。

日本のフランジアの価格は3リットルで1600円くらいですから、米国と比べるとかなり高いですね。先日、日本のカリフォルニアワインの輸入が減っているという記事を書きましたが、このあたりをもっと安くするのが、競争力を高めるのに必要かも、というようなことを思ってしまいました。

話はちょっとずれてしまいましたが、ボックスワインは中に空気が入らない構造になるので、酸化には強いはずです。高級版というのも十分ありえる市場だなと思いました。日本で2500円くらいで売ってくれないでしょうか。
Date: 2017/0217 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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トランプ米大統領が保有するバージニア州のトランプ・ワイナリー。ここのワインを売っているスーパーに不買運動が起こっています(This beloved grocery chain is the latest company to face Trump-related boycotts - The Washington Post)。

スーパーの名前はWegmans。バージニア州に10店舗を持つスーパーのチェーンで、地元ではカルト的人気があるそうです。スーパー側はまだ態度を決めかなているようですが、イヴァンカ・トランプのファッション・ブランドに続いて、色々な店から撤去される動きが起こるかもしれませんね。
trump wine

確かにこれだけトランプを主張したラベルはあまり見たくないかも。

トランプといえば、先日米ティファニーのCEOが辞任したのですが、その理由にトランプが絡んでいます。直接の辞任理由は業績悪化ですが、悪化の最大の理由は旗艦店で売り上げの2割(すみません、数字はうろ覚えなので違うかも、ともかくかなりの比率です)を占めるニューヨークの本店の売り上げが落ちたこと。

実はこの本店、有名なトランプタワーの横にあり、警備強化のため、店への出入りが不自由になったのだそうです。それで来店客が減って売り上げが落ちたとのこと。なんだかとばっちりのようですが、これで辞任するCEOはちょっと気の毒に感じました。
Date: 2017/0216 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2016年の米国のワイン輸出額は16億2000万ドル。2015年より1%だけですが増えて過去最高でした(California Wine Exports Reach Record $1.62 Billion in 2016)。量は約10%減っており、価格の伸びが目立ちます。

国・地域別に見るとEUが6億8500万ドルで前年より10%増。2番めのカナダは4億3100万ドルで6%ダウン。前年3位の香港は1%増えて9860万ドル。

昨年香港に抜かれて4位に落ちた日本は8700万ドルで今年も4位。ただし、総額で9%、量では20%も減っています。

5位の中国は8200万ドルですが、前年比47%もの伸びを示しています。このまま伸びると来年は日本を抜く可能性も大ですが、中国や香港は乱高下するのも特徴。2017年も伸びるのかどうかが気になります。

また、ワイン・インスティチュート日本代表の堀さんは、バルクで輸入して日本でボトル詰めして売るベンダーが増えていることを指摘しています。日本に輸入されるカリフォルニアワインの量を支えているのはそういったワインですが、TPPを米国がやめてしまったため、なくなることが期待されていた関税が残るほか、そのための手続きもインポーターにとっては大きな負担になっています。そういった点でチリやオーストラリアに大きく遅れを取ってしまうことになるため、TPPに代わる2国間の協定を早く結ぶべきだとしています。

参考:米国のワイン輸出は新記録、ただし日本は減少
米国のワイン輸出、日本は減少するも3位を維持
カリフォルニアワインでも始まった「ジャパン・パッシング」
Date: 2017/0215 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2016年のブドウの収穫量の暫定レポートが発表されています(USDA - National Agricultural Statistics Service)。2016年の収穫量は 4,196,753トンで、2015年の3,868,459トンから8.5%増えました。
Crush Report
1トン当たりの価格は750.27ドル。これも2015年から11%上がっています。赤ワイン用のブドウは899ドルと過去最高の価格でした。

ブドウの品種別収穫を見ると、1位のシャルドネ、2位のカベルネ・ソーヴィニヨンといったところは例年通り。以下、ジンファンデル、フレンチ・コロンバード、ルビーレッド、メルロー、ピノ・グリ、ピノ・ノワールと続きます。
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Date: 2017/0214 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアにおけるオーガニック栽培の先駆者として知られているフェッツァー。その創業地であるメンドシーノのレッドウッド・ヴァレーの土地が、ベイエリアに本社のあるフロー・カナ(Flow Kana)という会社に買われました(Mendocino County winery seeks new life as marijuana operation | The Press Democrat)。この会社はマリファナ栽培を手がけており、エメラルド・トライアングルと呼ばれるカリフォルニアのマリファナ栽培の中心地で作られたものを中心に「直射日光を浴びて育ったサステイナブルなマリファナ」として売り出しています。

エメラルド・トライアングル
エメラルド・トライアングル(画像はWikipedia より)

娯楽用のマリファナ解禁が決まって以来、カリフォルニアのマリファナ産業はかつてない盛り上がりを見せており、かつてのゴールド・ラッシュになぞらえて、グリーン・ラッシュなどと呼ばれるようにもなっているそうです。

ワイン産業との競合も色々なところで出てくることが予想されていますが、もしかすると、これがその一つの象徴的な出来事になるのかもしれません。
Date: 2017/0211 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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今週、ワシントン・オレゴン・ワイン エクスペリエンスの試飲会に参加してきました。時間があまりなく、人も多かったので、半分も試飲できなかったのですが、カリフォルニアワイン以外の自分の経験値の低さを改めて思い知らされました。

まず、オレゴンのワインですが、もちろん赤はピノ・ノワールが中心、というかほとんどピノ・ノワールだけと言ってもいいでしょう。冷涼な地域のピノ・ノワールということで、カリフォルニアでいえばソノマ・コーストやアンダーソン・ヴァレーあたりの延長線上にあるような気がしました。

カリフォルニアでリトライなどの冷涼なピノ・ノワールを試飲するときも感じるのですが、冷涼な地域のピノ・ノワールを試飲したときの表現や評価が難しいのです。結局どれくらい好きかに落とし込むくらいしかなく、客観的な表現や評価が全然できていないなあと思いました。

その中でもクリストムあたりは、比較的カリフォルニアに近い味わいで、個人的には高評価でした。
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このほか、イヴニングランドや、ドルーアンがエオラアミティヒルズで作るワインなど、オレゴンのエオラアミティヒルズのワインは美味しいものが多く感じられました。

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ここのピノ・ノワールもなかなか良かったです。

白ではシャルドネもありますが、ピノ・グリが多いという印象。ピノ・グリについては、カジュアルなワインとして美味しいとは思うものの、シャルドネのいいもののような素晴らしいワインになるというイメージがあまり起こらず、どれを飲んでも同じような味わいに思えてしまいます。なかなか良し悪しを判断するところまで行きません。

一方、ワシントンは白ではリースリング、赤ではメルローやシラーが目立ちます。

リースリングはいろいろなスタイルのワインがあることはわかるのですが、これもまた良し悪しを判断するところまでなかなかたどり着きません。素晴らしいリースリングを飲んだ経験がないことも響いているかもしれません。

ワシントンのメルローはちょっと苦手な部類です、どうしても青臭さを感じてしまいます。シラーは抑制がきいたスタイルでわりと好きです。

カベルネ・ソーヴィニヨンは多少あたりはずれはあるような気がしますが、美味しく感じられるものもありました。コロンビアクレストが最近始めたH3というラインはなかなかよかったです。コロンビアクレストは昔から好きなワイナリーの1つです。

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Date: 2017/0210 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ヴィナス(Vinous)のアントニオ・ガッローニがカレラ・ジェンセンの記事を書いています(Calera Pinot Noir Jensen Vineyard – A Journey Through Time 1978-2013 (Sep 2015) | Vinous - Explore All Things Wine)。

カレラ誕生についての話から書かれていますが、それについてはこれまで日本でも散々書かれているので省略します。なお、「ロマネ・コンティの畑で拾った」などと言われている、カレラのピノの由来ですが、ここではブルゴーニュから持ち帰ったとだけ書かれています。

1974年に植樹し、1978年に最初のワインを作っています。最初のヴィンテージは24エーカーから全部でわずか1トンの収穫。現在目標だとしている2トン/エーカーと比べてもわずか2%くらいという極端な低収量でした。

その結果、非常に密度が高く、タンニンの強いワインになっているそうです。飲み頃になるまでに数十年かかるワインでしたが、今でもすばらしい味わいだそうです。これこそが「カレラがピノ・ノワールのエリート・プロデューサーの1つであるという証」だとしています。

なお、ジェンセンの飲み頃についてガッローニは10~15年くらいが一番おいしく感じられるが、もっと長く飲み頃が続くヴィネテージも多い、としています。

Jensen

カレラについては、2010年ころまでは評論家の評価はあまり高くなく、結果として米国での人気もさほどではなかった印象があります。日本では1990年代にマンガ「ソムリエ」の影響で人気が急上昇し、年ころは入手困難なワインの1つでした。私もカレラを買うために、朝早くからデパートに並んだことがあります。

マンガで人気に火が付いた話は米国でも報じられていたので、当時の米国のマニアの認識は「カレラって日本では人気らしいね」といった感じであまり高く評価されていませんでした。

我が道を行くオーナーのジョシュ・ジェンセンの姿勢や、除梗なしの造りで飲み頃まで時間がかかることもあり、米国では決して人気のピノではなかったと思います。そういう意味では一貫して人気が続いている日本の方がカレラを理解していたのかもしれませんね。
Date: 2017/0204 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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チャッド・メルヴィル
昨年(「メルヴィル/サムサラのチャド・メルヴィルがピノを語る」)に続いて今年も、メルヴィル/サムサラのチャド(チャッド)・メルヴィルによるセミナーが開かれました。

試飲したワイン(左3本はバレル・サンプル)
試飲したワインはこの6種。左の3本はバレル・サンプルで、いずれも2016年に醸造したもの。1週前に樽から抜き取ってこのセミナーのために日本に送ったのだそうです。

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簡単にメルヴィルのあるサンタ・リタ・ヒルズの基礎をおさらいしておきましょう。サンタ・バーバラのあたりはアメリカの西海岸の中でも太平洋側に突き出た形をしています。そのため、海岸線が南北だけでなく東西になるところもあり、海岸線と平行に走る山脈も東西になります。寒流の流れる太平洋からの冷たい風が、山脈に邪魔されずに内陸に入るため、気温は海からの距離に大きく左右されます。だいたい、3km内陸に入ると摂氏1度くらい気温が上がります。

また、このあたりの土地の多くはかつて海底だったところで珪藻土が表面を覆っています。細かく白っぽく軽い土で、指に着くと指が白くなります。とても痩せていて、水はけのよい土壌であり、冬には豆類をカバークロップとして植えることで、栄養を補っています。

まずはこのバレル・サンプルを元に、クローンの違いなどをテースティングしていきます。

最初のサンプルはイノックスの畑から。ここは2エーカーもない小さな畑で、クローン76だけが植わっています。鮮烈な酸味があり、その下から白い花の香りや青リンゴ、オレンジといったややふくよかな味わいも出て来ます。発酵、熟成とも、ステンレススチールのタンクで、マロラクティック発酵はありません。かつてのダイアトムのワインのように鮮烈で力強くデリケートなワイン。日本人が好きそうな味わい。

次はメルヴィルクローンと呼んでいる出所を明かさないクローンのもの。使い古しの樽を使っています。最初のサンプルより糖度が高く、ワインのボリュームも感じます。色がややピンクになっているのは「少し酸化してしまった可能性が高い。SO2が少なすぎたのかも」とのことでした。最初のサンプルほどの鮮烈さはないけど、ボディに弛んだところはなく、美味しいです。

バレルサンプルの最後はハンゼルのクローン。カリフォルニアで一番古いシャルドネとも言われているハンゼルから直接もらい、接木して増やしたものだそうです。これはミネラルというか、サンタ・リタ・ヒルズの特徴と言われている「ソルティ(塩っぽさ)」を感じました。
後半のワイン

後半は市販のワインから。

エステート シャルドネ2013はメルヴィルで育てている7つのクローンが全て入っています。10~20年の木の大樽で発酵、熟成しています。マロラクティック発酵はしていません。

メルヴィルの畑は全部で120エーカーほどですが、シャルドネはうち14エーカーとかなり少ないです。

これも「ソルティ」を感じました。柑橘系はオレンジ的なややまろやかな感じで、これまでのバレル・サンプルのような強烈な酸味ではありません。

次はエステート ピノ・ノワール2013。6000ケースとメルヴィルのワインの中では最大の生産量のワインです、メルヴィルでは178個の発酵槽を使ってピノ・ノワールを作っており、そこから単一畑や単一ブロックのワインを除いたものが、このエステートに使われています。品質に問題があるものがあれば取り除きますが、これまではそういう問題が出たことはないそうです。なお新樽は使っていません。

40%除梗なしというのはレギュラークラスのピノ・ノワールではかなり珍しいのではないかと思います。チャド・メルヴィルは「ステムを使うのはワインを育てることの一部」だと、こだわりを見せます。収穫は全部で8週間くらいかかるそうですが、最初のうちはステムの熟成度が低いためほとんど使わず、収穫が進むにつれて、茎を使う比率を増やしているそうです。

いちごやラズベリーなど赤系の果実味が中心。かなりエレガントです。昔のメルヴィルのピノ・ノワールはもっとアメリカン・チェリー的なダークな果実味があったような気がするのですが、ちょっと印象が変わりました。

エレガントなだけでなく、タンニンもあり、旨味もかなり感じます。「甲殻類のグリルなどに合う」というのはインポーターさんのコメント。

最後はブロックMのピノ・ノワール。これは2015年のものです。ここは特別にいいブドウができるブロックで、丘の頂上になっています。粘土質の土壌があるとのこと。5エーカーでクローン114と115がうわっています、

酸やタンニンがしっかりして骨格がかっちりした印象。鉱物的なニュアンスもあります。赤系のフルーツの風味はありますが、それほど果実味中心の味わいではありません。エレガントとパワーの中間的ピノ・ノワール。美味しいです。

メルヴィルのワインは自社畑ですべてをコントロールできるため、コストパパフォーマンスも高いです。その印象は以前と同じですが、ワインの味わいはかなりエレガントで近年の嗜好の傾向に合わせて来ているのかなあと感じました。

Date: 2017/0202 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ヴァーナーのオーナーであるVarner兄弟のBob Varnerさんから、畑の件について返事が来ました。

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土地の所有者であるニーリー家と条件が合わずに手放すことになったというのは事実です。FoxgloveとVarnerのサンタ・バーバラのワインについてはこれまで通りとのことです。


また、サンタ・バーバラのワインについては、今後新しいブドウの供給先も探すとのこと。生産設備についても移行を予定していす。