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Date: 2018/0430 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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シルバー・オーク(Silver Oak)はナパとソノマのアレキサンダー・ヴァレーにワイナリーとテイスティング・ルームを持っています。そのアレキサンダー・ヴァレーのサイトが新しく生まれ変わりました。新しいサイトはかつてソーサル(Sausal)があったところで、2011年にシルバー・オークが購入しています。

新ワイナリーの特徴はサスティナブル。LEEDという環境評価のプログラムで最高レベルのプラチナ認証を申請中です。ちなみに、ナパのワイナリーは2006年の火事の後に立て直して2016年にLEEDのプラチナ認証を受けています。
参考:シルバー・オークがワイナリーとしては初のエコ最高レベル認定取得

オーナーのデイビッド・ダンカンは、ただエコにするだけでなく、それがワイナリーにとって意味があることであることを重視しているといいます。例えば、ソーラー・パネルは2年半で「元が取れる」といいますし、水の浄化設備として導入した巨大なメンブレンのバイオリアクターによって、2エーカー分のため池が不要になり、その分畑が増やせるのでこちらもすぐに元が取れるそうです。

以下、いくつかの写真で新ワイナリーを紹介します(写真はシルバー・オークの許可を得て使っています)。

ワイナリーの壁面に使われている木材は、ロバート・モンダヴィで使われていた木製の発酵槽を分解したもの
新ワイナリー

水の浄化に使うメンブレン・バイオリアクター
メンブレン・バイオリアクター

ワイナリーの天井は外光を取り入れるようになっています。なお、ここで作っているのはシルバー・オークのアレキサンダー・ヴァレー・カベルネ・ソーヴィニヨンただ1つ。
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2595枚のソーラー・パネルをインストール。発電量は最大でワイナリーに必要な105%をまかなえるそうです。
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畑と新ワイナリー。周囲の畑にも新たにカベルネ・ソーヴィニヨンを植えています。
畑と新ワイナリー
Date: 2018/0429 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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桃井隆宏さんがソノマで作るアーサーセラーズ。その新ヴィンテージのお披露目にいってきました。

Arthur祭り

アーサーセラーズは2012年が最初のヴィンテージ。今回は2016年なので5ヴィンテージ目にあたります。これまではピノ・ノワールだけでしたが初めてシャルドネが加わりました。

ワインの専門家と愛好家がともにワインを選ぶ「日本で飲もう最高のワイン」では2015年に2013年のピノ・ノワールが愛好家で最高のプラチナ、専門家でゴールド、2016年に2014年のピノ・ノワールが愛好家・専門家ともにプラチナ、2017年に2015年のピノ・ノワールが専門家でプラチナ、愛好家でゴールドに選ばれています。中でも2016年は各ジャンルで1本だけ選ばれる「ベストワイン」に、ミディアムボディの赤のジャンルで選ばれています。

2016年のヴィンテージではピノ・ノワールに畑名として「KR Ranch」と入りました。ファイラ(Failla)やコスタ・ブラウン(Kosta Browne)で有名なキーファー・ランチ(Keefer Ranch)のブドウを使っています。過去のヴィンテージも同じ畑でしたが、あえて畑名は入れていませんでした。キーファー・ランチはマーシー・キーファーさんが亡くなったご主人のロバートさんと作った畑ですが、現在はコスタ・ブラウンが使うブロックはコスタ・ブラウンに売ってしまったため、名前の利用にはちょっとややこしいところがあるようです。

ちなみにシャルドネの畑は秘密。これもかなり有名な畑のようですが、先入観を持って飲んでほしくないとのことで、あえて名前を入れていないそうです。
Arthur祭り

シャルドネから試飲します。新樽は使っていないとのことで、樽からと思われるバニラの香りは軽くするもののそんなにきつくありません。パイナップルのようなトロピカルフルーツの風味。くどくなく透明感ある味わい。果実の自然な甘さと酸のバランスがよく、やわらかさと感じます。アフターに少しだけ苦味があって味を引き締めています。

全体にやわらかさとバランスの良さを感じます。親しみやすさなど、雰囲気的には桃井さんのワイン造りの師であるエド・カーツマンさんが作るオーガスト・ウエストのロゼラズのシャルドネにちょっと似ているかもしれません。

一方、ピノ・ノワールも、色の透明感が第一印象。ラズベリーやストロベリーといったチャーミングな赤い果実の印象。プラムのような酸味も少し感じます。軽いタンニン。こちらもオーガスト・ウエストのグラハムのピノ・ノワールにちょっと似ている気がしました。

シャルドネとピノ・ノワールに共通するのは親しみやすさ。師であるエド・カーツマンさんが、パーカーの掲示板で一番人気のピノ・ノワール生産者に選ばれたほど実力があるのに、全く偉ぶらず、ワインもおいしさや飲みやすさを表現しているのとやはり共通していると思います。

同じ師を持ち、同じ地域でワインを作るフリーマンのアキコさんのワインは、親しみやすさを持ちながら、女性らしいデリケートさや軽やかな感じがありますが、アーサーと比べてみるのも面白いかもしれません。
Arthur祭り
オンラインショップはこちら。
カリフォルニアワイン専門店 アーサーセラーズ ワインブティック
Date: 2018/0428 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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しあわせワイン倶楽部で、ヴァレンタインのカベルネ・ソーヴィニヨン トリーズ・ブロック2006が税抜き2000円台ででています。

久々の紹介なので改めて説明しておくと、メンドシーノでヴァレンタインさんがやっていたワイナリーなのですが、オーナーが亡くなったことで廃業してしまいました。そこのセラーに寝かされていたオールドヴィンテージのものを布袋ワインズさんが輸入して販売しています。そういった事情なので10年超えて熟成した蔵出しワインでありながらとても格安になっています。

特に今回のトリーズブロックはレギュラーのものより格上でこれまでは4000円近くしていました。今回、終売価格で安くなったようです。今のうちにお求めください。

Date: 2018/0427 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2017年のナパのブドウ収穫は金額ベースで7億5080万ドルで、前年を2.9%上回り、これまでの最高記録だったことが明らかになりました(Napa County winegrape value hits record $750M with big cabernet sauvignon jump)。

収穫量ベースでは10630トンで前年より6.9%減りましたが単価の上昇により、金額ベースで上回ることになりました。

品種別に見ると、カベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネとメルローの3種で全体の70%の生産量、80%生産額に達しています。カベルネ・ソーヴィニヨンは66733トンで平均価格は1トンあたり7498ドル。平均価格が1トンあたり7000ドルを超えたのは初めてだそうです。

シャルドネの生産量は20684トンで1トンあたり2811ドル。メルローは13160トンで1トンあたり3390ドルでした。

このほか注目されるのはカベルネ・フランで量はメルローの4分の1程度ながら1トンあたり平均7871ドルでカベルネ・ソーヴィニヨンを上回りました。
Date: 2018/0426 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマの優良生産者クロ・デュ・ボワのシャルドネとピノ・ノワールがしあわせワイン倶楽部でセールになっています。

アメリカにいたころよく飲んだワインの一つで、当時からコスパに定評がありました。今もそのころとほとんど変わらない値段で買えるというのは頑張ってますね。

なお、名前が似ているナパのクロ・デュ・ヴァルとは全く関係ありません。




ピノ・ノワールだけならこちらの方がさらに安くなっています。6本以上で送料無料になるのでまとめ買いにもいいです。


Date: 2018/0425 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ヴィナスのアントニオ・ガッローニがソノマの2016年のヴィンテージなどについて語っています(Sonoma’s Stellar 2016s (Apr 2018) | Vinous - Explore All Things Wine)。

2015年は旱魃で収穫が異常に早く、収穫量も少ない不規則なシーズンでしたが、2016年は8月の終わりからの涼しい気候が功を奏して、ゆっくりとしたヴィンテージになりました。その後も特筆するような危険な状況も起こらず、非常に恵まれたヴィンテージでした。ガッローニは特にロシアン・リバー・ヴァレーのジンファンデルやそのブレンドについて素晴らしかったと言っています。

ただ、ナパと比べ広い上に地形のヴァリエーションが極めて大きいので、全体を語るのは難しいとのことです。

また、今回の記事でヴィンテージレポート以上に詳しく書かれたのがソノマの現状。2017年10月の大火事で5000軒を超える家が消失しました。これらは、主にソノマの様々な労働力となっている中程度以下の住宅であり、仮に家が再興したとしても、そこに住むのは難しいという見解を示しています。

また、家の建て直しなど、建築業界がこれから活気付き、畑の労働者確保は相当シリアスな状況になりそうです。例えば畑の労働者が時給15〜18ドルくらいなのに対し、建築業界では20ドル台半ばの時給が見込めます。また、マリファナ業界も時給はブドウ畑と同じくらいながら、労働はずっと楽だと言われています。

ワイナリーとしては労働者確保のコストが大幅に上がり、その分様々なコストカットが必要になります。そういったことがワインの品質に影響する可能性もあると学校は見ています。
Date: 2018/0424 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマで「ソノマ・カウンティ・バレル・オークション」が開かれました。落札額の合計は84万700ドルで、前年から6%アップ。過去最高となりました(Fervent Bidding Results in a Record-Breaking Sonoma County Barrel Auction | Sonoma Wine)。

このオークションは、参加ワイナリーが専用に作ったワインを持ち寄るもの。ナパで言えばプルミエ・ナパ・ヴァレーに相当します。

今回のトップロットは、昨年10月の大火事の救済を目的とした「レジリアンス」というピノ・ノワール。コスタ・ブラウンをやめたダン・コスタの新しいワイナリー「AldenAlli」や、ウィリアムズ・セリエム、ベノビアが一緒に作ったロシアン・リバー・ヴァレーとソノマコーストのピノ・ノワールです。20ケースで7万ドル。次が同様に「Fortitude」と名付けられたローレル・グレンなどによるカベルネ・ソーヴィニヨンで2万9000ドル。合わせて9万9000ドルが寄付されました。

Date: 2018/0423 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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オレゴンの雄イヴニングランドから学ぶオレゴンワイン(前編)の続きです。
イヴニングランド
試飲のワインは10種類、2014年と2015年のヴィンテージでそれぞれピノ・ノワール2種類、シャルドネ3種類です。普通はこの場合、シャルドネから試飲するのですが、「酸が強く舌が麻痺してしまって、ピノ・ノワールの味わいがわかりにくくなる」(サシ・ムーアマン)という理由で、ピノ・ノワールからの試飲となりました。

ヴィンテージはサシ・ムーアマンが携わり始めた2014年と、より深く関わるようになった2015年。2014年は畑や醸造のチームはそれまでと同じでしたが、2015年は新しいチームに入れ替えています。この2つのヴィンテージはどちらも暖かいヴィンテージでしたが、2015年の方がより温度が高かったとのこと。また、栽培上の違いとしては2014年はカビ帽子のために、葉を多めに取っていっていたそうですが、2015年は日陰をあえてつくることで複雑さを出すのに成功したとのこと。

ピノ・ノワールの2種はレギュラーのセブン・スプリングスと、フラッグシップのセブン・スプリングス「ラ・スルス」。
イヴニングランド

2014年のピノ・ノワールはきれいな酸が特徴的。甘みはほとんどありません。2015年のものは香りはやや控えめ。2014よりもリッチでふくよかな味わい。

限定ブロックから作るラ・スルスは2014年もレギュラーのものよりリッチで複雑な香りです。酸はどちらかというと低め。タンニンがスムーズなのも特徴です。2015年はやや酸が強く、味わいはやわらかめ。個人的には2014年のラ・スルスがピノ・ノワールの中では一番好みでした。

次にシャルドネです。シャルドネはレギュラーのほか、ラ・スルス、そしてサマムという2つの限定ブロックのワインです。これも2014年と2015年。

シャルドネは除梗なしで作ります。ゆっくりとやさしくプレスし、後は基本自然まかせ(イヴニングランドでは培養酵母は使っていません)。ただ、レギュラーのものはラッキングするのに対し、ラ・スルスとサマムはシュール・リーで作られています。シャルドネは、前任のドミニク・ラフォンのコンサルティングがすばらしかったので、基本はそれを採用。畑の植え替えも今後はシャルドネを中心にするというほど、シャルドネはお気に入りだそうです。

2014年のレギュラーのシャルドネ。リッチでクリーミーな味わい。パイナップル、ライチ、ライムなど多様な果実味。きれいな酸。第1印象からすばらしいシャルドネ。若干余韻は短いが、全体的な魅力がすばらしい。

2014年のラ・スルスはリッチで余韻の長いワインでしたが、ちょっと還元香らしい香りが気になりました。2015年はリッチでクリーミー。クリームブリュレのような味わい。ライチやオレンジなどの果実味。

2014年のサマムは、うま味がすごくまろやかな味わい。果実味はそれほど強くないですが、ものすごく複雑な味わい。一方2015年は大分印象が変わって、リッチで果実味もありながら、複雑さもすごい。個人的にはこの2015年がシャルドネの中では一番好きでした。

評価が高いピノ・ノワールはもちろんおいしく、特にラ・スルスの方はレベルの高さを感じました。サシ・ムーアマンとラジャ・パーが主宰していたIPOB(In Pursuit of Balance)では、カリフォルニアにおいて酸を残すことを重点においたワイン造りを志向しましたが、IPOBのワインの中には酸を残すという目的に固執しすぎたためか、味わいに魅力が欠けてしまうこともなきにしもあらずでした。一方、オレゴンでは酸の部分はほぼ自動的に達成できるので、むしろそれ以外の味づくりに専念できるのではないか、という気もしました。イヴニングランドだけでなくエオラ・アミティ・ヒルズのワインには注目していきたいです。

一方、予想以上においしかったのがシャルドネ。スタンダード版でもカリフォルニアの1万円クラスに負けないレベルだと思います。サシ・ムーアマンも、ここのシャルドネのできにはよほど感銘を受けたようで、サンタ・バーバラのドメーヌ・ドゥ・ラ・コートでもこれからシャルドネを作っていきたいと言っていました。




Date: 2018/0422 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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オレゴンで今、一番注目されているワイナリーといえばイヴニングランドで間違いないでしょう。2015年にはワインスペクテーターで年間3位に選ばれています。選ばれたワインは2012年のピノ・ノワール「ラ・スルス」。同誌のレイティングは98点で、これはオレゴンだけでなく、米国のピノ・ノワールとしては過去最高点、しかもその点を取った唯一のワインです。

イヴニングランド サシ・ムーアマン

イヴニングランドが設立されたのは10年前とまだ新しいワイナリーですが、上記の快挙以前から話題のワイナリーとなっていました。例えば、ブルゴーニュのドミニク・ラフォンがコンサルタントとして携わっていたことなどです。また、当初はオレゴンだけでなくカリフォルニアにも畑を買ってワインを作っていました。2014年にはチャールズ・バンクスのグループが買収し、カリフォルニアのサンタ・バーバラでサンディやドメーヌ・ドゥ・ラ・コートでワインを作っているラジャ・パーとサシ・ムーアマンがワインメーカーになりました。

そのサシ・ムーアマンが来日し、セミナーが開かれました。

参考:
IPOBミニインタビューその4――ラジャ・パー、サシ・ムーアマン/サンディ、ドメーヌ・ド・ラ・コート、ピエドラサッシ
武蔵の切れ味、サシ・ムーアマンの世界を味わう

こちらもご参考に。
ドメーヌ・ド・ラ・コートやイヴニング・ランドが亜硫酸削減のためにやっていること
実は、これまでオレゴンのワインは試飲会で多少試飲するくらいで、それほど飲んだことはなかったです。また、その特徴もこれまではあまり知らず、大変勉強になりました。


イヴニングランドの畑「セブン・スプリングス」はオレゴンのAVA「エオラ・アミティ・ヒルズ」に含まれています。エオラ・アミティ・ヒルズは、ウィラメット・ヴァレーのサブAVAです。
ウィラメット・ヴァレー

ウィラメット・ヴァレーはソノマの3倍もある広大なAVAです。その中でワイン造りで重要なのは北側半分。エオラ・アミティ・ヒルズは北側の一番南側になります。この地域は重要な特徴を持っています。それは「ヴァン・ドゥーザ・コリドール」と呼ばれる東西方向の谷が西側にあること。

ウィラメット・ヴァレーは海からは少し離れているのですが、エオラ・アミティ・ヒルズはこのコリドールから太平洋の冷たい風が吹いてくるのです。そのため周囲と比べて気温が低く、収穫が2週間ほども遅くなります。

そもそもオレゴンの特徴は生育期間が短いこと。発芽が遅い一方で、夏の気温はカリフォルニアよりも高く一気に生育が進みます。カリフォルニアのピノ・ノワールでは、酸をどれだけ残すかが重要な課題ですが、オレゴンでは酸は必ず残るのでそれは問題になりません。短い生育期間でいかに成熟させるかが課題となります。生育期間が長くできるエオラ・アミティ・ヒルズが、注目される理由もそこにあります。

カリフォルニアのピノ・ノワールだとストロベリーやラズベリーなどの果実の風味がありますが、ウィラメット・ヴァレーは酸が強いため、クランベリーやザクロ的な風味になります。

酸が残る一方、問題になりやすいのはタンニンです。栽培でなるべくブドウを成熟させるのと、醸造時にあまり抽出しすぎないなどの方法でタンニンをやわらかくしているそうです。

イヴニングランドの畑、セブン・スプリングスは1983年ころに作られた畑です。そのころは接ぎ木ではなく自根で栽培することが多く、ここも実は大部分自根になっています。心配されるのがフィロキセラですが、やはり結構やられてしまっているようです。今回、畑の航空写真を見せてもらったのですが、明らかに生育が遅い区画があります。そこはフィロキセラにやられてしまっているところです。そのため、イヴニングランドでは植え替えもかなり進めています。

試飲レポートは後編で。実はイヴニングランドは白もすごいんです。

Date: 2018/0421 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2017年にワインスペクテーターのワインオブザイヤーを受賞したダックホーンのメルロー、スリーパームスヴィンヤード。受賞は2014年のものでしたが、一瞬で市場から消え去りました。個人的にも試飲会で味わう度に感心しておすすめで取り上げていたワインですから、嬉しさかったです。

その2015年が入荷しています。

このヴィンテージは試飲していませんが、毎年安定しているブランドですし、ヴィンテージ的にも悪くないので、今回もおすすめです。値上がりしなかったのもありがたいところ。

正直言って、ナパのこのレベルのワイン、カベルネ・ソーヴィニヨンなら2万円以上しても全然おかしくありません。そういう意味では格安だし、ブランドとしても十分です。レギュラーのメルローでも8000円くらいするので、それなら1.5倍出してもこちらを選びたいところです。

唯一の問題点は数が少ないこと。買いたいときにいつでも買えるワインではないので、あるときに買っておきましょう。




Date: 2018/0420 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパの名門ワイナリー、ハイツ(Heitz)が売却されました(Napas Heitz Cellar Sold to Arkansas Billionaire Gaylon Lawrence)。購入したのはアーカンソーの大金持ちゲイロン・ローレンス。米国各地で農業を営むほか、銀行も複数所有しています。
Heitz Wine Cellars Cabernet Sauvignon
ハイツは1961年にジョー・ハイツが設立したワイナリー。単一畑のカベルネ・ソーヴィニヨンの先駆けの1つであるマーサズ・ビンヤードのワインで、絶大な人気を得ました。「カルト」と呼ばれるようなワイナリーの先駆けとも言われています。

2000年にジョー・ハイツが亡くなった後は息子のデイビッド・ハイツがワインメーカーとして、娘のキャスリーン・ハイツ・メイヤーズがCOOとして引き継いでいました。

今後は第3世代に委ねていくだろうと見られていたところでの売却だけに、驚きがありました。

なお、売却内容にはワイナリー、テイスティング・ルーム、400エーカーを超える畑が含まれています。ただし、マーサズ・ビンヤードはメイ家が所有しており、今回の取引には含まれていません。新ハイツが引き続き契約を続ける見込みです。

新しい社長とCEOにはジョセフ・フェルプスなどで活躍したロバート・ボイドが就任。ハイツ家の二人は引退します。
Date: 2018/0419 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパにスパークリングワイン専業のカスタム・クラッシュ(ワインの醸造や熟成を行う施設)が誕生しました(New project in Napa, Brut Custom Crush)。名前は「ブリュット・カスタム・クラッシュ」。設立したのは、ナパにあるカスタム・クラッシュの「ワイン・ファンドリー」(Wine Foundry)と元シュラムスバーグのワインメーカーのクレイグ・ルーマー(Craig Roemer)氏、トルスー・ブリュット・ボトリング(Trousseiux Brut Bottling)という移動瓶詰めサービス。

ソノマのヒールズバーグにはラック・アンド・リドル(Rack and Riddle)というスパークリング・ワインのカスタム・クラッシュがありますが、これまでナパには似たような設備がありませんでした。これで、小規模な生産者がスパークリング・ワインに参入しやすくなります。

なお、施設は既存のワイン・ファンドリーのものを使います。ワイン・ファンドリーはこれまで赤ワインを中心にビジネスをしており、スパークリング・ワインの醸造とは時期が異なるので共存できるといいます。

ワイナリーでクラブメンバー向けにスパークリング・ワイン作りたいところとか、多いのではないかと思います。これは良さそう。
Date: 2018/0417 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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サンフランシスコをベースにして、ワインの偽造鑑定を長年てがけてきたモーレン・ダウニーさん。「ワインのシャーロックホームズ」といった異名も持つ彼女が始めたのがブロックチェーンを使ったワインの認証サービスです(Wine fraud expert uncorks blockchain technology to protect integrity of expensive vintages - San Francisco Business Times)。

仕組みはこんな感じ。ワインを鑑定すると、そのワインの特徴を80以上のデータで記録します。この情報はブロックチェーン上で偽造できないようにされます。また、そこからワインの指紋となるようなユニークなIDを生成します。この情報はチップに埋め込まれ、何らかの方法でコルクに格納されるようです。チップはフェリカのような近接通信の機能を持っていて、外から読み取ることが可能です。それによってブロックチェーン上の情報と照合できるので偽造が防げるとのことのようです。

記事を読んだ限りでは、最終的にはワインの生産者にこの技術を採用してもらいたいようですが、生産者はそれぞれ偽造対策を始めているので、なかなかハードルは高そうです。

そうなるとワインを鑑定してもらう人が対象ということになるとおもいますが、その場合、チップの埋め込みをどのようにやるのかわかりません。ちなみにチップをコルクに埋め込むのはコラヴァンで、中身だけ、入れ替えられるのを防ぐ(コルクに針が刺さったときにチップが壊れるようにしている)ためだそうです。

また生産者に採用してもらう場合、ワイン一本一本に異なるIDを割り当てるのか(鑑定にかかる手間とコストが大変なことになりそう)、ひとつの種類のワインはIDを、共有するのか(データと合わないワインが出てきそう)、よくわかりませんでした。

宝石の世界では鑑定書をブロックチェーンで管理する技術が既に使われており、今回はその会社との提携によってサービスを始めたとのことですが、いろいろと敷居が高そうな感じがします。

Date: 2018/0413 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Ridge Monte Bello

リッジのオーナーである大塚製薬についての記事が健康・医療系の情報サイト「STAT」に出ていました(The strange story of a pharma company's Silicon Valley winery)。ワイナリーを保有する会社は数あれど、製薬会社が持つケースというのは珍しく、その不思議さを追った記事となっています。

大塚製薬がリッジを買収したのは1986年。日本はバブル景気が始まったころで、海外への出資も盛んだったのは確かです。例えばサントリーは1984年にソノマのシャトー・セント・ジーンに出資、キリンは1989年にナパのレイモンドに出資、サッポロビールは1987年にナパのサン・クレメントを買収するなど、ビール会社が相次いでナパ、ソノマに進出していました。しかし、サントリーは1996年、キリンは2009年、サッポロは1999年に手放しており、大塚だけが残ったような格好です。

大塚はリッジにとっては理想的なオーナーと言えるでしょう。「よいワインを作りなさい、赤字にはならないように」という2ポイントだけで後は基本任せきり。ときどき接待で、さまざまな人をつれてくるくらいだといいます。ただ、毎年1月にはサンフランシスコでヘルスケアの会議が開かれるため、その期間だけはひっきりなしに客を招いているとのこと。

このあたりが、事業として進出して、後に手放してしまったビール会社との違いなのでしょうか。

2000年以降は、新たに日本の会社がカリゴルニアに出資する話はほとんど聞きません。その代わり、マボロシ・ワインの私市さんや、フリーマンのアキコさんのように、個人でワイナリーを始めるケースは増えてきました。また、ナパではカプコムの辻本憲三氏がケンゾーを始めました。これは会社とは関係なく、ほとんど個人の趣味のようなワイナリーです。

細く長く持ち続けている大塚製薬、オーナーとしてはめだたないけど、立派な態度ですね。
Date: 2018/0412 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国西海岸をベースにワインの分析をてがけるETS研究所の研究者が2017年の火事による煙汚染の影響について報告しています(ETS Laboratories smoke taint research - The viticulture blog)。

過去の研究から、煙の粒子はブドウの実や葉に吸収され、「グリコシル化」されます。これによって、一旦は無臭になるため、収穫時に汚染されたブドウとそうでないブドウを分けるのは困難です。しかし、発酵中にそれは加水分解され、煙臭くなってしまいます。

ラボによる分析では「グアヤコール」の濃度を調べることで、どれくらい汚染されたか調べられます。2015年の火事で煙汚染されたブドウの場合、通常の3から5倍ものグアヤコールが検出されたといいます。

2017年の場合は、1.6倍にとどまっており、思ったほど煙の影響はなさそうなことがわかりました。火事が発生したのが収穫時期の終盤で、ブドウへの吸収がさほど行われなかったのが理由ではないかと考えられています。

また、研究によると、ブドウを洗ったり発酵時間を短くすることは、煙汚染の害を減らすのには役立たないとのこと。葉の混入を防いだり、なるべく小ロットずつ発酵させることを薦めています。一度煙の影響が出てしまうと、そらを取り除く有効な対策は見つかっていません。
Date: 2018/0410 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパで米国初となる農地保全条例が施行されたのが1968年。今年はそれから50年になります(Born in controversy, Napa County's ag preserve celebrated on its 50th anniversary)。

大都市サンフランシスコから車で約一時間。開発の波が押し寄せてきそうなのがそのころでした。1960年代といえば、シリコンバレーにもIC関係の企業が次々と設立され、その呼び名が始まったころ。インテルが設立されたのも1968年でした。

一方、ナパはまだブドウ畑も現在の3分の1。ブドウが主産物ではありましたが、牛肉もほとんど同じくらいの生産規模だったそうです。

条例の制定はナパを真っ二つにわける議論を巻き起こしました。当時まだできたばかりのロバート・モンダヴィでワインメーカーをしていたワレン・ウィニアスキーは賛成派。しかしワイン業界の重鎮だったジョン・ダニエル・ジュニア(元イングルヌックのオーナー)は反対だったそうです。

結果としてはナパがワイン産地として隆盛を築く原動力の一つになったこの条例ですが、ナパは今も、開発の是非で揺れています。

今問題になっているのは、斜面でオークの木の伐採を認めるかどうか。水の保全などのために条件を限りなく厳しくする案が浮上しています。ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズなどは根拠が曖昧だとして、今回は反対に回っており、またヴァレーを大きく二つに分けています。これが決まると斜面におけるブドウ畑の開発はこれまで以上に困難になり、ほとんど不可能ということにもなりかねない、実はナパの将来にとっても重要な問題です。話が複雑すぎて、結果が出てから紹介しようと思っていましたが、この機会に触れておきました。
Date: 2018/0408 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先月、「復活、ナパ・ハイランズ 4月入荷分の予約始まる」という記事で予約が始まっていると紹介したナパ・ハイランズですが、無事に出荷始まっているようです。とはいえ人気商品ですし、一度途切れるとまた数カ月入荷待ちにならないとも限らないので、早めに買っておいた方が無難かもしれません。

なお、この価格帯のワインは現在激戦区となっており、インポーター各社力を入れています。こちらもご参考に。
次のナパ・ハイランズはどれ? 良質ワインひしめき合うアンダー5K市場


ケースで買えば送料無料です。
Date: 2018/0408 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ハーバード・ビジネス・レビューといえば、経営者に人気のビジネス誌ですが、そこにオーガニックワインについての記事が出ていました(How Organic Wine Finally Caught On)。

Pinot Grigio prior to harvest, vintage 2012

記事によると、オーガニックなブドウ畑は全体の5%。米国ではオーガニックなワインは全体のわずか1%に過ぎません。米国で、牛乳や野菜などでオーガニックがはやっているのに比べるとワインはかなり遅れている印象があります。オーガニックな食品のスーパーとして知られているホールフーズでも、実はオーガニックなワインはあまりプロモートされていないといいます。

オーガニックなワインが流行らなかった1つの理由は品質の低さ。酸化など劣化したワインの比率が高く、流通や小売りで避けられてしまいました。

なお、米国ではUSDAが「オーガニック・ワイン」として認定するためには二酸化硫黄、いわゆる酸化防止剤の添加が禁じられています(欧州では認められています)。「made with organic grapes」の場合は認められています。このあたり、いろいろめんどくさいですが、日本だとそもそも認証制度がないので、それに比べるとちゃんとしているとも言えます。というわけで米国で「オーガニック・ワイン」と認証を受けている場合は酸化防止剤は加えられていないはずです。これをプラスととらえるかマイナスととらえるかは人それぞれだと思いますが…

この記事で取り上げているオーガニック・ワインも必ずしもUSDAで認定されているものだけではなく、日本でいう「自然派ワイン」みたいなわりと広いところで捉えていますが、ともかくマイナスイメージがつきまとっていた製品であったということです。

風向きが変わってきたのは2010年ころから。コペンハーゲンにあった有名レストラン「Noma」がオーガニックなワインだけをリストに載せていたなど、高級レストランからその波は始まったようです。20世紀末のオーガニックな波には乗りそこねたオーガニックワインですが、21世紀の「地域固有の、職人技による」食品の波に乗ってきました。特にバイオダイナミック(ビオディナミ)のワインについては高く評価されるものが増えてきました。

そういった形で遅れ馳せながら、米国でもオーガニックなワインはようやく市民権を得てきたようですが、最近は「オーガニック」という言葉より「サスティナブル」の方が消費者人気は高いといった、新たな事象も起きているようです。

個人的には、オーガニックや自然派を標榜するところには、ちょっと眉につばをつけてしまうところがあります。前にも書きましたが、オーガニックは目的じゃなくて手段だと考えているからです。「オーガニック」を目的として結果的に美味しくないワインを作っているとしたら意味がないと思います。一方で、美味しいワインを作るためにいろいろやっていった結果として自然派になっていったというのは理解できるし、応援もしています。実際、数万円というレベルのワインの多くは、多かれ少なかれ自然派になっていると思います。ただ、それをわざわざ打ち出すとことはほとんどありません。
Date: 2018/0404 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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セントラル・コーストのグルナッシュについての記事がWine Enthusiastに載っていました(How California’s Central Coast Winemakers are Making Grenache Their Own)。ブレンド用のブドウとみなされてきたグルナッシュですが、最近ではグルナッシュをメインの品種とするワイナリーも増えてきました。品質も向上し、高品質なピノ・ノワールに匹敵するレベルのワインが、その半額で手に入るようになってきました。

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グルナッシュの先人は、ボニードゥーン(Bonny Doon)のランドール・グラーム。1980年代に人気ワイン「シガール・ヴォラン」に使い始め、その後「クロ・ドゥ・ギルロイ」ではグルナッシュをメインに使っています。

しかし、後に続くワイナリーはあまりなく、いても品質は今ひとつでした。

1990年代にタブラス・クリークができ、フランスのボーカステルからクローンを輸入して植えました。この高品質なクローンが、グルナッシュの品質向上に大きく貢献しています。

グルナッシュは非常に成長しやすく、実もたくさんつけやすいブドウです。カリフォルニアではほうっておくと、一房がバスケットボール大にまでなってしまい、ブドウの実もプラムのように大きくなってしまいます。そうなると、ワインのフレーバーは味気なくなってしまいます。難しいブドウと言われるピノ・ノワールよりも、おいしいグルナッシュを作るのは難しいようです。しかし、しっかりと熟成させたグルナッシュは、酸もしっかり残り、レッド・フルーツのフレーバーやローズ・ペタル、コーラのようなスパイスの風味が出てきます。

現在ではKaena、Casa Dumetz、A Tribute to Graceといったワイナリーがグルナッシュをメインに作っています。ビリキーノなどもデリケートで高品質なグルナッシュを作っています。

また、ライトでデリケートなグルナッシュだけでなく、インクのような濃いグルナッシュを作るワイナリーもいくつかあります。この記事では登場していませんが、シン・クア・ノンはグルナッシュでも非常に高く評価されていますね。

個人的にはまだまだグルナッシュについては経験不足であまり語れませんが、おいしいグルナッシュが増えてきているのは実感しています。もっと多くのグルナッシュが日本にも入ってくるといいですね。

Date: 2018/0403 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマのグリーン・ヴァレーにあるロン・ルビン・ワイナリー(Ron Rubin)。今まで聞いたことのなかったワイナリーですが、ワインと関係ないところで非常にユニークな取組をしています(Ron Rubin Winery Trained for "Saving Lives" Program expands to include all of the North Coast)。
Ron Rubin
2017年の秋から、ソノマのワイナリーを対象にAED(自動体外式除細動器)を無料で配布していたのですが、その対象をナパ、ソラノ、レイク、マリン、メンドシーノの各郡にまで拡張したのです。

参加するワイナリーは、従業員のトレーニング代として、赤十字に一人あたり60ドルを払う必要がありますが、コストはそれだけ。1台1700ドルというAEDのコストはすべてロン・ルビン・ワイナリーが負担します。

これまでのところ89のワイナリーが、これでAEDを入れました。

オーナーのロン・ルビンさんは2009年に心室頻拍で病院にかつぎこまれ、九死に一生を得ました。それでAEDの必要性に思い至り、今回のプログラムを始めたのだそうです。

ちなみに、心室頻拍の際に救急を呼んだ息子のトッドは「The Republic of Tea」というお茶の会社の社長をやっているそうです。

ともかく、この奇特なプログラムがいろいろな人の役に立つことを祈ります。
Date: 2018/0402 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国のスーパー「トレーダージョーズ」(Trader Joe's)で3.99ドルの有機ワインを発売することが判明しました。
Charles Shaw Oaganic

ワインの名前は「チャールズ・ショー・オーガニック(Charles Shaw Organic)」。2ドルのワイン、通称「2バック・チャック」で名を馳せたチャールズ・ショーのワインです。

「有機」人気の高まりによって作らざるを得なくなったようですが、どれくらい売れるでしょうね。2バック・チャックの高級バージョンということになるのでしょうか。

それからもう1つ、新しいワインではコルクを取るために「Helix」という新しい製品を使います。これは、コルクでありながら、スクリューキャップのようにひねるだけで外せます。

4ドルの有機ワイン、売れるのかどうか注目です。