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Date: 2018/0531 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのセントヘレナにある人気レストラン「テラ」(Terra)が30周年を目前にして、6月2日で閉店することが判明しました(Wine Country institution Terra to close after 30 years in St. Helena - SFGate)。

テラは、日本人のシェフ曽根さんが作ったレストラン。長い間、ナパを牽引してきたレストランの一つ。日本料理にも大きな影響を受けた地中海料理を提供していました。

閉店の理由は人手不足。家賃の高騰で外から働き手が来なくなったそうです。昨年秋の火事の後は、焼け出された人の救済が最優先となり、さらに住むところを見つけるのが難しくなったとのこと。

曽根シェフの今後は決まっていませんが、まだ引退はしないそうです。少ないスタッフで切り盛りできる小さなビストロでもやろうかという話もあるとかないとか。

閉店は残念ですが、今後また新たな活躍を期待したいです。昔行ったのが懐かしい…
Date: 2018/0529 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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毎年恒例のオークション・ナパ・ヴァレーが今週末に開催されますが、それに先立ち、ネットで入札可能なオンラインのオークションが始まっています(The E-Bidder Experience)。

オンラインのオークションは2種類あり、一つはオンライン専用に出品された商品に入札する「E-オークション」、もう一つは現地の入札と併せて行われる「バレル・オークション」。

「E-オークション」の方は、食事やツアーなどワイン以外のものも含むのが普通。一方、バレル・オークションの方は入札上位者10名が、1ケース(12本)のワインを購入できるというもの。

奮ってご参加ください。
Date: 2018/0528 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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アルノー・ロバーツは「ニュー・カリフォルニア」と呼ばれるワイナリーの1つ。アルコール度数を下げ、繊細な味わいのワインを作っています。今回、ワイナリー創設者の一人であるネイサン・ロバーツ氏が来日、その試飲会に参加してきました。

ネイサン・ロバーツ氏

ダンカン・アルノー・マイヤーズ氏とネイサン・ロバーツ氏は幼馴染。ネイサン・ロバーツはロバート・モンダヴィの奥さんだったマルグリット・モンダヴィの孫で、父親は樽職人。アルノー・ロバーツの樽は本人が作っています。またラベル・デザインはマルグリット・モンダヴィによるものだそうです。

2002年にワイナリーを始め、今では生産量が7000ケース。作っているブドウの種類が10種類、畑が23カ所と少量多品種でワインを作っています。

アルノー・ロバーツは「ニュー・カリフォルニア」という言葉が生まれる契機にもなったジョン・ボネの書籍「ニュー・カリフォルニア・ワイン」でも冒頭に登場します。では、何がニューなのでしょうか。

カリフォルニアワインというと一般的なイメージでは、果実味が強く、アルコール度数も高く、濃厚な味わいのカベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネになるでしょう。「ニュー・カリフォルニア」はこれとは逆に、アルコール度数は低く、マイナーな品種にも積極的に取り組み、繊細な味わいのワインです。

私もこれまで何回かの試飲会でアルノー・ロバーツのワインを試飲しましたが、100種類以上のワインを試飲するような会においては、その繊細さが故に、味わいを評価するのはなかなか難しく感じることもありました。今回はアルノー・ロバーツのワインだけをまとめて試飲することで、ようやくその姿が見えてきたような気がしました。

アルノー・ロバーツのワインを一番特徴付けるのは、その畑といっていいでしょう。冒頭に23の畑と書きましたが、その大部分が世の中に知られていないところ。とりわけ冷涼な地域にフォーカスしています。例えばソノマ・コーストの畑からシラーを作るというのは、「異端」といってもいいかもしれません。

ワインはいずれもアルコール度数が低く、果実味も抑えたスタイル。ただ、それでも「薄くて味が弱い」とか「酸っぱすぎる」といった形にならず、凝縮感すら感じるのは、単純に収穫時期を早くすることで糖度を低くしているのではなく、しっかりぶどうが熟成しても糖度が上がらないような畑を選んでいるからだとのことです。

今回試飲したのはシャルドネ2種、リボッラ・ジャッラ1種、ガメイ・ノワール1種、トルソー1種、ピノ・ノワール2種、カベルネ・ソーヴィニヨン4種、シラー4種。

おそらくこの中で一番初心者向けなのはソノマ・コーストのシラー。ここでは数少ないAVAのワインです。親しみやすい味わいですが、スパイスやケモノっぽさもあります。ちなみにここのシラーは除梗なしで作るのが特徴の一つ。ピノ・ノワールも除梗なしで、カベルネ・ソーヴィニヨンも3割は除梗なし。それも味の深みを出している要素の一つのようです。
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クラリ・ランチのシラーもよりスパイス感が強く、ジューシー。かなりおいしいです。これだけはラベルのデザインも違っています。
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サンタ・クルーズ・マウンテンズにあるフェロム・ランチのカベルネ・ソーヴィニヨンは、ここのワインの中では濃厚なタイプでタニック。杉の香など、複雑さがあるワイン。
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シャルドネのトラウト・ガルチはサンタ・クルーズ・マウンテンズの畑。ミネラル感がありマーマレードのような風味もあって美味しかったです。
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ピノ・ノワールのリーガン・ヴィンヤードもサンタ・クルーズ・マウンテンズの畑。革のニュアンスがあって複雑な味わい。
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アルノー・ロバーツのワインはわかりやすい美味しさのものは少なく、飲み手にも知識や経験などを要求するところがあるように思います。ひと味ちがうワインを求めている方ならトライする価値は大きいと思います。

Date: 2018/0526 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマ全体のワイナリー団体である「ソノマ・カウンティ・ヴィントナーズ」が5月25日に、日本で初の試飲会を開催。これに合わせて来日した同団体のジェスリン・ジャクソン海外プログラム担当ディレクターに話を聞きました。
ジェスリン・ジャクソン国際プログラム担当ディレクター
――ご自身の経歴を教えてください。

ジェスリン:米国の南東部の出身です。南東部というとビールばかり飲んでいるイメージがあると思います。でも案外ワインも飲むんですよ。やっぱり人気があるのはビッグな赤ワインですが。

私はレストラン業界で働いていて、それでワインに興味を持ち、ソノマなどのワイナリーにも訪れるようになりました。それで6年前にカリフォルニアに越してきて本格的にワイン業界に入り、3年前からソノマ・カウンティ・ヴィントナーズの仕事をしています。

――ソノマの魅力を簡単に言うと。

一口で言えば「多様性」です。作られているブドウ品種は60種に上ります。気候は暖かいところから寒いところまであります。例えばペタルマの町から10分ドライブしたら、それだけで気温が5℃も変わるんですよ。

――隣のナパと比べると、ソノマ全体を発信するマーケティング的な力が弱く感じますが。

それで、今回の試飲会を開催しました。これが大きな第一歩になると思っています。ソノマには小さなワイナリーが多く、輸出について何をしたらいいか、どういうワインが売れるのか、価格はいくらくらいか、など分かっていないところも多々あります。まずはさまざまなマーケットに出かけていくことが必要ですし、今回のような試飲会も毎年開催したいと思います。

輸出に熱心なワイナリーは70程度あり、今回は20のワイナリーから来日しています。このあと香港で行われるVinexpoでは一緒に行くワイナリーは9社ですから、今回はその倍以上です。力を入れていることがおわかりいただけるのではないかと思います。

――ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズは毎年「バイ・ザ・グラス」のような飲食店を巻き込んだプロモーションもしています。

今回、スタンプラリーを開催するのをまずはきっかけにしたいと考えています。(「ソノマのワインが当たる! スタンプラリーが6月10日まで開催」参照)

――昨年秋の火事の影響はどうでしょうか。

2017年は9月に熱波がやってきて、収穫は全般に早まりました。火事の前に9割は収穫が終わっていました。品種によって収穫時期に、違いはありますが、収穫が終わった分については火事の影響は受けなかったと考えています。

――ナパと比べるとソノマは広く、旅行者にとってもどこに行ったらいいのかわかりにくく思います。おすすめはありますか。

ソノマ市のあたりには、今回来日したワイナリーの中でブエナ・ビスタや、スリー・スティックスなどがあります。そこでいくつかのワイナリーを回ったら、今度は別の町に行くのがおすすめです。例えばヒールズバーグにはソノマから50分のドライブで付きます。2、3の町を回るのがいいと思います。

――ありがとうございました。
Date: 2018/0525 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマカウンティ・ヴィントナーズは本日(5月25日)に日本で初の試飲会を開催。翌日から6月10日までソノマのワインやグッズが当たるスタンプラリーを行います。
ドリンクソノマワイン
実施店舗は
Ed.parlor
ワインテラスユーメ
WINE MARKET PARTY
ile de colline (イルドコリンヌ)
beer&wine厨房 tamaya 八丁堀店
Californiawine&Italian BLUE
有限会社鬼頭商店「RIDENTE」
四谷パリス
歩路庵
ワインショップUrara
aizbar
DEAN&DELUCA 品川店
DEAN&DELUCA 六本木店
カーヴ・ド・リラックス
GRAHM'S CAFE
RESTAURANT INDIGO

1000円以上のワインを購入するか、お店でオーダーすると、スタンプがもらえます(スマホのブラウザーで参加します)。

ロゴ入りグッズはスタンプ1つで応募、ワインはスタンプ2つで応募できます。スタンプを多く集めれば、複数回応募できます。例えばスタンプを10個集めて、ワインに4口とグッズに2口応募、といった形が可能です。
当選数はロゴ入りグッズが20人。ワインが15人。

特に、この週末は来日しているワイナリーの方々が参加店舗に現れる可能性大。一緒に写真を撮ったり話を聞いたりできるかもしれません。

詳しくはこちらから。
スタンプラリー | SONOMA IN THE CITY TOKYO 2018
Date: 2018/0524 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ガロでプレミアムワイン担当の副社長を務めるロジャー・ナベディアン氏がインタビューに答えています(An Interview with Gallo's VP of Premium Wine)。かいつまんで内容を紹介します。

まず、ガロのポジショニングについて。ガロは先頭を切って分野を開拓してはいないかもしれないが、分野を確立するのに貢献しているとしています。例として、90年代のピノ・グリジオ、ここ10年くらいのレッド・ブレンドを挙げています。 

次にワイナリーの買収について。大きかった買収の一つとしてウィリアム・ヒルを挙げています。シャルドネの販売に効果的ではないかと考えての買収でしたが、プレミアム系のワイナリーの買収として、一つの転機になったようです。

また、ここ5年ではオリン・スウィフトとステージコーチ(畑)の買収を挙げています。オリン・スウィフトは創設者のデイブ・フィニーと協力関係を持つことによって、様々な刺激が得られたとのこと。

ステージコーチについては、これからどうなるのかという質問に対し、もちろん、ガロ傘下のワイナリーでブドウを使っていくが、外部への販売も続けるとのこと。ただ、現在90あるという売り先は多少絞られることになりそうです。2002年に買収したソノマのモンテ・ロッソについても未だに他社への販売を続けており、ステージコーチも同じようになるとの見方を示しました。
Date: 2018/0523 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Hooker HouseBedrock Wine to Open Plaza Tasting Room - Wines & Vines
ベッドロックがソノマの中心にある「プラザ」近くにテイスティング・ルームを開きます。ベッドロックとしては初のテイスティング・ルームです。

「Hooker House」という歴史的な建物が2017年にリースに出て、それを借りることにしたとのこと。

ソノマはプラザ周辺のテイスティング・ルームの認可を中断しているのですが、その中断期間にはいる直前に認可が下りたのもラッキーでした。

今後数週間のうちに「ソフトオープン」する予定とのことで、まだどのような運用になるのかわかりませんが、ベッドロックのワインが手軽に味わえるようになるのは朗報ですね。


ちなみに、この写真はベッドロックのオーナーであるモーガン・トゥエイン・ピーターソンのインスタグラムから。

Hooker Houseの裏に、ベッドロックの畑から持ってきた石を使って塀を作っているのだとか。こんな石がごろごろしている畑もすごいですね。
Date: 2018/0522 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイン・サーチャーに最も検索されているナパのワインは何かという記事がでていました(The World's Most Wanted Napa Wines)。

結果は概ね予想通り
1 Opus One
2 Screaming Eagle
3 Dominus
4 Caymus
5 Joseph Phelps Insignia
6 Harlan Estate
7 Caymus Soecial Selection
8 Scarecrow
9 Silver Oak
10 Shafer Hillside Select

おそらく半分以上は予想したワインか入っているのではないでしょうか。10年前にやってもほとんど同じ結果になりそう。スケアクロウくらいですかね。この10年で有名になったのは。

逆に、コルギンとかシュレーダーとかが入らなかったのはちょっと不思議なかんじもします。

それにしてもケイマスは根強い人気ですね。2つランクインしたのはちょっと驚きでした。

ソノマだともっと意外な結果が出そうですが、どうなんだろう?
Date: 2018/0521 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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しあわせワイン倶楽部でシミのシャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨンが格安になっています。ナパデ言えばフランシスカンなど、ちょっといいワインが格安で飲めるワイナリーの代表格。19世紀から続く歴史あるワイナリーでもあります。

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Date: 2018/0520 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ダックホーンのワインと食事とのマリアージュを探る(前編)の続きです。
ニール・ベルナルディ氏
4本目のワインはキャンバスバッグ(Canvasback)。ダックホーンがワシントン州に開いたワイナリーです。レッドマウンテンというAVAに18エーカーの畑をもっています。

ワシントン州というとカリフォルニアよりも大分北になるので涼しいイメージがありますが、実際には、ワインの産地はやや内陸よりになるので、カリフォルニアの沿岸地域よりも夏の気温は高く、良質のカベルネ・ソーヴィニヨンが作られています。
カシスの香り、ミント。かなり密度の濃いカベルネ・ソーヴィニヨンですが、酸とタンニンもしっかりしており、カリフォルニアのカベルネよりもクラシックな作りに感じます。

まずは、前のワインで合わせた豚のローストと合わせてみましたが、豚の脂がカベルネ・ソーヴィニヨンのタンニンと中和して、とてもおいしい。

鴨のロースト
一方、このワイン用に出てきた料理は鴨のロースト。味わいにちょっと血のニュアンスがあり、カベルネ・ソーヴィニヨンのタンニンと喧嘩してしまうので、普通であればピノ・ノワールの方が合います。ここでは、そこに山椒と塩を少しつけて食べるとタンニンが気にならなくなります。これもなかなか優秀なテクニック。

5本目のワインはパラダックス。「ダックホーン/パラダックス・セミナー 赤ブレンド老舗の気概」で紹介したように、土着品種とカベルネ・ソーヴィニヨンなどをブレンドしたワインが特徴で、ジンファンデルとのブレンドを作っています。
ジンファンデルが入っている分、これまでのワインと比べて甘みが強く出ています。タンニンと酸もかなり強く主張するワイン。スパイシーさもあります。

料理はハンバーガー。ケチャップの甘みと酸味がワインに合わせるときにちょっと気になるところです。
ここではそこに黒胡椒やバルサミコクリームを加えることでの味わいの変化を見ました。

最後のワインは本家本元ダックホーンのメルロー2013です。カシスの風味、酸もタンニンも比較的しっかりとしたストラクチャーのあるメルロー。スリー・パームス・ヴィンヤードほどではないですが、おいしいです。

料理はここでもハンバーガーと合わせます。粒マスタードなどを加えることでより相性がよくなりました。


ブリッジ食材によってワインとのマッチングが変わる様子は面白く、ためになるセミナーでした。ただ、ワインの種類によって合うブリッジ食材も変わり、なかなか何が何に合うか覚えておくのは難しいかもとおもいました。

ダックホーンのワインは今回はどれもスタンダードなクラスのものですが、料理にも合わせやすい味わいでした。それぞれワイナリーごとの個性もあり、ワインの比較テイスティングという意味でも面白かったです。
Date: 2018/0519 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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国によって安全な飲酒量の目安は大きく異なっています。日本では一日20グラム以下(男性の場合)が目安となっており、米国では週200グラム程度ともっと多くなっています。これを、死亡率が低下しない程度ということで、統計的に調べた結果が出ていました(安全な飲酒量の目安はエタノール週100g以下:日経メディカル)。

それによるとエタノール換算で週100グラム以下が統計的に死亡率を下げない限界とのこと。

ワイン1本で考えるとアルコール度数が14度として、750*0.14*0.8=84グラム(アルコールの比重を0.8として計算)となります。逆にアルコール100グラムを換算すると100/0.8/0.14=893ミリリットル。1本とグラス1杯ちょっとなら大丈夫そうです。

ちなみにビールの350ミリリットル缶なら350*0.05*0.8=14グラム。ワイン1本と缶ビール一つでだいたい100グラムになります。

週にこれだけですから、飲み会が週2回あったら簡単に超えてしまいますね。

あくまで統計的にいえることだけではありますが。
Date: 2018/0517 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2017年にはメルロー「スリー・パームス・ヴィンヤード」2014がワイン・スペクテーターのワイン・オブ・ザ・イヤーに選ばれて絶好調なのがダックホーン。傘下の5つのワイナリーも、それぞれの役割をきちんと果たしていて、どこもレベルの高いワインを作っています。

参考:
ダックホーン/パラダックス・セミナー 赤ブレンド老舗の気概
ダックホーン/パラダックス・セミナー 試飲編
ダックホーン・セミナー
そんなダックホーンのワイン造りを束ねるニール・ベルナルディ氏が初来日し、ダックホーン傘下の各ワイナリーのワインと食事とのマリアージュを考えるセミナーが開かれました。
ニール・ベルナルディ氏
マリアージュを指南したのはナパ・ヴァレー・ヴィントナーズの日本代表でもある小枝絵麻(こえだ・えま)さん。彼女のマリアージュの考え方は非常にシステマティックで、まず、ワインの「重さ」と食事の「重さ」を合わせること、そしてワインのフレーバーと共通する要素を持つ「ブリッジ食材」を使ってマリアージュを深めること、の2段階からなります。今回はさらに、食事の「重さ」を食材や調理法でポイント化することで、よりわかりやすくマリアージュを図れるように工夫されていました。
小枝絵麻さん
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参考:
ワインと食事のマリアージュに「ブリッジ食材」のマジック
ブリッジ食材

最初のワインはデコイのソーヴィニヨン・ブラン2016。デコイはダックホーンのセカンド的位置づけでしたが、現在はソノマに移り、ソノマ全域のブドウからコスト・パフォーマンスの高いワインを作っています。合わせる食材はグレープフルーツのシーフード・サラダ。
グレープフルーツのシーフード・サラダ
ワイン自体もグレープフルーツの香りに、最後ハーブのニュアンスが残ります。酸はしっかりとしていますが、強すぎず、グレープフルーツとオレンジのフレーバーとバランスがいいです。
これをグレープフルーツのサラダと合わせると、どちらも似たフレーバーなのでもちろん合うのですが、ちょっと酸が強くなる感じがします。ところが、ここにライムを少しかけてあげることで、ワインの余韻が大きく伸びてきました。

次はマイグレーションのシャルドネ ロシアン・リバー・ヴァレー2014。マイグレーションは冷涼なソノマ・コーストのブドウからピノ・ノワールやシャルドネを作っています。料理はブランダード。魚のすり身とじゃがいもを牛乳で煮た、グラタンのような料理です。
ブランダード
シャルドネは90%樽(30%新樽)を使った比較的クラシックな味わい。リッチでバニラの風味が心地よいです。ライチやオレンジのフレーバー。酸は強くないですが、フィニッシュを引き締めています。10ヶ月シュール・リーで熟成しており、うまみがしっかりとしているのも特徴。

ワインは料理のミルキーさとマッチしていましたが、魚のタラが淡白なので、若干ワインに押されている感じもします。そこでアーモンドを足すと、ワインのリッチさとうまくマッチしました。またさらにゆずを足すことでワインのリッチさがさらに増す感じがしました。

3つ目のワインはゴールデンアイのピノ・ノワール アンダーソン・ヴァレー2015。ゴールデンアイはメンドシーノのアンダーソン・ヴァレーのブドウでピノ・ノワールを作っています。55%新樽と、ピノ・ノワールとしては比較的樽を効かせた造りです。ラズベリーのような赤系の果実に、ほんのりブルーベリーのフレーバーが加わり、バニラのリッチさも感じます。リッチ系のピノ・ノワールではありますが、重くなく意外とするっと飲めてしまうのも面白いところです。

料理は豚のローストに黒にんにくを塗ったもの。
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豚の脂もしっかりあるので、割と重い味わいですが、リッチ系のピノ・ノワールにはよく合います。これにオリーブを使ったワインスプレッドや塩を加えることで、よりまろやかに感じられるような気がしました。

後半の3本に続きます。
Date: 2018/0514 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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成長率
ニールセンのデータによると、ワインの様々なパッケージングの中で、缶入りが急成長しています。

2017年2月は前年比46.8%増、2018年2月はさらに増加率があがり、前年比198.5%と約3倍にまで増えています。もちろん、母数が小さいがゆえということは多分にあるのですが、プラスチックボトルがさほど増えていないのと比べると、缶の急増ぶりが目に付きます。

ちなみに、有名なワイナリーではボニー・ドゥーン(Bonny Doon)が最近缶入りワインを発売しています。
Date: 2018/0513 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパの人気ワイナリー「ロンバウアー(Rombauer)」の創設者であるコーナー・ロンバウアー(Koerner Eomabuer)さんが亡くなりました。83歳でした。

ロンバウアーさん

コーナー・ロンバウアーはパイロットとしてキャリアを始め、1970年代にナパ・ヴァレーに移住、1980年にワインを造り始めました。最初はカベルネ・ソーヴィニヨンで1982年からシャルドネを始めています。

非常に明るい性格で知られ「1マイル向こう」からでも彼がいるのがわかったというほどのオープンな人柄。それがワインの性格にも現れています。特にシャルドネは、しっかりとした果実味と樽を効かせた造りを続けており、根強いファンをかかえています。

このほか、ガンの研究にファンドを作るなど、さまざまな活動を行い、ナパのさまざまなイベントなどでも重要な役割を果たしました。

ご冥福をお祈りします。

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ロンバウアー シャルドネ カーネロス
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Date: 2018/0511 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ガロ(Gallo)が、サンタ・バーバラのサンタ・マリア・ヴァレーにあるシエラ・マードレ・ヴィンヤード(Sierra Madre)を購入しました(Gallo Buys Historic Santa Maria Valley Vineyard | Santa Barbara Independent)。同社は5月3日にサンタ・イネズにあるランチョ・リアル(Rancho Real)の畑を買ったばかり。

シエラ・マードレはピノ・ノワールとシャルドネの畑で、人気の高いところ。1971年から続く、サンタ・バーバラでは歴史ある畑です。既存の35ワイナリーどの契約は今後も続けると発表しています。ランチョ・リアルは別名マーマー(Murmur)ヴィンヤードとも呼ばれていて、近年人気が高まりつつあるところです。

ガロはこのところ、セントラル・コーストで様々な畑を購入しています。例えばモントレーでは樽ボット・ヴィンヤード、サン・ルイ・オビスポではエドナ・ヴァレー・ヴィンヤードを購入しています。
Date: 2018/0510 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマの人気ワイナリー「コスタ・ブラウン(Kosta Browne)」が売却に出ているとウォール・ストリート・ジャーナルが報じています(Kosta Browne Winery Explores a Sale - WSJ)。

コスタ・ブラウンは1997年にマイケル・ブラウンとダン・コスタがジム・コステッロという出資者と設立したワイナリー。2000年代前半のピノ・ノワール・ブームに乗って一躍時代の寵児になりました。

2009年にはジム・コステッロが持ち分の株をVincraftに売却。VincraftはDurrellやGap's Crowneといった畑のオーナーで、キスラーにも出資しているビル・プライスなどの会社。2015年にはさらにVincraftからJ.W. Childs Associatesに株式が移動しています。

今回の売却がまたJ.W. Childs Associatesが他社への売却を考えているのか、全体の売却なのかわかりませんが、これほど続いて売却されるということは何か問題を抱えているのでしょうか。ちょっと気になるところです。
Kosta Browne
Date: 2018/0509 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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昨年10月の大火事で焼け落ちたパラダイス・リッジ。日本人にとっては長沢鼎ゆかりのワイナリーとしても知られていましたが、その焼け跡から3月に長沢鼎の刀が発見されました。

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この刀が、現在History Museum of Sonoma Countyで展示されています。
企画の名前は「Lost Santa Rosa」で4月14日から9月16日まで開催中。その中の展示物に含まれているそうです。

博物館の住所は
425 Seventh Street, Santa Rosa, CA 95401
707-579-1500

月曜日定休、オープンは11時~17時です。入場料は10ドル。
ソノマに行かれた際は、ぜひ立ち寄ってみてください。
Date: 2018/0508 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Old vine
先日、「Vineration」というサイトに物議を醸す記事が投稿されました。シルバー・オーク(Silver Oak)が元ソーサル(Sausal)のワイナリーと畑を買い取ってソノマの新しい醸造設備やテイスティングルームを作ったという話は先日「サスティナブルに生まれ変わったシルバー・オークのアレキサンダー・ヴァレー」で紹介しましたが、このときに1877年から続くソーサルの畑を引き抜いてしまった、というものでした(Preservation and Progress in California)。

これにシルバー・オークのデイビッド・ダンカン社長兼CEOが反論し、現在は記事の公開は差し止められています。

まず、事実としてソーサルの畑の木を引き抜いてしまったのは間違いではありません。ただ、それには理由がありました。

シルバー・オークはソーサルの畑購入直後からヒストリック・ヴィンヤード・ソサエティ(HVS)と協力して、畑の維持に努めようとしました。

しかし、実際には2エーカーのその畑に1877年からあるという古木の存在は認められませんでした。すべての木は接ぎ木で植えられていたとのことです。また、植え替えはまばらに何度も行われていたので、どの木が古く、どれがより古いのかといったことを判別するのは不可能でした。

さらに、そこの木はleaf roll virus, corky bark virus, red blotch virus, grapevine sanleaf virusといったさまざまな病気にかかっていることも判明しました。「mealie worms」も確認されました。この畑をそのままで置いておくと、近隣のブドウ畑にまで病気をうつすことになるため、放っておくことはできませんでした。

これらが、「古木の畑」であったはずのところを引き抜いた理由だとのことです。

この話が示唆するものはいろいろあると思います。

まず、元の畑はHVSで認定されていたものだったにもかかわらず、実際には認定通りの状況ではなかったこと。そもそも古木であることを証明するのは非常に難しく、品種でさえ分からないことも多いといいます。植えたときのドキュメントが残っていればいいですが、まずそういうことは期待できないでしょう。ある意味、「言い伝え」の部分も多分にあるのではないかという気がします。こういった部分をどうしていくのかは、HVSにとっても課題のような気がします。

また、年取った木はどうしても病気にやられやすくなります。その分管理には手間暇かかります。付ける実も少ないものです。それでも、ジンファンデル系のワインに付けられる値段はナパのカベルネと比べたら何分の1かです。経済的にはメリットの少ないものを続けていっている農家や、ワイナリーには最大限の賛辞を送りたいと思います。

病気にかかったら、周囲への迷惑を防ぐために抜かざるをえないという状況も増えるでしょう。周りから隔絶されたブドウ畑でないと維持は難しいかもしれません。

現在古木の畑と言われているものは大体が19世紀の半ばから後半に植えられたものです。この後20世紀に入ると禁酒法でワイン造りがほとんどストップした時期もあり、今後100年を超えるような古い畑、特にジンファンデル系のものが増えていくことはなかなかないのではないかという気がします。

カリフォルニアワインの貴重な文化、どう守っていくか、大きな問題だと思います。
Date: 2018/0506 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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来週日曜日は母の日ですね。ワインをプレゼントされる方もいらっしゃると思いますが、それにぴったりなワインがあります。名前は「オフクロ・ビューティ」。シャトー・イガイ・タカハがサンタ・バーバラのパルミナのワインメーカー、スティーブ・クリフトンと作った赤ワインです。

バルベーラなどイタリア系品種のブレンドで、大人の女性の暖かさをイメージしたのだとか。

Date: 2018/0505 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのワイナリー「ラッド」(Rudd)のオーナーであり、ワイナリー・グループ「ヴィンテージ・ワイン・エステート(VWE)」の創設者、ナパのレストラン「PRESS」のオーナー、オークヴィル・グロサリーのオーナー、ディーン&デルーカの元オーナーなど、さまざまな経歴を持つ起業家のレスリー・ラッドがニューヨークで亡くなりました。76歳でした。

レスリー・ラッドはカンザス州の出身。ナパではジラードを購入してラッドに改名、ジラードのブランドをパット・ルーニーに売却して、そちらも人気ワイナリーになりました。パット・ルーニーとはその後VWEを設立し、その傘下にはジラードのほかBRコーン、キャメロン・ヒューズ、クロ・ペガス、コセンティーノ、スワンソンなど数多くのワイナリーがあります。それとは別に、ラッド、エッジ・ヒル・エステートのオーナーでもありました。

ディーン&デルーカは1990年台に購入してオーナーになりましたが2014年に売却。一方オークヴィル・グロサリーは2007年に購入し、その後オーナーとして続けていました。

2年前から食道がんで闘病していたそうです。ご冥福をお祈りします。
Date: 2018/0503 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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女性だけが審査するユニークなワイン品評会「サクラアワード」の結果が4月に発表されました。そこで「ダブルゴールド」に加え、天ぷらに合うベストワインに選ばれたのがコッポラのソフィア・ロゼ・スパークリング2016。ロゼ系のスパークリングとしては、かなりエレガントな味わいのワインです。そこが特に女性に受ける点なのでしょうか。

天ぷらとワインを合わせる場合は、天ぷらの油をすっきりとさせるという面と、魚介類や野菜の素材の味を邪魔しないという面を両立させる必要があると思います。ロゼのスパークリングというのはピノ・ノワールが入ることで、油との相性もよくなり、素材の味を消してしまうほど濃い味でもないということで、選択としては理解できます。おそらく天つゆよりは塩、できたらワイン塩みたいなのを使うといいと思います。

また、従来のソフィアのスパークリングと同様、このロゼも「缶」のバージョンもあります。アウトドアで飲むときなどに、いい選択肢になるのではないでしょうか。

タカムラでは5月8日9:59まで「食フェス」の10%オフクーポンが利用可能。税込み3000円以上なので、このワインの3089円は1本でも適用対象になります。

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Date: 2018/0502 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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クラウドファンディングサイトIndiegogoで出資を募集しているAvineというエアレーターが人気です(Aveine - Smart Wine Aerator | Indiegogo)。3万ドルを目標に出資を募ったところ、10万ドルを超えてしまいました。

このエアレーター、スマホと連携して、どれだけワインに空気を混ぜ込むかを自動的に調整します。スマホの専用アプリでラベルを撮影すると、ラベルの情報からどういうワインかを判断し、それによってエアレーターをコントロールします。
Aveine
カリフォルニアワインだとエアレーターを使わなきゃいけないほどガチガチのワインに出会うことは稀なので、個人的にはそれほど欲しいとは思わなかったのですが、どうなのでしょうね。本機1台がもらえる出資で137ドルと決して安くはないので、これだけ出資する人がいることにちょっと感心しました。