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Date: 2018/0829 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパの名門ワイナリー「ストーニー・ヒル(Stony Hill)」が同じくナパにあるロング・メドー・ランチ(Long Meadow Ranch)に売却されることが発表されました(Napa Valley’s Stony Hill Vineyard sells to Long Meadow Ranch - SFGate)。どちらも家族経営のワイナリーです。

Long Meadow Ranch | 2004 Cabernet Sauvignon
ストーニー・ヒル
ストーニー・ヒルは1952年にマックレア(McCrea)家が設立したワイナリー。ナパでは珍しく、生産量のほとんどが白ワインというワイナリーです。古典的なシャルドネは昔からのファンが多くいます。ただ、近年は設備の老化や畑の植え替えといった大規模な投資に踏み込むことができず、今回の売却にいたりました。

ロング・メドー・ランチはホール家が持つワイナリー。ワイナリー以外にも、オリーブオイルや野菜、果物、牛肉などの農産物を生産・販売しています。有機農法を採用しており、ストーニー・ヒルも今後は有機農法に切り替えるとのこと。また、ストーニー・ヒルの従業員はロング・メドー・ランチ傘下で働くことになります。
Date: 2018/0827 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマのチョークヒルなど多くのワイナリーのオーナーとして知られるビル・フォーリー(William Folay)。その息子でナパのラザフォードのフォーリー・ジョンソン・ワイナリーのワインメーカーであるパトリック・フォーリーが8月12日に亡くなっていたことが判明しました。まだ31歳という若さでした(Local winemaker Patrick Foley dies at 31)。

死因は自然死であるということだけが公表されています。

パトリックは高校でフットボールとラクロス、大学でラクロスの選手として活躍したあと、バンク・オブ・アメリカ・メリル・リンチに就職。2年働いた後、ワイナリーを手伝うようになり、ニュージーランドのリンカーン大学で醸造と栽培の修士課程を修了。アルゼンチンで働いた後、ソノマのヒールズバーグにあるロス(Roth)ワイナリーでエノロジストになりました。2016年にフォーリー・ジョンソンのワインメーカーになっています。

奥さんはおらず、2人の姉妹と1人の兄弟がいます。
パトリック・フォーリー

ご冥福をお祈りします。
Date: 2018/0826 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアで一番高額なワインは何でしょう? 多くの人は「スクリーミング・イーグル?」と思うでしょうが、実は半分しかあたっていません。ワイン・サーチャーが、同サイトの平均価格を元に、2018年のトップ10を挙げています(California's Most Expensive Wines)。

10位から行きましょう。10位はレヴィ&マクレラン( Levy & McClellan)のカベルネ・ソーヴィニヨン。いきなりちょっと意外な名前から来ました。2念前の440ドルから643ドルへと大幅上昇。2018年6月に100ドル以上上がったとのことですが、何があったのでしょうか。レヴィ&マクレランは2004年がデビューでいきなりその年にワイン・アドヴォケイトで99点を取っています。2013年は100点。直近では2015年が97-99点を取っています。

9位はシュレーダー・セラーズ(Schrader Cellars)のオールド・スパーキー(Old Sparky)。2016年の5位から4位下がりました。価格も2016年の731ドルから655ドルに。これまで7回ワイン・アドヴォケイトで100点を取っているワインですが、2012、2013年と2年100点が続いたあと、98、97点と、このワインにしては「低い」評価が続いたためでしょうか。2016年の4位、2017年の5位から順位もだいぶ落ちました。

8位はスクリーミング・イーグルのセカンド・フライト。平均価格は662ドルで昨年の633ドルから4.6%上がっています。セカンドワインとしては驚きべき価格。昨年の順位は7位。

7位はビル・ハーランの第3のブランド「プロモントリー(Promontory)」。平均価格は676ドル。順位は昨年の6位から一つ落ちました。

6位はスケアクロウ。平均価格は799ドル。昨年の724ドルより1割以上上がっているのに順位は2つ落ちました。

5位はタスク(Tusk)。これも昨年の3位から2つ落ちましたが価格は11.6%上がって969ドル。タスクは、オーナーやワインメーカー(フィリップ・メルカ)の知り合いでないとメーリング・リストに登録できないというラグジュアリー・ブランドのワイン。生産量も250ケースしかありません。タスクについてはまた取り上げたいと思います。

4位はハーラン・エステート。これも順位は2つ落ちました。価格は1026ドル。1年前の894ドルより17.7%も上がっています。

3位はカリフォルニア産ではありますが、ワインではなくウイスキー。これが入ったのが他のワインが順位を下げた理由の一つ。銘柄はセント・ジョージ・スピリッツ35周年記念シングルモルト。平均価格は1415ドル。

2位はスクリーミング・イーグル。価格は3位の倍以上3520ドルで、昨年の3044ドルと比べても10%以上上がっています。昨年は1位でした。

では1位は何かと言うと…
スクリーミング・イーグルのソーヴィニヨン・ブラン。平均価格はなんと6421ドル。実はこのワインは2016年も1位だったのですが、そのときの平均は3706ドル。2年間で73%も上がっています。昨年はリスト外だったのですが、実はそれはワイン・サーチャー側の理由で、リストに入れるワインは最低4ヴィンテージ以上というルールを加えたからだったのでした。それにしても恐ろしい価格。どれだけすごいワインなのだろうと思いますが、ロバート・パーカーは2013年に88点という凡庸な点を付けています。ワインの価格は味よりも希少性で決まるのかもしれませんが、それにしてもなんだかなあというところではあります。ちなみにワイン・サーチャーを見ると、このワインをリストに持っているところ、香港のショップが多いようです。ブランド好きの中国人が買うのでしょうか。

柳屋では40万円台。激安です(笑)。これ買って香港で売れば10万円以上は差益が出そう。

Date: 2018/0823 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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6月に「神の雫でカリフォルニアのピノ・ノワール登場」という記事を紹介しました。
話としては、遠峰一青との次の戦いが中華とのマリアージュで、北京ダックに合うワインを探しているというところ。そこへ恋敵?のクリスが米国から持ってきたワイン3本を試すというところ。ただし、試飲はすべてブラインドで、しかも本番で使うワインは飲んでもいけない(香りだけで判断しなければいけない)という縛り。

前の回にはブルゴーニュのピノ・ノワールなどが登場しましたが、ブルゴーニュだと香りが華やかすぎるのと、北京ダックに添えるネギに味が負けてしまうのが弱点でした。

そこで米国のピノ・ノワール3本を試すのですが、最初のワインはブルゴーニュ的なエレガントさを持ち、新世界らしい果実の豊かさと香りの穏やかさがあるワイン。
このワインはHdVのソノマ・マウンテンのピノ・ノワールでした。
HdV
2本目は典型的にアメリカで非常に質の高いワイン。でも普通のアメリカとは違う部分があるような気がする。

これも本番で使うワインではないと試飲。皇帝のくつろぐ姿が浮かんだとの表現。
これはポール・ラトーのランスロット(ピゾーニ・ヴィンヤード)でした。

そして残る1本を本番の対決で披露したのですが…
mariajyu_2018082302160901
これは予想外でした。なんとピゾーニのピゾーニ。いや、もちろんすごいワインだしいいと思うのですが、その直前にポール・ラトーのピゾーニですよ。ピゾーニ続きっていくらなんでも選択肢の範囲が狭すぎると思います。

とにもかくにも、このワインで北京ダックのマリアージュ勝利、おめでとうございます!
Date: 2018/0822 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマのハーシュ・ヴィンヤードといえば、ソノマ・コーストを代表とする銘醸畑といっていいでしょう。その畑のマップをハーシュ・ヴィンヤードのジャスミンさんがインスタグラムに上げていました。

Jasmine Hirschさん(@jasminehirsch)がシェアした投稿 -



Vineyard Map
ハーシュ・ヴィンヤードという一つの畑ではありますが、実際には数多くのブロックがあり、場所も点在していることがわかります。「畑というよりブルゴーニュの村に近い」とジャスミンさんは書いています。

これだけ広がっているとブロック間の違いも大きくなります。
1A
これはブロック1Aのもの。最も海に近く、海からの風や霧にさらされています。気温が低く、まだヴェレゾンも5%以下にとどまっています。

3B
次の写真はブロック3Bのもの。ブロック1Aと同じ峰の上にありますが、220mほど海から離れています。これだけでヴェレゾンの進行が全然違い、こちらは35%くらいになっています。

ブロック7
3つ目はブロック7。ハーシュのウエスト・リッジ・ヴィンヤードに使われています。ブロック3Bよりも暖かいため、ヴェレゾンも一番進行しています。

ハーシュのどのワインにどのブロックを使っているのかとか、ブドウを提供しているワイナリーごとにどのブロックを使っているのかとかわかると嬉しいのですが、そこまでは情報を出していないようです。
Date: 2018/0819 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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オークション市場でのワイン価格のインデックスを作成している英国のLiv-exがカリフォルニアワインの指標「カリフォルニア50」を作成しました。これは過去10ヴィンテージの、オーパス・ワン、スクリーミング・イーグル、ドミナス、ハーラン・エステート、リッジ・モンテ・ベッロの5つのワインの価格を指標化したもの。これら5つのワインが選ばれたのは、オークション市場で最も活発に取引されているからだそうです。

過去10年の指標
過去10年の指標を見ると、ボルドーや、上位50ワインの指標と比べてやや下回っていますが、安定して伸びていることがうかがえます。

ここ1年の指標
一方、ここ1年で見ると他の指標を上回る勢い。つまり現在投資する価値がかなり高いということになります。

ワインを投資の対象にするのはいかがなものか、という意見もあるかとは思いますが、実際に投資として活発に取引されているのも事実。カリフォルニアワインの地位向上のためにはオークション市場での存在感や指標による評価というのも大きなことだと思っています。
Date: 2018/0818 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日「ブショネを引き起こさないコルク!? 最大手が発売」という記事を公開しましたが、ここで紹介しているアモリム社のコルクでブショネが発生したと、提訴する騒ぎが起こっています(Courtwatch: Amuse Bouche Claims Amorim Sold the Winery Faulty Corks)。
CORK2
訴えたのはナパのアミューズ・ブーシュ。ハイジ・ピーターソン・バレットがワインメーカーを務めるワイナリーで、メルロー系のブレンドが有名ですが、実はピノ・ノワールも作っていて、そちらはハイジの父のリチャード・ピーターソンが自身が持つサンタルシアハイランズの畑からのブドウを使っています。

2015年のピノ・ノワールのために、アモリムの「ブショネを引き起こさないコルク」を採用したところ、ブショネでユーザーからのクレームが頻発する騒ぎになりました。ETS研究所で調べてもらったところ、TCAが非常に多く含まれていることが判明したそうです。評論家のジェームズ・サックリングは、このピノ・ノワールに79点という低い評価を付けています(ちなみに2014年は92点、2016年は93点)。

アミューズ・ブーシュは2016年のピノ・ノワール用にもアモリムと契約を結んでいましたが、そちらからも高濃度のTCAが検出されたため、契約を破棄して別のコルクを使っています。このため、2016年の出荷は半年以上遅れることになりました。

なお、2015年のピノ・ノワールは6本パックで574個作成しましたが、449個を出荷したところで問題が発覚したため、残りの125パックは出荷されませんでした。

そこで、販売機会の損失や、低い評価のワインでワイナリー名に傷を付けたとして、提訴にいたったとのことです。

先日の記事では、これまで問題は出ていないとのことでしたが、全く話が違うことになります。アミューズ・ブーシュ側の言い分を聞く限り、その主張には一貫性が感じられますが、裁判所はどう判断するのでしょうか。アモリムにとっても大きな問題となる可能性があります。
Date: 2018/0817 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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山火事が猛威をふるい続けているカリフォルニアですが、中でも恐ろしいのが「ファイアー・トルネード」と呼ばれる現象です。火が竜巻のようになり、猛烈な風が吹きます。これに巻き込まれて消防士が亡くなるケースも出ています。


上の動画からのキャプチャーですが、極めて巨大な竜巻のようになっています。フットボールフィールド3つ分の大きさだそうですから、大きすぎてちょっと分かりづらいですが。
Fire Tornado
瞬間最大風速は63mにも達していたとのこと。恐ろしいです。

次の動画はもうちょっと小規模なファイアー・トルネードで、竜巻感はよりわかりやすくなっています。

Fire Tornado
Fire Tornado
Fire Tornado

どうしてファイアー・トルネードが起こるのか図解したものもありました(Massive Carr Fire tornado trapped, killed Redding firefighter, report says - SFChronicle.com
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現地の方々はくれぐれもお気をつけください。
Date: 2018/0816 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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8月10日、ナパで2018年の収穫が始まりました(Slightly behind last year, the Napa Valley grape harvest begins | Local News | napavalleyregister.com)。例年であれば、スパークリングワインのプロデューサー、中でもマム(Mumm)が最初の収穫をするのが普通ですが、今年は珍しくスティル・ワインから始まりました。ワイナリーはジャッズ・ヒル(Judd's Hill)で、ナパ市の北東にある畑からドイツ系の白ワイン用ブドウ(フィールド・ブレンドなので品種は複数)を0.5トンほど収穫したとのこと。

ちなみにスパークリングワインでは、マムが15日に少しだけ収穫をし、ドメーヌ・カーネロスが18日に始める予定だとのこと。

ハドソン・ヴィンヤードによると、昨年と比べると概ね10日ほど遅い収穫時期になっているとのことです。高温で山火事が頻発しているカリフォルニアですが、ナパは例外的に気温はさほど上がっておらず、収穫時期も平年並み、これまでのところ、非常に安定していいヴィンテージになる見込みです。

昨年の火事の後遺症も今の所みあたらないのもいいニュースです。今年は何事もなく終了しますように。

Jeff sorting riesling

Date: 2018/0814 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワシントン、オレゴン、カリフォルニアを得意とするインポーター、オルカ・インターナショナルの試飲会に参加しました。オルカ単独の試飲会への参加はこれが初めてです。

美味しかったワインを白から見ていきましょう。

ソーコル・ブロッサー
ソーコル・ブロッサーは1971年に最初に植樹をしたというオレゴンのパイオニア。2005年からはオーガニックな栽培の証明を受けています。今回、感銘をうけることが多かったここのワインの中でも、傑出していたのがこのシャルドネ2016(4300円=希望小売価格、以下略)。非常に旨みがあり、複雑さのあるワイン。7000~8000円クラスの味わい。

キング・エステート ピノ・グリ
キング・エステートのピノ・グリ2016(2600円)。ピノ・グリってさわやかで飲みやすいけど、それ以上のもう一つがあまり見当たらない気がします。これはオレンジ・ピールのような旨みと軽い苦味があって、飲みやすいだけでない美味しさを持っていました。

チャールズ・スミス カンフー・ガール2016
チャールズ・スミスのカンフー・ガール2016(2400円)。リースリング100%。さわやかで甘酸っぱく飲みやすいワイン。印象的なワイン名とラベルで、パーティなどに活躍しそうなワイン。

Kヴィントナーズ ヴィオニエ パワーライン2015
Kヴィントナーズのヴィオニエ、パワーライン・ヴィンヤード2015(7500円)。ヴィオニエで7000円台って初めて飲むかもしれません。ヴィオニエにこんなに出すの?と思わなくもなかったのですが、試飲してびっくり。これは美味しいし、深みもあります。7000円台出す価値はあります。

ランチ32 シャルドネ
ランチ32のシャルドネ(1780円)。バランスよくコスパ高いです。後で出てくるカベルネ・ソーヴィニヨンもよく、コスパでは今回随一でした。

チョークヒル シャルドネ ソノマ・コースト2016
高級シャルドネの老舗チョークヒルのシャルドネ ソノマ・コースト2016(3900円)。チョークヒルはこの上にエステートのシャルドネがあり、そちらも文句なく美味しいのですが、エステートが6900円に対して、こちらは3900円と3000円も安くなっています。エステートの力強さには負けるものの、リッチなタイプのシャルドネとしては比較的安価であり、バランスもいい味わいです。

ソーコル・ブロッサー ロゼ
ソーコル・ブロッサーのロゼ(3100円)。ピノ・ノワール100%のロゼで酸と果実味がいいバランス。これは美味しいです。夏に飲みたいワイン。

ソーコル・ブロッサー ピノ・ノワール ダンディー・ヒルズ2014
ソーコル・ブロッサーが続きます。これはピノ・ノワール ダンディー・ヒルズ2014(4600円)。酸と旨み、果実味のバランスがいいです。

チャールズ・スミス ブーン・ブーン2015
チャールズ・スミスのシラー ブーン・ブーン2015(2800円)。濃厚でコスパのいいシラー。

ランチ32
ランチ32のカベルネ・ソーヴィニヨン(1780円)。AVAはモントレーで、カベルネ・ソーヴィニヨン91%のほあ、シラー(5%)、プティ・ヴェルド(4%)が入っています。アルコール度も13.5%とそれほど高くなく、バランスよく、酸もほどよく効いています。1000円台のカベルネ・ソーヴィニヨンとしては破格の味わいです。

ボーグル プティ・シラー
ボーグルのプティ・シラー2015年。ボーグルは安心の味わい。さまざまな品種のものが出ていますが、どれもはずれはないです。その中でこれを選んだのはプティ・シラーのタニックさが上手に出ているから。濃くてやや甘のワインがもてはやされる昨今、これだけしっかりタニックなのはかえって貴重な感じがします。

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Date: 2018/0813 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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IntoWine.comというサイトで、米国のワイン業界で影響力がある人トップ100というリストが挙げられていました(IntoWine.com’s “Top 100 Most Influential People in the U.S. Wine Industry” - 2018 | IntoWine)。

全部挙げたらきりがないので、トップ10を見てみましょう。
1-Annette Alvares-Peters
2-Wayne Chaplin
3-Tim Turner
4-Marvin Shanken
5-Rob Sands
6-Stephanie Gallo
7-Antonio Galloni
8-Adam Strum
9-James Laube
10-Robert Parker

多分、1位から3位はほとんどの人が知らないですよね。1位はコストコのワイン担当、2位はサザン・グレイザーという米国最大の酒類流通業者の社長、3位はウォルグリーンの人と、トップ3はいずれも小売や流通関連でした。4位のマーヴィン・シャンケンはワイン・スペクテーターの発行人。スペクテーターは米国内ではやはり影響力が強いですね。5位と6位は大手ワイナリー。5位はコンステレーション・ブランズのCEOで6位がガロのマーケティング担当。

7位から10位は評論家やメディア関連。評論家ではヴィナスのアントニオ・ガッローニがトップなのはちょっと驚きでした。8位はワイン・エンスージアストの会長。9位はスペクテーターのレビュアー、10位は言わずとしれたパーカー本人。パーカーの影響力は落ちてきているというところなのでしょうか。

興味深いのは20位台になるとブロガーが入ってくること。22位には1 Wine DudeのJoe Roberts、23位はDr. VinoのTyler Colman。24位は20ドル以下のワインしかレビューしないという「reverse wine snob」のJon Thorsen(この人は僕も知らなかったです)。ブロガーがこれだけ影響力を認めてもらえているのは嬉しいことです。

このあと32位にようやくワインメーカーが登場。フィリップ・メルカです。

あと、サイト関連では30位にVivinoを作ったHeini Zachariassen。46位にセラー・トラッカーのEric Levineが入っています。
Date: 2018/0812 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ブショネ(コルク臭)はコルクを使ったワインの5~10%程度にあると言われています。10本から20本に1本ということで、かなりの頻度です。そんなに出会わないよ、と思う人も多いと思いますが、気がついていないだけで、実際には程度の大小あれ、ブショネだったということはあるようです。5~10%が欠陥を持った商品というのは、ほかの業界では考えられないほど欠陥率が高く、コルク業界はここ20年ほど、この問題に取り組んできました。そして、コルク業界の最大手、ポルトガルのアモリム(Amorim)社がブショネをほとんど引き起こさないコルクを発売しています(Finally – A Cure for Cork Taint | Wine News & Features)。

CORK2

このコルクは、製造したコルクを検査して、ブショネの原因となる物質TCAが含まれていないかどうかを調べます。TCAが1リットルあたり0.05ナノグラムを超えると、欠陥と判断して取り除きます。

と、書いてしまえばわずかなことですが、これまでは検査に1本あたり数分かかっていて、実用にはなりませんでした。今回は1本あたり数秒まで高速化したことで、製品化が可能になりました。

コストは1本につき0.12~0.15ユーロほど、普通のものよりも高くなります。このため低価格なワインでこれを使うのはまだ難しく、高級ワイン用のソリューションということになります。

また、現在はまだTCAがまったくないというわけではありません(ただ、メーカーによるとブショネとして戻されたワインはないとのこと)。2020年までに完全にTCAをなくすことを目標にしています。

とはいえ、スクリューキャップなど、他のクロージャーを使っているワインがこれでコルクに回帰するということはあまりなさそうです。スクリューキャップにはスクリューキャップのよさがあり、特に早のみ用のワインでは、今後もスクリューキャップが中心になりそうです。
Date: 2018/0811 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのワイナリー「ZDワイン」が50回目の収穫を迎えようとしています(ZD Wines celebrates 50 Years of family winemaking in Napa Valley | Wine | napavalleyregister.com)。1969年にノーマン・デルーズ(deLeuze)とジーノ・ゼッポーニの二人が設立し、1985年にゼッポーニが亡くなった後デルーズ家が家族経営を続けています。ナパのラザフォードとカーネロスに有機栽培の畑を持っており、そのほかナパ、サンタ・バーバラ、モントレー、ソノマの有機栽培の畑とも契約しています。

ZDとは創設者2人の頭文字を取ったのと同時にゼロ・ディフェクトの略を意味しており、欠陥のないワインを目指しています。実際、カベルネ・ソーヴィニヨンもシャルドネもレベルが高いものを作っています。

ナパのシルバラード・トレイル沿いのワイナリーは1980年に作ったものです。
ZDワイン

Date: 2018/0809 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイン業界と全く縁がなかった親子が冗談から始めたビジネスが100万ドルを超えるビジネスに成長しました(Wine condoms now a million-dollar business)。
ワイン・コンドーム

ワイン・コンドームというこの製品、きっかけは母親が友人宅から持ち帰ったワインボトルがサランラップとゴムで巻かれていたこと。それを見た息子が「ワインのコンドームだな」と冗談を言い、それを実際に製品化してしまったのです。クラウドファンディングのキックスターターでは1万ドル近い寄付を集めました。そして現在では通算の売り上げた100万ドルを超えたとのことです。


使い方はいたって簡単で、それこそコンドームのようにワインのボトルに装着するだけ。これで横にしても逆さにしてもワインが漏れなくなります。

横にできるのはいいですよね。例えばそのままセラーに戻すといったことが可能になりますから。冷蔵庫に入れる場合にも役立ちそうです。

Date: 2018/0807 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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メンドシーノとレイク郡で7月末に発生した山火事の勢いがとどまるところを知りません(Mendocino Complex grows overnight, making it the fourth largest wildfire in state history)。延焼面積は26万7000エーカーで、カリフォルニア史上4番目の規模になっています。ちなみに史上第1位は昨年のサンタバーバラの火事で、延焼面積は28万2000エーカーでした。すでに1万5000エーカーしか変わらないレベルです。

包囲率は33%とまだまだの状況。ナパやソノマからも北の空が霞んでみえているそうです。

日本も猛暑ですが、カリフォルニアも気温が高く、火事が起こりやすい状態が続いています。

毎年のことですから、ある程度の山火事はしょうがないですが、人や建物、畑などの被害が広がらないことを祈ります。
Date: 2018/0806 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Kurniawan Counterfeit--15.jpg
宅配便で送ったワインが破損して届かないということが、米国で頻発しています。実際にはただ破損しているのではなく、FedExやUPSといった宅配便業者が故意にワインを破損、しかも業者に頼んで叩き割っているのです(Carriers Trashing Wine Shipments | Wine News & Features)。しかも、補償は全くありません。割られたワインの中にはシャトー・マルゴーなどもあります。

ちょっと信じられないような話ですが、宅配便業者は何も悪いことをしているわけではありません。

ニューヨーク州は、州内のワインショップが州外の顧客にワインを発送したり、州外のワインショップから州内の顧客へワインを発送するのを禁じています。近年はワインの発送もだいぶ自由になってきたような印象がありますが、実際にはまだ州外から州内にワインの送付を許しているのは14州と1特別区しかありません。そして、ルールを破った場合の罰則の適用は年々厳格化していっているのです。

宅配便業者が、わざわざ廃棄業者にワインを叩き割ってもらうのは、ルールの厳格適用と、そのための見せしめといった要素があります。あえてひどいシーンを見せることでルールを破るのを防ごうというわけです。

ワイナリーから州外の顧客へのワインの発送の場合は、ワインショップからとは違う扱いになるので、現在はだいぶ自由化が進んでいますが、まだまだ米国のワイン流通には難しいところが残っているようです。
Date: 2018/0805 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日も紹介しましたが、5日から申し込みが開始なので再度宣伝させてください。

ワインスクールの名門「アカデミー・デュ・ヴァン」青山校の2018年秋・冬講座でカリフォルニアワインの講座をもたせていただくことになりました。

タイトルは「カリフォルニアの名門ワイナリー」。スケジュールと内容は以下のようになっています。

10/24
第1回:カリフォルニアを世界の一流にした「ロバート・モンダヴィ」とその一族
カリフォルニアワインがまだ世界に知られていないころ、「ナパを名だたる産地にする」と宣言して立ち上がったのがロバート・モンダヴィでした。息子のティム・モンダヴィが作る「コンティニュアム」のワインも試飲予定です。

11/14
第2回:パリ・テイスティングの1位コンビ「スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ」「シャトー・モンテリーナ」
カリフォルニアワインを世界のワインシーンで注目される存在にしたきっかけが1976年のパリ・テイスティング。赤ワインで1位になったスタッグス・リープ・ワイン・セラーズ、白ワインで1位になったシャトー・モンテリーナのワインを試飲します。

12/05
第3回:誰もが尊敬する本格派「リッジ・ヴィンヤーズ」
パリ・テイスティングに参加したワイナリーの中で赤ワインで唯一ナパにないのがリッジ。パリ・テイスティングから30年後の回顧テイスティングでは見事1位になっています。また、リッジは100年を超えるような古木のジンファンデルのワインでもパイオニアです。今回はデカンター誌で100点を取った2013年のモンテベッロや10年熟成のモンテベッロも試飲予定です。

1/9
第4回:カリフォルニアのロマネ・コンティ「カレラ」
カリフォルニアで最高のピノ・ノワールを作ることだけを考えて設立されたのが「カレラ」です。ピノ・ノワールの単一畑を中心にエステートのワインを試飲します。

2/6
第5回:カリフォルニアの高級シャルドネとピノ・ノワールの代名詞的存在「キスラー」
カリフォルニアワインのファンだけでなく、ブルゴーニュワインのファンにも人気が高いキスラー。今回は10年熟成のシャルドネとピノ・ノワールやオキシデンタルのピノ・ノワールも試飲する予定です。

3/13
第6回:ピノ・ノワールとシャルドネでパーカー100点「ピーター・マイケル」
カリフォルニアのピノ・ノワールで初めて「パーカー100点」を取ったのがピーター・マイケルです。さらにシャルドネでも100点、カベルネ・ソーヴィニヨンでは最高99点と作るワインすべてが高評価なワイナリーです。試飲するワインはどれもRP94点以上の予定です。

参加できない回がある場合は、同価格帯の他の講座を受講できる振替制度もあるそうです。

先日、アカデミー・デュ・ヴァンから来たメールには「◆◇秋・冬シーズン講座公開と同時に、多くのお問い合わせをいただいている人気講座をピックアップしてみました。下記講座は、すぐに満席となる可能性がありますので、お早めにお申し込みください」という中に取り上げられていました。本当に満席になってくれたらうれしいですが、ちょっとどきどきでもあります。

申し込みはこちらから。
カリフォルニアの名門ワイナリー | ワイン初心者からソムリエ資格取得まで - ワインスクール アカデミー・デュ・ヴァン
Date: 2018/0804 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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『ワインで日本を元気にしよう!』をテーマに、2011年にスタートしたワイン業界有志によるチャリティーワインイベント「ワインエイド」2018に参加してきました。7月27日(金)と28日(土)の2日間開催され、私が参加したのは土曜日です。

場所は飯田橋のアグネスホテルアンドアパートメンツ東京。ちょうど台風の接近中で、ホテルに向かうときは土砂降りの雨でしたが、会場は熱気に溢れていました。

70社近いワイン業界の会社が賛同しているこのイベント。カリフォルニアワインのインポーターも数多く積極的に参加されています。多分会場のワインの半分近くはカリフォルニアワインだったと思います。当然、スタッフ側も知っている方がちらほら、ではなくかなりたくさんいらっしゃいました。

それから、この日はスペシャルゲストでオー・ボン・クリマのジム・クレンデネンさんが、娘のイザベルさんと息子のノックスさんと一緒に参加。イザベルさんは私も以前お会いしたことがあったのですが、ノックスさんは初めて。3人で一緒に来日自体初めてのことだったようです。

せっかくなので、ワインも少しずついろいろ試させていただきました。
さすがにメモなどは取っていませんが、印象に残ったワインを少し挙げると
オー・ボン・クリマのヒルデガード
オー・ボン・クリマのイザベル
リッジのリットン・スプリングス
シャトー・イガイタカハのロゼ
シダーヴィルのグルナッシュ
中井さんのメルロー…

チャリティーのイベントとしては、有料試飲コーナー、福袋、そしてライブ・オークションがありました。
有料試飲はアミューズ・ブーシュやポートフォリオといったすごいワインが出ていましたが、試せなかったです。その代わりに福袋(ワイン1本1000円~)はいくつか買いました(記事の最後に披露します)。
目玉のオー・ボン・クリマの落札者とクレンデネン・ファミリー
ライブ・オークションはかなりの盛り上がり。あっという間に値が上がってとても参戦はできなかったのですが、面白かったです。そしてなんとオークション最後の目玉はオー・ボン・クリマのイザベルとノックスのダブルマグナム。この2つを提供するのは高円宮様主宰のチャリティーイベント以来2回めだとか。ともかく貴重なワインですし、それをジム・クレンデネンさんとイザベルさん、ノックスさんの眼の前でオークションにかけるというのもすごいです。

そして落札価格はなんと……60万円!!!

素晴らしいです。

このほか、もう一人スペシャルなゲストとして俳優の辰巳琢郎さんもいらっしゃっていました。
司会の柳沼淳子さん、特別ゲストの辰巳琢郎さん
辰巳さんは、東日本大震災のあと、岩手県の山葡萄を使ったワイン造りのプロデュースをしており、マンズワインから「今様」というスパークリングワインを出しています。この日の乾杯用のワインでもありました。


また、チャリティーの収益はいくつかの団体に寄付されますが、その一つ「Peace Project」の代表もいらっしゃっていました。
Peace Projectの加藤代表
西日本で豪雨被害のあった直後でしたが、既に倉敷市など大きな被害があったところでボランティア活動をされており、その報告もありました。ワインエイドのMCを毎回つとめている山本香奈さんは倉敷の出身であり、これには胸に迫るものがあったようでした。
MCの山本香奈さん

料理もおいしかったですし、いろいろな方とお話できてとても楽しいイベントでした。

さて、最後に福袋の中身ですが、1000円2本と3000円1本買ったところ、1000円の方は二つともカリフォルニアワイン! しかも定価3000円台のもので個人的にも好きなワインで大当たりでした。3000円のは残念ながらイタリアワインでしたが、これももちろん3000円で買えるワインではありません。ご協力されているインポーターさんには頭が下がります。

というわけで福袋買うだけでも参加する意味は十分にあるイベントです(福袋は確か最高1本2万円だったと思います)。

今年はちょっと集客に苦労されたという話も伺いましたが、この火を消さないためにもぜひ奮ってご参加を。カリフォルニアワイン好きなら無料試飲だけでも十分に楽しめますし、中川ワインさんやワイン・イン・スタイルさん、布袋ワインズさんなど代表的なカリフォルニアワインのインポーターがこぞって参加されていますから、そこの方々と話をするのもいい機会だと思います。
Date: 2018/0802 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワインの中に含まれる、わずかな放射線物質を分析する研究があり、それにょるとカリフォルニアワインに2011年の東日本大震災で福島の発電所が放出した放射線物質によるセシウム137が見て取れるとのこと(California wines contain Fukushima radiation, and it’s not a bad thing | PBS NewsHour)。
セシウム137の年代別の量
放射線物質を年代測定に使うのは、歴史ではよく使われる手法ですが、今回はそれではなく、細胞全体に含まれる放射線物質のパターンから、その出自を見るという研究。

なお、健康への被害を樹にするレベルでは全くありません。
Date: 2018/0801 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイン・アドヴォケイトの7月末中間号が発表されました。カリフォルニアではソノマのレポート(パート3)のほか、リッジ モンテベッロの2015年のレビュー、マルティネッリ(Martinelli)のレビューが掲載されています。

マルティネッリでは2014年を中心に試飲結果が発表されていますが、注目は2007年のジンファンデル ジャッカス・ヒルにジンファンデルとしては初の99点がついたこと。

ジャッカス・ヒルは最大斜度65度というものすごい急斜面の畑でジャッカス(ロバ)でないと上り下りできないということでこの名が付いています。マルティネッリのワインの中でも入手が難しいワインで、私は以前ここのメーリング・リストに入っていたことがありますが、これだけは一度もアロケーションがありませんでした。もう一つ「ヒル」がつかないジャッカスもあって、そちらのほうが少し価格も安く本数も多くなります。ちなみにジャッカスの2007年も98点という高得点でした。

当然、日本にもジャッカス・ヒルはほとんど入ってきていません。マルティネッリのジンファンデルだとジャッカスや、もうちょっと入手が楽な「ジュゼッペ&ルイーザ」(WAでは最高96点)不定期に入るくらいですね。それもここ5年くらいは見ていないような気がします(このサイトでは2012年1月に紹介しているのが最後のようです)。

楽天で調べたら1本だけ2004年のものがヒットしました。日本で入手できるのは、これくらいしかないかもしれません。フルボディタイプのジンファンデルの代表格です。

Date: 2018/0801 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ダックホーン(Duckhorn)メルロー スリー・パームス・ヴィンヤードの2015年が国内に入荷してきています。前ヴィンテージの2014年はワイン・スペクテーターで2017年の年間1位に選ばれ、国内入荷分は毎回ほぼ瞬殺状態。2015年は従来より半年ほど前倒しで日本に入荷してきているようです。

2014年は、そういう状況ですから試飲もしたことないですが、その前年の2013ヴィンテージは試飲しており、当時おすすめワインとして取り上げています。
参考:中川ワイン試飲会からのおすすめワイン

カリフォルニアのメルローとしては間違いなくトップクラスの一つです。ダックホーンは1976年にナパで40番目のワイナリーとして誕生し、今ではグループの5つのワイナリーのほかに、カレラやコスタ・ブラウンといった人気ワイナリーも手中に収め、人気ワイナリーとしての位置づけを確固たるものにしています。それを支えてきたのがこの畑。「スリー・パームスの畑のおかげで今まで続けられたと言っても過言ではない」と言っています。以前はほかに持ち主がいましたが、現在は完全に自社畑になっています。

これだけの高品質と評価の割には価格が上がっていないのも魅力です。新ヴィンテージも1万円そこそこの価格で、米国の実売価格と比べても全く遜色ない安さです。ナパのカベルネが最近では200ドルが当たり前という中で、メルローだとこの価格でトップレベルのワインが買えるというのも魅力の一つです。