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Date: 2020/0130 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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昨日はアカデミー・デュ・ヴァンの新講座「カリフォルニアの超一流ワイナリー」第一回でした。初回のテーマはコルギン(Colgin)。カルトワインの話や、プリチャードヒルとセントヘレナの話などもしました。

colgin

もちろん、今回の講座の目玉はワインそのもの。残念ながらティクソンヒルは入手できなかったのですが、IXのシラー、IX Estate、そしてカリアド(Cariad、エイブリューのマドローナ・ランチ主体)を試飲しました。

中ではIX Estateがひときわエレガント。一番人気でした。カリアドは杉やレザーなどのアロマがしっかりしており、熟成に向きそう。シラーはスパイシーさよりも、チョコレートのような甘やかさがある蠱惑的なワインでした。

パワフルなワインが目立つナパの中でも、それだけでない魅力を持つIX Estateはやっぱりいいなあと再認識しました。
Date: 2020/0127 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマのワイナリー、ロドニー・ストロング(Rodney Strong)のワイナリーから、赤ワインが大量に流出しました(A 97,000-gallon red wine leak made its way into a Northern California river - CNN)。
rodney strong
ワインが保存されていたタンクから漏れてしまったようですが、写真に示すように、ワイナリーのため池が赤ワインの色になっています。この後、ロシアン・リバーに流れ込む恐れがあるとのこと。

流出量は4万6000ガロンから9万6000ガロンの間とのこと。リットルに換算すると36万7000。750mlのボトルに50万本ほどの量になります。単純に考えても1000万ドル近くの売上を失っていることになりそうです。
Date: 2020/0124 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2002年にグロサリー・ストア「トレーダー・ジョーズ(Trader Joe's)で1.99ドルの価格でデビューし大ヒットになったのが「ツー・バック・チャック(Two Buck Chuck」こと「チャールズ・ショー(Charles Shaw)」のワインでした。当初からカリフォルニア以外の州ではもう少し価格が高く、2013年以降はカリフォルニアでも最低2.49ドルに値上げしていましたが、このほど再びカリフォルニアで1.99ドルに値下げされたことが判明しました(\'Two Buck Chuck\' gets price cut at Trader Joe\'s locations in California - SFGate)。

Two Buck Chuck for sale.jpg
By Mack Male - https://www.flickr.com/photos/mastermaq/4973483474/, CC BY-SA 2.0, Link

写真は以前のもの

店側によると、一時的な値下げではなく、価格の変更だとのこと。ボトルのガラスやクロージャーの見直しによってコストを下げて実現したそうです。

安ワインカテゴリーの苦戦が伝えられるカリフォルニアですが、今回のてこ入れで再び輝きを取り戻すのでしょうか。
Date: 2020/0123 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ボルドーのシャトー・スミス・オー・ラフィットのオーナー夫妻が、ナパのフローラ・スプリングス(Flora Springs)からワイナリーと畑を購入し、新しいワイナリーを設立することを明らかにしました(Château Smith Haut Lafitte Buys Flora Springs Estate in Napa

Fllora Springs

購入したのはフローラ・スプリングスのワイナリーとその周囲の畑。ワイナリーはラザフォードとセント・ヘレナの境あたりにあります。フローラ・スプリングスは近隣のワイナリーに移ってワイン造りは継続します。Highway 29沿いにあるテイスティングルームはそのまま続けます。

新しいワイナリーは夫妻の名前から取って「カティアール・ファミリー・エステート(Cathiard Family Estate)となる模様です。2020年からワイン造りを始めます。
Date: 2020/0122 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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昨年のコンステレーション・ブランズからEJガロへのブランド売却に伴い、閉鎖してしまったのがソノマにあるレーヴェンズウッドのワイナリー兼テイスティングルーム。そこをソノマのデベロッパー、ケン・マトソンが買い取り、アンジェリーナ・モンダヴィがワイナリーにすることが判明しました(Sonoma developer Ken Mattson picks Angelina Mondavi to lead new brand in former Ravenswood winery | The North Bay Business Journal)。
アンジェリーナ
ケン・マトソンはここ数年、ソノマ・ヴァレーを中心に不動産を買い漁っているデベロッパー。謎に包まれた人物ですが、場所がいいのにあまり有効活用されていなかったところを選んで買っているとのこと。おそらくレーヴェンズウッドもその一つとして目についたのでしょう。

アンジェリーナ・モンダヴィはロバート・モンダヴィの弟であるピーターの孫。家族のCKモンダヴィのほか、4姉妹で作る「ダーク・マター」、父、姉と作る「エイロフト」、マイケル・モンダヴィの息子ロブ・ジュニアと作るフォース・リーフといったワイナリーに携わっています。

今回の新ワイナリーはハロー・セラーズ(Harrow Cellars)という名前で今年のヴィンテージからワイン作りを開始。一般へのオープンは2021年になる見込みです。
Date: 2020/0121 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米仏首脳はデジタル課税をめぐる関税引き上げについて、年内は回避することで合意したもようです(米仏首脳、デジタル課税巡り年内休戦で合意 交渉は継続 - ロイター)。

これはGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などへの課税をフランスが計画していることに対して、米国が報復関税を課すことを表明していた問題で、EU全体のワインに対する報復関税を計画しているエアバスの問題とは別物です。

ただ、ワイン・サーチャーの観測記事(Tariff Threats Pull Back from the Brink | Wine-Searcher News & Features)では、エアバスに関係のない国も含むEU全体に関税を課すことは考えにくいなど、こちらも当面は落ち着くのではないかと見ています。

おそらく大統領選をにらんでのことだと思いますが、中国との間も改善してきたようですし、派手な報復が広がらずに済みそうでよかったです。
Date: 2020/0120 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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サンフランシスコからベイブリッジを渡って少し北にいったところにあるバークレー。カリフォルニア大学バークレー校で有名な街で、レストラン「シェ・パニーズ」でも知られています。ここが近年、カリフォルニアの自然派ワイナリーの集積地となっています(West Berkeley just became California’s hub for natural wine | The Press)。もちろん畑が周りにあるわけではなく、ブドウは様々なところから調達するシティ・ワイナリーとなっています。

起点となったワイナリーの一つはドンキー&ゴート。2011年に5thストリートに設立されました。2008年に設立されたブロック・セラーズが、2013年にその近くに越してきたことが集結のきっかけになりました。2017年にはドンキー&ゴートで働いていたデイブ・ギフォードがウインドチェイサーを設立、その後、別の従業員がブルー・オックスを立ち上げました。今では1ブロックに6つのワイナリーが固まっています。

ワイナリーに共通する特徴は自然派ということですが、「ニュー・カリフォルニア」の先端を行くワイナリーが集まっているといってもいいでしょう。マイナー品種の古い畑を探し出してワインを作る、面白いものがたくさんあります。個人的にもブロック・セラーズのワインなど、かなり好きです。

Lusu Cellars and Whistler Vineyards
Windchaser Wine Co.
Vinca Minor
Broc Cellars
Blue Ox
Donkey and Goat Winery

元々バークレーはヒッピー文化の盛んだったところでもあり、自然派の思想とは相性がいいということも根底にはありそうです。


Date: 2020/0118 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国でのワイン消費が25年ぶりに減少し、2018年の豊作もあって、カリフォルニアワインがオーバーサプライの状況になってきています(Valley vineyard removals may exceed 30,000 acres)。

セントラル・ヴァレーでは3万エーカー(約1万2000ヘクタール)を超えるブドウ畑を引き抜く必要があると見込まれています。生産者はより利益の大きなアーモンドに転換することになりそうです。

2020年のカリフォルニアワインは様々な面で転換点となりそうです。
Date: 2020/0117 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアのワイン業界は1970年代から80年代に参入した世代がぼちぼち引退しており、引退によって、あるいは引退を見越して売却されるケースなどが増えてきています。

1981年に設立されたボニー・ドゥーンは「ローヌ・レンジャー」の先駆けの一つとして大きな足跡を残して来ましたが、今月、ウォールーム・ベンチャーズ(WarRoom Ventures)に売却されました。創設者でワインメーカーのランドール・グラームはワイナリーに残りますが、新しいブドウ品種を開発するプロジェクト(「1万種の品種を作るランドール・グラームの壮大なプロジェクト、クラウド・ファンディングで出資者募集中、あなたの名前がブドウに付けられる」参照)に専念する形になります。

ランドール・グラームの場合は、世代交代よりもワイナリーの財政的な面やマーケティングにかける労力を減らしたいということが第一のようです。現在のボニー・ドゥーンの規模は、全国展開でディストリビューターに売ってもらうには少なく、逆に顧客に直接売る方法には大きいという中途半端なところがあり、今後はフラッグシップの「ル・シガール・ヴォラン(Le Cigare Volant)」の生産量を増やすなどしていくそうです。また、サンタ・クルーズのテイスティング・ルームは2019年末で閉じたとのこと。

セント・ヘレナのハーブ・ラム・ヴィンヤードは1987年にハーブ・ラム(Herb Lamb、何やら美味しそうな名前ですが人名です)によって植樹され、1990年代にはコルギン(Colgin)のワインで一躍名を高めた畑です。1997年以降は自身でのワイン造りを始めてコルギンとの関係は徐々に解消していきました。2014年にハーブ・ラムが亡くなり、その後は未亡人のジェニファー・ラムがオーナーとなっていましたが、2016年のヴィンテージを最後にハーブ・ラムとしてのワイン造りは終了。最近、トーマス・リヴァース・ブラウンに畑をリースすることを明らかにしました。トーマス・リヴァース・ブラウンは自身のリヴァース・マリーで2016年からハーブ・ラムのワインを始めており、今後はそれが増えていくことになりそうです。
ジェニファー・ラム
写真はジェニファー・ラム

Date: 2020/0116 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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世界のアルコール市場をレポートしているIWSRによると、2019年の米国のワイン消費は0.9%下がったそうです。前年を下回ったのは25年ぶり(U.S. wine consumption drops for first time in 25 years | TheHill)。

消費が減った主な理由はミレニアル世代のワイン消費が伸び悩んでいること。ビールやスピリッツ系の飲料(日本の缶チューハイのようなもの)、といった単価が低いものにシフトしている上に、アルコールの健康へのネガティブな影響などを忌避する傾向が高まっています。

これまでもミレニアル世代への対策が重要だとは言われていましたが、ベイビーブーマー世代による牽引の影響が残っていたため、深刻に捉える向きは少なかったように思います。

そろそろ業界としてもお尻に火がついた感じが強くなっています。

公開したばかりのシリコンバレーバンクによるレポート(後日紹介予定)にもそれは現れています。関税問題と合わせて、今後の大きなテーマになりそうです。
Date: 2020/0115 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ヴィナスのアントニオ・ガッローニがカリフォルニアのピノ・ノワールでは初の満点を付けました。1月13日に公開したソノマとアンダーソン・ヴァレーのプレビュー記事で、ワインはリヴァース・マリーのプラット・ヴィンヤード2018。

ヴィナス全体ではブルゴーニュのピノ・ノワールで13本の満点がありますが、後はシャンパーニュを除くとこれが唯一のピノ・ノワールの満点です。

昨日公開した記事で、アントニオ・ガッローニがシュレーダーで「出禁」と書きましたが、詳しいことはわからないものの、シュレーダーがソノマで作るボアズ・ビューのピノ・ノワールで89点とかなり低い評価のものがあり、それが原因なのかと想像しています。

実はシュレーダーもボアズ・ビューも、今回満点のリヴァース・マリーと同じくトーマス・リヴァース・ブラウンのワイン。コンサルタントとしてオーナーの意向に沿ったワインを作るシュレーダーと、自身のワイナリーであるリヴァース・マリーとでは自ずと作りも変わるのは分かりますが、こういったことが起こるのもトーマス・リヴァース・ブラウンの才能の一部かと感じています。

リヴァース・マリーの輸入されているラインアップの中にはプラットはなさそうなので日本には来ないのかな?
Date: 2020/0114 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ヴィナスのアントニオ・ガッローニが2017年と2018年のナパのレビュー記事を公開しています(2017 & 2018 Napa Valley In Depth Part 1 (Jan 2020) | Vinous - Explore All Things Wine)。

長い記事でいろいろ興味深いところがありますが、なかでもナパのレビューを始めて10年ということで、ロバート・パーカーの思い出も含めて過去を振り返っているところが面白かったです。

パーカーがメジャーな地域のレビューを他の人に譲ったのは、それが初めて。しかも今となってみれば健康の理由がなく譲った唯一の事例でした。

そういう意味では責任も難しさも感じていたガッローニでしたが、レビューはパーカーよりも辛口でだいぶ恐れられていたようです。出禁になったワイナリーもあり、シュレーダー、アイズリー、メイバッハを例に挙げていました。ガッローニは「評論家は仲良しクラブではない」とこの姿勢を貫くことを表明しています。
Date: 2020/0111 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ジンファンデルだけでワインパーティをしましょうというお誘いに乗り「Zin Fun Day 2020」と呼ぶパーティに参加してきました。
zin fun day
ホーム | ZIN-Fun Day 2020

集まったのはなんと60人。一人1本ワイン持ち込み(主催者に依頼もあり)で、こんなに多くのジンファンデルを一度に飲んだのはじめてというくらいジンファンデルが集まりました。
ワイン

主催したのはワインスクール「レコール・デュ・ヴァン」で講師をしている谷口晋一郎さん。というわけで集まったメンバーの多くは生徒さんなどレコール関係で、「アカデミー・デュ・ヴァン」の私にとってはちょっとアウェイ(笑)。

ただ、谷口さんとは前から知り合いであり、私のことも会の最初の方で皆さんに紹介してもらったので、非常に楽しく時間を過ごすことができました。

私が持っていったのは「2015 スリー ライヴ・オーク ジンファンデル コントラ・コスタ・カウンティ」。コントラ・コスタのワイナリー「スリー(Three)」の単一畑もので、ここのワインの中では比較的高級なワインです(といっても希望小売価格4700円)。

スリーについては以前「100年超の畑のワインが3000円! 歴史伝えるワイナリー「スリー」」で詳しく書いています。

コントラ・コスタの北東部の海近くは深い砂地でフィロキセラがいないところ。そのおかげで1885年に自根で植えられたジンファンデル(フィールド・ブレンドでカリニャン、マタロ(ムールヴェードル)、プチ・シラーなども)がまだ生きているというとても貴重な場所です。ジンファンデルらしい、レッド・プラム、ラズベリー、ブルーベリーなどの果実味に、花の香りやナツメグ、シナモンなど軽いスパイス、エレガントさもあってとてもいいジンファンデルです。飲んでいただいた方々にも、好評でした。
持ち込みワイン
並べて撮ったのはベッドロックの「エヴァンジェーロ ヘリテージ・レッド・ワイン」。実はこれもコントラ・コスタのワインです。甘やかさのあるスリーとは対照的に、ベッドロックらしい複雑味のあるシリアスなワイン。これもさすがに美味しく、個人的にはスリーとこのベッドロックがこの日のベストでした(手前味噌ですみません)。

それ以外にも、国内最後の在庫だというマサイアソンのジンファンデルだったり、ターリーのホワイト・ジンファンデルなど、レア物もいろいろ。久しぶりに飲んだマルティネリのジュゼッペ・アンド・ルイーザは昔のイメージと一変。むちゃくちゃエレガントなスタイルになっていてびっくりしました。最初はこれはどうなんだろうと思いましたが、時間が経つにつれて複雑さがでてきて、そのあたりはさすが。

ただ一つ残念だったのは、これだけジンファンデルが集まったのに、「ジンファンデルの3R」のワインが一つもなかったこと。ローゼンブラム(Rosenblum)は日本にほとんど入ってきていないし、レイヴェンズウッド(Ravenswood)は近年ちょっと品質どうなのか、というところもありますが、リッジ(Ridge)がなかったのは寂しい。次回はリッジ持っていこうかと思った次第です。

それにしても楽しい会をありがとうございました。

Date: 2020/0110 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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昨日はアカデミー・デュ・ヴァンでカレラの講座でした。過去2回は一部ヴィンテージが揃っていなかったのですが、今回は全部2016年。また、講座で試飲した4つの畑(ジェンセン、セレック、ライアン、ド・ヴィリエ)のほかクラス会ではミルズの2016も飲みました。

(写真は今回のものではないので、ヴィンテージが違っています)

講座では4つのピノ・ノワールを、どれがどの畑かを想像してもらいます。それ以外にどれが好きかも聞いています。過去2回はド・ヴィリエとジェンセンの人気が高かったのですが、今回の一番人気はちょっと予想外だったライアン。後で飲んだミルズを含めてもライアンが良かったと思います(ちなみに前回の一番人気だったジェンセンもヴィンテージは同じ2016でした。今回はあまりジェンセンらしい魅力がなかったのはボトルの問題だったのか?)。

実は創設者のジョシュ・ジェンセン、かつてソムリエ・ジャーナルのインタビューに答えたときにライアンが「将来はうちのワインの中で最高という評価になるだろう」と言っています。その理由は定かではありませんが、後日私が質問したときも、同じことを言っていたので本心なのでしょう。今回のライアンは非常にバランスがよく、何かの味わいが飛び抜けているというよりもきれいにまとまったワインでした。

一般的にはカレラの単一畑ではジェンセンが一番人気、次がセレック、後は横並びといった感じではないかと思いますが、価格の安いド・ヴィリエやライアンも、ブラインドでは差がないと思う人がほとんどです。個人的にはパワフルなド・ヴィリエを一押しなのですが、今回でライアンも見直しました。

古いカリフォルニアワインファンだと、「カレラ、もう20年くらい飲んでないなあ」なんて人も結構いそうですが、評価は右肩上がり傾向です。単一畑の安いものは1万円切りますからかなりお買得です。
カレラレイティング

Date: 2020/0108 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマの歴史あるワイナリー、ガイザーピーク(Geyser Peak)がヒールズバーグのテイスティングルームを閉じることが判明しました。
Geyser Peak
ガイザーピークは1880年にカリフォルニアで29番目のワイナリーとして設立された歴史あるワイナリーです。ただ、所有者はたびたび変わっており、現在のオーナーはオーストラリアのアコレード・ワインズ。米国の投資グループ「カーライル」が2018年にアコレードを買収しており、リストラクチャリングの一貫としてカリフォルニアのブランドは売却などが考えられている模様です。ちなみにほかにはアトラスピーク、XYZinがあります。

ガイザーピークは10ドル前後の安い価格帯のワインを得意としていますが、昨年コンストレーション・ブランズが多くのブランドをガロに売却したように、こういった価格帯のワインは利益が少ないとして、経営的には避けられるようになってきています。

なじみの深いブランドだけに残念なものがあります。

Date: 2020/0106 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワインの試飲能力を高める方法がWinefollyに載っていました(DIY Palate Training Wine Tasting | Wine Folly)。

ワイングラス

私が今習っているWSETの試飲ではアルコール度数や酸、残糖(辛口かどうか)、タンニンの強さ(赤ワインの場合)を3段階あるいは5段階で評価する必要がありますが、その練習になると思って試してみました。

まず、試飲用のグラスを5脚用意します。グラスごとに3オンス(約85g)の赤ワインを入れます。最初のグラスをリファレンスとして、2番めのグラスには砂糖を、次はレモン汁を、その次はウォッカをそれぞれティースプーン1杯入れます。最後のグラスには紅茶のティーバッグを入れます。

これで試飲することによって糖分が高まったときの味わいの変化や酸、アルコール、タンニンによる変化が分かるようになるとのこと。

実際には、ちょっと条件変えています。

まずワインは50cc程度とし(3オンスは多いので)、入れるのはティースプーン半杯としました。またウォッカがなかったので泡盛で代用、ティーバッグは味が出てきている感じがなかったので、別のカップにティーバッグを入れてお湯を少量注ぎ、そこからスプーンでワイングラスに入れました。

試飲してみると、砂糖を入れたものはふくよかさがまします。やや不自然なバランスにはなりますが、甘さは旨さに通じると改めて思いました。レモン汁を入れたものは爽やか。WSETの先生からは酸の多寡は唾液で判断すると教わっていますが、なかなかそこは難しい。まだ練習が必要です。

強いアルコールを加えたものは、いわゆる「あつい」感じがします。泡盛の場合、穀物の香りもだいぶ加わってしまうので、ウォッカなどもっとシンプルにアルコールに近いものの方がより練習にはなるかと思います。

最後に紅茶を入れたものは収斂性を感じます。これも紅茶の香りですぐわかってしまうのでブラインドにはなりにくいですが。

だいぶわかりやすかったので、今度は加える量をもっと減らして試してみたいと思います。

なお、味わいはグラスによっても変わりますので、テイスティング用のグラスを用意しておきましょう。私は木村硝子店(の安いの)を買いました。

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木村硝子店INAOグラス 47x156・240cc
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Date: 2020/0105 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ちょっと時間がたってしまいましたが、12月初旬にあったサシ・ムーアマンのセミナー報告です。
今回は、中川ワインとワイン・イン・スタイルの共同セミナーという非常に珍しい形式。中川ではサシ・ムーアマンのワインの中でサンタ・バーバラで自社畑のワインを作るドメーヌ・ド・ラ・コートと、サシ・ムーアマン個人プロジェクトでシラーなどを手掛けるピエドラサッシを輸入しており、ワイン・イン・スタイルはサンタ・バーバラで購入したブドウでワインを作るサンディと、オレゴンのイヴニング・ランドを取り扱っています。

まずはドメーヌ・ド・ラ・コートから2種類。ピノ・ノワールの「ピュア2018」(6000円)と「ラ・コート2017」(1万5000円)。ピュアはその名の通り、ピュアな味わいを身上とするワイン。醸造する前に普通はブドウを破砕するのですが、それを行わず、また発酵時にはSO2を加えないというワイン。さらに発酵中のパンチダウンもしなければ、酵母も加えない。ユニークな作りです。味わいはベリー系に花の香り、かすかにバニラ。味はしっかりしていますが、複雑さはそれほどないので、熟成させるというよりも若いピュアな味わいを楽しむワインです。

ラ・コートはベリー系にブラックペッパーなどのスパイスやナッツの風味。複雑な味わいです。酸もかなりしっかりしており、タンニンも強いです。余韻長く、レベルの高いワイン。熟成を楽しみたいワインです。ブドウをワイナリーに運んだ時点で酸化防止にSO2を加えるのが普通ですが、ここはそれを行わず、また低温ですごく時間をかけて発酵をしているとのこと。

次はサンディのピノ・ノワール「サンフォード&ベネディクト2015」(6900円)。ホールクラスターで発酵。発酵中はポンプオーバーだけでパンチダウンはなし。ピノ・ノワールでは珍しい気がしますが、パンチダウンをすると、ホールクラスターの茎のカリウムと果汁が接触することで酸が落ちてしまうとのこと。酸が1/4も落ちてしまうこともあるそうです。初めて聞いたことで勉強になりました。やや薄めの色合いで、ベリーの風味に、ホールクラスターによるものか草の風味を感じます。

ピノ・ノワールの最後はイヴニング・ランドのセヴン・スプリングス「ラ・スルス2015」(1万2000円)。オレゴンは夏が短く、その代わり日照時間がながく、夏は気温も高くなります。カリフォルニアではフレッシュさは酸が大事ですが、オレゴンではタンニンのしっかりした味わいがフレッシュにつながります。かなり酸が強く、ベリーの風味に加え、柑橘系や土、花のかおりもあります。

次はシャルドネ2本。普通は白ワインから試飲しますが、非常に酸が強いシャルドネなので、先に試飲すると舌がマスクされてしまい、後で飲んだワインの酸がわからなくなるとのことでピノ・ノワールの後での試飲です。

最初のシャルドネはイヴニング・ランドのセヴン・スプリングス「ラ・スルス2016」(1万2000円)。このワイン、少し還元香があるのですが、わざとそういったスタイルにしているとのこと。レモンやグレープフルーツに燻製やスパイスの風味があり、確かに複雑さは素晴らしいものがあります。

2本目のシャルドネはサンディの「サンフォード&ベネディクト2016」(6900円)。こちらはカリフォルニアらしい果実にの強さがあるワイン。パイナップルやレモンの風味にナッティな味わいもあります。余韻も長く美味しい。

最後はサシ・ムーアマン自身のワイナリーであるピエドラサッシから2本。最初は「PS シラー 2017」(4000円)。入門的ワインで若木のブドウを中心に作っているそうですが、カシスやブルーベリーの果実味に、胡椒などのスパイスや土の風味、ドライフルーツなど複雑味は十分。早めの収穫でアロマを出しているとのこと。

次は「シラー リムリック・ヴィンヤード2016」(7600円)。非常に余韻も長くすばらしいシラー。

所用で途中で退席してしまったので最後はちょっと消化不良ですみません。それでもサシ・ムーアマンのワイン造りへのこだわりの強さと、手間暇を惜しまないことはとてもよくわかりました。また、カリフォルニアとオレゴンの違いも、カリフォルニアでワインを作っている経験を元に説明してもらうと、すごく腑に落ちます。オレゴンとカリフォルニアはすぐとなりではありますが、その違いはかなり大きく、それを味わえたのも興味深かったです。

ドメーヌ・ド・ラ・コートの単一畑やイヴニング・ランドの「ラ・スルス」は1万円を超えますが、サンディのワインやドメーヌ・ド・ラ・コートの「ピュア」、そして今回は試飲なかったですがイヴニング・ランドのレギュラーの単一畑などは比較的手を出しやすい価格です。それらもレベル高いので、ぜひ試していただきたいワインです。

Date: 2020/0104 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ヴィナスのアントニオ・ガッローニが大晦日に2019年を振り返る記事を書いていました(2019 – The Year in Review (Dec 2019) | Vinous - Explore All Things Wine)。

赤ワイン
San Giusto a Rentennano 2016 Merlot La Ricolma
白ワイン
Vincent Dauvissat 2017 Chablis Les Preuses Grand Cru
シャンパーニュ
2008 Salon
知られざるワイン
Château de Millery

とここまではカリフォルニアは入らず。ちなみにシャンパーニュで選ばれた2008年のサロンはマグナムしか作られず、しかも他のヴィンテージとの100万円するセットしかないという…


気を取り直して続けます。
25ドル以下のベストワイン
2017 Bedrock Wine Co. Syrah Coast To Foothills

ベッドロックはジンファンデルが有名ですが、実はシラーでパーカー満点を取るなどシラーも得意。2017年は単一畑モノとしては「ビエン・ナシード」しか作らず、残りはすべてこのブレンド物に入ったとのこと。

50ドル以下のベストワイン
2017 Turnbull Cabernet Sauvignon (Napa Valley)

近年、ワインアドヴォケイトでも高評価連発のターンブル。レギュラーのボトルですが、自社畑のブドウだけを使っています。


イマージング・ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー
Rebecca George, Kelly Fleming Wines
あまり有名でないがすばらしいワインを作るワインメーカーとしてナパのカリストガにあるワイナリー「ケリー・フレミング」のレベッカ・ジョージが選ばれました。このほか「Mojave」という自身のブランドでアンダーソン・ヴァレーのピノ・ノワールも作っているそうです。いずれも日本には未輸入だと思いますが要注目ですね。

そして、映えあるワイナリー・オブ・ザ・イヤーは「オー・ボン・クリマ」でした。創設者のジム・クレンデネンはサンタ・バーバラで多くのワインメーカーのメンターとして尊敬されていますが、彼自身のワインは教え子たちに比べて過小評価されてきたとガッローニは評しています。2016年はシャルドネのニュイ・ブランシェが95点、ピノ・ノワールのイザベルやノックス・アレキサンダーがいずれも96点など高く評価されています。そして、オー・ボン・クリマは日本国内の価格がかなり安いです。特にマニアほど意外と最近のものは飲んでいない人が多いようです。シャルドネやピノ・ノワールのエレガントなものが好きならば、ぜひ飲んでほしいワインです。


ヴィンテージ違いですが。

Date: 2020/0103 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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クリスマス休暇であまりニュースがなかったことあり、この年末年始はちょっとブログおサボり気味です。いろいろ疲れがたまっているので、のんびりといつもよりは睡眠時間も長くしています。

というわけで、真面目にニュースを紹介するというより、戯言に近いものですが、最近気になっていること2件。

一つはオーストラリアの山火事です。コアラが相当数死んだというようないたたまれない話もありますが、ワイン産地であるアデレード・ヒルズでは3分の1の畑が焼失したという記事が1週間ほど前に出ていました。

カリフォルニアの山火事でもブドウ畑が焼けることはないわけではないですが、ほとんどの場合は防火帯的役割を果たしています。それがこれだけ焼けてしまうというのは、想像を絶する火の強さなのでしょう。

その後の経緯は追っていないのですが、まだ消火にはほど遠いようで、被害の拡大が懸念されます。

われわれ消費者としてはアデレード・ヒルズのワインを飲むのが一番の応援になるでしょう。

もう一つ、気になる話がトランプ政権による関税の問題です。エスカレートしていた中国との報復関税合戦はようやく落ち着きそうな感じになってきましたが、今度はEUのワインに100%という法外な関税をかけようとしています。

カリフォルニアワインとしては輸入ワインが高くなれば、国内のシェアが高まって歓迎かといえば、さすがにそんな近視眼的な意見はほとんど見当たらず、カリフォルニアワイン協会も、反対を表明しています。

また、ワインスペクテーターの発行人であるマービン・シャンケンはパブリックコメントで反対を表明するよう業界関係者に呼びかけています。

米国におけるEUのワインのインポーターは、家族経営的な小さいところも多く、本当にこれが実施されると壊滅的な影響を与える可能性があります。

正月早々楽しくない話で恐縮ですが、昨今のワイン業界は先行き不透明な話が多く(マリファナの影響や、ミレニアル世代のワイン消費の話など)、落ち着いていられないと思う今日この頃なのです。
Date: 2020/0101 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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年も開けてしまいましたが、昨年の記事の積み残しで、デカンター誌で100点が付いたワインを紹介します(Top scores: 100 point wines 2019 tasted by Decanter experts - Decanter)。

2019年の100点ワインは24本。カリフォルニアは5本でイタリア2本、オーストラリアが1本。残り16本はフランスで16本。英国の雑誌ですから欧州のワインが強いです。カベルネ系が多く、次はシラー系。白はゼロでした。

カリフォルニアでは
ドミナス1991
アイズリー カベルネ・ソーヴィニヨン 2016
オーパスワン 1997
オーパスワン 2013
ヴェリテ デジール 2015
が満点でした。

オーパスワン 97はリリースされた頃は、評価の高い97の中ではあまりいい評価がなかった記憶がありますが、ここに来ての高評価は面白いところです。

デカンター誌でリッジの評価が高いのは以前紹介しましたが、今回満点が付いたものをみてもクラシックな作りが人気のようです。