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Date: 2020/1128 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワインとチョコレート
サンフランシスコに本社があり、シングルオリジンのチョコレート作りにこだわるチョコレートファクトリーショップ「ダンデライオン」がナパ・ヴァレー・ヴィントナーズとコラボして、ワインとチョコレートのペアリングのオンラインセミナーを12月13日15時半~17時に開催します。

【オンライン開催】ナパワイン x Bean to Bar チョコレート ペアリングワークショップ(2020年12月13日 15:30-17:00) | Peatix

受講申込は上のリンクから。無料でも受講できますし、ワインとチョコレートのセットを選んで受講することもできます。セットは白ワインとチョコ、赤ワインとチョコ、これら両方の全3種類。ワインセットの申込みは12月6日までですが、定数に達するとその前に打ち切ることもあります。

白ワインセット(6200円)は
ワイン:Honig ソーヴィニヨン・ブラン リザーブ ラザフォード2018
チョコレート:ベンチェ, ベトナム 70%バー

赤ワインセット(6800円)は
ワイン:Clos Du Val Estate ナパヴァレー メルロ 2017
チョコレート:アーモンドチョコレート

メルローやカベルネ・ソーヴィニヨンとチョコレートの組み合わせは割とイメージしやすいし、実際ワインのつまみとしてチョコレートを食べることもありますが、ソーヴィニヨン・ブランとチョコの組み合わせはやったことありません。そういう意味では白ワインのセットがかなり興味深いです。
Date: 2020/1126 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズ・ジャパン(NPV)がワインに合うレシピブックを作りました。30種類くらいのレシピが載っているそうです。
レシピブック
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NPVの日本共同代表を務める小枝絵麻さんは食のスペシャリスト。クッキングスクールの講師や様々なレストランのメニュー開発などに携わり、ワインと食事のマッチングにも力を入れています。

そんな小枝さんのレシピですから、ナパのワインに合わせるのに抜群のものがあるはずです。

本の市販はなく、下記サイトから1000円以上の寄付で送られてきます。

寄付申し込み
Date: 2020/1123 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ベルグロス(Bell Gros)はナパの名門ワイナリー「ケイマス(Caymus)」のピノ・ノワール部門として人気の高いワイナリーです。そのサブブランドだったメイオミ(Meiomi)は、過熟で甘みの強いピノ・ノワールで特にピノ・ノワール入門者に大人気、ナンバーワン・ピノ・ノワール・ブランドとなりましたが2015年に売却しています。

このベルグロスの責任者であるジョー・ワグナーがワイン・ビジネスにかかわるようになったのはなんと15歳のとき。ソノマ・コーストのリンゴ畑をブドウに植え替える仕事を手伝ったことがきっかけでした。それから8年後にベルグロス
のワインを作り始めました。

ベルグロスはサンタルシアハイランズやソノマコースト、サンタ・マリア・ヴァレーのブドウからゴージャス系のピノ・ノワールを作っていますが、ジョー・ワグナーの原点といえるのは最初にかかわったソノマ・コーストのテイラー・レーンで、ここの畑のワインだけはマグナムで不定期に出荷されます。直近で出荷が始まったのは2011年(California Pinot Noir Producer Decides To Release Single Vineyard Wine After Almost A Decade Of Aging)。

Bell Gros

どうしてこれほど時間がかかるのかというと、熟成した味わいが出てくるまで待っているわけです。ジョー・ワグナーが、美味しくなったと思ったときに出荷するわけで、ときには古いヴィンテージよりも新しいヴィンテージのほうが先に出るといったこともありえます。

その味わいは他のベルグロスのワインとは異なる繊細系。甘みより旨味のタイプです。ボトルのデザインも他の畑のブドウとは分けています。

残念ながら日本にはテイラー・レーンは入ってきていないよですが、どんな味わいなのか気になりますね。

日本に入ってきているのは以下の3種です。


Date: 2020/1119 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズは2021年のオークション・ナパ・ヴァレーを開催しないと表明しました。また2022年以降は別の形での開催を考えるとしています。

オークション・ナパ・ヴァレーは1981年から毎年6月に開催。2月に開催されるプルミエ・ナパ・ヴァレー・オークションがプロ向けなのに対し、こちらは富裕層などの一般向け。出品もワインだけでなく、旅行やディナーなどを伴うものが大半です。また、収益はすべて地元の子供たちのために寄付されます。

2020年は新型コロナウイルスで初めて開催中止になりました。また、9月のグラス・ファイヤーで会場として毎年使われてきたメドウッド・リゾートが大きな被害を受けました。

今後はイベントの形自体を見直して続けていくとのこと。また、2021年も地元への寄付は行う予定です。
Date: 2020/1117 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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WA
ワイン・アドヴォケイトが初めて年間100のワインを発表しました。といってもよくあるトップ100ではなく、レビュアーがこの1年に見つけたワインで(初めてのレビューとは限らない)、コストパフォーマンスがいいか、熟成する価値があるか、サステナブルに作られているか、革新的な部分があるか、の少なくとも一つの要素がないといけません(各ワインにはこれらのどの要素があるかわかるようになっています)。その中からいくつか気になったワインを紹介します。



Fingers Crossedはシネ・クア・ノンのマンフレッド・クランクルの息子ニコラス・クランクルによるワイナリー。最初はFAETHMという名前になる予定でしたが商標の問題で名称を変更しました。シラー「Off the Record」はビエン・ナシードと、両親の持つ畑「サード・ツイン」「キュムラス」のぶどう、さらにセバスティアーノ・ヴィンヤードのぶどうで作っています。ルシアンヌを3%加えているのがユニーク。97点がついています。

もう一つ、ワイナリー2世のワインで「Trois Noix」。アラウホ(現アイズリー)を持っていたアラウホ夫妻の娘ジェイム・アラウホのワイナリーです。2018年のNoisette Cuveeは94+の評価。56%カベルネ・ソーヴィニヨン、36%カベルネ・フラン、8%プティ・ヴェルドという構成です。ナパ各地のブドウを購入し、両親のカスタム・クラッシュで醸造しています。「生産量が少ないことだけが難点」とリサ・ペロッティ・ブラウン。

ウイリアムズ・セリエムで長らくワインメーカーを務め、現在はスリー・スティックスでワインを作っているボブ・カブラルが自身の名前のついたBob Cabralで少量ワインを作っています。ピノ・ノワール「トロバドール2017(Troubadour)」は92+の評価。何よりユニークなのは利益をすべて地元の子供達への寄付に使っていることです。

Hetyrlendy
ヘビメタなラベルが目立つHertelendyのカベルネ・フラン2018は97点の評価。価格も95ドルとナパにしては比較的安いです。ハウエル・マウンテン近くの畑といくつかの買いブドウから作っています。ワインメーカーはシャペレーや自身のタイタスで知られるフィリップ・カロリオ・タイタス。

Modus Operandiの「アンティテーシス(AntithesiS)」は非常にユニークな醸造法を使っています。ワインの色を濃くするためのテクニックとして果汁を抜き取って果皮の比率を高める「セニエ」がありますが(抜き取った果汁から作るのがセニエのロゼになります)、このワインでは醸造後に果汁をすべて抜き取り、残った果皮の上に新たにブドウを加えて醸造しています。つまり果皮が2倍の状態で醸造することになり、非常に濃い抽出のワインができます。評価は98点と非常に高いです。
Date: 2020/1113 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ブリュワー・クリフトン(Brewer-Clifton)やダイアトム(Diatom)のワインメーカーとして知られるグレッグ・ブリュワー(Greg Brewer)がワイン・エンスージアスト誌の2020年ワイン・スター・アワーズにおいてワインメーカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれました(‘The Sta. Rita Hills is My Identity,’ Says Greg Brewer, Winemaker of the Year | Wine Enthusiast’s 2020 Wine Star Awards | Wine Enthusiast Magazine)。
Greg Brewer
グレッグ・ブリュワーはサンタ・バーバラ・ワイナリーで働いた後、1995年にスティーブ・クリフトンとブリュワー・クリフトンを立ち上げ、サンタ・バーバラの南側にあるサンタ・イネズ・ヴァレーの西半分にあるいくつもの畑からテロワールを重視したシャルドネやピノ・ノワールを作りました。これらの畑はいずれも現在サンタ・リタ・ヒルズに含まれており、このAVAの立ち上げおよび、知名度向上に大いに寄与しました。また、20年近くワインメーカーを務めたメルヴィル(Melville)も、サンタ・リタ・ヒルズを代表するワイナリーに育ちました。

さらに、樽を使わずに珪藻土からなる土壌の特徴を生かしたエレガントなシャルドネのブランド「ダイアトム(Diatom)」や「EX POST FACTO」ブランドのシラーなど、さらにサンタ・リタ・ヒルズの冷涼感を持ったワインを作っています。

これらサンタ・リタ・ヒルズへの貢献によって今回ワインメーカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれました。

また、グレッグは日本通でもあり、ダイアトムでは一時期漢字をラベルに使ったワインを作っていました。現在は漢字ラベルのワインは杉本夫妻によるシャトー・イガイタカハの漢字シリーズとして引き継がれており、ブリュワー・クリフトンの畑のブドウを使いながら独自の味わいに仕立てています。

漢字シリーズの「園」はピノ・ノワールのフラッグシップ。JALのファーストクラスのワインとしても使われています。


シャルドネのフラッグシップは「侍」。2006年のダイアトムが作った「Samurai Beauty」がワイン・アドヴォケイトで95点という高得点を取ったのにちなんだワインです。


Date: 2020/1112 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワインの偽造によって2012年に逮捕されたルディ・クルニアワン。未だに彼が作った600億円分を超える偽造ワインが市場に出回っているとも言われています。
偽造ワイン
有罪が確定したあとはエルパソの刑務所に収監されていましたが、11月6日に釈放されました。

もともと不法滞在もあったため、その後は国外追放になると目されていましたが、まだ移民局にいるとの情報があります。どうやら、未払いの罰金のためのようですが、詳しいことは分かっていません。

米国内のどこかに雲隠れする可能性も高くなったようです。

クルニアワンは古いワインの偽造を主に行っていましたが、現在では偽造ワインの主流は新しいワインに移っており、そちらの方がはるかに容易だと言われています。彼がまたワインの偽造を始めるのではないかと、業界は戦々恐々としています。
Date: 2020/1111 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日の試飲会で美味しかったワインを、特にコスパの良いものを中心に紹介します。


ディストリクト7のシャルドネ(2300円)はバランスいい味わい。先日「超優良ワイナリー」として紹介したシャイド・ファミリーのブランドの一つと知って納得です。やっぱりシャイドはコスパ・リーダーのワイナリーです。


ナーリー・ヘッド(Gnarly Head)の1924ダブル・ブラック(2300円)はジンファンデル主体のワイン。1924というのは中心となる古木のジンファンデルの植えられた年のようです。アルコール度数も16度と非常に高いですが、味わいも濃厚。ガツンとくる濃い系のワインを飲みたい人にお薦め。


エド・カーツマンがワインメーカーを務めるオーガスト・ウエスト(August West)のサンタ・ルシア・ハイランズのピノ・ノワール。この品質で6000円は相当安いです。うまみあり、バランスよし。


Daouのレギュラーのシャルドネ(3800円)は非常にコスパ高いシャルドネ。


レイモンドのリザーブ・メルロー。リザーブといっても3000円台と非常にリーズナブル。この価格帯で秀逸なメルローは案外見つかりません。


昨年、入荷するやいなや、あっという間に品切れになってしまった「オッド・ロット」。ユニークなラベルに目が行きがちですが、プティ・シラーとプティ・ヴェルドのユニークなブレンドはカリフォルニアらしい果実味に溢れた美味しさです。


コスパ代表格のランチ32。これもオッド・ロットも冒頭のワインと同じシャイド・ファミリーによるワインです。もし飲んだことない人がいたらぜひ飲んでください。


ボーグルもコスパの代表的ブランド。どれも水準以上ですが、個人的にはオールド・ヴァインのジンファンデルが一押しです。


ウェンテは赤もいいのですが、やはりシャルドネは外せません。モーニング・フォグのシャルドネは2000円台前半のシャルドネとしては出色のでき。


人気急上昇の缶入りワインですが、実は最初に始めたのはコッポラです。最近ダイヤモンド・シリーズも仲間入りしました。

Date: 2020/1105 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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マスター・ソムリエ協会にはびこるセクハラ、NYタイムズが告発」で紹介したNYタイムズ紙の記事に呼応して、米国のマスター・ソムリエ協会が2回にわたってステートメントを出しています。最初のステートメントは記事のすぐ後に出たもので、告発した女性を讃え、このことを大目に見るようなことはしないと述べています。次のステートメントでは、各人の告発内容について第三者委員会で調べており、ジェフ・クルースはメンバーを退任し、資格を剥奪すること、ギルドソムとの関係は切ることなどを述べています。





また、米国の女性マスター・ソムリエ全員の連名によるコメントも出ています。内容はマスター・ソムリエ協会のメンバーとして、今回告発した女性たちに謝罪し、これから協会を変革していく決意を表明しています。



また、Laura Maniec Fiorvantiというマスター・ソムリエは現状の協会には自浄能力が欠けているとして、会員を一時停止すると表明しています。



これらの動きを受けてNYタイムズも続報を書いています(Elite Wine Group Suspends Master Sommeliers - The New York Times)。

ただ、マスター・ソムリエの狭き門をくぐるには、候補者はマスター・ソムリエと師弟関係を結んで行かざるを得ないという状況があり、それが性的な関係への第一歩となっています。協会のポリシーとしては、それらが問題となって明るみに出ない限りは禁止するつもりはありません。女性の候補者は、そういった関係が避けられないと考えています。

この構造が続く限り、同じようなことは繰り返し起こりそうな気がします。

また、米国では映画「SOMM」をきっかけにマスター・ソムリエ志願者が急増したということも背景にありそうですが、他の国では問題がないのか、ということも気になります。日本のソムリエは比較的女性も多く、まだ健全そうに見えますが大丈夫でしょうか。

Date: 2020/1104 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Pivot

開けたワインの長期保存を可能にした革命的デバイス「コラヴァン」が、廉価版の製品「ピヴォット(Pivot)」を発表しました。

コラヴァンはコルクに針を突き刺してワインを注ぎますが、ピヴォットはコルクを抜いてそこに独自の栓を装着。その上からピヴォット本体を装着して注ぎます。注ぎ方はコラヴァンとよく似ています。また、アルゴンガスのタンクを使うのも同様です。
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99ドルで本体のほかに、ボトルに装着したままにするストッパーが2つ。アルゴンガスのタンクが2つ付属します。


コラヴァンの場合は開けてから年単位で保存が可能ですが、ピヴォットは最長4週間としています。

コラヴァンの普及には価格がネックになっているのは確かなので廉価版が出てくるのはいいと思います。ただ、アルゴンのタンクを使うところが同じなので、ランニングコストとしては変わらない。そこを安くする工夫がないとちょっと魅力は薄いような気もするのですが……。



Date: 2020/1101 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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マスター・オブ・ワイン(MW)と並ぶワイン業界最高の称号がマスター・ソムリエ(MS)。ドキュメンタリー映画「SOMM」で一般にも知られるようになりましたが、米国で155人しか受かっていないという極めて狭き門です。この米国のマスター・ソムリエ協会でセクハラが横行しているという記事をNYタイムズ紙が公開して業界を震撼させています(The Court of Master Sommeliers Has a Sexual Harassment Problem - The New York Times)。
NYタイムズ
マスター・ソムリエになるにはその試験を突破しないといけないわけですが、そのための教室や視察旅行などにおいてセクハラが起こっていたと、21人の女性が実名も込みで詳しく証言しています。「性的な攻撃は当たり前過ぎて、避けることなどできず、それとやっていくことを学ぶしかない」と語った人もいます。
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記事で特にフィーチャーしているのはジェフ・クルース(Geoff Kruth)。著名なエデュケーターであり、教育機関ギルドソム(GuildSomm)の創設者であり社長でした(前の週にギルドソム社長を辞任しています)。

彼に関しては複数の女性が具体的に受けた被害を語っています。中にはやり取りを残したスマホの画面を公開した人もいます。

このほかに、実名で告発されたマスター・ソムリエには旧リナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ(CIA)の教授でもあるRobert Bath氏、2005年から2017年にマスター・ソムリエ協会のボードメンバーだったMatthew Citriglia氏、協会の共同創設者で名誉会長のFred Dame氏、米国最大のディストリビューターRepublicのディレクターだったDrew Hendricks氏が含まれています。

また、2018年にマスター・ソムリエの試験問題が漏れた事件のとき、協会の副会長だったMatt Stampが二人の女性候補者と性的関係を結んでいたことも明るみに出ました。

Metooの運動によって、女性たちもようやく重い口を開くようになってきましたが、まだまだ問題は隠れているように感じられます。