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Date: 2020/1231 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ilovecalwineの海老原さんが、かつてPinotFileに掲載された、828というピノ・ノワールの「スーツケース・クローン」についての話を翻訳、掲載しています。

ピノノワール スーツケースクローン 「828」: 興味深い話が明らかに

元記事はこちら
Pinot Noir Suitcase Clone “828”: An Intriguing Story Revealed | The PinotFile: Volume 9, Issue 14

このクローンだけでなく、スーツケースクローンや「ディジョンクローン」についてかなり詳しく解説してあるので、ピノ・ノワールが好きな人はぜひ読んでみてください。

ちなみに、スーツケース・クローンというのは検疫を通さない形でスーツケースの中やコートに隠して密輸入したブドウの木の枝を元にしたブドウの木のこと。逆に、検疫を通って、ウイルスなどが無い形で配布されているクローンは「ディジョンクローン」と呼ばれていることが多いです。

スーツケース・クローンとしてはDRCから取ってきたと言われているカレラや、ラ・ターシュから取ってきたと言われているピゾーニのクローンなどが、以前から伝説ベースでは言われていますが、法律的な問題があるので現在では密輸入したと明示的にいう人はいません。そのあたりも詳しくは上記文書をお読みください。
Date: 2020/1230 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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マーサズ・ヴィンヤードのカベルネ・ソーヴィニヨンで知られるナパのオークヴィルにある歴史的なワイナリー「ハイツ・セラー(Heitz Cellar)」のオーナーが、これも歴史あるワイナリーである「ストーニー・ヒル(Stony Hill)を買収しました(Heitz Cellar Team Buys Stony Hill Vineyard | Wine Spectator)。

ハイツが現オーナーの手に渡ったのは2018年のこと。その後、2019年にはラザフォードのワイルドウッド・ヴィンヤード、クームズヴィルのヘイン・ヴィンヤードを買収、今年9月にはバーゲス・セラーズ(Burgess Cellars)を買収と矢継ぎ早に買収をしています。

ストーニー・ヒルはナパのスプリング・マウンテンにあり、シャルドネで知られているワイナリーです。禁酒法が終わった直後に設立されたナパではかなり古いワイナリー。これは偶然というわけではなく、狙って古いところを買いに行っています。

ストーニー・ヒルは2018年にロング・メドゥ・ランチに買収されており、今回はそこから買い取った形になります。
Date: 2020/1227 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2020年の印象に残ったワイン10(前編)」はこちら。


オールド・ヒル・ランチは現存するカリフォルニアで最も古いブドウ畑と言われています。かつてはレーヴェンズウッドのフラッグシップとして知られていましたが、近年は評価も低迷。さらにレーヴェンズウッドの所有権がコンステレーション・ブランズからガロに移ったことで、ワイナリーもほぼ解体状態になってしまいました。そこで、レーヴェンズウッドの創設者であるジョエル・ピーターソンが自身のブランド「ワンス・アンド・フューチャー」でオールド・ヒル・ランチのジンファンデルを作り始めたのがこのワイン。非常にパワフルかつタニック。レイヴンズウッド時代に「ノー・ウィンピー・ワイン(軟弱なワインはつくらない)」という標語を掲げただけのことはあります。非常に重厚かつ重層的な味わい。うまみ要素がこれでもかというほど押し寄せてきます。息子のモーガン・ピーターソンが作るオールド・ヒル・ランチも高評価を得ており、親子で銘醸畑を復活させた格好です。


あと4つはいずれもカベルネ・ソーヴィニヨン。ナパのオークヴィルにある銘醸畑中の銘醸畑「ト・カロン」。この名の付く畑は、ロバート・モンダヴィとベクストファー・ト・カロンの2つがありますが、モンダヴィの方のト・カロンはモンダヴィでのみ作られていました(一部オーパス・ワン専用のブロックもあります)。モンダヴィの親会社であるコンステレーション・ブランズが、著名ワインメーカー「アンディ・エリクソン」に、モンダヴィのト・カロンの畑の中で最良のブドウで作ってもらったのがこの「Highest Beauty」。濃厚ですが極めてバランスもよく高いレベルのワイン。生産量わずか500ケースですから、かなりのレア物。オーパス・ワン買うならこちらを選ぶことを薦めます。


ダオ(Daou)はパソ・ロブレスのワイナリー。コスパはいいけど、やや洗練さが欠けるイメージが合ったパソ・ロブレスでトップクラスのカベルネ・ソーヴィニヨンを作っています(シャルドネも美味しいです)。写真右のフラッグシップ「Soul of a Lion」はカシスやブラックベリーの果実味に、グラファイトや鉛筆の芯などの風味。シルキーなテクスチャが特徴です。そのシルキーさは「ハーランを彷彿とさせる」(アンディ談)。ナパでこのレベルのワインだったら価格は倍以上だと思います。


こちらは上で引き合いにだしたハーランの最新プロジェクト「プロモントリー」の垂直試飲です。畑はヨントヴィルですがマヤカマスの山中、人里離れたところに畑があります。まだまだ進化中の畑とワイナリー。その進化の過程が見えるような試飲でした。極めて高いポテンシャルを持っているワイナリーです。


最後はハンドレッド・エーカー。ワイン・アドヴォケイトで20回を超える満点を取っているワイナリーです。カベルネ・ソーヴィニヨンの単一畑は3つありますが、それ以外に、ベストの樽を選んで作る「Wrath(レイス)」があります。今回はその4つを一度に試飲しましたが、中でも個人的ベストは2013年のWrath。これは素晴らしいワイン。うまみが口の中を駆け巡るような味わいでした。



Date: 2020/1225 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2回に分けて今年印象に残ったワインを紹介します。今年はコロナで春から初秋にかけては試飲会もほとんどなく、また生産者セミナーもオンラインのものを除くとほとんどないという年でした。そのため、出合ったワインの種類は例年より少なめだったと思います。

コロナ禍は米国におけるワインの流通にも大きな影響を与えました。ワイン消費は全般に多くなったものの、伸びたのはほとんどが大ブランドのもの。小規模生産者にとっては厳しい年でした。そのため、格安で輸出されるワインや、通常であれば輸出向けには回らないようなキュベが輸出されるなど、日本のコンシューマーにとってはメリットもありました。

今回は印象に残ったワインということで10ブランドのワインを2回に分けて紹介します。前編はバリュー系が中心です。


ロウワー(Lawer)のヴィオニエは今年の驚きの出合いの一つ。そもそもカリフォルニアのヴィオニエで「あたり」のものを見つけるのはちょっと大変なのですが、これはとてもおいしい上に価格がむちゃくちゃ安い。大おすすめワインです。


ワンダーウォールのピノ・ノワールもバリュー系。3000円台にしては珍しいほどのエレガントなピノ・ノワールです。すごくいいワインだと思っているのですが、あまり話題になってこないのがちょっと不思議。


コスパワインで知られるシャイド・ファミリーが作った「低アルコール・低カロリー」のワインです。低アルコールや低カロリーにするには人工的な作業が必要であり、こういったワインは甘かったり「あまりおいしくない」というのがこれまでの常識だったのですが、このワインは普通に美味しい。


これはもうなくなってしまったワイナリー「ルタム」のシャルドネ、デュレル・ヴィンヤード。キスラーなどのオーナーであるビル・プライスと若き才人ギャヴィン・シャナン(チャナン)が組んだワイナリーだったのですが、残念ながらやめてしまったとのこと。個人的には今年飲んだシャルドネの中でベスト。ピュアな果実味ときれいな酸。ほのかなリッチさ。ワインメーカーの才能もデュレルの実力も見事なワインでなくなってしまったのが惜しまれます。


前編の最後はソーヴィニヨン・ブラン。1万円を超える珍しい高額なソーヴィニヨン・ブランです。サンタ・ルシア・ハイランズの雄ピゾーニのジェフ・ピゾーニと、その妻で元ウェイフェアラーのワインメーカーのビビアナ・ゴンザレス・レーヴが共同で作るワインで、ボルドータイプのセミヨンをブレンドしたソーヴィニヨン・ブランとロワールタイプのソーヴィニヨン・ブランを作っています。これがどちらも美味しい。ボルドーの高級ソーヴィニヨン・ブランと比べても引けを取らないクオリティです。





Date: 2020/1220 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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コルク業界最大手で半分近くのシェアを持つアモリム(Amorim)がブショネの起こらないコルクを開発したと発表しました(db exclusive: The world’s biggest cork producer announces TCA breakthrough)。

ブショネを引き起こす物質はTCAといい、それがないコルクを作ったとのこと。価格は従来のコルクと同等であり、今後従来のコルクを置き換えていくことが期待されています。

今回の技術の詳細は明らかになっていませんが、同社はNaturityと呼んでいるようです。
Date: 2020/1215 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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超充実のカリフォルニア・ヴァーチャル・ツアー1日目についで、2日めはナパ・ソノマ以外、具体的にはリヴァモア・ヴァレー、サンタ・バーバラ、パソ・ロブレスのワイナリーを5軒回ります。リアルツアーだったら移動だけで終わってしまう距離です。

ワイナリーはウェンテ(Wente)、メルヴィル(Melville)。ビエン・ナシード(Bien Nacido)とソロモン・ヒル(Solomon Hill)、ダオ(Daou)、ディアバーグ(Dierberg)とスター・レーン(Star Lane)。

まずはウェンテ。ウェンテといえばシャルドネ、シャルドネといえばウェンテ。このワイナリーを出自とする「ウェンテ・クローン」のシャルドネはカリフォルニアの75%を占めるとか。カリフォルニアがシャルドネの名産地になった、その理由の一つがウェンテ・クローンと言っていいでしょう。

説明はワイナリーの第5世代のアリ・ウェンテさん。ウェンテ家はドイツから1880年代にカリフォルニアに渡り、リヴァモアに47エーカーの土地を買ってブドウを植えました。当時のリヴァモアはナパと同じくらいワインが盛んだったそうです。1908年に最初のシャルドネを植え、そこから性質のいいものを選んで新しいシャルドネ作っていったとのこと。ウェンテ・クローンの特徴はマスカット、ストーンフルーツ、グリーンアップルの風味だそうです。

その後1960年にモントレーに1000エーカーの畑を購入し、在合計3000エーカー。サスティナブルなブドウ作りをしていて、ワインはすべて自社ブドウで作っています。

なお、ウェンテ・クローンにもいくつかのバリエーションがあり、クローン4はUCデーヴィスで認証されており、一番メジャー。オールドウェンテはStony Hillで1940年代から植えられ、カーネロスのHydeヴィンヤードで一躍有名になったそうです。

リヴァモアの土壌は小石混じりのロームで、ミネラリティがあるとのこと。昼の気温はナパより高くなりますが、サンフランシスコ・ベイからの強い風のために気温が下がるのも早く、夏の昼間は40℃近くまで上がりますが、夜は10℃を下回るそうです。

モントレーのアロヨセコは涼しく、収穫が10月の終わりになることもあります。じゃがいもくらいの石混じりの砂の土壌。リヴァモアが柑橘系の味わい、アロヨセコがリッチな味わいをくわえるとのこと。

試飲は4種です。

2018 Morning Fog Chardonnay(2300円)
 55%ステンレススチールで熟成、ゲヴェルツトラミネールを少量加えることで花の香りを与えているとのこと。
 ストーンフルーツ、レモン、白い花、濡れた石、フレッシュな酸

2018 Riva Ranch Chardonnay(3600円)
 Morning Fogよりリッチ、ふくよか、パイナップル、さわやかさもあります。

2017 Riva Ranch Pinot Noir(3600円)
 いちご、ざくろ、ジャム、ミディアムボディ、酸やや強い、

2017 Wetmore Vineyard Cabernet Sauvignon(3600円)
 赤系果実(ザクロ、ラズベリー)、プラム、いちごジャム、甘草、ミディアムボディ、非常にコスパよし、ホワイトペッパー

ウェンテのワインはどれも非常にコスパがいいのが印象的でした。

サンフランシスコ東方のリヴァモアから、一気に南に下り、次はサンタ・リタ・ヒルズのメルヴィルです。オーナーのチャド・メルヴィルが自ら説明してくれました。


サンタ・リタ・ヒルズは世界的に見ても珍しい、海岸線に対して垂直に山脈があるところ。通常は海岸線と平行に山があるので山が海からの冷気をある程度ブロックしてくれますが、ここはまったくブロックせずに直接冷気が入ってきます。そのため「クールではなくコールド」な気候となっており、ブドウ栽培地域の中でも指折りの寒さです。海からの距離は10~15kmで、合計120エーカーの畑を持っています。

この寒さのため、ブドウの木が休息する期間が短いのも特徴です。11月下旬の時点ではまだブドウの樹の枝は戻りの状態です。そして2月半ばにはブドウは目覚めます。ブルゴーニュよりも1か月半くらい早いそうです。このように気温は低いのですが、日照はいいのでブドウは完熟します。

土壌は古い海洋性のもので、珪藻が含まれ白っぽい土です。カルシウムが多く栄養も比較的豊富です。畑のカバークロップはBell Beanなど5種類。畑の中の栄養を吸い取るためにやるところも、栄養を与えるためにやるところもあるが、ここでは栄養与えるためにやっているそうです。

チャド・メルヴィルは土の香りを嗅ぐのが趣味で、世界中どこに行っても畑にいくと土の香りを嗅ぐのだそうです。メルヴィルではインテンスな香りを目指しているとのこと。

ここでの一番の敵は腐敗。ブドウの実の上の葉を落として日当たりをよくすることで防いでいます、ブドウの実は地表から40インチのところに付くようにしています。また、サバの粉末をスプレーしているとか。

試飲は4種類。

2015 Pinot Noir Estate(6500円)
発酵は1.5トンのオープントップファーメンターを使い、樽熟成ではニュートラルなオークだけを使っています。新樽が嫌いなわけではないが自分のワインはできるだけピュアな味にしたいのでニュートラルなものだけを使うとのこと。40%除梗なしです。除梗しないでワインを作る上ではクローンの進化も大きいとのこと。2015年は旱魃最後の年でストレス多かったとのこと。

 レッドプラム、ザクロの味わい、ジャム、ドライハーブ、ホワイトペッパー。複雑で滋味があります。

2016 Anna's Block Pinot Noir(9200円)
 生産量わずか500ケースのワイン。60%除梗なし。クローンは114が1/3で667が2/3。2016年は旱魃の後でブドウの実が美しくなったとのこと。
 とてもきれいなワインで、旨味があり素晴らしく美味しい。ラズベリー、ダークフルーツ、ザクロ、ダークチェリー、紅茶

2015 Syrah Estate(6500円)
 ホワイトペッパー、プラム、ドライハーブ、ミディアムボディ、バイオレット

2016 Chardonnay Estate(5200円)
 マロラクティック発酵なしで作るワイン
 ハーブ、火打ち石、レモン、オレンジ、白い花、酸がしっかりしています

3つ目のワイナリーは、オー・ボン・クリマなどのワインでも知られるビエン・ナシードの畑のオーナーが作るワインです。同じオーナーでソロモン・ヒルという畑もあります。場所はサンタ・マリア・ヴァレー、先程のサンタ・リタ・ヒルズの北側になります。サンタ・バーバラのAVAとして知られていますが、実は一部はサンルイスオビスポにまたがっていて、ビエン・ナシードも一部はサンルイスオビスポです。

メルヴィル同様生育期が長いのが特徴です。2018年は2月8日に早くも芽吹きが始まりましたが2月12日に霜が下りる被害がありました。

ビエン・ナシードではシャルドネは台木を使っておらず、ピノ・ノワールも大部分は台木なしの自根です。シャルドネはウェンテ・クローンが植わっています。台木を使わないシャルドネは酸がしっかりするとのこと。ビエン・ナシードはすぐ脇に急な斜面があり、それで風がブロックされるなど特異な地形になっています。

土壌はソロモンヒルズは砂。ビエンナシードはシェール、ライムストーン+粘土。




2018 Estate Chardonnay(8800円)
 徐行しないでプレスして直接樽に入れて発酵させます。100%マロラクティック。シュール・リー12か月
 白い花、火打ち石、レモン、オレンジ、上品な酸

2019 Well Born Cuvee Chardonnay(3700円)
 青りんご、レモン、パイナップル

2019 Estate Pinot Noir(1万1000円)
 6つのブロックのブレンド
 ザクロ、レッドプラム、ミディアムボディ、旨味があります

2019 Well Born Cuvee Pinot Noir(4400円)
 チェリー、キャンディ、ストロベリー、やわらかく親しみやすい



ランチは今日も絶品です。メインのグリルド・フランク・ステーキにはパクチー風味のソース。ちょっとびっくりしましたがこれがまたおいしい。

午後は北に上がってパソ・ロブレスのダオ(Daou)です。個人的にも大注目のワイナリー。

アデレーダ・ディストリクトAVAはパソ・ロブレスの中でも高級なワインができるところ。ダオは最高2200フィートという高台にあり、粘土石灰岩という土壌で、灌漑なしに育てることができます。気候的にはナパのセント・ヘレナと同じくらい。真夏でも華氏で100°(摂氏38°くらい)を超える日はほとんどありません。ダオの畑は28~56%という急斜面にあり、1エーカーあたり2234本から3360本という密植をしています。

ダオでは「フェノリック」を基準にして醸造を行っているとのこと。そのために、伝統的なテクニックと最新の技術を使っています。

ワインは5種類です。

2019 Discovery Rose(4800円)
 ピーチ、グアバ、軽いがおいしい

2019 Discovery Chardonnay(3800円)
 30%新樽
 パイナップル、ピーチ、グアバ、レモン

2019 Reserve Chardonnay Willow Creek DIstrict(8000円)
 ヴァニラ、クレーム・ブリュレ、ピーチ、パイナップル、酸がしっかりしているのでバランスはいい、シルキー

2018 Rserve Cabernet Sauvignon(1万円)
 100%フリーランジュース
 カシス、ブルーベリー、ドライフルーツ、濃厚パワフル、ちょっとタニック

2017 Estate Soul of a Lion(2万2000円)
 100%新樽22か月
 100%フリーランジュース
 カシス、シルキーなテクスチャ、余韻極めて長い、フルボディ、きめ細かなタンニン、グラファイト
 先日のグランド・テイスティングでプラカップで試飲して、じっくり試飲したいと思っていたワインです。シルキーなテクスチャがハーランを彷彿させると思っているのは僕だけでしょうか。正直、パソ・ロブレスでこのレベルのカベルネ・ソーヴィニヨンは飲んだことがなかったので、驚きです。ナパの一流ワインに匹敵するクオリティです。

最後はディアバーグ/スター・レーン
サンタ・バーバラのハッピー・キャニオンはこの地域では一番海から遠いところ。サンタ・リタ・ヒルズとはだいぶ気温が異なり、ここではカベルネ・ソーヴィニヨンも育ちます。

2017 Star Lane Sauvignon Blanc(2700円)
 ストーンフルーツ、グレープフルーツ、青りんご、ややしっかりした酸

2016 Star Lane Cabernet Sauvignon(8000円)
 カシス、ブルーベリー、ブラックベリー、甘いタンニンが全体を引き締めています
 ここのカベルネ・ソーヴィニヨンは自根だそうです。

2016 Dierberg SYrah(5200円)
 リッチ、甘草、ブルーベリー、スパイス、20%ホール・クラスターで複雑味があります。天然酵母

2018 Dierberg Chardonnay(6500円)
 リッチ、クリーミー、グアバ、パイナップル

2016 Dierberg Pinot Noir(7700円)
 ストロベリー、ラズベリー、いちごジャム、スパイス、35%ホール・クラスター


2日間の最後に、ソムリエの方々に印象に残ったワイナリーについて伺いました。
・Hundred Acreはすごみがあった
・Melvilleがすごくよかった。ポテンシャル感じた。シャルドネがすごくよかった。濃縮感があってかみごたえがあった
・LMRはいい意味でアメリカらしくないワイナリーだった
・Sensesは畑ごとの違いがわかりやすい。ソノマ・コーストは熱い

2日間で10ワイナリー。非常に貴重なワインも試飲でき、充実した時間がすごせました。普通に回ったら倍の4日間はかかる行程。充実していましたが、ますますカリフォルニアに行きたくなったのも確かです。2021年にはもっと気軽に行き来できるようになることを祈ります。

また、2日間ワインや料理のサーブなど、サービスいただいたコンラッド東京の方々にも大感謝です。
Date: 2020/1213 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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1日でカリフォルニアの一流ワイナリー・ツアーを5軒行く……ちょっとテイスティング・ルームに立ち寄るだけならともかく、ちゃんとワイナリーの説明を聞いて試飲もしてとなると、普通では無理な行程になってしまいますが、それを難なく実現してしまうのがヴァーチャル・ツアー。ソムリエ協会主催で日本を代表するソムリエ達を2日で10軒のワイナリーを体験してもらうツアーが開催されました。実際にはツアーも2行程あったのですが、私は先に開催された方だけ一緒に参加させてもらいました。

日本の会場はコンラッド東京。コロナ対策で「マスク無しで大丈夫」というくらい強力な空気清浄機を回しながらの受講です。とはいえ、そこそこ広い部屋に10人くらいしかいないので、空気清浄機なしでも密とも言えないくらいの余裕があるのでしたが。しかもワインをサーブしてくれるのは世界最優秀ソムリエコンクールに何度も出場している森覚さんを筆頭にしたコンラッドの素晴らしいソムリエさんたちという贅沢です。

私の参加したグループは、初日がナパのロング・メドゥ・ランチ(Ling Meadow Ranch)、ソノマのセンシーズ(Senses)、ソノマのジャクソン・ファミリー(Jackson Family)、ナパのオリン・スウィフト(Orin Swift)、ナパのハンドレッド・エーカー(Hundred Acre)。

写真は最後のハンドレッド・エーカーのワイン。これだけでいくら…と考えるとかなりすごいです。

さて、最初のワイナリーはロング・メドゥ・ランチ。ここはワイナリー名にランチ(Ranch)と入っているように牧場もあり、「ファーム・トゥ・テーブル」を一貫してやっているのが特徴です。

ナパのラザフォードが本拠地ですが、マヤカマスの山中にも畑があり、アンダーソン・ヴァレーにも畑を持っています。マリン・カウンティにも牧場があって牛を放牧しています。ほかのワイナリーよりも収穫時期が早くエレガントなワイン造りをしています。

試飲したワインは4種類。
2017 ソーヴィニヨン・ブラン ラザフォード(3900円)
 ふくよかさもあるがエレガントなワイン。ソーヴィニヨン・ブランらしい青い草の風味とメロンのようなトロピカルな風味が共存しています。フレッシュな酸が気持ちいい。

2016 シャルドネ アンダーソン・ヴァレー (6800円)
 ミネラル感のあるシャルドネですが、酸は比較的おだやか。青りんご、白桃、洋梨、わずかなヴァニラの風味。

2016 ピノ・ノワール アンダーソン・ヴァレー (6800円)
 やわらかく赤系果実味が優しい味わいのワイン。ザクロ、ラズベリーの風味。

2013 カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー (8500円)
 バランス良く、やわらかな味わいのカベルネ・ソーヴィニヨン。ナパのカベルネとしては比較的酸もあります。

2番めのワイナリーは、ソノマ・コーストに飛んでセンシーズ(Senses)。畑のオーナーの子どもたちがタッグを組んで始めたワイナリーで若いセンスが光ります。


ここのワインメーカーはシュレーダーなどナパのカベルネ・ソーヴィニヨンや、自身のワイナリー「リヴァース・マリー」で知られるトーマス・リヴァース・ブラウン。彼がソノマで作るワインはリヴァース・ブラウンとここくらいです。何十ものワイナリーからコンサルティングの依頼を受けるトーマス・リヴァース・ブラウンがここのワインメーカーになったのはどうしてなのか、不思議に思っていたのですが、なんとトーマス・リヴァース・ブラウンから、ワインメーカーをやろうかと申し出てきたというからびっくりです。オーナーの一人はソノマ・コースとのシエリオット(Thieriot)の畑の息子で、その関係からトーマス・リヴァース・ブラウンにつながったのでした(リヴァース・マリーではシエリオットのシャルドネを作っています。奥さんの一番の好みらしいです)。

2018チャールズ・ハインツ シャルドネ (1万4000円)
 素晴らしく蠱惑的なシャルドネ。花の香り、ハニー・サックル、鮮烈な柑橘系の味わいにクレーム・ド・カシスやヴァニラの風味。むちゃくちゃうまいです。

2018 ピノ・ノワールRRV (1万円)
 キーファーランチのブドウを中心としたピノ・ノワール。冷涼感のあるミディアムボディ。レッドプラムやレッドチェリーの味わい。

2018 Day One ピノ・ノワール(未輸入)
 これまたむちゃくちゃ美味しい。バランス良くリッチで極めて長い余韻。赤系果実に、ブルーベリーなど青系果実の風味がかすかにまじります。

次のジャクソン・ファミリーはソノマのハートフォード・コートとナパのフリーマーク・アビーの2つのワイナリーを紹介しました。次のジャクソン・ファミリーはソノマのハートフォード・コートとナパのフリーマーク・アビーの2つのワイナリーを紹介しました。ジャクソン・ファミリーは最初はメンドシーノとレイク郡にブドウ畑を作って、ブドウをワイナリーに売るつもりだったのが生産者に転じ、今では55ものワイナリーを束ねています。

ワインはハートフォード・コートから。
2016 Hartford Court Seascape Charadonnay(1万6000円)
 リッチな味わいですが、しつこくなくバランスのよいシャルドネ。ヴァニラ、スイカズラ、メロン、ピーチ、フレッシュな酸、オレンジ。軽い塩味や旨味もあります。

2016 Hartford Court Far Coast Pinot Noir(1万6000円)
 ラズベリーやレッドプラムなどの赤系果実の味わいがきれいで、ややリッチなタイプのピノ・ノワールです。畑はソノマ・コーストでPeayの近くにあります。

次はフリーマーク・アビイ。パリスの審判にも出た歴史あるワイナリーです。2つのカベルネを試飲しました。
2015 Freemark Abbey Bosche(2万7700円)
 複雑味を感じるワイン。ブラックベリー、土、トースト、タバコの風味

2015 Freemark Abbey Sycamore(2万7700円)
 きめ細かいタンニンがあり、パワフル。ブルーベリー、ブラックベリーの風味。ラザフォードのワインですが、オークヴィルに通じるようなきめ細かさがあります。

この後のランチでもジャクソン・ファミリーのワインを2つ試飲しました。
2018 Jackson Estate Camelot Highlands Chardonnay(8000円)
 はサンタ・マリア・ヴァレーのブドウを使ったシャルドネ。クリスプな酸があり、リッチだけどエレガントなワイン。軽いヴァニラ、白い花、レモン、グアバの風味。初めて飲みましたが美味しいです。


2017 Jackson Estate Hawkeye Mountain Cabernet Sauvignon(1万円)
 標高最高2400フィートの畑。ブラックベリー、コーヒー、リッチ、しなやかなタンニン、セージ、ベイリーフ、パワフルで余韻長い


このビーフが素晴らしい。「スロー・ローステッド・フィレ・オブ・ビーフ」と書いてありましたが完璧な火入れで、赤身肉が最高の状態でした。コンラッドさすがです。また食べたい。ワインがもっと欲しかったくらいです。

午後の1つ目はオリン・スウィフト。なんと創設者のデイブ・フィニー本人の登場です。


現在はE&Jガロ傘下にあり、ガロの持つ様々な畑のブドウをブレンドしてワインを作っています。そのあたりの細かい話はあまり聞けなかったのですが…

2017 Mannequin(7460円)
 シャルドネです。しっかりとした酸にややオフドライな甘み。白い花、ハニーサックル。

2018 Slander(9740円)
 甘やかな味わいのピノ・ノワール。甘草、レッド・プラム、あまおう

2018 8 Years in the Desert (1万700円)
 ジンファンデルです。デイブ・フィニーを有名にしたプリズナーを売却した後、契約によってしばらくジンファンデルを作れなかったのですが、ようやく作れたワイン。濃厚でパワフル、プラム、ブルーベリーの風味。

2017 Papillon (1万1220円)
 ボルドー系のブレンドです。これもパワフルで濃厚です。ブルーベリー、タンニン、

2017 Mercury Head 14800
 カベルネ・ソーヴィニヨン。ストラクチャーがしっかりしたワイン、ブルーベリー、ブラックベリー、コーヒー、チョコレート

オリン・スウィフトのワインは全体的にちょっと甘みを感じます。食事に合わせるのは難しいような気もしますが、ソムリエの方々に聞くと、ハンバーガーなどアメリカンなものには十分合うとの話でした。

最後はなんとハンドレッド・エーカー。ワイン・アドヴォケイトで22回満点を取ったワイナリーですが、オーナーでワインメーカーのジェイソン・ウッドブリッジはほぼ独学でワイン造りを学び(初期にはフィリップ・メルカにワイン造りを学んだようです)、ブドウ畑の開墾から栽培もしているという極めてユニークな人物。すべて自社畑でブドウを売りもしなければ買いもしないのがポリシー。

例えば最初に購入した畑であるKayli Morganは、最初に買ったときはソーヴィニヨンの畑でした。色の濃い粘土質で、砂利のように水はけがよくペトリュスの土地に似ていることに気づき、カベルネ・ソーヴィニヨンに向くとは思われなかったところでカベルネ・ソーヴィニヨンを植えたとのこと。


ここで作っているワインは実はいろいろあるのですが、メインはカベルネ・ソーヴィニヨン。今回は3つの単一畑と、その中からよりすぐりの樽をブレンドしたWraithを試飲しました。

2017 Kayli Morgan (9万8000円)
 極めて芳醇で濃厚なワイン。チョコレート、コーヒー、甘草、ブルーベリー。

2014 Few and Far Between 未輸入
 カリストガの銘醸畑アイズリーの少し坂上にある畑。傾斜10~20度で西向き斜面。チョークヒルギャップと呼ばれる谷あいを通して太平洋からの風が入ってきます。火山性土壌と沖積性の土壌が入り組んだ複雑な土壌です。ここだけは1割程度カベルネ・フランが入っています。
 リッチで引き締まった味わい。ブルーベリー、カシス、コーヒー、甘草、鉛筆の芯

2017 Ark(9万8000円)
 セントヘレナの近くの畑で傾斜30度に達する9つのブロックからなる畑。斜面の向きや土壌の構成もブロックごとに異なっており、それぞれに合わせたルートストックやクローンを植えているとのこと。
 3つの中で一番タニックな味わい。甘草、ブルーベリー

2013 Wraith(10万5000円)
 このワインにはノックアウトされました。リッチで複雑、極めて長い余韻。多分これは「パーカー100点」だろうと思ったらやはりそうでした(笑)。

個人的にはWraithが一番でしたが、参加者の好みは結構分かれていたのが面白いところです。

非常に贅沢な体験で初日は終了です。

なお、同席したソムリエさんたちからは以下のようなコメントをいただきました。

「生産者によって哲学違う。最初のワイナリーはエレガントだったが濃いのもあって多様化しているのを感じた」
「ワイナリーに行っているかのように産地を感じることができた。知っているつもりだった産地がより深い理解になった」
「生産者の熱量感じた。カリフォルニアに行きたくなった」
「職場ではあまり触れられなかったカリフォルニアワインをたくさん飲めてよかった」
「とても勉強になった。最近カリフォルニアワイン好きになってきたので知識を広げたい」
これで、少しでもカリフォルニアワインに力を入れてくださるレストランが増えることを期待したいです。
Date: 2020/1211 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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昨日、今年はカリフォルニアのランクインは少なそうと書いたばかりですが、ワイン・スペクテーターの年間トップ10の4位と2位もカリフォルニアでした。
マヤカマス
4位に入ったのはマヤカマス・ヴィンヤードのカベルネ・ソーヴィニヨン2016でした。昨年は2015年の同ワインが2位。驚きの2年連続トップ10入りです。2013年に現在のオーナーが買収して、アンディ・エリクソンがワインメーカーに就任しましたが、クラシックな造りはそれまでと変わっていません。それまでは衛生面などちょっと問題もあったようなのですが、そういった問題を解決して適切に投資できるようになったのが、2年連続の快挙につながったようにも感じます。実はコロナ騒ぎの直前にマヤカマスのセミナーがあり、そのときにどうしてスペクテーターで2位になったと思うか聞いてみたところ、スペクテーターのレビュアーが変わったからでは、といった返事がありました。理由はともあれ、マヤカマスのような酸やタンニンがしっかりしたワインが高く評価されるようになったことは驚きです。

日本には2016年はまだ入っておらず2位になった2015年がカリフォルニアワインあとりえに残っていました。


そして2位はオーベールのピノ・ノワールUVヴィンヤード2018。UVは先日ラテン系ワイナリーの記事でも取り上げていたユリシス・ヴァルデスの頭文字です。
オーベール
これも同じワインはありませんが、同じくユリシス・ヴァルデスがつくったUVSLの畑がありました。

Date: 2020/1210 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイン・スペクテーターの年間トップ10の発表が今週から始まっています。例年なら11月中旬に発表されていましたが、今年はおそらくコロナのせいで遅れたのでしょうね。

なんとなく、今回はあまりカリフォルニアが来そうにないと思っていますが、5位までの時点では一つだけ。オレゴンを入れても2つです。昨年はトップ10に4ワイン入りましたが、今年は残りどうなるでしょうか。
キスラー
さて、それでも6位に入ったのがみんな大好きキスラーのヴァインヒル・シャルドネ2017です。評価は96点。ロシアン・リバー・ヴァレーの畑で、ワインメーカーであるジェイソン・キスナーの好きな畑だそうです。

ちゃんと調べられていませんがキスラーのトップ10入りは珍しいのでは? もしかしたら初かも。

これ以外には、オレゴンのボー・フレールのボー・フレール・ヴィンヤード2018が9位。ボー・フレールは2016年にも3位に入っています。オレゴンのパイオニアの一つですが、ワインメーカーが創設者の息子に代わって、ますますレベルを上げているようです。

国内は現在のところ前ヴィンテージの2017までですが、実は2017年もレイティングは95点で今回9位に入ったワインと同じです。

Date: 2020/1208 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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このブログでも何回か紹介しましたカリフォルニアワイン協会がインスタグラムで行っているワインプレゼント企画、ついに最終回となりました。応募は簡単でカリフォルニアワイン協会のインスタアカウントをフォローし、プレゼントの投稿に「いいね」するだけ。ただし既にフォローしている人は対象外ということで、残念ながら指を加えて見ております。



最終回は素晴らしいワインが来ました。「ブランド・ブリオ・レッド2014」(26,100円)です。当選は2名。応募期限は12/19 23:59です。

ブランド(Brand)は、超高級なワイナリーばかりがひしめき合う(といってもこの地域のワイナリーの数は十数個しかありませんが)プリチャードヒルのワイナリー。いくつかある畑の最上部はコルギンのIXエステートのすぐそばという素晴らしい立地です。ワイン造りのディレクターはフィリップ・メルカ。豪華な布陣です。

これまで申し込んでいなかった人はラッキーですねえ。ぜひワインを勝ち取ってください。
Date: 2020/1207 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマ・マガジンが2020年のソノマ・ワイン・トップ100を発表しています(Your Guide to The Best Wines and Wineries in Sonoma, 2020 | Sonoma Magazine)。

選んだのはソノマのヒールズバーグ在住のワイン評論家リンダ・マーフィ。SFクロニクルのワイン・セクションを立ち上げ、ジェームズ・ベアード賞を2回取ったベテラン。彼女が今年試飲したワインから選んでいます。

選ばれたワインからいくつか紹介しましょう。

ソーヴィニヨン・ブランで「Paradise Ridge 2019 Vineyard Selection Russian River Valley Sauvignon Blanc」が選ばれています。パライス・リッジは2017年の大火でワイナリーが焼失しましたが、こうやって頑張って復活してきているのは嬉しいニュースです。

シャルドネでラ・クレマのソノマ・コースト2018が入っています。先日ここのピノ・ノワール飲みましたが、こちらもかなりコスパ高いいいワインです。


エンジェルズ・アンド・カウボーイズのロゼはコスパで選ばれた製品。おいしいです。


ピノ・ノワールでは「Freeman Vineyard & Winery 2018 Gloria Estate Green Valley of Russian River Valley Pinot Noir」も入っています。残念ながら日本にいま入っているのはヴィンテージ違いです。

ローヌ系赤でクラインのソノマ・コースト・シラー2018が入っています。20ドルで非常にコスパがいいとされていますが、なんと日本の値段はそれよりも安い税込みで2000円以下! ちょっとびっくり。


その他赤ではベッドロックのベッドロック・ヘリテージ2018が選ばれています。1800年代に植樹されたベッドロックの自社畑のワイン。フィールド・ブレンドで20種を超えるブドウが植わっていて複雑さを与えています。いつも素晴らしいワインです。


Date: 2020/1206 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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セクハラ問題に揺れる米国のマスター・ソムリエ協会は、出直しを図るための新たなボード・メンバーを選出しました。

• Christopher Bates, MS
• Robert Bigelow, MS
• Brahm Callahan, MS
• Keith Goldston, MS
• Michael Meagher, MS
• Kathryn Morgan, MS
• Joshua Nadel, MS
• Sabato Sagaria, MS
• Mia Van de Water, MS
• Emily Wines, MS
• David Yoshida, MS

が新たに選ばれたメンバー。エレメント・ワイナリーのクリストファー・ベイツだけが、これまでの取締役会メンバーから再任されました。

11人のうち女性は3人、ゲイが2人、アジア系が2人で白人男性が7人となっています。これまでは14人のうち11人が白人男性、女性が2人、黒人男性が1人でした。

セクハラの問題が明るみに出て以降、若いマスター・ソムリエの間では抜本的な変革が必要だとの声が上がっていましたが、メンバー歴の短い人はボード・メンバーになれないため、実際に選挙に出馬した18人を見ると13人が白人男性と、多様性が確保されているとは言い難い状況が続いています。そのため、セクハラを告発したNYタイムズの記事では、今回の変革にもまだ厳しい目が向けられています。

カレン・マクニールさんとペレット・エステートのトム・リナルディさん

カレン・マクニール(写真右)は「組織に苦痛と不信感が植え付けられている場合、内部から回復することは困難」と語っています。これまでに明るみに出たセクハラは氷山の一角であり、マスター・ソムリエ協会もまた業界の氷山の一角であると。
Date: 2020/1202 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ジャンシス・ロビンソンはサイトにカリフォルニアの今として、ラテン系(基本はメキシコ人)によるワイナリーが増えている話が載っています(California’s Latino-owned wineries mushroom | JancisRobinson.com)。

セハ(Ceja)やミ・スエーノ(Mi Sueno)は知っていましたが、ケラー(Keller)もラテン系とか初めて知りました。


カリフォルニアのブドウ畑はメキシコ人によって支えられていると言っても過言ではありません。畑で作業している人はほとんどがメキシコ人といってもいいくらいです。彼らが自身のワイナリーを持ちたいと思うのも自然ですし、もっともっと増えていいと思います。

メキシコ人による成功例の中でも個人的に注目していたのがユリシス・ヴァルデス。ソノマ、特に冷涼なソノマコーストで畑を管理させたら右に出る人はいないと言われた人で、マーク・オーベールが最大の信頼を置いていたとか、パルメイヤーがウェイファアラーの畑を作ったとき、この人でなければ無理だったと言ったとか、ここ10年くらいのソノマコーストのブームもこの人なしでは成り立たなかったのではないかと思うほどの偉人です。

しかし、一昨年49歳の若さで急死。その後は4人の子供たちが後を継いでいます。
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ワインスペクテーターの記事によると、長女のエリザベスは父の死の前から家族のワイナリーのワインメーカーを務めており、長男のユリシス・ジュニアが畑の管理会社を引き継ぎ、父譲りの熱心な取り組みで既に信頼を勝ち取っているとのこと。

次男と次女も別の仕事をしながら、父の死後は家族の手伝いもしているそうです。

畑の管理会社では多くのメキシコ人のフルタイムの労働者を雇っており、彼らをきちんと食べさせていくことも大事な仕事。そこからまた第2、第3のユリシス・ヴァルデスが生まれることも期待したいです。

ヴァルデス家のワインは輸入されていませんが、自社畑のシルバー・イーグルのワインは、かのリヴァース・マリーが作っています。リヴァース・マリーのピノ・ノワールの中では比較的ボールドなタイプ。むちゃウマです。


Date: 2020/1201 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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今年火災で大きな被害が出たナパを応援する試飲会をワイン・イン・スタイルが開催しました。普通の試飲会では登場しないようなワインも出てきてナパの素晴らしさも幅広さも感じさせてくれるものでした。


いきなり登場したのが超名門アイズリー(Eisele)の全ワインです。カリストガのアイズリー・ヴィンヤードは1970年代初頭からカベルネ・ソーヴィニヨンの銘醸畑として知られており、リッジやコン・クリーク、その後はジョセフ・フェルプスの単一畑で一世を風靡した後、1990年代以降はアラウホ(Araujo)のワインで知られていました。2013年にシャトー・ラトゥールの親会社が買収して名称変更して今に至ります。カベルネ・ソーヴィニヨン2016(9万円))はパーカー100点を取ったワイン。非常にエレガントでタンニンのきめ細かさが印象的。ナパらしいパワフルさよりも上品さが際立ったワイン。ソーヴィニヨン・ブラン2017(1万6500円)は香り豊かでミネラル感と柑橘がとてもきれい。これも非常にレベルの高いワイン。シラー2016(3万7000円)も北ローヌ的な筋肉質なタイプ。コルギンのシラーなどと並ぶナパを代表する高品質シラーです。


超高級ワインを続けます。フランシス・フォード・コッポラ監督が所有する名門イングルヌック(Inglenook)のフラッグシップ「ルビコン(Rubicon)2015」(3万5000円)。ナパらしいふくよかさとエレガンスが両立したワイン。シャトー・マルゴーのマネジングディレクターを兼任するワインメーカーがワインを作るようになり、ここもボルドー的なエレガンスを感じます。


ルビコンのサード・ワインになるのがカベルネ・ソーヴィニヨン1882。1882年はイングルヌックの創設者であるグスタフ・ニーバウムが最初にナパのワインを作った年。8900円という価格ですが、それ以上の品質を感じます。


もう一つ超高級ワインでコンティニュアム(Continuum)2017(3万7000円)。個人的に大好きなワインの一つです。2017年は火事の影響でカベルネ・フランの比率が少し低くなっており、そのせいか例年より少し骨太な味わいになっています。ナパらしい果実味ときれいなタンニンが素晴らしいワイン。ナパでも絶対に飲むべきワインの一つだと思います。



ジラードのソーヴィニヨン・ブラン(2950円)とフラッグシップの赤ワイン「アーティストリー」(6300円)。ソーヴィニヨン・ブランはきれいな味わい。コスパいいと思います。アーティストリーは緻密な味わい。ナパの高級ワインの中では比較的手に入れやすい価格です。


ホールは外さないワイナリー。どれもバランス良く高品質です。ソーヴィニヨン・ブランは3800円。メルロー6600円。カベルネ・ソーヴィニヨンは9000円。


クロ・ペガスからは高級ラインの「オマージュ」の2つを紹介します。「オマージュ ミツコズ・ヴィンヤード シャルドネ」(7300円)はリッチでクリーミー。ちょっと贅沢した気分のワイン。「オマージュ テンマ・ヴィンヤード カベルネ・ソーヴィニヨン」(1万7000円)はナパらしい芳醇なワイン。


シルヴァラードのカベルネ・ソーヴィニヨン「GEO(ジオ)」(1万3000円)。これから注目が高くなっていくと思われるクームズヴィルのカベルネ・ソーヴィニヨン。きめこまかなタンニンで高品質。クームズヴィルはまだマイナーですが知っておいた方がいい地域です。


ファーニエンテのシャルドネ(1万3000円)。ナパのリッチ系シャルドネの代表格です。安定の味わい。ここはこのスタイルを貫き通してほしい。


ポール・ホブズのクームズヴィルのカベルネ・フラン(3万3000円)。カベルネ・フランらしいちょっとスリムでエレガントな味わい。うまみもあって奥行きの深い味わい。個人的にはむちゃくちゃ好きです。もうちょっと安いとうれしいけど…


ターンブルはそれほど高級なイメージがないかもしれませんが、実はワイン・アドヴォケイトで100点を2回取っている高級ラインも持っています。日本では初めて見ました「ブラック・ラベル カベルネ・ソーヴィニヨン」(2万4000円)。さすがの味わい。


スクライブの「ウエストサイド アトラス・ピーク カベルネ・ソーヴィニヨン」(1万2000円)。ニューカリフォルニア系のカベルネ・ソーヴィニヨンでバランスいい味わい。


マヤカマスのシャルドネ(8500円)とカベルネ・ソーヴィニヨン(2万円)。ニューカリフォルニアとは逆のオールド・カリフォルニアですがスタイルとしては通じるところがあるのかも。クラシックな味わい。

最後、時間がなくてニューカリフォルニア系のテーブルの写真が取れなかったのですが、マサイアソンのリボッラ・ジャッラとかフェイラのシラーなどもよかったです。マサイアソンは「スイート・ヴェルモット No.3」(5200円)も。優しい甘さに心ほだされました。