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Date: 2021/0130 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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マヤ・ダラ・ヴァッレ
ダラ・ヴァッレ(Dalla Valle)の新しいワインメーカーに、オーナーであるナオコ・ダラ・ヴァッレの娘であるマヤが就任しました。

ダラ・ヴァッレのフラッグシップ「Maya」の名前に使われていることでも知られているマヤさんは、2017年にディレクターとしてダラ・ヴァッレに就任しました。コーネル大学でワイン造りと醸造の修士号を取り、その後ボルドー国立農業技術学院で畑とワイナリー管理の修士を取得。オルネライア、マッセート、ペトリュス、シャトー・ラ・トゥールといったそうそうたるワイナリーで経験を積んできました。

2007年からワインメーカーを務めてきたアンディ・エリクソンはコンサルティング・ワインメーカーとして残ります。

マヤさんは1986年生まれ。その年にワイナリーを始め、次の年に「マヤズ・ヴィンヤード」と呼ぶ5エーカーのブロックを植樹しました。その畑から1992年に作られたワイン「Maya」がロバート・パーカーから100点を得たことで一躍「カルト」の仲間入りをしました。

マヤさんがダラ・ヴァッレに参加して以降、ワイナリーはバイオダイナミックに転換。また、オルネライアと共同でDVOというブランドを立ち上げています。
DVO Wine

Date: 2021/0125 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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市場調査会社bw166を主宰するジョン・モラマルコ氏によると、2020年の山火事でカリフォルニアのワイン業界の損失は37億ドルに達するとのことです(2020 Fires Caused $3.7 billion in losses for Wine Industry)。

これは火災による直接の損害、収穫したブドウの販売先がなくなること、ワインの販売減といったものを含んでいます。

また、今後の見通しについては、前半は厳しい状況が続くものの後半は好転する可能性があるとのことです。新型コロナの自粛からの反動が期待されるためで、これまで貯蓄に移っていた分が消費に回ると考えられています。

ただ、レストラン業界は大きな打撃を受けており、レストランの数は中長期的に25%減少するとモラマルコ氏は推計している。また、レストランのワインリストも縮小される可能性が高いため、これらはワイン業界の売り上げにも大きくかかわる。

モラマルコ氏はまた、煙の影響などを減らすための技術開発のため、UCデーヴィスに1000万ドルの資金を提供すべきとしています。多額になりますが、今後も火事の被害が続くことを考えると安い買い物かもしれません。
Date: 2021/0122 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワインあとりえとワインライター/翻訳家の立花峰夫さんのコラボ第4弾でトレフェッセンのワインが紹介されていました。

立花峰夫さん紹介のワイン一覧

それに便乗して、一つエピソードを紹介します。

カリフォルニアワインがフランスワインを打ち負かした話というと1976年の「パリスの審判」が有名ですが、その3年後にも一つの事件がありました。フランスのレストラン批評で有名なゴ・エ・ミヨ誌が世界一のワインを決めようと「ワールド・ワイン・オリンピックス」というイベントを開いたのでした。もちろんフランスのワインが1位を取ることが期待されていたわけですが、33カ国のワインを集めた中でトレフェッセンのシャルドネ1976が1位を取ったのです。

ブルゴーニュの一流ワインも参加してのこのイベントでカリフォルニアワインが1位を取ったことはパリスの審判と同様、フランスにとっては大きなショックであり、納得できるものではありませんでした。そこで半年後にドルーアンが主催して、舞台をブルゴーニュに移して改めて対決が行われたところ、そこでもトレフェッセンが勝利。ロベール・ドルーアンもこの結果には納得するしかなく、トレフェッセンのシャルドネは「ほかのすべてのシャルドネを測る尺度になる」と褒め称えました。

実はトレフェッセンはこれらの結果が出るまで自社のワインがエントリーされていることすら知らされていませんでした。1位になったと聞いて最初は間違いか悪い冗談ではないかと思ったそうです。というのはゴ・エ・ミヨどころかフランスにワインを送ってもいかなったからです。世界一が間違いないとわかってから後も、どうしてトレフェッセンのワインがエントリーされたのかはミステリーのままでした。

この謎が解けたのはなんと40年近く経った2018年のことでした。トレフェッセンは創設50周年のイベントをロンドンで開き、そこでこの1976年のシャルドネも提供してこのエピソードを披露しました。そこでもエントリーの謎の話題が出たのですが、イベントに出席していたスティーブン・スパリア(パリスの審判の主催者です)が、実は自分がエントリーしたのだと明らかにしたのです。スティーブンはトレフェッセンの英国のインポーターで、1978年のワールド・ワイン・オリンピックスの審判の一人でもあったのですが、これまでエントリーについては一言も触れたことがなかったのでした。

今回のエピソードはこちらから。
World Wine Olympics

パリスの審判で1位になったシャトー・モンテリーナと比べるとトレフェッセンの世界一はあまり知られていないような気がしますが、フランスでフランスワインに勝ったという価値は同じくらいあります。さらに、トレフェッセンのワインはすべてナパの自社畑から作っており、栽培家としての栄誉もあります(モンテリーナのシャルドネはソノマのバチガルピなどからの買いブドウで作られていました)。

トレフェッセンのワインは決して派手ではないのですが、どれも実によくできています。安心して飲めるブランドと言っていいでしょう。個人的にはシャルドネ以外にカベルネ・フランもお薦めです(マルベック・ブレンドのドラゴンズ・トゥースがないのがちょっと残念)。



Date: 2021/0121 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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1981年から続いていたオークション・ナパ・ヴァレーを昨年キャンセル、その後11月に開催を全面的に見直すと表明していたナパ・ヴァレー・ヴィントナーズが、2021年はオンラインでワイナリーのセラーの秘蔵品をオークションすると公表しています(‘Direct from cellar’ event to replace Auction Napa Valley)。
auction
オークションはザッキーズと組んで開催します。期間は2月11日から20日。「ダイレクト・フロム・ザ・セラー」としてワイナリーのライブラリー・ストックからワインを提供します。100を超えるロットが出るとのこと。

一方、毎年2月に開催していた業界向けのプルミエ・ナパ・ヴァレー・オークションは今年は6月に開催します。オンライン主体にはなりますが、人数限定で会場でのオークションも行います。こちらは今後も継続していくと表明しています。
Date: 2021/0119 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ヴィナスのアントニオ・ガッローニがソノマのレポートを発表しています。注目はスティーブ・キスラーのオクシデンタル(オキシデンタル)のピノ・ノワールSWKヴィンヤード2018が100点を取ったこと。キスラー時代も含めて、実は100点は初(少なくともワイン・アドヴォケイト、ヴィナス、ワイン・スペクテーター、ワイン・エンスージアストでは)。
ソノマワイン

今回はソノマのプレビューということでレビューしているワイナリーは10軒にとどまっています。そして異例なことに、レビューの記事ではおよそ3分の2をここ数年のソノマの受難に割いています。

2017年はサンタ・ローザ近郊を焼き尽くしたタブズ・ファイヤーがあり、亡くなった方も大勢いらっしゃいました。2019年もアレキサンダー・ヴァレーからの山火事で、ソノマの大部分に避難命令が出されました。そして2020年は8月から大規模な山火事が発生して煙に覆われた地域が多く出たことから、多くのワイナリーが醸造を諦めています。さらには新型コロナでワイナリー訪問客が激減した上、レストラン経由での売上もほとんどなくなりました。

ソノマ(に限らないですが)は小規模な生産者が多く、さらにはまだワイナリーを始めたばかりの若者も多くいます。そういった小規模の生産者は今本当に苦境に立たされており、とにかくワインを買って支えてほしいとしています。

日本からもやはりワインを買って上げるのが一番の応援です。ここでは若い人が作っているワイナリーとして、Raen(レイン)、Senses(センシーズ)、Crossbarn(クロスバーン)、Six Cloves(シックス・クローヴズ)を挙げておきます。




Date: 2021/0115 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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1998年来のウイリアムズ・セリエムのオーナーであるダイソン夫妻が株式の半分近くをブルゴーニュのフェヴレ家に売却したことを明らかにしました(Dysons Sell Stake in Williams Selyem to Burgundys Faiveley Family)。
2006 Williams Selyem Hirsch Vineyard
ウイリアムズ・セリエムはバート・ウイリアムズとエド・セリエムが1979年に趣味で始めたワイナリー。1985年のロキオリ・ヴィンヤード・ピノ・ノワールがカリフォルニア・ステート・フェアで最優秀に選ばれたことで、一躍人気ワイナリーになり、ロシアン・リバー・ヴァレーがピノ・ノワール産地として注目されるきっかけとなりました。

1998年にダイソン夫妻に売却したときは、すべて契約畑のワインであり、ワインメーカーも新たに交代したので品質維持が疑問視されたこともありましたが、その名を落とすことなく、また新たに4つの自社畑を購入し、瀟洒なワイナリーも構築して現在に至ります。

今回の売却は夫妻の引退への布石ということだと思われますが、少なくとも後3年はワイナリーに残って日常業務を行っていくとしています。また2013年から3代目のワインメーカーとして働いているジェフ・マンガハスを中心としたワイン造りの体制にも変化はないとしています。
Date: 2021/0114 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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シリコン・ヴァレー・バンクによる米国ワイン業界の年間レポートが公表されました(2021 SVB Wine Report | Silicon Valley Bank)。1年前にはまだコロナの「コ」の字も出ておらず、前年のレポートでは米国ワインマーケットのオーバーサプライが最大の問題として取り上げられていましたが、今年のレポートでは激変したセールスチャンネルなどが取り上げられています。

言うまでもなく、eコマースの存在感は2020年に大きく増しました。これまで10年間の成長分をステイ・イン・ホームになった3カ月くらいで達成するほどの急成長でした。一方で、テイスティング・ルームなどは激減しているため、トータルで見るとそれほど変わっていない状況でした。ただ、セールスの状況についてはワイナリーごとの違いが非常に大きく、3割以上伸びたワイナリーもあれば逆に3割ほど減らしたワイナリーもあり、凸凹が際立つ結果となっています。

収穫
2020年はまたグラス・ファイヤーなど山火事の影響も非常に大きなものになりました。収穫量は大きく減り、冷害だった2011年並みだったようです。

地域別
特に、地域別に見るとオレゴンやナパ、ソノマでは過去最低に近い収穫量だったワイナリーがかなり多くなっています。
クオリティ
収穫量を減らした原因は火事による煙の要素が多分にあります。そのため、収穫量が減った地域ではブドウの品質もあまりよくなかったという評価が多くなりました。

2月に公開されるクラッシュ・レポートと合わせて米国の現状を知るための極めて重要なレポートです。産業としてのワインに関心がある人には必須の内容です。
Date: 2021/0107 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ガロ
2019年4月3日に発表された、コンステレーション・ブランズからガロへの30を超えるブランドの売却がようやく完了しました。これほどまでに長くかかったのは独占禁止法違反でFTCによる認可が得られていなかったからです。2020年末にFTCの許可が出ました。

【過去記事】
ガロ、コンステレーションからフランシスカン、レイヴェンズウッドなど30以上のブランドを取得
コンステレーションのワインブランド売却続報
コンステレーションからガロへのブランド売却、一部差し戻し

実際に売却されたブランドは Arbor Mist, Black Box, Clos du Bois, Estancia, Franciscan, Hogue, Manischewitz, Mark West, Ravenswood, Taylor, Vendange, Wild Horseなど。売却に伴い、これらのブランドは既に日本市場では販売が終了しています。また、これらの大部分はブランドだけの売却であり、畑は含まず、生産設備も5つほどだけとなっています。コンステレーションは比較的安価なワインのブランドを売却し、プレミアム志向を強めていきます。
Date: 2021/0106 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ヴィナスのアントニオ・ガッローニが2020年末に年間の総括記事を上げており、その中でワイナリー・オブ・ザ・イヤーとしてベッドロックを選んでいます。

理由としてはベッドロックの2018年のワインが素晴らしいこと。どのワインもその畑の特性を十分に引き出しており、逆にワインメーカーとしての個性は控えめだと言います。すべてのワインが、その畑の教科書になるとほめています。

例えばオールド・ヒル・ランチの2018年は96点。パワーとフィネスのバランスが素晴らしく、運良く買えた読者はラッキーだとしています。


ソノマの銘醸畑モンテ・ロッソも96点。こちらは上記のオールド・ヒルとは打って変わってエレガントでピュア、洗練されたワインだとのこと。


また、エヴァンジェーロのジンファンデルは、スイート・チェリーにザクロ、ブラッド・オレンジの果実味があるとのこと。これも美味しそうです。94点。



最後に自社畑のベッドロックも94点。こちらは筋肉質でパワフルなワインだとのこと。ちなみにベッドロックやモンテ・ロッソの畑は、ヴィナスで「カリフォルニア・ヴィンヤード・シリーズ」としても紹介されていて、ジンファンデルファンにとっては必須の内容になっています。


Date: 2021/0105 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ヴィノスやまざきは25の直営店(2021年1月時点)で、直輸入のワインを中心に販売しています。一部のワインは他のショップでも販売していますが、基本的には直営店でしか買えないワインがほとんどです。ヴィノスやまざき専用に作っているワインも多くあり、カリフォルニアワインにもかなり力を入れています。

今回、直輸入のワインをいくつか試飲させていただきました。


まずは白ワインから。ストーンヘッジのメリタージュ・ホワイト2018(3500円、価格は税別(以下同))とウォーターストーンのシャルドネ2017(5000円)です。
ストーンヘッジのメリタージュ・ホワイトはソーヴィニヨン・ブラン中心のブレンド。ソーヴィニヨン・ブラン65%にセミヨン26%、ミュスカ9%のブレンド。ソーヴィニヨン・ブランのさわやかさとセミヨンのやわらかさがあり、青りんごにピーチ、グアバの風味。
ウォーターストーンのシャルドネはカーネロス産のブドウを使っています。軽い樽香にオレンジピール、洋梨、スイカズラ。複雑さがあり、いいシャルドネです。


赤ワインはまずストーンヘッジのメリタージュ2017(2980円)。別ヴィンテージのものを以前紹介したことがありますが、極めてコスパの高いワインです。カベルネ・ソーヴィニヨン42%にメルローが22%。プティ・ヴェルド17%、マルベック11%、カベルネ・フラン8%。メルローが多いのが特徴で柔らかな味わいですがストラクチャーもしっかりとしており飲みやすく満足感の高いワイン。畑は近年注目度が高まっているクームズヴィルが52%でオークヴィルやラザフォードなども入っています。これを税別とはいえ2000円台で作るのはすごいと思います。
ウォーターストーンのカベルネ・ソーヴィニヨン2017(6800円)はナパのチャイルズ・ヴァレー(Chiles Valley)のブドウを中心にしています。カベルネ・ソーヴィニヨン78%にメルローが22%。こちらはタンニンも酸もしっかりとしたワインです。より本格的なカベルネ・ソーヴィニヨンの味わいを求めるならこちらがいいと思います。1月22日までの期間限定で3980円とかなりお買い得になっています。
もうひとつウォーターストーンから「スタディ・イン・ブルー」2017(10000円)。例年はカベルネ・ソーヴィニヨンとシラーのブレンドでしたが、2017年は山火事の影響でシラーが手に入らず、カベルネ・フランを69%使っています。ブラックベリー、レッドプラムの果実味にカベルネ・フランらしい青っぽさがあり、タンニンもしっかりしています。ストラクチャがあり、美味しいワインです。

赤ワインの4本目はメンドシーノのDNAヴィンヤーズによる「コロ(Coro)2016」(5800円)。コロというのはメンドシーノで2000年に始まったプレミアムな赤ワイン・ブレンドで「メンドシーノのブドウを使って」「メンドシーノのワイナリーが作って」「ジンファンデル主体(40~70%)のブレンドで」といったルールがあります。さらに「Coro Mendocino」の委員会によるテイスティングで認証されることも必要です。2016ヴィンテージでは10ワイナリーが認証を受けており、このワインは裏ラベルにヴィノスやまざきの名前が入った形で認証されています。
チョコレートのような濃厚さのあるワイン。緻密でキメの細かいタンニンがあり、スムーズなテクスチャ。とてもおいしいです。メンドシーノというとピノ・ノワールやシャルドネなど冷涼感あるワインのイメージがありますが、アンダーソン・ヴァレーは南北に長く、南の方は海からの距離もあるため、意外と温暖で、こういうワインもできるのですね。ちなみに2017年のものはワイン・エンスージアストで91点を取っています。

後の2本は同社が「匿名ワイン」と呼んでいるシリーズのもの。ワイナリーからバルクで買い付けたワインをストーンヘッジで熟成させ、元のワイナリー名のイニシャルを付けてワイン名としています。以前はピノ・ノワールなどもありましたが、今はナパのカベルネ系の「M」(9800円)「I」(9800円)「J」(1万2800円)「C」(1万2800円)が販売されています。いずれもアメリカン・オークの樽を使って熟成させているのが一つの特徴です。
今回はIとCを試飲しました。「I」はナパの様々な地域のブドウを使っており、カベルネ・ソーヴィニヨン97%、カベルネ・フラン3%。ボリューム感と複雑さがあり、タンニンもかなりしっかりしています。2017年ですが、少し熟成感も出てきています。
「C」はアトラス・ピーク、オークヴィル、ヨントヴィルのブドウを使っています。カベルネ・ソーヴィニヨン95%にプティ・ヴェルドが5%。ブルーベリーやブラックベリー、スミレの花の香りにグラファイトや鉛筆の芯の風味があり、しっかりとした味わい。これはかなりプレミアム感があります。

以下はヴィノスやまざきの楽天市場店から。


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