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Date: 2021/1130 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワイン協会が世界的に始めた認定プログラム「キャップストーン」。現在10月に始まったリアル講座が進行中ですが、1月からの第2期の講座の募集が12月6日に始まります。

今回からはアカデミー・デュ・ヴァンの青山校だけでなく大阪校でも開講。青山校はコンラッド東京の森覚ソムリエ、大阪校はTHE THOUSAND KYOTOの岩田渉ソムリエによる講座となります。
青山校 のプログラム紹介ページ
大阪校 のプログラム紹介ページ


(左が森ソムリエ、右が岩田ソムリエ)

キャップストーンはリアルの講座以外に随時受講できるオンラインだけの講座もあります。ただ、講座の内容がレベルが高いのと、オンラインではワインの試飲がないので、試飲をしっかりしたい、自習に自信がないという人はリアル講座を受けるのがお薦めです。逆にプログラムの認定試験には試飲はありませんので、そこを割り切ればオンラインで受講するのもありだと思います。なお、ワインの試飲メソッドは「マスター・ソムリエ協会」の「ディダクティブ・テイスティング」を採用しており、この方法を国内で学べるのはこの講座がほぼ唯一となります。

ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズが日本ソムリエ協会と実施している「NAPA VALLEY WINE EXPERT」試験も来年1月に開催されるため、やや混同されているところがあるようです。キャップストーンはカリフォルニアワイン全般で世界共通のプログラム、NAPA VALLEY WINE EXPERTは日本だけのプログラムで、ソムリエ協会の資格を持っていることが条件、学ぶのはナパに限定、成績優秀者に特典あり、といったところが異なっています。

私はワイン・エキスパートなどの資格を持っていないのでナパの方は受験できませんが、有資格者であれば両方受けるのももちろんありだと思います。
Date: 2021/1129 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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peter luger
ニューヨークの著名ステーキハウス「ピータールーガー」が初めて海外に出店した恵比寿のピータールーガー ステーキハウス 東京に行ってきました。子供の二十歳のお祝いです。


前菜でまずはシュリンプカクテル。茹でた状態でも10cmくらいはある巨大なシュリンプです。ちょっとスパイスの効いたカクテルソースもおいしい。


シーザーサラダに厚切りベーコンのトッピング。ベーコンは単体で注文できますがシーザーサラダとの相性は抜群です。


乾杯のワインはシャトー・セント・ジーンのブリュット。シャトー・セント・ジーンは大昔初めてソノマに行ったときに最初に訪問したワイナリーで思い入れがあります。シャルドネやカベルネが有名なワイナリーですが、そのときもワイナリー限定だったスパークリング・ワインを買った記憶があります。今回のスパークリング・ワインはシャルマ方式(ボトルではなくタンクで二次発酵させる)で格安なもの。深みはありませんが爽やかな味わいでスターターには十分でした。



さて、メインの肉の登場です。上はTボーンでフィレとサーロインが楽しめます。下はリブアイ。

肉の味は熟成による旨味があり、言うことありません。フィレはややさっぱりで赤身の旨味、サーロインは脂を含んだ旨味。リブアイは一番柔らかくジューシーでした。人数にもよりますが、両方頼むの超絶おすすめです。シンプルに塩コショウや、バターベースのソースをかけて食べるのが美味しいです。このほかにもソースがありましたが、そちらは肉に使うのはもったいない。ただオニオンリングにはベストでした。

今回は4人でTボーンを2人用とリブアイ一つを頼みました。Tボーンは一人300g、リブアイは500gくらいだそうです。我が家は比較的よく食べるので、Tボーンを3人用にしても食べ切れそうでした。


ワインは持ち込みでインシグニアの2001年。子供の生まれ年のワインです。まだまだ果実味も豊かですが、熟成によるマッシュルームの風味もあり、タンニンはこなれてまろやか、美味しかったです。


メインが終わった時点では腹八分目でしたが、デザートで満腹です。これはホーリーカウというシグニチャーのデザート。ホイップクリームが軽めなので意外と食べられると言われましたが、それでも相当のボリュームです。ナッツが美味しい。

チーズケーキも超巨大。普通のケーキの4つ分くらいの大きさです。


誕生日プレートはレストランからのサービスです。


最後はメダル型のチョコレートをいただきました。

Date: 2021/1127 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ダオ(Daou)についてはこれまで何回か取り上げてきていますが、まだ創設から10数年のワイナリーということで、「新星」といっても差し支えないでしょう。パソ・ロブレスで非常にコスト・パフォーマンスがワインを作っています。日本に輸入されるようになってからはまだ2年足らずというところで、まだまだ知られていないワイナリーですが、現在のパソ・ロブレスの実力を知るためにも飲んでおきたいワイナリーです。ちなみにワイン・アドヴォケイトはこのワイナリーだけの記事を2020年2021年と連続で書いています。それだけ注目に値するワイナリーです。今回はインポーターである新橋のワイン蔵Tokyoで試飲させていただきました。




ソーヴィニヨン・ブラン2019(3800円)は樽を使っていないタイプです。パイナップルなどのトロピカル・フルーツのフレーバーが豊かなワイン。パソ・ロブレスの陽光を感じます。旨味もありレベル高いワイン。

シャルドネ2020(3800円)は樽香やバターぽさもあるリッチなタイプ。果実味豊かで華やかです。リザーブ・シャルドネ(8000円)は2018年のものがワイン・エンスージアストの「世界のトップ・シャルドネ9選」という記事にえらばれています。今回はその次の2019年を試飲しました。普通のシャルドネも華やかですが、こちらの方がワンランク上。素晴らしいシャルドネでオーベールのAVAものあたりと比較しても面白いのではないかと思いました。

ロゼ(4800円)は、今回一番気に入ったワインの一つ。柑橘系にピーチのニュアンス。さわやかですが薄くなく美味しい。「世界のBEST ROSE30」に選ばれたというのも納得です。

赤ワインに移ります。

ボディガード2018(7500円)はプティ・ヴェルドがメインという珍しいワイン。プティ・ヴェルドが59%にプティ・シラーが41%。濃くてタニックな品種同士ですから、ノックアウトされそうなくらい濃くてパワフル。でも不思議にバランスの良さもあります。ワイン・エンスージアストで94点、ヴィナスで92点。

ペシミスト2019(5000円)はプティ・シラーが73%でジンファンデルが14%、シラー12%にグルナッシュ1%というブレンド。プティ・シラーらしいインクのように深みのある色合いでタニックでパワフル。ですが重さ一辺倒でなく、スパイシーさもあり、バランスもいい。これも今回非常に気に入ったワイン。ただ「ペシミスト(悲観論者)」という名前だけはなんとかならなかったのでしょうか。できたらオプティミストに改名してほしいところ。

カベルネ・ソーヴィニヨン・リザーブ2018(1万円)は果実味豊かでバランスのいいカベルネ・ソーヴィニヨン。いかにもカリフォルニアワインのカベルネという美味しさです。ワイン・アドヴォケイトで93~95点。

最後は2017年のソウル・オブ・ライオン(2万2000円)。これはもう何度も試飲していますが、シルキーなテクスチャで本当に素晴らしいワイン。ナパのトップクラスのカベルネ・ソーヴィニヨンと比べても遜色ありません。今のパソ・ロブレスの実力を知るためにも多くの人に飲んでほしいワイン。ワイン・アドヴォケイトで97点。ジャンシス・ロビンソンも20点満点で17.5点と非常に高い点を付けています。

ダオのワインはどれもパソ・ロブレスらしい果実味の豊かさがあり、濃いワインであってもバランスの良さを感じます。「濃けりゃいいんだろ」的なところがなく、とてもよくできています。今回は特に新しく試飲したロゼとペシミストが気に入りました。


Date: 2021/1126 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワイン・バイザグラス・プロモーション2021」で小規模店の優秀賞に輝いた五反田のワインバーQuintetさんにお邪魔してきました。

場所はJR五反田駅からTOC方面に5分強歩いたあたり。繁華街からは少しはずれた静かなところです。ものすごく便利という立地ではありませんが、訪れたときは満席。にぎわっていました。

wine bar Quintet(大崎広小路/ワインバー) - Retty」によるとグラスワインは15種類程度、ボトルは100種類ほど用意しているとのこと。ワインリストに書いてあるもの以外にも、カウンターには見覚えのあるワインがいろいろ並んでいます。ワインはカリフォルニアワイン中心にオレゴンやワシントン、それからオーストラリアなどのワインもあります。


写真はロウワーのプティ・シラー。ロウワーはヴィオニエが格安で話題になったワイナリーですが、プティ・シラーは私も初めていただきました。プティ・シラーらしい濃厚な果実味はありますが、バランスのよい作り。美味しかったです。

このほか、コングスガードのGMが作る「ファーディナンド」のガルナッチャ・ブランカなどもありました。

ワインリストは3週間~1カ月で変わっていくそうなので、いつ行っても目新しいものが見つかりそうです。

あと、素晴らしいのがグラス。オーストリアのザルトのものがずらっと並んでいます。これを店長の渡部さんがピカピカに磨き上げており、その美しさだけでも満足感があります。もちろんワイングラスとしても秀逸です。
Date: 2021/1124 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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恒例のワイン・スペクテーター年間トップ100が発表されました。

トップ10

トップ10は上記のようになています。カリフォルニアからはカベルネ系ばかり3本が入りました。1位にドミナス、3位にハイツのマーサズと、1980年代からトップ級を続けているワインが入りました。昨年一昨年はマヤカマスが上位に入りましたし、クラシックなスタイルのカベルネ・ソーヴィニヨンが復権しているということでしょうか。

とはいえ、ドミナスやハイツのような名声を確立して一定のファンがいるワイナリーが上位に来るのは、ちょっと面白みには欠けるような気もします。

この中でちょっと目を引いたのが9位に入ったサルベストリン。ドクター・クレーン・ヴィンヤードというのは1859年にドクター・ジョージ・ベルドン・クレーンという人が最初に植樹した畑の地所を引き継いだ名前です(なお、当時のブドウは数年で枯れてしまったと記録にあります)。ベクストファー・ドクター・クレーンが有名ですが、そのすぐ近くの畑です。

マップ
上の写真で緑色のところがベクストファー・ドクター・クレーン、茶色のところがサルベストリンのドクター・クレーンです。

これほどの土地で今どきカベルネ・ソーヴィニヨンが80ドルは安いです。

ちなみに日本にも以前は輸入されていたことがあったそうです。

11位以下では昨年トップ10に入ったオーベールが11位(イーストサイド・シャルドネ2019)。リッジのガイザーヴィル2019が24位、オレゴンのイヴニング・ランド シャルドネ2018が27位、スリー・スティックスのピノ・ノワール プライス・ファミリー・エステート2019が28位あたりが目についたところです。

該当するヴィンテージが日本に同じタイミングで入ることはあまりないのがちょっと残念なところでもあります。ドミナスは近年どんどん入手しにくくなっている感じがあり、これでますます入らなくなりそうな気がします。
Date: 2021/1121 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日「ソーヴィニヨン・ブランに感激、コクとキレが抜群の冷涼感白ワイン」という記事で紹介したエドナ・ヴァレーのタンジェント(Tangent)。このワイナリーを持つニヴェン家が営むもう一つのワイナリーがゾッカー(Zocker)です。

Zockerとはドイツ語でギャンブラーの意味。ゾッカーで手掛けているのはリースリングとグリュナー・フェルトリナーの2つだけ。カリフォルニアではメジャーとは言えない品種に取り組むことを自らギャンブルと称しているわけです。

実際のところ、リースリングはカリフォルニアでも結構作られていますが、グリュナー・フェルトリナーは600トン程度。ケース換算すると5万ケースくらいでしょうか(ゾッカーでは1400ケースほど作っています)。また、この品種について調べてみると「乾燥に弱い」と書かれているところもありました。これはカリフォルニアではなかなか厳しい条件であり、まさにギャンブルと言えそうです。私自身、カリフォルニアのグリュナー・フェルトリナーはこれまで未経験。グリュナー・フェルトリナー自体、WSETの授業で試飲したくらいしか経験ありません。

飲んでみました。

青りんごや洋梨、白い石などの味わい。いわゆるミネラル感を強く感じます。酸はかなり高めです。いわゆる食事に合うワインというタイプです。魚介などに合いそうです。寿司にも合いそうな気がします。よくできたワインで美味しいです。いくつかのワイン・コンペティションで「オーストリア以外のグリュナー・フェルトリナー」として賞を取っているそうです。



ちなみにこの品種、カタカナ表記のバリエーションが多く、検索泣かせです。
Date: 2021/1120 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのカーネロスにあるワイナリー「セインツベリー(Saintsbury)」が40周年を迎えてパーティを開きました。

セインツベリーはデイヴィッド・グレイヴとリチャード・ワードが造ったワイナリー。カーネロスのピノ・ノワールのパイオニアとしてまさにこの地を切り拓いてきました。エレガントで滋味にあふれたワインは、2人の人柄を表すかのように暖かく美味しいもので、派手さはありませんが長年のファンが多数います。価格もこの20年間ほとんど変わっていません。

2017年にリチャード(ディック)・ワードが亡くなった後もデイヴィッド・グレイヴが支えてきましたが、この40周年を機に引退すると表明。ワイナリーはディックの息子さんに引き継ぐとのことで、2人が家族以上の家族だったことを改めて感じさせてくれています。

パーティには初代ワインメーカーだった日系2世のバイロン・コスゲさんを初め、歴代のワインメーカーも集結しました。こういったこともディックとデイヴィッドの人柄によるものでしょう。

セインツベリー、もっと評価されていいワイナリーだと思います。特にバックヴィンテージものはおそろしくお買い得でお薦めです。




Date: 2021/1119 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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セシル・パークはナパで唯一の韓国人女性ワインメーカー。畑の管理ではケークブレッドやゴーストブロック、ナパワインカンパニーなどの80を超える畑を請け負っています。彼女のプライベート・ブランドがInnovatus(イノヴェイタス)。ラテン語でinnovationの意味です。

新橋のワインバー「ワイン蔵tokyo」がこのほど輸入を始めたので試飲してきました。ワイン蔵としてはDaou(ダオ)に続く2つ目のワイナリーの輸入となります。

今回入ってきたのは2012年のピノ・ノワール(初回特別価格7000円)、2014年のレッド・ブレンド(同6000円)、2016年のカベルネ・ソーヴィニヨン(同1万円)の3種類。

2012年のピノ・ノワールはInnovatusの最初のヴィンテージのもの。畑はクームスヴィルにあります。
ハーブやキノコ、腐葉土といった熟成による香りがたっぷりとしています。赤系の果実味もありますが、そちらはやや抑えめ。熟成ピノ・ノワールが好きな人にお薦めです。

2014年のレッド・ブランドはシラー47%にカベルネ・フランが23%、プティ・シラー15%、ピノ・ノワール5%というユニークな構成。畑はカーネロスだそうです。ナパのシラーというと濃厚なワインを想像すると思いますが、これは非常にエレガント。赤系の果実にホワイト・ペッパーなどスパイスを強く感じます。アルコール度数は14.5%と低くないのですが、軽やかさがあります。

2016年のカベルネ・ソーヴィニヨンはラザフォードの畑のもの。ほどよい果実味で非常にバランスのいいワイン。酸もきれいです。ナパらしからぬエレガント系カベルネ・ソーヴィニヨン(ほめてます)です。
Date: 2021/1118 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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収穫
2021年のブドウの収穫が終わり、カリフォルニアワイン協会が収穫レポートを発表しています。干ばつで極端な乾燥状態が続き、山火事の恐れが大きかった今年ですが、シエラ・フットヒルズで避難命令が出て、観光地のレイクタホにまで迫ったカルドー・ファイアーを除いては、ワイン産地の近くでの大きな山火事は起こらず、多くの関係者が胸をなで下ろしました。

新型コロナウイルスの影響での労働者不足や、干ばつによってブドウの実が大きく育たなかったことによる収量の低下といった問題はありましたが、ブドウの味は凝縮し、品質は非常に高く、「近年の中ではベストの一つ」と評しているワインメーカーが多いようです。

以下は主な地域の短評です。

ナパ:干ばつによる水不足を除いては生育期間に問題はなかった。収穫は例年より早く始まった。ブドウの実は非常に小さく、2019年と比べて20~30%収穫が少なかったところもある(2020年と比較しなかったのは煙の影響でワインを断念したところが多かったため)。凝縮して完熟したため品質は非常に高い。
ソノマ:春先は涼しかったが、だんだん暖かくなっていった。温暖な地域ではブドウの熟す時期はやや早く、冷涼な地域は例年通りだった。収穫はやや早く始まり、急速に進んだ。干ばつで収量は少なめだったが、煙の問題がなかったため、ピノ・ノワール、ジンファンデル、カベルネ・ソーヴィニヨンは2020年を上回ったもよう。ブドウの味わいは凝縮して非常に高い。
ロウダイ:干ばつの影響や春先の霜のために収量は少なく、生育は不均等になった。特に古木の畑では収量は少なく、木が死んでしまったところもある。収穫は8月に始まり、9月になると様々な品種がほぼ同時に完熟していった。機械収穫のオペレーターを確保するのも大変な状況だった。ブドウの品質は高かった。特にカベルネ・ソーヴィニヨンやプティ・シラーは早く完熟し、自然の酸が残った。
モントレー:夏の間、霧に覆われて涼しく、酸が高く糖度がなかなか上がらなかった。9月に入って霧が晴れ、温度が上がり日照も増え、9月の後半から一気に収穫が始まった。収穫量は予想より多く、品質も良い。生育期間が長く、完熟した上PHは低くなった。
パソ・ロブレス:開花時期に強い風が吹いたため、ブドウの実はまばらになり収量は減った。西の丘陵地帯には熱波が押し寄せ、灌漑に使う水もなかった。収穫量は例年と比べ30~40%も少なかった。
サンタ・バーバラ:すべての点ですばらしい年だった。熱波もなければ霜の問題もなかった。9月には非常に湿気の多い霧に覆われ、ボトリティスの問題が生じたが、丁寧に対処したため大きな問題にはならなかった。サンタ・リタ・ヒルズのピノ・ノワールは収穫が2週間遅く、ハッピー・キャニオンのボルドー品種は早く成熟した。このため収穫時期のトラックや運転手の手配が問題になった。シャルドネとソーヴィニヨン・ブランが素晴らしい年で、ピノ・ノワールやカベルネ・ソーヴィニヨンも良好だ。
Date: 2021/1115 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワイン協会の日本代表でWSETのDiplomaである扇谷まどかさんが、Diploma Student向けに開催したオンライン・セミナーに参加させていただきました。講師はシュグ(Schug Winery)のClaudia Schugさんです。Schugさん自身WSETのDiplomaであり、今はお休みしているそうですがMWのCandidateとしての勉強もしていたという方です。

セミナーの内容はソノマの概要を中心としたものでした。

ご存知の方が多いと思いますが、ソノマはナパの西側にあります。西に太平洋、南はサンパブロ湾と2方向に海があり、そこから冷気や霧が入ってきます。ナパと比べるとかなり広い地域なので、冷気や霧の届き方も場所によって大きく異なり、多様性に富んでいます。また、ぶどう畑は総面積の5%程度と決して多くなく、地域の半分は森です。ワイナリーの数は500弱ですが畑は1800もあり、大規模にワインを作っているというより、小規模の栽培家がたくさんあるイメージです。

Schugの創設者Walter Schugはドイツ・ラインガウの生まれ。父親もワインメーカーで、ウォルターも大学で醸造と栽培を学び、ドイツのワイナリーでピノ・ノワールを作っていました。請われてカリフォルニアに来たのが1961年。まだRobert Mondavi Wineryも登場前の前時代のころでした。66年まではCalGrape、その後はE&J Galloで働き、600もの生産者との関係を築いていきました。1973年にジョセフ・フェルプスの立ち上げと同時にそのワインメーカーになり、カリフォルニア初のボルドー・スタイルのブレンドワインであるInsigniaを作ったほか、畑名を冠したワインやシラーなどで先頭を走っていました。

ウォルターはピノ・ノワールを造りたいという気持ちが強く、ジョセフ・フェルプスの最初のワインも実はピノ・ノワールだったそうです。しかし、フェルプスのピノ・ノワールは80年で終了してしまいました。

1983年にフェルプスをやめ、Schugの名前でピノ・ノワールを造り始めました。1989年にカーネロスのソノマ側に土地を買って畑を切り開きワイナリーを創設しました。カーネロスのパイオニアの一つとして今に続いています。ウォルターは2015年に亡くなりましたがその後も家族経営を続けています。

このセミナーでは受講生は各自Schugのワインを試飲しましたが、私は2018年のカーネロスのシャルドネでした。スイカズラやスミレの香り、レモンやレモンの皮といった柑橘系中心の味わいですが、軽くグアバのようなニュアンスも感じました。トーストやヴァニラといった樽の要素はありますが控えめ。上品ながらカリフォルニアらしい果実味も顔を覗かせる秀逸なワインです。


ちょうど、ブレッド&バターの試飲などをした後だったのでシャルドネのマロラクティック発酵についてどう考えているか聞いてみました。ウォルターがマロラクティック発酵によるバター的なニュアンスがあまり好きでなかったので、基本的にはあまり行わない方針だそうです。このあたりもウォルターの教えを守って続けているのが感じられました。

また、ヴィンテージについて聞いたところ、この2018年は割とフルボディで2019年はもう少しスリムな味わいになったそうです。また、2021年のヴィンテージは素晴らしいものになっているとのことでした。

ピノ・ノワールに関してはクローンの質問などがありました。シュグの畑のクローンはポマールが中心で、アーシーなキャラクターが特徴だとのこと。このほか購入しているブドウではマルティニやカレラ・クローンといった、いわゆるマサル・セレクションのものやディジョン・クローンもあるそうです。

扇谷さんからは、シュグのワインはコスト・パフォーマンスが優れているというコメントがあり、これについてはワイナリーやテイスティング・ルームを華美に装って客を呼ぶのではなく、地に足をつけて家族でやっていく方針だからだとのこと。

決して派手なワイナリーではなく、評論家からすごい点を取るような派手な味わいのワインを作るワイナリーでもありませんが、実質本位で本当に造りたいワインを造っているその姿勢は素晴らしいと感じました。
Date: 2021/1112 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ニューオーリンズで11月6日に開催されたチャリティ・オークションで、単一ボトルのワインとしては新記録となる100万ドルで落札されたワインが誕生しました(Healdsburg Winemaker’s Bottle of Cabernet Sells for Record $1 Million - Sonoma Magazine)。

このワインはザ・セッティングズ(The Settings Wines)というワイナリーのカベルネ・ソーヴィニヨン、Glass Slipper Vineyard 2019の6リットル・ボトル。ワインメーカーのジェシー・カッツ(Jesse Katz)はソノマのヒールズバーグ在住。36歳という若さながら15ヴィンテージの経験があり、ペトリュスやスクリーミング・イーグルなどでも働いた経験がある人。2010年にはランカスターでヘッドワインメーカーになり、Roth Estateを立ち上げてワイン・スペクテーターのトップ100にも選ばれています。

また、フォーブス誌の「30 Under 30」(30歳以下の注目の30人)にワインメーカーとして初めて選ばれ、ワイン・エンスージアストの「40 Under 40」(40歳以下の注目の40人)にも選ばれた才人です。ちなみに父親は「Sony Artisan of Imagery」の一員にも選ばれた写真家です。
Jesse Katz

ジェシー・カッツはザ・セッティングズのほかアパチャー・セラーズ、デビル・プルーフ・ヴィンヤーズといったワイナリーも持っています。ザ・セッティングズは2014年に3人で立ち上げたワイナリーでGlass Slipper Vineyardはナパのクームズヴィルにある畑です。
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ちなみにこのワイン、通常の750mlのワインでは185ドルという価格。それがなぜ、これほどまでの高額で落札されたのかは不明です。なお、落札者についてはドン・スタイナー(Don Steiner)という名前と、落札したワインは手持ちで歩いて家に帰ったらしい
ということ以外に何もわかっていません。
Date: 2021/1110 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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故スティーヴン・スパリュアが主宰していた英国のアカデミー・デュ・ヴァン・ライブラリーが「On California」というカリフォルニアワインの専門書を発行しました。
On California
多くの論客の記事からなるこの本、スティーヴン・スパリュア自身も1976年のパリ・テイスティングについて、当時の相棒だったパトリシア・ギャラガーと書いています。同様に、タイムズ誌の記者でパリ・テイスティングを唯一取材したジョージ・テイバーも書いていますし、ヒュー・ジョンソン、リサ・ペロッティ・ブラウンなどの評論家、「サイドウェイズ」を書いたレックス・ピケット、「ニュー・カリフォルニア・ワイン」のジョン・ボネ、カリフォルニアワイン協会の動画などで知られるエレン・チューカン・ブラウン、ワインメーカーからはウォーレン・ウィニアルスキー、ランドール・グラーム、ポール・ドレイパーなど、そうそうたる論客が執筆陣に並びます。

カリフォルニアワインファンにとってはバイブルの一つになりそうです。

日本のAmazonでも購入可能。
Date: 2021/1109 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Twitterで

という投稿を見たので調べてみました(投稿に絵文字があると記事が保存できないので一部改変しています)。
それで見つかったのが「Bourbon Barrel-Aged Wine Isn't 'Real' Wine, and That's O.K. | VinePair」という記事です。VinePairに2019年に投稿されています。

それによると最初に始めたのはメンドシーノのフェッツァー。1980年代にフレンチオークの樽がなかなか手に入らなかったことからやむなく使ったのがきっかけだそうです。フェッツァーがバーボン樽で熟成したジンファンデル「1000ストーリーズ」を始めたのは2014年。5000ケースの生産から今では14万ケース以上へと伸びています。フェッツァーだけでなく業界全体でも2015年の80万ドルから2018年には9100万ドルへと100倍を超える成長を示しています。ちなみにガロのアポシック・インフェルノは2016年、モンダヴィ・プライベート・セレクションのバーボン樽熟成カベルネは2017年のデビューです。

オンラインワイン販売の最大手wine.comでも1年間で取り扱いブランドが1つから20個へと急増しています。

バーボン樽ワインは「本当の」ワインではないと非難する人もいます。樽香やスモーキーなフレーバーが強く、甘いヴァニラやベリーの味わいは弱く感じられます。フェデラリストはバーボン樽熟成ワイン専用のグラスも作っていますが、従来のワイングラスの形状とは異なり、蒸留酒用のロックグラスのような形をしています。楽しみ方もちょっと違うといっていいのかもしれません。





Date: 2021/1108 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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CiCi
ナパのワイナリー、トレフェッセン(Trefethen)がブドウの発酵時に発生する二酸化炭素をキャプチャーする装置を試験導入しました(Napa Winery Adopts Carbon Capture Technology | Wine Spectator)。

トレフェッセンは、ポルトガルのポート大手「テイラーズ・ポート」が主体となって始めたノンプロフィットの環境団体「ポルト議定書」に加盟しています。同議定書にはナパ・ヴァレー・ヴィントナーズや、コッポラ、スポッツウッドなども加入し、カーボン・フットプリントの削減などを目指しています。

トレフェッセンはテキサスのアースリー・ラブズという会社が開発した「CiCi」というシステムを導入。これは当初はブルワリー向けに開発したもので、発酵時に発生する二酸化炭素を冷蔵庫大の装置に格納し、後から使えるようにするというものです。ワイナリーで試験導入するのはトレフェッセンが最初だとのこと。ワインの醸造に使うステンレスタンクには温度調整などのためにパイプが備えられており、そのパイプを増やすだけなので装着は比較的楽だったそうです。

これまでの試験によると醸造で発生する二酸化炭素はそれほど多くなく、10トンのブドウから2/3トンほどの発生にとどまっているそうです。ちなみに自動車は通常年間4.6トンほどの二酸化炭素を発生しているとのこと。

トレフェッセンでは集めた二酸化炭素を使う予定はあまりなく、ブルワリーなどに使ってもらうことを考えているそうです。
Date: 2021/1105 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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IWCA
国際環境アクションワイナリー(IWCA)というワイナリーの団体が、ワイン業界のCEOたちに向けてゼロ・エミッションのための活動に参加するよう提言しています。

この団体は2019年にスペインのトーレスとカリフォルニアのジャクソン・ファミリーが設立したもの。カーボンフットプリントの削減を目指しており、2019年のワインエンスージアストの賞を受けています。カリフォルニアからはほかにスポッツウッドやシルバーオーク、リッジなどのワイナリーが参加しています。

提言の内容は、科学的根拠に基づく取り組みを推進すること。2050年までに排出をゼロにすること、IWCAが開発したカーボンフットプリントの計算メソッドを普及させること、です。小さなワイナリーでも無理なく測定ができるようにしています。

IWCAはゼロエミッションを目指す「Race to Zero」に農業関係の団体として初めて加入したとのこと。

SDGsやサステナビリティが、消費者がワインを選ぶ際の選択理由として重要になってくる時代がやってくるのかもしれません。