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Date: 2022/0730 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2020年のグラス・ファイアーでワイナリーや畑の大半を焼失する大きな被害を受けたナパのスプリング・マウンテンのニュートン・ヴィンヤード(Newton Vineyard)。このほどカリストガにテイスティング・ルームをオープンしました。


場所は 1171 Tubbs Lane, Calistoga
シャトー・モンテレーナと同じ道沿いで1kmほど南西側にあります。

テイスティングは予約のみで着席形式。フラグシップのThe Puzzleを含む4種の山のワイン、シャルドネ、2種の単一畑カベルネ・ソーヴィニヨンで100ドルとなっています。

また、この場所は今後ニュートンのワイナリー(醸造設備)としても使われるようです。
Date: 2022/0729 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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フランスのアクサ生命のグループでワインビジネスを行っているアクサ・ミレジムがソノマのプラット・ヴィンヤード(Platt Vineyard)を買収しました。ワイナリーではなく畑の買収です。

アクサ・ミレジムという名前は初めて聞きましたが、フランスやハンガリー、ポルトガルと米国にワイナリーを所有しています。例えばボルドーではメドック2級格付けのシャトー・ピション・ロングヴィル・バロンを、ブルゴーニュではドメーヌ・ド・ラルロ、カリフォルニアではアウトポストのオーナーになっています。

プラットはウエスト・ソノマ・コーストにある畑。リヴァース・マリーの2018年のプラット・ヴィンヤード・ピノ・ノワールがヴィナスで100点を取っています。リヴァース・マリーのトーマス・リヴァース・ブラウンによると、このあたりの「フリーストーン・ベンチ」は「ソノマ・コーストの中でもピノ・ノワールの最も偉大な地域になりつつある」といいます。例えば谷を一つ隔てたところにはスティーブ・キスラーのオクシデンタルの畑などがあります。

Platt

アクサ・ミレジムによると、ピション・ロングヴィル・バロンに呼応してアウトポストを手に入れたように、ドメーヌ・ド・ラルロに呼応して素晴らしいシャルドネとピノ・ノワールの畑を手に入れたということです。今後はトーマス・ブラウンやアウトポスト社長のフランク・ドツラーとこの畑のポテンシャルを引き出していきたいという意向。プラットのワイナリーも作るということなのでしょう。

ちなみに、今回調べていて初めて知ったのですが、プラットのこれまでのオーナーはフラナガン・ワイン。日本ではマッシュ・ワインが輸入していますが、非常に素晴らしいワインを作るワイナリーです。
Flanagan Wines フラナガン ワインズ
また、プラットの畑の名前はこの畑を作った故ルー・プラットから来ています。ルー・プラットはHPにエンジニアとして30年以上勤め、社長兼CEOにまでなった人。有名なカーリー・フィオリーナの前任者です。フィオリーナの就任時には半ば追われるようにやめたプラットでしたが、その後フィオリーナが成果を上げられずに退任するに至り、改めてプラットの功績が見直されたようです。HP退任後はケンダル・ジャクソンのCEOに就任し、ワイナリー売却などの道筋を探りましたが、結局ケンダル・ジャクソンは創業一族が見ることになり1年ほどで退任。退任の際に、ソノマに小さな畑を作り、そこに専念すると言っていたのがこのプラットの畑のことでしょう。

プラットは2003年にはボーイングの非常勤会長になりましたが2005年に脳動脈瘤で亡くなってしまいました。ワイン業界ではそれほど大きな足跡を残したわけではありませんが、こうして注目される畑を作ったことは彼の最後の大きな功績だったのかもしれません。
Date: 2022/0726 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニア州は、2022~2023年度の州予算で、農家や牧場が有機栽培に移行するための助成金や技術支援、教育などのために500万ドルを拠出することを決めました。

CCOF(California Certified Organaic Farmars)によると、このプログラムでは、社会的に不利な立場にある農家や牧場主への資金も確保されています。熟練の有機栽培のメンターによる指導が、移行のための技術支援の重要な要素であるとして、それらへの拠出も行います。

このほか、CCOFはカリフォルニア大学農学自然資源学部の有機農業研究所(OAI)の強化にも取り組んでおり、OAIでの有機研究および技術支援を支援するためにも85万ドルを確保したとのこと。

Date: 2022/0722 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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輸入量
カリフォルニアワイン協会が財務省貿易統計データから調べたデータによると、2021年6月から2022年5月の1年間における米国産ワインの輸入額は154億1919万9000円で、フランス、イタリア、チリに続く4位でした。1年前のデータではスペインが5位で米国が6位でしたが、順位を一つ上げました。

ただ、数量ベースではスペインとオーストラリアも下回って6位。1年前はオーストラリアをわずかに上回って5位だったので順位は一つ下がっています。

なお、今年の順位は2019年6月~2020年5月の順位と同じなので4位に返り咲いたとも言えます。

金額自体を見ると2019年6月~2020年5月が149億1100万円(10万円以下四捨五入、以下同)だったのに対し、コロナ禍が始まった2020年6月~2021年5月が121億5900万円と大幅に落ちており、2021年6月~2022年5月はコロナ前の金額よりも上がったことになります。

数量ベースでみると2年前の1503万リットルから1年前は1273万リットルと急減、今回は1306万リットルと1年前は上回っていますが、2年前には及んでいません。コロナ禍の副作用として船舶による流通の問題、いわゆるコンテナゲドンが起こっていることはこのブログでも何回か解説しています。カリフォルニアワイン協会によると2022年に入ってからは輸入量が急増しているとのことですが、全体ではそれほど伸びていないということで「2021年中の輸入が大変厳しかったことがうかがえる」としています。

また、1リットル当たりの輸入額は1181円と、この3年で初めて1000円を超えました。1000円を超えているのは後はフランスの1951円とニュージーランドの1006円だけですから、米国産ワインはかなり高級側にシフトしていることになります。

これらのデータは米国産ワイン全体のものですが、カリフォルニアワインは輸入の約95%を占めていますので、カリフォルニアワインの輸入の現状もほぼこの通りと考えていいでしょう。
Date: 2022/0721 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ラジエメレディス
ナパのマウント・ヴィーダーにあるラジエ・メレディス(Lagier Meredith)が、畑やワイナリーを同じマウント・ヴィーダーのワイナリー「ポット・ワインズ(Pott Wines)」のオーナーであるアーロン・ポット夫妻に無償で譲ることが判明しました。

ラジエ・メレディスはロバート・モンダヴィで長らくワインメーカーを務めたスティーブ・ラジエと、UCデーヴィスの研究者でジンファンデルのルーツを発見したことで知られるキャロル・メレディス夫妻のワイナリー。ナパにありながら、シラーやモンデュース、トリビドラグ(ジンファンデルのルーツにあたるクロアチア産のブドウ)などを作っており、カベルネ・ソーヴィニヨンには手を出していません。

アーロン・ポットは自社のワインのほか、数多くのコンサルタントをしている人です。

スティーブ・ラジエとキャロル・メレディス夫妻は高齢で引退を考えていましたが、住まいとしてはそのままマウント・ヴィーダーの家にいることを望んでいました。老後の資金は蓄えてあるため、あえて地所を売る必要もありませんでした。そこで同じところに住みながら畑やワイン造りを譲れる人として、以前から親交のあったアーロン・ポット夫妻を選んだということです。

また、引退といっても、まだリリースしていないワインも残っていますし、日常的なワイナリーの管理や山火事対策なども行っています。そういう意味では本当に引退するまではまだ2、3年かかる見通しです。



Date: 2022/0713 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Shauna
1980年代や90年代に「ジンファンデルの3R」と呼ばれていたのがリッジ(Ridge)、Ravenswood(レーヴェンズウッド)、ローゼンブラム(Rosenblum)でした。ラファネリ(Rafanelli)を加えて4Rとも呼ばれ、古木のジンファンデルなどをリードしてきました。

その一つであるローゼンブラムの創設者ケント・ローゼンブラムの娘のシャウナ・ローゼンブラムがリッジのリットン・スプリングスのワインメーカーに就任しました(Shauna Rosenblum named Lytton Springs Winemaker for Ridge Vineyards)。

シャウナは3歳で、ブドウのBRIXの調べ方を父から教わるなど英才教育を受け、12歳でボトリングラインで手伝うようになり、10代のうちにブレンディングに同席するようにもなっていたとのこと。

2008年にローゼンブラムをブロンコに売却してからは、父とともにロック・ウォール・ワイン・カンパニーを設立し、ワインメーカーに就任していました。2018年にケントが亡くなり、その後は社長兼会長となっていしたが、コロナ禍で経営が傾き、2022年2月に廃業を発表していました。

リッジはサンタ・クルーズ・マウンテンズのモンテベッロと、ソノマのリットン・スプリングスにワイナリーを所有しており、リットン・スプリングスでは主にリットン・スプリングスの畑のワインを醸造しています。ワイナリーの壁に藁を使い、自然の空調を生かした省エネの構造になっていることなどでも知られています。
名門ワイナリー2軒のサスティナブルへの取り組み

なお、ジンファンデルの4Rのうち、ローゼンブラムは前述のようにブロンコ傘下になり、レーヴェンズウッドはガロ傘下に入りましたが、ラファネリは家族経営を続けています。
Date: 2022/0711 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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オレゴン州に新たなAVAが誕生しました。正式名称は「マウント・ピスガー・ポークカウンティ・オレゴン(Mt. Pisgah, Polk County, Oregon)」。マウント・ピスガーという山はいくつかの州にあり、オレゴン州の中にもレーン・カウンティというところにもあるそうです。というわけで郡の名前と州の名前まで入っています。ちなみにカリフォルニアでもGreen ValleyというAVAはロシアン・リバー・ヴァレーとソラノ郡にあるので、「Green Valley of Russian River Valley」、「Solano County Green Valley AVA」というのが正式名称になっています。

新AVAについて詳しくは「オレゴン州に23番目の新AVA誕生|ワシントンとオレゴンのワイン輸入してます。|note」で紹介されていますので、ここではごく簡単に。

このAVAはウィラメット・ヴァレーの11番目のサブAVAであり、ウィラメット・ヴァレー北部の中では一番南にあります。


現在ぶどう畑は10個、ワイナリーはAmelie Robert Estate、Ilahe Vineyardsの2つがあります。日本に輸入されているワインでは、ケン・ライト・セラーズのフリーダム・ヒル・ヴィンヤードがあります。


Date: 2022/0705 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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初代ナパヴァレー・ベスト・エデュケーターに選ばれた四家史一(しけ・ふみかず)さんがアカデミー・デュ・ヴァンで開催した講座に参加してきました。



2時間のセミナー、半分が講義で半分が6本のナパのワインを試飲するという構成。講義が始まったときはちょっと緊張で固くなっている感じもありましたが、だんだんこなれてきて非常にいいセミナーでした。資料もかなりの労作でした。

試飲のワインは以下の6本。
Silverado Vineyards Sauvignon Blanc Miller Ranch 3,630円(税込)
Shafer Red Shoulder Ranch Chardonnay 10,200円(税込)
Girard Old Vine Zinfandel 5,280円(税込)
Merryvale Carneros Pinot Noir 6,600円(税込)
Duckhorn Merlot Napa Valley 8,690円(税込)
Stonehedge Trophy Premium Cabernet Sauvignon Rutherford 11,000円(税込)


シルヴァラードのソーヴィニヨン・ブランは非常に香り高く、コスパのいいワイン。シェーファーのレッド・ショルダー・ランチ・シャルドネは何度も飲んでいるワインですが、マロラクティック発酵なしでフレッシュさときれいな果実味がいつも心地よいワイン。ジラードのオールド・ヴァイン・ジンファンデルはその柔らかさと芳醇さに驚いた人が多かったようです。私ももう何回リピートしているかわからないくらい飲んでいます。メリヴェールのピノ・ノワールはちょっと甘やかさのあるチャーミングな味わい。ダックホーンのメルローはもう間違いのない味ですね。最後のストーンヘッジは四家さんの勤めるヴィノスやまざきが輸入しているワインでヴィノスやまざきのために特別に作っているキュベです。濃厚でパワフル、期待を裏切らないワインでした。

なお、今回は満席で9月に2回めが開催されます。講義内容は基本的には同じですが、試飲のワインはさらに厳選されたものが登場するようですよ! すでに席も埋まりつつあるとのことなので、お申し込みはお早めに。

【追記1】
と、書いたところで気が付きましたが2回めもすでに満席のようです。きっと3回めもあるでしょうからまたお知らせします!

【追記2】増席したようです!
青山校 ここから始める!ナパ・ヴァレーワインの初歩 ~NAPA VALLEY WINE BEST EDUCATOR が語るNAPAの魅力~ | ワイン初心者からソムリエ資格取得まで - ワインスクール アカデミー・デュ・ヴァン