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Date: 2010/0809 Category: 読書感想
Posted by: Andy
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その後読んだのはHeidi Peterson Barrett,Stephanie Browne,Merry Edwards,Kimberlee Nicholls,Stephanie Galloの5パート。この中で圧倒的に印象に残ったのがMerry Edwardsでした。

Merry(Meredith) Edwardsは大学(UC Berkeley)を出た後,ワシントン州に移り住みます。そこでいわゆるガレージワイン(フランス的なそれではなく,家で自家消費用のワインを作ること。米国では結構盛んです)を作り始めてワイン作りに興味をもつようになりました。それであらためてUC Davisのワイン醸造の学科に入りなおしました。

まだ1970年代のことで彼女は最初に卒業した3人の女性の一人でした。しかし,就職先を探すのに苦労します。最初は教授が求人案内を女性には見せないというところから始まり,彼女は大学の就職課に抗議してなんとかそれをやめさせます。それでも求人側が女性を希望しないというのがほとんどでした。

結局,Mount Eden,Matanzas Creekを経て夢であった自身のワイナリを作ったのは1997年のこと。苦労人だったのですね。

苦労は仕事だけではなく,二人の息子を持つMerryの二人目の子供は子宮内で発作を起こして生まれてきた重度の身体障害を持っているとのことです。そうでなくても長時間の労働が強いられるワインメーカーにとって,障害を持つ子供を育てることがどれだけ大変だっただろうと思うと,自然に頭が下がります。

Merryのワインがおいしいことはこれまでも知っていましたが,今回初めて彼女の「生き様」にも興味をもつようになりました。これからも応援したい女性の一人です。


Date: 2010/0806 Category: 読書感想
Posted by: Andy
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2番目の感想はChateau PotelleのMarketta Fourmeauxの話です。前回紹介したAmelia CejaがいうなればAmerican Dreamを実現した話だったのに対し,こちらもまた一時は破産寸前のところからワイナリを立ち上げました。

とはいえ,フランス出身でINAOの審査員でもあり,夫のJean=Noelと三つの会社を経営していたのですから,元々はかなり余裕のある暮らしだったのでしょう。彼女と夫はINAOの依頼で米国ワインの現状を探る密偵として6カ月カリフォルニアに滞在し,結局はミイラ取りがミイラになって自らカリフォルニアでワインを作ることになりました。

しかし,ネゴシアン的なビジネスを狙ったことが大外れし,一時は破産寸前に。そこからなんとか畑を手に入れChateau Potelleを作りました。エレガントなジンファンデルという,フランスはもちろんカリフォルニアにも稀だったジャンルで成功を収めたものの,夫とは離婚という苦い目も味わっています。

本に書かれたのはここまでですが,その後2007年には結局Chateau Potelleを人手に渡すことになり,Marketta Winery & Vineyardsというワイナリを単独オーナーとして立ち上げることになりました。今ではそこでボルドーブレンドの赤とSauvignon Blancを作っています。


Date: 2010/0805 Category: 読書感想
Posted by: Andy
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カルトワインブームの立役者だったHelen TurleyやHeidi Peterson Barrett,より最近ではMerry EdwardsやSea Smokeを有名にしたKris Curranなど,今では女性のワインメーカーは珍しくありませんが,20~30年前までは,女性がワイン造りに携わるのは稀でした。

そういう時代から道を切り開いてきた女性たちへのインタビューをまとめたのが「Women of the Vine」という本で,これをベースにしたサイトもあります。

まだ3分の1くらいを読んだところなのですが,一回で紹介するのはもったいないので,何回かに分けて書きたいと思います(単に英語だと読むのが遅いというのもあります)。

ここまで登場したのは
Milla Handley (Handley Cellars)
Kristin Belair (Honig)
Amelia Ceja (Ceja Vineyards)
Andrea Immer Robinson (Master Sommelier)
Gina Gallo (Gallo)
Marketta Fourmeaux (Chateau Potelle)

この中で有名さで言うとGalloの広告塔でもあるGina Galloがダントツでしょうけれども,ストーリーの面白さではAmelia Cejaが一番でした。メキシコ移民の彼女は同じメキシコ移民の夫と初のメキシコ人オーナーであるワイナリを作りました。

彼女は子供の頃から将来の夫となったPedroらとブドウの収穫の手伝いなどをしていたのですが,次のようなエピソードがあったそうです。
We were picking, and I remember tasting a cluster of merlot grapes. I was transformed. Table grapes are so boring because there's not those fabulous flavors that you find in the grapes that are used for wines. I remember a perfectly mature cluster of merlot grapes that I tasted. They were so succulent. I immediately recognized that they were different. If you bit into the seeds, there were bitterness and astringency, but if you just gently pressed it in your mouth, it was the most wonderful, flavorful juice, which I'd never tasted in any other grape. That instant was the epiphany. And the same thing happened to Pedro and Armando, who are now my partners.


ちょっと引用長くなりましたが,これはすごく分かるなあという気がしました。この素晴らしい瞬間の記憶を持つことがおいしいワインを作ることにつながるような。この人の作るワインを飲んでみたいという気になりました。