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Date: 2008/1224 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマの老舗ワイナリSebastianiをWilliam Foleyのグループが買収することが明らかになりました。William Foleyは2007年来,矢継ぎ早にワイナリ買収を手がけ,話題を振りまきましたが,この半年ほどはあまりニュースに上がるような話は出ていませんでした。

Sebastianiはソノマのダウンタウン近くにワイナリを構えており,ソノマを訪れる人は一度は行くのではないかと思うほど,人気のあるワイナリの一つです。オペレーションはこれまで通り続けられるようです。
Date: 2008/1224 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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前の記事でWine Advocate誌の180号でRoarのPisoniが高評価だったと書きましたが,#180のほかのワインも調べてみました。今回は「The Best of Northan California」がメインでありカリフォルニアワインだけで1560本リストアップされています。100点ワインも3本。Colgin(コルギン) IX Proprietary Red Estate 2006とSchrader(シュレイダー) Cellars Cabernet Sauvitnon Ccs 2006,同じくCabernet Sauvignon Old Sparky 2006です。

SchraderはRBS To Kalon Vineyard 2006のカベルネも99点。このほか99点はAbreuのThorevilos 2005,Hundred AcreのKayli Morgan 2006,MarcassinのMarcassin Chardonnay 2005およびPinot Noir 2003の計5本です。

このように上位は有名&高価格で手が出ないワイナリのオンパレード。今出てきたワイナリの他のワインのほか,Paul Hobbs, Araujo, Screaming Eagle, Shafer, Bond, Harlan, Kapcsandyまでが97点以上,Lokoya, Kistler, Larkmead, Maybach, Peter Michael, Mount Eden, Robert Keenan, Joseph Phelps, Hanzell, Hartford Court, Aubert, Beau Vigne, Spottswoode, Stonestreet, Tor Kenward, Brewer-Clifton, Blankiet, Bryan, Conn Valley, Dominus, Rudd, Scarecrow, Pahlmeyer, Pax, Plumpjack, Ramey, Roar, Sloanまでが96点。

ということで96点になると急に登場ワイナリが増えてきます。ちなみにBrewer-Cliftonの96点はChardonnay Mount Carmel 2006でした。こういう状況ですので,先ほどのRoarはMarcassin,Kistlerを除くと評価トップ,2006年の中でも評価トップだったわけです。



それから,今回「シンデレラ・ワイン」的位置付けなのがKapcsandy(キャプサンディ)。2006 Kapcsandy Family Winery Roberta's Reserve State Lane Vineyardが97点など,96点以上で3本,93点以上で9本ものワインが高評価を得ています。

Robert Parkerも「fabulous success story」と書いていますが,オーナーはハンガリーからの移民(ヴァランドローで研修を受けていたことがあるそうです)で,BeringerからState Laneという畑を買い取ってワイン作りをはじめました。この畑はBeringerのPrivate Reserveにもしばしば使われたということですが,畑を「ヘレン・ターリー仕様」で植え替え,Denis MalbecというボルドーのLatourの醸造責任者を勤めた人を採用し,ワイン作りを始めたそうです。最初のヴィンテージが2005年で,そこから大成功を収めて,今回それをさらに伸ばしてきたわけです。

日本でも2005年のものは入荷しています。今回97点をとったRoberta's Reserveの2005年版は95+点。

ここのワイン,今後ますます入手しにくくなりそうです。
Date: 2008/1219 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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SFクロニクル紙が恒例のWinemaker of the Yearを発表しました。昨年はカレラのJosh Jensen,おととしはRidgeのPaul Draperが受賞しましたが,今年はEhren Jordanでした。

Ehren Jordanといっても知らない人もいるかもしれませんが,あのTurleyのワインメーカーでありFaillaの共同経営者,Neyersのコンサルティング・ワインメーカーも勤めています。Turleyというと独特の高アルコールで極めて抽出度の高い濃いワインというイメージがありますが,一方でFaillaはエレガントなピノが売り物。それだけ幅が広いワインに対応できるというのが実力の証なのでしょう。なお,Faillaは共同経営者である奥さんの苗字で,ワイナリ設立時には二人の苗字を取ってFailla Jordanという名前でした。その後Jordan Wineryから提訴されてFaillaだけになったとのことです。

さて,Winemaker of the Yearが比較的名の知れたワイナリから選ばれているのに対し,新しいワイナリから選ばれるのが注目のワインメーカー(Winemaker to Watch)。おととしはSiduriのAdam&Diana Leeやハーン,Honigのワインメーカーが選ばれ,昨年はRusackなどが選ばれています。

今年はJeff AmesSarah Cahn Bennett/Aaron Cahn BennetAntoine FaberoNick de LucaKevin Kelleyの5組。Jeff AmesはTor Kenwardのワインメーカーを勤めながら最近Rudiusという自身のワイナリも始めた人。Sarah Cahn Bennett/Aaron Cahn BennetはNavarroのワインメーカー。Antoine FaberoはMazzoccoというワイナリの人。Nick de LucaはStar Laneのワインメーカー。Kevin KellyはSaliniaなどのワインメーカーです。

Star LaneはSFクロニクルのトップ100に入っていて,このブログでも何回か記事にしています(記事1記事2記事3)。Saliniaは同紙の「次世代カルト」に選ばれており,私も以前飲んだことがあります。個人的にはこのあたりに注目です。
Date: 2008/1217 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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いくつか小さなニュースをまとめて挙げておきます。

●破綻したCOPIAですが,CEOが12月5日付で辞任していたことが明らかになりました。チャプター11申請後の,交渉がうまくまとまらなかったためでしょう。その後の代表は取締役会会長のJoe Peatman氏で,清算が済むまでの従業員の給料を払えるようにすべく四苦八苦しているようです。

●相変わらず太陽電池関連のニュースはコンスタントにあります。Paso RoblesではJ&L Winesというディストリビュータが太陽電池の設備を導入しました。ソノマではGundlach Bundschuがインストールを完了。

一方で,ナパでは太陽電池のパネルが盗まれるという盗難事件も起きています。被害にあったのはHonigとZD。太陽電池に既にそういった流通市場ができているというのがちょっとびっくり。

●GalloがRRVのAVAを拡大しようとしている話を以前書きましたが,否決されました。まずはめでたし。
Date: 2008/1216 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Crushpadでワインを作る「都会のワインメーカー」を集めた組合が誕生しました。名前はSan Francisco Wine Association。発起人はDamian RaeというワイナリのJohn Tarabini氏。Crushpadでワイン作りのしきいは下がったものの,どうしてもブランド力というところでは欠けてしまいます。そこをなんとかしようというのがこの組合。
"SFWA's mission is to provide a common platform from which member wineries can get exposure they would be unable to achieve individually, through large tasting events, marketing initiatives and an online presence."

Wines & Vines - Wine Industry News Headlines - Urban Winemakers Unite
ということで,様々なテイスティング・イベントなどに出品していくようです。現時点で16のワイナリが参加しています。
Date: 2008/1213 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Chapter11を申請したナパのCOPIAですが,営業継続の訴えが退けられました(Curtains for Copia: Napa wine site loses Chapter 11 battle - Sacramento Politics - California Politics | Sacramento Bee)。このまま消滅してしまう可能性が濃厚です。

ここまで来るといかんともしがたい感じです。
Date: 2008/1212 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Spectator誌が2008年のヴィンテージ状況をまとめている(米国フランス)。

カリフォルニアは春先の霜で収穫量が激減した畑があるなど,今年は全般に難しいヴィンテージだったよう。WSの評価ではセントラル・コーストがB-,ナパがB+,ソノマがB,ニューヨークのフィンガーレイクがA-,ロング・アイランドがB,オレゴンがA,ワシントンがB+。

唯一Aが付いたオレゴンでも収穫量は20%減。9月は雨が多く,よくなかった2007年の再来かと思われたのが10月の好天で「ワールドシリーズの第7戦の9回裏に5点差をひっくり返したかのよう」(Rex HillのSam Tannahillワインメーカー)だとのこと。11月のThanksgivingまで収穫が続いたのは初めてだそうです。

ソノマも収穫量は20%減。9月の熱波であわてて収穫したところはあまりよくないが,待ったところはよかったなど,地域や畑によって大きな違いが出そうです。

セントラル・コーストも収穫は20%~50%減。強風のSanta Lucia Highlandsでは霜の影響こそ少なかったものの,風でブドウが「閉じて」しまった影響が出たとのこと。また,夏の山火事で空が雲に覆われてしまったこともあまりよくなかったようです。
Date: 2008/1211 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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師走というのはさすがに忙しいもので,今度はSF Chronicle紙が恒例のトップ100を発表しました。カリフォルニアからワシントンという西海岸のワインが対象。ピノ・ノワールが20本とカベルネ/メルロー系の23本に迫る本数選ばれていることや,マイナー品種のものも選ばれていること,10ドル台からと価格的に比較的リーズナブルなところからかなり選ばれていることなど,ほかとは一線を画したリストになっていてなかなか面白いです。

目に付いたワインをいくつか挙げましょう。
スパークリングではRoederer Estate(ロデレール・エステート)から2本選ばれています。シャルドネでは,先日紹介したAlma RosaのEl Jabaliという畑のものが選ばれています。Sauvignon BlancではGallo傘下のRancho Zabacoの18ドルのワインがリスト入りしているのがユニーク。Costcoあたりで入れて欲しいものです。

ピノではオレゴンのBergstromやDomaine Drouhinがリスト入り。Dancyuでワイン大賞だったCaleraのMt. Harlan Cuveeも入ってます。MacPhail Wightman House,Roessler La Brisa,Hirsch Vineyards Sonoma Coastと日本に入荷しているワインが結構入っています。

カベルネ系ではRobert MondaviのNapa Valley Merlot 23ドルあたりが面白いところ。今年の春に日本でも話題になったStar Lane(スター・レーン)もリスト入りしています。このワイン,おかじまやの三木香奈さんもお勧めということだったので,かなりよさそうです。値段も5000円台と米国の50ドルと同等。カベルネ系の中では安いほうです。

Date: 2008/1209 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Enthusiast誌が今年のベスト100の第2弾としてCellar Selection,すなわちワインセラーに置いておきたいとっておき向きワインを発表しています(結果のPDF)。

前回同様,国内に入ってきているワインはあまりなく,Shafer Hillside Select 2003とかColgin IX Proprietary Red 2005といった,カベルネ系の高級なものくらいです。

上位で気になったワインというと
4位のEtude 2005 Deer Camp Pinot Noir(Carneros); $60. 96点
10位のWilliams Selyem 2005 Allen Vineyard Pinot Noir (Russian River Valley); $78. 96点
とトップ10に2本入ったピノ。残念ながらどちらも日本には入荷していあにようです。14位にはHanzell 2005 Chardonnay (Sonoma Valley); $65. 96点が入っていますが,これも国内に入ってきていたものとは微妙に違います。

また,24位にはGirard 2005 Cabernet Sauvignon (Diamond Mountain); $75.95点が入っていますが,Girardもカベルネ系のブレンドまでは国内に入っていますが,カベルネはなさそうです。75ドルというのは,このクラスではお得な部類に入りますし,GirardはZinfandelやSauvignon Blancは価格以上の品質のものを作っていますから,これはちょっと飲んでみたいです。

75位にはMondaviのReserve Cabernet Sauvignon 2005が入っています。94点。これは日本でも売っています。しかもワイナリ価格の135ドルより安いです。これはわりといいかもしれません。コメントを記しておきます。
This is a very fine, high level Cabernet that shows the impeccable nature of Mondavi Reserve. Yet it’s also very tannic and far from being drinkable. Shows a vast repository of black currant, blackberry, black cherry and new oak flavors wrapped into a smooth, velvety mouthfeel whose finish goes on forever. Masculine and authoritative, it should continue to improve for many years. Drink now, with decanting, and through 2017, at least.


Date: 2008/1206 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマのGundlach Bundschu(ガンロック・バンチュー,日本ではグンドラック・ブーンドシューとも)が太陽光発電システムを導入しました(元記事)。

導入したシステムは2系統。一つは水の再利用に使うもので,池自体に太陽電池のパネルを設置しました。発電量は30W。

もう一つはワイナリ全体で使うもの。80kWの出力で60%の電力をカバーするとのことです。これで年間1万5000ドルを節約できる見込み。

ただ,このパネルを設置するため,5年前に植えた1.3エイカーのピノの畑を抜いてしまったとのこと。毎年の生産量換算では7万ドルになるとのことで。差し引きすると大分損しそうです。そこまでしても環境に熱心であるということをアピールする必要があるということでしょう。
Date: 2008/1204 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Enthusiast誌が2008年のTop100を発表しました(結果のPDF)。とはいえ来週には「セラー・セレクションのベスト100」,再来週には「ベスト・バイのベスト100」も発表されます。セラー・セレクションは,セラーに入れて保存しておきたいワインのベスト100,ベスト・バイとはお買い得ワインのベスト100です。

ではTop100とは何かというと,
In short, they represent the most diverse and dynamic segment of the wine industry. They are wines that offer extraordinary quality at prices that still represent affordable luxury. They are mostly wines that can be consumed over the near term, although some will undoubtedly benefit from cellaring.

ということです。まあ,中間的存在ということで^^;

このリスト,日本に入荷されているワインとはビンテージ違いだったり畑違いだったり,なかなかマッチするものがありません。その中で見つけたのは「カレラ」。

またかよといわれそうですが,今回はマウント・ハーランのシャルドネ2006です。93点で53位に入っています。
Brilliant Chardonnay, compulsively drinkable. You’ll find a fabulous array of flavors, ranging from pineapples, mangoes and limes to lees- and oak-influenced smoke and creamy vanilla. There’s also a juicy streak of crisp acidity and a flinty tang of minerals in the finish. Very fine.

米国で25ドルのこのワイン。「竹澤」の2840円はかなり安いです。間違いではないかと思うほど。セントラル・コーストとほとんど同じ価格。これはお勧めです。また,Wassy'sはポイント10倍中。


もう一つはSaxum(サクサム,サクソン)のJames Berry Vineyard,プロプライアタリー・レッド。95点で70位です。
Solidly in the Saxum style, which is to say a high alcohol (15.5%), massively flavored wine of enormous concentration and power. The blackberry, cherry, cassis and chocolate flavors have all kind of overtones, ranging from licorice and vanilla to gingerbread and candied violets. Saxum has become a cult favorite, one of the highest-priced brands from Paso Robles, and wines like this are the reason why. Drink now and through 2008. Syrah, Mourvèdre and Grenache.


Date: 2008/1203 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Culinary Institute of America(CIA)が第3回となる2009年のカリフォルニアワイン名誉の殿堂を発表しました(第1回第2回)。

まず,今回新たに「パイオニア部門」ができ,Beringerの創設者であるFrederick and Jacob Beringerが選ばれました。この部門は1989年までに亡くなったカリフォルニアワインのパイオニアに与えられるということで,1回目の大半,2回目も数人はここに相当していたわけです。2回目で存命者を増やしたのを今年以降はさらに推進するということでしょう。

残りは
Gerald Asher
Jack and Jamie Davies
Jess Jackson
Carole Meredith, PhD.
Justin Meyer
Warren Winiarski, PhD.
の6組,7人。ジェラルド・アシャーはグルメ誌のエディター。日本でもかつて本が出ていました。



Davies夫妻はSchramsbergの創設者,Jess JacksonはKendall-Jacksonの創設者,一人飛ばしてJustin MeyerはSilver Oakの創設者,Warren WiniarskiはStag's Leap Wine Cellarsの創設者。Carole Meredithという人はLagier-Meredithの共同所有者ですが,そのことよりもUC DavisでDNAを使ったブドウの由来の同定で功績を挙げたことが重要です。

Jess Jacksonを除くとナパのワイナリ関係で,歴史的にナパが中心であったのは確かなのでしかたないでしょうが,ちょっと偏っている感じもします。ちなみに昨年はWenteの創設者やRidgeのPaul Draperがナパ以外のワイナリ関係者でした。

まあ,これでナパも有名どころは抑えた感じがあるので,来年はソノマやセントラル・コーストからも選ばれるのではないでしょうか。
Date: 2008/1202 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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12月1日に再開するという情報もあったCOPIAですが,おそらく融資の交渉がまとまらなかったのでしょう,連邦破産法チャプター11
が申請されました。日本で言えば会社更生法に当たります。
"Copia, the ambitious food, wine and art museum in Napa, Calif., today filed for protection under Chapter 11 of the Bankruptcy Code."

Copia Files for Chapter 11 - Diner’s Journal Blog - NYTimes.com

チャプター11を申請したということは,どこかが手を出せば再建の可能性はあるのかもしれませんが,これまでと同様に事業をするのは無理でしょうね。それでも何らかの形で存続してほしいです。