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Date: 2014/1231 Category: 業界ニュース
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ナパの三つ星レストランとして有名なフレンチ・ランドリーで、クリスマスにワインが盗難にあいました(Thieves steal over $300,000 worth of wine from French Laundry restaurant - LA Times)。元記事にはこじあけられたドアの写真が掲載されています。

被害総額は30万ドル以上というから相当なものです。盗まれたワインの本数は…

76本。意外と少ないですね。1本あたり4000ドル以上という計算になります。

それもそのはず、盗まれたのはDRC(Domaine de la Romanee-Conti、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)のワインが大半。かのロマネ・コンティも15本含まれています(元記事には盗まれたワインの一覧も載っています)。

ちなみにカリフォルニアワインではスクリーミング・イーグルのみが盗まれています。ヴィンテージは1992、1995、1998、1999、2010の各1本。

年末最後のニュースが盗難というのは何ですが、皆さんよいお年を。
Date: 2014/1231 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Advocate誌の216号が発表されました。カリフォルニアではロバート・パーカーによるソノマのレポートとシェーファー・ヒルサイド・セレクトのバーティカル・テイスティングが掲載されています。

ソノマのレポートでは、2012年のワインを中心に2013年のワインの試飲結果なども掲載されています。最大の注目はピーター・マイケル。昨年ピノ・ノワールでのカリフォルニア初の100点に続き、今回はシャルドネでも2つのワインが100点を得ました(ピノ・ノワールも1本100点です)。

シャルドネの100点はカリフォルニアではマーカッサンに続く2ワイナリー目。実は、ブルゴーニュでも1986年のDRCモンラッシェが取っているだけなので、同誌全体で3ワイナリー目ということになります。

ちなみにカリフォルニアで99点以上を取っているのはほかにオーベール、ブリュワー・クリフトン、コングスガード、モルレ・ファミリーの4ワイナリーです。

100点を取ったのはシャルドネのポイント・ルージュ(Point Rouge、ポワン・ルージュ)、キュベ・インディジェーネ(Cuvée Indigène)。ピノ・ノワールのマ・ダンジューズ(Ma Danseuse)。ヴィンテージはいずれも2012年。マ・ダンジューズは2010年に続く快挙です。

ポイント・ルージュとキュベ・インディジェーネはいずれもバレル・セレクションによるトップ・キュベ。ポイント・ルージュは初代ワインメーカーだったヘレン・ターリーが樽に赤い印をつけていったことから名付けられたものだとか。キュベ・インディジェーネはオールド・ウェンテ・クローンに限定したバレル・セレクションだそうです。

マ・ダンジューズは、ソノマ・コーストにある自社畑の1つ。名前は「私のダンサー」という意味で、サー・ピーター・マイケルが17歳のときに、柔道のクラスからダンスのクラスに移り、未来の妻と出会ったことへの感謝を表しているそうです。
Date: 2014/1228 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine-Searcherでは毎月、前月に検索されたワインのランキングを掲載しています。ボルドーのシャトー・ムートン・ロートシルトなどが定番の一位なのですが、2014年11月に、記録に残ることが起こりました(Most Searched-For Wine a Shock Result | Wine News & Features)。

なんと1位がサントリーの「山崎シングルモルト・シェリーカスク」だったのです。もちろんワインではなくウイスキーです。

「ワールド・ウイスキー・バイブル2015(Whisky Bible)」で世界一位になったと発表されたのが2014年11月3日。それで検索が急増したようです。11月8日の記事「What's Up With These Spirited Searches? | Wine News & Features」で既にトップ100に載るだろうとは書かれていますが、さすがに1位になったのはワインのサイトとしても少々ショッキングだったようです。

山崎は、朝ドラ「マッサン」でも大きく取り上げられていますね。関西に住んでいる人にとっては、電車から見える山崎蒸留所はランドマークになっているといいます。

ところで、マッサンを見ていると、樽が古いものしか使っていないようなのですが、ウイスキー作りでは新樽は使わないのでしょうか?

Date: 2014/1226 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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12月26日21時からTBS系列で放映された「鶴瓶の!型破り偉人伝!」。その中で江川卓さんが、故中村勘三郎さんとの思い出のワインとして紹介したのがノリア (中村セラーズ)のシャルドネです。

ノリアについては以下の記事を参照
中村さんの作る「ノリア」のワイン会に行って来ました

この記事にも書いたように、日本人の中村倫久(のりひさ)さんが作る日本食に合わせやすいワインです。



ピノ・ノワールもあります。
Date: 2014/1226 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ロバート・パーカーが2014年のベストワインを発表しました。分野は現行リリース、コストパフォーマンス、素晴らしいワイン経験、ディナー、バーティカル・テイスティング、ワイン以外となっています。

現行リリースでは
2013 Russell Bevan Sauvignon Blanc Dry Stack Vineyard, Sonoma
2012 Lail Vineyards Cabernet Sauvignon J Daniel Cuvee, Napa
2012 Lokoya Mount Veeder Cabernet Sauvignon, Napa
が選ばれています。

コストパフォーマンスが高いワインでは
2013 Borsao Tres Picos Garnacha, Aragon, Spain
Bedrock NV Mixed Red Blend - Shebang - Lot Eight (VIII), California
Marietta Old Vine NV Lot 62, Sonoma

マリエッタは以前からことあるごとにパーカーが取り上げているワインです。以前は日本にも入荷されていましが、最近は見なくなってしまいました。

ベッドロックのシェバングは、ノン・ヴィンテージで作られるワイン。選ばれているのはロット8ですが、日本で現在売られているロット7にもパーカーは90点を付けています。気のおけないワインでおいしいです。

Date: 2014/1226 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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フランスのボルドーのワインでは“プリムール”(正確にはアン・プリムール、en primeur)と呼ばれる販売方法が根付いています。一種の先物取引で、例えば2014年のワインであれば2015年の6月頃にプリムールの価格が発表されます(ロバート・パーカーの評価がこの価格に大きく影響するので、ボルドーにおけるパーカーの存在感は極めて大きくなっています)。消費者はプリムールを扱う業者や小売店を通して購入を予約します。実際にワインが手に入るのは約2年後になります。

ワイナリーにとっては、熟成中に資金が回収できることによって、経営的なメリットがあり、消費者にとってはリリース時よりも安くワインを買えるチャンス(高くなる場合もあります)となります。

このような仕組みをナパのレアワインにも導入しようという試みが始まっています(Trying to Create an American Model of Wine Futures | News | News & Features | Wine Spectator)。

E-Cepという、ナパ版のサービスを立ち上げたのはセルジュ・マルキエとサリー・ウィルキンソンのカップル。マルキエはハーバード大でゲーム理論の博士を鶏、ゴールドマン・サックスのラテンアメリカフィナンシャルグループのトップでした。ウィルキンソンはドイツ銀行の英国エコノミストで英国保守党の財務アドバイザーを務めていました。

このように財務のプロである2人が立ち上げたサービスなので、消費者はワインそのものではなく債権を購入するという形になります。その債権がリリース時にワインを提供することを保証します。

2人はパイン・リッジの共同創業者であるナンシー・アンドラス・ダックホーンの協力を得て、参加するワイナリーを募りました。その結果、カーター・セラーズ、ダナ、スケアクロー、アウトポスト、ダンシング・ヘアーズ、コンティニュームといった超一流のワイナリーが加わることになりました。

2013年11月に始まり、2014年2月、4月、6月、9月、11月とこれまで6回募集をかけています。例えば2014年2月に募集されたコンティニュームの場合、2012年のワイン3本が540ドルとなっています。

また、現在募集中のものだとダンシング・ヘアーズの2013年ダブルマグナムが1本680ドル、コンティニュームの2013年エッチング入りダブルマグナムが1本1485ドル、カーター・セラーズの“The G.T.O”2013のダブルマグナムが1本1198ドルなどとなっています。値段はメーリングリストで購入するのと大きくは変わらないといっていいでしょう。

この仕組み、消費者にとってはメーリングリストのように毎年購入することを強いられないのがメリットです。例えば、子供のバース・ヴィンテージだけ買いたいといったニーズに応えられます。ワイナリーにとっては、例えばマグナムやダブルマグナムといった、どれだけ売れるかわからないフォーマットを売りやすいというメリットがあります。ただし、メーリングリストで即完売となるようなワイナリーにとって、この仕組みを使うメリットがどれだけ感じられるかは未知数です。

なお、日本からも購入可能です。最初にE-Cepに登録する必要があります。
Date: 2014/1224 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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20141223-winecountrymovie.jpg
▶ Wine Country Photography 2014 - YouTubeは、George Roseという人がワインカントリーの写真をスライドショーにした動画です(埋め込み禁止なので、リンクのみです)。

美しいですね。BGVにしたいです。

公式サイトはこちら(George Rose Photography)。この中でもワインカントリーの写真のスライドショー(写真は別)が見られます。

米国のAmazon.comでは本もあります。残念ながら日本のAmazon.co.jpにはありませんでした。
Amazon.com: The Art of Terroir: A Portrait of California Vineyards: Rod Smith, George Rose, Jess Jackson: Books
Date: 2014/1221 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日、SFクロニクルの西海岸ワイン年間トップ100が発表されました(Top 100 Wines: The Best of the West Coast in 2014 - SFGate)。毎年発表されているものですが、今年は選者のジョン・ボネが「The New California Wine」を記して話題になったこともあり、このトップ100についても一部で物議を醸しています。

(なお、「The New California Wine」については過去記事「読書感想――「The New California Wine」ジョン・ボネ、バランス追求派はカリフォルニアワインを変えるのか」に書いているのでご参照ください)

最初に反論を書いたのはNapa Valley Register紙(The Chronicle adds a blow to Spectator’s jabs)。カベルネ系以外でナパのワインがほとんど入っていないことを書いた上で「Looking at the list, it’s clear that unusual and new was a major criterion for picking wines.」と非難しています。

さらに、Wine SpectatorやWine Enthusiastの編集を長年勤めたスティーブ・ハイモフは選ばれたワインのアルコール度数が低いことが恣意的なのではないかとしています(My thoughts on the S.F. Chronicle’s Top 100 Wines of 2014 | STEVE HEIMOFF| WINE BLOG)。

9 of the 12 Chardonnays have alcohol below 14%
13 of 16 Other Whites have alcohol below 14%
8 of 9 Sparkling Wine, Rose and Others have alcohol below 14%
18 of 23 Pinot Noirs have alcohol below 14%

だったとのことで、ブラインド・テイスティングではなくアルコール度数を見て選んでいるのではないかとしています。

僕の意見としては、ジョン・ボネが選ぶ以上、こういうリストになるのは当然ではないかと思います。SFクロニクルというメジャーな媒体で、このように尖った思想の持ち主がメインのライターであることの是非ということは考えた方がいいのかもしれないですが。

ともあれ、選ばれたワインはどれも良いワイン。おめでとうございます。
Date: 2014/1220 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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今年8月にマグニチュード6クラスの大地震に見舞われたナパですが、さらに大きな地震の可能性があることがUC Davisの調べで分かりました(The next Napa earthquake could be much bigger, scientists find :: UC Davis News & Information)。






それによると、ナパの西を走る断層の長さは、従来考えていたよりも長く45マイル(約72km)に達するとのこと。このサイズだと、マグニチュード7クラスの地震が起こる可能性があるそうです。

その規模の地震が起こる頻度は1000年~2000年に1回程度なので、いつ起こるのかはほとんど予期できないそうです。

ちょっと怖いですね。

もっとも私の住んでいる横浜市は今後30年以内に震度6弱以上の大地震が起こる確率が78%だといいますから、もっと危険なようですが。
Date: 2014/1219 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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オックスフォードのオンライン辞書に今年追加された新語の中からいくつかを取り上げた記事がありました(Oxford Dictionaries Adds ‘Duck Face,’ ‘Man Crush’ and ‘Lolcat’ | TIME)。

Obamacare(オバマケア)など、いかにも時事的な語もありますが、面白いと思ったのが「duck face」。日本語でいうところの「アヒル口」です。
an exaggerated pouting expression in which the lips are thrust outwards, typically made by a person posing for a photograph

という説明があり、写真を撮るときにこういう顔をつくるのは洋の東西を問わないのだなあと思いました。

ちなみに、その次に載っている「five-second rule」は日本語の「5秒ルール」と同じ。食べ物を床に落としても5秒以内に拾えば菌が付かない」という都市伝説のルールです。僕は「3秒ルール」の方が一般的なのかと思っていましたが、世界的には5秒の方が強そうです。

また、「lolcat」というのはネットスラングで「lol」(laugh out loud=大笑い)と「cat」が合成された単語。猫の画像などにくだらないキャプションを付けて楽しむもので、日本では「ボケて」に相当するものと思えば良さそうです。

ネット時代、言語は別々でも同じような言葉が使われているというのは面白いですね。
Date: 2014/1216 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ガロが米国の消費者のワイン消費動向をまとめたインフォグラフィックスを公開しています(2014 Gallo Consumer Wine Trends)。



日頃目にする記事は、高級ワインに関するものがどうしても多くなってしまうのですが、この動向は消費者の状況をより如実に表現している感があります。

例えば、上の図で示した、米国の若者はモスカートや泡を好むとか、若者の66%はワインにジュースを混ぜて飲むことがあるとか、非常に興味深い結果が出ています。

ぜひ、ご自身でご覧になってください。
Date: 2014/1215 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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日経Bizアカデミーで復刻連載されているニッカウヰスキー創業者「竹鶴政孝」さんの『私の履歴書』。言わずと知れた、朝ドラ『マッサン』のモデルになった人です。

ドラマでは、スコットランドへの留学から帰ってきたところから描かれていますが、実は「マッサン」はスコットランドに行く前に米国でワイン作りを学んでいたことが、今日公開の記事に載っていました(第7回 米国に立ち寄る ぶどう酒工場を見学 仏・伊と違う大規模な設備)。1818年のことですから、米国で禁酒法が始まる1920年の直前の段階だったと思われます。

場所はサクラメント。カリフォルニアの州都がある都市ですが、おそらくセントラル・ヴァレーで作られる、あまり品質の高くないブドウから大量生産でワインを作っていたのでしょう。マッサンはカリフォルニアでのワイン作りについて、次のような否定的見解を述べています。

それはあとで勉強して歩いた本場のフランス、イタリアの手づくりに近いぶどう酒づくりとは、全く対照的な製法であった。ウイスキーでもそうだがよい酒をつくるためには、規模や設備では解決できないものがある。熟成をじっくりしんぼうして待つ精神や気質がないと決してよいものはできないというのが私の信念の一つであるが、それをあとになって知ることができたという意味でカリフォルニア・ワインの勉強は役立ったといえる。どうもアメリカ人はよい酒をつくる国民性に欠けているように私には思えてならない。


どうせだったらソノマのファウンテン・グローヴで長沢鼎に会っていれば、もうちょっと違った感想になったのでは、とちょっと思ってしまいました。

また、できたらマッサンに今のカリフォルニアワインを飲んでほしいものです。日本人が素晴らしいウイスキーを作れたように、アメリカ人でもよい酒を作れるようになったのですから。
Date: 2014/1214 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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アントニオ・ガッローニのVinousでサンタ・バーバラの特集記事が出ています(レイティングは会員オンリー)。そこでシャトー・イガイ・タカハのワインがこぞっと高評価を得たとのことです。

94点 2013 Pinot Noir SONO 園
93点 2013 Pinot Noir KAZAOTO 風音
93点 2013 Pinot Noir KODO 鼓動
93点 2013 Chardonnay SAMURAI 侍
92点 2013 Chardonnay MIYA 美夜
92点 2013 Chardonnay HAMON 波紋
92点 2013 Chardonnay HANASHINOBU 花偲
91点 2013 Crossed Wing Chardonnay
91点 2013 Crossed Wing Pinot Noir

これを記念してシャトー・イガイ・タカハのサイトでは、2014年12月31日までの期間限定特別セールを開催しています。
Ch.igai Takaha / 杉本セレクションVinous高得点セット(2013Kanji)
Ch.igai Takaha / 杉本セレクションVinous高得点セット(Crossed Wing)

一つ前のお薦めワインの記事で2013「園」が「現在の漢字シリーズのピノ・ノワールの中でも1ランク上の味わい」と書きましたが、ガッローニも同じ評価で僕も嬉しいです(笑)。その記事では「波紋」も紹介したので「侍」はやめておいたのですが、侍も白の中では一番と評価していたことを付け加えておきます。

以前、ダイアトムの「サムライ・ビューティ」にロバート・パーカーから95点の評価が出たことがありましたが、今回は名実ともに「シャトー・イガイ・タカハ」としての評価。嬉しいことです。

Date: 2014/1213 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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100年に一度と言われる旱魃にみまわれているカリフォルニアに、ついに大雨が降りました(Here's How Much the Storm Is Helping California's Epic Drought)。

降水量は北カリフォルニアで50mm〜200mm程度。

恵みの雨であるのは確かですが、まだ貯水池の水量は数%上がった程度。まだまだ旱魃状態であることは変わりません。

むしろ、これで節水意欲がなくなってしまうのが心配という声もあります。

安心するには早すぎるようです。
Date: 2014/1212 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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【追記】2012年ヴィンテージの評価についてはこちらの記事をご覧ください(オーパス・ワン2012年は2007、2010と並ぶ高評価

オーパス・ワン2011の出荷が始まっています。例年10月ころに新ヴィンテージ発売というのが常套でしたが、今年はやや遅め。2010が意外と長く残っていたのでしょうか。

さて、2010年はオーパス・ワン史上最高とまで言われたヴィンテージ。Wine Advocate誌では一方、2011年は気温が低く、天候も悪く、難しいヴィンテージと一般には言われています。オーパス・ワンの場合はどうでしょう。

これまで評論家の評価が出ているものだと、ジェームズ・サックリングが92点、アントニオ・ガッローニのVinousが92点、ステファン・タンザーが90点となっています。先日おつたえしたように、タンザーはVinousに買収合併されましたが、今後こういう場合の評価をどうするのか気になるところです。

サックリングは2010年の評価を出していないので、残り2つの2010年の評価を見ると、Vinousが96点、タンザーが95点。やはり2010年の評価が高く、2011年はそれと比べると低くなっています。

ただ、これをもって質が低いというのは早計です。レビューのコメントを見ると、2011年は酸味が強く、胡椒などスパイスの風味を比較的感じるものになっているようです。オーパス・ワンはカリフォルニアワインの中ではエレガントな作りですが、その傾向がこのヴィンテージでは一層強そうです。そういったスタイルのワインが好きであれば、2011年も好きだろうと思います。

また、Vinousのアントニオ・ガッローニは、1年前にも試飲をしていて、そのときは89-92という評価をしています。今年の評価で92点になったというのは、予想の範囲ではあっても、良くなってきているということ。実際コメントでもこのワインは「サプライズ」であり、「ブリリアント」だと評しています。



Date: 2014/1210 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Spectator誌の年間2位を取ったこともある名門ワイナリViader(ヴィアデア、ヴィアディア)。実は9年前に倉庫が火事にあった後、ワイナリーを続けられるかどうかの瀬戸際まで追い詰められていたことが、わかりました。ニューヨーク・タイムズの記事で、当時のことをオーナーのデリア・ヴィアデアさんが語っています(After a Disaster, a Winery Starts Anew -- and Finds a Better Business Model - NYTimes.com)。

2005年10月12日、ナパにある倉庫が放火にあい、ヴィアデアはそこに保管していた2003ヴィンテージのワイン8万4000本をすべて失いました。売り上げにして450万ドル相当の損害でした。

その後の再建は綱渡りの連続でした。

実は、火事の知らせを聞いたのはナパのリゾートでプライベートなディナー中。たまたまSilicon Valley Bankの人がそこにいたため、とっさに100万ドルのつなぎ融資を依頼しました。保証人がいないとだめ、とのことでしたが、なんとか保証人も見つけて融資を受けられました。

しかし、問題はその後でした。火事の保険金がほとんど下りなかったのです。倉庫に預けたいたワインは「輸送中」とみなされ、保険の条件に輸送中のワインの保証は50万ドルまでとなっていたのです。ヴィアデアは裁判に訴えましたが、結局50万ドルも戻らないという結末でした。

トスカーナに買った畑を売却し、生産量も減らしました。流通業者を通さず、直接販売中心に切り替えました。こうして何とか乗り切ったのです。

ただ、悪いことばかりではありませんでした。息子と娘がワイナリーのビジネスを手伝うようになりました。直販を増やしたことによって、1本あたりの売り上げも大きく伸びました。現在では財政的な問題はなくなったといいます。

ヴィアデアさん、そんな苦労をされていたのですね。知りませんでした。

Date: 2014/1206 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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コルギン(Colgin)・オーナーのアン・コルギン氏が社長のポール・ロバーツ氏と来日し、セミナー&試飲会が開かれました。



今回の試飲は4種、ヴィンヤード・マネジャーでもあるデイヴィッド・エイブリューの畑カリアド(Cariad)が2011と2005の2ヴィンテージ。自社畑のナンバー・ナイン・エステート(IX Estate)のボルドー系ブレンドが2011と2009の2ヴィンテージです。

以前出席した試飲会(Colginのセミナーで計16万5000円のワインを試飲)では2009年のカリアド、2010年のIX Estate、2009年のIX Estateシラーを試飲しています。このときの記事の最後に、こんなことを書いています。
ただ、5万円を超えるワインを欲しいと思うかどうかには、ワインの出来以上に、そのワイン、そのブランドへの信頼がいると思います。以前試飲したHarlanは類まれな個性を持っていました。Bondもそれぞれすごいと思いました。Colginにそれを感じるかというと、今日の時点ではよく分かりませんでした。おそらく、自分のテイスティング能力が足りないせいだと思います。Cariad、IX Estateの違いは言えても、共通する個性を説明するのは難しいものです。

今回は、せっかくオーナーも来日しているので、コルギンのワインとして表現したいことを聞いてみたところ「ピュアでエレガント」なワインということでした。実際にどうだったか、試飲の感想を見てみましょう。


今回2011年のワインが2つ入っています。ナパとしては異例なほど気温が低く難しいヴィンテージです。実はWine Advocate誌の評価でみるとカリアドが93、ナンバー・ナイン・エステートが92点とコルギンにしては低い点数が付いています。一方、2005年のカリアドはなんと100点、2009年のナンバー・ナイン・エステートと97点と高得点です。

実際試飲してみると2011年は確かにスケールはそれほど大きくなく、現時点ではタンニンも割と強く感じます。しかし、カリアドのブルーベリーっぽさとか、ナンバー・ナイン・エステートの赤系の果実っぽさといった個性はよりはっきりとし、また「ピュアでエレガント」というスタイルの共通性についても少しわかったような気がしました。

また、果実味が落ちて、熟成が少し始まったカリアド2005年には、すごく魅力を感じました。今は変化の過程という感じも少しありますが、もう数年たつと、ものすごいワインになりそうな気がしました。

コルギンのエレガントさは、フランスワインなどを飲んだときのエレガントさとはまた違うような気がします。はかなさではなく、アン・コルギンさんに通じるような、力強いのだけどマッチョではなくしなやかな魅力といったらいいでしょうか。

うまく表現できませんが、そんなことを思ったセミナー&試飲会でした。



実はナパで初めて100点を取ったシラーはコルギンです。
Date: 2014/1206 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日、「フレンチ・ランドリーなど、来年から前金制に変更」という記事を載せましたが、ちょうどオンラインWassy'sのワッシーさんこと鷲谷社長がFacebookでドタキャンについて書いていました。

なお、Wassy'sは大阪の天王寺にスープル、中之島にはスープル29(ヴァンヌフ)というレストランを持っています。スープルは食べログでトップ5000に入る人気レストランです。

ワッシーズダイニングスープル (Wassy's Dining Souple) - 四天王寺前夕陽ヶ丘/ワインバー [食べログ]
スープルヴァンヌフ (Souple 29) - 福島/ビストロ [食べログ]

ワッシーさんから許可をいただいたので、投稿そのまま転載します。
飲食店のドタキャン、すっぽかし問題年末に向けて急増中です。。

うちは少ないですけど、忘年会シーズンにさしかかる12月、レストラン仲間からの悲鳴が毎日の様に聞こえます。みなさんリコンファームしたりとかで自衛に努めてますが。。それでも起こるんですよね。。(T_T)

そう言う事をする方は、割りと気楽に考えてる方だからそんな事が出来るだと思いますが。ドタキャンの損失はレストラン(とくに小さな)にとっては死活問題です。
・機会損失:仮に代替のお客様が入らない場合は損害ですよね。
      予約で埋まる小箱の店の場合は、売上がゼロになって
      しまう事もあるんです
・廃棄ロス:翌日も使える食材ばかりじゃないんです。
      お客様の来店に合わせてベストな状態になる様に
      仕込んでます。

位の金銭的な損失は想像の範囲だと思いますが。。。

【一番のロスは、、スタッフの精神的なもんやと思うんですわ。】
朝から市場にいって仕入れてきた食材を「おいしくな~れ」と一生懸命下ごしらえして、、、さあ、、食べてもらおうと

→→
→→→え??来ない(T_T)

しかたなく、自分達で食べたりする事できますが、それがいくら高級な食材で美味しくても「食べれてラッキー」とは思えないですし、、ましてや量の加減とかでゴミ箱にポイしなければならない状況とかでは、ゴミ箱に捨てられた料理を見て泣きそうになります。。
お店のスタッフは「お客様に美味しく食べて欲しい」から作ってるんです。
サービススタッフもそれに合わせてテンションあげて笑顔を用意してまってるんです。
軽く8時間どころで無いブラックな労働時間に耐えれるのは、お客様に喜んでもらいたいと言う気持ちがあるから出来る事なんですよね。
こう言う事があると、お客様に対する気持ちがすり減ってしまうんですよね・・・

うーーんん、、ほんまになんとかしたい。。この問題。。

フレンチ・ランドリーのように前金制に移行するのは、なかなか勇気がいることでしょうし、それが常識にならないと、どのレストランでもできることではありません。

まずは、消費者としてドタキャンをしないようにするしかないです。また、そういう行動をする知り合いがいたら、どれだけレストランが困るか知ってもらうようにする、などしかないと思います。

というわけで、多くの人に知ってもらいたく、この投稿をしました。シェアしていただけたら幸いです。
Date: 2014/1205 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ピノ・ノワールでは、カレラ・クローン、ウェンテ・クローンなど出所名が付いたクローン*がしばしば使われますが、ジンファンデルではこれまでクローンについて取りざたされることはありませんでした。ジンファンデルの業界団体ZAPはしばらく前から「Heritage Vineyard Project」としてジンファンデルのクローンの研究をしていましたが、このほどそこから4つの銘醸畑からのクローンを開発、苗木として使えるようにしました(Zinfandel Advocates & Producers Announces Four New Named Zinfandel Selections from ZAP Heritage Vineyard Project)。

*クローンとは苗木の遺伝子系統のこと。ブドウは基本的に接ぎ木で増やすため、遺伝子が全く同じ木が多数使われることになる。

4つの畑はLytton(リットン)、Moore(ムーア)、Teldeschi(テルデスキ)、George Zeni(ジョージ・ゼニ)。リットンは言わずと知れたリッジの畑。19世紀に植えられたジンファンデルが主体です。ムーアはナパのクームズヴィルにある畑。オーナーのマイク・アンド・モリー・ヘンドリーと、依頼を受けてワインを作っているロバート・バイアルから単一畑のワインが出ています。

テルデスキはRavenswoodで知られる畑。Ravenswoodのジョエル・ピーターソンの息子、モーガン・トウェイン・ピーターソンのBedrockもLorenzo's Heritageとして、ここのワインを作っています。

ジョージ・ゼニはメンドシーノの畑で一番古い木は1880年代に植えられています。Edmeadsに長年ブドウを売ってきましたが、2009年に契約を打ち切り、新しいワイナリーへと移行する途中のようです。

さて、これらのクローンで作られるワインはいつごろ出てくるでしょうか。また、これらの畑は実際にはフィールドブレンドとして、複数の品種が混じっていますが、ジンファンデル単独でその味わいが出るでしょうか。

いろいろ疑問はありますが、今後の成果を見守りたいと思います。
Date: 2014/1204 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパの老舗ワイナリーNewtonの再生をオーナーであるモエ・ヘネシー社が明らかにしています(Moët Hennessy Maps Out Ambitious Plans For Napa’s Newton Vineyard)。

それによると、同社はニュートンを「ナパ・ヴァレーのカベルネでトップ5、6のワイナリーに入るように再生したい」とのこと。そのために、製品の数を絞り、アンフィルタードのシャルドネとカベルネ、上級キュベのパズルなどに注力するそうです。

また、アンフィルタードのカベルネでは、自社のスプリング・マウンテンにある畑のほか、モエ・ヘネシー社傘下のシャンドンが持っているマウント・ヴィーダーやヨントヴィルの畑のブドウも使うようにします。天候不順などの畑のリスクヘッジを目的としているようです。

ニュートンといえば、ナパの歴史には必ず登場する名門ワイナリーです。リック・フォーマンやジョン・コングスガードなど歴代のワインメーカーは超一流ぞろい。高品質なメルローやアンフィルタードのシャルドネなどで知られています。創設者の妻であるスー・ファ・ニュートンはファッションモデルなどの多彩な経歴で知られており、ニュートンの顔となっています。

確かに一時ほどは品質で注目されなくなった感はあります。再生プランはうまくいくのでしょうか。
Date: 2014/1203 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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レストランにとってドタキャンは深刻な問題です。昨今はオンライン予約が広がって便利になる一方で、気軽なドタキャンも増えているという話があります(参考:どたキャン・モンスター : AQB59 レストランをめぐるグルメのめくるめくメルクマール (早口言葉))。

そこで、レストランが予約時に支払いをすることでドタキャンを避けるというシステムが広がりつつあるようです。ナパの三つ星レストランとして有名なフレンチ・ランドリーと、その経営者のトーマス・ケラーがニューヨークに開いたパー・セも来年前金制に移行するとのことです(Thomas Keller's Per Se and The French Laundry Will Go Pre-Paid Next Year)。

それに合わせて、これまでOpenTableでオンライン予約を受け付けていたのをTockというシステムに変更するとのことです。

フレンチ・ランドリーの場合は1人あたり290ドル、パー・セは310ドルを予約金として取るそうです。果たしてこの取組は広がるのでしょうか。
Date: 2014/1201 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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近年Wine Advocate誌で高い評価が続いているのがドミナス(Dominus)。2007年以降の評価で見ると98、99、97、100、89、98-100と、難しい年だった2011年以外は非常に高得点が続いています。

中でも99点と高得点の2008がフィッチに入荷しています。税込みでも1万6000円台。米国での価格は税抜きで170ドルからですから、税金入れたら今のレートでは2万円を軽く超えてしまいまいます。

恐らく円高のときに輸入した在庫なのではないかと思いますが、今後この価格で出てくることがあるかどうかは難しそうな気がします。