Archives

You are currently viewing archive for March 2015
Date: 2015/0331 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
前代未聞の水不足が続くカリフォルニアで、ブラウン州知事が緊急条例に署名をしました(California Governor signs emergency drought bills | Government content from Western Farm Press)。

California Drought - Laguna Lake Sept 9, 2014
Photo courtesy of Joyce cory

それによると、これから水不足対策に10億ドル以上をかけていくとのこと。

水利用の制限もこれまで以上に厳しくなります。例えば、レストランなどでは客から求められない限りは水を出してはいけないとか、ホテルではタオルやリネン類を毎日洗濯しないというオプションを提示しないといけないとか。

車を洗うときには、自動停止機能が付いたノズルが付いていないといけないとか、歩道を水で洗い流してはいけないとか、噴水類は水をリサイクルして使わないといけないとか…

この旱魃、どうなっていくのでしょうか。
Date: 2015/0330 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
ソノマのペタルマにあるバーバー・セラーズ(Barber Cellars)というワイナリーがクラウドファウンディングのKickstarterを使ってテイスティング・ルームを作ろうとしています。



目標額は2万ドル。ペタルマに場所を借りて改装し、テイスティング・ルームをオープンするのに必要な額だとしています。

ペタルマにある1975年に植えられたTopolosというビオディナミの畑のジンファンデルなどを作っています。

カリフォルニアのワイナリーではテイスティング・ルームにおける直売が収入の50%に達するという統計があり、このワイナリーを続けていくために、テイスティング・ルームが必要だと考えているとのことです。ワイン作りはサンタ・ローザで行っていますが、そこは倉庫のようなところで「ロマンティックではない」とのこと。地元のペタルマでのテイスティング・ルームを希望しています。

出資は10ドルから。日本からでもできるはずです。例えば3500ドルを出資するとヘリコプターあるいは飛行機によるツアーが楽しめます。
Date: 2015/0329 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
イタリアで開催されたVinitalyというイベントにおいて、コルクとスクリューキャップのワインのどちらがよく熟成しているかの、プロによるブラインド・テイスティングが開催されました(Screwcap triumphs in maturation test)。

Cap collection
(写真は今回のワインとは無関係です)

その結果、勝者はスクリューキャップ。コルク派にとってはかなりショッキングな結果となりました。特に、イタリアでは2012年までDOCGに格付けされるワインではスクリューキャップの使用が禁止されており、この結果には驚いた人が多かったようです。

ワインはいずれもオーストラリア産のもので
Henschke Hill of Grace Shiraz 2004
Cullen Diana Madeline Cabernet Sauvignon/Merlot 2004
同2005
Yalumba The Signature Cabernet Sauvignon/Shiraz 2003
Brokenwood Rayner Shiraz 2001
の5種。いずれもコルクとスクリューキャップの両方のものが供されています。

ブラインド・テイスティングしたのはイタリアのソムリエやパナマのワイン専門家、アルゼンチンのソムリエなど各国の専門家です。

イベントを主催したのはオーストラリア人のタイソン・ステルツァーというワイン・ライター。14冊の本を書いており、Wine SpectatorやDecanterなど数々の雑誌に寄稿、国際的な賞も何回も受賞している人です。また、Vinitalyというのはイタリア最大のワイン・イベントだそうです。

スクリューキャップはワインのコルク臭(TCA汚染)の問題が広がった2000年代初期に、解決策として注目されるようになりました。特に、オーストラリアやニュージーランドでは大半のワインがスクリューキャップを利用するようになっています。

一方で、スクリューキャップは全く空気を通さないためコルクよりも熟成しないのではないかという意見も多くでました。実際にこれまで見た記事では、スクリューキャップのワインはフレッシュさを保つ一方で、熟成していかない、としたものがほとんどでした。

近年では、コルクの品質が向上し、以前ほどTCA汚染の問題も取りざたされなくなっていることから、スクリューキャップの採用は進んでいないように思います。

今回の結果がスクリューキャップへの意識を変えるきっかけになるのかもしれません。
Date: 2015/0326 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
ジャンシス・ロビンソンのサイトの記事の翻訳で、サンタバーバラについて書かれていました(ツーリズムに悩むサンタ・バーバラ 21 Mar 2015 - wine_articles)。

映画『サイドウェイズ』で一躍有名・人気になったサンタバーバラですが、意外にも旅行者の数は伸び悩んでいます。

理由の1つがワイナリーにテイスティングルームを作るのが困難なこと。許可を得るのが極めて難しいのだそうです。一方で、ガスやオイルの水圧破砕プラントが点在していたり、巨大カジノがあったりと、ワインカントリーの風情を楽しむ環境とはほど遠いものが目立ちます。

サンタ・イネズ・ヴァレーの地域計画委員会の委員長だったボブ・フィールドという人がその元凶と見られています。不適切な場所でアルコールを提供することが旅行者の安全を損なうと考えているのだそうです。

一方で、サンタバーバラ郡のワイン産地からは離れた、海沿いのサンタバーバラの町では「サンタ・バーバラのダウンタウンに集合テイスティング・ルームがオープン、サンディも参加」という記事で紹介したように、数多くのテイスティングルームが作られています。おそらく、上記のような規制を嫌ったものなのでしょう。これ自体はいい試みだと思いますが、旅行者が実際にワインカントリーを見ずに帰ってしまうとしたら残念なことです。

上記記事には、このほか、逆に人気がありすぎるナパの悩みなども書かれていて読み応えがあります。ぜひご一読を。
Date: 2015/0326 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
先日、「ワインに水道水の許容量の4倍~5倍ものヒ素が含まれていると集団訴訟」という記事を書きましたが、この件についてWine Instituteが声明を出しています。

Wine Institute Statement on Possible Arsenic Litigation - The Wine Institute
Wine Institute Fact Sheet on Arsenic - The Wine Institute

それによると、ヒ素は空気、土壌、水などに自然に含まれています。米国ではワインやビール、その他酒類については制限が決まっていませんが、TTBで測定しており、他国の制限に合っていることを確認しています。

例えば、日本ではワインに残留が許されるヒ素の濃度は1ppm(=1,000ppb)。水道水は米国と同じ10ppb。今回、水道水を超えるヒ素が測定されていますが、日本の基準は大幅に下回っています。

なお、カナダやEUでも基準がありますが、今回のものはそれらの制限も下回っています。

前の記事を書いたときから、うさんくさい感じはしましたが(なので最後に「火のないところに水煙といった感もありますが」と書いています)、やはり気にする必要はなさそうです。
Date: 2015/0325 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
スパークリングワインで人気の高い、ソノマのワイナリー「J」をガロが買収することが明らかになりました(E & J Gallo buying J Vineyards & | The Press Democrat)。買収金額は明らかになっていません。

J Vineyards and Wineryは1986年にジュディ・ジョーダンが設立しました。近隣にある人気ワイナリーJordanとは、親戚関係にあたります。

ジュディ・ジョーダンは今回の買収について、「会社が一層の高みに登るための最適な組み合わせだ」と述べています。ガロもJも、家族経営の企業で、品質のバランスを重視していることなど、共通点が多いとしています。

ソノマに大きな勢力を持つブランドというと、ガロのほかに、先日シドゥーリを買収したケンダル・ジャクソンがあります。ケンダル・ジャクソンの場合は、買収したワイナリーの独自性を伸ばすことを重視している感がありますが、ガロはどちらかというと、ガロ・ブランドの中に丸め込んでしまうような感じがあります。

杞憂に終わればいいのですが、Jのスパークリングは、このブログでもたびたび紹介しているように、私も大好きなブランドなので、今後が気になります。


Date: 2015/0323 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
今週はニュースの動画です。カリフォルニアの旱魃について、最近は状況報告していませんでしたが、実は一層大変なことになっています。貯水池の水は、一番多いはずの今の時期でも40%程度。あと1年で飲み水がなくなるという警告をした研究者もいます。


Date: 2015/0322 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
ナパ、ソノマ、あるいはソラノ郡に、アメリカ先住民族によるカジノが作られる恐れがあるとナパ・ヴァレー・ヴィントナーズが警告を発しています(Possible Indian casino plan alarms vintners, county)。

通称「インディアン・カジノ」と呼ばれる、アメリカ先住民族によるカジノは、先住民族が土地を取得してしまうと、地域の土地利用のルールの管轄外となって、オープンを阻止できなくなります。そのために、事前に警告をしているとのことのようです。

参考:インディアン・カジノ - Wikipedia

今回のカジノ建設の動きは、ポモ・インディアンとIntegrated Resort Development LLCというラスベガスの会社によるものです。

ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズは、カジノ用の土地取得に対抗するため10万ドルを用意しているとのこと。さらに10万ドルを追加する準備もしているとのことで、問題の重要性がうかがわれます。
Date: 2015/0321 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
カリフォルニアでワインに、飲水に許容されているレベルの4倍~5倍ものヒ素が含まれるという、集団訴訟が始まりました(Lawsuit claims high levels of arsenic found in some California-made wines - CBS News)。

提訴したのはケヴィン・ヒックスという人。ワインの流通ビジネスに15年携わった後、BeverageGradesというワインの分析をする研究所を作りました。そこで1300本を超えるワインボトルを調べた結果、およそ1/4のワインで環境保護庁が許可しているよりも多くのヒ素が含まれることを発見したといいます。

彼によると、安いワインほどヒ素が含まれる量が多い、という法則があるとのこと。

なお、訴えられた側の1つであるThe Wine Groupは、水とワインの許容レベルを同列に比較することはできない(水の方が飲む量が多いから)と述べています。また、今回一番多く含まれるとしたものも、カナダでワインに許容されている量の半分に過ぎない、とのことです。

火のないところに水煙といった感もありますが、どうなりますでしょうか。
Date: 2015/0319 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
先日書いた「剪定を早めることで収穫を早くし、バランスの取れたワインを狙うイングルヌック」で紹介したジャンシス・ロビンソンの記事の日本語版が公開されています。

アルコール控え目、でも香りは控えずに 14 Mar 2015 - wine_articles

小原陽子さんの、このサイトではほかにもジャンシス・ロビンソンのサイトの無料公開記事を翻訳掲載しています(もちろんジャンシス・ロビンソンの許可を得ています)。勉強になる記事がいろいろあります。
Date: 2015/0318 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
ナパのダウンタウンに2001年にオープンし、2008年に経営破綻によって閉じてしまったCOPIA(ワイン、食事、芸術のアメリカン・センター)の売却先がついに決まりました(Copia sold for mixed-use development)。

ロバート・モンダヴィの肝煎りで始まったこのプロジェクトは、モンダヴィの経営が傾いた一因でもあり、ナパの負の歴史の象徴的な意味合いももっていました。

建物の販売先がようやく決まったことで、新たな一歩になるような気がします。

なお、購入したのはシアトルにあるトライアド・デベロップメント。今後3~5年をかけて改装する予定だといいます。新しいテナントのほか、家もできるとか。

今後に期待します。
Date: 2015/0317 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
ジャンシス・ロビンソンのサイトに、ワインのアルコール度を下げるために使われる様々な試みについて書かれた記事が公開されています(Less alcohol but no less flavour | Articles | JancisRobinson.com)。

カリフォルニアの話が大部分を占めているのですが、中でも興味深かったのがイングルヌックの試みです。多くの畑が2月か3月に剪定を行うのに対し、12月に剪定を始めてしまいます。それによって芽吹きが早まり、8月末か9月には完熟して収穫できるようになります。これによってアルコール度が下がって、よりバランスが取れたワインができるというのです。

イングルヌックの現在のワインメーカーは2011年にシャトー・マルゴーから来たフィリップ・バスコール。2ヴィンテージ見てきた後、上記の結論に達したそうです。剪定を早めることで、霜の害などに襲われる危険は増えますが、それは意に介さないそうです。逆に、収穫を遅くするとブドウの一部がレーズンのようにしなびてしまいますが、そちらの方が問題だと考えています。

これがうまくいくかどうか、未知数ではありますが、少なくともジャンシス・ロビンソンは2013のルビコン(イングルヌックのフラグシップ)に深く感銘を受けたそうです。

このほか、キャプサンディがベリンジャーのプライベート・リザーブで使われていたステート・レーンの畑を買い取った後、植え替えをするために、最適な列の方向を探るのに人工衛星のデータを使った話など、いろいろ興味深いことが載っている記事です。
Date: 2015/0316 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
ラジオ・コトーと聞くと、どうしてもDr.コトーを思い出してしまいます。ま、どうでもいいですね。

というわけで、今週のワイン動画はソノマ・コーストのラジオ・コトーからです。冬の間、畑の間を埋め尽くしていたカバークロップを刈り取っています。どうして、こんなことをするかというと、インポーターの山村さんによると
冬の間、雨による土の流出などを塞いでいたカヴァークロップは、発芽が始まると、霜がカヴァークロップに降りて冷気を貯めないように刈り取るのだそうです。刈り取った草は自然に土に還し酵素を補う役目もあり!お疲れさま~!

なんだそうです。

2つめの動画は刈り取ったあと、土地を耕しているところです。当たり前ですが、ブドウ作りは農業だと感じるところです。


Date: 2015/0315 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
サンタ・バーバラの「アーバン・ワイン・トレイル」と呼ばれるテイスティング・ルーム密集地帯に、新たに6ワイナリーによる集合テイスティング・ルームがオープンしました(Santa Barbara Wine Collective OpensTasting Room with 6 Santa Barbara Wineries)。

名称は「Santa Barbara Wine Collective」。Babcock(バブコック)、Fess Parker(フェス・パーカー)、Ca’ Del Grevino(カデル・グレヴィーノ)、Sandhi(サンディ)、Paring(ペアリング)、Qupe(キュペ)が参加しています。

IPOBの主要メンバーとして注目を集めているサンディにとっては、ここが唯一のテイスティング・ルーム。以前はロス・オリヴォスにも試飲できるところがあったのですが、Santa Barbara Wine Collectiveのオープンに伴い、そちらはやめたようです。

アーバン・ワイン・トレイルには他にも多くのテイスティング・ルームがあるので、LA近辺に行ったら、足を延ばしてみてはいかがでしょうか。
Wine Tasting in Santa Barbara — Santa Barbara Urban Wine Trail
Date: 2015/0314 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
ソノマ・カウンティ・ヴィントナーズは5月1日に初めてとなるソノマ郡バレル・オークションを開催します。そこで競売にかけられるワインの一覧が明らかになりました(Sonoma County Vintners Announces Wine Lots for Inaugural Barrel Auction)。

ナパで2月に開かれるプリミア・ナパ・ヴァレーと同様、ソノマ郡バレル・オークションは業界向けのオークション。ワイナリーはこのオークション用に特別のロット(5ケースから20ケース)を用意します。

カリフォルニア最古のワイナリーがソノマにあるように、ソノマには古い畑が多く残っています。一番古い樹の残るブロックからのワインなどがその例です。

例えばセゲシオはホーム・ランチの畑の中で一番古い1985年に植えられたブロックからのジンファンデルを出品します。ウィリアムズ・セリエムは「ヘリテージ・クローン」と呼んでいる古い樹からのブドウ(畑はロキオリやアレンなど)をブレンドした特別なワインを作ります。

このほかユニークなものでは、ジョセフ・スワンとウィリアムズ・セリエムとコスタ・ブラウンがそれぞれスワン・クローンのワインを持ち寄ってブレンドする「三位一体」のワインを出品します。

ワインについて詳しくは「2015 Wine Lots | Sonoma County Barrel Auction」に記されています。

また、現在オークションへの参加者も受付中です。
Date: 2015/0313 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
ワインの購入動向について調査したデータが日経Bizアカデミーに掲載されています(ワイン1本当たり購入額「増えた」37% - コンシューマーズ・アイ : 日経Bizアカデミー)。

調査は2014年10月に行っており、前回は2年前の2012年に行っているようです。ただし、タイトルにある1本当たりの購入額の変化については、記事中では示されていないので、もうちょっとデータを出してくれたらなあという感じがします。

調査対象は20代~60代の男女1000人で男女各年代100人ずつになっているようです。ランダムサンプリングでしょうから、ネット調査としては対象はあまり偏っていないことが想像されます。

1カ月に飲むワインの平均本数は20代~50代は30代が落ち込んでいる以外はあまり変わらず、60代が突出して多くなっています。時間的および金銭的余裕があることが大きいのでしょう。

とはいえ、1本当たりの購入額は1000円未満が全体の47.3%。年収800万円以上の世帯で見ても34.0%を占めています。全体の9割以上が2000円未満ですが、年収800万円以上の世帯では2000円以上のワインを買う人が17.0%とかなり多くなっています。

国別に見ると日本が43.5%と圧倒的に多いです。ちょっと意外な感じもしましたが、1000円未満の「国産ワイン」というと、実際には果汁やマストを日本に運んで、日本で醸造しているものもかなり含まれそうです。

米国は1.9%と8位。寂しいですね。これが10%に達するくらいになってほしいと思います。
Date: 2015/0313 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
昨年8月にナパ近くを震源とする大きな地震があったのは記憶に新しいところ。ナパ市街を中心に、建物の被害も数多くありましたが、中でも印象的だったのが、トレフェッセンのテイスティングルームでした。歴史的建造物としても登録されている建物全体が、傾いでしまいました。地震から半年以上経った今月、ようやく修理する方向で話が決まったとのことです(Trefethen winery to repair quake-tilted landmark)。

今月から始まる修理ですが、完了までには2年ほどもかかる見込みとのこと。費用もどれだけかかるかわからないそうで、まだまだ多難が予想されます。

歴史的建造物であるだけに、外観に影響を与えずに補修する必要があるのでしょうね。元の姿に戻る日を楽しみにしたいと思います。
Date: 2015/0312 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
ウォール・ストリート・ジャーナル紙に、米国で多品種をブレンドしたワインの人気が高まっているという記事が掲載されています(The Red-Wine Blends Trend: More Than Just Flashy Packaging - WSJ)。

記事によるとブームが始まったのは2001年にオリン・スウィフトの「プリズナー」が出たことから。ただ、この「プリズナー」、計算して作られたというより偶然の産物だったといいます。

2000年が難しいヴィンテージで、ジンファンデルなどいくつかのブドウ品種が余ってしまったため、ブレンドしてみたというのがその真相。最初は385ケースしか作られなかったそうです。それが2008年には8万5000ケースにまで成長しました。

なお、2009年にオリン・スウィフトはプリズナー・ブランドを売却。現在はPrisoner Wine Companyというところが作っています。

ブレンド物の人気が上がったのは、単独品種のワインに比べるとまろやかな味わいになりやすいこと。また、価格も抑えめなものが多くなっています。

プリズナーは価格的にはハイエンドに入ってきますが、もっと安価なものではモーガン・トゥエイン・ピーターソンが作るシェバンなどが注目されています。

シェバンは安価ながら、ブドウは自社畑のものなどが中心。1ランク上の味わいになっています。
Date: 2015/0311 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
Wines & Vinesに、ピアス氏病との2000年以来の戦いを振り返る記事が掲載されています(Wine Grape Grower's Assessment in 2015)。

先日、マリン郡でピアス氏病を媒介する虫を発見という記事を掲載しましたが、そのときにも書いたように一時はフィロキセラの再来、あるいはそれ以上にひどいことになるのではないかと恐れられていました。実際にカリフォルニアのテメキュラ・ヴァレーではブドウの60%を抜かざるを得なかったと言います。

2002年にブドウの樹の栽培者によるアセスメントが投票で認可され、その後も2005年、2010年と更新されています。2015年の今年の春にも更新が予定されています。

例えば、ガラス羽シャープシューターの広がりを防ぐ活動にはこれまで5億ドルを超える額が使われています。

また、ピアス氏病に耐えるような品種も開発されており、まもなく実用化ができそうだとのことです。

こういったところには米国の底力を感じます。
Date: 2015/0310 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
今週のワイン動画は「家ワイン」のワンポイントレッスンから「パニエ」での抜栓です。

パニエで抜栓すると上級者という感じがしますね。ソムリエ試験の2次でも必要な技術だそうです。


Date: 2015/0309 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
新橋にある「ワイン蔵TOKYO」はカリフォルニアワインに特化したワインバーです。カリフォルニアワインのストックは約1200本。メジャーなワインから、日本でほとんど知られていないマニアックなワインまで幅広い品揃えを誇ります。

このワインバーのオーナーが中川正光さん。苗字から推測された人もいるかもしれませんが、日本屈指のカリフォルニアワインのインポーターの一族の生まれです。といっても、そのインポーターの系列としてワインバーをオープンしたわけではありません。経営的には全く独立しています。

ワインバーをオープンした経緯や、注目するワインなどについて話を伺いました。
20150305-nakagawamasamitsu.jpg

――ワイン好きになられたきっかけを教えて下さい。
中川:慶應義塾大学を卒業した後、ベンチャーキャピタルのジャフコに就職しました。会社の仲間と自宅で飲んだときに開けたキスラーのシャルドネがとてもおいしく、忘れられない味になりました。自宅のセラーにあったワインで、今となっては畑もヴィンテージも分からないのですが。

カリフォルニアワインのビジネスをやっている家でしたから、それまでも親に薦められてワインを飲むことはありましたが、本当においしいと思ったのはそのときが最初でした。

――それから、ワイン蔵TOKYOを始めるまでの経緯を教えてください。
中川:ジャフコには結局6年いました。その後、アンティークの勉強をするためイギリスで2年修行をしました。帰国後、アンティークの店をやるつもりだったのですが、妻にもっとアクティブな仕事をしてほしいと言われ、ワインバーを開こうと思いました。

――なぜ新橋なのでしょうか。
中川:最初は銀座に店を出すことを考えて、2カ月物件を探しました。ただ、銀座はワインバーが多く、なかなかいい物件もありませんでした。

あるときふと新橋を通ったら、とても活気があり、ワインバーが少ないことに気付きました。新橋らしくない店を作ったらニーズがあるのではと考えました。カリフォルニアワインのワインバーに来そうな顧客層を考えたとき、新橋は行きやすい場所にあるといった調査もして、新橋に決めました。オープンしたのは2007年7月3日です。

最初の3カ月はかなり苦しく、その後も2年間は赤字でしたが、今は黒字になっています。

――どのようなお客さんが多いですか。
中川:やっぱり出張などでカリフォルニアに行ったことがある人が多いです。日本に帰ってきてカリフォルニアワインが飲めるところとしていらっしゃいます。

また、ここはレストランではなくワインバーなので、2軒目として選ばれる方も多くいます。食事に合わせてワインを飲むというよりも、ワインだけを楽しまれるお客さんが多いので、比較的濃い味のはっきりしたワインが好まれる傾向があります。

――こだわっていることはありますか。
中川:現場主義ですね。カリフォルニアに年に1回は行って、新しい情報を得ています。店のスタッフにも順番にカリフォルニアに行ってもらうようにしています。

――カリフォルニアではどういうワインに注目していますか。
中川:ナパの変化が面白いと思っています。次々と新しいワイナリーが出てきています。店を始めたころは、シャトー・モンテリーナとか、スタッグス・リープ・ワイン・セラーズといったパリ・テイスティングのころからのワイナリーが幅を利かせていましたが、最近では新しいワイナリーの名前をお客さんからもよく聞くようになってきました。

また、ワインの産地としてはナパのプリチャードヒル、ワインメーカーではフィリップ・メルカに惹かれています。メルカが作るワインはインパクトがあります。先日行われたプリミア・ナパ・ヴァレー・オークションで1番高額のロットになったBrand(ブランド)は、メルカが作るプリチャードヒルのワインで、日本ではうちくらいしか置いてありません。オークションで1位になったのを知ったときはやったと思いました。

プリチャードヒルではこのほかOvid(オービッド)や、Gandona(ガンドナ、ワインメーカーはフィリップ・メルカ)、Continuum(コンティニューム)などにも注目しています。

ピーター・モンダヴィ(ロバート・モンダヴィの弟でチャールズ・クリュッグのオーナー)の息子のマークが、妻や娘たちとやっているAloft(アロフト)のワインもいいと思っています。ハウエル・マウンテンのワインでトーマス・リバーズ・ブラウンがワインメーカーです。
注目しているカリフォルニアワイン

――ピノ・ノワールはどうですか。
中川:うちのスタッフはみんなピノ・ノワールが好きです。私の家系は濃いカベルネが好きな傾向があり、私もそうなのですが、最近はピノ・ノワールも飲むようになりました。

ilovecalwineの海老原さんが入れているピノ・ノワールはマニアックで美味しいので私は「海老ピノ」と呼んでいます。ピゾーニなど、美味しいですね。

――注目している品種はありますか。
中川:ナパのカベルネ・ソーヴィニヨンはどうしても高価になってしまうので、コスト・パフォーマンスがいいシラーとジンファンデルに注目しています。

シラーではZaca Mesa(ザカ・メサ)やOjai(オーハイ)のものが店ではよく出ます。

ジンファンデルではGirard(ジラード)やMacauley(マコーリー)のものが好きです。Girardはほかの品種もコスト・パフォーマンスがいいですね。

――私もGirardのジンファンデル好きです。以前ワイン蔵TOKYOに来たときもGirardのワインを注文しました。
中川:うちでは、Girardにお願いしてオリジナルラベルのワインも作っているんですよ。ラベルのデザインには片岡鶴太郎さんに描いてもらった絵を使っています。
オリジナルラベルのワイン

――お店をやっていて良かったと思うことは何ですか。
中川:やっぱりお客さんに喜んでもらったときですね。特に、好みを教えてもらって出したワインを美味しく思ってもらえることが一番です。私が選んだワインがお客さんの好みに合わない場合は、お代をいただかずに別のワインをお出ししています。

とにかく一口でもいいからカリフォルニアワインを飲んでいただき、知ってもらうことが私の使命だと考えています。

関連サイト:
カリフォルニア専門ワインバー 銀座・新橋「ワイン蔵 TOKYO」

インタビューを終えて:
インタビューをしたのは「ナパ・ヴァレー・ワイン・バイ・ザ・グラス・プロモーション2014」の表彰式があった日。レストラン・ワインバー部門で4年連続最優秀賞という素晴らしい結果をだしています。インタビュー中も、お客さんへの目配りは怠らない点なども「現場主義」の現れに感じました。それがバイ・ザ・グラスの結果にもつながったのでしょう。インタビュー中にごちそうになったMacauleyのジンファンデルもGirardと似たふくよかな味わいで、美味でした。


過去のインポーター(とショップ)インタビュー記事
全都道府県でワイン会をやっていきたい――ワインライフ 杉本隆英社長
4000円以下で美味しいワインを紹介していきたい――アイコニック アンドリュー・ダンバー社長
顔の見えるオンラインショップでありたい――Wassy's鷲谷社長、波田店長
ソノマの美味しいワインを日本に紹介したい――ソノマワイン商会 金丸緑郎社長
神様が背中を押してくれているような気がしました――ilovecalwine 海老原卓也社長
ワインとの“出会い”を大事に――ミライズ 清家純社長
好きなワインを選んでいったら自然派に行き着きました――オーシャンワイン 早坂恵美社長
ロバート・モンダヴィさんに畑で叱られました――桑田士誉(あきたか)さん
Date: 2015/0309 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
Wine Searcherのサイトにスケアクロウ(Scarecrow)オーナーであるブレット・ロペスのインタビューが掲載されています(Q&A: Bret Lopez, Scarecrow | Wine News & Features | wine-searcher)。

スケアクロウといえば、いにしえのイングルヌックでも使われていたナパで最古と言われるカベルネ・ソーヴィニヨンの畑を持つことで知られています。

インタビューでは、その畑の作られた経緯や、ワイナリーを始めたきっかけなどが語られています。特に面白かったのはワインメーカーであるセリア・ウェルチにまつわるあたり。彼女は他にクライアントを多く抱えすぎているからという理由で1回は断ったものの、持っている畑がJ.J. Cohnの畑であるということを知って絶句し、他のクライアントを断ってでもワインメーカーになることにしたそうです。

このほか、スケアクロウという名前に決めた理由や、パーカーが98点を付けたことで、一夜にしてメーリング・リストが0から6000まで増えてしまった話などが語られています。
Date: 2015/0308 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
ガラス羽シャープシューターという昆虫が、マリン郡で発見されたことがわかりました(Marin County: Officials find insect posing serious threat to wine crops)。

ガラス羽シャープシューターはブドウの木など多くの樹木にとって害悪となるピアス氏病という病気を媒介することで知られています。感染すると治す方法が見つかっていないことから、致命的な病気として、一時期は第二のフィロキセラになるのではないかと恐れられていました。その後、当局の懸命な努力によりシャープシューターの広がりを防いだことで、これまでのところ大規模な被害にはいたらないでいます。

今回はヴェンチュラ郡の苗木屋から送られてきた木の中にガラス羽シャープシューターが見つかったとのこと。フィールドで見つかったわけではないので、即感染というわけではありませんが、それでもニュースになるくらい重要なことではあります。

今後も感染が広がらないことを祈るばかりです。
Date: 2015/0305 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズはすべての参加メンバーが2020年までに「Napa Green」と呼ぶ持続可能なワイン作りの認証を受けることを決めました(Napa Valley Vintners Set Goal for 100-Percent Napa Green Certification by Year 2020)。

Napa Greenは土地利用とワイナリーの2種類の認証からなります。土地利用については2004年、ワイナリーについては2008年からプログラムを始めています。既に年間330万ケースのワインが認定されたワイナリーから産出されているとのことです。

似たようなプログラムとしては、昨年ソノマが2019年までに100%持続可能なワイン作りにすると表明、現在各地域でアクションプランや認証プログラムを策定しています。

ナパは既に使われている認証プログラムがあり、それを全面採用するところが、違いであり、わかりやすいところだと思います。
Date: 2015/0304 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
昨年「「ワイン王」長沢鼎の「Fountaingrove」、AVAとして復活なるか?」という記事を掲載しましたが、このファウンテングローブ・ディストリクト(Fountaingrove District)が3月20日、AVA、として正式に発足することが決まりました(Federal Register | Establishment of the Fountaingrove District Viticultural Area)。

昨年6月に申請が出てから、8月29日までコメントを受け付けていましたが、総コメントは4件。実はそのうちの1件は私が書いたものでした(だれでも書き込みはできます)。今回公開された文書には「あるコメントでは、提案されたAVAの成立が長沢鼎の名誉を称えることにつながるため、それをサポートする。長沢はファウンテングローブの畑とワイナリーを管理し、1900年代初期の最も重要なワインメーカーの一人だった」とありますが、これが私の書いたコメントでした。

今回のAVA認定では、特にコメントが大きな役割をしたようには見えませんが、一応特筆してもらったということで、ちょっとは効果があったのではないかと思っています。

何はともあれ、AVA認可サれたこと、よかったです。
Date: 2015/0303 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
SFクロニクル紙のワイン・ライターとして著名なジョン・ボネが「PUNCH」というオンライン・カクテル誌に移籍することが発表されました(PUNCH | Jon Bonné Joins PUNCH as Senior Contributing Editor)。

ジョン・ボネは、昨年「The New California Wine」という本で、カリフォルニアワインの様々な裏話を暴露し、注目を集めました。IPOB(バランス追求派)グループの主導者の一人でもあり、モーガン・トウェイン・ピーターソンなど新世代の作り手を数々紹介してきた功績もあります。

参考:読書感想――「The New California Wine」ジョン・ボネ、バランス追求派はカリフォルニアワインを変えるのか

実は、ジョン・ボネは現在新たに「The New French Wine」という本を執筆しているそうなのですが、上記の本と、今度の本の出版元がやっているオンライン雑誌が「PUNCH」なのです。現在はワインの記事はあまりなく、どちらかというとライフスタイル誌的な感じでジョン・ボネの記事とマッチするのかどうか、よくわかりませんが、今後を見守りたいと思います。


ハードカバーは高いですが、Kindle版は1000円台です
Date: 2015/0302 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
Comments
今週のワイン動画は先週に引き続いて剪定作業が見られるものです。先週のがコンテストだったのに対し、こちらはロバート・モンダヴィが誇るナパ最高の畑の1つ「トカロン(To Kalon)」での実際の作業です。

動画はこちら:Robert Mondavi Winery

なお、Facebookの中の動画につき、閲覧にはFacebookのアカウントが必要です。