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Date: 2007/0422 Category: 読書感想
Posted by: Andy
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「世界初」のNucleusの本が日本で出ます。とりあえず一家に一冊ですね。

Date: 2007/0412 Category: 読書感想
Posted by: Andy
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ガルシア・マルケスの作品で最初に読んだのは多分「エレンディア」だったと思います。「100年の孤独」も間を空かずに読んだ気がします。「気がする」というのは内容をほとんど覚えていないのです。とにかくその神話的世界の奥深さにやられてしまって,何がないやら分からぬままに読み捨ててしまったというのが正直なところ。今となってみればそれが正しい読み方だったのかもしれませんが,当時としてはちょっと辟易気味で,「もうガルシア・マルケスはいいや」と思っていました。ところが最近,比較的短い小説「わが悲しき娼婦たちの思い出 」を読んで,これは面白いと思い,大作のこちらも読んでみることにしたわけです。

で,感想としては「これもとても面白かった」のです。すらすら読めてしまったのも意外な感じ。「百年の孤独」などと比べ,登場人物がそれほど多くなかったり,首尾一貫するテーマがあるのが読みやすかった理由でしょうか。マルケスも年を取ったし,自分も年を取ったのもあるかもしれません。

物語は淡々と進みます。淡々とというのは何も起こらないということではなく,極めてドラマチックなことも過剰な描写がなく,実にあっけなく起こり,次に進んでいくのです。

余談になりますが,小説・物語には「予定調和」といったものがあると思います。歴史小説など結末が分かっているものはその最たるもので,予想外のことはまず起こりません。推理小説などの「どんでん返し」も一種の予定調和だと思います。読者の予想通りに進めて行って最後だけひっくり返すわけです。

この小説にはそれがほとんどありません。次のページで何が起こるのか,そこにたどり着かないとわからないのです。ハードボイルドのドキドキともまた違います。何か常に新鮮なのです。僕にはこの点がこの小説の魅力の第1に思えました。「上手な」「読みやすい」文章とはかなり対極にあるのですが。

また,表現があっさりしている一方で,登場人物の心持はねちっこく,50年という歳月を一瞬のように感じさせます。ここも面白いところ。それでいながら終盤,急に「老い」を意識させるあたり,すごいと思いました。

この記事を読んでこの本を読む人は多分いないでしょうが,「普通の小説に飽きてしまった」人にはぜひ読んで欲しいと思います。