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Date: 2016/0911 Category: 読書感想
Posted by: Andy
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筆者の高山さんは40代で脳腫瘍と白血病という2つの全く異なるガンになりました。最初のガンが判明したのは5年前の2011年。当時一人娘がまだ1歳でしたが「娘の二十歳の誕生日においしいお酒で乾杯してお祝いする」ことを目標に、ガンと闘う決意をしました。そして、ベストと考えられる医者を選び、治療を選び、今に至ります。

実は高山さんとは、ガンを発病する前に一緒にワインを飲んだこともあるのですが、IT系の会社の経営者であり、非常に論理的にものを考え、実行する力のある方です。

その高山さんが書いた本書は、単なる闘病記ではありません。むしろ、これからガンになる人のためのサバイバル・マニュアルと言った方がいいような内容です。医者の探し方、決め方、治療法の種類とそのメリットデメリット、入院生活の心得、さらには治療にかかる費用といったところまで、わかりやすく、書かれています。例えば「看護師さんは名前で呼ぼう」といった実践的なアドバイスがふんだんに盛り込まれています。

また、高山さんの家族はいわゆる「ガン家系」であり、お父さんをガンで失い、妹さんも30歳のときに乳がんで亡くしています。自分ひとりの独りよがりな経験談になっていないのは、そういった経験からの辛さを踏まえたものなのだろうと思います。

今、ガンと闘っている人やその家族・友人、また私自身を含めた将来ガンになる可能性がある人にとって、本書は読み・携えておく価値があるものだと思います。

なお、普段、本を買うときは電子書籍があればそちらを選ぶのですが、本書は家族にも読んでほしかったので紙の本にしました。

Date: 2016/0812 Category: 読書感想
Posted by: Andy
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Wine Follyというワインの人気サイト(英語)があります。インフォグラフィックスと呼ばれる、わかりやすい図版を駆使してワインの勉強ができるサイトです。そのサイトが作った「Wine Folly」という本も米国で1カ月足らずで8万部と大変な人気になっています。

その本の日本語版が出ていたので読んでみました。ワインの基本やテイスティング方法といった基礎的な内容もありますが、メインになるのは、さまざまなワイン品種についての説明。1品種について2ページずつを使って解説しています。
Pinot Noir Page1
Pinot Noir Page2
例としてピノ・ノワールのページを挙げましたが、左側のページではその品種の特徴や、香りの構成要素、右側のページでは世界での生産量や各国での扱い。グラスや温度など飲み方の指南などが描かれています。

とても分かりやすくきれいにまとめられているので、気が向いたときに気が向いたページだけを見るような読み方でも楽しめる本です。ワインにある程度詳しい人でも、十分楽しめる内容です。

ちなみにこの本、米国の定価は25ドルですが、日本語版は1944円と安いです。

Date: 2016/0327 Category: 読書感想
Posted by: Andy
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先日、人工知能による囲碁のプログラムAlphaGoが一流のプロ棋士との対戦で4対1と勝利しました。正直、囲碁についてはまだかかるだろうと思っていたので、最初はかなりびっくりしました。しかし、棋譜を見ては感心するしかないレベルで、特にいつの間にか形勢がよくなっていた第2局はAlphaGoにとっては名局だったのかも、なんてことも思いました。

実は僕もかなり遠い昔の高校生時分には碁に打ち込んでおり、また大学では人工知能の周辺的なところを勉強していました。なので、人工知能にとって囲碁がどれほど難しい課題であるか、ざっくりしたイメージは持っており、かつては「コンピュータに負けたら一生碁は打たない」と思っていたこともありました(碁は実質的に全然打ってませんが)。

それだけに近年の人工知能の急速な進歩には驚くばかりであり、何が起こっているのか知りたいと思って読んだのが『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』です。

著者は東京大学の気鋭の研究者である松尾豊さん。

とても分かりやすく書かれている本なので、人工知能やプログラミングなどのバックグラウンドがなくても全く問題なく読めます。あえていえばデータ分析について知っていると、ディープラーニングのところの理解がしやすいかもしれませんが、それも必須ではありません。

これまでの人工知能がどういう方法で何がネックになっていたか、ディープラーニングがその中のどういう部分をどのように解決しているのか、といったことが理解できます。

ディープラーニングのすごさも、限界も分かるので、今の人工知能ができることについては概ねイメージできるようになるでしょう。

今は人工知能は大きなブームになりかけていますが、過去のブームと同じように、買いかぶりすぎな部分もあるし、「人工知能の脅威」的な見方も、まだまだ現状では遠い話でしょう。研究が盛んになって、いろいろな成果が出てくるのはすばらしいですが、思ったように成果が出ないときに「使いものにならない」と思われてしまうのも残念です。

ブームに踊らされるのではなく、正しく理解をして期待もするための第一歩として本書が多くの人に読んでもらえるといいと思います。

ちなみに単行本は1500円を超えますが、電子書籍だと500円弱。お薦めです。


Date: 2016/0317 Category: 読書感想
Posted by: Andy
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多湖輝(たこあきら)さんが亡くなりました。『頭の体操』シリーズは小さいころ家に何冊もあって、むさぼるように読んでいたものです。

今でもネットでときどき出回ってくる論理パズル系のクイズはほとんどが『頭の体操』の二番煎じかせいぜい焼き直し程度のように思います。

楽しい問題をたくさんありがとうございます。

子どもたちに解かせてみたら面白いかな。