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Date: 2016/1229 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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カリフォルニアワインの中でも、「カルト」的な位置づけに古くからあり、カベルネ・ソーヴィニヨンの「テロワール」を表現したワインとしても知られているのがダイアモンド・クリークです。

Diamond Creek

ヴォルカニック・ヒル、レッド・ロック・テラス、グラヴェリー・メドウという3つの畑が中心ですが、図の左端にあるように、実はもう1つレイクというとても小さな畑があります。ブドウの実が熟すのにとても時間がかかる畑で、十分に熟さない年はワインが作られないため、1972年以降16回しか作られていません。3年に1回程度です。さらに畑の小ささから、レア度は極めて高いワインです。ラベルも通常のものと違うようですが、どうしてでしょう。40周年の2012年に作られなかったからなのかな?

ともかくとてもレアです。値段もすごいですが。


ウメムラには2014年のマグナム3本セットという、これまたレアなセット(木箱入り)もあります。


ダイアモンド・クリークはカリフォルニアワインの中でも長熟型で知られていますから、コレクター的な要素にこだわるのでなければ、古いヴィンテージを探す方が賢いかもしれません。価格も新しいものとほぼ同等です。

Date: 2016/1228 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・ヴァレーの10余りの生産者が1月に来日し、様々なイベントが行われます。一般の方が参加できるワインメーカーズ・ディナーも開催されます。

東京では西麻布のミシュラン2つ星レストラン「レフェルヴェソンス」で、レフェルヴェソンスのシェフと京都の老舗料亭「瓢亭」の15代目主人高橋氏のコラボによる豪華ディナー。ワイナリーはダリオッシュ、ガーギッチ・ヒルズ、ロング・メドー・ランチ、シュラムスバーグ、シルバー・オーク、トゥーミーが参加します。1月17日の19時~、会費は3万円(税・サ込み、以下同)と、レフェルヴェソンスで普通に食事をしてワインを飲むよりも安いレベル。

と、東京だけでもすごいのですが、大阪・京都ではなんと4回も開かれます。場所は大阪聘珍樓、ウルフギャング・ステーキハウス大阪店、清和荘、菊乃井本店、といずれも名店ばかり。ウルフギャング・ステーキハウスは既に満席になっているので、他の3回について概要を記します。

大阪聘珍樓は説明の必要ないと思いますが、広東料理の名店「聘珍樓」の大阪店。開催は1月19日の19時~
ガーギッチ・ヒルズ、イングルヌック、シュラムスバーグ、シルバー・オーク、サン・スペリー、トゥーミー、ケークブレッドが参加。会費は1万8000円。

清和荘は京都伏見にある料亭。庭の風景が素晴らしそう。ここは1月20日19時~
ロング・メドー・ランチ、ロンバウアー、トレフェセン、シレナス、ケークブレッドが参加。1万5000円。

菊乃井本店もいわずとしれた老舗の料亭。清和荘と同じ20日の19時~
ワイナリーはガーギッチ・ヒルズ、シュラムスバーグ、シルバー・オーク、トゥーミー、ヴィアデル、ルナが参加。会費は3万5000円です。人数は16人までと少ないので、ご注意を。

どこも、そのレストランで普通に食事をするのに1万円を足したくらい(税・サ考えたらもっと安い)でナパの素晴らしいワインが飲めるのですから、とても格安です。

詳細、申込みはいずれも「Taste Napa Valley」から。
Taste Napa Valley
Date: 2016/1227 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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柳屋で毎年恒例の1万円福袋が出ています。

100セット限定、入っているワインは単体販売していないもの、となっています。中身は毎年違いますが、今年は

1.5年熟成ナパのカベルネ。希望小売価格3900円
2.パーカー90点のナパのシャルドネ。希望小売価格3980円
3.マールボロのピノ・ノワール。白で有名な作り手。希望小売価格2800円
4.これだけ過去に単体販売していたことがあるジンファンデル・ブレンド。希望小売価格2685円
5.南アフリカのシュナン・ブラン。希望小売価格2000円

となっています。カリフォルニアの3本は考えてみましたが、今年はほとんどわかりませんでした。昨年は赤3本はほぼわかったのですが…

まあ、そんなに期待はずれのものがくる心配はほとんどないと思います。お正月用のワインにいかがでしょうか。

Date: 2016/1226 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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河野酒店にロバート・モンダヴィのカベルネ・ソーヴィニヨン・リザーブ1993年が入荷しています。

河野酒店で2016年7月にオルネライア1992、ソシアンド・マレ1996/1990と飲み比べたときは参加者の一番人気だったというワイン。参考までにWine Advocate誌の評価(ロバート・パーカーによる)は93点。2000年~2025年が飲み頃となっているので、まさに今が一番いいころかもしれないですね。この評価をしたのは1995年と既に20年以上経っているのですが…

カリフォルニアワインは熟成が…なんていう意見もたまに聞きますが、やっぱりいいものはちゃんと熟成もすると思っています。1万円台という価格は新しいヴィンテージのものよりむしろ安いくらいで、お買い得と言ってもいいかもしれません。



こちらにもあります。
Date: 2016/1225 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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スパークリングワインの泡は細かいものが立ち上るのが一番いいと言われていますが、実は泡は大きい方がいいのだという研究結果が発表されています。

Lets cheers Happy new year 2009

研究を発表したのはランス大学のジェラール・リジェベレール教授。シャンパーニュの泡の研究の権威で、モエ・シャンドン社の研究開発部門の顧問も務めている人だ。

教授によるとスパークリングワインの泡の直径は0.4mm程度から4mm程度まであるが、直径3.4mmくらいのときに、一番泡によって空中に拡散される香り成分が多くなるとのこと。

一般的には泡が大きいのは安スパークリングワインで泡が細かいのが高級とされています。教授によると泡の大きさは液体の粘度などによって変わりますが、今回の結果を受けて、味わいを買えずに粘度を下げることができれば、より香り豊かなスパークリングワインができる可能性があるとのことです。
Date: 2016/1224 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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チキンではないですが、デカンター誌にクリスマスのターキーに合うワインは?という記事がありました(Wine with Christmas Turkey - Food Matching - Decanter)。

ターキーの方がチキンよりもあっさりしていると思いますが、味付けなどを考えれば、似たようなワインが合うのではないかと思います。鶏の中でも胸肉あたりは特にターキーと近い感じですね。

で、基本的には脂が少なめな肉なので、タンニンが少ないものを選んだ方がいいようです。ミディアム・ボディの赤やフルボディの白といったものが元記事では挙げられています。

ブルゴーニュのピノ・ノワールだと、あまりエレガント系に行きすぎないものがベター。カリフォルニアではソノマのピノ・ノワールが挙げられています。個人的にはソノマ・コーストやカーネロス、サンタ・クルーズ・マウンテンズ、サンタ・リタ・ヒルズなどのピノ・ノワールを合わせたいような気がします。

ピノ・ノワール以外ではキャンティやリオハのワインが挙げられています。

白ではブルゴーニュのピュリニー・モンラッシェやバタール・モンラッシェが挙げられており、カリフォルニアではソノマのシャルドネが取り上げられています。

記事にはスパークリング・ワインは出ていませんが、ピノ・ノワール比率が高いものの方が合わせやすい気がします。ロゼとかブラン・ド・ノワールが無難でしょうね。

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Date: 2016/1222 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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カリフォルニアワインあとりえにマイケル・クルーズのウルトラマリンが再入荷しています。ただし、現時点の在庫は1本限り。ということでブログで紹介する意味があるのかどうか悩みながらも、入荷記録として紹介しておきます。




ウルトラマリンが売り切れていたら、以下のワインはいかがでしょうか。

ジラードのオーナーが作るソノマのコスパ・スパークリングです。



このワインの実力で2000円台は安い。



Wine Advocate誌99点のスポッツウッド2013。オーパス・ワンと比べたら価格は6割。極めて完成度の高いカベルネ・ソーヴィニヨンです。

Date: 2016/1221 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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「逃げ恥」最終回を見て、百合ちゃんにときめいてしまいました。

というのはさておき、百合ちゃんと風見さんがワイン飲むシーンありましたよね。たのワインのラベルがブライアントファミリーを基にしているのではないかという説があります。




こちらがブライアントファミリーと並べてみた画像。枠の形、「Family Vineyard」の字体は似てますね。ただ、よく見るとFamily の「l」の字は少し違うようです。またヴィンテージ表記の上の部分は違っていますし、Cabernet Sauvignon の字体も違います。逃げ恥の方はNapa Valleyの文字が入っていますが、ブライアントファミリーにはありません。いくつかのラベルを合成したのかもしれませんが、ブライアントファミリーだけがモデルではないのかもしれません。

ほかにももっと似たラベルがあったような気がして、もやもやしているのですが、思い出せません。

実は僕も何のワインだろうと、一時停止にして目を凝らして見たのてわすが、うちのテレビでは文字まで判別できず諦めていました。ブライアントファミリーにちょっと似てるなとは思いましたが、よくあるラベルですしね。画像を撮っていただいた方、感謝です。少なくともナパのワインということは明示されていますのでそれだけでも嬉しいです。

というわけで、この部分はこれに似ているよ、という情報があったら教えてください。
Date: 2016/1221 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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宮城県の山元町にある山元いちご農園が新たに「やまもとワイナリー」をオープンしました。
いちごワイン

山元いちご農園は、東日本大震災のあと、いちご農家が集まって設立した会社。震災で津波に飲み込まれたところにいちご栽培のビニールハウスを作っています。大きな観光農園で12月から6月までいちご狩りが楽しめます。

やまもとワイナリーでは自社のいちごを使ったいちごワインを主力商品とし、そのほか地元のりんごやぶどうを使ったワインも作っていく予定です。

まずは、12月10日『苺夢(べりーむ)』というスパークリング・ワインを販売、その後、12月20日に『愛苺(まないちご)』を発売。その後『苺香(いちかおり)』を発売する予定です。ここのワインの説明は以下に記します。

『苺夢(べりーむ)』 
いちごの香りと味はそのままに、スパークリングワインとしました。
きめの細かい泡と一緒にいちごの香りが一層引き立ちます。
甘酸っぱい味にさわやかなキレが加わり、乾杯から食後まで幅広く楽しめます。
大切な人への贈りものや、華やかなシーンに最適です。
甘味果実酒(発泡性) アルコール分12% 500ml 希望小売価格2,280円(税抜)

『愛苺(まないちご)』 
いちごのフレッシュな香りを残しつつ、酸味と甘味をしっかりと味わうことができるワインです。
食事だけでなく、デザートと一緒に楽しめます。
甘味果実酒 アルコール分12% 720ml 希望小売価格2,580円(税抜)

『苺香(いちかおり)』
いちごのフレッシュな香りとすっきり甘酸っぱい味。アルコール度数が低めで、気軽に楽しめます。
女子会や身近な人とのパーティなどに。
果実酒 アルコール分6% 720ml 希望小売価格2,580円(税抜)


当面はワイナリーでのみ販売、来年にはネット販売も始める予定です。

ワインもいいですが、いちご狩りもいいですね。
Date: 2016/1220 Category: グルメ
Posted by: Andy
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茅乃舎(かやのや)のだし、おいしいですよね。うちもここ数年、ずっと使っていました。

味に不満があるわけではないのですが、最近は別のところで買っています。楽天の「くまもと風土」という店のだしパック。

はっきり言ってしまうと、あごだしをベースにしていますから、茅乃舎の味と似ています。で、十分おいしいです。そして、震災で被害に遭った熊本の応援にもなります。

その上に安いんです。

定価は8g×30袋で2000円と、茅乃舎とほぼ同じですが、茅乃舎の通販が初回のみ送料無料なのに対して、こちらはずっと送料無料。さらに、しばしばキャンペーンやクーポンがあります。

特に今は年末クーポンで12月22日までの注文で2000円→940円という半額以上の安さ。まとめて買うと「のり」のおまけもつきます。

ということで、いろいろメリットあって味もいいですので、まずはこの安いときに一度試されてみてはいかがでしょうか。


Date: 2016/1220 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマのピノ・ノワールで人気のシドゥーリが今年、ヒールズバーグにテイスティングルームを開きました(Siduri Wines takes the leap with a new Healdsburg tasting room | The Press Democrat)。

2015年にケンダル・ジャクソンなどを、擁するジャクソン・ファミリーにワイナリーを売却したシドゥーリ。以来、創業夫妻の夫アダム・リーはワイン造りに専念、妻のダイアナ・リーは基本的にはワイナリーから手を引いて家事育児に専念するという形で、生活面でのメリットが出ていますが、今回はさらにセールス面の向上を目指したものと、言えます。これまではサンタローザのワイナリーの片隅をテイスティングバーとしていたのと比べると、テイスティングルームがひしめき合うヒールズバーグへの進出は大きな一歩です。

小規模のワイナリーにとっては販売の6割を消費者への直接販売が占めるという数字もあり、テイスティングルームは消費者と接する最前線になるからです。ただ、ヒールズバーグのようなテイスティングルームが密集した形がいいのかどうかについては賛否が分かれるところでもあります。

サンタバーバラのロスオリボスやロンパックなど、確かに週末になると観光客でごった返すわけですが、地元の住民との軋轢は、常に問題になるところです。また、本当にセールスにつながるかどうかについても意見が分かれます。実際、シドゥーリの場合でも売り上げの面ではまだ、サンタローザの方が上回っているそうです。やはり、そこをわさわわざ探して訪れてくれるお客さんなわけですから、ロイヤリティには大きな違いがあることが容易に想像できます。また、おそらくテイスティングルームのスタッフが対応するのと、ワインメーカーのアダム・リーが直々に対応すろことの違いもあるのではないかと思います。

ともあれ、売却後、生産量が2万5000ケースから4万ケースに増えたシドゥーリにとって、販路拡大は重要なこと。新しいテイスティングルームがうまくいくことを期待します。
Date: 2016/1219 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ジェームズ・サックリングが100点評価で2016年のベストワインとしたことで話題を呼んだオーパス・ワン2013の国内向け出荷が始まっています。

参考:年間トップなど、高評価続くオーパス・ワン2013

評判の高いヴィンテージなので、世界的に引く手あまたな状態。

参考:オーパス・ワン2013の世界市場向け出荷が始まる 値上がりも激しい争奪戦

以前の記事では2013年の価格は2012年と同等の1本3万6000円台くらいからかと予想していましたが、実際には4万円くらいからのスタート。受給状況から見て、今後はだんだん上がっていく可能性が高いと思います。



2011年ならば大分安くなります。
Date: 2016/1218 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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スパークリング・ワインに関してはシャンパーニュがまだまだ上、といった意見も聞くのですが、個人的にはカリフォルニアのスパークリングも十分に美味しいのではないかと思っています(お前はまだ本当の泡を知らないんだ、といわれればそうなのかもしれません)。

とはいえ、これは僕の主観だけでなく、シュラムスバーグなどは頻繁にシャンパーニュとのブラインド・テイスティングを開催しており、聞いている話ではたいていシュラムスバーグの方が人気だとか。

このように、カリフォルニアのスパークリングをリードする存在と自負しているのがシュラムスバーグ。そのラインナップの中でもトップに位置するのがJシュラムです。中でもロゼは
1万円台後半という、かなりの値段。Wine Advocate誌で95点はカリフォルニアの泡の中ではトップの評価です。これは、相当レアで私もまだ試飲したことありません。


そのロゼより1点低い94点とカリフォルニアの泡で2番めの評価はロゼでないJシュラム。2013年に国内で開かれたブラインド・テイスティングではクリュッグなどを抑えてどうどうの1位だったそうです。


カリフォルニアの泡の中でも高く評価する人が多いのが、ルイ・ロデレール系列のロデレール・エステート。中でもトップのキュベはエルミタージュ。ロゼは30年間で4回しか作られていないかなりのレアものです。



テタンジェ系列のドメーヌ・カーネロスのトップ・キュベはル・レーヴ。ここも高く評価する人が多いです。米国で110ドルするのが、なぜか国内は6000円台。破格の安さです。


グロリア・フェラーのカーネロス・キュベも、ワイナリー価格75ドルが5000円台という、これも不思議な値段。これに限らずグロリア・フェラーは日本と米国の値段が逆転しており、大変お買い得になっています。今回紹介したような、高価なキュベはちょっと、という人にはグロリア・フェラーのブラン・ド・ノワールあたりが1000円台で買えて、かなりの美味しさです。


最初に、Jシュラムのロゼが95点で、Wine Advocateのカリフォルニア・スパークリングでは一番上の評価と書きましたが、その次の94点を取っている泡には、従来からのスパークリング・ワインのワイナリーでないところがあります。それがアンダー・ザ・ワイヤー。ベッドロックのモーガン・ピーターソンが手がけるスパークリング・ワインのプロジェクトです。
Date: 2016/1218 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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70歳を迎えたジョエル・ピーターソンが、新しいプロジェクト「ワンス&フューチャー(Once & Future)」のメーリング・リストでようやく夢見ていたワイン作りができると語っています。

Joel Peterson
写真はワンス&フューチャーのWebサイトから

参考:レイヴンズウッドのジョエル・ピーターソン、原点に返って新ワイナリー設立

1972年のJoseph Swanの元でワイン作りを始め、1976年にRavenswoodを設立したジョエル・ピーターソン。最初は郵便によるメーリング・リスト販売が中心だったそうです。それから小売に広がり、ビジネスは拡大していったものの、ワイン作りとしては、キャッシュを得るためのもんもやらざるを得なかったのでしょう。その後、ワイナリーを売却して、財務的には安定したと思いますが、ワイン作りでは当然親会社の意向が入るわけですし…ロバート・パーカーは、買収以降ワインの品質は下がったと断定しています。

それに対して、新しいワンス&フューチャーでは、作りたいワインを作りたいように少量作り、それを主にネットのメーリング・リストで売ることで、商売としては成り立っているようです。「70歳にして、44年前から夢見て望んだワインの黄金時代の夜明けを見ている」と語っています。
It turns out that there are many more sophisticated and demanding wine drinkers now than when I was first starting out. With my Once & Future wine project I find myself in a position that I could only have dreamed of in1976; the opportunity to make wines simply, in a financially sustainable model that does not require a large size metric. Wines that bear the stamp of place and are appreciated by an enthusiastic audience with whom I can have a personal relationship.

In my 70th year I am seeing a glimmer of the golden age of wine that I had imagined and hoped for 44 years ago.


2017年1月には次のワインの申込みも始まります。
メーリング・リストへの登録は「Once & Future - Wine - Sonoma and Napa, California」から。
Date: 2016/1216 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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楽天のシャトー・イガイタカハのショップでシー・スモーク(Sea Smoke)のワインが送料無料で出ています。

シー・スモークといえば、ピノ・ノワールのブームとサイドウェイズによるサンタ・リタ・ヒルズのブームに乗って一時はカルト的人気があったワイナリーです。人気のあった女性ワインメーカーが他のワイナリーに移って以降、その人気もしりすぼみになった感がありましたが、近年はまた高く評価されています。例えば2013年のシャルドネや2012年のピノ・ノワール「テン」はどちらもWine Advocate誌で95点。特に2012年のテンについては「フレーバーにあふれているが、やりすぎのところはない。ほかのワイナリーにもこのスタイルを真似してほしい」とまでほめています。

レア物のスパークリングもあります。

Date: 2016/1216 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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布袋ワインのFacebookページに不定期掲載される立花峰夫さんのコラムで今回、メガパープルを取り上げていました(布袋ワインズ株式会社 / Hotei Wines K.K. - タイムライン)。

メガパープルとは、ワインの色を濃くするために使われる物質。具体的にはルビーレッドという品種の果汁を濃縮したものです。あまりにも濃いため、水に1滴垂らすだけで濃い紫になるほどだとか。色だけでなく、甘みや果実味もプラスされるので、安ワインには頻繁に使われているようです。また、実は高級ワインでも使われている、とか、使用が禁止されている欧州でも密かに使っているといった、怪しげな話がいろいろ転がっています。

一方で、メがパープルを使っているワイナリーでも、その事実を公表することはなく、なかばアンダーグラウンドのものであるかのように使われているようです。

立花さんのコラムでも引き合いにだしている記事「Mega Purple - an insidious additive that can ruin a wine - Great Northwest Wine」では、メガパープルのエキスパートであるエレン・ランディスさんという人にインタビューしています。

彼女は匂いでメガパープルが入っているかどうかわかるというのですが、安いピノ・ノワールでは顕著に見られるようです。メガパープルを使用すべきではないとは全く思いませんが、実際には使われすぎといっても過言ではないほど使われているとのこと。それによって不自然に甘くなったり、香りが画一化してしまうといった動きが徐々に進行しているようです。

ルビーレッドの栽培面積は5000ヘクタールを超えているそうで、それが表に出ないメガパープルの唯一の指標になりそうです。これがこれから増えるのか減るのか、きになるところです。
Date: 2016/1215 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアでマリファナの娯楽使用が認められ、先週はソノマのサンタローザで初の展示会が開かれました。集まった人数はなんと3万5000人。関心の高さがうかがえます。これまで、生産側、例えば水とか労働者でどういう影響があるか記事で紹介してきましたが、それだけでなく、消費者側にも影響が出てきそうです(Will Weed Tourism Compete with Wine? - Wines & Vines)。

なかでも影響が大きそうなのが、ワイン・ツーリズム。テイスティング・ルームへの訪問を中心とした、ワイナリーでの直接販売に直結します。小規模なワイナリーでは直接セールスの比率が年々高まっていますので、テイスティング、ルームに来る人が減ったらビジネスに直結します。なおマリファナでも、ポット・ツーリズムと呼ばれる、調剤所などに行くツアーができるようです。こういったツアーがワイン・ツーリズムのライバルになってくるのかもしれません。

ちなみにカリフォルニアに先んじてマリファナが、解禁されたコロラドでは、翌年のワインの売り上げは1.2%減ったそうです。ただ、その後は回復しているので一時的なものなのかもしれません。

また、マリファナの調剤所ではマリファナを直接試すことは禁じられています。その点はワインに有利かもしれませんが、代わりにマリファナを複数味わえるマリファナ・ディナーといったものご流行りそうです。

なお、日本人が米国でマリファナを試すことは、違法になるのかどうかグレーのようです。まだきちんと調べていないので、わかったら報告します。旅行者が気軽に試すのは危険かもしれません。
Date: 2016/1214 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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北カリフォルニアではこのところ雨が続いており、、旱魃の状況は大分改善されています。
旱魃の状況

図によると、1年前は、一番色が濃い「例外的な旱魃」の地域が40%に上っていました。それが現在は2割にまで減っています。

ナパ、ソノマといった北部の地域は改善が著しいです。1年前は厳しい旱魃がまだ続いていましたが、現在はナパで少し旱魃状態、ソノマの大部分は「異常な乾燥」と、旱魃という言葉が使われないほどになっています。

しかし、サンタ・バーバラを中心にした、南部の方では依然として、厳しい旱魃が続いています。

昨年のエルニーニョでは期待したほどの雨が降らなかったわけですが、今年のラニーニャではどうなるのか、まだ目が離せません。
Date: 2016/1213 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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12月22日で楽天市場店を閉店してしまうVin du 268の閉店30%引きセールに追加が出ています。

閉店セールのページはこちら

米国でもなかなか買えないジョージのピノ・ノワールでは先日紹介した2011年のセレモニアルのほか2012年のセレモニアル、2012年のブエナ・ティエラが3割引。


さらに、ロゼもあります。ロゼならば5000円弱と価格も手ごろ。


ロアーのピノ・ノワール サンタルシアハイランズも税込みで5000円台と安いです。


もっとてごろなところでは、Pisoni家が外から買ったブドウで作るルリ(Luli)のシャルドネとソーヴィニヨン・ブランは2000円台です。
Date: 2016/1213 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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TTBがワインラベルの付け方について、新たなルールを追加するかどうかに注目が集まっています(Wine industry divided over proposed bottle labeling rule | Local News | napavalleyregister.com)。

例えば、テキサス州のワイナリーが、ナパのブドウを購入してワインを作った場合、普通は「Napa Valley」とラベルに付けることはできません。ただし、販売先がその州(この例であればテキサス州)に限られている場合においては、「Napa Valley」とラベルに入れられる。一種の「抜け道」になっているわけだ。

これを禁止する新しいルールをTTBが提案しており、現在コメントの受付が終わったところです。

カリフォルニアのワイナリーとしてはもちろん、今回の改正には賛成であり、そもそもWine Instituteなどの要望によって、でてきたルールでもあります。

無事に決まるのかどうか、発表時期などはまだわかりません。
Date: 2016/1212 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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世界を揺るがしたワインの大偽造事件を引き起こしたルディ・クルニアワン。彼が偽造したワインは、未だに600億円以上の市場価値をもって、出回っているという試算結果が出ています($550m worth of Kurniawan counterfeit wines being ‘resold over and over again’)。

ルディ・クルニアワンの偽造ワインについては、過去何回か記事に書いているので、そちらをご覧ください。
3分でわかるルディ・クルニアワン「ワイン偽造」事件
懲役10年の判決が出たワイン偽造事件
ルディ・クルニアワンの偽造ワインは破壊、一部はオークションで売られる
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クルニアワインは2002年から2012年に逮捕されるまでの間、毎月100万ドル以上の偽造ワインを売っていました。10年間で1億5000万ドルに上ると推計されます。当時と比べて、現在の市場価値は4倍程度になっているということから、少なくとも5億5000万ドルには相当するだろうというのが、今回の試算の内容です。

過去の試算では、ワインのセカンダリー・マーケット市場が150億ドルあるうち、偽造ワインは約2割の30億ドルを占めるとされています。

日本では、セカンダリー・マーケット(基本的にはオークションのこと)はあまり大きくないような気がしますが、世界ではこんなことになっているのが現状です。

オーパス・ワンのように、偽造対策に力を入れているワイナリーもありますが(オーパス・ワン再発見、そのブランドは伊達じゃない)、これは少数派。高級ワインの生産者のうち、偽造対策をしているのは29%に過ぎないそうです。
Date: 2016/1211 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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フェリシティーでリヴァース・マリーのピノ・ノワールとシャルドネがかなり安くなっています。僕は買ったことない店ですが、楽天ではワインジャンルのショップ・オブ・ザ・イヤーを一昨年、昨年と2年連続で受賞している人気店です。

ソノマ・コーストのピノ・ノワールとシャルドネはいずれも税込みで5500円程度とかなりの安さ。普通は7000円以上です。



ピノ・ノワールの単一畑ではスーマが約7000円、これは普通は8000円以上。


シルバー・イーグルは約8000円。個人的にはこれはかなりお薦め。


安さだけでなく、なかなか手に入らないスーマのオールド・ヴァインやカンツラーもあります。


6本で送料無料です。
Date: 2016/1210 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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Vin du 268が楽天の店を閉めるとのことで、3割引の閉店セールを開催しています。閉店は12月22日の予定。古くからやられている店が閉めてしまうのは寂しいですね。ただ、兵庫県三田市にある実店舗はこれまで通りとのこと。また、ネット上ではFacebook ページがあります。そちらでのコミュニケーションも続けるとのことです。

閉店セールのページはこちら

目玉品をいくつか紹介します。まず超弩級のワインでは、レアムのベクストファー・トカロン。



ジョージのピノ・ノワールは極めてレア。生産量が少ない上にレストランでの人気が高く、米国でも買えないワインです。



ルシアのソベラネス。サンタ・ルシア・ハイランズを代表するワインの一つです。




ターリーのジンファンデルもあります。




ほかにも色々あるのでセールページでご確認ください。
Date: 2016/1209 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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サンフランシスコ市内のワイナリーを紹介する記事がありました(7 Urban Wineries Along San Francisco's Wine Trail)。以前にも紹介したワイナリーが含まれていますが、情報のアップデートもあるので、あらためて紹介します。

日本のファンにもなじみ深いワイナリーとしてはエド・カーツマンのオーガスト・ウエスト(August West)と、A.P.ヴァン(A.P.Vin)があります。どちらも2000年代前半のピノ・ノワール・ブームのころにできたワイナリー。オーガスト・ウエストはサンタ・ルシア・ハイランズのロゼラズのワインなどで人気を博しましたが、現在はソノマの畑を中心にワインを作っています。知日家であり、日本にもファンが多いワイナリーです。ワイナリーでは予約で試飲が可能です。エド・カーツマン個人のプロジェクトであるサンドラーのワインも試飲できます。

A.P.ヴァンはローリング(Loring)のブライアン・ローリングを師としてワイン作りを学んだワイナリー。ワイナリーの名前はオーナーのAndrew P. Vingielloから取ったもの。ここも予約で試飲ができます。

現在はオーガスト・ウエストの倉庫を使ってBetwixt Winesというワイナリーもワインを作っているようです。ティム・テッリというイギリス人が上記の二人にワイン作りを学んで始めたワイナリー。シラーやグルナッシュ、ピノ・ノワールを作っています。ここも予約で試飲可能。

もっと行きやすいところとしてはBluxome Street Wineryがあります。カルトレインのサンフランシスコ駅のすぐ近くにワイナリーを構えています。午後1時~8時までオープン。月曜定休です。ブドウは主にロシアン・リバー・ヴァレーのものを使っており、シャルドネやピノ・ノワールなどを作っています。人気の観光地となっているようです。
Spencer on the Go Truck at Bluxome Street Winery

Dogpatch Wineworksは日曜日の午後だけ試飲オープンしています。普段はイベントスペースとして使っている場所だとのこと。料理持ち込み可だそうです。

Harrington Winesは、ナパやソノマといった有名産地以外からブドウを調達して作っています。作るワインもカリフォルニアでは普通作らないような品種や、古い品種など、かなり反骨心のあるワイナリーのようです。要予約。

Sutton Cellarsもドライ・ベルモットなどを作っているユニークなワイナリー。月曜定休です。

サンフランシスコに旅行に行ったけどナパやソノマに行く時間がないといった人も、サンフランシスコでワイナリー気分を味わえます。ぜひお試しください。

Date: 2016/1208 Category: 業界ニュース
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SFクロニクルがワインメーカー・オブ・ザ・イヤーと並んで、注目のワインメーカー(Winemakers to Watch)を発表しています(2016 Winemakers to Watch - San Francisco Chronicle)。

毎年のことながら、かなりマニアックなチョイス。ただこの中から将来有名なワインメーカーが出て来るかもしれません。

Johanna Jensen, The Keep Wines
スコリウム・プロジェクトで働いていた人のワイナリー。アルバリーニョに注力しています。熟成型のアルバリーニョに加え、ポルトガルのヴィーニョ・ヴェルデのように作ったワインもあります。それだけでなく、コントラコスタのカリニャン、ナパのシラー、Falanghina, Cortese and Loureiroという3品種のブレンドによる白ワインなどもあります。

Michael Savage, Savage Grace Wines
ワシントン州のColumbia Gorgeというあまり知られていない地域にあるワイナリー。ワシントン州で有名なワイナリーというとカイユースやクィルシーダ・クリークなどはっきりした味わいのワインを作るところが多いですが、ここはよりデリケートな味わいを目指しています。

Brian and Stephanie Terrizzi, Giornata, Broadside
パソ・ロブレスのワイナリー。Giornataはイタリア品種の、Broadsideはコストパフォーマンスの高いワインを目指しています。

Ketan Mody, Beta Wines, Jasud Estate
ハーラン・エステートで働いていた人がダイアモンド・マウンテンに土地を買い、切り開いて作るワイナリー。Betaは購入したブドウでワインを作っています。カベルネにしか興味がないとのことです。

Date: 2016/1207 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Spectator 誌が
年間トップ100のリストを公開しました(All Lists — Wine Spectator)。

10位台では14位にカーライルのジンファンデル、17位にメリー・エドワーズのソーヴィニヨン・ブラン、20位にターリーのジンファンデル。このあたりは定番感があります。ターリーのUeberroth Vineyardというのは初耳でしたが。

そのものです。


20位台では24位がデュモルのシラー。28位がドメーヌ・カーネロスのブリュット2011。30位に入ったオーストラリアのモリードゥーカーはもはやこの順位では不満なのでは? 日本ではカリフォルニアワインを数多く輸入しているアイコニックさんの扱いです。

ヴィンテージ違いです。


そのものです。


31位に入ったTenshenというワイナリーのホワイトブレンドは知らないワインでした(と思ったのですが、ラベル見たら思い出しました)。20ドルで92点はちょっと気になるところ。ヴィオニエやルーサンヌなどをブレンドしています。

ヴィンテージ違いです。


35位はSojournのピノ・ノワール。畑はギャップスクラウン。38位はレイミーのシャルドネ。畑はリッチー。44位のケイマス・スペシャル、セレクションはワイン・オブザイヤーを2回取ったことがあるワイン。ケイマスは近年話題豊富ですね。メイオミ売ってお金はたくさんあるでしょうから、今後もいい流れが続くのでは?

そのものです。

そのものです。


47位はホールのカベルネ・ソーヴィニヨン。ホールはナパでは比較的新しいワイナリーですが、カベルネはいいですね。

その後しばらくカリフォルニアワインはなく、67位にハーンのピノ・ノワールSLH。日本に入っているハーンのピノ・ノワールよりワンランク上のもののようです。

73位はコーベルのオーガニック・ブリュット。12ドル! 日本だとちょっと高くなりますが。



82位はキスラーのシャルドネ、ハドソンの畑。スティーブ・キスラーがオキシデンタルに注力するようになってキスラー自体はあまり話題に上がらなくなってきていますが、どうなのでしょうか。

84位と99位は新進の大物ピノ・ノワール。84位のボアーズビューはナパを席巻したシュレーダーが打倒マーカッサン? で作ったワイナリー。マーカッサンの畑を見おろすところに畑があります。99位はコスタブラウンのマイケル・ブラウンが作るサーク。品質的には早くもコスタブラウンを超えたという説も。日本の現行流通は前ヴィンテージ。新しい大物ピノ・ノワールのプロデューサーでは、パルメイヤー系列のウェイフェアラーも押さえておきたいところですね(といいつつ僕もボアーズビューは未経験なのですが)。

そのものです。





商品リンクは後から追加します。
Date: 2016/1206 Category: おすすめワイン
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昨日のマイケル・クルーズの記事で登場したヴァルディギエ(Valdiguié)。以前はナパ・ガメイと呼ばれていた品種です。

私もナパ・ガメイという名前は聞いたことありますが、今まで飲んだことはありません。温故知新というのは近年のカリフォルニアにおける新しい動きのキーワードだと思っているのですが、ヴァルディギエも温故知新の1つですね。

ちょっと調べてみると灯台下暗し、自分が書いた「ユニークな都市型ワイナリー「ブロック・セラーズ」のロゼ」記事の中に登場していました。

このブロック・セラーズはこの記事で紹介したヴァルディギエをブレンドで使うロゼ(名称はラブ・ロゼ)だけでなく、同じくブレンドの赤(名称はラブ・レッド)、ヴァルディギエだけの赤ワインも作っています。

さらに珍品としてはヴァルディギエで作ったブランデーにヴァルディギエのジュースを添加して作った「ヴァン・ド・リキュール」まであります。この品種にかなりこだわりがあるようですね。

このほか、パソ・ロブレスの実力派ワイナリーJロアーもヴァルディギエのワインを作っています。こちらは日本での価格も1500円程度とかなり格安です。





Date: 2016/1205 Category: 業界ニュース
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SFクロニクルのワインメーカー・オブ・ザ・イヤーが先日発表されました。今年の受賞はマイケル・クルーズ。スパークリング・ワイン「ウルトラマリン(Ultramarine)」で一世を風靡しつつあるワインメーカーですが、受賞理由はむしろそれ以外にあるのが面白いところです(Winemaker of the Year: Michael Cruse - San Francisco Chronicle)。

例えば、かつて「ナパ・ガメイ」と呼ばれていた「ヴァルディギエ(Valdiguié)」という品種のワインを作っています。ヴァルディギエの畑はナパでは1973年には950エーカーあったものが、2015年には21エーカーにまで減ってしまっているとのこと。

このようなフルーティで変わっていて、ノスタルジックなものを作るというのが彼のワイナリー「クルーズ・ワイン」の特徴となっています。ヴァルディギエのワインは29ドル。プレミアムなワインを作りたいのではなく、むしろジャグワインの時代に近いようなものを目指しています。

ウルトラマリンが、今この瞬間に輝くワインだとしたら、クルーズ・ワインはカリフォルニアワインの未来を見据えたものであり、それがワインメーカー・オブ・ザ・イヤーの理由だとのことです。

マイケル・クルーズの経歴もユニーク。ソノマのペタルマで育ち、UCバークレーで生化学を学びました。卒業後もUCSFの研究所で働いていましたが、料理やワインに興味を持ち、UCデービスを再受験。

入学までの間に、ナパのサター・ホーム(高級ワインのワイナリーではなく、ホワイト・ジンファンデルで有名なサター・ホームだったというのが興味深いところ)でアルバイトをしていたのですが、そちらの泥臭い仕事にはまってしまい、結局デービスには通うことなくサター・ホームで働くことを選びました。

その後、メリヴェイルがカーネロスに持っているスターモントに移り、アシスタント・ワインメーカーになります。彼はそこで化学の知識を生かして頭角を現し、自分のワイナリーを持つことを考えるようになります。

当時は、ピノ・ノワールの人気が急上昇したころ。新しいワイナリーがいくつもできていましたが、人と同じことをしたくないと考えたマイケル・クルーズはスパークリング・ワインを志します。折しもフランスではグロワーズ・シャンパーニュの動きが始まっており、それに大きく影響されています。

そして、ここが彼の面白いところですが、スパークリング・ワイン作りをフランス語で19世紀に書かれた本を使って勉強し、作り始めたのです。そのため失敗も多く、最初の2008年のヴィンテージは、「クラウン・キャップ」をボトルに入れてしまったため、気温が上がったら全部爆発してしまったとのこと。

こうして試行錯誤を積み重ねてウルトラマリンができました。ウルトラマリンはWine Spectatorの評価が84点(2011年)など、旧来の評論家には高く評価されていないのですが、インスタグラムなどSNSから人気が広がっていったというのも、まさに今風です。

マイケル・クルーズは2013年にスターモントをやめ、ペタルマに今のクルーズ・ワインをオープンしてスティル・ワインも作りはじめました。

前述のように、欧州的なウルトラマリンに対して、クルーズ・ワインはカリフォルニア的であり、価格も25ドルから38ドルと手に入れやすいところを狙っています。

カリフォルニアの今らしさを伝えるワインメーカー・オブ・ザ・イヤーでした。

Valdiguié Nouveau. You should think about tasting it at Ordinaire tonight.

Michael Cruseさん(@crusewine)が投稿した写真 -





Date: 2016/1204 Category: 業界ニュース
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京橋ワインで、ケンダル・ジャクソン(Kendall-Jackson)のヴィントナーズ・リザーブ・カベルネ・ソーヴィニヨン2013が26%引きの2580円(税抜き)になっています。

格下のアヴァントや、ヴィントナーズ・リザーブのハーフボトルでも2000円を超える店があるので、これはかなり割安です。Wine Spectatorでは90点(Advocate では87点)。と評価も上々です。

さらに現在5000円以上で500円引きのクーポンを配布しているので、2本以上買えばそのクーポンを適用できます。


Date: 2016/1203 Category: 業界ニュース
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Wine Spectatorの年間トップ100、1位が発表され、1位から10位が出揃いました。

年間トップの座を射止めたのはカリフォルニアワイン。ルイスのカベルネ・ソーヴィニヨン2013でした。
ルイス

これも95点ということで、上位のワインのレイティングはあまり変わらず、何が決め手で選ばれたのかはよくわからない感じもあります。昨年は1位と2位は96点、3位は98点(オレゴンのイヴニングランド)でしたから(WSのワイン・オブ・ザ・イヤーは予想外のカリフォルニア)、若干小粒な感じもあります。

とはいえ、ルイスのカベルネ・ソーヴィニヨン、リザーブやキュベ・エルといった上位のワインではなくレギュラーのクラスでこの評価なのですから立派なものです。昨年のピーター・マイケルの195ドルのワインと比べたら90ドルでの受賞は十分うなずけるものがあります。

それにしても2年連続「カリカベ」が選ばれるとは思っていなかったので、ちょっと予想外ではありました。

このワイン、日本でも売っており、日本の価格もそれほど高くありません。楽天で最安と2番めに安い店は、この記事を書いている間に売り切れてしまいました。


こちらはヴィンテージ違い
Date: 2016/1202 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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カレラのワインの中でも一番人気を誇るのがジェンセン。以前、筆者のFacebookで質問したら、筆者の友達ではジェンセンが一番好きという人は意外にもいなかったのですが、個的には高く評価しています。

例えば、筆者の周りで支持する人が多かったセレックは、たしかに長期熟成能力はあるし、非常に複雑な味わい。うまくはまったらものすごく美味しいワインになる印象です。その代わり、飲み頃の判断は難しそう。

ジェンセンも熟成したらすごく美味しくなりますが、熟成しなくても十分おいしいという点ではセレックよりも上かも。

いつ、どう飲んでも外さないのは「私、失敗しないので」というドクターXに似ているのではないかと。

日本では、ジェンセンの販売は、ほかの畑と抱き合わせになることが多いですが、このところ単体でもそこそこ出ているようです。税込みで1万8000円を切れば、かなり安い部類になります。

近年では2013年はWine Advocate誌で95点、2012年は96点の評価です。


Date: 2016/1202 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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高級ワイン市場の価格動向を示すLiv-exのインデックス。ここ1年はかなりの上昇傾向にあるのですが、先日日本円では変わっていないという記事を書きました(高級ワインのインデックス、日本円換算では値下がり傾向)。

Liv-exは英ポンドベースの指標であるのがその理由ですが、ドルベースで比較した記事が出ていました(The Fine Wine Market: Dollar opportunities)。

Liv-ex dollor

これはインデックス全体ではなく、有名な一部のワインだけですが、ポンドベースでは2割以上値上がりしているのに、ドル換算では横ばいかわずかに下がっています。

ワインの価格傾向を見るときにLiv-exはしばしば引き合いに出されますが、このような為替のことを念頭に置いておかないと、ミスリーディングになってしまう恐れがあります。
Date: 2016/1202 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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連日、Wine Spectatorの記事ばかりですみません。今日は2位から4位が発表され、カリフォルニアワインは入らなかったものの、2位と3位はオレゴンからでした。

オレゴンはカリフォルニアと比べると収穫時期に雨が降る恐れが強いのですが、2012年以降は秋の天候が安定しており、高い評価が続いています。カリフォルニアでも、注目されるシャルドネやピノ・ノワールは、2000年代のロシアン・リバー・ヴァレーから、より冷涼なソノマ・コーストへと移っており、さらに冷涼なオレゴンも、これからもっと人気が高まってくるでしょう。

というわけで3位はボー・フレール(Beaux Frères)のRibbon Ridge The Beaux Frères Vineyard 2014、2位はドメーヌ・セリーヌのシャルドネDundee Hills Evenstad Reserve 2014でした。

ボー・フレールドメーヌ・セリーヌ

日本の市場ではボー・フレールは前ヴィンテージの2013、ドメーヌ・セリーヌはそのもののワインが出回っています。



Date: 2016/1201 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Spectatorの2016年トップ10は10位から5位まで発表されました。昨日の7位リッジに続いて、今日は6位にオリン・スウィフトのマシェット2014(Machete、マチューテなどと書いてあるケースもありますが、動画の発音からはマシェットが一番近いようです)が入りました。
オリン・スウィフト マシェット
オリン・スウィフトといえば、元々プリズナーで有名になったワイナリーですが、今年は話題にことかきませんでした。

プリズナーは数年前にブランドをヒュネイアスに売却していましたが、今年はそれがさらにコンステレーション・ブランズへと売却(コンステレーションが「プリズナー」を300億円超で買収)。『マリアージュ~神の雫 最終章~』でも取り上げられました(『マリアージュ~神の雫 最終章~』で2週連続カリフォルニアワイン)。

さらに、オリン・スウィフト自体もガロに売却が発表されました(ガロがオリン・スウィフトを買収)。創設者でワインメーカーのデイブ・フィニーは籍を残しますが、彼自身、新しいプロジェクトも始めており、今後どこまで関与するのかは不透明な部分もあります。

背景説明が長くなりましたが、やっぱりこのデイブ・フィニーという人はまだ若いのですが、すごい人だと思います。プリズナーのような「レッド・ブレンド」と呼ばれる分野のパイオニアであり、アメリカのミレニアル世代に強く受けいられるワインを数々作り出しています。それだけでなく、従来からのワインメディアにも高く評価されており、それが今回の6位という結果に結びつきました。

マシェットはプティ・シラーを中心としたブレンドで、プティ・シラーがWine Spectatorのトップ10に入ってくるのもかなり異例だと思います。レイティングは94点ですが、Wine Advocate誌ではロバート・パーカーがさらに高い96点をつけています。

ちなみにラベルは全部で12種類あるそうです。複数本注文するとラベルが重ならないようにしてくれるとのこと。ただし、このラベルがほしいというリクエストには答えられないようです。




ちなみに、デイブ・フィニーの新しいブランドはクレーン・アッセンブリー。代表作の1つである「エル・ココ」はジンファンデルにプティ・シラー、メルローのブレンドというから、プリズナーにマシェットを混ぜたようなものとも言えるかも。フルーツ爆弾+スパイス的な強烈な味わいのワインです。2014年はWine Advocate誌で95点という高評価。今後はこちらをオリン・スウィフト以上に注視する必要があるかもしれません。ゴヤの絵画を使ったラベルが印象的なのも、オリン・スウィフトやプリズナーに通じるものがあります。

Date: 2016/1130 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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20161129-spectator_no7_montebello.png

Wine Spectator誌の年間トップ10の発表が始まっています。現在7位まで発表、7位にリッジのモンテベロ(モンテベッロ)カベルネ・ソーヴィニヨン2012が選ばれました(Wine No. 7 — Wine Spectator's Top 100 of 2016)。

モンテベロは40年前のパリ・テイスティングに出たワインの1つであり、その後の回顧テイスティングでも常に高く評価されているワイン。カリフォルニアワインの中では非常に欧州的な抑制された味わいを特徴としています。2012年のように温暖な年は、ときにやや固くなりすぎ(若いときは)と思われるモンテベロの中では比較的若い時期から飲みやすくなるようです。

世界最高のカベルネ・ソーヴィニヨンの1つと言っても過言ではないでしょう。スペクテーターの動画ではリッジのポール・ドレーパーを「もしナパにいたら一番有名なワインメーカーになっていただろう」としています。今年引退したポール・ドレーパーにとっても記念すべき年間7位になりそうです。


Date: 2016/1129 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワインセラーパリ16区で棚卸しセールの第3弾が始まっています。12月12日まで開催。

第3弾はカリフォルニアワインがたくさん。しかもシン・クア・ノンやデュモル、コングスガード、マーカッサンなど無茶苦茶レアなものばかりです。ワイナリーが、特別に作ったキュベを出品するプリミア・ナパ・ヴァレー・オークションものもいろいろあります。

一覧はこちらから

めぼしいものをいくつか挙げておきます。
ピゾーニの畑のシラーは極めてめずらしい


ハーランのオークションもの。しかもカベルネ・フラン

もちろんカベルネも




濃い系ジンファネルの雄


デュモルがこの値段
Date: 2016/1128 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ふるさと納税で、ワインをもらえる自治体はたくさんありますが、中にはカリフォルニアワインが含まれているところもあります。ここでは3つの自治体を紹介します。いずれもふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」に掲載されています。

◎千葉県館山市
館山市では、市の出身の元X Japan、Yoshikiさんにちなんで、Yoshikiさんの名を冠したワインを返礼品に入れています。そのワイン「Y by Yoshiki」は、マイケル・モンダヴィが作るカリフォルニアワインです。
Y by Yoshiki
・2万円で2008年の白ワインがもらえるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 千葉県館山市 - 【B04】 YOSHIKIワイン(白)(750ml)
・2万円で2008年の赤ワインがもらえるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 千葉県館山市 - 【B03】 YOSHIKIワイン(赤)(750ml)
・3万円で最新ヴィンテージの赤ワインがもらえるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 千葉県館山市 - 【C08】ふるさとチョイス、クレジット決済限定【数量限定】新作 YOSHIKIワイン Napa Valley 赤
・3万円で2008年の赤と白のセットがもらえるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 千葉県館山市 - 【C02】 YOSHIKIワイン(赤・白2本セット)
・5万円で最新ヴィンテージの赤と白のセットがもらえるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 千葉県館山市 - 【D09】ふるさとチョイス、クレジット決済限定【数量限定】新作 YOSHIKIワイン Napa Valley 赤・白2本セット

お薦めは3万円で最新ヴィンテージの赤ワインがもらえるものでしょうか。最新ヴィンテージの価格は税別で1万4800円ですから、還元率は約50%と高いです。

◎鹿児島県いちき串木野市
ここは、旧薩摩藩から英国への留学生を送り出した土地ということで、その留学生の一人だった「グレープ・キング」こと長沢鼎にちなんだカリフォルニアワインを返礼品に入れています。
・2万円で長沢鼎にちなんだシャルドネと、ハムやソーセージのセットがもれるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 鹿児島県いちき串木野市 - B-063 「カナエ・ザ・グレープキング」&ハム・ソーセージ・ベーコンセット

◎岡山県新庄村
ここは理由は不明ながら返礼品にカリフォルニアワインを入れています。
・3万円でニュートンのアンフィルタード2本(メルローとシャルドネ)がもらえるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 岡山県真庭郡新庄村 - 136.カルフォルニアワイン ニュートン・ヴィンヤード アンフィルタード赤・白2本セット
・1万2000円でコッポラのディレクターズ・カット・カベルネ・ソーヴィニヨンがもらえるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 岡山県真庭郡新庄村 - 131.カルフォルニアワイン コッポラ ディレクターズ・カット・カベルネソービニヨン
・1万3000円でダックホーンのピノ・ノワール「マイグレーション」がもらえるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 岡山県真庭郡新庄村 - 133.カルフォルニアワイン ダックホーン ピノ・ノワール・マイグレーション
・1万5000円で689(シックス・エイト・ナイン)の赤白セットがもらえるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 岡山県真庭郡新庄村 - 134.カルフォルニアワイン シックス・エイト・ナイン赤・白2本セット
・2万5000円でマウント・エデンのシャルドネがもらえるもの
ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 岡山県真庭郡新庄村 - 142.マウント・エデン・シャルドネ

個人的にお薦めはマウント・エデンのシャルドネですね。これは本当においしいですから。
Date: 2016/1126 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Enthusiastが2016年の年間トップ100のワインを発表しました。お買い得トップ100の「Best Buy」、長期保管向けの「Cellar Selection」、そして全体のトップ100です。

ベストバイでは33位にパルドゥッチのシャルドネ2014。バランスよい味わいだとのこと。


17位にはAtoZのリースリング。


11位にボーグルのプティ・シラー。


7位はワシントンの雄コロンビア・クレストのカベルネ。


セラー・セレクションに移ります。
日本に入っているのがヴィンテージ違いのものが結構あります。同じヴィンテージに限定すると
10位にシェイファーのカベルネ・ソーヴィニヨン ワン・ポイント・ファイブ2013
シェイファーのレギュラーのカベルネです。ヒルサイド・セレクトのセカンドという言い方もできるかも、と考えるとすごい順位。95点です。


8位はオレゴンのアイリーのシャルドネ。96点です。


全体のトップ100に移ります。
31位はドメーヌ・セリーヌのシャルドネ・エヴェンスタッド・リザーヴ2013。オレゴンが結構目立ちます。


28位はワシントンの注目ワイナリー「グラマシー」のシラー・ローワー・イースト2013。


9位はドメーヌ・エデンのピノ・ノワール2013。ドメーヌ・エデンはマウント・エデンの別畑によるワインですが、驚きの高評価です。95点。


1位はウェイフェアラーのシャルドネ2014です。日本には残念ながらまだ前ヴィンテージまでしか入っていません。以前紹介したパルメイヤーがソノマ・コーストに作った注目のワイナリーです。
Date: 2016/1125 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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柳屋でラベル破損品などをセールで売る不定期開催のアウトレット市を久々にやっています。今回は「超」がつくくらい高級なもののオンパレード。ラベルは汚れなどがあるのでそこは覚悟が必要ですが、中身には問題ないので自家用ならばこのチャンスを逃す手はないでしょう。で、超高級品はどれも1本限りなので決断はお早めに。

というわけでいきなり大目玉のポートフォリオから。


Wine Advocateで99点のスポッツウッドも1万円台。


ピノ・シャルドネのトップクラスではなんとデュモルが。



次もびっくりポール・ラトー。しかもピゾーニ。


スパークリングでは、アイアンホースのウェディング・キュベにシュグの「赤いスパークリング」



コスパ高いカベルネ「フープラ2013」がさらに安くなって税抜きなら2000円台。次のヴィンテージからはメルロー主体になってしまったので柳屋では扱わないとのこと。


掘り出し物系のヴァレンタインからはカベルネとメルロー



ほかにもいくつかありますが、カリフォルニアワイン・ファンとしてはこれだけ抑えておけばOKです。とにかく本数は少ないので売り切れご免です。
Date: 2016/1125 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワイン評論家のジェームズ・サックリングが2016年のナパのワインのトップ100を発表しています(The Top 100 Reds of Napa Valley 2016 - JamesSuckling.com)。

既に報じたように、2016年全体の1位にオーパス・ワン2013年が選ばれていますので、当然ナパの1位もオーパス・ワン2013。続いてドミナス2013、レアムのベクストファー・トカロン2013、ポールホブズのベクストファー・トカロン2013、コンティニューム2013とトップ5が続きます。

上位はいずれも高名なワインで、意外性はあまりありませんが、一番驚いたのが10位のワイン。なんとドミナスのセカンドワイン「ナパヌック」が入っているのです。ナパヌックはセカンドワインの中でも高く評価されている銘柄ではありますが、それにしてもハーランやコルギンなどを差し置いて10位というのは驚きです。

このほかには15位にケンゾー・エステートの藍2013が入っていたのもちょっとびっくり。これは大健闘といって良さそうです。

ヴィンテージ違いですが


こちらもヴィンテージ違いですが
Date: 2016/1124 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ドナルド・トランプ次期大統領の移民政策は畑の労働者を移民に頼るカリフォルニアのワイナリーにとって、大きな懸念となっていますが、同時に起こったあることが、もう一つの懸念になりそうです。

あることというのは娯楽用マリファナの解禁。大統領選当日の投票によって、カリフォルニアでも娯楽用のマリファナが解禁になりました。これによって、マリファナの栽培も増えることが予想されますが、畑の労働者をマリファナに取られる恐れが増してきたのです(Harvest Wars - Wines & Vines)。

マリファナの栽培が盛んなメンドシーノでは、既にこの問題は懸念を超えています。メンドシーノでブドウ畑を管理するVineard Logisticsという会社では、今年の8月中旬には収穫担当が22人いたのに、6週間後には8人にまで減ってしまいました。

それというのもマリファナの収穫時期はブドウと重なる上、マリファナの方が労働は楽で、給料もいいのだそうです。

マリファナはブドウと比べると収穫までの手間も少ないのですが、ちょうど人手が必要なときが、ブドウと重なってしまうのです。

ブドウの収穫を機械化できればいいのですが、メンドシーノのAnderson Valleyでは、それも難しいといいます。というのはAnderson Valleyでは多くの生産者がホール・クラスター(茎を取り除かない状態)でブドウの実を収穫したいと考えているのですが、機械では実だけを収穫していまうからです。

マリファナの栽培とは、水の取り合いといったコンフリクトもあり、これから先、ブドウ栽培のライバルになってくる場面が増えるのかもしれません。

Cannabis sativa
Date: 2016/1123 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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昨日のグラスに続いて泡モノの記事をもう1つ載せます。

Art of Champagne(アート オブ シャンパーニュ)」は、日本のトップソムリエ3人がプロデュースするシャンパーニュの頒布会。全7回(シャンパーニュ計9本)で、毎回映像作品とガイドブックが付属します。

映像作品のタイトルは以下の通り。
・第一回:プロローグ シャンパーニュの旅へようこそ
・第二回:アッサンブラージュの魔法
・第三回:樽の功罪
・第四回:熟成とドザージュの必要性
・第五回:有機的なアプローチ
・第六回:シャンパーニュテロワール
・第七回:エピローグ スペシャル・キュヴェ
ソムリエ3人
プロデュースするソムリエは大越基裕氏・千葉和外氏・林基就氏。大越さんと千葉さんはお会いしたことがありますが、どちらも素晴らしいソムリエです、なんて僕が言うのは失礼なくらいすごい人。

1月から配布開始で、1000名限定。毎月の価格は1万4800円とさすがの高さですが、シャンパーニュを極めたいなら安いくらいでしょう。

カリフォルニアワインは、多くの品種で世界のトップクラスのワインを作っていますが、泡に関してはシャンパーニュに一日の長があると、言われてますね。僕はそれでもカリフォルニアのスパークリングが好きですが、やはり極めるならシャンパーニュを知らないといけないのでしょうね。

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Date: 2016/1122 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先週、東京で開かれたVINEXPOに行ってきました。カリフォルニアワインはほとんどなく、普段飲まない地域のワインをいろいろ試飲しましたが、リーデルのブースでちょっと面白い試飲をやっていました。
リーデルの試飲

同じシャンパーニュを、一つはリーデルのVinumシリーズのシャンパーニュ・グラス(写真左)で、もう一つは同じリーデルですが、新しいVeritasシリーズのシャンパーニュ・グラス(写真右)で比べてみようというものです。

見た目は従来のフルートグラス型の方がすっきりしていますね。泡の立ち上りも綺麗です。

香りは、全然違います。そもそも従来のフルートグラスだと、口を付けて飲むときに、鼻はグラスの上になってしまいますから、ほとんど香りを感じません。香りを感じるには、鼻だけをグラスに近づける必要があります。それに対して、新しいグラスは口を付けて飲むときに、鼻もグラスの内側に入りますから、自然に味と香りを一緒に楽しめます。

また、香り自体、フルートグラスだとややツンとくる感じですが、新しいグラスは柔らかくふわっと入ってきます。

味も予想以上に違いました。フルートグラスではワインが一気にのどの奥に入ってくるせいか、酸味を強く感じるようでした。新しいグラスは、口全体にワインが広がるので、より複雑でデリケートな味わいが感じられます。

スパークリングワインにもよるかもしれませんが、高級なものは、Veritasのグラスの方が、より楽しめるとおもいます。

また、VeritasのグラスはVinumと比べて、ステムが細く、とてもエレガントで、またグラスも軽いです。機械でこれを作るのはすごい技術だと思います。それだけでも飲むときの気持ちが上がるように思います。



Date: 2016/1121 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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柳屋でシミ(Simi)のメルローがセールになっています。税抜きだと2000円を切るかなりの安さ。ワイナリー価格の22ドルを下回っています。

さらにシミのワインを6本以上買うと送料無料。ただし、メルローだけは安すぎるため、メルロー以外のワインも1本以上入っている必要があります。

柳屋のコメントによると、今はカベルネ・ソーヴィニヨンよりもメルローの方がおいしくなっているとのことです。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

シミ メルロー ソノマカウンティ [2011] (正規品) Simi
価格:2149円(税込、送料別) (2016/11/21時点)


Date: 2016/1120 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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下の子が15歳の誕生日でした。料理のリクエストを聞いたら「なんでもいいから肉」とのこと。たまには、ということでどどんと1kg超の肉をコストコで買ってきました。ステーキ用の肉としては、安いものを買ったので、さすがにちょっと筋も多かったですが、赤身肉を堪能しました。たまねぎたっぷり使ったソースもまあまあ美味しくできました。

たまにはステーキ

ワインもたまにはいいものを開けようと、スタッグリンのカベルネ・ソーヴィニヨン2006。ナパ・ツアーのときにホテルの部屋にあったハーフボトルです。妻に味見させたら、「先日のボージョレ・ヌーボーより全然おいしい」って、そりゃそうです。価格も何十倍もしますから。
スタッグリン・カベルネ・ソーヴィニヨン2006

スタッグリン、ラザフォードのワインですが、いわゆるラザフォード・ダストっぽさはなく、オークヴィルあたりのヴァレー・フロアのワインと近い味わいです。とにかくシルキーでスムーズ。ふだんだったら、フルボトル空けるのに3~4日かかるのに、気付いたらハーフボトルがなくなっていました。危険なほどスムーズ。この味わいは、サシの入った和牛よりも赤みの肉に合うかもしれません。



スタッグリンはさすがに高いですが、ヴァレー・フロア系の優秀なワインとしては、最近飲んだナパ・ハイランズも捨てがたいです。このレベルで4000円台は驚きのコスパ。格付けチェックゲームでスタッグリンと並べたら、2~3割の人はこっちが上っていうかも。

Date: 2016/1119 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ベッドロックのモーガン・トゥエイン・ピーターソンが作るスパークリング・ワイン「アンダー・ザ・ワイヤー」(Under The Wire)の国内販売が始まりました。

アンダー・ザ・ワイヤーについてはモーガンの来日時に記事を書いています(スパークリングワインにもテロワールを!モーガン・ピーターソンの新プロジェクト)。

シャンパーニュで、生産者が自社畑のブドウを使って作る「グロワーズ・シャンパーニュ」が徐々に支持されるようになってきていますが、アンダー・ザ・ワイヤーも単一畑でブドウも単一品種、ヴィンテージも混ぜないスパークリングワインとして作るところなどが共通しています。

ただ、アンダー・ザ・ワイヤーの場合は自社畑ではなく、購入したブドウで作りますから、シャンパーニュの分類でいうとNM(Negociant-Manipulantネゴシアン・マニピュラン)になるのではありますが。

私が春に試飲したのはシャローンにあるBrosseau(ブロッソー)の畑のものでしたが、今回入荷しているのは、その次に作り始めたメンドシーノのアルダー・スプリングス(Alder Springs)のピノ・ノワールで作るブリュットとロゼです。

アルダー・スプリングスはパッツ&ホールのピノ・ノワールでは何回も飲んだことがありますが、非常に複雑で熟成に向いたブドウができるところです。今回のスパークリングがどのような味わいなのかも気になるところです。



Date: 2016/1118 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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オーベール(Aubert)の「ちょい古」2009年のワインを試飲する機会をいただきました。ラインナップはシャルドネがソノマ・コースト、ハイド(Larry Hyde & Sons Vineyard)、UV-SL、ローレン(Lauren)の4種。ピノ・ノワールがUV、UV-SL、リッチー(Ritchie)の3種です。

Aubert
畑の名前はラベルの左下に薄く書かれているだけなので、よく見ないと違いがわかりません。

以前2011年のワインを試飲したときは、全般にピノ・ノワールよりもシャルドネがよく、中でもローレンは一頭地を抜くに感じました。

少し熟成が入ってきたこのヴィンテージはどうでしょうか。

【シャルドネ】
・ソノマ・コースト
 蜜の香り。パイナップル、オレンジ、奥ゆかしい酸、アフターにかすかに苦味。
 予想よりずっとよく、ちょっと驚きました。主催者によるとソノマ・コーストはリッチーのブドウが結構はいっているのでリッチーに味わいが似ているとのこと。

・ハイド
 やや閉じ気味だが、バランスよい。ソノマ・コーストと比べるとトロピカルフルーツの味わいは少なめ。時間が立つとだんだん開いてきた。
 主催者によると、ハイドは他のワイナリーが作ってもハイドの味になるので、わざわざオーベールで買う意味はあまりないのかも、とのこと。一般的なシャルドネのレベルで評すれば、非常に上のワインだが、オーベールの中ではちょっと埋没気味かも。

・UV-SL
 ソノマ・コーストやハイドと比べ明らかに濃い色調。はちみつのような甘さ。酸はおだやかでまるでデザートワインを飲んでいるかのよう。甘露という言葉が似合うワイン。
 アルコール度数15.8と一番高く、一般的なシャルドネの範疇からははずれてしまいそうなほどの甘みを感じました。実際に残糖があってこう感じるのか、アルコール度数の高さなどからこう感じるのかは分かりません。1本飲んだら飲み疲れてしまうかもしれませんが、グラスで1~2杯だけ飲むなら、とても魅力的なワイン。

・ローレン
 4本のシャルドネの中では一番酸を強く感じる。逆にフルーツの味わいは抑えめだが、時間が経つにつれ、だんだんいろいろな要素が浮かび上がってくる。
 UV-SLで驚いた後だからかもしれませんが、以前試飲したときのような圧倒的な美味しさではなく、じわじわ美味しくなってくる感じがしました。さすがにレベルは高いですが、期待値が高すぎたので、若干肩透かしだったかも。

さて、シャルドネで熟成を感じたかという点ですが、ちょっと微妙でした。ハイドやローレンで見られたような味わいの落ち着きは時間が経ったことによって起こったものかもしれませんが、現段階ではこの後、熟成してさらに魅力を増していくかどうかは分かりません。ひねた味わいが出てくる前に飲んだ方がオーベールらしく楽しめるのかもしれません。

【ピノ・ノワール】
・UV
 色はかすかに褐色が入ってきていて熟成を感じる。酸は比較的強め。赤系のフルーツ。
 ピノ・ノワールは予想よりも熟成が始まって来ていました。いい感じに熟成していきそうな雰囲気。

・UV-SL
 フランボワーズ、ストロベリーなど赤系のフルーツの風味が豊か。シルキーでスムーズ。
 UVほどではないですが、これも少し熟成を感じます。ただ、熟成しなくても今の段階でとても美味しいです。UV-SLすごい。

・リッチー
 3つのピノ・ノワールの中で、これだけは赤系の果実に加え、ブルーベリーのような青系の果実の味わいも感じる。スパイスも。
 骨太の味わいはカレラ・クローンによるものでしょうか。今現在の魅力はUV-SLにゆずりますが、ポテンシャルを感じるワインでした。

ピノ・ノワールはシャルドネと比べて、熟成の方向性が少し見えている感じがしました。このままもう5~10年ほど進むとかなりいい感じになってきそうな気がします。

また、シャルドネのソノマ・コーストのレベルの高さにはびっくり。これは日本でもそこまで高くないので、オーベールの入門用としては最適だと思います。


それと今回はやっぱりUV-SLですね。シャルドネもピノ・ノワールも素晴らしいワインでした。太平洋にかなり近い涼しいところの畑だそうですが、ソノマ・コーストの奥深さを感じます。
Date: 2016/1117 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズの「バイザグラス」に参加しているカモシヤさんを紹介します。

カモシヤは名古屋の中心、栄駅からすぐのところにある味噌おでんの店。グラスワインのほかにも30種類以上のワインをストックしています。味噌もワインも発酵して作るものなので「醸す」の意味からカモシヤと名付けたとのこと。また、スタッフとお客さんで雰囲気を醸し出してほしいとの意味合いも含めています。

住所は名古屋市 中区 錦3-16-8 森万ビル1F
大通り沿いで地下鉄の栄駅や、名鉄の栄町駅からわずか1分のところです。東京で言えば銀座4丁目の交差点くらいの都心で、こんな気の置けない店があるのにちょっとびっくりしてしまいます。
お店外観

席はカウンターが6席にテーブル18席。グループでテーブル席についてじっくり飲み食いするもよし、一人でカウンターでちょっとつまむもよし、使い勝手の良さそうな店です。
お店の中1
お店の中2

オーナーの橋本さん。かなりの長身でちょっとこわもて風ですが、実際にしゃべってみるとそんなことはないです。実は6月のナパツアーではずっとバスの隣席でいろいろおしゃべりさせてもらいました。
橋本さん

看板メニューを2点紹介します。

ひとつはアボカドのおでん。味噌おでんでアボカド!?と思ってしまいますが、カレー風味の塩が振ってあって美味しいのだそうです。アボカド好きな私も、さすがに味噌おでんにカレー風味のアボカドというのは想像外。かなり気になるメニューです。
アボカド

もう1つは一番人気の名古屋ハヤシ。

名古屋ハヤシは名古屋の新名物として現在広がりつつある料理だそうです。「名古屋ハヤシ倶楽部 | ハヤシライスで名古屋を元気にしよう!」というオフィシャルのページによると、デミグラスソースと赤味噌、卵を使うのが特徴。ソースとご飯を混ぜて供するのもきまりです。カモシヤでは八穀米を固めに炊いて、ハーブ七味をかけていただきます。

これは見るからに美味しそうですね。というかまずいはずがない。
名古屋ハヤシ
名古屋ハヤシ2

バイザグラスのグラスワインは上の写真にもあるニュートンのシャルドネと、ベリンジャーのナパ・ヴァレー・メルロー。

グラスワイン

味のくっきりした味噌おでんだから、ワインもしっかりめの味わいのものが合うでしょうね。ジンファンデルなども飲みたくなりそうです。

上に紹介した以外のスタンダードなおでんメニューも美味しそうです。
おでん

便利な場所にある使い勝手のいい店ですから、名古屋在住の人はもちろん、出張で名古屋に行かれるかたも立ち寄られてはいかがでしょうか。


なお、この記事はナパ・ヴァレー・ヴィントナーズ・ジャパンからの依頼で書いています。
Date: 2016/1116 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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クラウドファンディングサイトのIndiegogoで日本ワインを海外に紹介する書籍「A Journey Into Japanese Wine」への出資を募集しています。
20161115-a_journey_to_japanese_wine.png

プロジェクトを始めたのはWeiwen Linというシンガポールの人。既に自腹で日本におけるワインの取材を済ませています。36軒のワイナリーを取材したそうです。出資したお金は、それらの取材費用のカバーを含めて使われます。

出資は50ドルから。これでこの本1冊がもらえます。100ドル以上出すと、ワインが付くセットがあるのですが、ワインの出荷はシンガポール国内のみとのことなので、実質的には50ドルのプロジェクトが、日本から参加できる唯一のものとなります。

プロジェクトのページ
A Journey Into Japanese Wine | Indiegogo
Facebookページ
A Journey Into Japanese Wine
Date: 2016/1115 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日、山梨ヌーボーの記事を書いたとき、カリフォルニアにもヌーボーはあるものの、あまりふるわないことなどを付記しました。その大勢は変わってはいむせんが、一部でヌーボーを作り、楽しむ動きは起こっており、今年もそれは拡大しているようです(California taps into bright young things of harvest: Nouveau wines - San Francisco Chronicle)。

比較的有名なところでは、ベッドロックが2015年からジンファンデルのヌーボーを作っています。わずか100ケースの販売ですが、人気は上々とのこと。

以前、カリフォルニアのヌーボーを作っていたのは、ジョセフ・フェルプスやベリンジャーといった、比較的大きなワイナリーでしたが、今回は、小さなところから、草の根的に広がりを見せています。

Poeというワイナリーがヌーボーを始めたのは2013年。Scribeが2014年。2015年にはBedrock、Coturriが開始。2016年はCruse, Stirm, Brocといったワイナリーが追随しています。

ヌーボーはその製法からバブルガムやバナナの香りがするのが特徴。それが、一般のワイン好きには避けられる要因でもあったわけですが、これらの新しいヌーボーはそれだけでない、暖かい味わいが出ているようです。

ヌーボーはその年の収穫がその年に製品になることで、ワイナリーにとってはキャッシュフローの改善というメリットがありますが、一方で短期間に売り切らないといけないというデメリットもあります。一方、単価が安く、短い期間に売り尽くさないといけないというプレッシャーもあります。今のところ、メリットの方が目立つようですが、今後はどうなるでしょうか。

ベッドロックのヌーボーはニューヨークのレストランで、なんと8カ月もグラスワインとして供されたそうです。それだけ、変わったもの、面白いものを飲みたいユーザーが増えているということでしょうか。
Date: 2016/1114 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先週には、日本でもお披露目のテイスティングが行われたオーパス・ワンの最新ヴィンテージ2013。有名な評論家のジェームズ・サックリングは2016年のベストワインに選んでいます(The Top 100 Wines of 2016 - JamesSuckling.com)。

サックリングのベスト100を見ると、かなりカベルネ系に偏っている印象はありますが、それでも年間のベストというのは、ちょっと驚きました。なお、今年5月には同ワインに100点のレイティングをつけたことを本ブログでも報告していますが、100点はほかにも10本近くのナパのワインについていました。

先週のテイスティングに参加した人の評価も上々だったようで、近年の品質安定を裏付けています。

なお、ジェームズ・サックリングのベスト100で、ほかに10位以内にはドミナス2013が入っています(6位)。こちらも近年高評価が続いています。



Date: 2016/1113 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ナパの「カルトワイン」の一角を占めていたアラウホ(Araujo)がシャトー・ラトゥールのグループに売却されたのが2013年。今年は買収後の最初のヴィンテージである2013年の出荷が始まり、同時にワイナリー名が新たに畑の名前であるアイズリー(Eisele)ヴィンヤードに変わりました。

そして、Wine Adocate誌の最新号では、この新生アイズリーのカベルネ・ソーヴィニヨンに100点が付いています。実はアラウホ時代は満点を取ったことがなく、過去最高は2001年と2002年の99点でした。


Date: 2016/1112 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・ヴァレーの栽培家の業界団体Napa Valley Grapegrowersの調査によると、アンケートに回答したメンバーの86%が2017年に一部ででも畑の植え替えを予定しているとのこと。2015年に一部でも植え替えいたメンバーは60%、2016年は62%とのことで、かなり植え替えが進行している様子がうかがえます(Majority of Napa Growers to Replace Vines by 2017 - Wines & Vines)。先日も紹介したRootstockカンファレンスで明らかになりました。

畑の植え替えの間隔は、数十年おきというのが一般的ですが、最近は10年さらには5年で植え替えるところも増えているそうです。最大の理由は病害対策。現在は、ピアス病と、ブドウの葉が赤くなる「red blotch」と呼ばれる病気が大きな理由になっています。

ピアス病はいまだに特効薬のない病気。主にガラス羽シャープシューターという昆虫によって広がるため、現在でも苗木の取り扱い店では、この卵がついていないかどうか、すべての樹について検査することになっています。

ただ、現在はやっているのは、より行動範囲の狭い青緑シャープシューター(写真)によるもので、川の近くなど、ある程度限定された地域で流行しています(広がるピアス氏病ナパ、ソノマでピアス氏病が「大発生」)。

Blue-Green Sharpshooter

ただ、畑によっては70%が感染しているとのこと。この病気は15~20年周期で流行り、今はそのピークに来ているようです、

また、ピアス病に耐性のある樹が開発されており、かなり効果がありそうなので、植え替えにはそれが使われるケースもあるようです。

このほか、ブドウ畑の管理における人手不足も植え替えの一因になっているそうです。機械化しやすい形にするための植え替えだとか。

ナパでは現在、ブドウ畑の労働者は時給14ドル~というのが一般的だそうですが、ナパやその近辺は賃料が物価が高く、これではやっていけないため、セントラル・ヴァレー方面から出稼ぎに来ている人も多いとか。

このほか、近年はブドウ畑における女性の労働者も増えているそうです。一方で、子供の世代はその仕事を引き継がないことが多いとのこと。

先日お伝えしたトランプ次期大統領のことも含め、畑の労働者の問題は今後重要になってきそうです。
Date: 2016/1111 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Napa Valley Grapegrowersが2016年11月8日に開催したRootstockカンファレンスで、ブドウの収量とワインの品質の関係について興味深い講演がありました(Balanced Vines Produce Better Wines - Wines & Vines)。

講演者は、E&Jガロのニック・ドクーズリアン(Nick Dokoozlian)博士と、オレゴン州立大学のパトリシア・スキンキス(Patricia Skinkis)助教授。ドクーズリアン博士はUCデイヴィス時代から有名な研究者で、現在はガロで栽培・化学・醸造の副社長を務めています。

一般に、ブドウの収量が少ないほど、ワインの品質は高くなると考えられており、実際に、高品質のワインの説明では畑の収量の少なさを引き合いに出すことがしばしばあります。

しかし、ドクーズリアン博士によると、その相関は明らかでないとのこと。この考えは欧州、主にフランスから来たもので、フランスでは気候の関係などで、確かにそれは成り立っているのですが、カリフォルニアには当てはめられないのだそうです。

ガロは数多くのブドウ畑を持っていますが、収量が多くて高品質のところもあれば、収量が低くて高品質のところもあるとのこと。

問題の一つは、収量の問題は、畑の面積だけを見ており、畑の管理や、剪定などを考慮に入れていないこと。

博士によると、収量と、太陽にさらされる葉の面積との関係は非常に重要だとのこと。カベルネ・ソーヴィニヨンの場合、10cm2/gと14cm2/gの間で、急激に品質が上がるとのこと。ピノ・ノワールでは、品質の上がり具合はカベルネほどではないですが、4cm2/gと8~9cm2/gの間でやはり品質の上昇が見られるとのこと。

ブドウの房の数を減らすこと(クロップ・シンニング)は、収量あたりの葉の面積を上げる手っ取り早い方法ですが、実はそれを20~40%やってもあまり品質には影響せず、品質に影響を与えるには75%も減らさないといけないとのこと。

また、緑の実を落とすことは熟成を早めるのには役立ちますが、品質にはあまり影響していないそうです。

博士は低収量の畑でよく使われている、枝を縦方向に伸ばすバーティカル・シューティングは前述の日照の面であまりよくないとして好まず、スプリット・キャノピーが多くの地域で優勢だとしています。

バーティカル・シューティングの例
オーガニックで栽培されている畑(Ovid)
スピリット・キャノピーの例
ホーニッグの畑

結論としては、バランスの取れたブドウが高品質なワインを作るということで、収穫を減らしすぎない方がいいとしています。「ほとんどのナパとソノマの畑は収量を減らしすぎ」とのこと。

一方、オレゴン州立大のスキンキス助教授はオレゴンのピノ・ノワールについて話をしました。スキンキス助教授は、枝1本あたりの房の数と品質との関係を調べたところ、1枝あたり0.5房だと野菜っぽく、1.5房が最適、自然の平均は1.8房だったとのこと。また、房の数と糖度やPHなどはほとんど関係なく、一番大きな影響があったのはアントシアニンだったとのことです。

ただ、カリフォルニアとオレゴンは生育条件が大きく異なるので、これをそのままカリフォルニアに適用することは難しそうです。

これまで、収量と品質についての研究はあまり見たことがなかったので、これから多く議論されることになるのかもしれないですね。興味深い話題でした。
Date: 2016/1110 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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多くの日本人にとっては、これだけは起こってほしくなかった、ということが起こってしまった感じですが、なってしまったものはしょうがない。あとはそれがいい方向に向かうことを期待するばかりです。

Donald Trump

では、トランプ大統領がワイン業界にどう影響するかですが、既に英国のDecanter誌に記事が出ていました(What a Trump presidency might mean for wine)。ここでは、それも踏まえながら、個人的な見解も含めて書いていきます。

2016年は、英国のEU離脱(Brexit)という、これもショッキングな投票結果がありましたが、それになぞらえている記事です。英国のポンドはBrexitの決定以降、かなり弱くなり、大幅なポンド安が続いています。そのため、英国ではワインの値上がりが続いていますが、日本円に換算するとむしろ値下がり傾向にあるというのは先日「高級ワインのインデックス、日本円換算では値下がり傾向」という記事で紹介した通りです。

日本時間の水曜日の開票中は、トランプ大統領の可能性が高まることで市場が乱高下し、円ドルの為替も朝方の1ドル105円近辺から一時は1ドル101円台にまで円高になりました。ただ、選挙結果が決まったあとはむしろ落ち着いた値動きに戻り、Brexitのときのように、一気にドル安に流れるということはありませんでした。このあたりは、コンピュータによる取引の判断が影響したということもあるようですが(「円はなぜ100円を突き抜けなかったか 米大統領選が映す機械取引の妙」参照)、ひとまず落ち着いたのは良かったと思います。

ただ、トランプ大統領が実際に政権について以降、ドル安傾向が強まる可能性は高いように思います。強いアメリカの復活をスローガンとするトランプ氏ですから、輸出企業が有利になるような施策を打ち出すことになるでしょう。また、保護主義が高まり、TPPの承認も棚上げになるでしょう。

TPPではワインの関税撤廃も入っていますから、これが実行されないのは、米国から日本にワインを輸入する際にはマイナスになります。ただ、ドル安円高は、日本の産業全体にとってはマイナスかもしれませんが、ワインの輸入価格という面ではプラスです。ワインの関税は1本あたり100円くらいですから、1000円以下の安ワインの市場を除くと、これがなくなるかどうかより、為替の影響の方が遥かに大きいです。

一方で、米国は世界最大のワインの市場となっていますが、ドル安によってEUから輸入するワインは値上がりするでしょう。高級ワインではフランスなどEUのものよりもカリフォルニアワインを選ぶ動きが高まるかもしれません。1万円を超えるような高級ワインでは、日本に輸入したくてもモノがない、といったことも起こるかもしれません。EUから米国への輸出が減ると、EU諸国はよりアジアを重視するようになる、といった変化の可能性もあるかもしれません。

為替と関税関係をまとめると、TPP非承認はマイナスだが、ドル安に振れることで、2000円以上のワインではメリットが出てくる。ただし高級ワインは争奪戦が激しくなるかもしれません。

また、米国のワイン業界にとっては、メキシコからの移民の問題が最大の懸念材料になるでしょう。トランプ氏は、メキシコとの間に壁を作れと主張するほど、移民に警戒的です。一方で、カリフォルニアなどのブドウ畑で働く人は大半がメキシコ人です。もちろん正式な手続きを経て米国に来ている人も多いでしょうが、不法移民がいない、ということはないでしょう。トランプ氏が大統領になった暁にどういう施策を打ってくるかは気になるところです。新たな移民が入ってこなくなったとしてら人手不足で畑を管理できなくなったり、コストが上がったりということも起こるかもしれません。結果としてワインの品質が落ちたり、価格が上昇するといったことが本当に起こる可能性もありそうです。

実際にトランプ大統領になってみないと何がどうなるかわかりませんが、マイナスのことだけではなさそうだと思って見ていきましょう。
Date: 2016/1109 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ちょっと紹介するのが遅くなってしまいましたが、先週木曜日発売の週刊モーニングの『マリアージュ~神の雫 最終章~』でも、再びカリフォルニアワインが出てきました。

今度はデザートのガトーショコラに合わせるワインという話。
ガトーショコラ

カカオ比率
カカオがたっぷりはいっているようです。
これに、どうワインを合わせるかというと、
特徴ジンファンデル

で、どのワインかというと
プリズナー

ということで、プリズナーでした。

プリズナーは品種を名乗らず、単に「レッド・ブレンド」と称するブレンドものの先駆けとなったワイン。元々オリン・スイフトが作っていたワインですが、2016年にはコンステレーション・ブランズに買収されています。




Date: 2016/1108 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2011年に売却されたソノマのセゲシオ(ソノマのセゲシオもワイナリを売却,ワイナリの世代交代は難しいのか?)。家族経営の難しさを露呈してしまいましたが、その後もワインメーカーのテッド・セゲシオはワイナリーに残ってワインメーカーとして働いています。

そして、そのいとこで、かつてはパートナーだったピート・セゲシオはジャーニーマン(Journeyman)という新しいワイナリーに取り組んでいます。

San Lorenzo

実はセゲシオ売却時にサン・ロレンツォという19世紀に植えられた畑は売却対象になっていなかったのですが、ワイナリー売却時の条件として、3年間は競合製品を作ってはいけないことになっていました。それもクリアして、いよいよピート・セゲシオもジンファンデルに復帰してきました。

ジャーニーマンではシャルドネとピノ・ノワールのほか、このほどSan Lorenzo The Pearlというジンファンデル系のフラッグシップのワイン、およびSan Lorenzo Rock Gardenというジンファンデルを発売。The Pearlは100年を超える樹齢のブドウを使ったもので、フィールドブレンドで約70%がジンファンデルだとのこと。Rock Gardenは20年前に植えられた区画で、一番急斜面のところだそうです。

古い樹齢の畑は極めて限られたリソースですが、それでもこうやって新しいワイナリーが出てくるのは面白いですね。
Date: 2016/1107 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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11月というと、ボージョレ・ヌーボーの解禁日である第3週の木曜日が話題になりますが、日本にも「山梨ヌーボー」があり、11月3日が解禁日になっています。

山梨ヌーボーとは|山梨ヌーボー2016 11/3解禁」のページによると、「デラウエアーや巨峰などの新酒ワインは一足先に発売されていますが、日本が世界に誇る日本固有のぶどう品種である甲州とマスカット・ベーリーAで造られた新酒ワインを「山梨ヌーボー」と命名して解禁日を設けました」とのことです。解禁日の11月3日には東京の日比谷公園で「山梨ヌーボーまつり」というイベントが開催されています。

11月4日に東京・神田の柳屋に立ち寄ったところ、山梨のワイナリーの中でも高品質な甲州で、Decanter誌のコンクールで賞を受賞している中央葡萄酒(グレイスワイン)が試飲をしていました。

中央葡萄酒の試飲@柳屋

近年品質が高まっていると言われている「日本ワイン」には私も関心がありましたが、カリフォルニアだけでも手一杯で、なかなか飲む機会もないため、いろいろ話を聞きながら試飲してきました。

試飲した3種は新酒のセレナと、2015年の「グリド甲州」、「グレイス甲州」です。フラッグシップの「キュベ三澤 明野甲州」も置いてありましたがさすがに試飲対象外でした。

セレナとグレイスは甲州のフリーランジュースだけを使ったワイン。フリーランらしく、どちらもさわやかな味わい。セレナはきりっとした酸が特徴で、シャブリかと思ってしまうほど。ハーブっぽさも少し感じます。

グレイスの方は、さわやかさに加えてふくよかさもあり、バランスのいいワイン。2016年のDecanter誌のコンクールで95点。プラチナ賞とベストアジア賞を受賞したワインです。飲んだ3種の中では1ランク上の味わいでした。

もう1つの「グリド甲州」はプレスした果汁を使ったワイン。それだけに、一番コクがあり、苦味も少し感じます。面白いワインですが、個人的な好みの方向からは少しはずれていました。こちらはDecanterのアジアのコンクールでプラチナとベスト・イン・ショーを受賞しています。

日本ワインの話や、畑の話など、いろいろ伺いながら試飲できてかなり勉強になりました。

ワインは、味で選ぶならグレイスだったのですが、せっかく年に一度の新酒解禁の次の日ということで、今回はセレナを購入。さっそく自宅で飲んでいます。

日本食に合わせるなら、ボージョレ・ヌーボーよりはこちらの方がずっといいと思います。ぜひお試しあれ。

余談ですが、カリフォルニアにもヌーボーはないわけではありません。しかし、日本のように新酒を祝うという文化がないため、積極的に展開しているワイナリーは少なく、日本にも入ってきていないと思います。

Date: 2016/1106 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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キスラーのスティーブ・キスラーがソノマのサーモン・クリークを汚染したとのことで罰金の支払いを命じられています(Sonoma County vintner Steve Kistler to pay more than $500,000 to settle creek pollution case | The Press Democrat)。

罪状によると、キスラーは、ワイナリー内の池をきれいにするため、池の水を、小さい池に移すように命じたとのこと。それが溢れて川を汚したそうです。

水は非常に汚れており白く濁っていたので、発見した人は最初乳製品を流したと思ったほどだったとか。その汚れのせいで、サーモンやマスの幼魚が死んでしまった可能性が高いそうです。

キスラーは、溢れた水が川を汚したと気付いた時点で止めたと主張していますが、実際には止める手立てを打たなかったとシェリフ側は述べています。

キスラーは32万2498ドルを清掃などのために支払い、25万7202ドルを環境プロジェクトに寄付されるそうです。
Date: 2016/1105 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワインの資格団体であるワイン&スピリッツ・エデュケーション・トラスト(Wine & Spirit Education Trust:略称WSET)とジャンシス・ロビンソン・ドット・コムは、WSETの卒業生の中でも優れた人に与える賞を創設、このたび初回の候補が発表されました(Nominees Announced For New WSET Outstanding Alumni Award | Wine & Spirit Education Trust)。

WSETの最高資格であるDiplomaを取得した人が対象です。なお、ワイン業界最高の資格であるマスター・オブ・ワインも、Diplomaを取得が最初の条件であり、Diplomaはマスター・オブ・ワインに次ぐ資格と言えるでしょう。

初回の候補者は以下の通り
Maureen Downey:偽造ワインの専門家で、WineFraud.comを立ち上げた人。
Joe Fattorini:レストランにおけるワインの販売とマーケティングに関する本を初めて書いた人。
Isabelle Legeron MW:自然派ワインの推奨社でRAW Wineという英国のワイン・イベントを立ち上げた人。このイベントはベルリンとニューヨークでも開催されている。
Yang Lu:中国のソムリエの第一人者。
大橋健一MW:世界における日本酒(Sake)のプロモーションに貢献しており、マスター・オブ・サケの資格も持っている。

2015年に日本在住の日本人として初めてマスター・オブ・ワインになった大橋さんが5人の中の一人に選ばれています。これはとても名誉なことだと思います。

ここまで来たら、ぜひ卒業生賞に選ばれてほしいものです。

なお、賞はDiploma取得者の投票によって選ばれます。11月14日までが投票期間で、11月末に発表される予定です。
Date: 2016/1104 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2011年に自身の名前の付いたMacPail Family Winesをヘス・コレクションに売却したジェームズ・マックファイルが新たなプロジェクトを始めています(Grapewagon Custom Crush By MacPhail Debuts In Healdsburg)。

一つは新しいワイナリー、もう一つはカスタム・クラッシュ(醸造設備を他のワイナリーに貸すサービス)。実は、ヘスへの売却にはワイナリーの設備は含まれておらず、それを利用してカスタム・クラッシュを始めたのでした。名前はグレープワゴン。既に10を超えるワイナリーが使っており、フル稼働の状態です。

新しいワイナリーはトング・ダンサー(Tongue Dancer)。ソノマ・コーストのパットナム(Putnam)という畑のブドウを使って、ピノ・ノワールとピノのロゼを作っています。既にワイン・エンシュージアスト誌で92点を得るなど、高く評価されており、メーリングリストメンバーでないと入手できない状況です。


新しいプロジェクト、今のところ、堅調で良かったです。ただ、ワイナリーに自分の名前を付けるべきではないなと思いました。
Date: 2016/1103 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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TTB(アルコール・タバコ税貿易管理局)が、ソノマのペタルマ・ギャップのAVA制定に関してパブリック・コメントの募集をはじめました(TTB Opens Public Comment Period on Proposed Petaluma Gap AVA)。募集期間は12月27日まで、その後はAVAとして認めるかどうかTTBが審査します。

現在のところ、コメントは7つはいっていますが、いずれもAVA策定に肯定的です。コメントしている人の中には著名ブログVinographyのAlder Yarrowもいます。

Petaluma Gap

ペタルマ・ギャップは、かねてより広すぎると言われていたソノマ・コーストAVAの東南側(上の図でわかるようにソノマ・コーストの完全に内側ではなく、南のマリン郡側に少しはみでています)。ここの地域の特性は風。西の太平洋から南のサン・パブロ湾に向かって強い風が吹き荒れます。その風の吹く通路が「ギャップ」と言われるゆえんです。

ペタルマ・ギャップで有名なワイナリーは、ケラー・エステートなどがあります。どちらかというと、ここに本拠地を持つというよりも、この地域のワインも作っているワイナリーが多い印象です。「Wineries | Petaluma Gap Winegrowers Alliance」にペタルマ・ギャップの業界団体に所属しているワイナリーの一覧があります。

ソノマ・コーストは以前から広すぎると言われていましたが、ペタルマ・ギャップのAVA化によって、ペタルマ・ギャップ側と「トゥルー・ソノマ・コースト」側に分かれていくのではないかと思います。

順調に行けば、おそらく2017年内にはAVAになるのではないでしょうか。
Date: 2016/1102 Category: 業界ニュース
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発表されたばかりのWine Advocate誌227号には、ロバート・パーカーによる、北カリフォルニア・レポートのパート1が掲載されています。ここ5年くらいのヴィンテージの中でも品質的には一番高く評価する人が多い2013年のワインが中心であり、予想に違わず100点のワインも多数出ています。

その多くがナパのカベルネ系でしたが、中でひときわ目に付いたのがベッドロック。このブログでも再三取り上げていますが、レイヴンズウッドのジョエル・ピーターソンの息子、モーガン・ピーターソンのワイナリーです。
Bedrock

なんと100点2本に99点1本の快挙です。ジンファンデル系でなかったのは少し残念ですが、ソノマのシラーとしては初の100点です。Weillという畑の情報はあまり見つからなかったのですが、ソノマ・ヴァレーにあり、以前はレイミーなどにブドウを供給していたとのこと。

Exposition 1から3まであるのは、ワインの作り方に違いがあるため。Exposition 1は除梗なしの作り。Exposition 2は半分除梗し、ヴィオニエを8%ブレンド、Exposition 3は完全に除梗し、ヴィオニエは16%。今回の試飲をまるでコートロティのギガルでテイスティングしているかのようだったと評するパーカーは、最後のワインをとりわけ、ラ・ムーリンヌに似ているとしています。

日本にはこれまで入ってきていないワインですが、実は今回、少ない生産量(Exposition 3は125ケースとのこと)の中から少数ですが、日本にも回してくれるそうです。

本当に少しなので小売にまで回るのは難しそうな気がしますが、期待しましょう。

ところで、モーガンは現在35歳。30代で100点のワインを作ったワインメーカーがどれだけいるか調べたこともないし、調べるのも難しすぎますが、かなり若いのではないでしょうか。

ベッドロックのジンファンデル系フラッグシップはこちら。
Date: 2016/1101 Category: 業界ニュース
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ナパ・ヴァレーに行ったときに寄り道する定番の場所が、ナパヴァレーへのWelocmeを表したサイン。実はオークヴィルとカリストガの2カ所にありますが、特に有名で人気なのはオークヴィルの方。ただ、この場所が危険なのでは、という話もあるようです(Do the 'Welcome Napa Valley' signs need more welcoming sites?)。

何が危険かというと、オークヴィルのサインはHighway29沿いで、道の西側にあります。このサインの場所に行くには、Highway29を北上している場合、道の左側です。米国では車は右側ですから、反対車線を横切って左折しないといけません。それが危険だとのことです。

ナパ・ヴァレー・サインの前で

確かに、そういう面はあるかもしれません。ただ、今の場所で仮に反対側に移したら、今のように背景に山が入るような写真は撮れません。ロケーション的には今のところが優れています。なので、仮に新しいサインの場所を見つけるにしても、今のサインをなくすのではなく、追加ということになりそうです。

それはそれとして、実はカリストガのあたりにもあるというのは初耳でした。
Date: 2016/1031 Category: 業界ニュース
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Plumというインターネットに接続する機能や、ワインを飲みながら90日間保存する機能などを持つデバイスが発表されました。

Plum

どんなことができるかは、まずはビデオを見ていただくのがわかりやすいと思います。



Plumには通常の750mlボトルを最大2本セットできます。コルクとスクリューキャップに対応しているとのこと。

セットしたワインはフロントのボタンを押すだけで、グラスに注げます。そのまま90日間置いておけるそうです。コラヴァン(Coravin)と同様、アルゴンガスをボトルに注入することでそれを実現しています。

セットしたワインのラベルを自動的に読み取ります。そのときにネット上の情報も活用するようです。読み取った情報はフロントに表示されます。また、ワインの情報から最適な温度で保管してくれるようです。

さて、あなただったらこれにいくら払いますか? そして、これはいくらだと思いますか?

価格はなんと1499ドル! うーん、いくらなんでも高すぎます。また、下手したら小型の電子レンジくらいありそうなこの大きさは日本には全くマッチしそうにありません。

この1年くらい、ネット家電でワインに対応したものなど、いろいろ発表されていますが、どうもまだ買いたくなるような製品は見当たりません。コラヴァン以降、本当に画期的な製品は現れていないように思います。
Date: 2016/1030 Category: 業界ニュース
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カリフォルニアのスパークリング・ワインといえば、マム、シャンドン、ロデレールなど、フランスの大手シャンパーニュ・メーカーのものが中心になっているという印象があります。また、クオリティ的にはどうしてもシャンパーニュにはかなわないと考える人が多いのではないかと思います。

ソムリエの千葉さんに言わせると、そもそもカリフォルニアでいいスパークリングを作るのは難しいとのこと。
基本的にカリフォルニアでスパークリングを作るというのは、シャンパーニュで濃厚なカベルネを作ろうとするぐらい無謀な事だ。(繰り返すが、カリフォルニアの方が気候が多様である為、極一部でスパークリングに適した畑はある。)
多くのスパークリングは糖度だけシャンパーニュのそれと合わせて作るだけでフレーバーが無い。光合成が活発になるカリフォルニアでは仕方がないことだ。


その千葉さんをして、これまでのカリフォルニアのスパークリングとは別物というのが、「ウルトラマリン(Ultramarine)」。
このウルトラマリンは別物。表面的にシャンパーニュを模倣して作った痩せ細ったものでもなく果実味だけで奥行が無いタイプでもない。カリフォルニアらしくかつ滋味深さがある。



このウルトラマリンを作っているのがマイケル・クルーズという人です(California's new garage sparkling - and the winemaker behind it - Decanter)。

この人、UCデイヴィスを卒業していますが、ワインを学んだのではなく、分子生物学で学位を取っています。卒業後もUCバークレーやUCサンフランシスコの研究所で働いていました。そして2006年に初めてワイン業界に職を得、2008年にはウルトラマリンを設立しています。

その過程では、シャンパーニュにおけるグロワーズ・シャンパーニュへの興味というのがかなり影響したもようで、ウルトラマリンは最初からスパークリング専業、しかも他のワイナリーからの依頼によるスパークリングを作るカスタム・クラッシュを兼ねるという形になっています。

また、スパークリング・ワインの醸造といえば、一番の特徴は瓶内二次発酵で、その過程で、ボトルを少しずつ回転させて便の口に澱を集めるという作業がありますが、大手ではそれを機械で行うのに対し、ウルトラマリンではすべて人手で行います。

畑はソノマ・コーストの銘醸畑チャールズ・ハインツ。太平洋から12kmほどしか離れていない、非常に涼しいところにある畑です。

実はウルトラマリンのスパークリング、日本にも昨年ごくわずかだけ入荷していました。残念ながらあっという間に売り切れ、その後は入ってきていないようですが…

ウルトラマリンのほかにも、ベッドロックのモーガン・ピーターソンが手がけるアンダー・ザ・ワイヤー(「スパークリングワインにもテロワールを!モーガン・ピーターソンの新プロジェクト」で取り上げています)など、カリフォルニアのスパークリングにも新しい息吹が出てきているのは興味深いことです。

こちらもベッドロックのモーガンが作るロゼ・スパークリング。カリニャンが80%で残りがピノ・ノワールとシャルドネ。
Date: 2016/1029 Category: 業界ニュース
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モーニングで連載中の『マリアージュ~神の雫 最終章~』で珍しくカリフォルニアのピノ・ノワールが紹介されています。フランス料理にマリアージュさせるワインの話の途中であり、まさかカリフォルニアが登場するとは思わなかったのですが、その伏線で、パリで新世界のワインを出すビストロに行ったときの話として登場しました。しかも、エスカルゴと合わせるという、なかなか難しそうなテーマです。

紹介されたのはアンダーソン・ヴァレーのピノ・ノワール「ケイネズ(Knez)」。ここについては以前「アンダーソン・ヴァレーでコスト・パフォーマンスが高いエレガントなピノを作るケイネズ」という記事で紹介しています。

ワインメーカーのアンソニー・フィルベルティは元ウィリアムズ・セリエム。現在はケイネズと、ソノマのアントヒル・ファームズでワインメーカーをしています。アントヒル・ファームズは、ヴィナスのアントニオ・ガッローニもお気に入りといっているワイナリーですから、実力は折り紙付き。

また、ケイネズはアンダーソン・ヴァレーにデムス、セリーズ、ケイネズの3つの自社畑を持っています。セリーズはリトライにもブドウを供給しているくらいですから、その品質の高さが伺えます。

マンガでは「静けさのあるエレガントなワインだ」と評されていますが、冷涼なアンダーソン・ヴァレーのよさが出ているのだと思います。

モーニング第48号『マリアージュ~神の雫 最終章~』よりモーニング第48号『マリアージュ~神の雫 最終章~』よりモーニング第48号『マリアージュ~神の雫 最終章~』より

なお、紹介されているのは一番下のAVAもの。4000円程度と国内でもリーズナブルな価格です。
Date: 2016/1029 Category: 業界ニュース
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Weed
一部の州で娯楽目的のマリファナが認められている米国では、食事にワインをマッチングさせるように、食事にマリファナをマッチングさせる、といったことをする人も出てきているようです。カリフォルニア州は2週間後の投票によって、それを認めるかどうかというところにきており、その前に行われた食事にマリファナをマッチングさせるイベントの記事がありました(Why Weed Pairings Are the New Wine Pairings | MUNCHIES)。

In celebration of our launch in LA, we've released brand new jars. What do you think of the new packaging?

FLOW KANAさん(@flow_kana)が投稿した写真 -




一方で、すでに娯楽目的のマリファナが解禁になっており、栽培も盛んなオレゴンでは、地下水の利用でブドウ農家との対立がでてきているという話もあります(Oregon Wine Grape Growers Learn to Roll with Cannabis - Wines & Vines)。

期せずしてマリファナ関連の記事を連続してアップしましたが、たまたまカリフォルニアでの投票が近く、米国での記事が増えているのが、理由です。個人的にはこれに関する知識は全くといっていいほどなく、意見はニュートラルです。特に高樹沙耶さんを応援しよう、といった意図もありませんし、日本は遅れていると断じるつもりもありません。
Date: 2016/1028 Category: 業界ニュース
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赤、白のワインに続いて、緑色のワインというものがあります(Green Wine Exists and It)。

調べてみると、マリファナ入りのブドウとのこと。医療用としてカードを提出した人だけが購入できるのだそうです。

日本ではまず作られないと思いますが、どうなんでしょうね。おいしいのでしょうか。
Date: 2016/1027 Category: 業界ニュース
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シャトー・マルゴーのエステート・ディレクターだったフィリップ・バスコール氏をフランシスコ・フォード・コッポラ監督がイングルヌックに引き抜いたのが2011年。ところが、シャトー・マルゴーの総支配人ポール・ポンタリエ氏が今年亡くなったことで、長年彼の元で働いていたフィリップ・バスコールにマルゴーの総支配人のオファーが来ました。

結果、フィリップ・バスコール氏はシャトー・マルゴーの新たな総支配人になりますが、イングルヌックのワイン作り担当ディレクターも続けることが正式にアナウンスされました(Philippe Bascaules to Remain Inglenooks Director of Winemaking)。

フィリップ・バスコール氏はイングルヌックに着任以降、50年計画で畑やワイナリーの改善計画を立て、現在5年が過ぎたところです。

その計画どおりに、畑の植え替えやワイン作りの設備など、現在も計画を進行しているところであり、今後もそれを継続していくとのことです。

大西洋の両側でワイン作りをする、すごい人ですね。
Date: 2016/1026 Category: 業界ニュース
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ワインのフラッシュ・セールの現状についてまとめた記事がWines & Vinesに出ていました(Has the Sizzle Left Wine Flash Sales? - Wines & Vines)。

フラッシュ・セールとは、通常の価格から大幅に値引きした商品をごく短い期間だけ販売する手法。日本では、代表的なサービスであったグルーポンの名前から、クーポン・サイトといった言われ方をすることもあります。ただ、日本では初期にグルーポンのおせち販売で社会的に大騒ぎになったこともあり、あまりメジャーなサービスには育たず、ワイン販売もあまり活発とは言えません。

それに対して、米国ではワインをメインに扱うフラッシュセールのサイトがいくつもあります。例えば最大手なのが下のInvino。

Invino

フラッシュセールはワイナリーの在庫整理などに使われて来ましたが、当初はすぐに整理するワインがなくなるだろうと言われていました。

しかし、意外にも2015年までは毎年成長を続けていました。

ところが一転2016年はほとんどのサイトで前年割れの実績。これについて、記事ではさまざまな意見を取り上げていますが、決め手となりそうなものはあまりなく…

ただ、消費者は価格だけのためにワインを買うことが減っているといった様相はありそうです。
Date: 2016/1025 Category: 業界ニュース
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高級ワインのセカンダリー・マーケットを提供するLiv-ex。取引価格のインデックスについても発表していますが、この1年はかなり値上がり傾向にありました。Liv-ex100という代表的な100種類のワインでみたときのインデックス推移を以下に示します。

Liv-ex100の推移

これを、為替と合わせてみたグラフが公開されています(Liv-ex 100: Performance by currency - Liv-ex Blog)。

為替と合わせた推移

Liv-exはイギリスのポンド建てです。英国のEU離脱が決まってから、ポンドは安くなっており、特に円はこのところ円高傾向にあるため、代表的な通貨の中でも円で見たときの価格は安くなっています。

つまり、日本円ベースで見ると、ここ1年で高級ワインの価格は下がっていると見るのが妥当なのです。

カリフォルニアワインも円高で少し値下がりしてきている感じがします。消費者ベースでは円安よりも円高の方が恩恵がわかりやすい感じがしますね。
Date: 2016/1024 Category: 業界ニュース
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人気の高いカレラのピノ・ノワール。セントラル・コーストのほか、6つの自社畑のものがあります(日本専用のブレンドやロゼを除く)。この評価がどうなっているか、ド・ヴィリエが加わった2007年以降でWine Advocate誌のレイティングをまとめてみました。

カレラ評価

ジェンセンが高評価というイメージがありましたが、近年頭一つ抜け出ているのはセレックです。また、個人的にはミルズとリードはちょっと下というイメージを持っていましたが、ミルズは意外と高評価が多いこともわかりました。

ちなみに、平均を取ってみると、一番はセレックで96.2、次がジェンセンで95.4、以下ミルズが94.6、ド・ヴィリエが93.9、ライアンが93.3、リードが92.1、セントラル・コーストが90.3でした。

セントラル・コーストは価格を考えると結構あっぱれな安定ぶりです。

生産量も入荷も少なく、入手が難しいセレックとジェンセンを除くとミルズ、ド・ヴィリエあたりがお買い得感がありそうです。特にミルズは現行ヴィンテージの2012、米国での最新ヴィンテージの2013の両方でジェンセンと同じレイティング。価格は約半分です。ド・ヴィリエはやや長熟型ですが、個人的には好きな味わい。





Date: 2016/1023 Category: 業界ニュース
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シラーはしばしばペッパーの風味がありますが、その原因物質はrotundone(ロタンダン?)という物質であることがわかっています。

Rotundone 3D
Rotundone 2D

この物質が畑の上でどのように集積するかを調べた研究結果が公表されています(Mapping rotundone spatial variability to influence wine aroma)。

それによると、畑上でのrotundoneの濃度を調べると、場所によって最大5割ほども違っており、それが濃いところは、1年を通じて濃いということがわかってきました。

さらに調べると、ウッド・バイオマスが多いところがrotundoneも濃いというように、樹木との関係がわかってきました。

ワインの特定の風味についてわかっていることはそれほど多くないと思いますが、面白い研究ですね。これによってペッパー風味をある程度コントロールできるようになるのかもしれません。
Date: 2016/1022 Category: 業界ニュース
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ジョセフ・フェルプス・インシグニアの40周年記念ヴィンテージが国内にも入荷が始まっています。米国では9月に出荷が始まりました(ジョセフ・フェルプスが40ヴィンテージ目のインシグニアを出荷開始)。

Insignia 2013

Wine Advocate誌では96-100点という高評価がついています。2012年が96点。20れ13年はレビューでもそれよりよくなりそうだと書いてありますが、ボトリングの前の試飲だったので、あえて幅を持たせた評価になっています。最終的には98点以上が付く可能性もかなりあるでしょう。

2万円台前半という価格はオーパス・ワンと比べたら1万円以上安く、かなり割安感があります。


Date: 2016/1021 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2016年の収穫がほぼ終わり、カリフォルニアの収穫レポートが出ています(2016 California Wine Harvest Report)。収量普通ですが、品質についてはカリフォルニア全域ですばらしい状態のようです。
Pinot Noir Harvest

例えばケンダル・ジャクソンのワインメーカーであるランディ・ウロム氏は「これまでのところいいシーズンだ。ブドウは非常にいい状態で、フレーバーもすばらしい」としており、ナパのセント・ヘレナに畑を持つキャシー・コリソンさんも「2016年は収穫は早く、量は少なかったが、とてもおいしい。生育期間の気温は低めで夜も寒く、濃くて複雑なワインができた。ペースも安定しておりワインメーカーにとっては易しい年だった」としています。

キャシー・コリソンさんと

収穫全体は平年並みの390万トンくらいだろうと推定されています。2015年に非常に収穫量が下がったパソ・ロブレスも、今年はエル・ニーニョの影響で(思ったよりは少なかったけど)、過去4年と比べると冬の雨量が多く、収量が回復しました。

ロウダイのマイケル・デイビッドは9月末までに約半分を収穫しましたが、収穫のペースは安定していたとのこと。落ち着いた天気が続いたことで、ちょうどいいタイミングで収穫するのが難しくなかったとのこと。レーズン化したブドウも少なかったそうです。

サンタ・バーバラは昨年に続いて早い収穫となり、ピノ・ノワールとソーヴィニヨン・ブランの多くは8月後半に収穫されたとのこと。ブドウの実は小さく、最高の状態だったそうです。これまでで一番バランスが取れたワインができそうだとのこと(ヒッチング・ポストのフランク・オスティーニ・ワインメーカー)。

ソノマも収穫は全体に早めでした。ただ、9月半ばに非常に涼しい時期があり、シャルドネ
やピノ・ノワールの収穫とメルローやカベルネ・ソーヴィニヨンの収穫の間に一息つくことができたtのこと。

これで2012年から5年連続して、品質的には高いブドウが作られたことになります。2015年は収量の問題が一部で重大になりましたが、2016年はそれもなかったようです。

昨日のボージョレのレポートではないですが、グロワーは大体、悪かったとは言わないものであり、多少は割り引いて話を聞く必要があるでしょう。それを差し引いても今年は悪い評判がほとんどなく、いいヴィンテージになりそうです。


それにしても、カルトワイブームの影響で、21世紀初頭はハングタイムを長くすることにこだわって、11月まで収穫を伸ばすようなワイナリーもあったと記憶していますが、そのころに比べると健全な状態になったような気がします。
Date: 2016/1020 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ボージョレヌーボーの記事なんて書いている場合じゃなかったですね。カリフォルニアではありませんが超ビッグニュースです。ワシントン州の人気ワイナリー「チャールズ・スミス(Charles Smith)」が、大手酒販会社のコンステレーション・ブランズに売却されました(Charles Smith reshapes Washington wine industry - Great Northwest Wine)。売却額は1億2000万ドルと言われています。

チャールズ・スミスは「カンフー・ガール」などユニークな名前とラベルのワインで人気のワイナリー。品質も非常に高く、大手雑誌で90点台半ばの点数を多くのワインで得ています。

オーナーのチャールズ・スミスにとってはこれは2回目のワイナリー売却。前回は2006年にこれも人気のあったMagnificent Wine Companyを売却しています(完了は2010年)。

チャールズ・スミス自身はワイナリーを離れるものの、ワインメーカーなどは残るとのこと。また、チャールズ・スミスはこれで引退というわけではなく、次のプロジェクトを温めている様子。ただ、まだその内容は明らかになっていません。昨年シアトルのボーイング近くに開いたテイスティングルームがとても好調らしく、そのあたりが次の動きの発端になるのかもしれません。
Date: 2016/1020 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2016年のボージョレの出来についてプレスリリースが出ていました(Beaujolais 2016 Vintage: Wines of Elegance and Charm)。今年はパワフルよりもエレガントで素晴らしいバランスだとのこと。

フランスは今年、天候不順で雹害もあり、6月までは難しい天気が続いていました。そのため、容易な年ではなかったとのこと。

しかし、夏からは一転好天に恵まれ、最後は「天が許しを請うかのように素晴らしいインディアンサマーを届けてくれた」とのこと。

また、収穫量も雹害の地域を除けば過去5年平均の4割増しだそうです。

プレスリリースで「seeking forgiveness」なんて表現初めて見たような気がしますが、全体にとても味わい深い文章になっています、まるでiPhone発表後の「大司教」の記事のように…

ちょっと言葉が過ぎましたでしょうか。昨夜は盛大に寝落ちしてしまったので、今日はお気楽ネタで勘弁してください(笑)

Date: 2016/1019 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Advocate、日本酒リスト漏洩疑惑まとめ」で報じた問題について、ようやくWine Advocateから公式声明が出ました。編集長のリサ・ペロッティ・ブラウンMWが掲示板にコメントしたものです(Mark Squires' Bulletin Board on eRobertParker.com - View Single Post - Questions raised about Sake reviews . . .)。

上記サイトが見られない場合はこちらを参照してください(Wine Berserkers - international wine social media, online community, and forums • View topic - Parker Sake Rankings)。

結論から言うと、Wine Advocate誌226号で発表された日本酒のレイティングやレビューについて、事前に漏洩した事実はないとしています。

では、どうして疑惑のサイトが生まれたかというと、4月に300種類の日本酒を試飲したあと(この試飲にはミレジムが絡んでいます)、レビュアーのリーウェン・ハオがミレジムに、一部の日本酒について、より詳しい技術的情報の入手を依頼したそうです。その情報を使ったのだろうとしています。

ただ、ここは矛盾をはらんでいると思うのですが、The Taste of Sakeはル・カヴォーという会社が設立したものであり、ル・カヴォーはミレジムの元従業員が設立した会社で、ミレジムとは無関係だとしています。前の記事でも述べた通り、ミレジムとル・カヴォーは密接に結びついていることが明らかであり、この点は調査不足と思われます。

ただし、ミレジムは無傷というわけではなく「将来の試飲には一切かかわらせない」と名言されています。

また、前から宣言されていることですが、日本酒の評価は今回が唯一のものというわけではなく、これから継続的に広げていくものだとしています。今後はミレジムがかかわらない形で試飲をしていくことになります。


さらに、Wine Advocate誌で評価してほしい日本酒のプロデューサーは以下のメールに連絡してほしいとしています。
info@wineadvocate.com


今回の回答で、日本酒の記事自体については、幕引きの形になっていくのかと思います。ただ、今回の騒動であぶりだされてきたミレジムおよびロバート・パーカー・オンライン・ジャパンに関しての疑問はまだ完全に解消されたわけではありません。その点はさらなる回答を要求したいと思います。
Date: 2016/1018 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2年ぶりに、コルギンのポール・ロバーツ氏によるセミナーに参加しました(前回は「バッド・ヴィンテージこそ底力を感じたコルギンの試飲会」、前々回は「Colginのセミナーで計16万5000円のワインを試飲」)。過去のセミナーがコルギンのワインの中で、水平、あるいは垂直で試飲するものだったのに対し、今回は他のワイナリーのワインと比べてみようというのが趣旨です。

試飲したワイン
試飲したワインのボトル
ワインは試飲した順に
・コルギン カリアド 2012
・シャトー・ムートン・ロートシルト 2012
・ダナ・エステート カベルネ・ソーヴィニヨン ヘルムス・ヴィンヤード 2012
・コルギン IX Estate(ナンバー・ナイン・エステート) 2012
・コングスガード シラー 2013
・コルギン IX Estate シラー 2012

ポール・ロバーツ氏

コルギンのカリアドは青系の果実味が印象的なワイン。極めてスムーズ。ポール・ロバーツは「横に広がる感じがする」と言っていましたが、なんとなく分かるものの、説明するのが難しいところです。

ムートンは熟成肉のような香りが特徴的。こういう香りはカリフォルニアワインではかいだことがありません。珍重する人が多いのはわかる気がします。味わいは酸が強く、やや痩せた感じもありました。ふくよかなコルギンの後なので、そう感じたのかもしれませんが。

ダナ・エステートは、比較的タンニンが強く、がっしりとしたワイン。いわゆるラザフォード・ダストと呼ばれるような、土っぽさやスパイシーさもあります。

コルギンのナンバー・ナイン・エステートは赤系の果実位と青系の果実味、酸が高いレベルで調和したワイン。余韻の長さもすばらしい。ポール・ロバーツは「奥に広がる感じがする」とのこと。個人的には、今日のベストです。

コングスガードのシラーはパワフルだけれども、冷涼さも感じるワイン。青系の果実にスパイス。バランスがいい。これまたすごいワイン。

最後はコルギンのシラー。花の香り、青系の果実。タンニンは少なく、丸みを感じるワイン。これも非常にいいが、個人的にはコングスガードのシラーに1票をあげたい。いや、でもやっぱり甲乙つけがたいかも。どちらも素晴らしいシラーでした。

試飲して感じたのはコルギンの3本がいずれも非常に丸い印象で、ふくよかかつ、バランスがとれ、タンニンが少なめだったこと。これは良年と言われる2012年の特徴のようです。ポール・ロバーツ氏によると2012年はジューシー、2013年は黒系の果実が強くがっしりとしたワイン、2014年は2012年と2013年の中間的。2015年は豊穣。2016年は非常にすばらしいそうです。

また、カベルネ系の4本ではコルギンの2本はカベルネ・ソーヴィニヨンの比率が6割程度、ムートンは90%、ダナは100%となっています。ムートンとダナによりがっしりした印象があったのは品種構成の違いも大きいかもしれません。

シラーの2本について、ポール・ロバーツ氏は、クローンが共通していることを挙げていました。カリフォルニアのシラーではオーストラリアのバロッサ・ヴァレーからのクローンを植えることが多いのですが、ちょっとおおざっぱな味になる傾向があるそうです。コルギンとコングスガードはローヌ(エルミタージュ、コート・ロティ)系のクローンを植えているとのこと。それが、パワフルかつ繊細な味わいにつながっているそうです。

2012年の親しみやすさを、いい印象でとらえるか、やや凡庸なワインになっていると捉えるかは人によって違いがあるかもしれません。個人的には若いときからスムーズにおいしく飲めるのはいいと思います。ただ、熟成にはそれほど向かないかもしれません。ちなみにロバート・パーカーはカリアドを98点、IX Estateを99点、シラーを99点と非常に高く評価しています。なお、ムートンは94点、ダナは96点、コングスガードは98点でした。

このほか、今回ポール・ロバーツ氏が強調していたのは「テクスチャ」という言葉。例えば前日に、天ぷらやではまぐりの天ぷらを食べたところ、白ワインよりも、ターリーのプチ・シラーが絶妙にマッチしたとのこと。これははまぐりのテクスチャ(噛みごたえ、といった感じでしょうか)とプチ・シラーのテクスチャが近いからだとのことです。

また、もう1つこだわっていたのが、畑の斜面の向き。コルギンでは強すぎるワインができるのを避けるために東か北に向いた斜面だけを使うとのこと。実際、ナパの東側の丘にあるナンバー・ナイン・エステートの畑もやや東側に傾いている特徴的な地形です。



Date: 2016/1017 Category: 技術系
Posted by: Andy
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地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子|日本テレビ」の第2回を録画し忘れてしまい、どうしようかと思ったのですが、最近のテレビ局は偉いですね。サイトを見たら、次の放送までは前回のものが無料で見られるようになっています。

とはいえ、パソコンの画面で見るのもなあ、と思って、閃いた(というほどではないですが)のが、パソコンからテレビにHDMIでつなげばいいのではないかということ。早速HDMIケーブルを買ってつないでみたら、普通に2画面で使えるようになりました。

パソコンの設定でテレビ側は複製が出るようにして(テレビ側だけ表示する設定でも、別々の2画面を表示する設定でもいいですが)、フルスクリーン再生したら、ビデオで見るのと画質的にもほとんど遜色ないレベルで見られました。音声もテレビから出ますし。

早送りとか巻き戻しとかはパソコンでやらないといけないのが少々面倒くさいですが、再生だけなら何の問題もないですね。
実は、Amazonのプライム・ビデオ見るのにFire TV端末買おうかなとか、ずっと考えていたのですが、使用頻度を考えるとプライム・ビデオも同じ方法で見れば十分なのではないかという気になりました。

惜しむらくは、買ったHDMIケーブルがちょっとだけ短くて、テレビにつなぐためにパソコン(ノートですが)を10cmくらい動かさないといけなかったこと。こんなところでケチっちゃだめですね。


Date: 2016/1017 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ペットボトルのワインについての記事が出ていました「見た目は瓶、軽くて簡単 ペットボトルワインが人気|MONO TRENDY|NIKKEI STYLE」。ワインのパッケージングについては、このブログでもときどき取り上げており、個人的にも関心のあるところですが、ペットボトルのワインについても広がる可能性はあるのではないかと思っています。

記事に取り上げられているのは、いわゆる昔からの「国産ワイン」、すなわち濃縮果汁を輸入して、国内で醸造してワインに仕上げるタイプのものです。おそらく海外でペットボトルに瓶詰めして日本に輸入するというのは、少しハードルが上がるのではないかと思います。実は輸入ワインでもサントリーの「カルロ・ロッシ」ではペットボトルを使っていますが、カルロ・ロッシも米国ではペットボトルでは売っていません。昔ながらのいわゆるジャグ・ワインの瓶です。
칼로로시

フランスのボージョレ・ヌーボーでも数年前にペットボトルのものが出たという話がありました。個人的には「あり」だろうと思いましたが、まだ日本で売っているのは見たことがありません。

ちなみに、冒頭の記事に出ているサントリーの「酸化防止剤無添加のおいしいワイン。」を飲んでみたことがあります。赤は正直言ってあまり好みの味ではなかったですが、白はそこそこいけました。何よりも軽いのと、冷蔵庫に横に転がしておけるのが、取り扱いが楽でよかったです。実はその前に普通のスクリューキャップのワインを飲みかけで冷蔵庫に横にしておいたら、ワインが少し漏れてしまい、掃除が結構面倒だったのです。ペットボトルは簡単に閉まるけど、漏れる気配はまったくなかったです。

というわけで、取り回しの楽なペットボトルのワインはもっと増えていいのではないかと思っています。そもそもペットボトルをあまり見ないアメリカでは難しそうですが。
Date: 2016/1016 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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かわばた酒店でランドマークのシャルドネ「オーバールック」が税込み3240円で出ています。

ランドマークはかつてはヘレン・ターリーがワインメーカーをしていたというソノマの人気ワイナリー。特にシャルドネのオーバールックは1990年代からコスト・パフォーマンスの高さで知られていました。

当時の価格が約20ドルでしたが、今もほとんど変わらない価格で売られていることに少々驚きです。ナパのカベルネ等でしたら、20年前と比べたら2倍や3倍の価格になっていても全然不思議ではないですから…

近年の評価もWine Advocate誌では90点ほど(今回のヴィンテージの2013年は評価なし)。いい意味で変わらないのはいいですね。味わいも最近増えているライトなタイプというよりも、どちらかというと樽もしっかり効かせ、トロピカルフルーツやバターの風味もあるコテコテ系に近いものだと思います。

こういうワイン、毎日飲むとくどく感じそうですが、たまに飲む分には、これもまたいいなあと思うんですよね。

いろいろな意味で懐かしいワインと言えそうです。

ああ、そうそう、ラベルだけは大きく変わっていてびっくりです。

Date: 2016/1014 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズの「バイザグラス」に参加している「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」恵比寿店に行ってきました。

ロウリーズには、米国で2回ほど行ったことがあります。シカゴとラスベガスと。個人的には米国で食べたプライム・リブの中ではベストです。基本的には「ハレ」の日に行くレストランというイメージですが、訪れた日は週半ばでほぼ満席。肉ブームということもあるのでしょうけど、あらためて人気の高さを思い知ったのでした。

なお、プライム・リブについて一応説明しておくと、米国流のローストビーフと言われています。英国流のローストビーフは薄切りにして食べますが、こちらは厚くカットして食べます。牛肉のジューシーさを味わうのには最高の料理の1つだと思います。

恵比寿店は、恵比寿駅から徒歩10分ほど、ガーデンプレイスの中にあります。

■ロウリーズ・ザ・プライムリブ 東京 (Lawry’s The Prime Rib,Tokyo)
東京都渋谷区恵比寿4-20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー B2F
TEL03-5488-8088
ロウリーズ・ザ・プライムリブ/Lawry's The Prime Rib
国内にはこのほか大阪の梅田にも店があります。
重厚感あり入り口

バーコーナーもあります。
バーコーナー

メニューは比較的シンプル。前菜にサラダを食べて、それから肉を食べるというのが基本でしょう。メニュー

10月はベリンジャーのワインが各種グラスワインとして提供されます。
ワインリスト

最初にパンが出ます。自家製のパンで、小麦粉も特別に取り寄せているとのこと。これがふわふわやわらかく、香りもよくてとても美味しい。特にバターとの相性がとてもいいです。
パン

グラスワインはベリンジャーのソーヴィニヨン・ブラン。さっぱりした味わいで期待を裏切らないワインです。
ベリンジャーのソーヴィニヨン・ブラン
ロウリーズでは、グラスワインはボトルの右側に見える小さなデキャンタで提供しています。180mlなので、結構量は多いですね。ボトルの1/4くらいになります。二人で1杯分を分けて飲むような方法もできると思います。今回は取材対応で、普通にグラスにも注がれていますが、実際にはここまでの量はありません。

さて、ロウリーズの魅力の1つがテーブルサービス。サラダも席のところで仕上げてくれます。このテーブルの担当は三浦さん、笑顔が素敵な女性です。
サラダを仕上げる
氷の上でドレッシングと和えて混ぜてくれています。
かきまぜる

サラダ完成

ドレッシングは「クラシックヴィンテージドレッシング」というそうで、秘伝のレシピだとのことでした。くどくなく、あっさりしすぎでもなく、これも美味しいです。テーブルの上にはロウリーズブランドのペッパーが置いてあり、これをかけて「味変」も楽しめます。
テーブルペッパー

さて、いよいよ肉の登場です。ロウリーズではテーブルで客の注文を聞いて、大きな肉から切り分けてくれます。今回は300gのロウリーズカットをミディアムヘアでお願いしました。
肉

グラスワインはジンファンデルです。ジンファンデルらしい甘みがおいしい。今回も量は多いです。

ベリンジャーのジンファンデル

いよいよ肉をいただきます。
プライムリブ

最近は熟成肉のステーキなどが人気になっています。熟成肉が肉の旨味を味わうものだとすると、プライムリブは生に近い状態で、肉のジューシーさを味わうのに一番の食べ方だと思います。肉のジューシーさのためには肉にある程度の厚みがないといけません。普通のローストビーフより、プライムリブがまさるのも、そのままです


肉にはホースラディッシュが付きます。普通のホースラディッシュのすりおろしのほか、ホイップクリームと混ぜたものもあります。ホイップクリームを混ぜたものの方がマイルドで、ワインには合わせやすいです。

DSC03608
グラスワインの最後はカベルネ・ソーヴィニヨンのナイツ・ヴァレーです。かなり濃厚。まさにフルボディーなワインです。

今回はジンファンデルとナイツ・ヴァレーのカベルネと2種類いただきましたが、肉でグラス1杯という人も多いでしょう。ナイツ・ヴァレーは美味しいワインですが、プライムリブに対しては、やや味が強すぎる感じもあります。ここは意外とジンファンデルにして良かったかもしれません。

ヨークシャープディング

今回は久しぶりにプライムリブを堪能させていただきました。やっぱり美味しいですね。

ロウリーズ、かなりの大きさの店ながら、ほぼ満席。やっぱり肉ブームだからでしょうか。高級店ではありますが、雰囲気はほぼカジュアルで、Tシャツで来ているお客さんもいたほどです。

周囲からは何回か「ハッピーバースデー」の歌が聞こえました。やはりそういった記念日的な形で使う人が多いのでしょうね。ただ、年に1回のお祝いと限らず、ちょっといいことがあった日に使う、そういう感じでいいのではないかと感じました。グラスワインは、そういった楽しみ方にもあっていると思います。

なお、グラスワインのメニューは月替りだそうです。

なお、この記事はナパ・ヴァレー・ヴィントナーズ・ジャパンからの依頼で書いています。
Date: 2016/1013 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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「IPOB」など、カリフォルニアワインの新しい動きを伝えて、大きな影響を与えた本が、元サンフランシスコ・クロニクル紙のジョン・ボネが書いた「The New California Wine」でした。その出版から3年、今週はそのジョン・ボネが来日して、いくつかのセミナーで講演しています。

残念ながら、そのセミナーには参加できなかったのですが、同書で大きく取り上げられていたワイナリーの一つである「スコリウム・プロジェクト(Scholium Project)」のワインを試飲する機会がありました。
エイブ・ショーナー
スコリウム・プロジェクトはオーナーであるエイブ・ショーナーが一人で取り組むワイナリーです。スコリウムというのは「school」などと語源を共にする語で、ワインに学ぶということを意図しているらしいです(scholiumの単語としては「傍注」といった意味があります)。基本的には先人がやってきたことから学んでワインを作るというプロジェクトなのですが、皆と同じようなワインを作るというのではなく、むしろほとんどメインストリームには乗らないようなワインがほとんどです。畑も、だれも聴いたことないような場所にあるものが多数。生産量もごくわずかです。

ザ・プリンス・イン・ヒズ・ケイヴス
ザ・プリンス・イン・ヒズ・ケイヴスはソーヴィニヨン・ブランを使ったいわゆる「オレンジワイン」。果皮や種、茎の一部を残したまま醸造することで、軽く色づけされています。とはいえ、味わいはひねた感じはなく、意外とストレートに飲みやすいワインです。個人的には、かなり面白く、かつ美味しく感じたワインでした。

ポルポス
ポルポスはピノ・ノワールなのですが、シャローンのAVAにあるantle vineyardという畑のブドウを使っています。太平洋に直面した斜面で、硬く小さな実を付けるとのこと。できたワインはピノらしいエレガントさをほとんど感じない面白いワインです。今回試飲した2014年が最終ヴィンテージだとのこと。24ケース。

ウォルフスキルリザーブ
ウォルフスキルリザーブはカベルネ・ソーヴィニヨンですが、これもユニークな味わい。でも美味しいです。語彙が貧困な私には、「飲んでみて」としか言えません。94ケース。





Date: 2016/1012 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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【追記】本記事は2016年の山火事の記事です。2017年10月の山火事の記事は以下をご覧ください。
ナパ、ソノマで山火事による緊急事態宣言発令! 長沢鼎ゆかりの建物も消失!?
ナパ、ソノマの山火事続報、ワイナリー3軒が焼失など

ナパで山火事が起こっています。場所はヨントヴィルの西、Dry Creek Rd.沿いとのことで、Mt. Veederの北の方と思われます。まだ鎮火はされていない模様(Update: Napa County Fire Now 60 Acres; Evacuations Lifted - Napa Valley, CA Patch)。

山火事の規模としてはあまり大きくなく、今のところ怪我人などもなく、ワイナリーへの影響も報じられていません。大したことないと思いたいですが、場所的にはハーランの畑など、あまり遠くないところです。何事もなく鎮火することを期待します。
Date: 2016/1011 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ウメムラにケークブレッド・セラーズ(Cakebread Cellars)のフラッグシップ、ダンシング・ベアー・ランチ・カベルネ・ソーヴィニヨン2013がウメムラに入荷しています。ダンシング・ベアー・ランチはハウエル・マウンテンの斜面にある自社畑。2012年のカベルネ・ソーヴィニヨンはWine Advocate誌で99点を取っています。2013年は96点。いわゆる「山カベ」で、長期熟成向けの作りのようです。

ケークブレッドには6月に行きましたが、さすがにこれは試飲していません。さすがにフラッグシップだけあって美味しそうです。デザインもこれだけ他のワインと違っています。

Date: 2016/1010 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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試飲会レポートの第6弾です。

これまで紹介したのは
5000円以下で買えるナパらしい良質なカベルネ「ナパ・ハイランズ」
パルメイヤーが手がけるソノマ・コーストのワイン「ウェイフェアラー」
エレガンス系カベルネの究極? 「ポートフォリオ」にうなる
最終ヴィンテージ近い「オーガストウエスト」ロゼラズと、気になるピノ2つ
メルヴィル、サムサラ、ハイレベルなワインを輩出する兄弟ワイナリー

ソノマワイン商会は、ソノマの良質なワインを輸入しています。アレキサンダー・ヴァレー・ヴィンヤードや、キャロル・シェルトンなど、ネットショップで見かけるのは稀なのが残念ですが、4000円以下で高品質のワインがさまざまあります。

ラ・フォレ(La Follette)もそんなワイナリーの1つ。以前はタンデムという名前だったワイナリーです。創設者でありワインメーカーであるグレッグ・ラ・フォレはかのフラワーズでワインメーカーをしていた人。キャリアの初期にはナパのボーリュー(Baeulieu Vineyard=BV)で、伝説のワインメーカーであるアンドレ・チェリチェフとも働いていたとのこと。アンドレ・チェリチェフに「お前はピノとシャルドネをやれ」と言われて、ナパでのキャリアを諦めたというエピソードが残っています。アンドレ・チェリチェフ、さすがの慧眼です。

ラ・フォレのノースコーストのシャルドネは、個人的にはFoxGloveのシャルドネと並んで安ウマのトップクラスに位置すると思っています。ピノ・ノワールもバランス良く、旨味があって美味しい。もっとメジャーになってほしいワイナリーの1つです。


Date: 2016/1009 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズの「バイザグラス」に参加しているエド・パーラーさんに行ってきました。銀座という一等地にありながら、地下1階にわずか5席だけのスペース(補助椅子を使えば最大8席とのこと)。こんなところで、と言っては失礼になりますが、良質のカリフォルニアワインをグラスで飲め、またおいしいビストロ料理がいただけます。

しかも料理はほとんど1000円。ワインもほとんどグラス1000円と分かりやすく明朗会計。帰宅前に軽く食事とワインやビールを一杯とか、狭い空間で彼女・彼氏との距離を縮めながら料理やワインをゆっくり楽しむとか、いろいろな使い方ができそうです。ただ、席数が少ないので、ここぞというときは予約必須です。

■店名
 エド・パーラー(Ed. Parlor)
■住所
〒104-0061
東京都中央区銀座7-2-17 南欧ビルB1F
■電話番号
TEL/FAX 03 (3572) 0603

場所は有楽町駅から徒歩5分程度。ガード下のコリドー街に沿って新橋方面に進み、コリドー街の向かい側のビル(入り口は横道に入ったところ)。目印は「Don't Walk」のサインですが、それよりは近くの「とらふぐ亭」を目指す方が間違いないかもしれません。
エド・パーラー入り口
シンプル過ぎる看板
目印はとらふぐ亭

狭く急な階段を降りていきます。ここにいい店があると知らなかったら絶対に行かないレベル。
入り口

店の中はカウンター3席に、入り口の右側のテーブルに2席。行ったときは、テーブルおよびカウンター2席には先客がおり、カウンター一番奥の席につきました(なので他の席の写真はありません)。

料理をするのは新林健一さん。約20年赤坂のステーキ屋さんで働いた後、東日本大震災直後の2011年4月にこの店をオープンしました。
新林さん

ワインは写真のようにケースに入っており、ボタンを押すとグラスに注がれます。ここにセットできるワインが6本なので、基本的にグラスワインを6種類提供する形になります。
グラスワイン用の装置
ワインの銘柄も固定ではなく、品種も完全に決まっているわけではありません。基本的に、あるものを楽しむレストランです。

カモミとマサイアソンのシャルドネ

このときは、白ワインとしてシャルドネが2種類ありました。カモミとマサイアソン。カモミは親しみやすい味わい。料理も選ばず、さまざまなものに合いそうです。マサイアソンは酸がきりりと締まった味わい。非常にいいワインですが、料理は多少選ぶかもしれません。

人気料理だという「Ed.謹製バーニャカウダ」。
Ed.謹製バーニャカウダ

野菜は65℃で20分蒸しています。

バーニャカウダのソース

バーニャカウダのソースは明太子が入ったもの。ソースたっぷり付けて食べたらおいしかったです。

もう1ついただいた料理は「ハンバーグステーキ」ほとんどの人が頼むという人気メニュー。ひき肉は150g使っているそうですs。
ハンバーグ

牛雨肉と玉ねぎだけで作られた非常にシンプルなハンバーグです。意外とあっさりとしており、パクパク食べられます。

バルサミコを使ったソースと塩が付きます
ハンバーグにはソースが付きます。バルサミコ、醤油、りんご、にしょうがを使っており、バルサミコのとげとげしさをなくすために2週間休ませています。

正直、このソースをつけなくても十分においしいハンバーグです。付け合わせのもやしにソースをかけて食べてみたところ、とても美味しかったです。

グラスワインは赤でジラードのジンファンデルをいただきました。個人的にもとても好きなジンファンデルの1つです。
グラスワイン

エド・パーラーの売り物の1つが毎週金曜日に作るカレー。オープン当初からずっと金曜日に作っているそうです。人気のメニューで、金曜日は最初からこれを食べに来る人もいるとか。早ければ週末に売り切れてしまいます。この日はまだ残っていたので、最後にそれをいただきました。今回はキーマカレーです。
キーマカレー

ご飯はストウブで

穏やかな辛さの美味しいカレーでした。また食べたい。

お店の営業は午後5時からですが、閉めるのは明け方。ほぼ半日営業しています。しかも定期的な休みの日はなく、出張料理などが入ったときに休むくらいだとか。

料理はどれも美味しく、ワインもいいものを置いてあります。いいお店でした。

なお、この記事はナパ・ヴァレー・ヴィントナーズ・ジャパンからの依頼で書いています。
Date: 2016/1008 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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杉本隆英さんがプロデュースする人気のカリフォルニアワイン「シャトー・イガイタカハ」。楽天市場内に専門ショップ「シャトー・イガイタカハ楽天市場店」が誕生しました。これまで系列のVin du 268でも専門のコーナーがありましたが、今回はイガイタカハの専門ショップです。

オープン記念で10月中はワインのポイント10倍。

イガイタカハといえば、グレッグ・ブリュワーが作る「漢字シリーズ」のワインが有名ですが、「違い鷹羽」の家紋をあしらった「家紋シリーズ」もコスト・パフォーマンスの高いワインが続きます。

最近リリースしたものではスターレーンで知られているハッピー・キャニオンのブドウを使ったカベルネ・ソーヴィニヨン「Dragon Beauty」が人気だそうです。4年前に作った旧Dragon Beautyは、ナパの超人気畑のブドウを使って、数多くの賞を受賞しましたが、今回はそれにまさるとも劣らない、といいます。



また、漢字シリーズでは特に人気で入手が難しいピノ・ノワールの『園』、シャルドネの『侍』も売っています。



ポール・ラトーが杉本さんのために作った「心」シリーズのワインもあります。ピノ・ノワールとグルナッシュの2013年はともにWAで94点。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

2013 ポール・ラト 心 ピノ・ノワール
価格:17496円(税込、送料別) (2016/10/8時点)

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2013 ポール・ラト 心 シラー/グルナッシュ
価格:17496円(税込、送料別) (2016/10/8時点)

Date: 2016/1007 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズが秋に開催する「バイザグラス」(レストランでグラスワインでワインを提供する)のキャンペーン、今年は少し趣向を変えて、2015年の受賞店がプロモーションする形で開催されています。
バイ・ザ・グラス
参加店は以下の通り
ウルフギャング・ステーキハウス 丸の内店(東京 丸の内)
ルース クリス ステーキハウス(東京 霞が関)
エド・パーラー(東京 銀座)
グランド ハイアット 東京 オークドア(東京 六本木)
ウルフギャング・ステーキハウス 六本木店(東京 六本木)
東京アメリカンクラブ(東京 麻布台)
パーク ハイアット 東京 ニューヨーク グリル&バー(東京 新宿)
ロウリーズ・ザ・プライムリブ 東京(東京 恵比寿)
カモシヤ(名古屋 栄)
ウルフギャング・ステーキハウス 大阪店(大阪 梅田)

期間は11月末まで。どこも名店ですので、楽しめると思います。
このブログでもいくつかのお店を実際に紹介する予定です。
Date: 2016/1005 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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コッポラが、限定版ワインとして映画の名画をラベルに使ったワインを出しています。「コッポラ ディレクターズ・グレートムービーズ」と銘打っています。

取り上げられた映画は「オズの魔法使い」「キングコング」「ジョーズ」といずれも映画史に残る名作。ラベルは映画公開時のものではなく、過去の名作からアートポスターを作るローラン・ドゥリューという人によるもの。ローラン・ドゥリューさんの作品はLAURENT DURIEUXから見られます。

輸入元の資料によると輸入数は12ケース、わずか144本だとか。ほしい人は急いで買っておきましょう。

なお、今回の企画が継続するのかどうかは、輸入元でもよくわかっていないようです。少なくとも同じ映画のものがもう1回作られることはないようなので、一期一会の作品となりそうです。




Date: 2016/1004 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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毎年、アカデミー・デュ・ヴァンで行われている「カリフォルニアワインへの誘い」が今年も行われます。ワインインスティチュートによる寄付講座なので、極めてお得。

受講料は2160円ですが、これに相当する価格のワインがおみやげに付きます。もちろん、講義中には試飲もあります。ウェンテのシャルドネ、ハーンのピノ・ノワール、スターレーンのカベルネ、リッジのジンファンデルなど、さすが基礎講座だけあり、お手本的ないいワインばかり。

ただ一つ残念なのは、講座の性質上、参加は一度きりとなっていること。既に参加したという方は、お友達を送り込んでカリフォルニアワイン・ファンにしましょう。
寄付講座

スケジュールは東京・青山校が
11月20日、12月10日、1月15日、1月28日、2月25日、3月5日。
時間はいずれも午後2〜4時。10月にも2回あるのですが、どちらも満席です。
講師は、11月20日、1月15日、3月5日が三木香奈さん。
12月10日、1月28日、2月25日が紫貴(しだか)あきさん。
紫貴さんは、真面目系美女、三木さんはお笑い系美女でどちらも魅力的です。とはいえ、個人的には長年の友人である三木さんをお薦めさせていただきます。
申し込みはアカデミー・デュ・ヴァン青山校

大阪校が
10月22日(午後3〜5時)、11月26日(午後3〜5時)、2月19日(午後1〜3時)、3月2日(午後7〜9時)。
講師はWassy's鷲谷社長の奥様である鷲谷紀子さん。こちらも魅力的。
申し込みはアカデミー・デュ・ヴァン大阪校

Date: 2016/1003 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマ・コーストのHirsch Vineyard(ハーシュ・ヴィンヤード)のジャスミン・ハーシュさんが、Instagramに美しい写真をいろいろ載せています。収穫時期でもあり、わくわくするような写真が多数あります。いくつか紹介しましょう。

まさに雲海ですね。Hirschは海からも近く、霧の影響を強く受けます。



夜の収穫の写真は昨年も紹介したと思います。美しいですね。



夜通し収穫して、朝焼けが出てきました。



こちらは夕焼けです。グラデーションがきれいですね。

Evening rainbows.

Jasmine Hirschさん(@jasminehirsch)が投稿した写真 -




ソノマ・コーストらしい夜明けの霧です。

Another magical morning, brought to you by the True Sonoma Coast.

Jasmine Hirschさん(@jasminehirsch)が投稿した写真 -


Date: 2016/1002 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Advocate誌の最新号に掲載された日本酒のレビューについて、事前にリストが漏れていたのではないかという疑惑について、何回か記事を掲載しています。その後、さしたる進展はないのですが、様相は複雑なので、一回整理しておきたいと思います。

●起こったこと
2016年8月31日(米国時間)、Wine Advocate誌の226号が発表され、78本の日本酒についてレビューが掲載された。ポイント90点以上のものを掲載したという。

同じ日に、東京にある輸出業者「The Taste of Sake」が、この78種類の酒だけの販売を始めた。また、この業者のページにはレイティングや写真も乗っていたという。

事前に情報を得ずして、そういうことは可能なのだろうか、という疑問(ブロガーのW. Blake Gray氏による)がそもそもの発端です。

また、「疑惑のサイトの価格設定に驚愕」という記事に書いたように、このサイトに掲載されていた価格は国内の価格と比べてとてつもなく高く、「暴利を貪る」と言っても過言ではないほどでした(Gray氏によると、8月31日時点の価格はもっと安かったらしい)。

Gray氏が記事を公開した後、この輸出業者のWebサイトは見られない状態になっています。

●The Taste of Sakeという会社についてわかったこと
社長は吉田廣一という人で、この人のFacebookのページによると、「ル・カヴォー」というインポーターの社長であり、勤務先として「ミレジム」というインポーターの名前も書いてあります。

また、Gray氏のメールによる問い合わせに吉田氏は、The Taste of Sakeは「ル・カヴォー」の子会社だと答えています。なお、筆者がThe Taste of Sakeの本社が入っているビルに行ってみたところ、オフィスには「ル・カヴォー」の名前もあり、ほぼ一体となっていると考えられます。
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また、前述のように吉田氏はミレジムにも勤務していると書かれていますが、ミレジムとル・カヴォーの本社住所は同じです。そして、筆者がミレジムの事務所が入っているビルを訪れたところ、ミレジムとル・カヴォーが同じ事務所にいることもわかりました。
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つまり、ミレジム、ル・カヴォー、The Taste of Sakeは非常に強いつながりがある会社と考えられます。

●ミレジムの社長、アーネスト・シンガー氏について
ミレジムの社長はアーネスト・シンガーという人で、この人は自称ロバート・パーカーの日本代理人となっています。また、さまざまなインタビューで、今回の日本酒のレビューに協力した旨(レビューや採点にも関係しているような記述もあります)、答えています。

なお、アーネスト・シンガー氏はアジア・ビジネス・コンサルタンツという会社の社長も務めており、この会社はWine Advocate誌の日本語版である「ロバート・パーカー・オンライン・ジャパン」というサイトを運営しています。

このサイトには、今回の日本酒のリストも入っており、写真も掲載されています。写真が掲載されるのは極めて異例なことです。

●Wine Advocate誌の弁明
日本酒のレビューは正しい手続きに則って行われ、リストが事前に漏れたということもない、としています。

また、アーネスト・シンガー氏はロバート・パーカー氏やWine Advocate誌の代理人ではないとのことです。日本語版のサイトも数年前に更新を止めており、その後のコンテンツについての日本語化権は持っていないはずだ、としています。

さらに、シンガー氏は、Wine Advocate誌からの質問に対して、The Taste of Sakeとは無関係だと答えたそうです。

●現在の疑念
リストの扱いについて、Wine Advocate誌内部に問題がなかったとしても、選定やレビューにアーネスト・シンガー氏が協力しているのであれば、そこから漏れる可能性はあると思います。氏がどこまで、そこに関わっていたのかをはっきりさせないと、シンガー氏についての疑惑が晴れたとは言えません。特に、シンガー氏がThe Taste of Sakeと無関係とは言えないことが上記調査によって明らかであり、その他のことについても氏が本当のことを答えているのかどうかは極めて疑問です。

アーネスト・シンガー氏の立場が怪しくなっています。現在、Wine Advocate誌のレビューなどを使用するには、ワインショップは店ごとに1アカウント(年間2万4600円)の契約がロバート・パーカー・オンライン・ジャパンとの間で必要です。これがWine Advocate誌で認めたものなのかどうかなど、明らかになっていません。

また、今回の日本酒レビューを使った「オフィシャル・ハンドブック」の出版が予定されていますが、それについてもWine Advocateが認めたものではなさそうです。

最後に、実はWine Advocateの現編集長であるリサ・ペロッティ・ブラウンMWはかつてミレジムで働いており、「ロバート・パーカー・オンライン・ジャパン」には「リサの日記」というコンテンツもあります。だからと言って、アーネスト・シンガー氏に対して甘い対応を取るとは思いたくないですが、若干懸念される事柄ではあります。

Date: 2016/1001 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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先日「エレガンス系カベルネの究極? 「ポートフォリオ」にうなる」という記事で紹介したポートフォリオ(Portfolio)の2012年が柳屋に入荷しています。

先日の記事から試飲のテイスティング・ノート部分を転載します。

ナパのカベルネとしては珍しいほどに酸がしっかりしています。リッチな味わいももちろんあるのですが、力強さよりもエレガンスを強く感じます。

カルト系のワインだと、コルギンが「女性的」とよく言われ、実際にそういう印象もありますが、コルギンの女性らしさは米国の女性に似たゴージャスさと明るさ。それに対してポートフォリオには日本女性のようなしなやかさと芯の強さがあるような気がします。


いわゆるナパ・カベのパワフルな表現とは大きく異なる、カリフォルニアのカベルネの1つの究極の姿でしょう。お薦めです。

Date: 2016/0930 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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人気のワイナリー「カレラ」(Calera)の中でも人気が高いワインに「キュヴェV」と「ジョシュ・ジェンセン・セレクション」があります。キュヴェVもジョシュ・ジェンセン・セレクションも、カレラの一番下のラインになる「セントラル・コースト」(これは契約畑から購入したブドウで作られています)に、カレラの自社畑のワインをブレンドしたものです。

これらのワインは日本向け専用に作られているもので、2種類あるのは日本のインポーターが複数あるからです。

具体的には、「ヴィノラム」が輸入しているのが「キュヴェV」、「JALUX」が輸入しているのが「ジョシュ・ジェンセン・セレクション」です。

では、この2つ、中身は同じなのでしょうか?

実は私もこれについては全く適当に考えており「同じワインにラベル付け替えたくらいなんじゃないの?」などと思っていました。

これを実際に試飲して調べたのが大阪の人気ワインショップWassy'sの社長であるワッシーこと鷲谷良亮さん(Wassy'sについては「顔の見えるオンラインショップでありたい――Wassy's鷲谷社長、波田店長」をご覧ください)。まずはシャルドネについて比較試飲しました。

カレラ比較
写真もWassy'sさんによるものです。

比べてみたコメントは以下の通り。
「キュヴェV」の方が明らかに色も濃く、同じく味わいも果実味豊かでわずかにトロピカルフルーツの香りが感じる程の凝縮感でグイグイくるのに対して
「JJセレクション」は色も淡く、シャープでキリッとしたアタック。キレイな酸とミネラル感を感じる仕上がりです。


さらに、次の朝になると
「キュヴェV」が更にハチミツの様な香りがでてきた。キュット温度さげてリーデルのモンラッシェグラス位のサイズので飲んだら旨そう。
「JJセレクション」はあんまり変わらず、ちょっと果実味が出てきたかな~
昨日より更に味の違いが明確になってきました。

とのことでした。

ちなみに、インポーターのデータによると、シャルドネの「キュヴェV」は自社畑のワインを5%、「ジョシュ・ジェンセン・セレクション」は3%ブレンドしているとのこと。

【追記】裏ラベルによるとキュヴェVの2013年も自社畑比率は3%だそうです。それにともなって、一部を消させていただきます。

味わいの違いがこの比率によるものなのかどうかは不明ですが、とても面白い結果ですね。これからは、この違いも念頭において、選んでいただけたらと思います。

ワッシーさんは今後ピノ・ノワールでも試してみるとのことで、また結果を報告できたらと思います。また、これも人気のワイナリー「オー・ボン・クリマ」にもインポーター専用キュヴェがありますので、そちらも期待しています。




Date: 2016/0929 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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試飲会レポートの第5弾です。

これまで紹介したのは
5000円以下で買えるナパらしい良質なカベルネ「ナパ・ハイランズ」
パルメイヤーが手がけるソノマ・コーストのワイン「ウェイフェアラー」
エレガンス系カベルネの究極? 「ポートフォリオ」にうなる
最終ヴィンテージ近い「オーガストウエスト」ロゼラズと、気になるピノ2つ

アイコニックはパソ・ロブレスやサンタ・バーバラを中心にコスト・パフォーマンスの高いワインを輸入しています。試飲会では70を超えるアイテムがあったのですが、その中でも印象的だったのがサムサラ(Samsara)とメルヴィル(Melville)です。
サムサラ
この2つのワイナリーは深い関係にあります。メルヴィル創設者の息子のチャド・メルヴィルが個人のプロジェクトとして進めているのがサムサラ。メルヴィルは長いことグレッグ・ブリュワーがワインメーカーを勤めていましたが、昨年メルヴィルを辞め、今はメルヴィルのワインメーカーもチャド・メルヴィルになっています。ワインメーカー交代に伴い、日本へのインポーターも変わったのですが、嬉しいことに、全般にこれまでより1000円以上安くなっています。

現在、輸入されているメルヴィルのワインはグレッグ・ブリュワー時代のものですが、グレッグも言うまでもなく超一流のワインメーカー。どれも美味しいワインでした。

シャルドネはサンタ・リタ・ヒルズらしい、ミネラル(塩分?)を感じるタイプ。スタンダードなキュベですがこの地域のシャルドネのお手本の1つといってもいいくらいの完成度です。


メルヴィルのピノ・ノワールはスタンダードなエステートと、フラグシップのテラシズを試飲。エステートはバランスの良さが光るワイン。テラシズはリッチで深みのある味わい。ソノマのロシアン・リバー・ヴァレーで同レベルだったら2万円近くしそうです。


ただ、個人的にはピノ・ノワールはサムサラ推しです。現在ケースラー・ハークとカーガサキ(カルガサッキ)の2011年が輸入されていますが、インポーターの希望小売価格で6550円と7650円。飲んでみるとどちらも、そのレベルではありません。ケースラー・ハークは今のところ別ヴィンテージのものしか見つからなかったですが、とにかくお薦めです。ホール・クラスターでの醸造にこだわるチャド・メルヴィルのワイン、ぜひ飲んでみてください。


難しいと言われた2011年でこれだけ美味しいのですから、これから出てくる2012~2014の良ヴィンテージはもっとすごいことになりそうです。

最後はシラー。メルヴィルのシラーはWine Advocate誌で95点(そういえば上記のカーガサキは94点です)と高得点ですが希望小売価格は5500円。これはとてもエレガントなシラー。深みのある味わいで、しみじみ美味しいです。シラー苦手な人にも飲んで欲しいワイン。


一方、サムサラのシラー(WAでは92点)は、スパイシーでパワフル。さすがにシラーはホール・クラスターではないのですが15%は茎を入れているそうで、おそらくその特徴が出ているのでしょう。こちらは希望小売価格4950円と5000円を切ります。こちらはシラー好きに受けそうな味わい。タイプが全然違うので飲み比べたら面白そうです。
Date: 2016/0928 Category: 業界ニュース
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ナパつながりでもう1つ、こちらは悲しいお知らせです。スポッツウッドの創設者であるメアリー・ノヴァックさんが亡くなりました。享年84歳。ガンだったそうです(Mary Weber Novak, Founder of Napa's Spottswoode Estate, Dies at 84)。

ナパ旅行の記事で、メアリーさんの娘であり現オーナーのベス・ノヴァックさんにお会いしましたが、そのときにスポッツウッドの初期の話をされていました(トレフェッセンにて、スポッツウッドのオーナーなどに会う(ナパ2日め、その3))。

田舎暮らしに憧れた父親に連れられてナパに来たものの、父親は若くしてなくなり、家族が後を継がざるを得なくなったのでした。そんな辛い時期を乗り越えたからか、非常に家族の結束の強さを感じます。また、女系のワイナリーとしても知られています。

実は、今月ベスさんが来日される予定だったのですが、メアリーさんの病気のために、来られなくなったという話を聞いていました。かなり悪いのだろうなあとは思っていましたが、残念です。ご冥福をお祈りします。
Date: 2016/0928 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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6月にナパに行ったときに、試飲したワイナリーの1つがサン・スペリーでした。以前はソーヴィニヨン・ブランなど、ときどき飲んでいましたが、このときの試飲は久しぶり。品質的には昔より向上したのではないかと思いました。

中でも印象的だったのがカベルネ・ソーヴィニヨンの単一畑「ダラーハイド」で、当日のブログでも言及しています(アミーチ・セラーズで「真のアメリカン・バーベキュー」とリーズナブルなワインを堪能(ナパ2日め、その2))。

このダラーハイドの2010年はWine Advocate誌でも95点と非常に高評価なのですが、それがインポーター在庫限定で6000円台(税抜きなら5000円台)で売られています。ワイナリー価格120ドルの半額という、もはやわけのわからないレベル。
ダラーハイド
なおカリフォルニアワインあとりえの野村さんは上記の旅行でご一緒させていただいたのですが、そちらのページでは、私にも言及がありました(笑)。

定評あるソーヴィニヨン・ブラン(こちらもブドウはすべてダラーハイドです)もお薦めです。

サン・スペリーは2015年にシャネルに買収されましたが、経営的には大きな資本を得て安定してこれからの成長が見込めるワイナリーです。また、実は100%エステート(自社畑)のワイナリーでもあります。ナパの自社畑のワイナリーの中では価格も比較的安いと思います(このダラーハイドは特別に安いですが)。


お買い得度ではダラーハイドに道を譲りますが、こちらも非常にコスト・パフォーマンスの高いカベルネ・ソーヴィニヨン。
Date: 2016/0927 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日から追っているWine Advocateの日本酒リスト事前漏洩疑惑についてですが、その輸出業者Taste of Sakeがサイトに上げていた価格の一覧を入手しました(thanks to うげさん)。

現在はサイトは見られない状態なので、過去に上げていたものですが、その価格にびっくり。日本での販売価格と比べたリストをごく一部ですが、作ってみました。

酒リスト

2倍、3倍ならまだかわいいものですが、日本での価格の何十倍もの価格がついているものがあります。

特に98点を取った「亀の翁純米大吟醸 三年熟成」は、既に入手困難になっていますが、元々の定価5000円弱に対して5000ドルと100倍を超える値付け。

Taste of Sakeについては、事前漏洩以外に、どうやってこれらの酒を集めたのか、などの疑問もあるのですが、この価格を見ると、実際に在庫を持っているのではなく、オンデマンドで市場から調達するといったことも想定していたのではないかと疑ってしまいます。

ともあれ、今はWine Advocateのアクションを待っている状態。また大きな進展があったら報告します。
Date: 2016/0926 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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試飲会レポートの4つめです。

これまで紹介したのは
5000円以下で買えるナパらしい良質なカベルネ「ナパ・ハイランズ」
パルメイヤーが手がけるソノマ・コーストのワイン「ウェイフェアラー」
エレガンス系カベルネの究極? 「ポートフォリオ」にうなる

ilovecalwineは、良質なピノ・ノワールで人気のインポーターです。甲乙つけがたいワインが多く、価格帯も7000円台~8000円台のものが多くなっているので、これ、というのを選ぶのは難しいのですが、その中でも印象的だったものを紹介します。

まずはオーガストウエスト(Auguet West)のロゼラズ(Rosella's) ピノ・ノワール2013。ロゼラズはサンタ・ルシア・ハイランズを代表する3つの畑の1つ。3つの畑のうち、ピゾーニとゲイリーズはスケールの大きな男性的なワインを生み出すのに対して、ロゼラズはリッチでありながらエレガントさを併せ持ったワインを生み出します。ロゼラズのオーナーのワイナリーであるロアーと並んでオーガストウエストがロゼラズのピノの中でも有名。

この2つのワイナリー、同じワインメーカー(オーガストウエストのエド・カーツマン)が作っていましたが、2013年からはワインメーカーが交代。また、オーガストウエストへのロゼラズの供給も2014年をもって終了ということになってしまいました。

シャルドネは既に現行ヴィンテージが2014年なので、それで終了、ピノ・ノワールは今が2013年なので、来年で終了となります。

個人的にも非常に思い入れのあるワイナリーと畑ですが、試飲した2013年はこれまでと同様、期待に背かない美味しさでした。



このほか気になったピノ・ノワールとしてポール・ラトー(Paul Lato)の「マチネ」と、ロスト・アンド・ファウンド(Lost and Found)を挙げておきます。

「マチネ」は米国ではレストラン専用に卸されているワイン。ソロモン・ヒルズとジョン・セバスチャーノの畑のブレンドもので、比較的早飲みタイプに仕上げています。それぞれの単一畑ものなら1万5000円近くするのが、これは定価が8000円台と極めて格安。試飲したワインはうまみがとても乗っていて、今飲んで美味しいワインでした。高嶺の花のポール・ラトーがこの値段で飲めるのは嬉しいところです。


もう1つのロスト・アンド・ファウンドも、米国のレストランで極めて人気が高いワインとのこと。ラベルがユニークです。ロシアン・リバー・ヴァレーのピノ・ノワールですが、同地域の中では涼しいところのブドウを使っているのか、ソノマ・コーストのワインのような酸を感じます。一方でロシアン・リバー・ヴァレーらしいリッチさもあり、これも魅力的なワインでした。

船橋の山城屋さんでは扱いがあるようです。
全米トップ・レストラン御用達?・・・天才マスターソムリエが造り出すワインです・・・ロスト・アンド・ファウンド | Cheers!カリフォルニアワイン
問い合わせはinfo@cheers-californiawine.com
Date: 2016/0925 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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最近の試飲会で印象に残ったワインを紹介していっています。

これまで紹介したのは
5000円以下で買えるナパらしい良質なカベルネ「ナパ・ハイランズ」
パルメイヤーが手がけるソノマ・コーストのワイン「ウェイフェアラー」

今回はポートフォリオ。正式名称はポートフォリオ・リミテッド・エディション。リミテッドというように生産量250ケース以下と極めてレアなワインです。

ワインメーカーのジェヌヴィエーヴ・ジャンセンスさんはロバート・モンダヴィで醸造責任者を務める人。その実力で少量ながら自分が作りたいワインを作っているのだから、美味しくないわけがありません。

今回試飲したのは良年と言われる2012年。

ナパのカベルネとしては珍しいほどに酸がしっかりしています。リッチな味わいももちろんあるのですが、力強さよりもエレガンスを強く感じます。

カルト系のワインだと、コルギンが「女性的」とよく言われ、実際にそういう印象もありますが、コルギンの女性らしさは米国の女性に似たゴージャスさと明るさ。それに対してポートフォリオには日本女性のようなしなやかさと芯の強さがあるような気がします。

ネットではまだ前ヴィンテージの2011年までしかないようですが、エレガントで美味しいカベルネを飲みたい方はぜひトライしてみることをおすすめします。

また、ポートフォリオのインポーターであるミライズが輸入するもう1つのワインであるトカードゥ(TOQUADE)も試飲しました。こちらはソーヴィニヨン・ブランなのですが、ものすごく香り高いのが特徴です。その香りの強さにはかなりびっくりしました。こちらもトライする価値のあるソーヴィニヨン・ブランです。


Date: 2016/0924 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ロバート・モンダヴィの家庭崩壊にも関連していたのではないかと言われるCopiaが10月にようやく再オープンすることになりました(Napa’s Copia will reopen as CIA culinary campus)。

Death by Chocolate Festival.

Copiaを買ったのはCIA(Culinary Institute of America)。レストランやデモ・キッチン、ワイン・テイスティングなどに使われる予定です。
Date: 2016/0923 Category: 業界ニュース
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Robert Parker
Wine Advocate誌の日本酒評価が、事前に漏れていた疑いがある件について、主宰のロバート・パーカーが、記事の一時取り下げも考慮していることを同社の掲示板において明らかにしました。
If I were you I would withdraw the sake reviews until the matter is fully cleared up and would publish the reviews only when you are satisfied it is a representative sample of sakes generally available to your subscribers from vendors with no connection (historic or otherwise unless fully declared) with the WA.

という読者からのコメントに対して
Mr.Taylor-that's a good suggestion and I have proposed it,at least until we have some definitive answers.thanks

と返信したものです。

また、その前に書き込んだコメントにおいては、アーネスト・シンガー氏との関係を「1998年から2003年においていくつかのテイスティングやイベントを仕切ってもらったが現在の関係はない。少なくともこの4年間においてはコンタクトはなく、氏が自分とビジネス的な関係があるというのは間違っている」としています。

そうなると氏の会社が運営する「eRobertParker Online Japan|イー・ロバート・パーカー・オンライン・ジャパン」の位置づけはどうなっているのかが気になりますが、ロバート・パーカー氏の認識としては、そうなっているそうです。したがってパーカーの代理人というシンガー氏の肩書きは、あくまでシンガー氏が自身で名のっているだけと思われます。
Date: 2016/0923 Category: 業界ニュース
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俳優のアンジェリーナ・ジョリーが夫のブラッド・ピットとの離婚を申請しました。ちょうど映画の公開タイミングでの離婚申請ということで、なぜ今なのだろうと思わなくもないですが、ワイン・ファンとしてもっと気になるのは、夫妻が所有する「シャトー・ミラヴァル」がどうなるかです。

シャトー・ミラヴァルはフランスのプロヴァンスにあるワイナリーで2008年に夫妻が購入しました。購入額は4000万ドルなどと言われています。2012年からシャトー・ボーカステルの助けを得て、独特なデザインのボトルで高品質なロゼを作っています。

例えばWine Advocate誌では2013年のものが90点、2014年のものが91点と、ロゼとしてはかなりの高評価です。

実は、今回の離婚申請発表より前から、ミラヴァルが売りにでているという噂があったようです。現状どうなるかは全くわかりませんが、ロゼブームにも大きく貢献したワインだと思うので、しっかり続けてほしいものです。

なお、ここのロゼは何回か試飲したことがありますが、評判に負けないいいワインだと思います。

Date: 2016/0922 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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パーカーの日本酒評価に疑惑、輸入業者と癒着か?」という記事で記した、Wine Advocate誌の日本酒評価記事について、事前にリストがある輸出業者に流れていたのではないかという疑惑について、Wine Advocate誌の編集長であるリサ・ペロッティ・ブラウンMWがコメントしました。

I have reviewed with Liwen Hao the details of the sake tastings that took place in Japan in April this year. The process followed was professional and correct. No tasting notes or scores were shared with anyone prior to publication. We are still investigating the website issue with Mr. Singer. Mr. Singer has no permanent business arrangement or position with The Wine Advocate. He was asked to help facilitate some of the sake tastings as a point of contact in Japan. It does appear that someone with knowledge of the tastings used this knowledge to have a website built and ready for the publication of the scores and tasting notes. We did not grant a license to the website to use our notes nor were the notes or scores given to anyone prior to publication on RobertParker.com. We are pursuing legal action for copyright infringement. Mr. Singer states that he had nothing to do with the website, but regardless we have made clear to him that he is not a representative of The Wine Advocate and should never present himself as such.

私は(日本酒の記事のレビュアー)リーウェン・ハオと4月に日本で行われた日本酒のテイスティングの詳細について精査した。手続きはプロフェッショナルなもので正しかった。テイスティング・ノートとスコアは記事が出版される前には誰にもシェアしていない。我々はまだシンガー氏とウェブサイトの問題については調査を続けている。シンガー氏は、Wine Advocate誌と継続的なビジネス契約はなく、また同誌におけるポジションもない。彼は日本酒のテイスティングにおいて、日本のコンタクト先として運営を手伝うことを頼まれた。そのテイスティングについて知っている誰かがその知識を使ってウェブサイトを作り、記事が出版されたところでスコアやテイスティング・ノートを使ったのだろう。我々はそのサイトにテイスティング・ノートの使用許可を与えていない。また、RobertParker.comに掲載されるより前に誰かにノートやスコアを渡すこともない。我々は著作権侵害で訴える準備をしている。シンガー氏はそのウェブサイトには関わっていないと言っている。それはさておき、彼はWine Advocate誌の代理人ではなく、そのような地位を与えたこともない。(日本語訳はAndyによる。誤訳があった場合その責任もすべてAndyが負う)


まだ調査が終わったわけではないので結論は出ていませんが、疑問が晴れた感じは全くありません。
・日本酒評価が出た後に公開されたいくつかの媒体の記事によると、シンガー氏は評価にもかかわっていたような書き方がされていましたが、その真偽は?
・シンガー氏とWine Advocate誌に継続的なビジネス契約はないとしているが、実際問題、「eRobertParker Online Japan|イー・ロバート・パーカー・オンライン・ジャパン」はシンガー氏が社長を務めるアジア・ビジネス・コンサルタンツが運営しています。これは継続的なビジネス契約ではないのでしょうか?
・前の記事にも書いたようにthe-taste-of-sake.comはアジア・ビジネス・コンサルタンツの関連会社であることがわかっています。シンガー氏がかかわっていないというのは信用しろといっても無理があります。

実は、先日の記事を公開したあと、the-taste-of-sake.comの登録情報は、外部から見えない形に書き換えられてしまっています。これもやましいところがあるからではないかと思ってしまいますが、確保できた情報については、ここで公開しておきます。
the-taste-of-sake.comの情報

「魚拓」をとっておいて公開するような、厳しい対応はやりたくなかったのですが、証拠を消すようなやり方は納得できません。
Date: 2016/0921 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・カウンティがブレマー(Bremer)というワイナリーの建築にストップをかけました(Napa red-tags Bremer soil-hauling vineyard creation project | Local News | napavalleyregister.com)。理由は建築計画どおりに作っていないことが明らかになったため。

先日、ナパに行った際に、年々斜面の開発は厳しくなっているという話を聞きましたが、ここもハウエル・マウンテンの斜面にあるプロジェクト。土壌の流出を防ぐ壁などが予定と違う形になっているなどが問題とされました。

ただ、ワイナリー側は一部の建築計画の変更届を出しているとのことで、それが認可されれば、工事が再開される可能性もあります。それが認められなかった場合は、ナパ・カウンティの要求に合う形に変えない限りは建築を続行できないことになります。

厳しいとは聞いていましたが、実際に工事中止になるワイナリーもあるのですね。

そういえば、記事にかきそびれてしまったのですが、この夏は、パソ・ロブレスのジャスティンが、何千本もの樫の木を勝手に伐採してしまったことで強い非難を浴びるということもありました。これは明らかにやり過ぎですが、カリフォルニアのワイナリー開発も、ガロが山を崩してしまったというようなこともあった昔とは大分状況が変わっている感じがします。
Date: 2016/0920 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Opus One Logo
高級ワインの市場を提供しているLiv-exがオーパス・ワンのCEOを務めるデイビッド・ピアソン氏へのインタビューを掲載しています(Liv-ex interviews David Pearson of Opus One)。2004年にコンステレーション・ブランズがロバート・モンダヴィを買収して以降、オーパス・ワンのCEOを続けている人ですが、私の知る限りではインタビューに出てきたことはほとんどないと思います。せめて写真を載せようと思ったのですが、オーパス・ワンのサイトにも写真はないようなので、インタビューのページを御覧ください。

インタビューの内容から興味深いところをかいつまんで紹介します。

・就任以来の大きな変化は?
 畑の植え替えを進め、灌漑や剪定で新しい技術を取り入れた。セラーではオプティカル・ソーティングや野生酵母の採用など。

・オーパス・ワンの価格はどのように決めているのか?
 さまざまな要素を考慮するが、世界中の市場の状況を特に注視している。ここ数年は為替レートの変化が価格に重要な役割を果たしている。

・オーパス・ワンは日本で人気が高かったが、ディストリビューターを変えていこう、それは変わったのか?
 日本はオーパス・ワンにとって依然として重要なマーケットだ。ただ、我々は今は90カ国以上に輸出をしている。

・オーバチュアは以前ワイナリーでしか購入できなかったが、現在はレストランや小売にも回されている。販路を広げたのはなぜか?
 オーバチュアが有名になるに従って、不透明な市場で流通するようになってしまった。それは好ましくない事態なので、我々自身が顧客に販売するようにした。

詳しくはインタビューのページをご覧ください。

Date: 2016/0919 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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仏ブルターニュの海岸で見つかった微小藻類がブドウの病気「べと病」に100%の効果があることがわかりました(French microalgae may be the answer to key vine diseases)。これによって農薬以外の自然の代替品が使える可能性が出てきました。

Downy mildew of collard (Brassica oleracea) caused by Peronospora parasitica

フランスの研究機関INRAによって実施されたテストによると、さらにこの微小藻類はボトリティスにも50%有効であり、さらにブドウの幹の病気7種類のうち4種類にも効果があることがわかりました。

実験を依頼したImmunRise Technologies社のLaurent De Crasto氏は「これは科学のブレークスルーであると同時に哲学と論理のブレークスルーでもある。我々の問題の解は自然にあることを示しており、生物多様性を守らなければいけない理由がそこにある」と述べています。

まだ、この実験だけではなんとも言えない感じもしないではないですが、農薬を使わずにべと病対策ができれば、自然派のワイナリーにとっては大きな朗報になりそうです。
Date: 2016/0918 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ウェイフェアラー(Wayfarer)はナパの人きワイナリー「パルメイヤー」のオーナーであるジェイソン・パルメイヤーがソノマ・コーストで手がけるワイナリーです。1998年に、当時パルメイヤーのワインメーカーだったヘレン・ターリーが、自身のマーカッサン・ヴィンヤードのすぐ近くに売りに出ている畑があるのを見つけ、ピノ・ノワール用の畑を探していたパルメイヤーに推薦しました。

当初はロシアン・リバー・ヴァレーのブドウとブレンドしてパルメイヤーのピノ・ノワールとして販売していましたが、2008年以降はウェイフェアラーのワインとして作られています。

先日、ウェイフェアラー・ヴィンヤードのシャルドネとピノ・ノワールを試飲しました。。

特筆すべきなのはバランスの良さ。ソノマ・コーストでも寒いところにある畑なので、非常に豊かな酸があるのですが、ただの酸っぱいワインにならずに、うまくまとめているのはなかなかの実力だと思いました。

ちょっと値段が高いのが、惜しいところですが…

Date: 2016/0917 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ロバート・パーカーが主宰するThe Wine Advocate誌で日本酒の評価記事が出たことを先日記事に書きました(Wine Advocate誌226号を発表、初めて日本酒をカバーし、最高98点)。この日本酒評価について疑惑を伝える記事をブロガーのW.ブレイク・グレイ氏が書いています(The Gray Report: A curious thing: Every Wine Advocate-rated sake from one exporter)。

この記事によると、Wine Advocateの226号が発表された当日、Taste of Sakeという、東京に本社を置き、海外に輸出する会社が日本酒のセールとして、全く同じ銘柄78種のリストを出したそうです(現在は同社のページは見られない状態になっています)。

この、the-taste-of-sake.comの情報を筆者が調べたところ、「Asia Business Consultants」という会社の「Yuusuke Kikuchi」という人が登録したことが分かりました。この人は「japanwineproject.com」も登録していますが、これらの会社はワインのインポーター「ミレジム」の関連会社です(株式会社ミレジム:会社概要)。

ミレジムの社長であるアーネスト・シンガー氏はWine Advocate誌の日本代理人で、今回の日本酒のリスト作成にも関わっています(参考:ロバート・パーカー・ワイン・アド ヴォケート、日本酒評価をスタート - ワインレポート)。

つまり、リスト作成に関わった人が今回の輸入(米国にとって)にも関わっている可能性が高いわけです。

この問題はWine Advocate誌の掲示板でも話題になっており、編集長のリサ・ペロッティ・ブラウンは以下のように書いています。
What we need to establish is if that company had access to any of the sake notes or scores prior to publication, which is a situation we take the utmost measures to avoid. Even the suggestion that this could have happened is a matter we take very seriously.

この疑念に、抵触する問題のように思えるのですが、どうなるのでしょう。レビュアーには非常に高い倫理性を求めているWine Advocate誌のことですから、きちんと襟を正す必要があるように思えます。

進展があったら続報します。
Date: 2016/0916 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ブドウの収穫時期であり、FacebookやInstagram、Twitterなどでワイナリーの投稿を見ていると、さまざまな収穫の写真が見られます。

その中で見つけた写真の1つがこれ。



ピノ・ノワールのクローンによる、房の形や実の付き方などの違いが分かるように並べた写真です。どれも艶やかにきれいですが、結構形が違うものなのですね。ワインを作っている人はきっとここからもっといろいろなことを読み解けるのでしょうが、素人としてはただ感嘆して見るばかりです。

ちなみに一番右はカレラ・クローン。伝説?が本当であれば、ロマネ・コンティの畑も同じような実の付き方をしているのでしょうか。ちょっと気になるところではあります。
Date: 2016/0915 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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今日は3つのニュースをまとめてお届けします。最初の2つはワイナリー買収、最後は歴史的に重要な条例の制定の話です。

まず、ワイナリー買収ですが、ソノマをベースに多くのワイナリーを持つジャクソン・ファミリー・ワインが、アレキサンダー・ヴァレーにあるフィールド・ストーンを買収しました(Jackson Family Wines purchases Alexander Valley’s Field Stone Winery - Inside Scoop SF)。買収額は明らかになっていません。

フィールド・ストーンはナパのカリストガとソノマのヒールズバーグを結ぶハイウェイ128沿いにテイスティング・ルームを持つ人気ワイナリー。1894年に植えられた古い畑を持っており、そのプチ・シラーが一番有名なワインです。禁酒法で打ち捨てられていた畑を、元バークレーの市長でBART(サンフランシスコとバークレーなどを結ぶ鉄道)の構築に貢献したウォレス・ジョンソンという人が、1960年代に再生しました。現在はその子らが運営していますが、今回の買収後の体制がどうなるかは不明です。

もう1つの買収は国際的に活躍するアレハンドロ・ブルゲローニという人が、ナパのワイナリーを買い取ったというものです(Alejandro Bulgheroni Estate Acquires Notable Napa Valley Winery)。

買われた畑とワイナリーは、ハーラン・エステートのオーナーである、ビル・ハーランが手がける「ナパ・ヴァレー・リザーブ」というプロジェクトで使われていたもの。ここにアレハンドロ・ブルゲローニ・エステートというワイナリーを設立します。アレハンドロ・ブルゲローニ・エステートとしての最初のヴィンテージは2014年で2017年2月にリリース予定です。ワインメーカーはフィリップ・メルカ、コンサルタントはミシェル・ローランという豪華な布陣。

アレハンドロ・ブルゲローニはアルゼンチンやウルグアイ、イタリア、フランスなどにワイナリーを持っており、カリフォルニアではレンウッドのオーナーでもあります。

最後に、カリフォルニア州のジェリー・ブラウン州知事が、農場の働き手が他の産業と同様に、1日8時間、週に40時間の労働を基本とする(それ以上は残業代が必要になる)という条例を制定したという話です。これまでは1日10時間、一週間で60時間でした。

カリフォルニアの農業が主にメキシコからの移民の労働によって成り立っていますが、彼らの労働条件をよくしようというのが狙いで、歴史的な条例の制定と見られています。

ただし、農業は天候に左右され、収穫時期は労働集約型で一気に働かなければいけないなど、他の産業とは条件が違うという意見もあります。ワイン業界では約60%のコストが働き手の労賃となっており、コストへの影響は避けられないのかもしれません。セントラル・ヴァレーなどでは、機械化が一層進むという見方もあります。

なお、2019年から4年間が移行期間が設けられています。働き手が25人以下のところでは7年間が移行期間になります。
Date: 2016/0914 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先週参加した試飲会で「これは!」と思ったワインの1つが「ナパ・ハイランズ」です。インポーターの資料にも詳しいことは書かれておらず、ナパのラザフォードとオークヴィルの畑から厳選したブドウを使っている旨だけが記されています。

いちはやく販売を始めたカリフォルニアワインあとりえのページにはもう少し情報があり、「オーパス・ワンから南に道を挟み広がる畑」のブドウを使っているとのこと。そこで、ペリッサという畑ではないかと推測しています。

先日Vinousで購入したOakvilleのマップを見ると確かに、Pelissaという名前があります。
Oakville Map

そしてペリッサの情報を調べると、ナパ・ワイン・カンパニーが管理している畑であることがわかりました。以前は「BV7」という名前でボーリューのフラグシップ「ジョルジュ・ド・ラ・トゥール」に使われていたというから、由緒あり、また高品質間違いない畑です。

オーパス・ワンの隣の畑というとフランシスカンの名前がよくあがりますが、フランシスカンは隣というよりも斜向かい的な場所であり、さらにはナパ・リバーを挟んでいるので、土壌の条件などはオーパス・ワンとは少し違うと思います。ペリッサはオーパス・ワンとトカロンと接しており、土壌的にも連続性があります。

ということで、どうやらナパ・ワイン・カンパニーが関係するワインのようです。ナパ・ワイン・カンパニーといえば「リトル・ハーラン」という異名を持つゴーストブロックを作っており、今回のナパ・ハイランズは、その廉価版的なものなのかもしれません。

推測や御託は置いておいて、試飲したワインは、一口飲んで「ナパの良質なカベルネ」と分かるもの。カシスやブルーベリーなどの青系の果実に、モカやチョコレートの風味、そしてシルキーなタンニンが1ランク上の味わいを感じさせます。一方で、新樽を使っておらず、押し付けがましい味にはなっていません。

ちょうど居合わせたNVVの方とも「これはいいナパですねえ」と意気投合しました。

お薦めです。



【追記】
ナパ・ハイランズ以外のお薦めワインをまとめました。
次のナパ・ハイランズはどれ? 良質ワインひしめき合うアンダー5K市場

ナパ・ハイランズが売り切れのときは、以下の3本も同じくらいハイクオリティでお薦めです。


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

エッジ カベルネソーヴィニヨン ナパヴァレー
価格:4190円(税込、送料別) (2017/12/21時点)


Date: 2016/0913 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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元スクリーミング・イーグルの共同オーナーで、現在はSandy、Wind Gapなどへの出資会社のオーナーであるチャールズ・バンクスが、元NBAスターのティム・ダンカンらを騙したとして提訴されています(Charles Banks, Winery Owner and Former Financial Advisor to Tim Duncan, Is Indicted in Federal Court | News | News & Features | Wine Spectator)。有罪になった場合、最大20年収監される可能性があります。

チャールズ・バンクスは、ワインビジネスに参入する前から、スポーツ選手に財務的なアドバイスをする会社「CSI Capital Management」を本業としていました。そこでのティム・ダンカンへの恣意的なアドバイスにより、何百万ドルも失ったとダンカンは主張しています。

例えば、ダンカンはバンクスのアドバイスにより、バンクスが営むスポーツ商品の会社「Gameday Entertainment」に750万ドル出資し、5年間かけて12%の利子で返還されるなのが、待ったくされていないとか、バンクスが、ダンカンが承知していない20%のフィーを取っているなどの疑いが出ています。これらの中にはいくつかのワイナリーへの出資も含まれています。

この問題は当初はダンカンがバンクスを民事的に訴えていましたが、FBIの調査が入り、刑事裁判化しています。
Date: 2016/0913 Category: グルメ
Posted by: Andy
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丸亀製麺が2016年9月14日に発売する秋の限定うどん「牛すき釜玉」をいち早く試食してきました。肉好き、卵好き、甘辛好きな人にはたまらない味でボリュームもたっぷりのうどんです。

牛すき釜玉
今回の売りは「史上最幸肉量」とのこと。「最幸」は「さいこう」と読んで「最高」に量が多いということと、一番幸せということをかけています。牛肉の量は120g。

ちなみに、牛丼チェーンの「並」サイズの具の重さはチェーンにもよりますが、大体80~90gくらい(日経トレンディ2016年5月号などを参考)。これはタマネギも含んでいますから、肉の量は60gとかではないでしょうか。120gというと、この倍に相当するわけなので、「特盛り」レベルはあると考えていいでしょう。

さっそく、作るところから見ていきましょう。
肉は120g

このうどん、実はお店にとってはかなり大変なメニューです。なぜかというと、注文があるごとに肉を1人分ずつ焼いて作るのです。

肉にタレをからめて

タレ(割り下)をかけて焼いていきます。

だいぶ煮えてきました

グツグツと煮えていきます。さて、このへんでうどんの方も見てみましょう。

製麺機

店内には製麺機があります。毎日できたての麺が食べられます。

うどんをあげます
ゆでたうどんをあげます。釜揚げうどんや釜玉の場合は、ゆでたうどんを洗わず、そのまま丼によそいます。それ以外のメニューの場合は、ゆでたうどんを洗い、それをお湯につけて温めて(温かいうどんの場合)よそいます。今回の新作は「釜玉」なので、そのまま丼に入れるわけです。
釜揚げ
釜揚げ中
ゆであがったばかりのうどん、ぷっくりとおいしそうです。

うどんに肉を乗せます
うどんに肉を乗せます。

卵投入
最後に生卵を一つ落とします。

卵投入

お好みでネギかけて完成
おこのみでネギをかけて完成です。

卵は崩して混ぜます

食べ方はもちろん好きなように食べればいいのですが、僕は最初から卵を崩してまぜてしまいました。
うどん

釜揚げの麺なので表面がざらざらしており、卵やタレがよくからみます。美味しい。

肉をご飯に乗せてみる
ご飯をもらったので、肉を乗せて食べてみます。肉ももちろん美味しいです。なお、このご飯は一膳の半分の量。

牛すき釜玉の〆にご飯を入れてうまうま #丸亀製麺 #丸亀試食部 #牛すき二度うま
残ったご飯は、最後に余ったタレに投入して食べてしまいます。うまいにきまってます。

今回の試食会では、この、最後にご飯を入れて食べる方法に付けるハッシュタグを考えるというテーマが与えられたのですが、#牛すき二度うま というタグを付けることに決まりました。

個人的には、うどんを2玉にして卵とタレの絡んだ麺を存分に楽しむか、ご飯を入れて #牛すき二度うま にするか、悩ましいところです。

なお、試食では、季節限定の黒ゴマ入り天ぷら(かき揚げ、さつまいも、かしわ)もいただきました。かしわは淡白な胸肉にコクが加わり特に美味しいです。

黒ゴマ入りの天ぷら

普段、丸亀製麺にいくときはシンプルに「かけ」に天ぷらを食べることが多いですが、今回の限定品は、値段こそ640円(並)と少し高め(丸亀製麺にしては)になりますが、満足度も非常に高く、実際発売されたら食べにいこうと思っています。
Date: 2016/0912 Category: 業界ニュース
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ソノマのシャトー・セント・ジーンで2016年9月4日に開催されたSonoma Harvest Wine Auctionは460万ドルという過去最高の落札額で終了しました(Sonoma Wine County Weekend breaks record | Sonoma Index-Tribune | Sonoma, CA)。昨年は450万ドル、一昨年は400万ドルでした。

オークションの様子
写真は昨年のもの

中でも「ファンド・ザ・フューチャー」という、ソノマの子供達の読み書き向上に充てられるロットは650人の入札者から合計270万ドルの寄付が寄せられました。



ナパに比べるとまだまだ規模は小さいですが頑張ってほしいものです。
Date: 2016/0911 Category: 読書感想
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筆者の高山さんは40代で脳腫瘍と白血病という2つの全く異なるガンになりました。最初のガンが判明したのは5年前の2011年。当時一人娘がまだ1歳でしたが「娘の二十歳の誕生日においしいお酒で乾杯してお祝いする」ことを目標に、ガンと闘う決意をしました。そして、ベストと考えられる医者を選び、治療を選び、今に至ります。

実は高山さんとは、ガンを発病する前に一緒にワインを飲んだこともあるのですが、IT系の会社の経営者であり、非常に論理的にものを考え、実行する力のある方です。

その高山さんが書いた本書は、単なる闘病記ではありません。むしろ、これからガンになる人のためのサバイバル・マニュアルと言った方がいいような内容です。医者の探し方、決め方、治療法の種類とそのメリットデメリット、入院生活の心得、さらには治療にかかる費用といったところまで、わかりやすく、書かれています。例えば「看護師さんは名前で呼ぼう」といった実践的なアドバイスがふんだんに盛り込まれています。

また、高山さんの家族はいわゆる「ガン家系」であり、お父さんをガンで失い、妹さんも30歳のときに乳がんで亡くしています。自分ひとりの独りよがりな経験談になっていないのは、そういった経験からの辛さを踏まえたものなのだろうと思います。

今、ガンと闘っている人やその家族・友人、また私自身を含めた将来ガンになる可能性がある人にとって、本書は読み・携えておく価値があるものだと思います。

なお、普段、本を買うときは電子書籍があればそちらを選ぶのですが、本書は家族にも読んでほしかったので紙の本にしました。

Date: 2016/0910 Category: 業界ニュース
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Insignia 2013

ジョセフ・フェルプス(Joseph Phelps)が2013年のインシグニア(Insignia)の出荷を始めました。1974年のファースト・ヴィンテージから数えて40回めのヴィンテージとなります。ラベルの右下に40周年のロゴが入っています。

品種名をワインの名前につけない、いわゆるプロプライエタリなワインの先駆けとなったワインです。実際には今回のヴィンテージも88%はカベルネ・ソーヴィニヨンなので、そう名乗ることもできるわけですが、敢えて違う名前を付けたのが大いなるブランドになりました。そういえば、日本ではかつて「玄人のオーパス・ワン」などと呼ばれていたこともありました。

下の動画では、インシグニア誕生のいきさつなどが語られています。


当初は外部の2つの畑から購入したブドウで作ったそうですが、現在は自社畑6カ所からのブレンドとなっています。例えば2013年の比率は下のようになっています。
Stags Leap District (28% Las Rocas Vineyard and 11% Barboza Vineyard), Napa Valley (22% Suscol Vineyard), Rutherford (16% Banca Dorada Vineyard), Oak Knoll District (12% Yountville Vineyard) and St. Helena (11% Home Ranch Vineyard).


私はしばらくインシグニア飲んでいませんが、以前の印象ではオーパス・ワンと比べて力強いけど下品にならないとてもいいワインという感じでした。

品質的にはオーパス・ワンに全く引けをとらないワイン、価格は1万円以上安いですから、最上級のカベルネ・ソーヴィニヨン系ワインを飲みたいときは大いに候補になると思います。
Date: 2016/0909 Category: おすすめワイン
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Wassysでヴァーナー/ニーリーの2011年もの(一部2012年も)が9月いっぱい6307円と、とても安くなっています。他店では7000円台後半ですから1000円以上の大盤振る舞い。

ヴァーナー/ニーリーは2016年いっぱいで解散するIPOB(in pursuit of balance)のメンバーで2015年に来日しています(当時のインタビューは「IPOBミニインタビューその3――ロバート・ヴァーナー/ヴァーナー・ワイン」)。

このインタビューでも分かるように、非常にシンプルなワイン作りを手間暇かけて行っています。ワインもピュアなフルーツの味わいがあり、IPOB好きでない人にも人気の高いワインです(実際、ここが有名になったのはIPOBに批判的と言われるWine Advocate誌で非常に高く評価されるようになったためです)。

Date: 2016/0908 Category: おすすめワイン
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カリフォルニアのピノ・ノワールは美味しいですが、普段飲み用のものを探すのはちょっと苦労します。一時期はカレラのセントラル・コーストのピノ・ノワールが安かったのですが、最近は3000円以上になってしまいました。サイクルズ・グラディエーターは今も1000円台でがんばっていますが、かつてのレックス・ゴライアスと比べるとちょっと魅力に欠けるような気がします(レックス・ゴライアスは、以前ハーンのセカンド・ブランドだったのが売却されてしまいました。それで新たに作ったセカンド・ブランドがサイクルズ・グラディエーターです)。

そんなこんなで、最近は試飲会で安いものを特に注意して試飲するようにしているのですが、先日布袋ワインの試飲会に出ていたキャッスルロックのピノ・ノワールが、予想以上に美味しくてびっくりしました。

キャッスルロックは大分前に飲んだことがあったのですが、そのときは「安かろう、…」という感じであまりリピートしたいとは思わなかったのです。ところが今回の試飲で、見方が一変しました。

安いピノ・ノワールは果実味を強調しようとするためか、ちょっと不自然な甘さを感じることがあると思うのですが(なので、「甘い」と言われるメイオミにはまだ手が出せていません)、これは非常にバランスがよく、特に澄んだ酸の味わいがとてもきれいです。ピノ・ノワール・ファンが納得する味わいになっていると思います。

なお、キャッスルロックのピノ・ノワールはいくつかの地域のものがありますが、今回はメンドシーノとモントレーの2つを試飲しています。味の傾向はどちらもよく似ていましたが、メンドシーノの方が少し酸が強かったでしょうか。個人的には違いよりも共通部分の方がはるかに大きいように思います。

昔飲んだときは1000円台半ばだったのが2000円台に値上がりしていますが、この品質なら納得です。

布袋ワインの試飲会では、このほかベンチ、バリック、テイクンなど2000円台、3000円台で面白いものがいろいろあったので、また折を見て紹介していきたいと思います。






このシャルドネもコスパ高いです。


ピノ・ノワール以外もレベル高いので、飲み比べもいいでしょう。
Date: 2016/0907 Category: 業界ニュース
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オーパス・ワンの世界流通の約半分を取り仕切るPlace de Bordeauxが2013年ものの出荷を始めました。9月の第1月曜日に出荷を始めるのが通例で、今年もその日に出荷を始めています(Opus One 2013 release: 'We could have sold double' - Decanter)。

卸価格は185ユーロ(約2万1300円)と、2012年の168ユーロより1割程度値上がりしています。しかし、需要は極めて順調で、香港のワインショップ「Cru」では、数時間で売り切れてしまったとのこと、倍量あってもよかったとしています。
Opus One
日本での流通はここを通っていないと思いますが、価格は基本的に連動しているはずです。日本での最低価格は2011年が3万4000円程度、2012年が3万6000円程度。2013年は卸価格が上がっていますが、為替は円高傾向なので、相殺して2012年と同程度になるのではないかと思っています。

なお、デカンター誌の評価は2012年、2013年ともに94点とかなりの高評価。2013年の方が長熟型の作りになっているようです。

3万5000円台はかなりスペシャルな値段です。

エントリーでポイント20倍つきます。


Date: 2016/0906 Category: おすすめワイン
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先日発表されたWine Advocate誌226号のサンタ・バーバラ特集ではシャトー・イガイタカハのシャルドネ「侍」とピノ・ノワール「園」も昨年に引き続き、レビューされていました。

「侍」2014年は89点と、2013年の92点と比べるとちょっと低い評価。テクスチャはあるがバランスと魅力がちょっと低かったとのこと。もしかすると少し閉じている時期だったのかもしれません。

ただ、シャトー・イガイタカハのシャルドネは「侍」以外も魅力的。「シャトー・イガイタカハの一気試飲、「侍」「園」はさすがの美味しさ、「美夜」のパワーにビックリ」で詳しくレビューしていますが、特に「美夜」の潜在能力はピカイチだと思っています。

一方、ピノ・ノワールの「園」2014は2013年に引き続き92点。もちろんいい評価ですが個人的には2014の「園」は94~5点の評価があってもいいワインだと思っています。



Date: 2016/0905 Category: 業界ニュース
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カリフォルニアでは2016年のブドウの収穫が最盛期を迎えています(From Sonoma County and Napa Valley south: 2016 harvest a surprise after 2015)。

山火事の影響の懸念など、地域によっては多少心配事がなかったわけではない今年ですが、基本的には極めて順調。エル・ニーニョで旱魃が多少なりとも解消されたこともあり、2015年のように収穫量が極端に少なくなることもなく、質・量ともに問題ないというのが、これまでの概ねの状況です。

旱魃の状態が一番ひどかった2015年は収穫量が減ったほか、ブドウの成熟も一気に進み、適切な収穫時期を逃さないようにするのが大変なほどでした。2016年は、ブドウの成熟もゆっくりと進んでおり、「ハング・タイム」(ブドウが樹に付いている期間)も長くなているとのことです。

ピゾーニ・ヴィンヤーズのマーク・ピゾーニは「こんなことは言いたくないんだけど、調子よくて退屈なヴィンテージに見える」とコメントしています。

このまま問題なく進むといいですね。

Napa Harvest 2009  99
(写真は今年のものではありません)
Date: 2016/0904 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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柳屋とカリフォルニアワインあとりえにスポッツウッドのカベルネ・ソーヴィニヨン2012が入荷しています。

実は、先日スポッツウッドの記事(パーカーがスポッツウッドをバーティカル・テイスティング)を書く前にも1回、カリフォルニアワインあとりえに入荷していたのですが、そのときは記事を書く時点で早くも売り切れ、紹介できなかったのでした。

今は両店とも在庫があるようですが、Wine Advocate誌で99点のワインが2万円台というのは、かなり珍しく、しかも歴史も定評もあるワイナリーのものですから、早期になくなると予想されます。

入手するなら機会を逃さないようにしましょう。

ちなみに、6月にナパでこのワインを試飲していますが、非常に力強さを感じるワインでした。タンニンもしっかりとしているので、数年寝かしてから飲んだほうがいいように思います。



Date: 2016/0904 Category: 業界ニュース
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故ロバート・モンダヴィの夫人だったマルグリット・ビーバー・モンダヴィ(Margrit Biever Mondavi)さんが2016年9月1日に亡くなりました。享年91。

Wishing Margrit Mondavi a Happy Birthday! Thank you for all of your support and dedication to the Aggie community. #ucdavis by lindakatehi
(写真左がマルグリット)

マルグリットは元々、音楽や芸術の担当として1967年にロバート・モンダヴィに入社。そこでロバート・モンダヴィと恋に落ちて結婚しました。なお、ロバートの3人の子はいずれも前妻との間の子であり、マルグリットにも前の夫との間に3人の子がいます。

マルグリットは、現在も行われているロバート・モンダヴィ・ワイナリーでの夏のミュージック・フェスティバルなどを開催。ワイナリーにワインだけでなく、音楽や美術、また美食といったものとの結びつきをもたらしました。

米国においてワインが、単なる酒の一種ではなく、もっと文化的なものとなってくるのに彼女が果たした役割は大です。

ロバート・モンダヴィがワイナリーをコンステレーション・ブランズに売却後も、彼女は文化担当の副社長として残っていました。

ご冥福をお祈りします。
Date: 2016/0903 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国西海岸のピノノワールの専門誌、Pinot Reportのグレッグ・ウォルターが亡くなりました(Veteran Wine Journalist Greg Walter Dies at 58 | News | News & Features | Wine Spectator)。享年58歳。近年はガンと闘っていたそうです。

グレッグはWine Spectatorの初期からのメンバー。社長にまでなりましたが1994年に同誌を辞め、フリーランスのライターに転身しました。

2001年にPinot Reportを創刊。ピノノワールのブームに載って、注目されるメディアになりました。

月刊のPinot Report ですが、今年2月を最後に発行は止まっていたようです。

ご冥福をお祈りします。
グレッグ・ウォルター
写真はPinot Report のサイトからお借りしました。
Date: 2016/0902 Category: おすすめワイン
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Wine Advocate誌の最新号でロバート・パーカーがスポッツウッドのカベルネ・ソーヴィニヨンを、最初の1982年から最新の2014年までバーティカル・テイスティングした結果を載せています。

新たに満点を得たヴィンテージはありませんでしたが、2012年は99、2013年は99+と、2010年の100点に続いて、非常に高い評価を続けています。

また、難しい年であった2011年は2013年のレビューでは90点ですが、今回は94点と上方修正。50年持つワインではなさそうですが、20年は優に保つとしています。

日本に入荷している最新ヴィンテージは2012年のようですが、なかなか見つけるのは困難です。2011年であれば見つかりますが。

また、1997年のものは今回98点と非常に高い評価になっています(過去のレイティングでは93点)。これが2万円強で買えるのはかなりお買い得でしょう。

Date: 2016/0902 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアのワイナリーでも中国人の訪問者が急増しています。彼らに対してどのようにサービスを提供するのがいいのか、についてパネルディスカッションが開かれました(Tips for Welcoming Chinese Winery Visitors - Wines & Vines)。

中国人にとって重要なのは「関係」(グァンシー)であり、後から手紙やスモールギフトを送るなどの関係づくりが大事だとか、「面子」(ミアンジ)をとても気にするから、聞かれたことに対して「No」で答えるのは避けるべきといった、かなり実際的な内容が語られ、日本人が中国人ビジターを迎えるときにも参考になるところが随分あるように思いました。

また、面白かったのは、中国人に人気のワイナリーは15軒(ナパが13軒、ソノマが2軒)あるという話。

ちなみに、その15ワイナリーは以下のものです。

ナパ:エチュード、ヘス・コレクション、コングスガード、ドミナス、ハーラン・エステート、オーパス・ワン、ロバート・モンダヴィ、ハイツ・セラーズ、ベリンジャー、クロ・ペガス、ケイマス、スクリーミング・イーグル、スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ
ソノマ:キスラー、マーカッサン

さて、この15軒に共通するのは何だか分かりますか?



答えは『神の雫』に登場したワイナリーだということ。『神の雫』は日本を含むアジアで3億人以上が「ワインのバイブル」として読まれているとのことです。

ちなみにナパ・ヴァレー・ワイン・トレインが登場するのはこの巻です。


Date: 2016/0901 Category: 業界ニュース
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Wine Advocate の226号が発表されました。例年通りセントラルコーストがカバーされ、パソロブレスとサンタバーバラの記事が載っています。レビュアーはどちらもジェブ・ダナック。概ね、これまでと同様、という印象でしたが(まだ精査はしていません)、印象的だったのは復活するダイアトム(Diatom)に96点と、高い評価が付いていたこと。ダイアトムはアントニオ・ガッローニからはあまりいい評価を得ていなかったので、これは素直に嬉しいです。

また、今回おそらく初めて日本酒の記事が載り、約90本の日本酒がレビューされています。書いたのはアジア担当のLiwen Haoという人。上海生まれの中国人です。
初めての日本酒記事

一番高い評価だったのは98点。久須美酒造の純米大吟醸亀の翁三年貯蔵というお酒です。次が95点なので、ダントツの高評価と言ってもいいでしょう。


Date: 2016/0831 Category: 業界ニュース
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40年前のパリ・テイスティングで赤ワインの1位になったことで知られているスタッグス・リープ・ワイン・セラーズ(Stag's Leap Wine Cellars)が、トレジャリー・ワイン・エステートを商標侵害で提訴しまし(Courtwatch: Is The Stag Devaluing the Prestige of the Stags Leap ...)。

The Stag

提訴の対象になったのは、新たに作ったThe Stagというブランド。ラベルがスタッグス・リープ・ワイン・セラーズやスタッグス・リープ・ディストリクトを侵害していると主張しています。
Date: 2016/0831 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパの人気ワイナリーであるダックホーン(Duckhorn)がTSG Consumer Partnersという投資ファンド(正確にはプライベート・エクイティ・ファンド)に売却されました(Duckhorn Sold to Private Equity Group | Wine News & Features)。価格は明らかになっていませんが、Wine-searcherによると、ベリンジャー(15億ドル)やロバート・モンダヴィ(14億ドル)に匹敵するレベルになったようです。なお、デコイ(Decoy)やマイグレーション(Migration)などダックホーンの兄弟ブランドも一緒に売却されています。

Duckhorn

これまでのダックホーンのオーナーもGI Partnersという投資ファンド。ですから売却益を得るのは当然のことであり、むしろよくここまで持っていたという見方もあるようです。2007年に創設者がGI Partnersに売却して以降、生産量は10万ケースから50万ケースに増えています。

売却後も従業員のレイオフなどはしないとのことで、ダックホーンにとってはいい買収になると思われます。

ただ、新しいオーナーも規模の拡大は望むでしょうから、そこをどう折り合っていくかは課題になりそうな気がします。
Date: 2016/0830 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Steve Heimoff Blog
Wine SpectatorやWine Enthusiastで評論家として活躍した、スティーブ・ハイモフ(Steve Heimoff)がワイン業界から引退することを発表しました(I just retired! | STEVE HEIMOFF| WINE BLOG)。

70歳になったスティーブ・ハイモフ。2014年からはジャクソン・ファミリー・ワインでワイン教育などに携わっていましたが、このほどその仕事を辞めました。

理由としては、金銭面で引退してもつつましく生きていけるメドがついたから。引退表明のブログによると、雑誌のライターの給料はかなり低かったようですが、ジャクソン・ファミリーの給料でなんとかそのメドがたったようです。

なお、人気のブログは今後も続けるとのこと。ただし、今後はワイン以外のこと、例えば政治についてなど、積極的に書きたいとしています。

実際、引退表明後のブログのほとんどは政治がらみ。それも基本的には共和党とドナルド・トランプをけなす方向に走っています。

個人的にはワインについての発信も続けてほしいと思いますが、今の暴走状態もまた面白くないともいえないです。
Date: 2016/0829 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2016年春に紹介したワインですが再掲。レギュラーで入ってくるワインではなく、在庫発掘ものなので、ワイナリーの在庫がなくなってしまえば、終了です。過去の似たようなものの例だと1年程度でなくなることが多かったような(もちろんワイナリーの在庫によって変わる話ですが)。

ヴァレンタイン・ヴィンヤードはオーナーの死去によってワイナリーも廃業。そのセラーに残っていたワインを日本のインポーターが引き取ったものなので、コンディションはこれ以上ない状態。しかも超格安。15年近くの熟成を経たワインとしては破格の値段です。

レギュラーのカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロー、そして単一ブロックもののカベルネ・ソーヴィニヨンの3種がありますが、特に評価が高いのはメルローのようです。

Valentine



Wassy'sはAmazonでも販売しています。


Date: 2016/0828 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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2000年代に急速に人気が上がったカリフォルニアのピノ・ノワール。映画『サイドウェイ』の影響など、さまざまな要因がありますが、数多くの人気ワインメーカーが登場したことも、その要因の1つと言えるでしょう。

その中でも人気が高い一人がエド・カーツマン(Ed Kurtzman)。90年代にはテスタロッサのワインメーカーとして活躍し、2000年代にはサンタ・ルシア・ハイランズの3大人気畑(ピゾーニ、ゲイリーズ、ロゼラズ)のうちゲイリーズとロゼラズを擁するロアー(Roar)のワインメーカーや、オーガスト・ウエストのワインメーカーとして人気が高まりました。

彼が作るワインの魅力は、親しみやすく、品があること。ひれ伏すようなワインではなく、飲んで楽しくなるワインです。特にサンタ・ルシア・ハイランズのロゼラズのワインは畑の個性と彼の個性がマッチして、一番魅力的になっていると思います。

また、彼自身の人柄もワインと同様、親しみやすく、だれもが「いい人」と思います。

その人柄のためか、彼に教わった日本人のワインメーカーも二人います。一人はホワイトハウスの晩餐会で使われたフリーマンのアキコ・フリーマンさん。もう一人が桃井隆宏さん。桃井さんのアーサーセラーズのピノ・ノワールは、「日本で飲もう最高のワイン」というコンクールで、2015年はプラチナ、2016年はダブルプラチナ(評論家と消費者の両方でプラチナを得ること)に輝いています。

エド・カーツマンは現在はロアーを辞め、オーガスト・ウエストと自身のプライベート・ブランドであるサンドラーでワインを作っています。どちらもilovecalwineが輸入。

フリーマンのワインはワインインスタイルが輸入元となっています。


アーサーセラーズは自社のオンラインショッピングのみ。1本税込み4860円と、かなりお買い得な価格を付けています。

Date: 2016/0827 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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議論を呼んだサンタ・リタ・ヒルズAVAを拡張するかどうかについて、ようやく決着が着きました。TTB(アルコール・タバコ税貿易管理局)の結論は「拡張」でした(Sta. Rita Hills AVA Expansion Approved | Wine News & Features)。

AVAの拡張案がTTBに提出されたのは3年前(サンタ・リタ・ヒルズ拡大で論議)。これまでのボーダーよりわずか東に畑を持っているペンス・ランチ(Pence Ranch)のブレア・ペンス氏が申請しました。
サンタ・リタ・ヒルズ(部分)
これに対して、Sta. Rita Hills Winegrower Alliance(SRHWA)は反対。これまでのボーダーは西向き斜面によって決めていたのに対して、新たに提出された部分は南向け斜面だったからです。

ブレア・ペンス氏は、自身の畑に天候の測定装置を設置し、気温がむしろ低いことを測定してこれに対抗。TTBは2年前にパブリックコメントを求めていました(賛否渦巻くサンタ・リタ・ヒルズの拡大申請)。

今回、拡張が認められたことにより、サンタ・リタ・ヒルズは従来の33380エーカーから2296エーカー広くなります。新領域に含まれる畑はJohn Sebastiano Vineyards、Rio Vista Vineyard、Pence Ranch Vineyardの3つです。

サンタ・リタ・ヒルズAVAに入るかどうかで、ブドウ価格は1トンあたり1000ドルも変わるとのことで、これらの畑のオーナーにとっては朗報となりました。

これに対して、2001年に認められた元々のAVA申請を作成したクロ・ペペのワインメーカーであるウェス・ヘイガン(Wes Hagen)は、回答が出たのだから、それは受け入れ、2016年の収穫に集中したいと述べています。
Date: 2016/0826 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国でワインドリンカーの主流になったミレニアル世代では、缶入りのワインが広がりつつあるようです(How Wine in a Can and 'Brosé' Are Helping Marketers Appeal to Millennials)。

代表的なブランドの1つがManCan。ワインの中身はカリフォルニアのもので、赤と白、そして泡があります。缶はアルミ製ですが、中にコーティングがしてあり、直接ワインと金属は触れないようになっています。

Fizz is meant for weekends on the beach. #mancanwine #mancan #weekend #fizz

MANCAN wineさん(@mancanwine)が投稿した写真 -



特に、アウトドアやスポーツ観戦などに向けて売っているようです。容量は1つが375mlで、4本パックが16.99ドルと価格も安めです。

Underwoodも缶で人気のブランド。Union Wineというオレゴンのワイナリーが作るピノ・ノワールで、通常のガラス瓶も作りながら、缶にも力を入れています。こちらも容量は概ねハーフボトル。ワインをもっと気軽なものにしたいという狙いがあるようです。2014年に85115ケースだったのが2016年には173810ケースとほぼ倍増しています。

Oregon-based @unionwinecompany sent over some red + white bottles of their Underwood wine as well as their new "wine in a can". Love the packaging! Find out more about them on the blog today.

ミレニアル世代に人気が高いロゼを缶にしたものもあります。The Dropという名前で、こちらは250ml缶。4本で24.99ドルという定価です。ワインはカリフォルニア産。



個人的には缶よりペットボトル、あるいは小型のグラス型ボトルの方が普及するかと思っていましたが、缶が勢いづいている感じがあります。ペットボトルが日本ほど使われていないというのも関係あるのでしょうか。

ともあれ、いろいろなパッケージングが登場している米国は面白いですね。日本でももっといろいろ冒険するところが増えてほしいと思います。
Date: 2016/0825 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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柳屋にポール・ラトーのピノ・ノワール「マチネー」の新ヴィンテージが入荷しています。ワイナリーでの値下げに最近の円高を反映して、前ヴィンテージの10500円から7980円(いずれも税抜き)と2000円以上安くなっています。

マチネーは、米国ではレストラン専用に作っているもの。早のみの作りにはなっていても、ブドウの畑は単一畑と変わりません。

2014年のヴィンテージはセントラル・コーストのピノ・ノワールにとっては良年と言われる2013年よりも、さらに良いことが期待できます。どうでしょうか。

Date: 2016/0824 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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楽天市場のヴェリタスで周年祭をやっており、エントリーでオーパス・ワンのポイントが20倍、すなわち2割分付きます。6本買えば25倍。ただし、24日9時59分まで(21日からやっていたのですが、見逃していました)。

3万7000円(税抜き)の2割というと7400円分のポイント。今は税込み3万5000円を切るところはありませんから、かなりの安値です。

Date: 2016/0823 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日「オーガニックなカリフォルニアワインは統計的には有意においしいことが判明」という記事を公開しました。

この元になるUCLAの研究は、あくまで各誌の評価とオーガニックかどうかということを統計的に処理して、相関関係があるとしたもので、それ自体は、全く正しい結果なのだと思います。

ただし、これをもってオーガニックなワインだからおいしいと結論はできません。

前の記事ではそのあたりのニュアンスも含めて、あえてタイトルに「統計的には」と入れたのですが、説明足らずだったという反省もあります。

また、この記事を発端とした、さまざまな意見も読み、個人的にもあらためていろいろと考えさせられました。

というわけで、うまくまとまらないのですが、このことについてもう一度考えてみたいと思っています。

まず、元記事についてですが、統計はあくまで2つの事象に数学的に関連があるかどうかを見るだけであって、因果関係があるかどうかは別の問題です。

例えば、体重と年収の相関を調べたら、体重の重い人の方が年収が上という結果が出るかもしれません。しかし、これをもって体重を増やせば年収が上がるかというと、そういう結論は出せません。もしかしたら、加齢によって体重が増えることと、年が上の方が給料が上がることによってそういった相関が現れたのかもしれません。

オーガニックのワインについても、例えばオーガニックのワインの方が高価なものが多く、それで美味しいものが多いのかもしれません。

因果関係を言うためには、他の条件をそろえた上でオーガニックと従来農法のワインを作り、それを比べてどちらがいいのかを見ないといけず、統計だけで結論づけるのは危険です。

実は、元記事の後追い記事として、UCLAの論文をさらに調べてみたら、Wine Advocate誌の方がWine SpectatorやWine Enthusiastよりも点が高く、それをもって「Wine Advocateはカリフォルニアワインに甘い点を付ける」というものがありました。これなんかもまさに、統計にだまされているわけで、Wine Advocate誌の方がWine Spectatorよりもカバー範囲が狭く、ハイエンドのワインに偏っていることが、その原因になっている可能性が大です。本当にWine Advocate誌の方が高い点を付けているかどうかは、同じ対象ワインで調べないと意味がありません。

では、それはそれとして、オーガニックなワインは本当においしいのでしょうか。

オーガニックで栽培されている畑(Ovid)

カリフォルニアではオーガニックにマイナスのイメージがあるという記事も以前ありました(ナパのワイナリーが「有機栽培」や「ビオディナミ」といった言葉を避ける理由)。

ただ単に、農薬を減らしたり、酸化防止剤の使用を減らしたりするだけなら、ブドウの品質やワインの品質は下がりこそすれ、上がることはないでしょう。

逆に言うと、現在オーガニックでブドウを作っているところは、お金も手間もかけているはずです。また、ブドウの収量はおそらく減りますから、ワイン1本あたりのコストはさらに上がる可能性が高いです。

結果として、ワインの値段も上がる可能性が高いでしょう。それでもオーガニックにするメリットがあると判断したワイナリーだけがオーガニックにしていると考えることもできるでしょう。

したがって、現在オーガニックだとして売られているカリフォルニアワインは、品質的にいいものが中心になっており、消費者としては品質判断のポイントにしてもいいのかもしれません。

逆に、オーガニックであまりに安いワインは、安かろう悪かろうになっている可能性が高いので、あまり手を出さない方が良さそうな気がします(おそらくそういったものは地元消費がほとんどで日本には入ってきていませんが)。

つまり、オーガニックだから美味しいワインができるのではなく、現状オーガニックでワインを作っているところの多くは、手間暇かけている高級ワインが中心であろう、だから品質もいいものが多いと判断しても良さそうだ、というのが私の考えです。

蛇足で付け加えるならば、逆にオーガニックでないからダメだということは全くありません。環境的な要因でオーガニックな栽培が難しいというケースも多々あるでしょう。例えば近隣にブドウの病気が発生したら、薬でその蔓延を防ぐという方が、無農薬に固執するよりも健全な判断だと思います。オーガニック至上論には陥らないことをおすすめしたいと思います。
Date: 2016/0822 Category: 業界ニュース
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ナパで今、最も高く評価されているワイナリーの1つがシュレーダー(Schrader)。Wine Advocate誌で100点を取ったワインがなんと14本。Sine Qua Nonの12本、ハーラン+ボンドの10本を超えて、カリフォルニアのワイナリーとしては最多の満点をほこります。

そのシュレーダーがソノマ・コーストで手掛けるのがボアーズ・ビュー(Boars' View)。イノシシのワイナリー名に、イノシシの顔をかたどったラベルはどう考えても、近隣の巨人マーカッサンを意識しているとしか思えません。
Boars' View
2013年のピノ・ノワールの評価で見ると、Marcassinの94+に対してBoars' Viewは95点。すでに超えたとは言わなくても、ライバルと呼んでもいいのかもしれません。

ただし、価格もマーカッサン並みに高いです。


ところでBoars' Viewのワインメーカーはシュレーダーと同じくトーマス・リバース・ブラウン。畑のマネージャーはユリシス・ヴァルデス。ユリシス・ヴァルデスは、「ソノマのデイビッド・エイブリュー」と呼ばれるほどの才人。海に近い過酷な環境のBoars' Viewの開発は、この人なしでは不可能だったと言われています。

トーマス・リバース・ブラウンとユリシス・ヴァルデスの組み合わせということだと、リバース・マリーのシルバー・イーグルというピノ・ノワールも該当します。こちらだと価格も1万円台ですが、入手はなかなか困難です。

ついでにもう1つ紹介すると、ユリシス・ヴァルデスの頭文字UVを取った畑のブドウを使っているのが、もう一人の超大物オーベール(Aubert)。彼もユリシス・ヴァルデスの才能に惚れ込んでいる一人です。ほかにもポール・ホブスなど、超大物ばかりに気に入られているのですから、ユリシス・ヴァルデス恐るべしです(彼については「Grower Profile – Ulises Valdez (Sep 2015) | Vinous - Explore All Things Wine」が詳しいです)。

Date: 2016/0821 Category: 業界ニュース
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ナパのヨントヴィルでWines & Vinesによるパッケージング・カンファレンスが開かれました。講演の1つで、マイケル・デイビッド・ワイナリーが自社の急成長の秘密について、ラベルやボトルデザインを中心に語った内容が記事になっています(How Michael David Winery Turbocharged Its Brands)。

参考:マイケル・デイビッド関連の過去記事は
パーカー一押しマイケル・デイビッドのマイナー品種ワイン
ロバート・パーカー、中間号でマイケル・デイビッドを高評価
ワイン・エンシュージアストの年間トップ100発表、2位は驚きの18ドルワイン

まず、ここを有名にした「7デッドリージン」(7 deadly zins)ですが、2002年にわずか700ケース(ヴィンテージは2000年)で始めたものが、2004年にはホット・ブランドに選ばれ、10年間で25万ケースに達しました。

その後、売上は一回横ばいになったものの、リブランディングによって2015年には16%の成長を果たし、今年「インパクト・ホット・ブランド」に選ばれています。なお、ジンファンデルとしては全米で一番売上のあるブランドだとのこと。

7 deadly zins

さて、それ以外にもさまざまなブランドを作りヒットを飛ばした同社ですが、ブランドの認知は進んだものの、ワイナリーとしての認知度が上がっていないという問題に直面します。そこで、2009年にワイナリーのロゴを作り、ワイナリー名もそれまでのMichael and David PhillipsからMichael David Winery(略してMDW)に変更しました。

シャルドネは「7 Heavenly Chards」というブランドで売り込みを図りましたが、うまくいかず、結局はトラディショナルなボトルやラベルの方が好ましいということになり、新たに「マイケル・デイビッド」ブランドを作りました。
Michael David Chardonnay

また、ジンファンデルでは、高級ラインへの拡張を目指し、Gluttony、Lust、Slothというリザーブものを作っています。

これらの名前は7デッドリージンという名称がキリスト教の「七つの大罪」(7 deadly sins)をもじったものであることから、これら大罪の名前を取っています。
20160820-gluttony1.jpg

Gluttonyは暴食の意味で、アマドール郡のブドウから、ファットなスタイルのジンファンデルを、Lustは肉欲の意味で、地元ロウダイのブドウで「最もセクシエスト」なワインだとのこと。Slothは怠惰で、ヒッピーのカルチャーが残るメンドシーノのブドウを使ったものです。

また、前述の7デッドリージンのリブランディングでは、ボトルのデザインを、背が高く、肩が張ったものにして、ワイナリーの名前を刻印し、ラベルにワイナリーロゴを加えました。

元記事には他のワインについても書かれていますので、興味ある方はご覧になってください。
Date: 2016/0820 Category: 業界ニュース
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カリフォルニアワイン・インスティテュートがロンドンのオフィスを閉鎖するというニュースについて、ワイン・インスティテュート側からのコメントが公表されました(Wine Institute Makes Changes to Export Program in UK and Asia)。

それによると、英国の現在の駐在員との契約はなくなるものの、別のエイジェンシーと契約することで、英国でのプロモーションは続けていくとのこと。毎年春に開催していた「Go West」という試飲会はなくなり、代わりに9月にカリフォルニアのワイナリーの欧州ツアーの一貫としてロンドンで試飲会を開くとのことです。

また、アジアは新しい中国のオフィスで、日本を除く東南アジア全域をカバーし、日本はこれまで通りとなっています。

あくまで想像ですが、これまでの英国代表とワイン・インスティテュートとの間で何か問題があったのかもしれないですね。英国から手を引くというよりも、この代表との契約を切りたいということだったように思いました。

何はともあれ、日本オフィスが安泰なのはほっとしました。
Date: 2016/0819 Category: 業界ニュース
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ワイン・インスティテュート・オブ・カリフォルニアの英国駐在がなくなるというニュースを書きましたが、日本の状況が不明だったので、日本代表の堀賢一さんに問い合わせました。

日本は大丈夫ですよ。ご心配、ありがとうございます。


とのことで、とりあえず連鎖反応的に影響が出ることはなさそうです。
Date: 2016/0819 Category: 業界ニュース
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ワイン・インスティテュート・オブ・カリフォルニアが2016年9月30日でロンドンのオフィスを閉鎖すると発表しました。米国農務省からの補助金が大幅にカットされたというのが理由で、英国の駐在員にとっては寝耳に水の発表だったようです(CALIFORNIA WINE INSTITUTE TO CLOSE UK OFFICE)。

英国代表のジョン・マクラーレンによると、英国でのカリフォルニア・ワインの売上は順調で、特に10ポンドを超える価格帯のワインはよく伸びていたとのこと。しかし、ワイン・インスティテュートは成熟市場よりもおれから成長する可能性がある市場により力を入れていくとのことで英国駐在をなくすことにしたそうです。

なお、英国はカリフォルニアワインの輸出先としては最大規模です。

日本もカリフォルニアワインの輸出先としては大国ですが、どちらかといえば成熟市場。同じような判断が下されないか非常に心配です。

カリフォルニアワインは日本市場における存在感としては、むしろ弱くなっており、近年は特に台頭するチリに比較的低価格の領域を譲っています。まだまだ日本市場でやるべきことはたくさんあると思うので、日本でのバジェットカットがないことを望みます。
Date: 2016/0818 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ブロック・セラーズ(Broc Cellars)はサンフランシスコの対岸バークレーにあるワイナリー。2002年の設立で、特にマイナー品種を使ったワインに力を入れています。ブドウは全部契約した農家から購入していますが、有機栽培やビオディナミを採用しているところがほとんど。畑の地域や品種にこだわらず、ユニークなワインを創っています。

例えばSOGIという赤ワインはピノ・ノワールとガメイ・ノワールのブレンド。ガメイ・ノワールはサンタバーバラのロス・アラモス地域から仕入れています。CARBONIC CARIGNANはカリニャンですが、畑はアレキサンダー・ヴァレーの120年以上の樹齢のもの。COUNOISEという聞いたことがない品種のワインはナパのマヤカマス・マウンテンの畑からのブドウを使っています。

作っているワインや方法論は異なりますが、精神的にはモーガン・トゥエイン・ピーターソンのベッドロックに通じるところがあるように思います。

ここのロゼがワイナリー和泉屋に入荷していますが、このワインもかなりユニーク。Valdiguieという品種が70%で、25%がGrenache Gris、5%がジンファンデル。気軽に飲めるワインを目指しているようです。生産量はわずか220ケースでワイナリーでは完売しています。

名称は「ラブ・ロゼ」で、ラベルにはハートマークもあしらわれています。結婚記念日などにプレゼントするのもいいかもしれません。
Love Rose

同時に、ラブ・ホワイト、ラブ・レッドも販売しています。
Date: 2016/0817 Category: おすすめワイン
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故ロバート・モンダヴィの長男マイケルの家族が営むマイケル・モンダヴィ・ファミリー・エステート。そこの「エンブレム」ブランドのカベルネ・ソーヴィニヨンが柳屋のお盆セール第3弾になっています。

マイケル・モンダヴィ・ファミリー・エステートについては先日の「【保存版】モンダヴィ・ファミリーの系譜」を御覧ください。

エンブレムはマイケルの息子のロバートJr.が中心になって作っており、ハウエル・マウンテン近くの自社畑「Oso」のブドウを使ったワインと、より安価な購入ブドウによるナパ・ヴァレー・カベルネ・ソーヴィニヨンがあります。

今回セールにあんっているのは安価なナパ・ヴァレーのもの。2013年は好ヴィンテージだけあって、安価なものでも高品質なワインがよくあります。これもその1つといっていいでしょう。Wine Advocateでは90点、ジェームズ・サックリングは92点を付けています。



ただし、評価の高さと値段の安さという点では、先日紹介したクロ・デュ・ヴァルのカベルネの方が上を行っています。ジェームズ・サックリングは同じ92点ですが、ヴィナスの95+というのはかなりすごい評価です。価格もこちらの方が1000円くらい安いです。

というわけで、本サイトとしては、こちらを一押しとさせていただきます。

Date: 2016/0816 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ネイキッドワイン(Naked Wines)というユニークなワイナリーがあります。何がユニークかというと、クラウドファウンディングをビジネスモデルにしているのです(The story of Naked Wines | TechCrunch)。

クラウドファウンディングについては、これまで何回か取り上げていますが、改めて説明すると「不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語である」と定義されています。

ワイン関連でもこれまでいくつかクラウドファウンディングの試みがあります。本ブログでは以下の様なものを紹介しています。
クラウドファウンディングでテイスティング・ルームを作ろうと試みるソノマのワイナリー
ワイン専用のクラウドファウンディングが登場
ワインを30日間フレッシュに保つ、世にも奇妙な無線LAN対応ワインボトル
1万種の品種を作るランドール・グラームの壮大なプロジェクト、クラウド・ファンディングで出資者募集中、あなたの名前がブドウに付けられる

ネイキッドワインはこの中だと「ワイン専用のクラウドファウンディングが登場」で紹介したCruzuに一番似ています。特に、ワインメーカーが複数いて、さまざまなワイン作りのプロジェクトを持っているという点は共通しています。

ただ、ビジネスモデルとしてはネイキッドワインの方が、より継続的にビジネスを続けられるよう工夫されています。

ネイキッドワインではユーザーは「エンジェル」として、毎月40ドルの会費を払います。現在7万5000人のエンジェルがいるとのことですから、毎月300万ドル(約3億円)の収入があるわけです。
ネイキッドワインの「エンジェル」

これを原資として、ネイキッドワインは、ワインメーカーが提案するさまざまなワイン作りのプロジェクトに出資します。どのプロジェクトを進め、どのプロジェクトをやめるかは会社が決定します。プロジェクトごとにユーザーが出資を決めるCruzuとはここも大きく異なります。

ワインメーカーは会社が出すお金や設備を使ってワインを作ります。しかし、作ったワインを宣伝したり売ったりすることには責任を持ちません。このため、世界のさまざまな地域のカベルネ・ソーヴィニヨンを使ったカベルネ・ブレンドだったり、「Vermentino」というブドウ品種に魅せられたワインメーカーのプロジェクトといったユニークなプロジェクトが実施されています。

一方、出資したエンジェルは、ワインを定価の40~60%割引で購入できたり、毎月ギフトボトルが送られてくるなどのメリットがあります。

ネイキッドワインはこのほか「Wine Bond」という形の出資も受けました。これもユーザーが出資するもので、1年後にキャッシュであれば7%、ワインの購入であれば10%の利子がつきます。2013年に開始して1カ月で650万ドルを集めました。

日本のワインでも、同じような挑戦はできるのではないかという気もするのですが、どうでしょうか。
Date: 2016/0815 Category: おすすめワイン
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昨日紹介したドミナスのナパヌックは毎年安定して高得点を取っていますが、2013年限定で95+点、しかもナパのカベルネで4000円台というのを見つけました。

ワイナリーはどこかというとクロ・デュ・ヴァル。ナパでも老舗のワイナリーの1つです。ここの一番スタンダードなカベルネ・ソーヴィニヨン2013にヴィナスのアントニオ・ガッローニが95点を付けています。スタッグス・リープ・ディストリクトなど、上級のではないかとよく見ましたが、やはりスタンダードなカベルネの得点です。
Clos Du Val 2013

ちなみに著名評論家のジェームズ・サックリングは同ワインに92点を付けています。

ショップによっては5000円台ですが、それでも十分にお買い得でしょう。

Date: 2016/0814 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ドミナスのセカンドワイン「ナパヌック」のラベル・デザインが2012年から変更になっています。
ナパヌック

従来は文字が色付きで入っていましたが、このヴィンテージからはモノクロームに。17回目のヴィンテージで、ワインが成熟し、品格を持っていることをより表現しようとしています。

実際、セカンドワインとはいうものの、ナパヌックは非常に高い評価を得ています。Wine Advocate誌では2002年以降、評価のなかった2011年を除き毎年90点以上。2008年以降で見ると2010年を除いて93点という高評価です。

アントニオ・ガッローニのヴィナスでも2012年が94点、2013年が95点。なお、ファーストのドミナスは2012年が98点で2013年が100点。2013年はWine Advocateともども100点となっています。

ナパヌックの価格は現在8000円前後。以前よりは上がりましたが、評価の安定した高さを考えれば、むしろ安いくらいでしょう。ナパの同価格帯のワインの中でもトップクラスの1つと言えると思います。

個人的にはこの倍の価格をオーパス・ワンのセカンドワインに使うのなら、こっちの方がずっといいのではないかと思います。

商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。お買い物される際には、必ず商品ページの情報を確認いただきますようお願いいたします。また商品ページが削除された場合は、「最新の情報が表示できませんでした」と表示されます。

●ドミナス ナパヌック[2012] Dominus Napanook[2012]△
価格:7538円(税込、送料別) (2016/8/14時点)

Date: 2016/0814 Category: 業界ニュース
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バークレーのワインショップ「プルミエ・クリュ」が出資金詐欺(ポンジ・スキーム)として、操作されていた事件の公判が開かれ、オーナーが有罪を認めました(Premier Cru owner spent $900K on dates met online | Berkeleyside)。

オーナーのジョン・フォックスは2010年以降、500万ドルを家屋の購入や娘の学費、ゴルフの会員権、高級車の購入などに使っていました。また90万ドル以上を「オンラインで会った女性達に」使ったことも認めました。

フォックスが使い込みを始めたのは1993年か1994年ころから。「プルミエ・クリュ」はボルドーのプリムールなどの販売で人気があり、顧客から事前に集金して、数年後にワインを送る形を取っていました。フォックスはオーダーされたワインを全部は発注せず、使い込みに回していました。

最長で6年半の懲役、また4500万ドルの返却を求められています。

ショップにはまだ7万9000本のワインがあり、今月販売される予定。320万ドルの売上を見込んでいます。
Date: 2016/0813 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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柳屋でお盆セールが始まっています。

第一弾は人気のフランシスカン・カベルネ・ソーヴィニヨン。税抜き価格ですが1980円というのは相当の格安。楽店の他店より500円近く安いし、Wine-Searcherで見る米国の最安と比べても遜色ありません。さらに6本購入で送料無料になります(5本以下の場合、お店取り置きなら送料かかりません)。



第二弾はソノマ・コーストのシャルドネが1980円(税抜き)。2010年ヴィンテージのものがワイナリーで在庫化していたものをインポーターが引き取って実現した価格です。作っているのはZilzie Winesというオーストラリアのワイナリーで、このヴィンテージだけソノマでシャルドネとピノ・ノワールを作ったものだとのことです。

Date: 2016/0812 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日はコスタ・ブラウンがアンダーソン・ヴァレーのセリース(セリーズ、Cerise)の畑を買収したというニュースがありましたが、ほかにも畑の買収のニュースが相次いでいます。

ソノマのロシアン・リバー・ヴァレーにあるウィリアムズ・セリエム(Williams Selyem)はロシアン・リバー・ヴァレーのSaitone(セイトーン?)の畑を買収しました(Williams Selyem Winery buys historic zinfandel vineyard | The Press Democrat)。

ここはHistric Vineyard Societyにも登録されている、1890年代に植えられたジンファンデルのある畑。26エーカーのうち12エーカーが、古木になっています。

これまではデローチ(デローシュ、DeLoach)やフック&ラダー(Hook & Ladder)がここのブドウを使っていましたが、今後はウィリアムズ・セリエムだけが使うことになるのでしょうか。

一方、サンタ・バーバラではシー・スモークがリタズ・クラウンを買収しました。シー・スモークの自社畑に隣接していたそうです。リタズ・クラウンはこれまでサンディなどが使ってきました。61エーカーあり、シャルドネとピノ・ノワールが植わっています。植樹は2007年。
Date: 2016/0812 Category: 読書感想
Posted by: Andy
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Wine Follyというワインの人気サイト(英語)があります。インフォグラフィックスと呼ばれる、わかりやすい図版を駆使してワインの勉強ができるサイトです。そのサイトが作った「Wine Folly」という本も米国で1カ月足らずで8万部と大変な人気になっています。

その本の日本語版が出ていたので読んでみました。ワインの基本やテイスティング方法といった基礎的な内容もありますが、メインになるのは、さまざまなワイン品種についての説明。1品種について2ページずつを使って解説しています。
Pinot Noir Page1
Pinot Noir Page2
例としてピノ・ノワールのページを挙げましたが、左側のページではその品種の特徴や、香りの構成要素、右側のページでは世界での生産量や各国での扱い。グラスや温度など飲み方の指南などが描かれています。

とても分かりやすくきれいにまとめられているので、気が向いたときに気が向いたページだけを見るような読み方でも楽しめる本です。ワインにある程度詳しい人でも、十分楽しめる内容です。

ちなみにこの本、米国の定価は25ドルですが、日本語版は1944円と安いです。

Date: 2016/0811 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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南麻布のレストラン「ルエヴェルロール」が今週末まで、持ち込み無料のプランをやっていたので、お友達を誘って行ってきました。

image

スープ

最初のワインはパッツ&ホールのシャルドネ、ウールジー・ロード2002です。うちのセラーにずっとあったもの。
Patz & Hall Chardonnay Woolsey Road 2002
熟成しすぎて落ちているのではないかと心配だったのですが、ウールジー・ロードらしい酸がまだ残っており、予想以上に美味しく飲めました。

もう一本、シャルドネはニュートンの2005年。
Newton Chadronnay Unfiltered 2005
ロバート・パーカーによると、10年は熟成すると書いてあったので、こちらの方が期待したのですが、少し熟成が進みすぎた印象。ソムリエの千葉さんによると「メイラード反応が進んでいるのでは」とのこと。これはこれで熟成香として美味しく飲めるのですが、ワインの個性は失われてきているとのことです。確かにそのコメントには納得。劣化ではないですが、どちらが好きかといえば、ウールジー・ロードの方が良かったです。

ホタテのポワレ

次のワインはレイン(Raen)のピノ・ノワールROYAL ST. ROBERT CUVEE2014。先日紹介したモンダヴィ・ファミリーの系図でコンティニュアムのティムの息子ダンテとカルロがソノマ・コーストで作っているワインです。ROYAL ST. ROBERT CUVEEというのはおじいさんのロバートの名前を付けたもの。
Raen Pinot Noir Sonoma Coast 2014
持ってきてくださった方の話だと、最初のヴィンテージの2013は、非常にブルゴーニュ的な味わいだったそうですが、2014はカリフォルニアらしさも出ています。ヴィンテージ差というより、作りの試行錯誤なのかもしれません。アルコール度数は13.3%と低めです。上品で、とても美味しかったです。

この後、食事の写真、撮り忘れています。既に酔っ払っていたのか…

もう一本のピノはライアン(Ryan)という非常に生産量の少ないワイナリー。サンタ・ルシア・ハイランズのゲイリーズ2004です。
Ryan Pinot Noir Garys' 2004
パワフルなゲイリーズですが、熟成していい感じ。

最後はソノマのローレル・グレン カベルネ・ソーヴィニヨン1996です。
ローレル・グレン1996
だいぶ酔ってきていましたが、これもよかったです。もっと熟成進んでいるかと思いましたが、まだまだ元気な感じでした。

さて、今回初めて使った「ルエヴェルロール」ですが、料理も美味しいし、ワインのサーブは完璧だし、いいレストランでした。料理は素材の味を大事にしたものが多かったです。

それから、ここのレストランの最大の宝がオーナーソムリエの千葉さん。行かれた方は千葉さんによるワインのコメントを聞かないともったいないですよ! 本当に素晴らしく、また勉強になりました。
千葉さん
Date: 2016/0809 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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モンダヴィ・ファミリーの系譜を紹介しましたが、日本に入っているプレミアムのカベルネ・ソーヴィニヨンの現状を見ておきましょう。

まず、今はファミリーからは離れてしまいましたが、ロバート・モンダヴィのカベルネ・ソーヴィニヨン・リザーブとオーパス・ワンは、どちらもトカロンのブドウを使っています。

オーパス・ワン2012年は3万5000円から。モンダヴィのリザーブは1万円台と比較的リーズナブルです。




マイケル・モンダヴィ・ファミリー・エステートのフラグシップ「M by Michael Mondavi」も1万円台でありますが、2009年までしか国内には入ってきていないようです。


ティム・モンダヴィのコンティニュアムは2012年、2013年ともに入ってきています。2012年のWine Advocate誌での評価は96。高品質を伴っています。



個人的には、今買うならコンティニュアムかなあと思います。オーパス・ワンより安いですし、評価では負けていません。
Date: 2016/0808 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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今年はロバート・モンダヴィ・ワイナリーの開設から50年。ロバート・モンダヴィの父チェザーレがイタリアからアメリカのミネソタ州に移住した1906年からは110年経ち、今は四世たちが活躍する時代に入っています。いろいろなワイナリーが派生的に誕生し、だいぶ複雑なことになってきたので、その系譜を整理しておきたいと思います。

第1~第2世代
ミネソタで食料品店を営んでいたチェザーレがカリフォルニアに移住したのは禁酒法の時代。禁酒法の下でも、家庭で自家用の酒を作ることは許されていました。そこで、自家用ワインを作るためのブドウをカリフォルニアから運ぶという仕事をするためでした。当時、その拠点となっていたのがロウダイで、彼等もそこに住みつきました。

1933年に禁酒法が明けた後、より本格的にワインビジネスに参入することを考え、ナパでサニー・セント・ヘレナ(Sunny St. Helena)というワイナリーに出資します。現在のメリヴェール(Merryale)です。その後、1943年にナパ最古のワイナリーであるチャールズ・クリュッグ(Charles Krug)が売りに出ていることを知り、清水の舞台から飛び下りる覚悟で、そこを購入します。

しかし、ロバート・モンダヴィはチャールズ・クリュッグでも満足できず、世界に通用するワイナリーにしたいという思いを募らせます。1959年にチェザーレが亡くなった後、地道路線のピーターとの仲違いが次第に広がり、ロバートは母親から勘当されてしまいます。

ロバート・モンダヴィ
そうして1966年にオープンしたのがロバート・モンダヴィ(Robert Mondavi)です。1970年代末には、ボルドーのシャトー・ムートン・ロートシルトとの共同出資でオーパス・ワン(Opue One)もオープンします。しかし、ワイナリーの拡大路線は2000年を過ぎてITバブルがはじけた後につまずき、2005年にはコンステレーション・ブランズにワイナリーを売却してしまうことになりました。

この間、長男のマイケルがCEOに、次男のティムがワインメーカーになっていましたが、この二人の間もギクシャクしてしまいました。

ティム・モンダヴィ

ロバートが付いたのは次男のティムの側。ロバートとティム、ティムの姉のマーシャと3人でコンティニュアム(Continuum)を設立します。当初は、モンダヴィのトカロンの畑からブドウを得たものの、その後、プリチャード・ヒルのクラウド・ビュー・ワイナリーを買収して、そこに新しい拠点を築き、現在に至ります。コンティニュアムはオーパス・ワンのように、プレミアムワイン1本で勝負するワイナリー。品質もオーパス・ワンに負けず劣らずの評価を得ています。

ティムの4人の子どもたちも、コンティニュアムに携わっていますが、カルロとダンテの2人は、ソノマ・コーストにレイン(Raen)というワイナリーを設立。冷涼な地域のブドウを使って、アルコール度数12%台と抑えたピノ・ノワールを作っています。

マイケル・モンダヴィ
一方、兄のマイケルは、まだロバート・モンダヴィ・ワイナリーに在籍していた1990年代にアトラス・ピークにあるアニモ(Animo)というワイナリーを買収し、マイケル・モンダヴィ・ファミリー・エステートを設立します。現在はこの中でいくつものブランドを持っています。Mバイ・マイケル・モンダヴィ(M by Michael Mondavi)がここのフラグシップ・ワイン。アニモのブドウの最良のものを使っており、高い評価を得ています。

また、図にはありませんがフォリオ(Folio)という流通事業の会社も設立。ワインの輸入なども行っています。

また、マイケルの子供のロバートJr.はマイケル・モンダヴィ・ファミリー・エステートのほか、スペルバウンド(Spellbound)というワイナリーでもワインを作っています。こちらは10ドル台という普及価格のワインです。また、またはとこのアンジェリーナとフォースリーフ(Forth Leaf)というワインも作っています(後述)。

ピーター・モンダヴィ

一方、チャールズ・クリュッグを引き継いだピーターは、その後CKモンダヴィと名前を変えて、家族経営を続け、2016年惜しまれつつ亡くなりました。

長男のマーク(Marc)は、CKモンダヴィのほかに、趣味的なディバイニング・ロッド(Divining Rod)というワインを作っていたり、娘のアリシアとエイロフト(Aloft)というワイナリーをやっていたりします。エイロフトはプレミアムなカベルネ・ソーヴィニヨンを作るワイナリーで、畑の管理がジム・バーバー、ワインメーカーがトーマス・リバース・ブラウンと当代きってのメンバーを集めています。

このほか、マークの4人の娘は他の仕事もしながら、ダーク・マターというワインを一緒に作っています。こちらはカベルネ・ソーヴィニヨンとジンファンデル。生産量は非常に少ないワインです。

そして、前述のように長女のアンジェリーナはマイケルの息子のロバートJr.とフォース・リーフというワインを作っています。これは元々、モートンズというステーキハウスが、CKモンダヴィとコンティニュアム、フォリオのワインを持ち寄って1つのワインを作るという企画を立て、誰も乗り気でないところで手を挙げたのがこの二人だったというものです。第4世代ということでフォース・リーフと名付けたようです。その企画だけで終わったのかと思いきや、その後も引き続いてワインを作っているようです。ただし、こちらも生産量はかなり限定したものになっているようです。

とりあえず、調べた範囲では、こんなところです。見落としなどがあったら教えて下さい。

【2018年3月追記】
CKモンダヴィは、マークとピーターJr.の兄弟から、それぞれの子ども計6人に経営を譲る形になりました。下の図のようになります。
アップデート

1990年代半ばまでのストーリーは、こちらの自伝が詳しく、参考になります。ロバートがどれだけパイオニアだったかも分かると思います。
Date: 2016/0806 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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人気の高いピノ・ノワールのプロデューサーであるコスタ・ブラウン(Kosta Browne)がメンドシーノのアンダーソン・ヴァレーにあるセリース(Cerise)を買収しました。

Kosta Browne Pinot Noir

セリースは60エーカーの畑を持っており、ほとんどがピノ・ノワールとシャルドネが植えられています。リトライやセインツベリーなどがブドウを購入しています。

コスタ・ブラウンは今年で設立20年。当初はすべて購入したブドウを使ってピノ・ノワールを作っていましたが、2013年にロシアン・リバー・ヴァレーのキーファー・ランチを取得、その後、ソノマ・コーストのギャップス・クラウンと長期契約を結ぶなど、近年は畑の充実に力を入れています。

コスタ・ブラウンというと、シラーと見間違えるほどの濃いピノ・ノワールで人気を博しsましたが、リトライのセリースなどは全く逆の薄旨系。コスタ・ブラウンが作るとどういうワインになるのでしょうか。
Date: 2016/0805 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパに引き続き、ソノマでもブドウの収穫が始まりました(Following Napa, Sonoma County grape harvest begins | The Press Democrat)。

先陣を切ったのはロシアン・リバー・ヴァレーのJ。8月1日にピノ・グリとシャルドネの収穫を開始。引き続いて8月2日にカーネロスのグロリア・フェラーがピノ・ノワールの収穫を始めました。アイアンホースは8月4日。いずれもスパークリング・ワインに使うものだと思います。


2015年はこれより4日早い7月28日に収穫を始めていました。

今年の収穫量は平年をわずかに下回るものの、昨年よりは少なくなりそうです。

366/238
Date: 2016/0805 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワインの経済効果に関するレポートが発表されました(California Wine Shows Strength in Challenging Economy)。

それによると2015年はカリフォルニア州の経済には576億ドル、全米では1141億ドルの経済効果をもたらしたとのこと。例えば、雇用で見ると、カリフォルニア州内で32万5000のフルタイム労働者、全米では78万6000のフルタイム労働者の雇用を生み出しているそうです。

これらを7年前と比べるとカリフォルニアで17%、全米で19%増加しています。この間、リーマンショックで景気が停滞したこともあったことを考えると順調以上の成果と言えそうです。
20160804-economicimpact.png
Date: 2016/0804 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのオークヴィルにあるシルバー・オークが世界標準の環境評価ツールの1つであるLEEDの「existing building」カテゴリーで最高レベルのプラチナ認定を受けました(Silver Oak Earns First LEED Platinum Certification for Eco-Friendly Winery | News | News & Features | Wine Spectator)。商用ワイナリーとしては初のプラチナ認定です(ほかにUC Davisの研究用ワイナリーがプラチナ認定を受けています)。プラチナ認定を受けるには110点満点の認定プログラム評価で80点以上を取る必要があります。

きっかけとなったのは2006年に起こったワイナリーの火事(参考:Silver Oakが火事で200万ドルの損失)。その後、ワイナリーとテイスティングルームを立て直すにあたって、自然光や夜間の外気による冷却、発酵用タンクにカバーを被せるなどの機能を取り入れました。

ワイナリーは2008年の収穫時期までに作る必要があり、タイムリミットは19カ月。CEOのデビッド・ダンカンは、そこで「シエラ・ネヴァダ・ブリューイング」というブリュワリーがLEEDプラチナ認定を受けたことを知り、シルバー・オークもプラチナを目指す方針を立てました。

そのためには年間100万ガロンの水を節約しなければいけないなど、非常に多くのハードルがありました。自然芝から人工芝への移行や、従業員への教育など、1つひとつ努力を積み重ねました。

実はLEEDの規定は都会のビルを想定したものになっており、従業員に公共交通機関や自転車などでの通勤を求めるといった項目があります。ナパの「一番近いバス停から3km」といった環境では非常にハードルが高いわけですが、これらも乗り越えてプラチナ認定に漕ぎつけました。

シルバー・オークはソノマのアレキサンダー・ヴァレーにもワイナリーがありますが、既に新しい土地を購入しており、そこを新たなソノマ側のホームにする予定です。そちらでもプラチナ認定を得るのが今後の目標です。

マスタードとワイナリー
ワイナリー
人工芝とワイナリーのランドマーク
テイスティングルーム
テイスティングルーム
ソーラーパネル
ガーデン
デビッド・ダンカンCEO
Date: 2016/0803 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日「ナパのワイナリーが「有機栽培」や「ビオディナミ」といった言葉を避ける理由」という記事を掲載しましたが、これと呼応するかのように、有機栽培のワインは実際に美味しいのだという記事が出ていました(It's Official – Organic California Wines Taste Better)。

これは、Wine Advocate、Wine Spectator、Wine Enthusiatの3媒体のワイン・レイティングからオーガニックなワインとそうでないもののレイティングを比べたもの。トータルで7万4000本ものワインのレイティングを調べています。オーガニックやビオディナミのワインはわずか1.1%しかありません(オーガニックの認定を受けている畑は2%の満たないので、この数字は当然のものです)。

これで、比較したところ、同じような地域やヴィンテージのワインと比べて、有機栽培のものの方が平均4点近く高い点数をとっているといいます。明らかに有機栽培の方がいい結果です。
Date: 2016/0802 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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モントレー郡のカーメルの近くで大規模な山火事が発生しています。既にカーメル付近のブドウ畑1つが実際に火事で焼かれてしまったほか、近隣の畑でも煙の影響が心配されます。

特に心配されるのがサンタ・ルシア・ハイランズ。モントレー郡で一番高品質なワインが作られるところであり、山火事から距離もそれほど離れていません。

幸運なことに、今のところ南風が吹いていて煙が北方に向かっているため、サンタ・ルシア・ハイランズには煙がかかっていないと思われますが、通常は西風のことが多く、それだともろに煙を被ってしまうかもしれません。

煙による影響は、最近だと2008年にAnderson Valleyで起こっています。マーカッサンも一部のワインを作るのをやめました。

なお、南風で北に流れた煙は遠くシリコンヴァレーまで届いていて、空気が淀んでいるそうです(naotoj氏のブログ)。
Smoky!

モントレーとシリコンヴァレーの間にはサンタ・クルーズ・マウンテンズがあり、そちらへの影響も気になります。
Date: 2016/0801 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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サンタ・バーバラのハッピーキャニオンにあるスターレーン。良質でコスト・パフォーマンスが高いカベルネ・ソーヴィニヨンで人気のワイナリーです。ワッシーズには以前もここの廉価版が独占入荷したことがありましたが(スターレーンに謎の廉価版? 超限定です)、今回はメルローが入っています。

ヴィンテージは良ヴィンテージとされている2013。ヴィナスでは92点と評価されているそうです。

スターレーンが作るメルローなら間違いはないだろうと思いますが、どうでしょうか。


Date: 2016/0731 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ナパで今最も注目されているワイナリーの1つであるレアム(Realm)をご存知でしょうか。

このブログでまだあまりちゃんと取り上げていなかったので、僕も詳しいことは知らなかったのですが、Webサイト(Realm Cellars)を見ると、これまでのストーリーが非常に詳しく綴られており、とても興味深いものでした。

オーナーのジュアン・メルカド(Juan Mercado)は、ワインのバックグラウンドはなくオークランドの病院で看護師として働いていた人。ワインが好きになって、ナパに通い、トーマス・ブラウンやパックス・モールなど後に有名になったワインメーカーたちと友人になりました。

趣味が高じて、収穫期にワイナリーで手伝いをするようになり、自分でもワインを作りたいと思うようになりました。最初は畑のオーナーにお願いに行くと「ワインメーカーは誰か」、ワインメーカーにお願いに行くと「どこの畑のブドウが使えるのか」とまさに鶏か卵かの状態だったのですが、さまざまな友人や知人の伝手で、ベクストファーのトカロンやドクター・クレーン、ドミナスのナパヌックなど、素晴らしい畑のブドウを入手できるようになりました。

その後も、2番めのヴィンテージの2003年のワインがナパの倉庫の火事で全滅してしまったり、離婚したり、ワインメーカーがやめてしまったりなど、様々な困難が押し寄せますが、それらを乗り越え今に至ります。

そして、2014年末にはWine Advocate誌で2012ヴィンテージの2本のワインに満点が与えられました。さらに2015年には2013ヴィンテージの3本のワインが満点。2ヴィンテージで5本のワインに満点というのは、カリフォルイアワインでは初めてではないでしょうか(フランスだとギガルで1ヴィンテージ5本、2ヴィンテージで9本に満点という例があります)。この快挙によって、一躍注目のワイナリーになりました。

日本には2006ヴィンテージから中川ワインが輸入しているとのことですが、なんとこの2013ヴィンテージは日本への割当がゼロになってしまいました。

その代わりといっては何ですが、2010年のベクストファー・ドクター・クレーンが安く入ってきてわけです。安くといっても2万円を超えるのですが、現行ヴィンテージが5万円近い価格を付けているのと比べればかなりの安さです。

Date: 2016/0731 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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今年2月にアケイシア(Acacia)の畑やワイナリーなどを購入したペジュー(Peju)が、新しいワイナリー「リアナ・エステーツ(Liana Estates)」をオープンします(Peju family opens Liana Estates in Carneros | Wine | napavalleyregister.com)。まだWebサイトはサインアップができるだけですが、おそらく近いうちに情報が増えてくるでしょう。ワイナリーの一般公開は夏遅くか秋になりそうです。

Liana Estates

また、既にFacebookページやTwitter、Instagramでは投稿が始まっています。




ワイナリーの名前はリサとアリアナという、ペジュー・オーナーの二人の娘の名前を組み合わせて付けたもの。リアナのオーナーはこの二人になるようです。

リアナはワイナリーとしては珍しい3階建ての建物。1Fがメイン・テイスティングルームで2Fは暖炉があり、ワイン・クラブ・メンバー向け、グループ向けの3Fは見晴らしが素晴らしいようです。

また、ワイナリーでヨガのクラスを開いたり、ブート・キャンプをやったり、料理教室も開催されます。

リラックスしたい人のためにはハンモックや枕なども用意されています。

ワインはシャルドネやピノ・ノワールなどアケイシアから引き継いだものが中心になります。ワインメーカーのサラ・ファウラーは、カリフォルニアの「失われたブドウ品種」の発掘にも力を入れたいとのこと。第一弾としてはメンドシーノからドライ・オレンジ・マスカットを購入してワインを作るとか。

いろいろな意味で新時代のワイナリーになるようですね。楽しみです。
Date: 2016/0730 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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Wassy'sでウィリアムズ・セリエム(Williams Selyem)のワインがすべて2割引+送料無料の大盤振る舞いになっています。

ウィリアムズ・セリエムといえば、カリフォルニアのピノ・ノワールで最初に「カルト」的人気を得たワイン。私がピノ好きになった1990年代後半は、ほとんどのワインがメーリングリストで売られ、ショップで見かけることさえめったにありませんでした(訪問してみようと電話をかけましたが、それも断られました)。高級ピノ=ロシアン・リバー・ヴァレーという図式も、こことロキオリ、そしてキスラーが築いたと言っても過言ではないでしょう。

参考:Williams Selyem Winery: 元祖カルトピノ

そういう意味ではセールで出てくるだけでもびっくりなワインです。それだけ、多くのワイナリーに興味が分散したということでしょうか。なお、新しいワインばかりでなく2000年代初頭のものもあります。

ちなみに、ここのワインは購入したブドウが中心ですが、ロキオリ(Rochioli)からブドウを仕入れているのは、ほかにゲイリー・ファレル(Gary Farrell)しかありません。ハーシュ(Hirsch)のワインも90年代から作っています。

ウィリアムズ・セリエムの一覧はこちら

●ピノ・ノワール
○エステート
ウィリアムズ セリエム エステート ヴィンヤード ピノノワール[2010](750ml)28,512円

○ロキオリ・リバー・ブロック
ウィリアムズ セリエム ピノノワール ロキオリリヴァー ブロック ヴィンヤード[2010]ロッキオリ(750ml)22,464円
ウィリアムズ セリエム ピノノワール ロキオリ リヴァーブロック ヴィンヤード[2011] 赤(750ml)25,920円

○ヴィスタ・ヴェルデ
ウィリアムズ セリエム ピノ ノワール ヴィスタ ヴェルデ ヴィンヤード [2002](750ml)22,464円

○ハーシュ
ウィリアムズ セリエム ピノノワール ハーシュ ヴィンヤード[2010](750ml)21,600円

○フェリントン
ウィリアムズ セリエム フェリントン ヴィンヤード ピノノワール[2010](750ml)19,008円

○ウエストサイド・ロード・ネイバーズ
ウィリアムズ セリエム ウエストサイド ロード ネイバーズ ピノノワール[2010](750ml)18,144円

○フラックス
ウィリアムズ セリエム フラックス ヴィンヤード ピノノワール[2010](750ml)18,144円

○イーストサイド・ロード・ネイバーズ
ウィリアムズ セリエム イーストサイド ロード ネイバーズ ピノノワール[2011](750ml)17,280円

○ロシアン・リバー・ヴァレー
ウィリアムズ セリエム ピノノワール ロシアンリヴァー ヴァレー[2012](750ml) 15,552円

○ソノマ・コースト
ウィリアムズ セリエム ピノノワール ソノマコースト[2012](750ml)15,552円

○セントラル・コースト
ウィリアムズ セリエム セントラルコースト ピノノワール[2011](750ml)12,096円

○ソノマ・カウンティ
ウィリアムズ セリエム ピノノワール ソノマカウンティ[2013](750ml)11,059円

●ジンファンデル
ウィリアムズ セリエム ジンファンデル フォルチーニ ヴィンヤード サウス ノール[2009] 赤(750ml)13,392円

●シャルドネ
ウィリアムズ セリエム ドレイク エステート シャルドネ[2010](750ml)ドレーク 19,008円

ウィリアムズ セリエム ハインツ ヴィンヤード シャルドネ[2010](750ml)15,552円

ウィリアムズ セリエム ロシアンリヴァー ヴァレー アンオークド シャルドネ[2011](750ml)11,059円
Date: 2016/0729 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパでブドウの収穫が始まりました(Napa Kicks Off Another Groundhog Vintage | Wine News & Features | Mobile)。口火を切ったのは例年通りマム(Mumm)。カーネロスでスパークリング用のピノノワールが最初です。

昨年に続いて7月に始まった収穫。平年より1週間から10日早いが、昨年よりは6日遅くなったとのこと。

昨年は収量がかなり減りましたが、今年は旱魃も一息つき、量的にも順調なようです。ここから先はむしろ水分が多すぎる心配の方が多くなりそうです。
Date: 2016/0729 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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The New Rules of Pairing Wine with Sushi」という記事が掲載されていました。

料理(横から)

寿司に合わせるワインとしてはシャンパーニュとリーデルが双璧ですが、ここでは敢えて赤ワインに合わせることも提唱しています。

例えば、コースで提供する場合、3番めか4番めの皿にはサバなどの青魚やカニ、エビなどが来ることが多く、それと赤ワインは合うそうです。

また、ネタの味だけでなく歯ごたえなどのテクスチャーもペアリングに重要な役割を果たすとのこと。例えば、皮がついている魚は、そこにアブラがあるため、赤ワインと合わせやすくなります。魚卵も同様です。

また、魚を熟成して提供する場合、旨味が増し、日本酒であれば山廃が合うとのこと。そこをワインだとガメイで合わせたいとこのソムリエは言っています。ガメイのミネラルや土っぽさ、酸味が魚の旨味と相乗効果になるとのこと。

また、トロにはカベルネも合うとしています。

先日のナパツアーの「モリモト」でもかなりユニークなマッチングをしましたが(ナパ4日め――料理の鉄人のレストランで和食とワインのペアリング)、アメリカのソムリエの方が発想が自由なのかもしれませんね。

固定観念にとらわれずにいろいろ試すことは面白いと思います。
Date: 2016/0728 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ヴィナスがナパのヴィンヤード・マップを販売」「ヴィナスからオークヴィルとプリチャード・ヒルの畑マップが届いた」で紹介したヴィナスの畑マップにナパのラザフォードが追加されました。プリチャード・ヒル、オークヴィルに次いで3つめの地図です。

Rutherford Vineyard Map

これも欲しいなあ。

ただ、秋にはスタッグス・リープ・ディストリクトとヨントヴィルも追加されるそうです。送料5ドルなので、その都度買ってもそれほど変わりませんが、やっぱりまとめて買おうかな。
Date: 2016/0728 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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日本では「自然派ワイン」というと何やら高尚で、優れたワインのように受け取られることが多くあります。実際、ワインの味よりも「自然派」かどうかの方が重要だと思う人も少なからずいるようで、「自然派ワイン」という言葉はマーケティングのために使われていると言っても過言ではないようにさえ見えます。

ビオディナミを歌うレイモンドの畑

ところが、米国、特にナパでは「有機栽培」や「ビオディナミ(バイオダイナミクス)」という言葉はむしろこそこそ使われているようなのです(Organic Wines Keep it on the Lowdown | Wine News & Features)。実際にはかなり多くのワイナリーがそれを採用しているにもかかわらず。

米国では有機栽培は流行っていないのかというとむしろ逆で、スーパーマーケットなどでは有機栽培のものを積極的に扱う店が人気になり、有機栽培の果物などを高いお金を払って買っています。

では、なぜワインに関しては有機栽培と積極的にうたわないワイナリーが多いのでしょう。

それはかつてあった酸化防止剤を使わない「有機ワイン」への苦い思いがまだ消費者の印象に残っているからのようです。また、有機栽培とうたったからといって 高い値段を払ってくれるということもあません。

「有機栽培」を標榜しているガーギッチ・ヒルズによると、欧州では実際に「有機」を歌うことでよく売れるとのことで、米国とは状況が大きく異るようです。

ナパの人気ワインメーカーの一人であるスティーブ・マサイアソンは、有機栽培を行っていますが、その認定を受けていません。認定を受けないのは、自由度を失ってしまうことなどの理由があるから。一方で認定を受けないのは「怠慢だ」と考える人もいるようです。

最後に、ちょっと面白い話があります。ガーギッチ・ヒルズで自社畑の健康なブドウと葉っぱの病気に侵されたブドウとでワインを作ってみたところ、病気に侵されたブドウで作った方がずっと美味しかったとか。病気に侵された方が収量が少なくなるのが1つの理由のようです。

スティーブ・マサイアソンも、ブドウの葉が多少白カビ病に侵されてもあまり気にしないと言っています。

一般に、有機栽培にすると収量は減ります。それを受け入れられるか、コストに転嫁できるかといったことも、それを採用できるかどうかに影響しています。

有機栽培をするかどうかという話と、そのマーケティングの話と、ややごっちゃになっている感はありますが、興味深い記事でした。
Date: 2016/0727 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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ヴァーナー スリー・ブロックス ピノ・ノワール
ナパツアーの後、ピノをあまり飲まなかった反動か、ついピノに手を出してしまいます。このときも、こんないいワインを飲むつもりじゃなかったのですが、つい魔が差して開けてしまいました。

写真でもわかるかと思いますが、最初に注いで驚いたのが、その濁りっぷりです。色も一見カベルネのようにも見えます。フィルターを使っていないからなのかと思いますが、この濁りは最後まで続きました。

しかし飲んでみると、味はまごうことなきピノ。それもとても蠱惑的な。

色は濃いですが、味は重くなく、適度な酸味があってスルスルと飲めてしまいます。ピノの表現にシラー系とか薄旨系とかありますが、あえて言うならこれは旨旨系。上品なエキスがたっぷり詰まっています。

若干低めの温度で飲んだ方が、美味しく感じられて変化も楽しめるかも。

このワイン、買ったときは6000円台でしたが、安すぎますね。

サンタ・クルーズ・マウンテンズのピノとしてはヴァーナー(ニーリー)とリース(Rhys)が双璧だと思いますが、価格を考慮に入れたら、これがダントツでしょう。

なお、何回も書いていますが、わかりにくいので念のため説明しておきます。ヴァーナー(Varner)とニーリー(Neely)は同じワイナリー。単一畑のシャルドネとピノ・ノワールを4種類ずつ作っていますが、ピノ・ノワールはその中の単一ブロックを使った3種がニーリーで、それらをブレンドしたのがヴァーナー。シャルドネは単一ブロック3種がヴァーナーでブレンドがニーリー。いずれも評価はブレンド物が高いです。

なお、最近サンタ・バーバラのブドウを使ったワインを追加しています。また、フォックスグローブは購入したブドウから作る下位ラベル。シャルドネとカベルネ、ジンファンデルがあります。










Date: 2016/0726 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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BogleポロシャツとBogle

先日も紹介したボーグルのピノ・ノワールですが、やっぱりなかなかいいワインです。2000円台前半で買えるピノ・ノワールとしてはかなりのレベルではないかと思います。ジャミーなタイプではなく、やや軽めの味わいなので、夏に飲んでも重くないです。


Date: 2016/0726 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・ヴァレー・サインの前で
足かけ1カ月近くに渡って書いてきましたナパツアー・レポートをまとめておきます。

初日
SFのフェリー・ビルディングで人気バーガーとワイン

2日め
プリチャードヒルに初めて行く
アミーチ・セラーズで「真のアメリカン・バーベキュー」とリーズナブルなワインを堪能
トレフェッセンにて、スポッツウッドのオーナーなどに会う
パイン・リッジのケーブでおしゃれディナー

3日め
ダリオッシュのこだわりと心意気に感銘を受ける
初めてのワイントレイン
ブレンディング・セッションでワインメーカー気分を味わう
レイモンドの強烈な世界に皆ノックアウトされる

4日め
クリフ・レイディで先進ワイナリーの努力と実力に触れる
料理の鉄人のレストランで和食とワインのペアリング
ナパのテロワールを一流生産者が語る
ケークブレッドで最後のディナー

5日め
クヴェゾンの畑とバレル・テイスティング

一部、お見苦しいですが、1秒動画でまとめたものです。


4泊6日という日程としては、ものすごく密度の濃いツアーでした。30を超えるワイナリーの方にお会いし、80種類ほどのワインを試飲しました。個人的にも久しぶりのナパで、新たな発見も多くありました。

また、日本からツアーに参加された方々からもいろいろな刺激をいただきました。

このような機会を与えていただいたナパ・ヴァレー・ヴィントナーズの方々には改めて感謝申し上げます。

Kindleの電子書籍ナパ版も、今回のツアー内容を盛り込んでアップデートしたいと思っていますが、膨大な作業量を前に大分怯んでいます。でもやらなきゃなあ(ほかにもいろいろ宿題が)。
Date: 2016/0725 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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河野酒店で7月一杯、カレラ・ジェンセン2012が特価になっています。税抜き1万5000円というのは、高くなったなあ、とも思いますし、プレミアムなピノ・ノワールの中ではそれでもまだリーズナブルな方かも、という気もします。

ちなみに2012年はWine Advocate誌で96点という高い評価。カレラ・ジェンセンとしては2007年の97点に次ぐ高評価です。飲み頃は2015~2025年となっています。カレラは非常にきれいに熟成するので、できたら10年くらいは保存してから飲みたいワインです。

Date: 2016/0725 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパツアーのレポートもこれが最後です(多分)。もう一カ月近く経ってしまってびっくりです。

4日めはシルバラードでパネル・ディスカッションに参加した後、ケークブレッド(Cakebread)でワイナリー見学とディナーです。ここは、ジャケット着用でという指示があったので、ここまでのプログラムをこなしてきた安堵感と、ちょっと緊張した感じがメンバーから感じられます。

Cakebread Cellars

すぐにディナーなのかと思ったら、まずはワイナリー見学でした。ブルース・ケークブレッド社長兼COOが案内してくださいます。
ブルース・ケークブレッド社長

ここもエコにとても力を入れています。珍しいのが発電機を持っていること。ワイナリーで使う電気を賄うほか、発生した熱を冷暖房に活用しているそうです。
発電機
このほか、駐車場は特殊な舗装で染みこんだ雨水を回収して再利用できるようにしています。

Bigbellyというゴミ箱もあります(これと同じものはサンフランシスコのフェリー・ビルディングでも見かけました)。これは、上部にソーラーパネルが付いていて、発生した電力を使ってゴミを圧縮します。たまっているゴミの量はワイアレスで監視できるようになっています。ゴミの回収を効率化します。
Bigbelly

様々な野菜を育てている菜園もあります。下の写真はオイスター・リーフというもの。食べるとなんと「牡蠣」の味がします。これには一同びっくりでした。
Oyster Leaf

このほかワイナリー見学で興味深かったのは樽を積み上げるラックにプラスチック製のものを採用していること。
プラスチック製のラックを使用
多くのワイナリーではスティール製のラックを使っていますが、そのタイプは地震に弱く、2年前のナパの地震で多くの被害が出ました。プラスチック製のラックを使っているところは問題がなかったとのころで、ケークブレッドは全面的に置き換えたそうです。

この、被害が出たワイナリーの一つは、この次の日に訪問したクヴェゾンです。記事内で写真を紹介しているように地震で樽がほとんど下に落ちてしまいました(ナパ最終日――クヴェゾンの畑とバレル・テイスティング)。クヴェゾンでも今後はプラスチック製のラックに置き換える予定だとのことでした。

中庭でしばらく歓談しながらちょっと軽食をつまみ、いよいよディナーです。
おつまみ

ディナー
メニュー

ディナーはケークブレッドのほか、シュラムスバーグ(Schramsberg)、ヴィアデル(Viader)のワインが提供されました。それぞれ現行のヴィンテージと古いヴィンテージのものがセットになっており、熟成を楽しむという趣向です。

SchramsbergのLaurent Sarazin副社長

シュラムスバーグのスパークリングワインにはソフトシェルクラブをあわせます。ワインはここのプレステージであるJ.シュラムでヴィンテージは2004年と2007年。
ソフトシェルクラブ

J.シュラムともう1つのプレステージであるリザーブは、醸造したワインから、上位のもの2%を選んで瓶詰めしたもの。ワインはどちらもさすがに美味しく、現時点での美味しさでは個人的には甲乙つけがたいでき。よりトースティな2007年の方が将来性はあるのかも、と思いました。

ところで、シュラムスバーグはナパ・ヴァレーでも北に位置するカリストガにワイナリーがあります。スパークリングワイン用のブドウはカーネロスなど、南で作っており、かなりの距離があります。どうしてカリストガに作ったのか聞いたところ、ワイナリーができた1870年代には、どこの土地が何に向いているかといったことはあまりわかっていなかったのと、ナパ市より南には何もなかったからだとのことでした。

コーンスープ

スープにはケークブレッドのシャルドネ。ヴィンテージは2014年と2008年。

メインディッシュのウズラには、ヴィアデルの1999年と2010年です。
ウズラのトゥールーズソーセージ詰め

ワインの説明をするオーナーのデリア・ヴィアデルさん。哲学などの学位を持つ才女でかるワイナリーの人には珍しいウィスパーボイス。男性ファンも多いようです(笑)。
デリア・ヴィアデルさん

ヴィアデルの1999年には期待していたのですが、ちょっとワインのコンディションがよくなかったようで、今回はフレッシュな2010年の方が美味しく感じられました。なお、今は息子さんがメインでワインを作っているそうです。

デザート

最後に、それぞれ今回のツアーの卒業証?をもらい、最後のディナーは終わりました。
DSC01363
Date: 2016/0724 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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Wine Spectatorの年間トップ100は、数ある年間ランキングの中でも注目度ではダントツに高いものです。このランキングで2014年に11位、2015年には5位を取っているのがマウント・エデン(Mount Eden)のエステート・シャルドネです(ちなみに2012年も26位にランクインしています)。
Mount Eden Chardonnay2012
2015年のランキング発表時にはまだ、当該ヴィンテージの2012年は日本に入荷していなかったのですが、やっと入ってきています。

マウント・エデンのあるサンタ・クルーズ・マウンテンズのシャルドネは、酸がしっかりしていて、ゴージャスな味わいでも上品さを失わない印象があります。マウント・エデンはその中でも抜群の安定性を誇っています。

値段は以前より上がってしまいましたが、同クラスのシャルドネをナパ・ソノマで探したら1万円では効かないでしょう。



旧ヴィンテージの2011年もレイティングは95点で同じです。

Date: 2016/0723 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ロバート・モンダヴィ設立から50年、パリ・テイスティングから40年、ナパのワインが世界レベルを目指すようになってからほぼ半世紀が経ち、近年では世代交代も始まってきています。特に、20代、30代のナパ育ちが作る新しいワインは近年のテーストをリードするものもあり、要注目です。

そんなワイナリーの一つがジャム・セラーズ(JaM Cellars)。JaMとは「John and Michele」の頭文字を取ったもの。ただし、第2世代で10年間近くウルトラプレミアムワインを作ってきた、という以上の情報はあまりなく、どういうバックグラウンドなのかは不明です。

作っているワインはカベルネ・ソーヴィニヨンの「JaM」、シャルドネの「Butter」、スパークリングの「Toast」の3種類。
JaM Cellars

名前からしても、ある意味はっきりとコンシューマー向けを狙っていると思われますが、ただ濃いだけ一辺倒のワインでないところが今風なのでしょう。どちらにしても肩肘張って飲むワインではなく、仲間とワイワイ楽しむようなときに飲みたいワインです。

Date: 2016/0722 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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Cep Pinot Noir
米国で買ってきたワインです。実は買ったときは気づいていなかったのですが、Peay(ペイ)のセカンドラベルでした。

ジャミーな方向に行かない、けど味わいのしっかりしたピノ・ノワールでした。ただ、ペイの面影を感じるかどうかというと、正直よくわからず。

ソノマ・コーストらしいピノ・ノワールで20ドル台の価格で買えるものとしては、なかなかいいのではないでしょうか。

Date: 2016/0721 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパの4日めはクリフ・レイディに行った後、モリモトでワインと食べ物のマッチング、その次はホーニッグでランチです。
ホーニッグでのランチはワイナリー・オーナー宅の庭です。ホーニッグのほか、ペジュー(Peju)、ヘイヴンズ(Havens)が来ていました。
ホーニッグにて
一番右の女性がホーニッグのオーナー夫人ステファニーです。PRを担当しています。ホーニッグはドイツからの移民の家族でHonigとは蜂の意味。なのでラベルにも蜂の絵が描かれています。
ランチ
メニュー

ランチです。野菜がたくさん食べられてよかったです。トマトが美味しかった。
ワインはヘイヴンズのシャルドネとホーニッグのソーヴィニヨン・ブラン、ペジューのシラー・ロゼでした。

この日もかなり暑く、だいぶヘロヘロでワインのメモもちゃんと取っていなかったのですが、やはりロゼは夏に合いますね。いろいろな料理にも合わせやすいし、ドライなロゼを少し冷やして飲むのはオールマイティな感じがします。ホーニッグのソーヴィニヨン・ブランも爽やかでよかったです。

ホーニッグの畑
食後は隣接する畑を見せてもらいました。

ランチの後は、今回のツアーでは3回目のスタッグス・リープ・ディストリクトへ。今度はシルバラード(Silverado)です。小高い丘の上に立つワイナリーは景色もよく、とてもいいところです。

シルバラード
シルバラードのテイスティング・ルーム

ここではパネル・ディスカッションで、4つのワイナリーが、ナパの各地域のカベルネ・ソーヴィニヨンについて語りました。
パネル・ディスカッション
左からロンバウアー(Rombauer)のリッチー・アレン・ワインメーカー、コリソン(Corison)のキャシー・コリソン・オーナー兼ワインメーカー、タック・ベクストファー・ワインズ(Tuck Beckstoffer Wines)のタック・ベクストファー社長兼オーナー、シルバラードのラス・ウェイズ・ジェネラル・マネージャー、そしてモデレーターのマット・スタンプ・マスターソムリエです。

マット・スタンプ氏は10年前はナパのカベルネ・ソーヴィニヨンは皆同じ味がすると言われていたが、今はそうではないと語ります。今回はそれぞれ単一畑のカベルネ・ソーヴィニヨンで、その違いを見ていきます。

まず、シルバラードはGEOというカベルネ・ソーヴィニヨン。これはクームズヴィル(Coombsville)にあるマウント・ジョージという畑のブドウを使っています。

クームズヴィルはナパの中でも最も最近AVAになった地域。いわゆるナパ・ヴァレーからは南東方面に少し外れており、冷涼な地域です。クームズヴィルでカベルネ・ソーヴィニヨンというのはかなり意外な感じがしますが、山麓で標高が高く、霧がかかりにくい、いわゆる「フォグライン」より上の畑だからカベルネ・ソーヴィニヨンでも栽培できるのだそうです。ただ、気温が低いため、ブドウの実が熟すまでの時間が長く、スタッグス・リープ・ディストリクトに比べると収穫が2週間くらい遅くなるとのこと。

ナパとしてはかなりエレガントなカベルネ・ソーヴィニヨンで、ラズベリー、ブルーベリーなどの果実味と、ブラックペッパーなどのスパイスを感じます。タンニンはあまり強くありません。個人的にはかなり気に入りました。

醸造では、ドライアイスで冷やして、冷たい状況での発酵を20日間かけて行っているとのこと。18カ月樽で熟成して瓶詰めしています。

2番めはタック・ベクストファーでモッキンバード・ミズーリ・ホッパー・ヴィンヤード。ミズーリ・ホッパー・ヴィンヤードは、ベクストファー・ファミリーが管理する歴史ある畑の一つで。オークヴィルAVAの南のはずれにあります。東側にヨントヴィルの丘陵地帯が広がり、風が吹き抜けるところでもあります。

ワインはハーブの香りが印象的。青系の果実味が強く、ややタニックです。

ここでは、畑の水はけについての話が印象的でした。ミズーリ・ホッパー・ヴィンヤードは、ヴァレー・フロアですが、西のマヤカマス山脈につながる緩やかな斜面で、水はけがいいということでした。雨が降らないナパで水はけが重要なのかという質問があったのですが、ナパ・リバーに近いところだと、地下2~3mまで根が伸びると土が湿っており、ブドウは水を吸い過ぎてしまうとのこと。ブドウが吸う水をコントロールできる状況が必要なのだそうです。

ここの畑の収量は2.5トン/エーカーと少なめです。発酵は16日間。5~10%は樽で、残りはオープントップで発酵させます。オープントップの発酵はワインがソフトになるのに重要だとのことでした。

3番めはキャシー・コリソンさんです。女性ワインメーカーの草分けとして、多くの人から尊敬されています。カベルネ・ソーヴィニヨンはパワフルなワインと考えられていますが、キャシーさんはパワーとエレガンスの両立を目指しているそうです。

今回試飲するワインはKronos Vineyardのカベルネ・ソーヴィニヨン2012年です。なお、ヴィンテージはこれとシルバラードが2012年で、残りの2本が2013年でした。

Kronos Vineyardはワイナリーの周りにある寺社畑で1971年に植樹されました。

場所はセント・ヘレナ。ナパの中でも「サニー・セント・ヘレナ」と言われるくらいいつも天気がよく、気温も高くなります。カリストガが暑いと言われますが、カリストガの暑さはヒートスパイクと呼ばれる一時的な熱波が多く、セント・ヘレナはそれよりも平均的に暑くなります。

カベルネ・ソーヴィニヨンに青みを感じなくなるためには、かなりの熱が必要で、ここはそれを満たしています。また、夜は気温が下がるため、酸が維持されます。

アルコール度数を14%以下にするため、収穫は9月の第2週と早めにしています。周囲の誰よりも早く収穫を始めるそうです。

ワインは、ブルーベリーなど青系の果実味が中心ですが、ラズベリーなどの赤系の果実味も感じます。スミレの花の香りやミントやスパイスなどのアクセントもあり、パワーで押すワインとは一線を画した味わいです。

最後のワインはロンバウアーのアトラス・ピーク カベルネ・ソーヴィニヨン。アトラス・ピークはナパの東側のヴァカ山脈にあるAVA。スタッグス・リープ・ディストリクトの裏側といえばいいでしょうか。

畑の標高は1600~1700フィート。火山性の土壌でとても水はけがよく、ブドウの樹にとってはとてもストレスがかかる状況です。

山のワインはタンニンが強くパワフルになる傾向があります。しっかりとブドウが熟さないと非常にタニックになってしまうため、成熟したところから5回に分けて収穫しているとのこと。

ワインはさすがにタニック。今のナパでは珍しいくらいの作りです。

4つのワインの中では、個人的にはコリソンさんのワインはバランスよく、美味しかったです、またシルバラードのクームズヴィルのワインも予想以上においしく、この地域の可能性を感じました。
キャシー・コリソンさんと
Date: 2016/0721 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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パリ16区のセールの記事で、ベッドロックの廉価版「シェバング」を忘れていました。

シェバングの白が税込み1814円と、これも相当安いです。ほかで買ったら2500円以上します。ずっとこれくらいの値段だったら嬉しいのに(^^;)。


シェバングといえば、スパークリングも国内入荷しているんですね。セールというわけではありませんが、これも今気づきました。カリニャンが80%で、あとはピノ・ノワールとシャルドネというユニークなロゼ・スパークリング。よく冷やして夏の夕方に飲んだら美味しいでしょうねえ。

Date: 2016/0720 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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スマートフォン用のARアプリ「ポケモンGO」が米国などで公開されて約1週間。ワイナリーのもその影響が出始めているようです。

ワイナリーに現れた例などが、Twitter上に投稿されています



Date: 2016/0719 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ナパレポートもまだ残っているのですが、メモ起こしなどに難航しています。

さて、パリ16区でクリアランスセールを開催中で、カリフォルニアではオーハイ・シラー、キュペ・シラー、コッポラのディレクターズカット・ジンファンデル、3つのワインが対象になっています。いずれもかなり格安。

オーハイ・シラーは税込み2894円。他ショップでは4000円台で売っているところがあります。


キュペ・シラーは税込み2678円。他ショップの最安より2割程度安いです。


コッポラのディレクターズカット・ジンファンデルは税込み3110円。他ショップの最安より1割程度安いです。
Date: 2016/0719 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ロバート・モンダヴィがワイナリーを設立してから今年で50周年。それを祝うイベントが開催されました(Cheers to Robert Mondavi Winery's 50th Anniversary)。

Kicking off our 50th celebrations! #RobertMondavi50 #ThisIsJustTheBeginning

Robert Mondavi Wineryさん(@robertmondavi)が投稿した動画 -






今やモンダヴィ家からコンステレーション・ブランズに渡ってしまったワイナリーではありますが、今回のイベントには長男のマイケル、次男のティムどちらも参加していたようです。二人が顔を合わせたのかどうかは不明ですが、同じイベントに参加すること自体、相当レアです。



故ロバート・モンダヴィのカリフォルニアワインへの貢献は、いくら強調しても強調しすぎることはないくらい、重要です。子どもたちも道は分かれてしまいましたが、それぞれいいワインを作っています。今後のさらなる発展を祈ります。

Date: 2016/0718 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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リッジのスリーヴァレーというジンファンデル系ブレンドがラベル破損により税込み4000円と、格安になっています。

説明を読んでみると「カリフォルニアで探し求めやっと手に入れました。もちろん現地でリリースしたものをリーファーコンテナーで輸送しました」とあるので、大塚食品による正式輸入ものではなさそうです。

なお、ヴィンテージは2012年で、Wine Advocate誌では90点がついています。名目上は、プロプライエタリ・レッド、すなわち赤系のブレンドという位置づけですが、実際には82%はジンファンデルなので、ジンファンデルと名乗ることも可能です。ジンファンデルのほか、12%がプティ・シラーで、残りはカリニャン、アリカンテ・ブーシュとのこと。



こちらはラベル破損でないもの



リットンスプリングスも、普通より1500円ほど安いです。


Date: 2016/0717 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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第6回 日本で飲もう最高のワイン2016の結果が7月14日に発表されました。専門家と愛好家がブラインドでテイスティングして選ぶ、この品評会で、日本人の桃井隆宏さんが作る「アーサー ピノ・ノワール 2014」が、専門家と愛好家、両方のプラチナを受賞しました。

昨年、「日本で飲もう最高のワイン2015」でプラチナを取った、日本人醸造家のピノ・ノワールという記事で紹介していますが、このときは愛好家がプラチナで専門家はゴールドでした。

ちなみに、今回プラチナを受賞したのはトータルで25ワイン。このうち両方でプラチナだったのはこのワインと、オーストラリアのレッドバンク・ワイナリー「サーシャ」ピノ・ノワール2013の2つだけでした。

なお、アーサーはカリフォルニアワイン専門店 アーサーセラーズ ワインブティックから購入でき、現在期間限定で送料無料(クール便含む)となっています。

このほか、シャトー・イガイタカハのワインが出品したワイン6種すべて入賞しました。愛好家のゴールドと専門家のシルバーを受賞したのが
シャトー・イガイタカハ ジュウェルウイッシュ シャルドネ サンタリタヒルズ ランチョサンタローザ ヴィンヤード2014。

専門家のゴールドと愛好家のシルバーを受賞したのが
シャトー・イガイタカハ エレガントハート ソーヴィニヨンブラン サンタイネズヴァレー グレートオークスヴィンヤード2014

愛好家のゴールドを受賞したのが
シャトー・イガイタカハ クロスド ウイング ウラウラ サンタバーバラカウンティー 2013
シャトー・イガイタカハ タイガージョー シラー バラ-ド キャニオン ジョリアンヒル ヴィンヤード2014
シャトー・イガイタカハ ディヴァインウイッシュ ピノノワール サンタリタヒルズ ゾトヴィッチヴィンヤード2013

の計5本です。これも相当の快挙だと思います。




Date: 2016/0715 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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先日、税抜き4000円切りで紹介したロバート・モンダヴィのナパ・ヴァレー・カベルネ・ソーヴィニヨンですが、今度は税込み3300円台とさらにグンと安くなっているところを見つけました。しかもヴィンテージは2013。おそらくこの10年のベスト・ヴィンテージと言っていいでしょう。ワイナリーでは売り切れになっています。

このワイン、ワイナリー価格は29ドルですから、つい数ヶ月前の1ドル120ドル水準で考えたら、ワイナリー価格でも3500円くらいするわけで、今回の価格はそれを大幅に下回る水準です。おそらくこれも円高のおかげなのでしょう。カリフォルニアワインファンとしては、1ドル100円くらいの水準が続いてほしいなあと思ってしまいます。

Date: 2016/0714 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワインインスティテュートが2015年のカリフォルニアから米国市場および海外市場への出荷、および米国市場のワインの売上のデータを発表しました(2015 California Wine Sales in U.S. Hit $31.9 Billion Retail Value - The Wine Institute)。なお、海外への出荷については2月に公開済です(米国のワイン輸出は新記録、ただし日本は減少)。

カリフォルニアワインの輸出

カリフォルニアから米国市場および、海外市場への出荷は量および価格ともに順調に成長を続けています。

なお、同時に発表された米国市場全体のワインの売上は558億ドル。カリフォルニアワインはこのうち319億ドルなので約6割を占めていることになります。
Date: 2016/0713 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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柳屋でモンダヴィ・ナパ・カベルネが税抜きですが3000円台になっています。60本限定の特別料金とのことなので、お早めに。

なんだかんだ言って、やっぱりモンダヴィのカベルネ・ソーヴィニヨンはナパの一番スタンダードなワインだと思うのですよ。とりあえず困ったときはこれを飲め的な。

それで20年前もやはり20ドルくらいはしたので、日本に持ってきたら大体4000円近く。50ドルくらいで売っていたワインが軒並み100ドル超になっているのを考えると、米国の価格も良心的なレベルを保っているような気がします。

というわけで、こういう値段がもっと続いてくれると嬉しいんですけどねえ。ナパのワインももっと飲んでもらえるだろうし。

Date: 2016/0713 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国では、ラベルに地域名を入れるには、その地域のブドウを85%以上使わなければいけないなど、さまざまなルールがあります(California wine industry asks feds to tighten labeling standards | The Press Democrat)。これをもっと強化するよう、ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズ(NVV)などが訴えています。

BrooklynのCarnerosピノ・ノワール

具体的にはどういうことかというと、ニューヨークにブルックリンというワイナリーがあります。ここは写真のように、ロス・カーネロスのAVAワインを作っています。本来は、AVAを付けるためには、ワイナリーが、同じ州にないといけないのですが、実はワイナリーが自身の州内で売る場合には、そのルールは適用されません。したがってこのワイナリーのラベルは許されることになります。

こういった「抜け穴」をなくすべく、NVVを中心にラベル・ルールの強化を申し出ています。具体的には、上記のような例外をなくし、どのワイナリーにも同じルールが適用されるようにしようとしています。

今後の見通しはよくわかりませんが、早く改善されるといいですね。
Date: 2016/0712 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ヴィナスがナパのヴィンヤード・マップを販売」という記事で紹介したオークヴィルとプリチャード・ヒルのマップが届きました。

オークヴィル
オークヴィルの解説
プリチャード・ヒル
プリチャード・ヒルの解説

思った以上に解説が充実していて楽しいです。この地図1枚で、ご飯10杯は行けますね(笑)。

どちらか一つを選ぶならやっぱりオークヴィルでしょうね。ナパでグラン・クリュの畑を選ぶとしたらまず一番に選ばれるであろうトカロンを始め、ハーランやスクリーミング・イーグル、ダラ・ヴァレなどの畑が載っています。この地図持ってオークヴィルを散歩したい。

詳しくはこちらから。

で、実を言うとOvidでもこれのプリチャード・ヒル版をもらったのでした。なのでプリチャード・ヒルのマップは2枚。だれか希望者がいたら1枚ゆずってもいいかなと思ってます。
Date: 2016/0711 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2016年6月、米インテグレーテッド・ビバレージ・グループ(IBG)は、カリフォルニアの人気ワインを模倣したブランド「レプリカ」(Replica)シリーズを発売しました。プリズナー(Prisoner)やメイオミ(Meiomi)、ケンダル・ジャクソンのヴィントナーズ・リザーブ・シャルドネといった、人気のあるワインと、似た味わいになるように作ったワインです。
レプリカ・ワイン
具体的には、味わいや香りを科学的に分析し、それと一致するように、ワインメーカーがさまざまなワインをブレンドして作るとのことです。同じような味わいで価格は25~50%安いことを売りにしています。

このレプリカが、本当に元のワインと似ているのか、人気ライターのW. ブレイク・グレイがブラインド・テイスティングしました(Do Replica Wines Taste Like The Prisoner and Kendall-Jackson?)。

取り上げたのはプリズナーを模したPickPocketと、ケンダル・ジャクソンのシャルドネを模したKnockoff。

試飲したのはグレイ氏と、友人のプロのフード・ライター。数多くのワインを飲んでいる人です。また、その人にはどのワインをブラインド・テイスティングするかは知らせていません。

ブラインド・テイスティングの方法は、グラスを4つ用意し、第3者(グレイ氏の奥さん)が、グラス2個ずつ、あるいはグラス3個と1個、という形で2種類のワインを入れます。試飲する人は、ペアになっているのか3つと1つなのかわかりません。

この形で、2種類のワインを分けられるかどうかが課題です。もし区別できないとしたら、うまく模倣していることになります。

結果はどうだったのでしょうか。

プリズナーとPickPocketでは、グレイ氏は区別できたものの、フード・ライターは区別できませんでした。グレイ氏の評価では、プリズナーの方が複雑で、甘みが少なく、テクスチャーも良かったとのことです。

ケンダル・ジャクソンのシャルドネとKnockoffでは、二人共ワインをちゃんと区別できました。ではKnockoffは失敗作なのかというと、二人共Knockoffの方を好んだとのことです。ケンダル・ジャクソンの方は化学的に作ったワインのような味わいがして、Knockoffの方がクリーンで果実味豊かだったとのこと。

というわけでレプリカ・ワイン、模倣がうまくいっているにしろ、いっていないにしろ、一定以上の品質のワインは作れているようです。

僕が気になるのは、今後もそのクオリティを維持できるかどうかです。おそらくいろいろなところからバルクワインを仕入れてブレンドしているのでしょうから、次のヴィンテージになると味が変わる可能性があると思います。同じ味わいをキープできれば、それなりに「本物」かもしれません。

なお、レプリカの他のラインアップを紹介しておきます。
Misbehaved――メイオミ・ピノ・ノワールの模倣
Just Right――ジョエル・ゴット815カベルネ・ソーヴィニヨンの模倣
Embellish――Erathオレゴン・ピノ・ノワールの模倣

今後登場予定のものは
Retrofit――ロンバウアー・カーネロス・シャルドネの模倣
Label Envy――ラ・クレマ・ソノマ・コースト・ピノ・ノワールの模倣
Scapegoat――サンタ・マルゲリータ・ピノ・グリージョの模倣
Date: 2016/0710 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・ヴァレーのサイン
ナパの旅も、いよいよ終盤にかかります。4日めはまず有名なナパ・ヴァレー看板に行って写真を撮り、それからクリフ・レイディ(Cliff Lede)に行きました。

クリフ・レイディは2002年に設立された新しいワイナリー。かつてS. Andersonというワイナリーだったところを購入しており、S. Anderson時代に訪れたことがある身としては、懐かしいような新鮮な感じです。

ワイナリーの実力としてはS. Anderson時代とは比べ物にならず、ナパでも新進の実力派ワイナリーといっていいでしょう。2016年1月にはロバート・パーカーが、ここのポエトリー(Poetry)というカベルネ・ソーヴィニヨンに100点を付けています。

スタッグス・リープ・ディストリクトのヴァレー・フロア側に位置するクリフ・レイディ。2日めに行ったパイン・リッジからは3kmくらい北側になります。スタッグス・リープ・ディストリクトの中でも一番北にあり、パイン・リッジのあたりほど急峻な地形ではなく、ワイナリーの周りは比較的緩やかな丘に沿ってブドウ畑になっています。ツイン・ピークスという畑の名前で、南の方に丘が2つあります。土壌も火山性のものではなく、沖積系が中心になっているようです。

もう一つ、シルバラード・トレイルより東のスタッグス・リープ・パリセイドに向かう急峻な斜面に畑があり、こちらがポエトリー。前述の100点ワインを生み出した畑です。完全に西向きの斜面なので、午後は日当たりがとてもよく、また丘が風の通り道になっているそうです。非常に寒暖の差が大きい畑だとのことでした。

奥がPoetry、手前がTwin Peaksの畑

2日めの最初に行たOvidと同様、ここもデイビッド・エイブリューが畑の管理を行っています。ただ、以前からの畑もあるので、区画によって、エイブリュー流の密植して、ブドウの実を低い位置に付けるスタイルのところと、樹の幅が広く、ブドウを1mくらいのところに付けるスタイルのところとがあります。

説明は2015年のソーヴィニヨン・ブランをいただきながら聞いています。ソーヴィニヨン・ブランとセミヨンとのブレンドで、酸と果実味のバランスがとても良くおいしいワインでした。

さて、ナパには環境保全のプログラムとして、「Napa Green」というものがあります。「Land」と「Winery」の2種類のプログラムがあり、Landは173、Wineryは48のワイナリーが認定を受けています。クリフ・レイディは29あるLandとWineryの両方の認定を受けているワイナリーの一つ。ちなみに、今回訪問したワイナリーは、そのような意識の高いワイナリーがかなりを占めています。例えばパイン・リッジや、この後行くホニッグなどもその例です。ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズでは2020年までにすべてのワイナリーがプログラムに参加することを目標にしています。

実はポエトリーのような斜面の畑は現在では開発がかなり難しくなっています。というのは土壌の流出といった問題が起こるからです。クリフ・レイディでも藁を敷いたり、カバー・クロップを植えたりといった方法で土壌が流れないよう工夫をしているそうです。

ナパでは斜面の斜度が5%を超えると、このような侵食の問題への対応が必須とされており、30%を超えると新しい開発ができないのだそうです。現在ナパでは面積の9%にあたる4万5000エーカーのブドウ畑がありますが、この制限を考えると、今以上にブドウ畑を増やすのはかなり難しいようです。

このような侵食への対応もNapa Greenの一部ですし、農薬や殺虫剤などを極力使わないようにするといったこともその一つです。ナパ・リバーの鮭を守るといったこともプログラムに含まれています。

ブドウの周りの葉を取って風通しを良くしている

例えば、写真のようにブドウの周りの葉を取ることによって、風通しがよくなりブドウが病気にかかりにくくなります。こういったことも農薬や殺虫剤を減らすのに役立ちます。

ワイナリーに行くと、写真のように上部がガラスになっていて太陽光を取り入れるようになっています。これでワイナリー内の照明に使う電力を削減しています。また、すべてのライトはLEDになっています。ワイナリーはHoward Backenという有名な建築家に設計を依頼したそうです。
上から太陽光を取り入れている

太陽光発電も行っています。今ではかなり多くのワイナリーが太陽光発電を取り入れていますが、畑にできるところを発電に振り向けるのですから、ワイナリーにとっては簡単にできることではありません。
太陽光発電パネル

電気だけでなく、水の使用も減らしています。例えば樽の洗浄には水蒸気とオゾンを使っているそうです。一般にワインを作るときには、その10倍の水が必要と言われていますが、ここではそれを半分の5倍に抑えているとのことでした。

ワイナリーの屋根にはほかにも工夫があり、夜になると屋根を開けるのだそうです。冷たい空気が入ることで気温が3℃くらい下がるとのことでした。

このほか、ブドウをタンクに入れる際にポンプを使うと実が傷みやすいため、クレーンで持ち上げてタンクに入れるシステムを採用しているといった話もありました。ナパのワイナリーでも2箇所しか導入していないそうです。
2010年のカベルネ・ソーヴィニヨン
ワイナリーでは2010年のカベルネ・ソーヴィニヨンをいただきました。ナパらしい芳醇で柔らかさのある、いいカベルネ・ソーヴィニヨンです。

ワイナリーから今度はケーブに入っていきます。
ケーブ

最近はやりのコンクリート・エッグと呼ばれる醸造用のタンクもあります。
コンクリート・エッグ

ソーヴィニヨン・ブランの場合、10%がコンクリート・エッグ、50%が樽、40%がステンレススチールタンクで発酵させているそうです。コンクリート・エッグは芳醇さとミネラルの味わいを出すのにいいとのことでした。
左側はソーヴィニヨン・ブラン用の細長い樽
また、ソーヴィニヨン・ブランの樽では写真のように細長い「葉巻型」のものもあります。先日セミナーで来日したフィリップ・メルカもこのタイプの樽を使っているという話をしていました。澱と接触する面積が広くなるのがメリットだったと思います。

なお、このワイナリーでは通常はラッキングはしないと言っていました。2011年のようなあまりよくない年に限って行うそうです。

2日めに行ったOvidもそうですが、ここも細かいところまでお金と労力を使って実践しているのが印象的でした。やっぱりナパの一流ワイナリーはさすがです。






木の間の雑草を刈る機械

ここは畑のブロックにロックの名曲の名前を付けていることでも知られています。
畑のブロックにはロックの名曲の名前
Date: 2016/0709 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパの記事ばかり続いて恐縮ですが、今日はお手軽に。

今回宿泊したホテルはナパ・リバー・イン(Napa River Inn)というところ。名前の通り、ナパ・リバー沿いに建っています。下の写真の中央から左がホテルです。右側のビルには、Morimotoなどがあります。
ナパ・リバー・イン

で、川の反対側、つまり上の写真を撮ったところはトレイルになっていて、朝は軽くランニングしていました。

植生の保護

河原は立ち入り禁止になっていて、植生が保護されています。さまざまな生物がいます。

Jack Rabbit

ウサギは頻繁に見かけます。

Vaca山脈側

東の山はちょっとモヤがかかっていましたが、霧ではありません。今回の滞在中は残念ながら一度も霧を見ませんでした。

気球

気球もナパのアトラクションの一つです。

ワイントレインと気球

ワイントレインの車庫越しに見た気球です(ちょっと遠いですが)。
Date: 2016/0708 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Spring Mountainでのブレンディングのセミナーの後は、レイモンド(Raymond)に行って、ディナーです。

ここは、個人的にはとても楽しみにしていたワイナリーです。2009年に創設者のRaymondさんが引退して、Jean Charles Boisset(ジャン・シャルル・ボワセ=JCB)がオーナーになり、それまでの中堅優良ワイナリーのイメージから想像できないほど、独自の世界を作り上げていると聞いていたからです。

このブログの古くからの読者はご存知かと思いますが、僕はジャン・シャルル・ボワセのファンで、彼のやることをかなりウォッチしています。

参考までに、これまでのJCB関連記事を挙げておきます。
JCBのワイナリーが興味深い
政略結婚? ジーナ・ガロとジャン・シャルル・ボワセが結婚
Galloの4代目は双子
モンダヴィ邸宅購入はGallo夫妻、など
ソノマとブルゴーニュのブレンド・ピノをジャン・シャルル・ボワセが発売
Press Democrat紙が選ぶ2013年の注目ワイナリ
Buena Vistaが歴史的建物保全で受賞
ヨントヴィルにJCBがテイスティング・サロン開設
最初は庭を回ります(Raymond)
さて、到着すると、まずは庭の方から回ります。ジャン・シャルル・ボワセのワイナリーではビオディナミを採用しており、その説明が中心です。また、バイオダイバーシティということで、さまざまな生き物との共生もテーマになっています。

庭のマップ。ゾーン別にテーマがあります
ここ(Rutherford)の土壌を説明
品種ごとの剪定法を説明

あまり時間がなかったので、詳しく見られなかったのですが、じっくり見たらここだけでも軽く1時間くらいはかかるでしょう。
巣箱
上の右側の巣箱はコウモリ用。コウモリは昆虫を食べてくれます。

犬のワイナリー
ここは犬のワイナリー。カベに犬の絵が飾ってあります。犬を連れてきた人はここで犬を預けられるようです。ちなみに「Frenchie」というのはジャン・シャルル・ボワセが飼っているフレンチブルドッグの名前で、実際にこの名前のワインも作っています。

ワイナリー入り口です。説明しているのはリー・アン・リードさん。一部で滝川クリステル似の美女と言われています。僕は今回で会うのは3回め。
DSC01189

醸造用のステンレススチールのタンクが並んでいますが、照明がシャンデリアになっていたり、雰囲気は全くワイナリーっぽくありません。
醸造用タンク
よく見ると、こんなマネキンがぶら下がっていたり。
マネキンその1
スワロフスキーでしょうか。これもワイナリーの中です。
これもワイナリーの中
上にもマネキンが。
マネキンその2
全体に紫基調です。
劇場?いや、ワイナリーです

だんだんマネキンくらい当たり前になってきます。
マネキンその3

前の記事でも取り上げた、ブレンディング・セミナー用の部屋です。ここでセミナー受けたら楽しいでしょうね。
ブレンディングセミナー用の部屋
ここにもマネキンがいらっしゃいます。
RaymondのThe Blending Room
なぜかバスタブも。
バスタブは何のため?

ここはフラスコごとに別々の匂いが嗅げます。ふざけているようで、ちゃんと教育的な部分もあるのが面白いです。ここだけでも30分くらいは遊べそう。
さまざまな匂いが嗅げます

こちらにもFrenchieの肖像画が。
Frenchie
土壌の標本が並んでいます。時間がなくてゆっくり見られないのが残念。
土壌の標本

ここはテイスティング・ルームでしょうか?
テイスティング・ルーム?
サロンのよう

さて、かけあしのワイナリー見学でしたが、多くのツアーメンバーはジャン・シャルル・ボワセについてはあまり知っておらず、この特異な世界にびっくりしてしまったようでした。ともかく普通のワイナリー感をあらゆる意味で覆してしまうような強烈なワイナリーです。

でも、ワインはふざけて作っているわけではないし、やるべきことはきちんとやっているので、僕はこれはこれでありだと思っています。何より面白いし。

ナパに来たらぜひ一度は訪れてほしいワイナリーです。

さて、すっかり忘れかけていましたが、ここに来た主目的はディナーです。ワイナリーはレイモンドのほか、セハ(Ceja)、フランク・ファミリー(Frank Family)、ロング・メドー・ランチ(Long Meadow Ranch)、シニョレッロ(Signorello)が参加しています。

今日のディナーはこれです。
タコス・トラック

カリフォルニアではフードトラックといって、このような車での軽食販売が人気です。これはメキシコ料理のタコスのトラック。それぞれ好きなものを注文できます。

今回はこのようなカジュアルな料理とワインを楽しむというのがテーマです。

タコスは小ぶりなので3つ頼みました。写真だとよくわかりませんが。
タコスとナチョス

せっかくなのでリー・アンと2ショットで。
リー・アンと

リラックスモードに入って楽しんでしまい、ワインのメモはほとんど取っていません。

その中で印象に残ったのはセハ・ヴィンヤーズの方の話でした。メキシコからの移民でワイナリーを作ったという珍しいところです。カーネロスで作っているシャルドネやピノ・ノワールはカジュアルな料理によく合うもので美味しかったです。

このほか、フランク・ファミリーのジンファンデルもこのような料理にはよく合いました。

レイモンドのメルロー・リザーブやカベルネ・リザーブ、シニョレッロのFUSEなどもよかったです。

すっかりくつろいで夜は更けていきました。



Date: 2016/0707 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパの3日めはダリオッシュの後、ワイントレインをゆっくりと堪能し、その次はブレンディング・セッションです。ツアーの20人は2組に分かれ、半分はシレナス(Silenus)に、残りはスプリング・マウンテン・ヴィンヤード(Spring Mountain Vineyard)に行きました。私はスプリング・マウンテン組です。
Spring Mountain Vineyards
ここのワイナリーはセント・ヘレナの町をちょっとはずれたあたりのまだ平地にありますが、そこから山肌に沿ってブドウ畑があります。
Spring Mountain Vinayardsのケーブ
Spring Mountain Vineyards

プログラムは19世紀に作られたThe Villa Miravalleというビクトリア調の建物の中で行われました。ステンドグラスなどがとても素敵です。
シャンデリア(The Villa Miravalle)
ステンドグラス(The Villa Miravalle)

さて、プログラムが始まります。
中央は2012年のカベルネ・ソーヴィニヨン
空のグラスが5つと、中央にサンプルとして2012年のカベルネ・ソーヴィニヨンがあります。まずはこれを試飲します。やはり山カベだけあって、ストラクチャーがすごくしっかりとしています。今飲んでも美味しいですが、熟成させたいワインです。

ブレンドするのは2015年のワインです。カベルネ・ソーヴィニヨンに使う5つの品種をブレンドします。2人1組で考えていきます。

5つの空のグラスには、左からメルロー、マルベック、プティ・ヴェルド、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨンという紙が付いています。

まずは、5つのワインを試飲して、味わいをみます。
ブレンド用の2015年の品種ごとのワイン

残っているいい加減なメモには、それぞれ以下のようにコメントしていました。
メルロー:青系の果実、ミント、タニック
マルベック:セージ、ボディ弱い
プティ・ヴェルド:スパイシー、タニック
カベルネ・フラン:青っぽい、タニック
カベルネ・ソーヴィニヨン:赤系の果実の味わい

カベルネ・ソーヴィニヨン単体だと意外と赤系の果実の味が強く、ちょっと軽い感じがありました。とはいえ、単体で飲んで美味しいのもこれ。今回はカベルネ・ソーヴィニヨンとして作るので最低75%はカベルネ・ソーヴィニヨンを入れる必要があります。

5種類の中で、今回マルベックだけはちょっと味が弱く、入れる意味合いを見つけられませんでした。そこで残りの4種を使ってブレンドすることで相棒と意見があいました。
ブレンド作業中
カベルネ・ソーヴィニヨンに、青系の果実の味わいを加えるために、メルローとカベルネ・フランを加えます。プティ・ヴェルドは骨格を強めるために少し入れます。ここは入れ過ぎると味を壊してしまうような気もするし悩ましいところです。1%入れるだけでも結構味わいは変わってしまうのだそうです。
真剣にブレンド中

最終的なブレンドは、メスシリンダーで100ml作ります。1mlレベルで入れる量をコントロールしないといけないので、大変です。
ブレンド中

我々のチームは最終的にはCS80%、CF12%、M5%、PV3%というブレンドにしました。

完成したブレンドは、チーム名を付けて、テーブルに置き、Spring Mountainのワインメーカーとディレクターが試飲して1位を決めます。

1位チーム
Spring Mountainの方

我々のブレンドは、ちょっと今飲んで美味しすぎたかもしれません。優勝チームはプティ・ヴェルドを5%入れていましたが、我々は3%。今後の熟成のことを考えるともっとプティ・ヴェルドを入れたほうが良かったかなと反省しました。

いや、それにしても楽しかったです。ワイントレインでお腹いっぱいワインもいっぱいになった後、いい刺激になりました。

なお、スプリング・マウンテン・ヴィンヤードでは普段はこのようなブレンディング・セッションはやっていませんが、いくつかのナパのワイナリーで似たようなプログラムを持っています。ご参考のために紹介します。

コン・クリーク(Conn Creek)の「Barrel Blending Experience」は、「BEST OF WINE TOURISM」賞を取ったことがある名物企画です。多分ブレンディング・セミナーが増えたきっかけのワイナリーだと思います。
ジャッズ・ヒル(Judd's Hill)ではBottle Blending Sessionというセミナーがあります。
フランシスカン(Franciscan)も最近「MAGNIFICAT TEAM-BUILDING BLENDING COMPETITION」というセミナーを始めました。
ジョセフ・フェルプスはちょっとすごいです。インシグニア(Insignia)のブレンドを自分で試せるセミナーがあります。
ダックホーン傘下のパラダックス(Paraduxx)にも「The Blend Experience」というプログラムがあります。
レイモンド(Raymond)にはブレンディング・セミナー専用の理科実験室のような部屋があり「Winemaker for a day」というセミナーを受けられます。
RaymondのThe Blending Room

これらのセミナーはいずれも事前に予約が必要です。時間も普通のテイスティングより長くかかりますし、料金も大体60ドル~と高めになるのでご注意を。でも、貴重な体験ができることは間違いないと思います。
Date: 2016/0706 Category: グルメ
Posted by: Andy
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Amazonで7月12日にプライム会員限定の大セール「Prime Day」が開催されます。それの先行セールで本日、ケロッグのフルーツ・グラノラが激安で出ています。

500gが6袋で2579円。1袋あたり430円という安さです。当然送料込み。ちなみに楽天での最安は1袋559円。6袋送料込みだと4125円。なんと1600円も安くなります。


なお、カルビーのフルグラではなくケロッグのフルーツ・グラノラなのでお間違えなく。個人的には、こちらの方がフルーツ感があるような気がしてます。栄養面で見ると、こちらは脂質が半分以下にカット。ダイエットを考えている方はこちらの方がいいかも。

プライム会員は30日まで無料でお試し可能です。

Date: 2016/0706 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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カリフォルニアのジンファンデルの中でも特異な存在であるターリー(Turley)。かつてはインクのように濃いワインを特徴としていましたが、近年は濃い一辺倒ではないバランスの取れたスタイルに変身しているといいます。

ターリーは30種ほどの単一畑のジンファンデルとプティ・シラーを作っていますが、その中で異例の存在がジンファンデルのジュヴナイル。比較的若い樹からのブドウを使って作るワインです。

以前は日本にも結構潤沢に入っていましたが、近年はすっかりレアになってしまいました。

2014年のジュヴナイルはWine Advocate誌では90点。アルコール度数は15.5%と相変わらず高いですが、これはブドウを熟させるためにはしょうがないことで、出来たワインからは熱っぽさは感じないとパーカーは書いています。




単一畑ものは2012年が国内の現行ヴィンテージ。

Date: 2016/0705 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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食べ過ぎ、飲み過ぎの翌日、プログラム上は10時まで空きの予定だったのですが、急遽ダリオッシュ(Darioush)に見学に行くことになりました。

Darioush

ダリオッシュといえば、日本版にリメイクされた「サイドウェイズ」でロケ地の一つとして使われたワイナリー。オーナーの出身地である古代ペルシャの宮殿を模したワイナリーは、豪華さで人目を惹きます。


1997年に設立された(上記の建物は2004年)比較的新しいワイナリーであり、正直に書いておくと、個人的には、お金持ちの道楽的なワイナリーなのかと、やや軽く見ていた面がありました。

今回は、オーナーではなく社長のダンさんが案内をしてくださいました。イケメンでサービス精神旺盛。かっこいいです。
ダリオッシュのダン社長

最初はヴィオニエを試飲。テイスティング用のグラスはリーデルのVinum Extremeでしょうか。Darioushの刻印がされていて、ここからも豪華さが漂っています。
ダリオッシュのテイスティング・グラス
このヴィオニエ、美味しいです。ヴィオニエは白い花の香りが高く、白桃のような、ちょっととろっとした甘い味わいを感じることが多いですが、第一印象が蠱惑的なのに対して、飲んでいるとちょっと退屈してしまうことも珍しくありません。このヴィオニエはカリフォルニアのヴィオニエとしては酸が高く、柑橘系の印象が強く出ています。そこに軽く桃の味わい。かなり魅力的です。

ダン社長によると、重くなりがちなヴィオニエの味わいを、クローンを選ぶことで、重くならないようにしたとのこと。また、90%は古い樽で、10%ステンレスタンクで醸造しているとのことでした。

このヴィオニエだけでも、ダリオッシュが実力のあるワイナリーであることが分かります。

地下のセラーに降りて行きます。
地下セラー

さらに奥に行くと、オーナーのプライベート・コレクションのセラーがあります。
ダリオッシュ・オーナーのコレクション
カリフォルニアワイン好きだったら舌なめずりするようなワインが山ほどあります。

こちらでは今度は2013年のメルローの試飲です。ダリオッシュではメルローは高貴な品種として力を入れて作っているとのこと。ブドウの半分はマウント・ヴィーダ―の自社畑、半分はワイナリーの周りの自社畑で作っているとのこと。

これもとてもレベルの高いメルロー。メルローも凡庸な味になりがちな品種ですが、これはとてもしっかりとしていて、メルローらしさもあります。シャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨンといったメインの品種ではなく、ヴィオニエとメルローという難しいところからあえて試飲に出してきたところに、心意気を感じました。

ビジターセンターも、確かに豪華ではありますが、下品ではなく非常に心地よい空間。ダリオッシュ、来てよかったです。シラバラード・トレイルをナパから上がっていくと、右側に現れるワイナリーとしては多分最初ではないかと思います。

ちなみに、ワイナリーが位置するのはスタッグス・リープ・ディストリクトより南。オークノールよりは北という、サブAVAの割り当てられていないところ。自社畑はワイナリーの周りのほか、オークノールとマウント・ヴィーダ―にあります。ワイナリーのサイトによると、あえてナパの中でも気温が低い南の方に注力することを選んだのだそう。そこにもこだわりと心意気を感じます。

今回は試飲できなかったのですが、オーナーがさらにこだわりを持っているのがシラーだそうです。イランにゆかりの品種だということです。

Date: 2016/0704 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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トレフェッセン(Trefethen)での豪華メンバーによるパネル・ディスカッションの後は、パイン・リッジ(Pine Ridge)に行って、ワイナリー見学とディナーです。2日め(といっても初日はハンバーガー屋だけだったので、実質1日めみたいなものです)にして、あまりのプログラムの濃さに早くもくらくらしてきました。

パイン・リッジは昔、米国に住んでいたころ、よく飲んでいたワイナリーの一つです。AVAもののカベルネ・ソーヴィニヨンが非常にコスト・パフォーマンスが良かったのでした。ただ、当時は20ドル台だったAVAものでも今は80ドル以上。20年近く前だから仕方ないのでしょうが、やはり高くなったものです。それを考えるとオーパス・ワンは当時の日本の価格が3万円近く。値上がり比率で見ると意外と優等生なのかも(内外価格差が縮まったのも大きいですが)。

どうも久々のナパでいろいろと懐かしく与太話が増えてしまうのはお許しください。

パイン・リッジは1978年にスキーのオリンピック選手だったゲイリー・アンドラス(Gary Andrus)氏がスタッグス・リープ・ディストリクトに設立したワイナリー(ちなみにオレゴンのアーチェリー・サミットもゲイリー・アンドラスによる設立です)。スタッグス・リープ・ディストリクトというと、その名の元になったヴァレーの東側のスタッグス・リープ・パリセイドと呼ばれる切り立った岩と、そこに向かう西向き斜面の畑というのが一般的なイメージですが、このワイナリーはスタッグス・リープ・ディストリクトの中でもシルバラード・トレイルの西側の、どちらかというとヴァレー・フロア側に位置しています。

ただ、このあたりはヴァレー・フロアといっても実際にはいくつかの小高い丘が立ち並ぶかなり複雑な地形。そのため、スタッグス・リープ・ディストリクトは「ヴァレー・ウィズイン・ア・ヴァレー」といったいいかたもされています。パイン・リッジの自社畑も、こういった丘の周囲の斜面に作られており、斜面の向きなど極めてバリエーションの大きな地形になっています。畑の管理も収穫もかなり手間がかかりそうなところです。

パイン・リッジの畑その1
パイン・リッジの畑その2

ちなみに、どうしてこういう地形になったのか、今回のツアーメンバーの一人で、ワインの地質学を研究している坂本雄一さんに聞いてみたところ、小さな火山の跡なのではないかという話でした。実際、このあたりの土壌は火山性のもののようです。

畑の次はワイナリーです。ここで面白かったのは樽を積んでいるラック。

ラック

写真で分かるように、周りが金属の円になっています。ここにローラーが付いていて、実は手動でも割と簡単に樽を回せるようになっています。このラックは地震に強いのと、その回す仕組みによって、樽の中の澱をかき混ぜて澱に含まれる旨味をワインに移すバトナージュという作業の代わりになるとのことでした。

ステンレスタンク

こちらのタンクは冷却中。白ワインには酒石酸が含まれていますが、それがボトルの中で結晶化するとユーザーからのクレームの元になります(害はありませんが)。そこでボトル詰めの前に何日か冷却することで、酒石酸を結晶化させて取り除いてしまうという処理をするのだそうです。
冷却中

ワイナリーからケーブに行きます。結構迷路のように複雑なケーブ。迷子になりそうです。

パイン・リッジのケーブ

奥の方に行くと、テーブルがあります。今日のディナーはここです。予想以上のおしゃれ空間でちょっとびっくりしました。

パイン・リッジのディナー・テーブル
テーブル・セッティング(パイン・リッジ)

本日のメニューです。
メニュー(パイン・リッジ)

最初の皿はホタテ。
一皿目

ワインはパイン・リッジのほか、シレナス(Silenus)とサマーストン(Somerston)が提供しています。最初の皿にはパイン・リッジのシャルドネとシレナスのシャルドネ。シレナスのシャルドネは、シャブリのようなレモニーな味わい。酸が強めではありますが、後からトロピカルフルーツのフレーバーも出てきます。一方、パイン・リッジはクリスプですが、樽のフレーバーもほどよく感じ(新樽は15~20%とのこと)、パイナップルなどトロピカルフルーツのフレーバーもあります。

今回のホタテはほのかに甘いスープ仕立てで、パイン・リッジは互いに芳醇さで引き立て合い、シレナスは対象的な味わいで、これもいい組み合わせでした。なお、シェフはパイン・リッジに専属の方です。

さて、一皿目が意外とボリュームがなかったので、ちょっと安心したのですが、大きな間違いでした。
メインディッシュ
メインディッシュの「ピメントン・ポークヒレ」は70~80gくらいありそうなヒレ肉のポーションがなんと4切れも入っています。その下にはコップ一杯分くらいはありそうなレンズ豆。ヒレ肉なので油っこくはなく食べられるのですが、それにしてもすごいボリュームでした。全部食べましたよ。

ワインはサマーストンのカベルネ・ソーヴィニヨンとパイン・リッジのカベルネ・ソーヴィニヨン スタッグス・リープ・ディストリクト。サマーストンは優しい口当たり。ナパらしい芳醇なカベルネ・ソーヴィニヨンでした。パイン・リッジは、まだちょっと若い感じでタンニンがかなり強く感じました。スパイシーで熟成したら美味しそうなワインです。
サマーストンの田中さん
パイン・リッジのアビゲイルさん

デザート

順番は前後しますが、最初にパイン・リッジのテイスティング・ルームでパイン・リッジとシレナスの試飲もありました。
DSC01036

パイン・リッジのシュナン・ブランとヴィオニエのブレンドはほのかに甘さを感じるような優しい味わい。ナパのワインとしては珍しいですが、実は日本でも1000円台で買えるかなりお買い得なワインです(ワイナリー価格は15ドルなので実は日本で買う方が安いかも)。2014年はWine Advocateで90点を取っているなかなか優秀なワイン。


しかし、この日は食べ過ぎました。さすがにホテルに帰ってからダウン。胃薬を飲んで床に着きました。
Date: 2016/0703 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリストガのAmici Cellarsでのランチの後は、ナパ・ヴァレーをずっと南下して、ナパ市にあるトレフェッセン・ファミリー・ヴィンヤーズ(Trefethen Family Vineyards)に行きます。

CEOのジョン・ルエルさんが迎えてくれました。
TrefethenのJohn Ruel CEO

ここは、テイスティング・ルームになっていたモニュメント的な建物(19世紀に作られたものです)が2014年の地震で大きな損傷を受けています。今はその修繕中。まだしばらくかかるようです。
Trefethenのテイスティング・ルーム

奥の方に、テイスティング・ルームが新たにオープンしていたのですが、それも本当につい先日のことだそうで、まだ地震の爪痕は残っています。

ちょっと余談になりますが、ホテルのあるナパの市街には、工事をしているところが多数ありました。景気が良くて新しい建物を作っているのかと思ったのですが、実際にはまだ地震の後の修繕をしているところが多いのだそうです。下の写真の郵便局も大きな被害を受け、いろいろな事情で修繕も難しくなっているとか。For Saleの看板が出ていました。
地震で大きく壊れた郵便局

さて、ここでは「ナパの歴史を深掘りするディスカッション」とのことで、パネル・ディスカッションの形式で、試飲しながらナパの歴史を語るというプログラムでした。

モデレーターは「Wine Bible」という米国でワインの本として一番のベストセラーを書いたカレン・マクニール(Karen MacNeil)さん。
カレン・マクニールさんとペレット・エステートのトム・リナルディさん

ワイナリーからはトレフェッセンのルエルCEOのほか、ペレット・エステート(Pellet Estate)のワインメーカーであるトム・リナルディ(Tom Rinaldi)さん、スポッツウッド(Spottswoode)のベス・ノヴァック・ミリケン(Beth Novak Milliken)社長兼CEOです。
トレフェッセンのジョン・ルエルさんとスポッツウッドのベス・ノヴァック・ミリケンさん

まず、カレンさんが19世紀からのナパの歴史を振り返ります。面白かったのはカリフォルニアのゴールドラッシュとワインとの関係。1849年にゴールドラッシュが始まったのは有名ですが、ワインとはこれまであまりつなげて考えていなかったので目からウロコでした。

ゴールドラッシュでサンフランシスコの人口は800人から2万5000人まで膨れ上がりました。ほとんどが若い男性です。みな金を掘ってまさに一攫千金を狙ったわけですが、ほとんどの人はうまくいかず、そこから故郷へと帰ることさえできなくなってしまいました。そこで、それらの人たちは農業をするしかなかったのです。これでサンフランシスコ近郊に、農業を営む人口と、さらにはアルコールを欲しがる若い男性が溢れたわけです。結果として1860~1890年がカリフォルニアワインにとって最初のゴールデンエイジになりました。

この後は、フィロキセラ、禁酒法、戦争と暗い時代が続きます。

次の大きな転機は1960年代。「Sex、drug、rock'n roll」の時代で、ロバート・モンダヴィがワイナリーを設立したのもこの時代です。また、ナパでは農地保全法が1968年に作られました。これが環境保全や開発の抑止という点で、今でも大きな役割を果たしています。

続く1970年代が第2のゴールデンエイジ。医者、科学者、技術者とさまざまなアントレプレナーがナパに移ってきました。今回同席したトレフェッセンは1960年代、スポッツウッドのノヴァック家は1970年代。トム・リナルディの在籍していたダックホーンも1970年代です。

スポッツウッドのベスさんの父親はスタンフォード大学の卒業生。南カリフォルニアのサンディエゴで医者をしていたのですが、田舎のライフスタイルに憧れてナパにやってきました。当時は1エーカーあたり4000ドルと、土地も極めて安価でした。

最初はプチシラーやガメイ、フレンチコロンバードなど手当たり次第にいろいろなブドウ品種を植えて、ブドウはガロなどに売っていました。その後、カベルネ・ソーヴィニヨンに植え替えてワイン作りを志すものの、今度はお金が回らなくなってしまいます。

父親が医者に戻ったのですが44歳で、亡くなってしまい、家族が後を継がざるを得なくなったそうです。

今やスポッツッドといえば、ナパを代表するワイナリーの一つであり、コンスタントに最上級のカベルネ・ソーヴィニヨンを作るワイナリーとなっていますが、初期のころはこんな苦労があったのですね。

試飲のワイン

話が長くなってきました。試飲の話に移ります。写真の左から
スポッツウッド カベルネ・ソーヴィニヨン 2012
トレフェッセン メルロー 2012
ペレット カベルネ・ソーヴィニヨン 2011
スポッツウッド カベルネ・ソーヴィニヨン 2013
トレフェッセン カベルネ・ソーヴィニヨン 2012
ペレット カベルネ・ソーヴィニヨン 2012

スポッツウッドは2012年と2013年。力強さを感じたのは2012年。非常に濃く、タンニンもしっかりしています。豊かな酸が、ただ濃いワインにならないようにバランスを保っています。この年はカベルネ・ソーヴィニヨンが89%、カベルネ・フランが8%、プティ・ヴェルドが3%。2013年の方がやや親しみやすく、芳醇な香りが印象的です。この年はカベルネ・ソーヴィニヨンが85%、カベルネ・フランが10%、プティ・ヴェルドが5%。

トレフェッセンはメルローとカベルネ・ソーヴィニヨン。

ルエルCEOは畑のデザインの移り変わりについて説明しました。1960年代は樹の間隔が広く、樹勢もあまりコントロールされていませんでした。それが1980年代にフィロキセラで植え替えをすることになり、新しいデザインで畑を作りなおすことになりました。メルローも1987年に植え替えた畑のものだそうです。

ちなみに、トレフェッセンがあるオークノールAVAは、南に涼しいカーネロス、北にはドミナスなどがあるヨントヴィルに挟まれたある意味中間地帯。そのため自社畑では涼しいところに向いたシャルドネやピノ・ノワールも、暖かいところに向いたカベルネ・ソーヴィニヨンなどを植えています。リースリングまで作っているのはナパではかなり珍しいです。ただ、1960年代には赤で42品種、白で38品種作っていたとのことなので、これでも植え替えのときに大分絞ったのだそうです。

メルローは、赤系の果実味が豊富で、酸も豊か、スパイシーな味わいもあります。タンニンがあまり強くなく、柔らかくて飲みやすいワイン。かなりいいメルローだと思います。
カベルネ・ソーヴィニヨンは打って変わってタニックなワイン。かなりスパイシー。美味しいですが時間がかかりそうなワインでした。

ペレットは非常に難しい年だったという2011年と、良年と言われる2012年のカベルネ・ソーヴィニヨン。

2011年は意外と濃く、芳醇かつ飲みやすいワイン。難しい年だということをあまり思わせないワインです。どういう手法を使ったのか聞いてみたところ、やはり、カベルネ・ソーヴィニヨンが少し薄かったので、2012年のカベルネ・ソーヴィニヨンを5%ほどブレンドしたり(ラベリングのルールで認められている範囲です)、味わいの濃いプティ・ヴェルドを普通の年よりも増やしたとのことでした。

2012年はさすがに力強さを感じます。ただ、今飲むなら2011年の方が飲みやすいかも、と思いました。

最後に余談。

パネル・ディスカッションを行う建物に入るときに、入り口で朗らかに挨拶をして迎え入れてくれた女性がいました。てっきりトレフェッセンの担当の方かだれかかと思ったのですが、それがスポッツウッドのベスさんでした。名門ワイナリーなのに、それを感じさせない雰囲気にちょっと驚きました。
Date: 2016/0701 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Cruzuというワイン専用のクラウドファンディングのサイトがあります(以前、「ワイン専用のクラウドファウンディングが登場」という記事を書いています)。

Cruzu

この過去記事で、100%以上の出資を得ていたKian Tavakoli(以下、キアン)というワインメーカーが新たにプリチャード・ヒルのカベルネ・ソーヴィニヨンで出資者を募集しています。プリチャード・ヒルのカベルネといえば大抵は100ドル以上するワインばかりですが、今回はなんと37ドル! しかも畑はPaul Hobbsなどでも知られているStage Coach(ステージコーチ)です。



ステージコーチは実はかなり大きな畑で、一部はアトラス・ピークに差し掛かっていまいする。今回はかなり端の方にあるプリチャード・ヒルのワインです。ただし、プリチャード・ヒルは、AVAではないので、ラベルにはナパ・ヴァレーとだけ入れることになります。ワインメーカーのキアンによると、ここが一番いいカベルネ・ソーヴィニヨンができるところだとのこと。なお、キアンは過去10年以上、ここのフルーツでワインを作っていました。以前はClos du Valのワインメーカーもしていたそうで、ちゃんとしたワインメーカーだそうです。
Date: 2016/0630 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・ツアーに戻ります。順番はいったりきたりするかもしれませんがご容赦を。

さて、ナパの2日め、プリチャード・ヒルのオーヴィッドを見学した後は、カリストガのアミーチ・セラーズ(Amici Cellars)です。ここでは50ドル以下のリーズナブルな価格帯を中心としたワインとバーベキューのランチをあわせます。

まずはワイナリーに入り、ソーヴィニヨン・ブランで乾杯です。
Amici Cellars

この日はとても暑く、カリストガの気温は30℃を大幅に上回っていたようです。プリチャード・ヒルのオーヴィッドでは日差しが強いものの、流れる風は心地よかったのに対し、ここでは風が吹いても熱風。ナパで一番暑いカリストガの洗礼をいきなり受けることになりました。ちなみにオーヴィッドによると、谷の下と比べて3~5℃くらい涼しいと言っていました。

ピクニック・テーブル

広い庭にはピクニック・テーブルが並んでおり、奥の木陰でワイン・テイスティングです。

ワインはアミーチだけでなく、サン・スペリー(St. Supery)、セコイア・グローブ(Sequoia Grove)、ルナ(Luna)も提供しています。
St. Supery

アミーチのソーヴィニヨン・ブランはドライで緻密な味わい。それに対してサン・スペリーのソーヴィニヨン・ブランはアロマティックで開放的。同じソーヴィニヨン・ブランでも随分味わいが違います。

サン・スペリーではダラーハイドのカベルネ・ソーヴィニヨンが印象的。スパイシーでリッチ、きめ細かなタンニンがなめらかな味わいを作っています。これ、5000円以下だったらかなりいいんじゃないでしょうか。

アミーチのカベルネ・ソーヴィニヨンやサン・スペリーのメルローはやわらかな味わい。親しみやすさがナパらしいです。



ルナはサンジョベーゼなどイタリア系の品種に力を入れているワイナリー。かつてはジョン・コングスガードがワインを作っていたことでも知られています。ナパのイタリア系品種としては最大規模だそうです。
Luna Vineyards
ルナのサンジョベーゼも良かったのですが、それ以上に印象的だったのがサンジョベーゼのロゼ。白ワインのように皮とジュースを分けて醸造して、後から皮を入れて色付けをするという手法で作っています。

さて、そうこうしているうちにランチの準備もできました。ハイライトはなんといっても「肉」です。

バーベキューのポーク

この肉は、下の写真のようなスモーカーで調理されたもの。
スモーカー

右下のところに炭を入れ、煙突を通ってそのスモークが本体の方に来ます。スパイスを付けた骨付き肉をそれで14時間かけて調理したとのこと。美味しくないはずがありません。ちなみに、本来、アメリカ南部のバーベキューとはこういうものだそうです(真の「アメリカン・バーベキュー」。 - Hole In The Wall)。

調理風景

肉はカットされて出されました

骨が多いので手で持ってしゃぶりつくしかないのですが、個人的にはとても気に入り、一人で6~7本は食べてしまいました。

先ほどのルナのロゼはこのバーベキューにもよく合いました。本来は赤ワインの方が合うんでしょうが、何分暑いので、赤よりもロゼの方が飲みたい気分でした。

Date: 2016/0629 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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リッジのCEO兼ワインメーカーであるポール・ドレーパーが2016年6月末をもって引退を発表しました(paul-draper-ridge-ceo-winemaker-retire/)。今後も会長としてリッジにとどまるものの、仕事は基本的にはすべて移譲する形になります。
Paul Draper

併せて発表された引き継ぎプランによると、社長兼COOだったマーク・バーノンがCEOに、モンテベッロのワインメーカーで副社長だったエリック・バウアーがモンテベッロのワインメーカー兼COOに、リットン・スプリングスのワインメーカー兼副社長だったジョン・オルニーがリットン・スプリングスのワインメーカー兼COOになります。

また、畑管理の副社長だったデビッド・ゲイツが畑管理の上級副社長に昇格します。

ポール・ドレーパーは「エリックとジョンは、私のガイダンスの下、それぞれのワイナリーを長い間率いてきた。大事な決定は一緒にやってきたが、過去10年、ワイナリーの日々の運営を司ってきたのは彼らだ。もう、私のワインではなく、彼らのワインだ。そして、リッジの50年の歴史の中で、この10年が最も安定していいワインを作っているのだ」と移行への不安がないことを強調しています。実際、デビッド・ゲイツは1989年、エリック・バウアーは1994年、ジョン・オルニーが1996年にリッジに入社しており、いずれも20年以上のキャリアを積み重ねています。

ポール・ドレーパーはスタンフォード大学で哲学を学んだ後、イタリアやフランスに行き、その後チリで3年間ワイン作りをしました。1969年にカリフォルニアに戻ってリッジのワインメーカーに抜擢。以来、リッジの顔として活躍してきました。

今年40周年記念を迎えたパリ・テイスティングには唯一ナパ以外の赤ワインとして名を連ねており、2006年に行われた30周年記念で、同じヴィンテージのワインを使った試飲では見事1位となって、その高い熟成能力を示しました。

ポール・ドレーパーの引退はとても寂しく、残念ではあります。しかし、後継をしっかり育て上げ、後の憂いなく、これまでの伝統を引き継ぐことを宣言した今回の引退宣言もポール・ドレーパーらしく、改めて尊敬の念を強くしました。
Date: 2016/0629 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワインライフ株式会社の杉本隆英さんがプロデュースする「シャトー・イガイタカハ」。グレッグ・ブリュワーがワインメーカーを勤める漢字シリーズ(ラベルに漢字をあしらったもの)が有名ですが、それ以外に、ワイナリー名の元となった家紋「違い鷹羽」を使った「家紋」シリーズもあります。

家紋シリーズはさまざまなワインメーカーに依頼して作っていますが、その新作「Tokimeki」はなんとポール・ラトー(Paul Lato)作。家紋シリーズの大部分は白地をベースにしていますが、これは黒地。黒地のものは漢字シリーズと並ぶフラグシップの位置付けだそうです。

Tokimeki

今やグレッグ・ブリュワーと並んでサンタ・リタ・ヒルズ、あるいはセントラル・コーストを代表するワインメーカーになったと言っても過言ではないポール・ラトー。これまで、自身のワイナリー以外にはヒリアード・ブルース(Hiliard Bruce)を手がけていましたが、現在は離れてしまったようです。

今は、それ以外にソーヴィニョン・ブラン専業のGrimm's Bluffというワイナリーや、2、3のレストラン向けにワインを作っているようですが、日本で買えるのはポール・ラトーブランド以外はこれだけになります。

これまでもポール・ラトーでは杉本さんとのコラボで「心」ワインを作って来ましたが(参考:Paul Latoの新作は「心」、シャルドネとピノ・ノワールを試飲ポール・ラトーの「心」に新ヴィンテージ、ソーヴィニヨン・ブランとロゼを追加)、今回は一歩進んでシャトー・イガイタカハ名義でのワインになったわけです。

さて、今回のTokimekiはシャルドネとピノ・ノワールでどちらもヴィンテージは2014年。シャルドネが、シエラ・マードレ(Sierra Madre)とマシャド(Machado)、ピノ・ノワールがジョン・セバスティアーノ(John Sebastiano)とゾトヴィッチ(Zotovich)の畑のブドウを使っています。どちらもニュートラルフレンチオークで16カ月樽熟しています。

このうちマシャドはブリュワー・クリフトンの自社畑で、ポール・ラトーとしてはおそらく初めての扱いです(参考:漢字ワインはエモーショナルなんです――グレッグ・ブリュワー インタビュー後編)。それ以外は、これまでポール・ラトーの単一畑ものとして作られていたり、シエラ・マードレとゾトヴィッチは「心」でも使われていたりします。

出荷は2016年7月1日からでシャルドネが8000円、ピノ・ノワールが1万円。現在、予約特価になっています(Ch.igai Takaha / Tokimeki)。ポール・ラトーのシャルドネ/ピノ・ノワールとしては、安価ですので、この機会に買われることをおすすめします。

なお、杉本さんは、グレッグ・ブリュワーとポール・ラトーのワイン作りについて、以下のようにコメントしています。ご参考まで。

『漢字ワイン』を手掛けるGreg Brewer氏が『何もしない事をする引き算のワインメイク』とするならば、『TOKIMEKI』を手掛けるPaul Lato氏は『出来る限りの事をする施しのワインメイク』と言えるでしょう。
Date: 2016/0628 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパの最終日はカーネロスにあるクヴェゾン(Cuvaison)です。以前はナパの北部のカリストガにあったワイナリーですが、力を入れているのはシャルドネとピノ・ノワール。5年ほど前に自社畑のあるカーネロスにテイスティング・ルームを作り、カリストガは引き払ってしまいました。ピノ・ノワールの畑を望むとてもきれいなテイスティング・ルームがあります。
クヴェゾンのテイスティング・ルーム

社長のジェイさん。
社長のジェイさん

ワインメーカーのスティーブさん。畑仕事からワイン作りまで、ワイン作りの実務の大半を仕切っています。
ワインメーカーのスティーブさん

テイスティング・ルームの目の前にあるピノ・ノワールの畑。
クヴェゾンの畑

実は、この畑は数年前にユータイパという一種のカビの害にやられてしまい、3年前に幹を切ってしまったそう。接ぎ木したところから出てくる枝の一つを改めて幹として成長させている過程だと説明していました。以前は1エーカーあたり1トンも収穫がないという低収量の畑だったので収量もこれから改善を見込んでいるそうです。

ピノ・ノワール

カーネロスというと、うねうねと緩やかな丘が広がる景色が特徴です。クヴェゾンの畑も例外ではなく、大小いくつもの丘に畑があります。畑全体を44個のブロックに分けてブロックごとに醸造しています。細かな気候の違いなどでブロックを分けているので、わずか2、3列のブロックもあれば、かなり広いブロックもあるとのこと。

シャルドネとピノを試飲しながら畑を回ります。クヴェゾンのワインは、シャルドネもピノ・ノワールも穏やかな味わい。こういうワインはほっとします。

シャルドネとピノ・ノワール

また、ピノノワールは斜面が適しているので、丘に植え、シャルドネは気温が低い低地を中心に植えています。
シャルドネは低いところに

これはインセクト・トラップという装置。害虫がどれくらい発生しているかを調べるために使います。
Insect Trap

ところで、今回のナパでは一回も霧を見ることがなく、いつもならかなり涼しいカーネロスも日が差して暖かでした。南の方で生じた熱波によって、高温の空気がドーム状になり、霧が入ってこれない状況が続いていたそうです。

また、近年収穫が早まっていますが、今年について聞いてみたところ、平年より3週間くらい早く、これまでで一番早いと言われていた昨年よりも早くなりそうだとのことでした。旱魃の影響で冬が暖かく、芽がでる時期も早くなっているのが大きな原因のようです。

クヴェゾンの倉庫

畑の後はワイナリーに行ってシングルブロックのピノノワールと、シャルドネを、2015年(樽からのサンプル)と、2013年のワインで比べました。

ところで、ナパでは2年前に大きな地震がありました。震源は海に近いあたりで、カーネロスも大きく揺れました。社長がそのときの写真を見せてくれました。
地震のとき

樽はスチールのラックを使って積み重ねていましたが、このラックは地震に弱いことがわかりました。今後はより揺れに強いプラスチック製のラックに変更していくそうです。


ボトリングのラインも稼働中でした(ワインは別のワイナリーのもの)。
ボトリング

ナパの最後のワイナリー見学は、こうして無事に終わりました。

Date: 2016/0627 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパのレポートはまだまだありますが、世界を揺るがす大事件となった、英国のEU離脱について、ワイン市場にどういう影響を与えるかをみてみましょう。

EUR/GBP

まず、間違いなく起こるのが(既に起こっていますが)為替の変動です。特に、英国のポンドは価値が急落します。上のグラフはユーロと英国ポンド

それで、どういうことが起こるかということですが、EUのワイン、例えばフランスのワインの英国への輸入は減るでしょう。ボルドーのプリムール市場に壊滅的な影響を与えるという予測もあります(Reaction: How Brexit vote could affect wine lovers)。

英国では、フランスやイタリア、スペインなどのワインの価格が上がることにより、それ以外のワインを求める動きが大きくなるかもしれません。例えば、近年スパークリング・ワインの評価が上がっている、英国製のワインが売れるようになるかもしれません(Brexit: A good day for English wine?)。

一方で、英国ワインの輸出には大きな打撃となるでしょうから、英国製ワインにとってこれが本当に歓迎すべきことなのかどうかは不明です(​What would Brexit mean for wine lovers? | Articles | JancisRobinson.com)。

また、南アフリカや、オーストラリア、ニュージーランドなどのワイン(米国も含むかどうかはわかりませんが)、にとっては英国市場への販売が相対的にやりやすくなるかもしれません。

日本やカリフォルニアのワインにとっては、これよりもTPPの影響の方が大きいかもしれませんが、いずれにしろ、これがきっかけとなって、ワイン市場も大きな変化が出てくるのでしょう。
Date: 2016/0624 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ・ツアーもいよいよ大詰めに近づいてきました。この日のハイライトの一つが料理の鉄人で知られている森本正治さんのレストラン「Morimoto Napa」での食事とワインのペアリングです。

Morimoto Napa

Morimotoに着くと、すでにワインはすべて用意されています。
ワインの準備は万端

料理は5種類。それぞれにワイン2種類を合わせます。つまりワインは10種。
料理に合わせるワイン

こちらがメニューです、

料理のメニュー

シャフのイチロウさん。和食のテクニックにオリジナルな要素を加えています。
シェフのイチロウさん

料理はこれと、あとたこ焼きです。
料理

横からも撮ってみました。なんとなく雰囲気出たかな?
料理(横から)

ソムリエのエデュアルドさんが、どうしてその料理にそのワインを合わせて見たのか説明します。
ソムリエのエデュアルドさん

ペアリングは1つの料理について2種類のワインを飲みながら、どちらが合うと思うか投票する形で進みました。

最初は一番左のサバの寿司です。エデュアルドさんからシェフへのリクエストはコハダだったそうなのですが、いいのが入荷せず、サバに変更したそうです。

これには前の日に行ったレイモンドのリザーブ・ソーヴィニヨン・ブランとファレラ(Farella)のソーヴィニヨン・ブランをあわせました。レイモンドは爽やかな印象のソーヴィニヨン・ブラン、ファレラはトロピカルフルーツのフレーバーを感じます。食べる前はレイモンドのほうが合うかと思ったのですが、合わせて見ると意外とファレラがいいかなと思いました。票は結構割れていました。

次はハマチのパストラミで、ブラウンシュガーと塩で絞めたハマチに七味が付いています。

ワインはガーギッチ・ヒルズのシャルドネとロンバウアーのシャルドネ。ロンバウアーはカリフォルニアらしいリッチなスタイルで、ガーギッチ・ヒルズはバランスがいいスタイル。

これはハマチの周りの七味が曲者で、ガーギッチ・ヒルズのシャルドネは七味に負けてしまうように感じました。七味がなければガーギッチ・ヒルズを選びたいところでしたが、この料理にはロンバウアーが合いました。

次はベジタブルかにみそで、人参、セロリ、きゅうり、大根を小さく切ったものに、かにみそとにんにくをミルクで煮たもの、ロースト・ガーリック、出汁、白醤油を混ぜたものを和えています。

ワインはピノ・ノワール。これが一見一番大胆な組み合わせです。セインツベリーのピノ・ノワールは味わいがしっかりしてフォーカスの定まったワイン。単体で飲んで美味しいワイン。もうひとつはセハ(Ceja)。こちらはかなり軽めのピノ・ノワールです。

個人的にはこれはセハを合わせたく思いました。かにみそといっても意外とその味は強くなく、出汁のあじなどが結構効いています。それとはセハの方が合う気がしました。

次はたこ焼きです。
たこ焼き

Morimotoではたこ焼きは完成度の高い料理と見ていて、各地(世界で13軒あるそうです)でそこの食材を使ったたこ焼きを作っているようです。例えばニューヨークはロブスター、ハワイはアワビ。ナパは普段はフォアグラだそうですが、今日はアワビです。3時間酒蒸しにしたとのこと。

ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンでクリフ・レーディ(Cliff Lede)のものと、コリソン(Corison)です。クリフ・レーディはリッチで芳醇。とてもきれいな味わいもあり、非常にナパらしくおいしいカベルネです。一方、コリソンはナパのワインとしてはとてもエレガント。花の香りが印象的です。

これは個人的にはクリフ・レーディの勝ち。このたこ焼きは、かなり出汁が効いており、また下にハーブバターのソースが敷いてあります。これらのリッチな味わいにはクリフ・レーディの力強さが合うように思いました。ちなみに、このたこ焼き、外がカリカリで本当に美味しかったです。

最後はちょっとインド風に辛く仕上げたアングリーチキン串焼き(+ししとうがらし)。ワインはトゥーミ(Twomey)のメルローと、ロバート・ビアーレ(Robert Biale)のジンファンデルです。

これだけは品種が違うワインでしたが、ジンファンデルのスパイシーさ(ビアーレはそれほどスパイシーじゃなかったので、もっとスパイシーなワインを合わせたい感じがしました)が合うと思いました。

と、こんな感じで、料理とワインのペアを試すのはとてもおもしろく、勉強になりました。和食でも調理の仕方でいろいろなワインに合うこともよくわかりました。また、ナパのワインといっても一様ではなく、いろいろなスタイルがあることもわかると思います。

ワイン以外のお酒もいろいろ
もちろん日本酒や焼酎もあります

ちなみに、この日は森本シェフは不在でしたが、森本シェフはガーギッチ・ヒルズのワインのファンだそうです。先日のオークション・ナパ・ヴァレーのときはガーギッチ・ヒルズでプライベートのスシ・ディナーを開催したとのこと。

後ろのタコの写真がいかにもアメリカという感じですが、実はスイーツを作っています。
スイーツを作っています

というわけでとても楽しく勉強になる経験でした。
Date: 2016/0623 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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毎日盛りだくさんのスケジュールで、Ovidの後を書こうか、次の日を書こうか迷ったのですが、順を追っていくといつまでたっても終わらずにリアルタイム感がなくなってしまうので、とりあえず毎日1トピックアップしていこうと思います。

というわけで3日めはDarioushの見学からワイントレイン、ブレンディングセミナー、Raymondの見学とタコストラックのディナーというこれも充実した内容でしたが、そこからワイントレインをお届けします。

ナパに何度も行ったことがある人も意外とワイントレインに乗ったことがない人は多いと思います。例えばランチのワイントレインに乗ると、戻ってくるのは3時過ぎ。ワイナリーは5時には大体しまってしまうから、ほかのワイナリーに行く時間はほとんどなくなってしまいます。

今回乗ってみて思ったのは、とても贅沢な時間であるということ。確かに寸暇を惜しんで一つでも多くのワイナリーに行きたいという人には向かないと思います。でもゆっくりと食事をしながら、ナパの雰囲気を味わうのにこれほどのものもありません。

また、夏場であればディナーを食べるサンセットトレインに乗るのもありでしょう。サンセットトレインは6時半に出発して9時半に戻ってきます。5月後半から8月前半なら日没は8時台。日が沈んでもすぐ暗くなるわけではないですから、8時半ころまでは十分外の景色が楽しめると思います。

さて、能書きはこれくらいにして、実際のワイントレインのツアーを見ていきましょう。駅はナパのダウンタウンのはずれ、ナパリバー沿いにあります。今回泊まっているNapa River Innからは歩いていける距離です。
ワイントレインのステーション

エントランス

かなり広い待合室があります。右奥がチェックインカウンター。
ワイントレインの待合室

おみやげ屋が充実しています。こちらは主にアパレル系を置いています。
おみやげやさんその1

ワインショップやワインの小物などを置いてある店がもうひとつ。ワインショップはナパ以外のワインも結構あります。例えばピノだとBrewer-CliftonやCalera、Hirschなどマニアでも楽しくなるような品揃えです。もちろんナパのワインも充実しています。
ワイントレインのワインショップ


こんなのも置いてあります。線路の廃材で作っているのでしょうか。すべて鉄ですからかなり重いです。値段も300ドル~と結構します。
レールの廃材で作ったのでしょうか?

待合室でもワインは飲めます。
バーカウンター

チケットカウンターにあったワイントレインの模型です。よくできています。これはちょっと欲しくなった(売り物ではないです)。
チケットカウンターにあった模型

待合室からトレインに行く通路はラブ・ロック・ブリッジといって、南京錠がたくさんかかっています。これは恋人たちが名前や日付を書いて、ここに付けて、鍵は捨ててしまうのだそうです。
ラブ・ロック・ブリッジ

ワイントレインです。10両以上連結されており、思った以上に長いです。
ワイントレイン

改札の人です。にこやかに迎えていただきました。
改札係

乗車します。
DSC01083

テーブルにはメニューがあり日本語も書かれています。ちなみにこれはVista Dome Carというちょっと高い車両です。
テーブル

こんな感じにちょっと景色が見やすくなっています。また、この車両だけは2階建てになっていて、下に厨房があります。ほかの車両の食事は、キッチンカーが別についており、そちらで調理しています(写真は後で)。
Vista Dome Car

ロバート・モンダヴィです。トカロンと書かれているのを見ると気持ちが上がります。
Robert Mondavi Winery

ガーギッチ・ヒルズ。実は今回ガーギッチ・ヒルズの方が同じテーブルだったのですが、写真を撮り忘れました。
Grgich Hills

ひときわ目立つHall Wineryの入り口にある巨大なウサギのオブジェです。
Hall Winery

Vista Dome Carのメニューは3皿のコースで前菜、スープまたはサラダ、メインディッシュ、それにデザートです。スパークリングワインが1杯ついてきます。

前菜はマグロのスパイスのたたきを選びました。ガーギッチ・ヒルズのフュメ・ブランによく合います。
マグロのスパイスのたたき

これは隣の人の前菜(トリュフ入りリコッタチーズのラビオリ)。これもフュメ・ブランとよく合います。
トリュフ入りリコッタチーズのラビオリ

ガーギッチ・ヒルズのフュメ・ブランはほどよい酸味と、嫌味じゃないクリーミーさがあり、食事に合わせやすいワイン。ガーギッチ・ヒルズでは特に食事に合わせることを意識してワインを作っているとのことです。

本日のスープです。ポルチーニが入っているのでしょうか。かなり濃厚です。これはしっかりとしたシャルドネによく合いました(今回はカモミとオショネシーのシャルドネ)。
本日のスープ

メインディッシュです。シルバーオークのカベルネ、ロバート・ビアーレのジンファンデルに合わせました。
テンダーロインのローストと蒸し煮あばら肉の細切れ

デザート。これは定番だそうです。今回はガーギッチ・ヒルズのデザートワインもいただきました。これがなかなか美味でびっくり。ソーヴィニヨン・ブランにリースリング、ゲヴェルツトラミネールが入っているそうです。
エスプレッソ・チョコレートドーム


さて、ほかの車両も見に行きました。

Vista Dome Car以外は基本的に行きか帰りのどちらかが食事で、どちらかがアペタイザーやデザートになります。食事は食事用の車両で取り、終点のセントヘレナでラウンジの車両に乗り換える形です。
食事の車両
ラウンジカー

景色は、Vista Dome Carじゃなくても十分にいいかなと思いました。どちらを選ぶかは食事の内容で決めるのがいいかもしれません。

キッチンカーは狭いところで大勢の食事を作っており、戦場のような忙しさでした。ちょっと邪魔してしまったかもしれません。ごめんなさい。
キッチンカー
キッチンカー

車両の一番後ろにも出られます。開放感があって気持ちいいです。
一番後ろにも出られます

こちらはVista Dome Carの厨房。サーブする人数は少ないですが、狭くて大変そうです。特に一番奥のグリルがあるところは、暑さとの戦いになりそうです。
Vista Dome Carの厨房
グリル

シェフです。
Vista Dome Carのシェフ

同席した生産者の写真を全然撮っていませんでした。すみません~。後で誰かからもらうことにします。

というわけで、充実した3時間を過ごしたワイントレインでした。乗ったことない人も一度は乗る価値があるのではないかと思います。
Date: 2016/0622 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ2日めの午前はプリチャードヒルにあるオーヴィッド(Ovid)の見学です。実は今回のツアーで、行きたいところとして、プリチャードヒルをリクエストしており、その願いがかなったのです。

プリチャードヒルは、名前の使用権を持っているシャペレーに始まり、コルギンやブライアント、コンティニュアム、デビッド・アーサーなどそうそうたるワイナリーがある地域です。しかし、一般の客に門戸を開いているワイナリーとなるとなかなかありません。貴重な機会なのです。

レイク・ヘネシーの脇を通り、山道を上がっていきます。レイク・ヘネシーはナパの重要な貯水池。旱魃のひどかった昨年はかなり干上がったそうですが、今年はまだ水がしっかりとあります。
レイク・ヘネシー

オーヴィッドに到着です。
オーヴィッド

できのいい年にしか作らないというカベルネ・フランのHexameter 2012を試飲しました。
Ovid Hexameter

テラスからはナパ・ヴァレーの絶景が見えます。
Ovidからサン・パブロ・ベイ方面を望んで

畑はストライプ状に品種が分けて植えられています。カベルネ・フランは緑色のところ。
DSC00908

プリチャードヒルの特徴の一つが、火山性の石がたくさんあること。Ovidを作るときも1万5000個もの石を取り除いたそうです。石の山がヴァレーの向かい側からも分かったとのこと。そういえば以前コルギンに話を聞いたときも石が大変だった話をしていました。

今でも畑に結構石がゴロゴロしています。
プリチャードヒルの石

なお、畑を作ったのは有名なデビッド・エイブリューです。

石の層の上に薄い表土の層があります。ブドウにとっては水を得るのもなかなか困難なところです。そのため、ブドウの木は比較的小さめに剪定し、木と木の間隔も狭めになっています。1エーカーあたり2200本の木があるとのこと。剪定作業がかなり大変そうな畑で、手間暇かけて作っていることがよくわかります。

Ovidの畑

暑い日だったので、水に加えて日傘も用意されていました。ありがたや。
水と日傘

いろいろな技術も使っています。これは樹の中を流れる水の量の測定に使っている機械の一部。このデータを使って必要最低限の灌漑をするようにしています。
DSC00917

畑の何ヶ所かにあるウェザーステーション。気温や雨量などを15分に1回測定して伝えています。
ウェザーステーション

栽培はオーガニックで行っています。これは害獣を退治してくれるふくろうの巣箱。このほか鷹なども住んでいます。
ふくろうの巣箱

ワインはこのほか2015年のカベルネ・フランをバレル・サンプルでいただきました。まだ1年も経っていないワインですが、もうこれだけで売ってもおかしくないほどしっかりした味わい。ただし、今回は全部ブレンドに使うことになりそうだそうです。

案内してくれたオーナーのジャネット・パガーノさんとアシスタント・ワインメーカーのリー・リッチーさん
Ovidのワイナリー

とても貴重なプリチャードヒルの見学でした。ここだけでプリチャードヒルを一般化して語ることはできませんが、石の多い土壌などは共通していると思います。

道沿いにあったBrand Napa Valley(多分)

このあと、昼から午後も盛りだくさんのツアーです。
Date: 2016/0621 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパ研修旅行の初日は、サンフランシスコの人気スポット「フェリー・ビルディング」で、これもナパなどで大人気のハンバーガー屋「Gott's Burger」でのディナーです、ここはワイナリーでも有名なジョエル・ゴッツが経営しています。

まずは軽くフェリー・ビルディングを散策。ワインバーも気になります。
ワインバー

チーズの店もなんだかおしゃれ。
DSC00852

有名なブルーボトルコーヒーもあります。
DSC00854

目的の「Gott's」です。
Gott's

テキサス・アボカド・バーガー。ハラペーニョが意外ときいています。
テキサス・アボカド・バーガー

人気の「アヒ・バーガー」の中はなんと刺し身のマグロ。
image

オニオン・リングも美味しいです。ブルーチーズのソースをつけていただきます。
image

ワインは店からではなくNVVが提供です。
DSC00859

この中では抜群においしかったのがオショネシー。以前は日本に輸入されていましたが、いまは輸入されていないそうです。現在はピーロートが輸入しているそうです。
オショネシー

そうこうしている間に、夕焼けです(時間は8時半くらいです)。
ベイ・ブリッジの夕焼け

ワイングラスと撮ってみたりして。
DSC00872

きれいな夕焼けでした。
夕焼け

明日からは1日勉強(とワイン)です。
Date: 2016/0621 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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むちゃくちゃ久しぶりにナパに行ってきます。ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズの研修旅行です。

Wifiモデムをレンタルしていくので、もしかしたらリアルタイムでアップするものもあるかもしれません。TwitterFacebookをご覧ください。

ブログもできるだけ毎日更新するつもりではありますが、更新時間はいつもと変わる可能性が大です。

スーツケース

てごろな大きさのスーツケースがなかったので、娘のを借りてきました。ちょっと恥ずかしい(笑)。
Date: 2016/0620 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパに比べてかなり広いソノマ。業界団体も地域のものなどさまざまありますが、Sonoma Winegrape Commissionというのは、ブドウの生産者による業界団体です。現在のトップは「カリッサ・クルーゼ(Karissa Kruse)」という女性。彼女が狙う物は何かという記事が出ていました(Head of Sonoma Winegrape Commission vows to raise visibility – and prices – for Sonoma grapes | Wine | napavalleyregister.com)。

カリッサ・クルーズ
(写真はSonoma Winegrape Commissionのサイトより)。

で、答えは何かというと、ブドウ価格の底上げを狙っています。ナパと比べると平均価格がかなり低く、それを上げたいようです。

そのために取り組んでいるのがブドウ畑の「サステイナビリティ」。

ナパでは数年前に始まったもので、ソノマは100%達成するとの宣言では先んじたものの、実際には後れを取っているようです。

ナパに比べると、意見を統一するだけでも相当の苦労があるものと思われます。


ライバル視されるナパとソノマですが、広報体勢などの面では、ナパが圧倒的に上回っています。もっとソノマにも頑張ってほしいところです。
Date: 2016/0619 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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デカンター誌がお薦めのソノマ・コーストのワインの記事を挙げていました(Best Sonoma Coast wines top 10 - decanter)。


93点 Littorai, Charles Heintz Vineyard Chardonnay 2013
91点 Failla, Chardonnay 2013
96点 Rivers-Marie, Summa Vineyard Pinot Noir 2012
95点 Arnot-Roberts, Que Syrah Vineyard Syrah 2013
95点 Radio-Coteau, Las Colinas Syrah 2012
93点 Peay Vineyards, La Bruma Estate Syrah 2013
93点 Peter Michael, Ma Danseuse Pinot Noir 2013
92点 Hirsch, San Andreas Fault Estate Pinot Noir 2013
90点 Anthill Farms, Pinot Noir 2013
90点 Kutch, Sonoma Coast Pinot Noir 2014

まずは衆目の集まるのはリヴァーズ・マリーのスーマ(Summa)だと思いますが、これは日本にも入荷しています。しかも結構安いです。米国での価格は100ドルくらいになっているので、非常にお買い得です。

なお、スーマには上級のオールド・ヴァインというピノ・ノワールもあります。1万円超える定価ですが、米国では140ドルくらいするので、こちらも日本は割安。味わいはやはりこちらが1.5ランクくらい上ですが、普通のスーマも十分美味しいです。


このほかのワインもワイナリーとしては国内輸入されているものばかりですが、該当ワインが輸入対象外だったり、ヴィンテージ違いだったりするものが多いです。

で、見つけたのは以下の2つでした。

アントヒル・ファームズのピノ・ノワールは米国で税抜き40ドルくらいなので実質的には日本の方が安いくらいです。ソノマ・コーストのピノ・ノワールとしてはとても安いですし、評判もいいワインです。


ファイラ(フェイラ)のシャルドネもあります。


今回のリストにはありませんが、個人的にはリトライのハーシュ・ピノ・ノワールは鉄板だと思いますよ。ソノマ・コーストの最良のワインの一つだと思います(前述のスーマ・オールド・ヴァインといい勝負でしょう)。なので勝手にお薦めさせてもらいます。

Date: 2016/0617 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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新規ワイナリーの認可申請が数多くあるナパですが、昨今は認可を得るのが難しくなっています。慢性的な交通渋滞などにより、観光客を受け入れるワイナリーには客の上限があり、総量が膨れ上がらないようにしているからです。一方で、ワイナリーにとっては消費者への直接販売が占める割合が年ごとに高まっており、ワイナリーを訪れる観光客は極めて重要です。

この状況で、ビジターゼロで新規開設を申請したワイナリーが認可されました(Planners approve rare winery with no visitors | Local News | napavalleyregister.com)。申請を認可する委員会としては、こういった新規ワイナリー申請は歓迎する意向です。生産量約5000ケースの小さなワイナリーですが、どのように顧客を確保するのか気になるところです。

実は、このソダーニ・ワイナリーのオーナーは元インテルの重役。インテルといってもアモーレ長友のいるサッカーチームではないですよ。「インテル、入ってる」のインテルです(古いか?)。アービン・ソダーニといって、近年はインテルが運営するベンチャーキャピタル、インテル・キャピタルの社長だったそうです。

彼がインテル時代に築いた人脈によってワインを売っていく、そのコンタクト先は12600ほどもあるとのことです。

さすがの人脈ではありますが、5000ケースを12600人に売るとすると、だいたい2.5人に1人はケース買いしないといけない計算になります。果たして、そこまでうまくいくものなのでしょうか。

まあ、きっと失敗しても困らないくらいのお金は余裕で持っているのだと思いますが。
Date: 2016/0616 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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今年上半期の掘り出し物でトップだと思われるのがヴァレンタインのカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロー。10年以上の熟成で3000円台や4000円台という安さ。ワイナリーのオーナーが亡くなって廃業してしまったからという悲しい理由ではありますが、残されたワインをおいしく飲んであげるのも供養でしょう。

入荷しているのは「エステート」のカベルネ・ソーヴィニヨンと、「アッパーベンチ」メルロー、単一ブロックもののカベルネ・ソーヴィニヨンの3種。この順に値段が高くなります。

特に評判がいいのはメルローのようです。

Date: 2016/0615 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマのワイナリー、フリーマン(Freeman)が、ワイナリーのケイヴでのプライベート・テイスティングを受け入れるようになりました(Experience - Freeman Winery)。
20130421-akiko_ken_standing.jpg
時間は日曜日を除く10時から5時。予約が必要で、最大6人となっています。テイスティング以外に、ワイナリーの見学や隣接するGloria Vineyardの見学も含まれます。1人当たり30ドルです。

フリーマンはご存知の方が多いと思いますが、フリーマン夫妻によるワイナリー(Freeman Vineyard & Winery: アキコさんが作るデリケートなピノとシャルドネ)。ワインメーカーは奥さんのアキコさんです。おそらく、多くの場合、アキコさんが接客してくださるのではないかと思います。

フリーマンのシャルドネは安倍首相の米国訪問時にオバマ大統領による晩餐会で使われたワイン。ピノも高い評価を得ています。

ソノマに行かれる方はぜひ予約を取って訪問されてはいかがでしょうか。
Date: 2016/0614 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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何を飲むか迷った週末、結局つゆのじめじめを吹き飛ばそうと、久しぶりにソーヴィニヨン・ブランを開けてみました。

こんないいワインを開けるつもりじゃなかったんだけど、ナパの予習ということで #napa #wine #ワイン

スポッツウッドのソーヴィニヨン・ブランは、品質に定評がある上、価格も4000円台で購入可能なので、なんだかんだとほぼ毎年買っているような気がします。

ソーヴィニヨン・ブランは近年、香りの高いソーヴィニヨン・ムスケという品種とブレンドすることが増えていますが、ここはその嚆矢の一つだと思います。ワインも、香りの高さが最大の特徴。酸がきれいに伸びてくるので、味わいがだれなくていいです。

やっぱりいいワインです。

Date: 2016/0613 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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前回、ラジャ・パーのときに最終回と書きましたが、その後、サンディ/ドメーヌ・ドゥ・ラ・コート/ピエドロサシのサシ・ムーアマンからも返信が来たので追加します。
Sashi Moorman
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なぜ、このタイミングでIPOBをやめるのか(ジャスミン・ハーシュ)
なぜ、このタイミングでIPOBをやめるのか(ラジャ・パー)

――IPOBは失敗だったと思うか。
いや、IPOBは驚くほどの大成功だった。
どうしてかというと、ワインのレイティングからスタイルへと会話の内容が変わるのを手助けしたからだ。IPOBによって多くのコンシューマーが、成功するワインというのは必ずしも評論家のスコアだけで決まるのではなく、バランスのよさを生み出す念入りな選択によっても出てくるのだということを理解したはずだ。

――IPOBをやめる時期はこれが適切だと思うか。
そう思う。IPOBはミッションを果たした。IPOBが他のワインメーカーも、彼等が重要だと思うことでアライアンスを組むことにつながればいいと思う。

――この5年間でバランスが取れたワインを好む人は増えたか。
はい。

――IPOBに参加した目的は?
バランスが取れたワインをプロモートするのを手助けし、そのスタイルでさまざまなことなったワインを試せるような環境を作ること。

――その目的は達成できたか。
達成できた。IPOBは多くの取材を受け、カリフォルニアでバランスが取れたワインができることを知らしめた。

――日本でのツアーのあと、日本での認知は増えたと思うか。
わからない。そう思いたいが、その後日本を訪問していないので。おそらく、生産者は日本にいってバランスが取れたワインのプロモートを続ける必要があるだろう。

――IPOB後はどのように啓蒙活動を続けていくか。
われわれは、テロワールと気候を反映したスタイルのワインを作り続ける。アルコール度の低さはそれを実現するのに必要だ。ドメーヌ・ドゥ・ラ・コートは非常に複雑なテロワールを持っており、バランスが取れたワインを理解してもらうのに有利な点になると思う。
Date: 2016/0612 Category: グルメ
Posted by: Andy
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以前「ハーゲンダッツの「華もち『きなこ黒みつ』」を超えた信玄餅アイス」という記事を書きましたが、信玄餅アイスも簡単に手に入るものではありません。

そこで、ハーゲンダッツのバニラに、桔梗信玄餅自体をかけてみたらいいのではないかと思い、試してみました。

ハーゲンダッツ+桔梗信玄餅

結果は…美味しかったです。やっぱりバニラ+きなこ+黒みつは最高。もうちょっと黒みつがあればさらに良かったかも。

それに、普通に信玄餅食べるより、食べやすいし、余りがちなきなこも全部消費できる。

ということで、おみやげに信玄餅もらったら、ぜひこと食べ方お試しください。がっかりすることはないはず。
Date: 2016/0611 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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正月に飲んだお酒と新潟の思い出」で紹介した新潟のお酒「鶴齢」がとても美味しかったのですが、新潟の方から夏限定の超辛口版が出ているよと教えてもらいました。

家の近くの日本酒に力を入れている酒屋に行ってみたところ、鶴齢だけで5~6種類は置いてあり、ちょっとびっくり。灯台下暗しでした。「超辛口」もありました。

この日本酒、アルコール度数は17~18度とちょっと高め。キリッと冷やして飲むのがよいようです。氷を入れてもよかったかも。

アルコール度数は高くても切れがよく、べとつかないので夏向きですね。カツオのタタキと合わせたら「夏だなあ」という感じでした。
鶴齢 純米超辛口

このクオリティで1500円という安さもいいですね。

Date: 2016/0611 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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E. J. ガロがナパの人気ワイナリー「オリン・スウィフト(Orin Swift)」を買収すると発表しました(E. & J. Gallo Winery Announces Acquisition Of Orin Swift)。金額は明らかになっていません。オリン・スウィフトの創設者であるデーブ・フィニーはワイナリーに残ります。


Orin Swift "Polermo" Cabernet. The city of Polermo in Sicily is known for its catacombs which are amazing and a little creepy at the same time but hence this bottles wine label.

オリン・スウィフトは1998年に創設。ジンファンデルを中心にしたブレンドものの「プリズナー」で人気を博します。プリズナーは2010年にヒュネイアス・ヴィントナーズに売却、ヒュネイアスは今年、コンステレーション・ブランズにそれを売却しています(コンステレーションが「プリズナー」を300億円超で買収)。

オリン・スウィフトはプリズナー以外のワインも非常に高く評価されており、それぞれにユニークな名前と極めて個性的なラベルを付けることからシネ・クア・ノンになぞらえられることもしばしばあります。
Date: 2016/0610 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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アントニオ・ガッローニが主宰するヴィナス(Vinous)がナパの畑の地図を作っています。現在、オークヴィルとプリチャード・ヒルが準備中。価格は印刷したものが一枚20ドル〜となっています。
プリチャード・ヒルのマップ
上のマップはプリチャード・ヒルのもの(サイトより)。

これまでも似たような地図はありましたが、今回のものは畑のブロックやオーナーなど、これまでにない詳しさのものになるもようです。イタリアのバローロの地図などで名高いアレッサンドロ・マスナゲッティという人をメンバーに加え、詳しいだけでなく、分かりやすいものにするとのこと。例えば3D表示で地形が分かるようです。

ヴィナスの会員でなくても購入可能です。試しに、一番安い20ドル(折りたたんだ形で送られてくる、他にはロールになったものなど)のマップを2つ注文したところ、日本への送料は5ドルでした。

この夏には、ヨントヴィルとラザフォードも追加。その後も増やしていくとのこと。

詳しくはこちらから。
Date: 2016/0609 Category: 業界ニュース
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オンラインWassy'sの受注担当Jさんが、カリフォルニアのワイナリー訪問にあたって、質問を募集していたので、ここぞとばかりにいろいろと質問を投げてしまいました。そうしたら、もったいないことに、Jさんからお礼として、ポロシャツが送られてきました。

ボーグルのポロシャツなので、せっかくですからボーグルのワインと一緒に写真を撮ってみました。

BogleポロシャツとBogle

ボーグルへの質問とその回答は「受注J カリフォルニアワインツアーレポート(^○^)ボーグル編」に掲載されています。赤ブレンドのあたりなどが私の質問です。やっぱり赤ブレンドは若い世代に人気が高いのですね。勉強になりました。

ボーグルはいろいろなワインを作っていますが、今回飲んだのはJさんのお薦めであるピノ・ノワール。

2000円台前半という価格ですが、赤系の果実の味わいが可愛らしい、とても飲みやすいピノ・ノワールでした。

Date: 2016/0608 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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柳屋でクーポンが2種類出ています。一つはシドゥーリのカルガサッキ ピノ・ノワール2012に適用されるもので税込み価格9180円から7538円に1642円引き。品質が悪いわけではなく、ラインアップの整理によるものだそうです。実際、Wine Advocate誌では93点の評価を得ているワインです。

もう一つはナパのカベルネ、フープラ。4000円以下のカリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨンの中ではベストの一つだと思います。今回は税込み3974円から300円引き。なお、6本買うと送料無料です。

以下のリンクからクーポンを取得して、製品のページにお進みください。
シドゥーリ カルガサッキのクーポン
フープラのクーポン
Date: 2016/0608 Category: 業界ニュース
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ジム・ビンズ(Jim Binns)という人をご存知でしょうか。名前を聞いたことがなくても、シネ・クア・ノン(Sine Qua Non)のマンフレッド・クランクル(Manfred Krankl)の右腕と呼ばれているほどの人と聞けば、ただものではないことがわかると思います。

そのジム・ビンズが現在自身のワイナリーとして取り組んでいるのがアンドレミリ(Andremily)。この名前は二人の子供AndreとEmilyをくっつけたものです。

Andremilyでは今のところシラー・ベースのワイン1つだけを作っています。シネ・クア・ノンも契約しているホワイト・ホークなどの畑のブドウを使っており、もう1つのシネ・クア・ノンと呼んでもいいかもしれません。

最初のワインである2012年の「No.1」はWine Advocate誌で97点、次の2013年の「No.2」は99点。2013年のシネ・クア・ノンのシラー「♂」、グルナッシュ「♀」がどちらも98点であり、それを上回る評価をいきなり得ています。ただし、価格も250~300ドルと既にシネ・クア・ノンに匹敵するレベルになっています。




Date: 2016/0607 Category: おすすめワイン
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週末の日本経済新聞「プラスワン」におすすめスパークリングのランキングが掲載されていました(キリッとした後味 スパークリングワイン・ベスト10)。

残念ながらカリフォルニアはランクインゼロ。米国では7位に「ドメーヌ・サン・ヴァンサン」のブリュットが入っていました。ここ、知らなかったのですが、ニューメキシコ州の人気スパークリングGruet(グリュエ)のセカンドなのですね。夏向けのキリッとした味わいのようです。


また、8位はオレゴンの「ソーコル ブロッサー エヴォリューション」。


また、1位は南アフリカの「グラハム・ベック ブリュット ブラン・ド・ブラン 2011 」。



この記事以外のスパークリングだと、柳屋でむちゃくちゃ安く売っているドメーヌ・カーネロスはお買い得ですね。税抜きだと2000円台ですが、その価格帯のスパークリングではないです。


あと、未飲ですが、気になっているのは英国のスパークリング。こちらも近年品質が著しく上がっていると評判です。大変失礼しました。英国の品評会で1位になりましたが、これも南アフリカのワインです。
Date: 2016/0607 Category: 業界ニュース
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2016年のオークション・ナパ・ヴァレーが6月1日~5日にかけて開かれました(Auction Napa Valley news)。各種オークションの落札総額は1430万ドル。2014年の1840万ドル、2013年の1690万ドル、2015年の1580万ドルに次ぐ過去4番めの落札額となりました。
ライブ・オークション

メイン・イベントとなる土曜日のライブ・オークションで最大の落札総額となったのは「Fund-a-Need」というロットで、100人の落札で計210万ドル。2番めはスタッグリン・ファミリーのロットで2組で70万ドルの落札だったところを3組に拡張して105万ドルでした。

また、金曜日に開かれたバレル・オークションでは、メルカ・ワインズが6万2100ドルで一番の落札額、2番めはシェーファーで6万50ドルでした。

また、世界中から入札可能なEオークションではガーギッヂ・ヒルズのロットが1万7550ドルで最高額でした。

オークション・ナパ・ヴァレーのサイン
Date: 2016/0606 Category: 業界ニュース
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このシリーズ、最終回はIPOBコア・メンバーの一人、ラジャ・パーです。

Rajat Parr

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なぜ、このタイミングでIPOBをやめるのか(ジャスミン・ハーシュ)

――IPOBは成功だったと思うか。
IPOBは大いなる成功を収めたと思う。私たちは議論を始め、ほかの人達がついてこれるように道を整備した。同じように私達の先人たちも道を整備したが、1990年代にその道を選ぶ人はほとんどいなかった。IPOBは、その道を再構築し、今や多くの人がそこを通るようになったと思う。

――どうして今がIPOBをやめるタイミングだと思ったのでしょうか。
頂上にいるときにやめるのがベストだと常に信じている。IPOBは議論であって、議題ではない。議論を開始し、あとはそれが業界内を流れるのに任せたい。

――この5年間にバランスが取れたワインを飲む人は増えたのでしょうか。
はい、増えました。多くの新しい生産者がいる。ピノ・ノワールとシャルドネだけでなく、他の品種でもそれが起こっている。

――IPOBに参加した目的は達成できたか。
IPOBを始めたのは何がバランスであるかを議論する手段としてだった。まだ、その正確な解が出ているわけではないが、すべての土地とワイン・グロワ―が彼等自身のバランスを見つけなければいけない。バランスというのは絶対値があるものではないのだ!

――昨年の日本のIPOBツアーのあと、日本での認知は進みましたか。
昨年のイベントがカリフォルニア・ワイン全体への注目を増すのに役立ってほしいと思っている。カリフォルニアで作られるワインが完熟で甘く、オークの香りが付いているものだけではないということを誌sって欲しい。

――IPOBがなくなったあとは「バランス」ついての議論はどこで進めるのがいいのでしょうか。
そういった教育は、ここのワイナリーに続けていってほしい。道は作ったのだから、あとはお願いいたい。
Date: 2016/0605 Category: グルメ
Posted by: Andy
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先日の「カリフォルニアワインのレストラン、お薦めは?」という記事で、お薦めを募ったところ、元カリフォルニアワインガーデンのシェフの槻山さんが、水道橋に新しい店を出すとのこと。

ちょっとややこしいのですが、槻山さんの今の店は「Wine厨房 tamaya Ohyama」。東武東上線の大山にある店です。その前はtamayaの大塚店のシェフだったのですが、tamayaから暖簾分けという形で大山の店を出したそうです。

今度の水道橋の店は大山の店の支店という位置づけになるようです。6月中に開店ということで、行ってみたいと思います。

もう1つは前の記事でもおすすめした南麻布の「ルエ ヴェル ロール」。改装するとのことで、2016年6月13日(月)~8月13日(土)(6月23日(木)~7月6日(水)はリニューアルのため休業)の期間、ワインの持ち込みを可能にするとのことです。

ルエ ヴェル ロールのFacebookページに、載っています。

「ワイン持込み歓迎プラン」
料金(御一人様):7,000円(税サ込)
お料理(ワインに合わせた特別コース)
アミューズ、前菜2種類、魚料理、肉料理、デザート、コーヒー
*ご予約日の1週間程前にワイン名をお知らせ頂けると助かります。
持込み本数
8本まで
人数
一組8名様まで

また、「ルエ ヴェル ロール」はワインとセットになったコースをluxaで割引していますk。
【ワイン4杯付き】”エルブジ”、”山田チカラ”など名店出身シェフ×凄腕ソムリエの究極コラボ《料理×ワインペアリングディナー/ウズラのポワレ、フォアグラのリゾット、4種のグラスワインなど》上質な空間でいただくモダンフレンチ
Date: 2016/0604 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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最後は、IPOBのコア・メンバーだったジャスミン・ハーシュと、ラジャ・パーからの回答です。

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ジャスミン・ハーシュさんへのインタビュー

――IPOBが解散すると聞いて、日本のカリフォルニア・ワインファンの中には、驚き、がっかりした人もいる。IPOBは失敗だったと思った人もいる。
それはとても残念だ。私たちはとても前向きに決定をしたのだが、それが誤解されてしまった結果だと思う。

――私自身はIPOBが失敗だったとは思わないが、やめるのは早過ぎるのではないかと感じている。「バランス」についての議論はまだ始まったばかりだ。
議論がまだ進行中であるという点については同意する。しかし、私たちはこの議論を別の形で続けていく潮時だろうと信じている。

――IPOBは成功したと言えるか。
人々が買い、飲むワインの傾向に変化が起きた。その一部はIPOBの活動の成果ではないかと思う。もちろん、ほかにも要因はあるし、何よりもワイナリーが作るワインが変わって来ていることが最も重要ではあるが。

――どうして今がIPOBをやめるタイミングだと考えたのか。
IPOBを始めたときは、バランスについて広く一般的に議論するといったことは起こってなかった。バランスやワイン作りのスタイルについての議論をワイン・コミュニティの最前線に持ち込んだということで、意図したことは達成できた。この議論はカリフォルニアだけでなく世界で続くであろうし、終わることはない。私たちは調子がいい間に終了したかったし、ここ1年で行った世界でのIPOBのイベントのインパクトは私達のメッセージが業界内だけでなく、消費者にも届いてきたことを示している。バランスやワインが生まれた土地について、ディナーの席で語り合うことは世界中のカリフォルニアワインについての議論の中で共通になってきている。

――この5年の間に、「バランス」が取れたワインを飲む人は増えたか
間違いなく。

――あなたにとってIPOBの目的は何だったか。
IPOBによってカリフォルニアワインにおけるバランスの意味と重要性について議論を変えていくことだった。IPOBによってそれはとてもいい方向に変わったと信じている。

Date: 2016/0603 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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オー・ボン・クリマのジム・クレンデネンからも回答をいただきました。

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オー・ボン・クリマのラベルはなぜ三角形なのか

IPOBが最後のイベントを行うプレスリリースを読めば、IPOBが成功の頂点で幕を下ろそうとしていることが明らかにわかるだろう。なぜ、カリフォルニアワインのファンがIPOB解散のニュースで困惑してしまうのか。われわれは3つの大陸で10回以上の試飲会をしてきた。ニューヨークでは1日で1000人もの人が来た。

これは、1つの中心的な概念に基づくセミナー・グループだ、欧州的なエレガントで伝統的なストラクチャーを持ったバランスのことだ。われわれのワインがその視点で提示できたなら、我々は次のトピック、品質やテロワール、スタイル、偉大さに移っていけるのだ。

米国の評論家は重くて、フラットで下品なピノを賞賛する。英国や日本ではそういったスタイルを好む人はごく少数だ。私自身はバランスが取れたワインを35年間作ってきた。私は米国の重要な評論家の好みには合っていないが、ビジネスはとてもうまくいっており、輸出も好調だ。35年間充分によく売ってきているのだから、私にとってはIPOBはセールス・ツールではない。イデオロギーの表現だったのだ。

私の日本のマーケットは25年間、よく成長してきている。IPOBで日本に行ったのは、新規参入する仲間たちを手助けするためだ。IPOBは楽しかった。だが、いまは我々は前進する。ラジャ・パーとジャスミン・ハーシュはとてもいい仕事をした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さすがジム・クレンデネンですね。これまでの実績が何よりものをいいます。

Date: 2016/0603 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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アラウホ(Araujo)がアイズリー・ヴィンヤード・エステート(Eisele Vineyard Estate)と改名しました。既にWebサイトはアイズリー・ヴィンヤードの表記に変更されています。

Eisele VineyardのWebサイト

アラウホの現在のオーナーはアルテミス・グループ。ボルドーのシャトー・ラトゥールなどを保有しています。2013年にアラウホ夫妻からワイナリーを買収後(「シャトー・ラトゥールのオーナー会社がアラウホを買収」を参照)、3年で改名になりました。

Araujo

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Date: 2016/0602 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ペイ・ヴィンヤーズのニック・ペイからは、個々の質問に答えるのではなく、総括的にご返事いただきました。

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ニック・ペイ、ヴァネッサ・ウォン夫妻

一言でまとめるならば、IPOBは素晴らしいタイミングだった。ワイン通の間に議論を巻き起こしたと言ったらちょっと言い過ぎかもしれないが。

日本におけるイベントが日本人の意見を変えたのだとしたら、さらに重要だっただろう。米国においては評論家のレビューは以前より影響力がなくなっており、代わってソムリエが影響力を持つようになってきている。一般的にはソムリエはバランスが取れたワインを探している。そのレストランの料理に合うワインを提供するのが仕事だからだ。ソムリエの台頭と、ソーシャルメディアによって、専門性がより広範に分散するようになった。

このように、米国ではシフトが起こっている。そして、IPOBはそのシフトの一部だった。もし、IPOBを失敗と位置付けるのであれば、それはIPOBが変化を主張し、その変化が起こらなかったからだろう。

試飲会はワイン好きの皆さんにとっては重要なサービスなのだと思う。一か所で、トップクオリティのワインをまとめて飲めるのだから。IPOBがそれを続けるべきだったかと言えばそうだろう。しかし、このようなロードショーはかなりお金がかかる、特に日本やロンドンのような遠い地では。私の想像では、IPOBのコア・メンバーにとってはお金がかかり過ぎだったのかもしれない。

ワイン通の好みは明らかにエレガントさと微妙な味わいに寄っている。彼らは偉大なワインは熟成によっておいしくなると昔から考えており、評論家の評価が高い熟し過ぎのワインを買ってみても、結局はうまく熟成しないという結果に終わってしまう。最初は魅惑的で豊かな味わいだが食事には合わせ辛く、熟成すると、シロップのようになり、味わいがバラバラで刺々しく、まとめて言えば美味しくないのだ。

私たちはピノ・ノワールに興味を持つ人が少なかった1994年に始めたときから、スタイルについてのビジョンがあった。サイドウェイでピノ・ノワールの人気が高まり、過熟的なスタイルが人気になっても、理想を変えなかった。高級ワインはワイン全体の消費の中ではごく一部であり、わたしたちを含め、うまくいっている会社は自分たちのスタイルを好んでくれるニッチなファンを見つける必要がある。IPOBはそのためのメッセージ発信としてとてもいいときに一緒にできた。今は、熱狂はピノを超えていってしまったように思える。といっても「次にホットなもの」を私に聞かれても答えられないが。

確かに、ブランドに対する消費者の認知を上げるのに役立つ業界のグループを持つことは常にいいことではある。そして、私たちはこの地域、ファー・ソノマ・コースト(Far Sonoma Coast)をプロモートしている。私の弟アンディとリトライのテッド・レモン、レッド・カーのキャロル・ケンプは4、5年前にウエスト・ソノマ・コースト・ヴィントナーズを始めた。そこには、この地域のIPOBメンバーは全員入っており(ハーシュ、コブ、ファイラ、セリタスなど)、それ以外のメンバーもいる。このグループは米国のいくつかの大都市では試飲会を開いているが、残念ながらまだ日本で試飲会を開く予定は聞いたことがない。

日本のIPOB試飲会でペイ・ヴィンヤーズへの評価が変わったのかどうかは、インポーター(中川ワイン)に聞いてもらうのがいいだろう。私の受けた感じでは、とてもよく受け入れられたし、印象も変わったと思う。

日本旅行はとても楽しく、また行って多くの人に私たちのワインを知ってほしいと思っていた。鶏と卵になってしまうが、もっとワインが売れれば、行く機会も増えるだろうし、行けば、もっとワインも売れるだろう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
昨年のインタビューのときも思いましたが、ニック・ペイさん、とてもいい人です。ワインの味にもそれが現れている(ワインメーカーは奥さんのヴァネッサ・ウォンさんですが)気がします。また、日本に来る機会がありますように(中川ワインさん、がんばって!)。
Date: 2016/0601 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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先日創設者が亡くなったシャペレ―。そのカベルネ・ソーヴィニヨンはナパを代表するカベルネの一つといってもいいでしょう。特にプリチャード・ヒルのカベルネはWine Advocate誌で2012年は99点、2013年は98+を取っている、素晴らしいワイン。

ただ、プリチャード・ヒルのカベルネ・ソーヴィニヨンは200ドル程度するかなりの高級品。それと比べるとシグネチャー(Signature)は半額以下で品質的にもかなり優秀なもの。2013年はWine Advocate誌で96点。ロバート・パーカーは「カリフォルニアのトップ級のカベルネとしては非常に現実的な価格」と高く評しています。

そのシグネチャー、日本でも安いところだと8000円台という良心的な価格。この価格帯のカベルネ・ソーヴィニヨンとしては間違いなく最良レベルでしょう。

Date: 2016/0531 Category: グルメ
Posted by: Andy
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「銀座 篝(かがり)」に大手町店オープン、バターご飯~黒トリュフ醤油が絶品」で紹介した篝にまた行ってきました。

今回は大手町店限定だという「トリュフ魚介つけSoba」を頼んでみました。前回サイド・オーダーで頼んだ「バターご飯~黒トリュフ醤油」がとてもよかったので、トリュフを安く味わえるかなと思ったのです。
image

つけ麺はスープが冷たくなってしまうのがいやなので、「あつもり」にしてもらっています。

トリュフ魚介つけSoba

来ました! 麺の上の付け合わせは前回の鶏白湯SOBAと大体同じです。一番の違いは海苔が乗っていることかな。

さっそくいただきます。

熱々の麺をスープに浸して食べてみると…魚介系の出汁がとても濃厚です。

あれ、トリュフは……?

あ、飲み込むときにトリュフの香りが軽く抜けて行きました。

前回のバターご飯~~黒トリュフ醤油と比べるとトリュフ度はかなり控えめです。隠し味といってもいいくらい。それよりも魚介系の出汁のうまみが強烈です。

とても美味しいのですが、トリュフに関してはもうちょっと欲しい感じがしました。まあ、1000円しないラーメンですから、そこまで望むのは酷かもしれませんが。

というわけでトリュフの風味を楽しみたいなら、前回の鶏白湯SOBAとバターご飯~~黒トリュフ醤油の組み合わせの方がおすすめです。1200円を超えてしまうのは難点ですが。



Date: 2016/0530 Category: グルメ
Posted by: Andy
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土曜日の朝、寝坊していたら宅配便が来て起こされてしまったのです。で、届いたのがこんな箱。
こんな箱がきた

横のカップヌードルは大きさ比較用ね、念のため。
中を開けると
ソルティバニラ&キャラメルとバニラ
ハーゲンダッツのアイスがなんと12個も! うち6個は6月7日に発売するというソルティバニラ&キャラメルです。先行体験のモニターに当選したのでした。


私、実は(というほどのことではないですが)塩キャラメルが大好きです。
塩キャラメル
これはフランスのですが、とても美味しかった。また食べたい。

普段は森永の塩キャラメル食べています。これもまあまあ美味しいんだけど、一粒が小さいのか、口の中で大事に溶かしているのにすぐになくなってしまうのがちょっと残念なところ。

というわけで、塩キャラメル味のアイス、とても楽しみでした。
さっそくいただきます。
ソルティバニラ&キャラメル

蓋にも塩キャラメルが描かれています。いいですね。

一見バニラ

開けると一見バニラです。

下にはキャラメルが

すくってみると、下からキャラメルが出てきました。みかけだとキャラメル感が少ないようですが、食べてみるとキャラメル感かなり濃いです。森永の塩キャラメルよりもキャラメルしているかも。

バニラにロレーヌ岩塩が使ってあって、濃厚だけど甘ったるくならないのが塩キャラメルのいいところです。

1個食べたら、かなり満足感高いです。森永の塩キャラメルにすると4つくらい食べたような感じ。

というわけで、塩キャラメル好きな人は、ぜひお試しくださいませ。6月7日から期間限定だそうですよ。
Date: 2016/0529 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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柳屋にロアーの2014年ものが入荷しています。シャルドネ、ピノ・ノワールはもちろんのこと、めったにみないヴィオニエまでもが入っています。

ヴィオニエは生産量わずか132ケース。日本への輸入は9ケースだそうです。

シャルドネとピノ・ノワールはいずれもサンタ・ルシア・ハイランズのAVAもの。とはいえ、ロアーのオーナーであるゲイリー・フランシオーニの畑のブドウ100%ですから、内容的には単一畑ものと同レベルです。

Date: 2016/0529 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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IPOB活動終了についての質問回答第2段はヴァーナーのボブ・ヴァーナーとリオコのマット・リックライダーです。リオコはIPOBの中心的ワイナリーの1つであり、2014年にもラジャ・パーと来日してIPOBについてセミナーを開催していました。

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【ボブ・ヴァーナー編】
――IPOBは失敗だったと思いますか?
まったくそうは思わない。IPOBの様々なイベントを通じて、カリフォルニアのシャルドネとピノ・ノワールがカリフォルニアにおける畑を表現するように表現できるようになってきたことを伝えられた。2016年にはロンドンのイベントとProwein(デュッセルドルフで開かれたワイン業界イベント)にIPOBとして参加しましたが、どちらも非常によく受け入れられたし、来場した人の多くはカリフォルニアでバランスの取れたシャルドネやピノ・ノワールが作られていることを知らなかった。

――今がIPOBをやめるいいタイミングだと思いますか?
いつやめるかという問題については様々な要素が絡んでいると思う。自分としてはジャスミン・ハーシュとラジャ・パーの判断を尊重したい。彼等は今が別の方法で議論を続けるタイミングになったと考えたのだろうと思う。

――この5年間で「バランスがとれた」ワインを飲む人は増えましたか?
バランスが取れたワインを飲みたいと思う人が増えたのは間違いない。このトレンドはIPOBということではなくしばらく前からあったと思う。

――IPOBに参加した目的は何でしたか?
僕ら兄弟(ヴァーナーは双子の兄弟で運営)は、僕ら自身や僕らのワインを米国や世界中の人たちに紹介できると思って参加した。日本では多くのすばらしい人に会えて特に楽しかった。

――昨年の日本ツアーのあと、日本での認知は進みましたか?
日本でのイベントの後で特に変わったとは思わない。それ以前からバランスが取れたワインだと思われていたと思うからだ。ただ、多くの人達が我々のワインを知ってくれたとは思う。

――IPOBがなくなった後、バランスが取れたワインの啓蒙活動をどのようにしていくつもりですか。
僕らは今後も多くの人達が僕らのワインを味わう機会を持って行きたいと考えている。そして、僕らのワインが本当にバランスが取れていれば、そのメッセージはみなに伝わると思う。
ボブ・ヴァーナー

【マット・リックライダー編】
――IPOBは失敗だったと思いますか?
IPOBはまったくもって失敗ではない。東京、サンフランシスコ、ニューヨーク、ロンドン、コペンハーゲンにいたるまで、世界中の最高のワインリストを見ればそれがわかる。IPOBのワイナリーが最高のリストにおけるカリフォルニアのシャルドネやピノ・ノワールで主流になっている。

――今がIPOBをやめるいいタイミングだと思いますか?
一番いいときにやめるというのは、信じられないほどのパワーが必要だ。エル・ブリやペイトン・マニング、レッド・ツェッペリンを見ればわかるだろう。

――この5年間で「バランスがとれた」ワインを飲む人は増えましたか?
もちろん。前述のように、世界の重要なワイン・マーケット、特にニューヨークの一番いいレストランのリストを見ればそれがよくわかる。5年前はニューヨークのレストランではそもそもカリフォルニアワインが置いてなかった。今ではIPOBのワインが置かれるようになっている。

――IPOBに参加した目的は何でしたか?
リオコは毎年参加してきたが、それは数の力を信じているからだ。リオコだけを東京の数人のバイヤーに見せるのと、同じ志を持つ20数個のワイナリーを数百人のバイヤーやジャーナリストに見せるのでは全く違う。そのミッションはカリフォルニアにおけるバランスが取れたワインについて議論を始めることであり、実際に多くのワイナリーがそれを既に達成できていることだ。今や世界がそれを知ったので、ミッションは達成したと言える。

――昨年の日本ツアーのあと、日本での認知は進みましたか?
はい。日本での販売は増えたし、リオコのワインが日本とカリフォルニアの間のANAのフライトすべてに乗っている。

――IPOBがなくなった後、バランスが取れたワインの啓蒙活動をどのようにしていくつもりですか。
今後もそれぞれソムリエやバイヤー、ジャーナリストに味わってもらう機会を作りたい。
マット・リックライダー



Date: 2016/0528 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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昨年のIPOB日本ツアーの際にお会いしたワイナリーの方々に、IPOBの解散について質問してみました。どれだけ回答が返ってくるかわかりませんが、その都度、報告したいと思います。

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最初に返ってきたのはスティーブ・マサイアソン。2014年にはSFクロニクルのワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを受賞したほどの才人です。

スティーブ・マサイアソン

IPOBの解散は確かに悲しいニュースだった。だけど、IPOBの主目的は達成できたという点については同意している。この5年で非常に多くのことが変わった。ほとんどがいい方向への変化だ。

――IPOBは失敗だったと思いますか?
IPOBは目覚ましい成功だった。カリフォルニアのテロワールにおいてリッチでアルコール度数が高いワインだけでなく、うまみやミネラルがあり、フレッシュな味わいでアルコール度数が中庸で熟成によってよくなっていき、食事に合うワインができるということ、そのように非常に多様なワインが作られるという一部の人達が忘れていたことを思い出させてくれた。

――今がIPOBをやめるいいタイミングだと思いますか?
IPOBはとても小さな団体で、予算も少なく、運営しているのは、自らの生計もたてていかないといけない忙しいワイナリーの人たちだ。できることには限りがある。IPOBは議論を始めるのを手助けした。まだいろいろなことができただろうが、そろそろ運営の人たちがほかのことに目を向けるタイミングだということだろう。

――この5年間で「バランスがとれた」ワインを飲む人は増えましたか?
もちろん。バランスがとれたワインへの認知と愛好は爆発的に増えた。

――IPOBに参加した目的は何でしたか?
私は自分のワインのニッチなマーケットを探すのに苦労していた。そこでIPOBに参加すれば、その波に乗れるのではないかと考えた。そして、カリフォルニアでバランスが取れたワインのために奮闘しているワイナリーがあることを知ってもらう活動に参加したいと思ったのだ。

――昨年の日本ツアーのあと、日本での認知は進みましたか?
はい。ただ、これは一気に進むものではない。業界やワインの専門家にはよく届いたと思う。しかし一般のコンシューマーにまでそれを広げるのには時間がかかる。

――IPOBがなくなった後、バランスが取れたワインの啓蒙活動をどのようにしていくつもりですか。
まずは、自分のワインをバランスの取れたものに作るのが一番。そしてワインがそれ自身で語ってくれるようになると思う。

ご回答ありがとうございました。
Date: 2016/0527 Category: グルメ
Posted by: Andy
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先日、リトライの会に出たときに、同席した方が「カリフォルニアワインガーデン(CWG)はよかった」という話をしていました。今はシャトー・イガイタカハで知られている杉本さんが、2002年から2012年まで麻布十番で開いていたレストランです。

CWGの料理

確かに、料理は美味しかったし、持ち込みもできたし、もちろん置いてあるワインも素晴らしかったです。

その方はそれに代わるレストランがないと嘆いていたのですが、東京(あるいは関東)で、カリフォルニアワインが飲めて料理が美味しいレストランというとどこがあるのでしょうねえ。

僕自身はあまり外食はしないですし、ワイン会のときはカリフォルニアワインとは関係ない店ですることが最近は多い(神田のヴィラ ドゥーエとか、新橋のピアット デル ベオーネあたりが定番でしょうか)ので、あまりレストランは分かりません。

関西だったらWassy'sさんのスープル(その方も関西いったら必ずスープルに行くと言っていました)がありますが、関東・東京だとどこでしょう?

個人的に気になっているのは千葉和外さんのルエ ヴェル ロールです。

ここがお薦めというレストランがあったら教えてくださいませ。
Date: 2016/0526 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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コパンのピノ・ノワール ウェンツェル・ヴィンヤードが終売で特価になっています。インポーターの希望価格9200円が5000円(税抜き)。廉価版のトゥス・アンサンブルのピノ・ノワールでも5000円近くしますから大特価です。

ただ、コパンが日本の市場から消えてしまいそうなのは寂しいなあ。個人的にはシラーのトゥス・アンサンブルもお薦めです。

Date: 2016/0526 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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リッジといえば、ちょうど40周年を迎えたパリ・テイスティングに参加していた実力派ワイナリーであり、ジンファンデルの単一畑や古木を使ったワインでもパイオニアです。そのリッジがジンファンデルの伝統を追い求めるべく新たな試みを始めています(Extending Zinfandel’s California Legacy – 4488: A Ridge Blog)。

モンテ・ベッロ

ジンファンデルの祖先を巡っては、当初イタリアのプリミティーボ説が有力であり、1990年代には遺伝子的に同じであることがわかりました。ただ、実際の祖先はイタリアではなくクロアチアであることが10年ほど前の研究で明らかになっており、Pribidrag(プリビドゥラッグ)という名前のブドウが祖先であるということになっています。

リッジはこのプリビドゥラッグの枝をクロアチアから輸入し、モンテ・ベッロの畑に植えました。

今後このブドウがどう育っていくのか興味深いです。
Date: 2016/0525 Category: 業界ニュース
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ドン・シャペレー
ナパのプリチャード・ヒルを世界でも最高のカベルネ・ソーヴィニヨンを生み出す土地として有名にした立役者であるシャペレー(Chappellet)。その創設者であるドン・シャペレーが84歳で亡くなりました(Pritchard Hill Pioneer and Chappellet founder Donn Chappellet Dies ...)。

ドン・シャペレーはロスアンゼルスでコーヒーの自動販売機の会社を興し、全米で3位にまで育てました。その後1967年にナパに移住し、ワイナリーを始めました。

プリチャード・ヒルという名前はシャペレーが権利を保有しており、そのためワインにプリチャード・ヒルの名前を付けられるのはシャペレーだけになっています。

シャペレーのフラグシップであるカベルネ・ソーヴィニヨンはWine Advocate誌では最高99+、Wine Spectatorでは最高96点と高く評価されています。2007年から2009年は連続してWine Spectatorで年間トップ30に入っています。

シャペレーは家族経営を続けており、現在は息子のシリルが後を継いでいます。

まだナパのヴァレー・フロアでさえ十分に開発されていなかった1970年代にプリチャード・ヒルを開拓したというのはまさにパイオニアだと思います。ご冥福をお祈りします。
Date: 2016/0524 Category: 業界ニュース
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Date: 2016/0524 Category: 業界ニュース
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バランス追求派のワイナリーグループ「IPOB」(In Pursuit of Balance)が2016年内で活動を終了することになりました。創設者であるラジャ・パー(Rajat Parr、サンディ、ドメーヌ・ドゥ・ラ・コート)とジャスミン・ハーシュ(Jasmine Hirsch、ハーシュ・ヴィンヤーズ)が発表しました(In Pursuit of Balance to Cease Operations at the End of 2016)。

IPOBは2011年に結成されました。いわゆるパーカニゼーションされたような濃くてパワフルなワインへのアンチテーゼとして、アルコール度数が低く、食事に合わせやすいワインを作ることを提唱し、賛同するワイナリーを集めました。参加を希望するワイナリーは年に1回、サンプルを提出し、IPOBだと認められたワイナリーだけが参加できるという形でグループを運営してきました。

また、サンフランシスコを始めとして各地でテイスティング・イベントやセミナーを開催してカリフォルニアにおけるバランス追求派の動きをPRしてきました。日本では2015年の春に大阪と東京でセミナーとテイスティング・イベントを開いています。また、今年は初めて欧州(ロンドン)でセミナーとテイスティング・イベントを開きました。

ジャスミン・ハーシュは、「IPOBができるまでは、バランスについて人が語ることはほとんどなかった。我々は皆が公の場でバランスについて議論するようになるといったことを達成した」とIPOBの活動をやめる理由を説明しています。

なんだか今やめてしまうのはもったいないし、まだまだ啓蒙活動は必要な気がしますが…。

最後の公の活動としては、11月にサンフランシスコでテイスティング・イベントを開催します。

関連記事:
IPOB解散――メンバーはどう受け止めたか(スティーブ・マサイアソン)
IPOB解散――メンバーはどう受け止めたか(ボブ・ヴァーナー、マット・リックライダー)
IPOB解散――メンバーはどう受け止めたか(ニック・ペイ)

以下は昨年の東京での写真からの抜粋です。
IPOBセミナー


テイスティング会場

ジャスミン・ハーシュさんへのインタビュー
Date: 2016/0523 Category: テイスティング・ノート
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昨年12月に「リトライのシャルドネ/ピノ・ノワールを9種類試飲、個人的ダントツトップはやはり…」という記事を書きましたが、その続編?として再びリトライの会に参加してきました。

今回は白が3種類2014年、ピノ・ノワールが4種類でいずれも2013年です。
5月21日のLittorai

ちょっと珍しいのが白のシュナン・ブラン ヘイヴン・ヴィンヤード2014。ワイナリーのサイトにも載っていないワインです。第一印象は酸が勝った感じなのですが、だんだんそれが落ち着いてくるとミネラルというか塩っぽいニュアンスとか、オレンジの風味とかが出てきてなんだか癖になる味わい。一口目から圧倒するようなワインではないですが、ついついお代わりしたくなるワインでした。

残りの白はシャルドネでTributary VineyardとMays Canyon Vineyard。Tributary Vineyardはかなり酸が強く、これも「ミネラル」を感じるタイプのワイン。Mays Canyonはそれよりも丸さを感じるシャルドネでした。

どちらのシャルドネも最初は少し閉じた印象がありましたが、時間が経つとだんだん開いてきました。最低1時間くらいはかけてゆっくり飲みたいワインです。

ピノ・ノワールはセリース(Cerise)、メイズ・キャニオン(Mays Canyon)、ピボット(Pivot)、ハーシュ(Hirsch)の4種。いずれも前回2012年のものを試飲しています。

セリースはこの中では一番薄旨タイプ。果実味で押してくるワインではありませんが、骨格は意外としっかりしています。2012年より好印象だったかも。

メイズ・キャニオンは鰹節のような旨味を強く感じるピノ・ノワール。これも2012年より好印象。

ピボットはやわらかな味わいで、後から酸を感じます。すごい特徴的なワインというわけではないのですが、ずっと飲んでいたいような安心して飲めるワインでした。

最後はハーシュ。前回はハーシュが他を圧倒している感がありましたが、今回はそこまでの印象ではありませんでした。若干ジャミーで、酸が2012年よりも弱かったような気がします。それでもどれが好きかと言われれば、僕はやっぱりこれが好き。この日のワインの中でもこれが一番最初にボトルが空きましたので、やっぱり訴えかけるものがあるのでしょう。

2012年はセリーズが薄旨組、メイズ・キャニオンとピボットが中間組、ハーシュがやや濃い組という感じでした。今回はセリーズとメイズ・キャニオンが薄旨組、ピボットとハーシュがやや濃い組と、組分けの印象が少し変わった感じがしました。面白いものです。
Date: 2016/0522 Category: 業界ニュース
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フィリップ・メルカ初来日セミナーの続きです。

前半は「フィリップ・メルカ初来日、昼夜の寒暖差が少ない畑のメリットとは?

前半ではナパのメティス、ソノマのメケラを説明しました。ちなみに自社畑はナパのモンブルーとソノマのメケラの2つと言っていました。

メルカの第3のワインがマジェスティック(Majestique)。現在はパソ・ロブレスのシラーとフランスのサンテミリオンのワインがあります。パソロブレスのパデレフスキー・ヴィンヤード(Paderewski Vineyard)は、表土近くから石灰岩がある、カリフォルニアでは貴重な石灰岩の地層があります。

サンテミリオンのワインは、サンテミリオンで醸造、瓶詰めまで行い、米国に輸入して販売しているそう。日本には輸入されていません。

最後のワインがCJ。ワイナリーを始めた1996年に生まれた長女のクロエ(Cloe)と、その2年後に生まれた長男のジェレミー(Jeremy)の頭文字を取ったワイン(カベルネ・ソーヴィニヨン)。これだけは複数の畑のブレンドになっています。メインになるのはナパのソーダ・キャニオンにある2つの畑。ソーダ・キャニオンはAVAではなく、スタッグス・リープとアトラス・ピークに挟まれたあたり。若いうちから飲みやすいワインを目指しています。
今回のワイン
さて、メルカのワインというと前回も書いたように「眼」のデザインが強烈な印象ですが、以前は上の写真の一番右のようなラベルでした。

メルカの眼

現在のラベルに変えたのはマーケティング的な理由だとのこと。シカゴのデザイン・ハウスから提案を受けて採用したそうです。写真を撮ったときはシカゴで飲み過ぎていて、二日酔いだったとのこと。

眼のデザインには2つの意味が隠されています。1つはメルカが隅から隅まで目を行き届かせて作ったワインであること。もう1つはメルカが見る将来のビジョンを表しています。

また、このラベルにしたことで、それまではメティス以外のワインがメルカのワインであることをアピールしにくかったのが、だれが見てもメルカのワインだと分かるようになったという副次的な効果もあったそうです。

奥さんのシェリーさんは「クレイジー・アイボール」(笑)と言っていましたが、良きにしろ悪しきにしろ、とにかく印象に残り覚えてもらえるのは事実だそうです。

正直、これまでこのラベルで敬遠していた面がないわけでもなかったのですが、今回のセミナーでそれは払拭されました。また、フィリップ・メルカ本人はラベルと比べて非常に穏やかで優しい方でした。

さて、いよいよ試飲です。

最初は唯一の白ワイン。メケラのプロプライエタリー・ホワイトです。ソーヴィニヨン・ブランが97%で残りはミュスカデル。

これは、これまでのソーヴィニヨン・ブランの常識を覆すようなワインでした。驚くほどに濃厚で香気高いワイン。ヴァニラやライチの風味を感じます。果実の甘みと酸が一体となってうっとりするよう。余韻がすごく長いワインです。

このワイン、リーからエキスを十分に抽出できるように細長い(葉巻型と呼んでいました)特別な樽で熟成させています。

素晴らしいワインですが、価格も3万円も極めて高いです。メルカが作るもう1つのハイエンドのソーヴィニヨン・ブランであるレイルのジョージアと飲み比べてみたく思いました。

2番めは同じメケラのプロプライエタリー・レッド。2012年はWine Advocate誌で98点とメルカのワインでは過去最高評価を得ています。カベルネ・フランが51%、メルローが49%。シュヴァル・ブランを意識して作っているワインだそうです。

非常にシルキーでふくよかなワイン。若いワインでタンニンもしっかりとしているのですが、尖ったところをまるで感じさせないワイン。これは素晴らしいです。

と、いきなり最初の2つのメケラでノックアウトされてしまいました。

3番めはCJ。非常にきれいなワインで、若いうちから飲みやすい味わい。スパイスの風味もあり、高級感ある味わいです

4番めはマジェスティックのシラー。1/5だけ除梗なしで作っているそうです。意外なほどタニックで引き締まった味わい。カリフォルニアのシラーっぽくはなく酸が伸びてくる感じがします。

5番めはメティスのジャンピング・ゴート。2012年はカベルネ・ソーヴィニヨンが62%でメルローが27%、プティ・ヴェルドが11%という構成。セパージュの比率は年によってかなり変わるそうです。カベルネ・ソーヴィニヨン系としてはかなりエレガントで赤系の果実をかなり強く感じます。タンニンも強く、数年熟成させてから飲みたいワインです。

6番めは今回特別に提供された2006年のメティス。83%がカベルネ・ソーヴィニヨンということでブルーベリーなど青系の果実を2012年よりは強く感じました。とてもきれいに熟成しています。

試飲のワイン

今回はメティスも美味しいのですが、それ以上に最初のメケラの2本でクラクラきてしまいました。



Date: 2016/0521 Category: おすすめワイン
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JALのファーストクラスのワインとしても採用されたシャトー・イガイタカハの「園」。Vin du 268で限定12本が送料無料です。

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シャトー・イガイタカハの一気試飲、「侍」「園」はさすがの美味しさ、「美夜」のパワーにビックリ」で試飲レポートを書いていますが、文句なしの美味しさのピノ・ノワールです。

サンタ・リタ・ヒルズの最良のピノの1つと言っていいと思います。

Date: 2016/0521 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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無人のヘリコプター、いわゆるドローンの技術では米国が進んでいる印象がありますが、こと産業用、特に農業用のものに関しては日本の方がはるかに使われています。

2015年にようやく農薬散布などに無人ヘリコプターを使うことが認められた米国で、その実用の最初の基点としてナパが選ばれ、ヤマハ発動機がオフィスを構えました(Napa gets first U.S. crop-spraying drones | North Bay Business Journal)。

RMAX

初回としてはSilverado Farming Companyという会社の依頼で防カビ剤を散布しました。今は実証実験の段階とのことで、UC Davisの研究者が様々な測定をおこなっているようです。

日本の技術がナパで役立つといいですね。
Date: 2016/0520 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパでも有名なワインメーカーの一人であるフィリップ・メルカ(Philippe Melka)がチェリー夫人とともに初来日しました。前後編でセミナーと試飲をレポートします。

(メルカの経歴についてはワインメーカーの系譜(9)――フィリップ・メルカ「アメリカンドリームを目指してフランスを飛び出す」 を参照)
フィリップ・メルカ夫妻

今では約20ものワイナリーのコンサルタントをしているというメルカですが、今回は自身のワイナリーであるメルカ・ワインズのワインを中心に解説をしました。

セミナー中

ボルドー出身のメルカは、ボルドーでシャトー・ペトリュスなどで働き、ペトリュスのオーナーであるムエックスによって、ドミナスで働くためにカリフォルニアに派遣されました。

奥さんのシェリーはカリフォルニアのリッジなどで働いていましたが、二人は結婚し、1996年にメルカ・ワインズを始めています。メルカ・ワインズの精神としてはカリフォルニアのワインにフランスのスピリットやフィロソフィーを入れたワインを作ることだそうです。

メルカのワインは大きく4つにわかれています。メインになるのがメティス(Metisse)。ナパの単一畑でテーマカラーはブラウン。メケラ(Mekerra)はソノマのナイツ・ヴァレーのワイン。テーマカラーはブルー。マジェスティック(Majestique)はそれ以外の地域で、現在はパソ・ロブレスのシラーとフランスのサンテミリオンがあります。

このほか、子供の名前の頭文字を取ったCJというワインがあり、メルカの中では一番の普及ラインになっています。こちらはナパのソーダ・キャニオンのブドウを使っています。

メティスは現在ナパの二つの畑から単一畑のボルドー系ブレンドを作っています。ジャンピング・ゴート(Jumping Goat)はセント・ヘレナの西側の斜面、スポッツウッドの隣にあります。川が近く、ボルドーのグラーヴのような石ころ混じりの土壌があることが、ここを選んだ理由。フランス流にブドウの木を密植させています。また、ここはセント・ヘレナのダウンタウンから近く、ボルドーの街の近くにあり、街の熱で夜間の気温が上がるというオーブリオンの環境にちょっと似ているそうです。

もう一つのモンブルー(Montbleu、フランス語っぽい名前ですが、奥さんの旧姓だそう。自分よりフランスっぽい苗字だったとメルカ氏は笑っていました)。ここは自社畑で、隣接した土地に現在ワイナリーを建築中だとのこと。ここは2012年から醸造と新しい畑で、最初の年はわずか80ケースしかできなかったとのこと。ここは火山性の地層で、ガラスのようなキラキラした成分を含んでいるとか。かつては先住民族が、そのガラスで装飾品をつくっていたそうです。水の層が深く、根も深く張るので、ほとんど灌漑なしの栽培ができるそうです。ここもセント・ヘレナですが、谷の東側で軽い西向き斜面になっています。

二つめがメケラ。ソノマのナイツ・ヴァレーといえばピーター・マイケルが有名ですが、それよりもさらに標高が高いところにある畑です。標高750mというからかなり高いところですね。小さな畑ですが、粘土質の土壌と火山性のところがあり、粘土質にはソーヴィニヨン・ブランやメルローを、火山性の土地にはカベルネ・フランやシャルドネを植えています。

ここの畑の特徴は昼と夜の温度差が小さいこと。霧が届かない土地なので、夏の朝7時に20℃くらいと、比較的高い気温です。標高が高いので、昼間はさほど温度が上がらず、夜も下がりません。ブドウの実が一定のスピードで熟成するので、ピンポイントで収穫日を決められるとか(収穫日は1日ずれてもダメだそうです。大学で収穫日の研究をしたそうで、このあたりはかなりこだわりがありそうでした)。

よく、「この畑は昼夜の寒暖差が大きくて、ブドウが酸を保ったまま成熟する」などといった話を聞きますが、寒暖差が少ないことを「売り」にするのは珍しいと思います。この点については「どちらがいい悪いではなく、スタイルの違い」だとメルカは言います。温度差がある方が濃いワインにはなるようです。メルカの目指すエレガントなスタイルには、こちらの方が合っているのかもしれません。実際メケラのワインは素晴らしかったので(詳しくは後編で)、こういうスタイルもあるのだなと勉強になりました。カベルネ・ソーヴィニヨンではなくメルローやカベルネ・フランであることも関係するのかもしれませんが、その点については質問できませんでした。

DSC00840

さて、メルカのワインというとラベル上部の「眼」が印象的です。2007年から採用しているこのラベルの眼はメルカ自身のものですが、メティスが茶色い眼なのに対して、メケラはブルーの眼になっています。メケラのテーマカラーであるブルーに合わせて加工したのだそうです。

眼の話は後編で、もっと詳しく取り上げます。

サインをするメルカさん
おまけで、船橋・山城屋の積田さんがSFジャイアンツのジャージにサインをもらっているところです。山城屋さんのサイト「Cheers!カリフォルニアワイン」にはジャージの写真がたくさん載っていますが、サインをしているところの写真はレアではないかと。
Date: 2016/0520 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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オーパス・ワンが生産量倍増などの許可を得ました(Opus One wins expansion approval | Local News | napavalleyregister.com)。住環境への影響なども取りざたされていましたが、まずはめでたしといったところです。
Opus One

オーパス・ワンが許可を得ている生産量は11万ガロン。しかし近年は17万ガロンも生産している年もありました。今回は25万ガロンまでの製造許可を得ています。

このほか8万平方フィートのワイナリーを5万1906平方フィート拡大する許可も得ています。さらにビジターの数も現在の週最大1200名から1450名に増やすとのこと。

これらの変化により、交通渋滞などナパの住環境に悪影響を与える可能性があります。今回は、大きな変化はないということで許可されましたが、塵も積もれば山となるで、どこで許可と非許可の線引きをするのかは難しい問題です。
Date: 2016/0519 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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コパンのジャクソン・ファミリーへの売却がニュースになったと思ったら、翌日にはナパのファー・ニエンテ・グループが株式の大半をGIパートナーズという投資家グループに売却すると発表がありました(Winery Sales Continue at Brisk Pace - Wines & Vines)。売却額は120億ドル!
Far Niente
ファー・ニエンテ・グループは、高級なカベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネを作るファー・ニエンテ(Far Niente、3万ケース)のほか、単一畑のカベルネ・ソーヴィニヨンに特化したニッケル&ニッケル(Nickel & Nickel、2万ケース)、デザートワインのドルチェ(Dolce、1500ケース)、ソノマでピノ・ノワールとシャルドネを作るアンルート(EnRoute、1万ケース)、ナパでカベルネ・ソーヴィニヨンのブレンドにこだわるベラ・ユニオン(Bella Union)があります。今回はこれらすべてが対象になります。

創設者のジル・ニッケルの家族などはワイナリーに残ります。

相次ぐワイナリーの買収ですが、経営がうまくいかずに売却したというところはあまりないようです。後継者の問題だったり、流通業者の合併により、ワイナリー側にも規模が必要になってきたり、といった要因があります。

流通の問題はかなり重要なようで、昨年クロ・ペガス、スワンソン、BRコーン、ヴィアンサなどを買い取ったヴィンテージ・ワイン・エステートのパット・ローニーによると、「150万ケースでも流通業者にとっては十分な量とは言えない」そうです。

昨今、消費者への直売が増えていることが話題になっていますが、流通業者を通さない、こういった販売を中心にするワイナリーには興味が無いと、パット・ローニーは語っています。

また、買う側にとってはカベルネ・ソーヴィニヨンやピノ・ノワールで名前が売れたワイナリーは喉から手が出るほどほしいようです。自力でブランドを確立するのがかなり大変な領域だからです。

といったようなことで、今後もワイナリーの買収ニュースは続きそうな雰囲気です。
Date: 2016/0518 Category: 業界ニュース
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ソノマを中心にケンダル・ジャクソンを初めとした数多くのワイナリーを所有するジャクソン・ファミリー・ワインが、アンダーソン・ヴァレーを中心に良質なピノ・ノワールやシラーなどを作るコパン(Copain)を買収することが判明しました(Jackson Family Wines purchases boutique winery Copain - SFGate)。

コパンのウェルズ・ガスリーさん

ジャクソン・ファミリーはコパンのブランドと在庫を購入し、ワイナリーと畑は対象になっていません。コパンのワインメーカーであるウェルズ・ガスリー(上の写真)はジャクソン・ファミリーの社員となり、ワイナリー設備をジャクソン・ファミリーにリースする形でワインを作ります。ブドウについてもジャクソン・ファミリーに売る契約になっています。

ジャクソン・ファミリーはピノ・ノワールのプロデューサーとして以前からラ・クレマを持っており、2015年にはシドゥーリを買収しています。2016年になってからもオレゴンのペナー・アッシュを買収しており、近年ピノ・ノワールに特に力を入れています。コパンはこれらの中でもハイエンドの位置づけになります。

コパンについては
Copain Wines: 様々な地域のブドウから優秀なシラー、ピノを作る
IPOBミニインタビューその2――ウェルズ・ガスリー/コパン・ワインズ
もご覧になってください。
Date: 2016/0517 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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シリコン・バレー・バンクと、ワイン・ビジネス・マンスリーによるテイスティング・ルームについての調査結果が出ています(Tasting Room Survey Discloses Disparities - Wines & Vines)。

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839ものワイナリーが回答したこの調査によると、ワイナリーの売上の約6割が消費者への直接販売によるもの。年間生産量が2500ケース未満の小さなワイナリーではこれが74%以上になり、逆に25万ケース以上のワイナリーではわずか15%にとどまっています。

消費者への直接販売のうち47%はテイスティング・ルームでの販売、33%はメーリングリスト・メンバーへの販売などとなっています。

このほか、ナパでは一人あたりの平均売上が246ドルなど、いろいろな数字が出ています。
Date: 2016/0516 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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優勝賞金2万ドル、さらに8万ドルの予算を使ってワインが作れる権利がもらえるというワインメーカーにとっては夢の様なコンテストが開催中です(The Truth About Wine Winemaker Fantasy - Win a $20k prize plus $80k in funding to make your dream wine - The Truth About Wine)。

Trophy Image
Image courtesy of AscensionDigital at FreeDigitalPhotos.net

応募は簡単で、2分以内のビデオを投稿するだけ。優勝者3名が選ばれ、最新設備のワイナリーでやりたいようにワインが作れる権利をもらえます。

どうしてこんなことができるのかというと、いわゆるクラウドファンディングみたいなもので、このサイトのサポーター(エンジェル・インヴェスター)が9万人以上おり、彼等が毎月40ドルをサイトに支払っているのです。それを原資にして、才能あるワインメーカーを選んでワインを造らせようというものなのです。

応募は日本からも可能です。ただし英語に堪能であることは必要です。

われこそはと思うワインメーカーはぜひ挑戦を。
Date: 2016/0515 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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IPOBの中心的ワイナリーであり、サンタ・バーバラで高品質なシャルドネとピノ・ノワールを作るサンディ(Sandhi)から、オーナーのチャールズ・バンクスが離れました(Santa Barbara Pinot and Chardonnay Star Sandhi Wines Finds New Owner | News | News & Features | Wine Spectator)。

新しいオーナーは、サンディのワインメーカーであるラジャ・パー(Rajat Parr)とサシ・ムーアマン(Sashi Moorman)、それからテキサスのベンチャー・キャピタリストであるスティーブ・ウェブスター。ウェブスターはオレゴンのイヴニングランドのオーナーでもあり、バンクスとラジャ・パー、サシ・ムーアマンはそちらにもかかわっていました。バンクスは、イヴニングランドからも手を引くことになり、完全に袂を分かつ格好になります。

Rajat Parr
Sashi Moorman
Date: 2016/0514 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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モンダヴィ一族は大きく分けると、ロバート・モンダヴィの長男であるマイケル・モンダヴィ、次男のティム・モンダヴィ、そしてロバートの弟で先日なくなったチャールズ・クリュッグ(Charles Krug)のピーター・モンダヴィの子供や孫たちと、3系統あります。

この中でも一家の団結力が強いのがピーター・モンダヴィ系。現在チャールズ・クリュッグのオーナーであるマーク(Marc)・モンダヴィには4人の娘がおり、それぞれワイン業界で活躍しています。例えば次女のアリシア(Alycia)が作るAloftなど…。

そして、この4人が協力して作っているのがダーク・マターというワイナリーです(Dark Matter Wines)。
Dark MatterのWebサイト

オドロオドロしいデザインですが、作っているワインはしごくまっとう。カベルネ・ソーヴィニヨンとジンファンデルを、家族の畑のブドウから作っています。畑の管理は有名なジム・バーバー(Jim Barbour)。

ワインメーカーを務めるのは長女のアンジェリナ。アンジェリナはマイケル・モンダヴィの息子のロブとFourth Leafというワイナリーもやっています。

ただし、生産量は非常に少なくカベルネ・ソーヴィニヨンで85ケース。入手はかなり困難なワインのようです。

モンダヴィ一族のワインは、ずいぶん増えてややこしくなったので、一度整理しないといけないですね。
Date: 2016/0513 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Rose Wine in iittala Glasses
カリフォルニアのロゼを10本紹介する記事がデカンター誌に出ていました(Ten of the best California rosé wines)。

ワイナリーベースで見ると、サンディ(Sandhi)、アルノー・ロバーツ(Arnot-Roberts)、クッチ(Kutch)、ベッドロック(Bedrock)、ハイツ(Heitz)、マサイアソン(Mattiason)と、日本に入荷しているワイナリーが多く入っていますが、残念ながら、ロゼで入荷しているものはなさそうです。

Ultramarine, Sparkling Rosé of Pinot Noir 2011
Sandhi, Sparkling Pinot Noir Rosé 2012
County Line Vineyards, Rosé 2015
Arnot-Roberts, Rosé 2015
Belharra, Rosé of Syrah 2015
Kutch, Pinot Noir Rosé 2015
Bedrock Wine Co., Ode to Lulu Old Vine Rosé 2015
Cenyth, Rosé 2015
Heitz Cellar, Grignolino Rosé 2015
Matthiasson, Rosé 2015

特に冒頭のスパークリング・ロゼ2本が気になります。中川ワインさん、お願いします(ほかのも合わせて)。
Date: 2016/0512 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国のソムリエなどが訪れるべき国内のワイン栽培地域11選を選んでいます(AMERICA'S BEST WINE REGIONS TO VISIT, RANKED BY SOMMELIERS)。
IMG_4230 Ridge Winery, Sonoma County, CA
選んだのは以下の面々。

Heath Porter, owner/operator of Uvaggio, one of Miami’s best wine bars
David Boyle, head sommelier at Chandlers Steakhouse (the best steakhouse in Idaho!)
Wes Narron, chief wine ambassador of City Wine Tours in Boston and New York City
Brian Grandison, head sommelier at Hakkasan at the Fontainebleau Miami Beach
Ryan Robinson, sommelier at Ruth's Chris Steak House
Patrick Olds, sommelier at the Four Seasons St. Louis
Daniel Toral, wine director at 50 Eggs, Inc. restaurant group

カリフォルニアではソノマが3位、ナパは4位とソノマの後塵を拝しました。

1位、2位はどこかというと、ニューヨークのフィンガーレイクとオレゴンのウィラメット・ヴァレー。

このほか6位はサンタ・バーバラ、9位がパソ・ロブレスとカリフォルニアが入っています。

逆に言うと11位中カリフォルニア以外が7つあったわけで、ちょっとびっくりしました。カリフォルニアももっと頑張って欲しいです。
Date: 2016/0511 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Eighty Four Wine

シェーファー(シェイファー)のダグ・シェーファーとワインメーカーを長年勤めているイライアス・フェルナンデスが作ったワイナリーが84(Eighty Four)です。独立したワイナリーというよりも、シェーファーのサブブランド的な位置づけといったらいいでしょう。

シェーファーでは扱っていないようなマイナー品種のワインを中心に作っています。今のラインナップはアルバリーニョ、プチ・シラー、マルベック)となっています。

アルバリーニョはスペイン系の白品種。2012年にカーネロスに畑を作り、2015年ヴィンテージからワインを作っています。

マルベックはボルドー系ブレンドではしばしば使われますが、ここでは100%です。2012年のヴィンテージから作っています。

プチ・シラーだけは昔からナパで作られていますが、濃いだけのワインにならないために、樽で4年、ボトルで1年熟成させてから出荷しています。2009年、2010年のものはともにWine Spectatorで94点とプチ・シラーとしては非常に高い評価です。2010年はWine Advocate誌でも90+点。25年以上熟成するとしています。

なお、84というのは二人が一緒に仕事をするようになったのが1984年だったからだそうです。

ワインはメーリングリストで買えるほか、シェーファーのワイナリーでも販売しているとのこと。
Date: 2016/0510 Category: 技術系
Posted by: Andy
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アイロボット ファン プログラムのモニターで3カ月使ったルンバとさよならしました。半ば友達のようになじんでいたので寂しいものです。結局、モノが多い我が家では留守中に予約掃除をしてもらう機能は使わなかったのですが、それでも掃除の時短には十分に役立ちましたし、テーブルの下にホームベースを置いたので、邪魔にもなりませんでした。

最後に、ルンバを使ってよくできていると思ったことと、ここがもっと良くなればと思ったことを書いておきます。

まず、よくできていると思ったことの一つ目は、バーチャルウォールの機能。付属するデバイスを置くことで、ルンバをそこから先にいかないようにする壁が作れます。これがあるので部屋ごとの掃除などが楽に指示できました。

もう一つはメンテナンス。普通の掃除機のローラーって髪の毛が絡んで取るのが結構大変ですよね。以前の掃除機はそれで結局ローラーが回らなくなってしまいました。

ルンバはゴミを集めるローラー部が下の写真のようになっています。

ローラー部
ここにブラシがないせいか、ここには毛が絡まないのです。

では毛はどこに行くのかというと、ローラーの端っこに固まるのです。

image

ローラーの端っこに毛の塊があるのがわかるでしょうか。これは簡単に取れます。
image
こんな感じに丸まっています。これはなかなか優秀だなあと思いました。

一方、良くなってほしいと思ったのは、どこを掃除したのかわからないこと。ルンバが掃除している間、別の部屋を掃除していると思いの外早くルンバが掃除をやめてしまうことがあります。そのときにどこを掃除したのか分かると安心できるのですが。

ダイソンのロボット掃除機にはそういう機能があるらしいので、ぜひルンバにも搭載してほしいと思いました。

ルンバ君、バイバイ。

Date: 2016/0509 Category: グルメ
Posted by: Andy
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銀座で行列するラーメン屋として知られており、ミシュランのピブグルマンにも掲載された「篝(かがり)」が大手町に5月9日オープンしたフィナンシャルシティグランキューブに支店を出しました。

オープン初日、混んでいるかと思ったら1時半過ぎでならびはほとんどなかったので入ってみました。

メニュー1

一番人気だという鶏白湯SOBAに、バターご飯〜黒トリュフ醤油というのを付けてみました。

メニュー2

こちらにはいろいろと食べ方の指南が。トッピング用の生姜とフライドオニオンも来ます。テーブルには様々な調味料も。ちょっと洋風のテイストがあります。

調味料類
5分ほど待って、いよいよラーメンか到着です。

鶏白湯SOBA

スープの見た目はポタージュスープのようです。野菜は、ヤマイモやベイビーコーン、三つ葉など。薄ピンクの鶏が綺麗です。女性受けしそうなビジュアル。

麺はやや細めのストレート麺

麺が見えないので手繰ってみると、やや細めのストレート麺。スープにはしっかりと絡みます。量はやや少なめでしょうか。

スープは鶏ベースですが、雑味なくかつ濃厚。濃厚な割にはくどくないのは、野菜の出汁も入っているのでしょうか。

トッピングの野菜はどちらかというと、歯ごたえの変化のためのようなきがしました。

そして鶏肉。脂身がなくしっとりと柔らか。胸肉にジックリと火を入れたのでしょうか。これもレベル高いです。

途中からはメニューに書いてある味変を試しましたが、個人的には味変しなくても、軽く食べきれます。

味変の中では生姜ですっきりさせるのが一番良かったかな。

そしてそして、サイドオーダーのバターご飯〜黒トリュフ醤油です。

バターご飯~黒トリュフ醤油

こちらも鶏が乗っています。黒トリュフ醤油は自分でかける形。

そしてこれがトリュフの香りがしっかりして美味しいのです。レンゲに黒トリュフ醤油をかけたご飯を乗せ、ラーメンのスープに浸して食べたらさらに絶品。
それだけでなく、味玉と一緒に食べると至福です。ちなみに味玉をかじって、半熟の黄身にちょっと黒トリュフ醤油かけてみたら、それだけで天国に行けそうでした。トリュフと玉子ですから合わないふずがないですよね。

サイドオーダー、ちょっと高いですが注文する価値はあります。

大手町は1時を過ぎると人がほとんどいなくなりますから狙い目かもしれません。

再訪記事もどうぞ「大手町・篝(かがり)再び、大手町限定のリュフ魚介つけSobaを食べてみた



Date: 2016/0509 Category: おすすめワイン
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ロバート・パーカーがカリフォルニアのロウダイ地区トップの生産者として、わざわざ独立した記事まで作ったマイケル・デイビッド。そこが作る限定品(元)が日本に入荷しています。

このインクブロットシリーズは、主にブレンドで使われるマイナー品種を使って作るもので、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルド、タナの3品種のものが出ています。元々はメーリングリスト限定のワインだったとのこと。

2013年のものはパーカーの評価でカベルネ・フランは92点、プティ・ヴェルドが89+点、タナが90+。タナはよくしらない品種ですが、フランスの南西部で主に作られているようです。パーカーのレビューによるとタンニンも強いが、それを上回る果実味があるとのこと。2030年まで熟成するとしています。

プティ・ヴェルドはパーカーでさえ「単独で成り立つとはあまり思っていなかった」品種ですが、このワインを飲んだら信じざるをえなくなったとのこと。ブルーベリーやブラックベリー、特徴的な花の香りがあるそうです。

カベルネ・フランはパーカーによるとロウダイでこのレベルのものは初めて飲んだとのこと。10年は熟成するようです。

個人的にはカベルネ・フランがかなり気になります。どれもパワフルでリッチなワインのようなので、エレガントなのが好きという人には向かないかもしれません。

Date: 2016/0508 Category: 業界ニュース
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ナパのワイントレインに4つのワイナリーでのツアーと試飲を含んだプラン「クアットロ・ヴィーノ」(Quattro Vino)が新たに登場しました(Quattro Vino - Wine Train)。

ワイントレイン

ワイントレインはナパを起点とし、セントヘレナまで往復しますが、基本は列車から降りずに中で食事やワインを楽しむ形になっています。近年は、レイモンド、ガーギッチ・ヒルズなどの中からワイナリー1つだけを見学できる(その後は列車ではなくバスでナパまで戻る形になります)ツアーができていました。

今回は、ロバート・モンダヴィ(Robert Mondavi)、チャールズ・クリュッグ(Charles Krug)、メリヴェール(Merryvale)、Vサトゥイ(V. Sattui)の4つのワイナリーでの試飲とツアーというワイナリーツアーが充実した内容になっています。

その代わりに、従来のようなフルコースの食事はつかず、食事は軽食3品のみとなっています。

また、通常が4時間コースなのに対して、このツアーは10時から16時まで6時間のツアーとなっています。

ワイントレインはこのツアーのための専用の車両を購入したとのこと。2016年6月1日から開始します。価格は249ドルからと、従来の1ワイナリーのツアーと同じです。

ツアーにいろいろな選択肢が増えるのはいいですね。
Date: 2016/0506 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国の酒販小売大手ベブモ(Bevmo!)がおとり広告を行っているとして集団訴訟されました(Is BevMo! Engaging In A ‘Bait-And-Switch’ With Wine? Suit Claims It Is)。

CBSニュースより

元記事によると、ベブモは店頭のポップで、「2012年の~~が91点」などと書いてあるのに、実際に並んでいるワインが2013年だったり、逆にポップよりも古いワインが出ているなど、ポップに表示したレイティングと販売しているワインのヴィンテージで不一致が数多くあるとのこと。同様に、様々な品評会の結果についても、販売しているヴィンテージと違うケースが多々あるそうです。

元記事の映像にある店の担当者の弁(これは隠しカメラで撮影されていたもの)によると、「ポップは早すぎたり遅すぎたりしているが、間違いではない。値段はそのまま現行ヴィンテージに適用される」としています。

また、こういった不一致は店頭だけでなくオンラインでもあるとのこと。CBSによると2010年までそういった例を遡って証拠として保存したそうです。

今後どのような展開になるのでしょうか。

また、日本でも似たような宣伝文句は以前はときどき見受けられました。最近はあまりチェックしていませんが、どうでしょうか。
Date: 2016/0505 Category: グルメ
Posted by: Andy
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日帰りで山中湖まで行ってきました。夜中雨が降った後の強風で、雲1つない晴天。こんなにきれいな富士山はもう二度と見れないかも、と思うくらいきれいでした。

富士山とチューリップ

お目当てはチューリップ畑だったのですが、そこで食べた信玄餅アイスとクレープが絶品でした。
信玄餅アイスとクレープ

特においしかったので「プレミアム桔梗信玄餅アイス」。黒蜜ときなこ、お餅といった構成は大ブームとなって一瞬で売り切れてしまったハーゲンダッツの「華もち『きなこ黒みつ』」と同じですが、はっきり言ってこっちの方がさらにおいしいです。
image
これ、コンビニで売ってくれないかなあ…

桔梗屋のオンラインショップには売っているようです。
トップページ|桔梗屋
Date: 2016/0504 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマで第2回めとなるソノマ郡バレル・オークション(Sonoma County Barrel Auction)が開かれました。落札総額は69万3800ドル。昨年実績の46万1700ドルから1.5倍となりました(昨年については「初開催のソノマ郡業界向けバレル・オークション、46万ドルの寄付を集める」を参照)。

このオークションはナパで言うと春先に行われるプルミエ・ナパ・ヴァレー・オークション(Premiere Napa Valley Auction)に相当するもので、参加者は業界関係者のみ。ワイナリーはこのオークション用に特別なワインを作り、専用のラベルを付けます。

今年のトップ・ロットはコスタ・ブラウンのエリクシール(Elixir)というワイン。これはワイナリーに運び込まれたブドウを圧搾する前に自然に流れ出る果汁(フリーランよりも前のもの)だけを使って作られた特別なもの。これが10ケースで4万6000ドル。1本あたり約383ドルとなりました。
Kosta Browne Elixir
昨年のトップ・ロットは2万4000ドルでしたが、それは20ケースのもの。1本あたり100ドルでした。それと比べると今回はかなり高額での落札になっています。

なお、オークションに出された総量で見ると、昨年は590ケースで今年は570ケースとほぼ同量です。したがって1本当たりの落札額も1.5倍程度になっています。

2番めの落札額だったのはウィリアムス・セリエムの35周年記念ロット。10ケースで4万ドルでした。

今年40周年となる「パリスの審判」にちなんだワインも出展されました。シャルドネでトップだったシャトー・モンテレーナにブレンドされていたバチガルピ(Bacigalupi)という畑がソノマにあったのです。そこがゲイリー・ファレルなどと作ったシャルドネが20ケースで1万5000ドル。1本あたり62.5ドルですから意外とお買い得な感じです。白ワインではこれがトップ・ロットでした。

全体で見ると1本あたり50ドル程度で落札されたワインが多く、ナパに比べるとまだまだ庶民的な感じがします。

日本からの参加者がいたのかどうかは不明です。
Date: 2016/0503 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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京橋ワインが15周年のセールをしています。セット物が中心ですが、シャトー・イガイタカハのシャルドネ「美夜」(みや)も500円引きになっています。

シャトー・イガイタカハの漢字ラベル・シリーズはブリュワー・クリフトンのグレッグ・ブリュワーが醸造したもの。畑もブリュワー・クリフトンの畑です。シャルドネのフラグシップはJALのファーストクラスでも採用された「侍」ですが、万人好みの侍に対して、美夜は個性的。じゃじゃ馬のような印象のワインです。

その代わり、うまく熟成したら、素晴らしい味わいになると思います。個人的なイメージとしてはスカーレット・オハラのようなワインです。


Date: 2016/0502 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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「元祖カルト」ワインとも呼ばれるグレース・ファミリーがウメムラで特価になっています。2003~2006年がいずれも3万円台。今まで5万円以下で見たことはなかったと思うので、かなりの安さです。

当初はケイマスの「グレース・ファミリー・ヴィンヤード」として人気を博し、その後はランディ・ダンなどをワインメーカーとして迎える輝かしい歴史を持っています。

チャリティ活動に力を入れていることでも知られています。

評論家の評価よりもエモーションに訴えかけてくるワインのように思っています。

Date: 2016/0501 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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先日紹介した、超掘り出し物のヴァレンタイン・ヴィンヤード。オーナーが亡くなってワイナリーとしては廃業してしまったところの在庫を発掘してきたワインです。蔵出し熟成だからコンディションもこれ以上はないはず。

カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローが出ていましたが、加えてカベルネ・ソーヴィニヨンの単一ブロックものが出ています。

オンラインWassy'sのブログでは、スタッフのトリイさんと同じ名前ということで盛り上がっているようです(スタッフtoryのワインが新発売?! | オンラインWassy's ワシ等の日々。)。

Valentine



Wassy'sはAmazonでも販売しています。


Date: 2016/0430 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Advocate誌の224号が発表されました。メインはボルドーの2015年で、今年はついにパーカーがフューチャーの担当から外れるという記念の年になっています。

代わるレビュアーはニール・マーティン。2015年のボルドーは非常に評判がいいだけに、どういうレイティングが付くか興味深いところでした。

現時点の最高である(98-100)というスコアが付いたのは、シャトー・マルゴー、オー・ブリオン、ペトリュス、ヴュー・シャトー・セルタン、カノン、イケムの計6本。業界の期待からはちょっと低いのではないかな、という気がしました。これからニール・マーティンのレビューにどういう評価が出てくるのか気になります。

というのは、ここでは置いておいて、同じ号ではカリフォルニア(こちらはパーカーがレビュー)でターリーとパッツ&ホールの特集が出ています。

ターリーは2014年のレビュー、といってもそれだけで34本もあるので大変です。

最近のターリーは飲んでいないのですが、昔の濃い濃い作りからは変わってきていて、エレガントさも出てきていると言われています。一時はちょっと低迷気味だった評価もここ数年はまた急上昇しており、今回も95点以上が13本という高得点でした。ジンファンデルだけでも9本が95点以上。

実はWine Advocate誌で、これまで95点以上ついたジンファンデルは109本。その1割近くが今回のターリー2014なわけです。

一番高得点は97点のハイン(Hayne)。ここは昔からターリーのトップとなっています。96点はエステートとペセンティ、そしてベッドロック(!)のジンファンデル。ラトルスネイク・リッジのプチ・シラー。ベッドロックは本家のものよりも高い評価となってしまいました。

ターリー、また機会があれば飲んでみたいです。

もう1つのパッツ&ホールは2014年のものと、ダットン・ランチのシャルドネの垂直、ハイドのピノ・ノワールの垂直でした。特にハイドのピノ・ノワールは評価が高いものが多く、2009年と2012年は95点。最新の2014年も94点でした。

このほか、初の自社畑となるMoses-Hall Vineyardの2014ピノ・ノワールも94点。

一方、ダットンランチは概ね新しいヴィンテージはよく、古いのはあまり評価が高くないという結果。ダットン・ランチのシャルドネは若いうちに楽しむのがいいと思っているので、この評価はわかるような気がします(なぜ垂直の対象をダットン・ランチにしたのかはちょっと不思議ですが)。
Date: 2016/0428 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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Rhysのピノ・ノワール2本めです(1本目は最近飲んだワイン~リース・ピノ・ノワール・ファミリー・ファーム・ヴィンヤード2012
Rhys Pinot Noir Bearwallow Vineyard 2012
畑はAnderson Valleyにあります。Anderson Valleyの中でも奥まったところ。標高は300フィート~600フィートというから、一番低いところと高いところで100mほども違っています。それだけ急斜面の畑のようです。

ソノマよりも大分北ですから涼しいのかと思いきや、7月から9月の最高気温は80°F台後半ですから30℃近くまで上がるようです。先日のファミリー・ファーム・ヴィンヤードは80°Fそこそこまでしかいかないので、それよりも気温は少し高くなります。

そのせいか、ファミリー・ファームと比べると果実味の豊かさが何よりも特徴的です。ファミリー・ファームはブルゴーニュかと思うくらいの作りでしたが、こちらは誰が飲んでもカリフォルニアだと思うでしょう。

ただ、酸が豊かで締めるべきところは締まっているので、下品な感じはまったくなく、とても美味しいピノ・ノワールです。

いや、これはいいですね、とてもいい。ここ1年くらいに飲んだピノの中でもトップクラスでしょう。
Date: 2016/0428 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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観光客は本当に地域の経済を発展させるのか、そういったテーマのシンポジウムがナパで開かれ、さまざまな数値から検証されました(Close to Home: Growing pains in a tourism economy | The Press Democrat)。
Woman with Camera

確かに、観光客は地域にお金を落としていきます。しかし、それが地域に役立っているかどうかという面で見ると、そうでない部分も見えてきます。

神話その1:観光は収入と地域における仕事を増やす

確かに、一部は当たっています。しかし、給料の安い仕事ばかりがたくさん増え、さらに季節要因も大きくなります。結局生活のためには複数の仕事をしなければいけないかもしれません。

神話その2:ツーリズムは皆の利益になる

不動産やデベロッパー、金融など一部の業種にとってはメリットとなります。しかし、それ以外の人にとっては、家賃が上がったり、レストランが高くなったり、渋滞が激しくなったり、環境が悪くなるなどのデメリットがあります。観光への投資は大きな学になりますから、その分地域向けのサービスが減るかもしれません。

神話その3:成長が速いほど地域経済への貢献が大きい

Fodorが米国の100の大都市圏を調べたところ、成長率が高くなるほど世帯あたりの収入が急激に落ち込み、さらに失業率や貧困率も高くなることがわかりました。

このように、データを詳しく見ていくと、観光客が増えても、簡単に地域の発展につながるとは言えないことがわかります。とはいっても地域の収入は増えるわけですから、それをどう分配するかなど、行政側の差配が重要になるわけです。そういった緻密な計画を行ったところだけが長期的に観光で伸びていくとしています。

果たして日本の行政はそれをちゃんと考えているのだろうかと思わせた記事でした。
Date: 2016/0427 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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昨年8月に起きたナパのワイントレインにおける訴訟問題は和解によって解決しました(#LaughingWhileBlack Wine Train Lawsuit Is Settled - NYTimes.com)。

この“事件”は、ワイントレインに乗っていた黒人女性を中心にしたグループがスタッフにより途中下車させられたというもの。ワイントレイン側は騒がしくて周囲の客から文句が出たことを理由としましたが、女性側は人種差別によるのとして訴訟に踏み切りました。求めた賠償額は1100万ドル。

このことはソーシャルメディアを巻き込んで大きな話題となり、その中でワイントレイン関係者による“暴言”もあったことからさらに紛糾しました(暴言についてはワイントレイン側が謝罪)。

今回の和解の条件などは明らかになっていません。
Date: 2016/0426 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパの人気ワイナリー、フロッグス・リープが、ジャムやバターの製造設備をナパ郡に申請しているのですが、それがなかなか難航しています(Frog's Leap seeking unusual winery approval)。

問題になっているのはビジターの数。現状、フロッグス・リープは週に350人のビジターを受け入れられることになっています。それが、今回は1100人にまで増やす申請になっているのです。

実は既にフロッグス・リープのビジターは週に800人くらいにまで増えており、今回の申請は実態への対応といった面もありました。

しかし、ナパ郡としては観光客が増えることは交通や水道などインフラへの負荷が高まることなので、おいそれと承認できないのです。さらにはそういった環境負荷へのアセスメントの書類提出が遅れたことも、神経を逆撫でているようです。

門外漢からすると、これくらい認めていいんじゃないの? と思いますが、そう単純な話ではなさそうです。
Date: 2016/0426 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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フランスのロワールでワイン作りをしていることで知られている新井順子さんが初めての日本酒を作りました。その名も「順子」。

ただ、事情があってお蔵入りしていたこの日本酒、熊本県八代市の「吟のさと」というお米で作られています。そこで、熊本への応援のために発売されることになりました。1本1000円(税抜き)の売上のすべてが熊本への募金に使われます。

船橋の山城屋ではこの日本酒を取り扱っています。詳しくは以下のリンクをご覧ください。

号外!熊本支援募金 新井順子女史初の日本酒「順子」を販売(全額寄付)します!ただし訳ありで未発売品です! | Cheers!カリフォルニアワイン

購入の申し込みはメールで info@cheers-californiawine.com  まで。なお、送料は別途必要です。また、消費税もかかります。

さて、事情があってお蔵入りしたと書きましたが、何かというと、実はこの日本酒失敗作だったのです。瓶詰めの工程に問題があり、ブショネのような香りが混じってしまったとのこと。ご購入の際は、それも踏まえた上でお願いします。
Date: 2016/0425 Category: 技術系
Posted by: Andy
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miniDVのビデオを長いこと使っていましたが、さすがにガタが来ているし、先行きはないし、ということで動画用のビデオカメラを買おうかという話を家でしていました。

子供が大きくなると動画を撮る機会自体少なくなりますが、下の子のハンドボールの試合があるので、それくらいは撮りたいねということになり、とりあえず近所のY電機に。

ニコンの販売員の人からは一眼レフの動画撮影を薦められるものの、とりあえずパナの一番安いビデオカメラ「HC-V360M」でいいかなという気にほぼなっていました。値段は大体3万円程度。

ただ、先日テレビを買ったときにKデンキの方がかなり安くしてくれたので、そちらにも回ってみることに。

ところがKデンキには「HC-V360M」の在庫がない。また、パナのビデオはバッテリーの持ち時間は1時間強しかなく、1万円の予備バッテリーはほぼ必須と聞いてちょっと萎えてしまいました。

パナよりももうちょっと安いJVCのビデオもあったのですが、そちらはバッテリー5時間というメリットはあるものの、どうも安っぽさはいなめず、また手ぶれ補正は大分差があるときき、もう1つ触手が伸びず。

そこで、Y電機の話を思い出して一眼レフコーナーも覗いてみることに。

ニコンのD3300のダブルズームキットだと5万円程度。デジタル一眼てもっと高いイメージだったので意外に安いのだなとちょっとびっくり。なにしろうちのデジタル一眼は10年前に買ったものなので、最近の動向はあまり見ていなかったのです。

ついでにキヤノンのEOS Kiss X7のダブルズームキットも見てみます。こちらの方がタッチパネルインタフェースがあるなど、イマドキ風な感じ。

ただ、Kデンキの人はスポーツ撮るならタッチパネル使うよりファインダー見て撮った方がよく、それならば連写性能がいいD3300の方がいいのではないかと。

ここでも結局決めかねて(優柔不断です)、ミラーレスではスポーツには厳しいかどうか聞いてみたところ、「前はピント合わせが遅かったので、スポーツには向かなかったが、今はそうでもない」という話。

それで見せてもらったのがソニーのα5100。

確かに合焦は十分速いし、一眼とは大きさが段違い。連射性能も最高6枚/秒と、D3300の5枚/秒を上回ります。ただし価格も7万円台。最初に考えてビデオと比べたら倍以上です。

さらに話を聞くと、動画でAVCHDに対応しているのでブルーレイに簡単に落とせる(動画をブルーレイに入れるのはうちの場合必須なので)とか、スマホと連携してWi-Fiで写真を送ったり、スマホでシャッター切ったりできるということで、やっぱりかなり魅力的です。

結局、「春のキャッシュバックキャンペーン」で8000円キャッシュバックがあるというのを聞いて、これに決めちゃいました。

実質6万円台とはいえ、やはり当初見込みの倍額以上。そうでなくてもお金ないのに、どうしようという感じではありますが、正直カメラは新調したいところだったので、嬉しいです。これも10年くらいは使い倒したいところです。

というわけで春のキャッシュバックは2016年5月8日購入までだそうなので、迷っている人は今がチャンスですよ。

キャッシュバッシュの大賞はα5100と6000。6000のダブルズームキットが1万円、5100のダブルズームキットが8000円。それ以外は5000円です。

あと、余談ですが、いまってSDカードよりmicroSDカードの方が安いんですね。これもちょっとびっくりだったけど、作っている数がmicroSDの方が圧倒的に多いのだからそういうもんか、と思いました。



Date: 2016/0424 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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『神の雫』の12使徒にも選ばれたシン・クア・ノン。毎年、ワインに特別な名前とラベルを付ける、カリフォルニアの数あるワイナリーの中でもユニークさにおいて孤高の存在です。また、Wine Advocate誌でこれまで100点を14本ものワインで取っており、品質的にも群を抜いているといっていいでしょう。

日本には毎年シラーとグルナッシュがワイナリー蔵出しで入荷しており、100点のワインとしては安価で買える、実はとても恵まれた環境にあります。今年も2013年のものが入ってきています。

先日、ミュージシャンのプリンスが亡くなりました(ご冥福をお祈りします)。まったく偶然でしょうが、今回の2013年のものはプリンスに影響された名前になっています。

生産者コメントにはこう書かれているそうです(一部)。
2013ヴィンテージのシネ・クア・ノンには今までよりも更に面白いものにするため、アーティスト「プリンス」がかつて自分を記号で表記した様に単語ではなく記号によって表すことにしました。

2013ヴィンテージのシラーとグルナッシュには、男性のシンボル「♂」と女性のシンボル「♀」を与えました。(レストランのワインリストでどう扱われるか見るのが今から楽しみです。)


つまり、シラーが「♂」、グルナッシュが「♀」です。日本人は漢字としてこれらを簡単に入力できますが、欧米の人は困るでしょうね。なお、「♂」はmale、「♀」はfemaleと呼んでいるようです。

シン・クア・ノンのシラー、グルナッシュは2010年の「ストックホルム・シンドローム」がどちらもWine Advocateで100点でした。2013年は誰もが認める良ヴィンテージ。それ以来のアベック満点もあり得るかもしれません。
Date: 2016/0423 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日モントレーのシャローン(Chalone)を買収したフォーリー・ファミリー・ワインズ(Foley Family Wines)が、ソノマのガイザーヴィルにあるストライカー(Stryker)を買収しました(Vintner Bill Foley buys Stryker Sonoma Winery in Geyserville | The Press Democrat)。

これまでフォーリーは、比較的有名なワイナリーを買収することが多かったのですが、今回のストライカーは生産量5000ケースという小さなワイナリー。フォーリーは、オーナーであるビル・フォーリーの娘コートニー・フォーリー(Courtney Foley)をワインメーカーに据え、フォーリー・ソノマ(Foley Sonoma)と改名する予定です。生産量は2万ケースに引き上げます。

ストライカーはアレキサンダー・ヴァレーに畑を持っており、そこからカベルネ・ソーヴィニヨンを作っています。フォーリーも、「ビッグでまろやかでソフト」なカベルネ・ソーヴィニヨンをそこから作る計画です。

フォーリーは米国で18番目に大きなワイン会社。年産110万ケースで約40のブランドを持っています。
Foley Family Wines(Webサイトより)
Date: 2016/0422 Category: 業界ニュース
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シャトー・モンテレーナが、電気自動車の充電用コンセントを備え付けると発表しました(It's Electric)。

ナパでは初となるテスラ用の277Vのもののほか、一般用のものを20個備え付けるそうです。

きっかけはサンフランシスコ・ジャイアンツのゲーム。そこで、ワイナリーのクラブメンバー向けにワインを提供したときに、「最近ワイナリーに来ているか」どうか尋ねたところ、電気自動車の充電が必要だからいけない、と複数の顧客から聞いたのでした。

モンテレーナが特別なわけではありません。ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズのサイトではワイナリー検索のオプションに「電気自動車の充電ステーション」という項目があり、現状29のワイナリーがヒットします。
検索オプション29のワイナリーがヒット

カリフォルニアのシリコンバレーは高額所得者が多く、新しい技術への関心も高いので、テスラなど、電気自動車の大きな市場になっています。また、彼らが、ナパの高額なワインを支えてもいるわけで、客層の重なりはかなりありそうです。

ワイナリーにとってもクリーンなイメージは歓迎するでしょうから、この動きは急速に広がるのではないかと思います。
Date: 2016/0421 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ヴァレンタイン・ヴィンヤードのワインは、バレンタイン向けワインというテーマで何回か紹介したことがあります。名前の由来は、作っている人がヴァレンタインさんだという、当たり前過ぎるものですが、ラベルにハートが入っているなど、作り手側もバレンタインを意識していたのでしょう。

そんなわけで、いくらか馴染みがあるワイナリーではありますが、日本への輸入は近年なくなってしまっていました。さらに、オーナーが亡くなってしまったことで、ワイナリー自体がなくなってしまったとのこと。

その在庫整理で出てきたのが2002年のカベルネ・ソーヴィニヨンと2003年のメルロー。

かつては5000円台で出ていたワインが3000円台という大盤振る舞いで売られています。ワイナリーのストックものですから、コンディションも良いと思われます。

輸入元の布袋ワインは、2、3年前にもアタロンの在庫発掘でお得な熟成ワインを出荷して話題を呼びました。在庫発掘力がすごいですね。

Date: 2016/0420 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワシントン州最大のワイナリーであるシャトー・サン・ミシェルが、ソノマをベースとするワイナリー パッツ&ホールを買収しました(Purchasing Pinot: Ste. Michelle Wine Estates Buys Patz & Hall)。

サン・ミシェルの狙いはピノ・ノワール。パッツ&ホールは自社畑こそありませんが、ソノマの数多くの銘醸畑と長期間の契約を結んでいます。

なお、パッツ&ホールのオペレーションには変更ないとのこと。マーケティング担当のドナルド・パッツは「これまではMBAが考えるようなビジネスプランとかいったものはなしでやってきた。この買収でワイナリーが新たなレベルになることを期待する」としています。

基本的には変わらなさそうで安心しましたが、あまりビジネスライクにならないといいなあと思います。
Date: 2016/0420 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ケンダル・ジャクソンなどを擁するジャクソン・ファミリー・ワインズがオレゴンのワイナリー ペナー・アッシュを買収しました(Jackson Family Wines Buys Penner-Ash Wine Cellars)。買収価格などは明らかになっていません。

Looks like it's a Penner Ash sorta night...

ペナー・アッシュ・ワイン・セラーズは、リンとロンのペナー・アッシュ夫妻が1998年に設立したワイナリー。当初は二人とも別の仕事を持っていたため、生産量はわずか125ケース。それが現在では1万5000ケースにまで増えています。

ワインメーカーは夫人のリン。当初はカリフォルニアでスタッグス・リープ・ワイン・セラーズやシャトー・セント・ジーンなどのために働き、1988年にオレゴンのレックス・ヒルのワインメーカーになりました。オレゴンでは初めての女性ワインメーカーだったようです。

ワイナリーの売却は、ワイン作りに専念するため。日常的なオペレーションをジャクソン・ファミリーに委ねることによって、ワイン作りにより重きをおけるようになるからです。

Date: 2016/0419 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアでスパークリングワインを作る生産者が急増しています。これまではマムやシャンドンといった大規模な生産者が中心だった泡の世界がついに動き出したようです(California's New Wave of Sparkling Wine)。

例えばサンタ・バーバラでも新しく泡を始めたワイナリーは20を下らないとか。一つにはスパークリングワインがクリスマスなど、お祝い用のワインから、日常的に飲むワインへとなっていっていることが背景にあります。特にミレニアル世代や女性に顕著だといいます。

もう一つは小規模生産者をサポートする体制が整いつつあること。例えばスパークリングワインには専用のボトリング設備が必要ですが、ソノマのヒールズバーグにあるラック&リドルという会社が、サービスを提供しています。

作られているスパークリングワインも従来のシャンパーニュを模したものだけではなくなってきています。

例えば先日紹介した、シェバンのスパークリングワイン「シェ・バブルズ」はカリニャンから作っていましたし、サンタ・バーバラのパルミナはバルベーラから赤のスパークリングワインを、マルヴァシアから白のスパークリングワインを作っています。

この記事にはでてきていませんが、ベッドロックの記事で紹介した「アンダー・ザ・ワイヤー」も単一畑、単一ヴィンテージでスパークリングワインを作るプロジェクトです。

これから泡の世界、面白くなっていきそうです。
Date: 2016/0418 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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シャトー・ラトゥール出身でキャプサンディのワインメーカーなどとして知られるデニス(ドニ)・マルベックが4月16日早朝、交通事故でなくなりました(Denis Malbec, former winemaker at Captûre Wines, dies in Napa County crash | The Press Democrat)。ご冥福をお祈りします。

デニス・マルベックはメルセデスで、ナパのワシントン・ストリートを走行していましたが、道をそれ、フェンスに激突し、その場所で死亡が確認されました。助手席に乗っていた「テイクン」のジョシュ・フェルプスは大きな怪我を負いませんでした。酒を飲んでいたかどうかなどは調査中です。

Denis Malbec(キャプサンディのサイトより)

デニス・マルベックは、祖父の代からシャトー・ラトゥールの醸造責任者という名門の生まれ。本人も1999年まではシャトー・ラトゥールで醸造責任者を務めていました。

その後、ナパに移り、キャプサンディのワインメーカーなどとして頭角を現します。また、自身のブランドとして「ノートル・ヴァン」、「アリエノール」を作っています(アリエノールは日本にも輸入されています)。

また、若いワインメーカーたちの指導役としても尊敬を集めていました。

まだ46歳という若さ。残された奥さんのメイ・ブリットさんもお気の毒です。

Date: 2016/0418 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアワインがフランスの名だたるワインを打ち負かして、カリフォルニアワインの一大転機となったパリ・テイスティング、通称パリスの審判。それが行われた1976年から今年で40年ということで、関連したイベントが数多く行われます。

その、忙しい中、白ワインで一位になったシャトー・モンテレーナ(Ch. Montelena)のボー・バレットさんが来日、東京・青山のアカデミー・デュ・ヴァンでセミナーが開催されました。
Bo Barrett

まず、モデレーターの葉山考太郎さん(パリスの審判の本の翻訳も担当しています)から、パリスの審判の勝利は「高校野球のPL学園がプロ野球の阪神タイガースに勝つくらいすごいことだった」と紹介。その後、ボー・バレットさんから当時のことなどを聞いていきました。

ボーさんは当時22歳。オーナーである父のジム・バレットの元でセラーの下働きをしていたそうです。勝利の連絡がきたときも樽の仕事をしていたとのこと。インターネットもない当時、現地にいたジム・バレットからの連絡はテレグラムで来ました。受け取ったワインメーカーのマイク・ガーギッヂが「We won, We won」と、テレグラムの紙を振りながらやってきて皆で大騒ぎになったとのことでした。

そういう意味では勝利したワイン作りに直接携わっていたわけではなかったのですが、チームとしてそれに加われたことがとても名誉に感じたそうです。また、ジム・バレットはチームでなしとげたことと考えていたのに、マイク・ガーギッヂは「自分の功績」と言ってはばからない人だったので、袂を分かつ結果になってしまいました。

実はモンテレーナにとってはシャルドネは、それほど力を入れていたわけではなく、あくまでも本命の品種はカベルネ・ソーヴィニヨンでした。カベルネ・ソーヴィニヨンを作るための資金作りとして、購入したブドウでシャルドネを作っていたのです。

パリスの審判で勝利したことにより、シャルドネは飛ぶように売れていきました。ワイナリーとしては収入が増え、結果的に目的であるカベルネ・ソーヴィニヨンに手が届くようになりました。そういう意味で、この勝利は「dream comes true」でした。

奥さんで、有名なワインメーカーでもあるハイジ・ピーターソン・バレットさんとのなれそめの話も出ました。まだボーさんがフレスノ大学の学生だった時分、ナパのヨントヴィルにあるサルーンという西部劇に出てきそうなバーに入ったとき、目の前に座っていたのがハイジさんだったそうです。一目で恋に落ちてしまったとのこと。

ハイジさんとはまったく独立してワイン作りを行っていますが、2008年からはBarrett & Barrettというプロジェクトで一緒にワインを作っています。
Ch Montelenaのワイン

さて、ここからは試飲です。

まずは極めて限定数しかないソーヴィニヨン・ブランの2014年。気の置けないワインで、みつや柑橘系の香りにアフターの苦味が心地よい味わい。

シャルドネは2013年、2011年、2007年の3ヴィンテージ。2013年は暖かい年で、花の香りにトロピカルフルーツの味わい。2011年は涼しい年ですが、意外にもリッチな味わい。2013年よりもボリュームを感じるほど。そして2007年は余韻が長く素晴らしい味わい。

ボーさんが語るには、シャルドネは水彩画のようなもので、色を加えていくとピュアなフルーツが失われてしまう。そうならないように作っているとのこと。新樽使用率は7%と低く、第一印象はそれほど押し出しがないようですが、熟成するほどに魅力を増してくるワインです。また、上記のように「足し算」していかないワイン作りというのは、引き算の料理といわれる和食との相性もいいように思います。

次は2012年のジンファンデル。ジンファンデルは自社畑で、ヴィオニエと一緒に醸造されているそうです。ジンファンデルにしては薄めで、これも押し出しはあまり強くないワイン。ブルーベリーの味わいやスパイスなどが心地よい。

最後の2つはエステートのカベルネ・ソーヴィニヨン。モンテレーナが自らの存在理由という気合を込めたワインです。ヴィンテージは2012年と2006年。

2012年は暖かい年で、ボリュームを強く感じる作り。パワフルで強いタンニン。すみれの香り、ブルーベリーやカシス、スパイスの味わい。もう数年置いておきたいワインです。

2006年はとてもバランスがいいワイン。酸がしっかりしており、それが全体を支えています。すばらしい。

ボーさんによると、ナパの土壌は、火山性、沖積、そして海底の堆積の3種類があるそうですが、モンテレーナのエステートの畑はこれら3つすべてを含んでいるとのこと。それが複雑な味わいを運営るようです。カベルネ・ソーヴィニヨンの新樽率は30%前後。

シャルドネにしてもカベルネ・ソーヴィニヨンにしても、モンテレーナのワインは10年程度は熟成してからが本領を発揮するようです。今回それを改めて確認できたのは大きいな収穫でした。

Brian Baker Sales & Marketing VP

三木香奈さん


パリスの審判の本。絶版になっています。


Date: 2016/0417 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日、リースリング・リングというリースリングのみの試飲会が開催されました。カリフォルニアが少ない(ボンテラだけだった)のは当然としても、オレゴンやワシントン州も2、3種類ずつくらいしか出ておらず、ちょっと寂しい感じがしました。
リースリング・リング

そんな中で、北米のワインで一番目立っていたのはニューヨーク州のワイン。
NYワイン

といっても、出していたのはこの「Gotoワイン」というニューヨーク専門のインポーターだけでしたが、コーナーのいい場所を陣取っており、ワインもみな美味しく感じました。

それにしても、今回痛感したのは自身のリースリング経験の低さ。いいリースリングがどのようなものかわかっていないので、評価するのが難しいのです。例えば、このワインは熟成したらおいしくなりそう、といったイメージがもっとできるようにならないといけないなと思いました。

例えばリースリングの特徴と言われている「ペトロール香」。これがあるかないかは、もちろんすぐに分かりますが、それがあるからいいのか、ない方がいいのか。個人的にはない方が好きですが、熟成するときには、そういった要素も必要になるのかもしれません。

安いものだと、明らかにバランスを崩しているものもありましたが、そうでないワインであれば、正直いって2000台のものと1万円台のもので、どちらが美味しいか、あまりわかりませんでした。
Date: 2016/0415 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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カリフォルニアでシラーを作っているワイナリーに話を聞くと、シラーは売るのが大変と、言われることが多々あります。どうしてシラーが売れないのでしょうか。

個人的には、そもそもシラーが好き、シラーを選んで買うという人の数が少ないのではないかと。マニアはいても一般的なドリンカーが選ぶものがないような気がします。

おそらく、多くの人にとってはシラー=オーストラリアのイエローテイルであって、そこから先に進むのが難しいのかもしれません。

そこで、カリフォルニアに安旨シラーがないかどうか、ちょっと調べてみました。

●1000円台
 そもそも、サイクルズ・グラディエーターくらいしかありません。


●2000円台
 クラインの一択状態です。クラインはこれくらいの価格帯のものが得意で、品質も高いと思います。


●3000円台
 この価格帯まで来ると、やっといいものが増えてきます。
 例えば、パーカーもお気に入りのマイケル・デイビッド。


 クラインだとカーネロスものがこの価格帯。


 キュペもシラーに強いワイナリーです。


 アントヒル・ファームズはピノが高く評価されているワイナリー。シラーもアラバマのワインショップで一押しにされていたとか。まだ飲んだことないのですが、気になっています。


 コパンのトゥス・アンサンブルは、僕が絶賛しているワイン(笑)。エレガントさもあって好きです。


こうやって見ると、やっぱり3000円以上になると急に充実してきますが、そこから下は弱いですね。もっと選択肢がほしいです。
Date: 2016/0414 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ヴィナス(Vinous)のアントニオ・ガッローニが、2013年、2014年を中心にナパの試飲レポートを出しています。個々のワインのレビューは有料会員でないと見られませんが、レポートは誰でも読めるようになっています(2013 Napa Valley: Once Upon a Time in America… (Oct 2015) | Vinous - Explore All Things Wine)。

総じて言えば、2013年は最高、2014年は2013年に迫るものがあり、2015年はやや品質にバラつきがある、といったところ。

このほか、Clos du Val、Inglenook、Stag's Leap Wine Cellarsといった懐かしいワイナリーのワインがここ数年非常に良くなっている、若い世代が頑張っていて、彼らが目指しているのは1960年代や1970年代のナパのワインだ、など興味深い考察がいろいろあります。

一方で、ナパの現状への警鐘もあります。例えばあるコンサルタントは「自分がコンサルトしているワイナリーのワインはグラス一杯飲むのがやっと」と打ち明けるなど、評論家の高得点を得るために、飲みたいワインと作るワインが乖離していること。ワインをボトルに詰めるときに樽の一番上や一番下の部分は使わないのが普通なのを、そういったものをテイスティングルーム用に使っているワイナリーがあることなど。

ナパのワインに興味があるならば必見の内容です。
Date: 2016/0413 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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柳屋に、ベッドロックのカジュアル・ブランド「シェバン」からのロゼ・スパークリング「シェ・バブルス」が入荷しています。品種はカリニャン80%に残りはピノ・ノワールとシャルドネ。カリニャンのスパークリングなんて、ほかではまず飲めません。

ベッドロックの新作、圧巻の自社畑という記事で試飲した、ベッドロックの古木の白ワイン「コンパーニ・ポルティス・ヴィンヤード」も入っていましたが、すでに売り切れてしまったようです。

Date: 2016/0412 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアで一番古いブドウの樹はどこにあるのでしょうか。

カリフォルニアにブドウをもたらしたのは宣教師です。18世紀に南カリフォルニアに作られたSan Gabriel Missionに植えられたものがワイン用のブドウの種類であるヴィティス・ヴィニフェラ種としては一番古いと考えられます。ヴィーナ・マードレ(母なるブドウという意味でしょうか)と呼ばれるそのブドウの発見と再生を試みている人たちがいます(The oldest vine in California | Allison Levine | napavalleyregister.com)。

San Gabriel Missionで植えられたブドウの木については実は生きているのかどうかも判明していません。今回は、このブドウの樹から挿し木されたブドウが見つかったという話です。

このブドウの木は1800年代前半に植えられたと考えられます。「Avila Adobe」というロスアンゼルスで現存する最古の建物の中庭に植えられています。この建物は1818年に完成しており、ブドウの樹はその中庭の日除け用として植えられています。実際には2本の樹が50センチほど離れて植わっているのですが、実質的にはひとつの樹として見なされています。
Avila Adobe
古いミッションの中には今でもブドウが残っているところもあるようなのですが、調べた範囲では、このブドウが実を付け続けているものでは最古と見られています。

このブドウの樹を発見したのはマイケル・ホランドというロスアンゼルスの公文書保管人をしている人。彼は家でワインも作っているので、この樹のブドウを収穫して、アンジェリカという発酵を途中でより止めて糖分を残したワインを作って見たそうです。

彼はその後、以前会ったことがあったクロ・ぺぺのワインメーカー、ウェス・ヘイガンにコンタクトを取りました。

そして、ヘイガンと一緒に文書を調べたり、DNAの検査をUC Davisに依頼したりしました。その結果、このブドウがヴィーナ・マードレから挿し木されたものであろうということが分かったのです。

ヘイガンは2016年1月に、この樹の手入れを始めました。枯れた葉や枝を取り除いて元気なところを残すようにしています。昨年は10kg程度しか収穫がなかったものを、この建物の200周年にあたる2018年には500kg近くにまで増やしたいとしています。また、今は色も糖度も不十分なものが、しっかりと熟したブドウになると考えています。



非常に興味深い話です。歴史がないといわれるカリフォルニアのブドウですが200年というのは結構立派な歴史だと思います。これをきっかけにほかの古いブドウの樹の歴史も発掘されるといいですね。
Date: 2016/0411 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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先日、「Rhysのワインを飲んだことがないんですよ」という話をある人としたら、「飲んでみてください」ということでハーフボトルのピノ・ノワールを2本いただいてしまいました。その1本を飲んだ報告です。
リース・ピノ・ノワール・ファミリー・ファーム・ヴィンヤード
第一印象は驚くほどエレガント。ブルゴーニュのような「薄旨」系のピノ・ノワールです。

最初はそれだけかな、とちょっと肩透かしのような感じもしたのですが、時間が経つにつれて、骨格がはっきりしてきて、骨太とまではいきませんが、意外なほどパワーを秘めている感じがしてきました。

二日目になると、さらに香りも旨味も増した印象です。これは美味しいです。

特にピノ・ノワール・マニアがこのワインのファンになるというのがなるほどと思いました。

きっとブラインドで飲んだらカリフォルニアだとはわからないだろうな、とも。

おそらく熟成させていくと、さらに新しい表情が出てくるのではないでしょうか。

Date: 2016/0411 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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グレッグ・ハリントン(マスター・ソムリエ)
セミナーの後半はテイスティングです。多くの場合、セミナーでのテイスティングというと、そのワイナリーのワインを水平(同じヴィンテージで複数の種類)で試飲したり、垂直(同じワインの複数ヴィンテージ)で試飲したりするものですが、今回は趣向が違っており、グラマシー・セラーズのワインを同じ品種の他の地域のワインと試飲します。

品種はヴィオニエとシラーとカベルネ・ソーヴィニヨン。それぞれ3つずつのワインをブラインドでテイスティングし、どれがどのワインかを探ります。

まず、ヴィオニエはグラマシー・セラーズのコロンビア・ヴァレー2014と、コンドリューのドメーヌ・ピエール・ガイヤール2014、カリフォルニアからカレラのマウント・ハーラン2013です。
ヴィオニエのブラインド
グラマシー・セラーズのグレッグ・ハリントン氏は、実はヴィオニエがあまり好きではないとのこと。多くのヴィオニエはちょっととろっとした甘さを感じますが、それが苦手とのことで、そうでないヴィオニエを作ろうとしているとのことです。
ワシントンのAVA
大部分のブドウはレイク・シュラン(Lake Chelan)といって、三角形をしたコロンビア・ヴァレーのかなり北の方で西の端、カスケード山脈に近いため標高が高く気温が低い土地の畑から得ているそうです。

ブラインドしたワインは1番がオレンジや青草のような風味があり、2番めは飴やピーチ、3番めは花の香りとピーチの風味。上記の特徴から1番がグラマシー・セラーズだろうと思いました(正解)。2番と3番では3番の方が色が濃くてカレラかと思いましたが、実はそちらがコンドリュー、カレラは2番でした。

個人的には、グレッグ・ハリントン氏と同じでヴィオニエは自分で選ぶことはあまりないワイン。美味しいヴィオニエに当たる比率が低いという気もしています。今回のヴィオニエはどれも美味しかったですが、中でもグラマシー・セラーズのものは、おいしく感じられました。

次はシラー。グラマシー・セラーズからはザ・デュース2012年。あとはローヌのドメーヌ・ジャン・ルイ・シャーブのサン・ジョゼフ2012、オーストラリアのウィラ・ウィラ・ヴィンヤーズのRSW2012。
シラーのブラインド
ザ・デュースというのはワラワラヴァレーのワインで「Walla Walla」と同じ単語が2つつながることから名付けたとのこと。2012年のものは80%除梗なしで作られています。除梗しないブドウを使うことにはかなりこだわりを持っているようで、「多くのワイナリーは除梗しないときに、枝の色が茶色になったら収穫する、などとしているが、枝の色は関係ない。ブドウの味を見て決めている」そうです。茎が緑色のまま入れることもあるので、他のワイナリーのワインメーカーが見るとビックリするのだとか。

ブラインドでは1番は色が一番濃く、アルコールをちょっと感じる作り。2番は色が薄めで明るい味わい。オレンジやペッパーの風味。3番はスパイシーでタニック。やや重めの味わい。

最初は1番がオーストラリアっぽい気がしたのですが、ヒントがあり、1番はローヌにしました(正解)。一番エレガント系の2番がグラマシーかと思ったら、これがオーストラリア。3番がグラマシーでした。全房発酵の比率が高いのがタニックに感じた理由でしょうか。ちなみにWine Advocate誌では93点です。

最後はカベルネ・ソーヴィニヨン主体のワインです。グラマシー・セラーズはコロンビア・ヴァレー2012、ボルドーのサン・ジュリアンからはクロ・デュ・マルキ2012、カリフォルニアからはダックホーンのナパ・ヴァレー2012年です。グラマシー・セラーズとダックホーンはカベルネ・ソーヴィニヨンが90%以上、クロ・デュ・マルキはメルローが30%入っています。
カベルネのブラインド

1番はブルーベリーやオレンジの風味にまろやかなタンニン、ヴァニラの風味。2番はややタニックでカシスやペッパーの風味。3番は酸がやや強く感じました。

1番は迷わずダックホーン。ナパらしいおいしいカベルネ・ソーヴィニヨンです。個人的には非常に安心して飲める味わい。2番と3番はかなり迷って2番をクロ・デュ・マルキ、3番をグラマシー・セラーズとしましたが、逆でした。なお、グラマシー・セラーズのカベルネ・ソーヴィニヨンはWine Advocate誌で94点。

今振り返ってみると、グラマシー・セラーズのものはシラーもカベルネ・ソーヴィニヨンもタンニンが結構しっかりしている印象があります。カリフォルニアのようなまろやかな感じではないのは全房発酵の比率のせいでしょうか(カベルネ・ソーヴィニヨンについては比率は不明です)。カリフォルニアワインとは大分イメージが違う感じがしました。

それにしてもブラインドは、どれも1つしか当たらず、グラマシー・セラーズのワインも1つしか当てられませんでした。初めて飲むのだから仕方ないですが、もうちょっとしっかり当てられるようになりたいものです。

というわけで、少しはワシントン州のワインの勉強になったでしょうか。個人的にはもうちょっといろいろ勉強・経験して、ちゃんと選べるようになりたいと思いました。

Date: 2016/0410 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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英国のDecanter誌に「飲む価値がある10のエキサイティングなカリフォルニアワイン」という記事が掲載されていました(10 exciting California wines to try - Decanter)。

スパークリングが1本、ソーヴィニヨン・ブランが1本、シャルドネが1本、ピノ・ノワールが3本、シラーが2本、カベルネ・ソーヴィニヨンが2本という構成。全体的に日本人の好みにも合いそうなラインナップになっています。

Roederer Estate Brut NV
Vineyard 29, Sauvignon Blanc 2012
Diatom, Miya Chardonnay 2011
Sanford, Sanford & Benedict Pinot Noir 2012
Failla, Hirsch Vineyard, Pinot Noir 2012
Roar Pinot Noir 2013
The Ojai Vineyard, Solomon Hills Vineyard Syrah 2013
Radio-Coteau, Las Colinas Syrah 2013
O’Shaughnessy, Cabernet Sauvignon 2012
Scarecrow, Cabernet Sauvignon 2012

なかでも注目は唯一シャルドネで選ばれた「美夜」(みや)。これはダイアトム時代の2011年のものですが、2012ヴィンテージからはシャトー・イガイタカハで出ています。「初めてこのワインを飲んで以来、カリフォルニアのシャルドネを見る目が完全に変わってしまった」とレビュアーは書いています。「精密でパワフルで、夕方の海で波が砕け散る寸前のところを閉じ込めたような」とも。

そういえば、私が先日試飲したときには「うちに秘めたパワーを感じます」と書いていますが、最後の詩的なコメントは私の印象と重なるような気がしました(シャトー・イガイタカハの一気試飲、「侍」「園」はさすがの美味しさ、「美夜」のパワーにビックリ)。確かにこれはそんじょそこらにあるワインではないので、実際に飲んでみてほしいワインです。

Date: 2016/0408 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ワシントン州からグラマシー・セラーズ(Gramercy Cellars)オーナーのグレッグ・ハリントン氏が来日し、そのセミナーに参加してきました。約2時間のセミナーは前半がワシントン州のお勉強で後半がブラインド・テイスティング。
グレッグ・ハリントン

この記事ではまず、前半のワシントン州のワインについてのお勉強部分を紹介します。

正直言って、ワシントン州のワインについては詳しくありません。コロンビア・クレストのワインのコスト・パフォーマンスの高さは昔から知っていますし、シャトー・サン・ミシェルのリースリングくらいはもちろん飲んだことあります。ほかの知識というとクィルシーダ・クリーク(Quilceda Creek)のカベルネ・ソーヴィニヨンがWine Advocate誌で何度も100点を取っていることや、カイユース(Cayuse)のシラーが引く手あまたなこと、くらいでしょうか。

ワシントン州の中でもシアトルには何十回か行ったことがあります。夏は非常にいいところですが、秋から冬にかけては雨が多く、自殺者も多いと聞いたことがあります。

飲食関係で言えば、スターバックスなど「シアトル系」のコーヒーショップの発祥の地であり、コストコもワシントン州からだったはず。サーモンやクラムチャウダーが美味しい。

と、いきなりワシントン州についての数少ない知識をさらけだしてしまいましたが、実は米国でもワシントンといえばワシントンDCしか知らないという人も意外と多いのだとか。この程度の知識でもまだマシなのかもしれません。

グラマシー・セラーズのグレッグ・ハリントン氏もワシントン州の出身ではなく、元々ニューヨークの人。24歳という若さでマスター・ソムリエの資格を取り(最年少記録だとか)、ニューヨークでソムリエをしていました。ちなみにグラマシーというのはニューヨークにある公園の名前なのだそうです。2005年に初めて奥さんとワシントン州に旅行に来て、「引退したらここに来よう」と思ったのが、なぜか翌年にはワイナリーを作りに移住してきてしまったそうです。

ワシントン州のワインについて知っておきたいことをまとめておきます。
・ワインの生産量はカリフォルニアに次いで米国で2番めに多い
・ワイナリーの数は850位上
・畑は2万ヘクタール以上
・一番作られている品種はリースリングで、シャトー・サン・ミシェルが大きく貢献している
・以下、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラーの順だが、シラーはメルローの半分以下
・緯度はボルドーと同程度
・日照時間が長く、昼間は35℃まで上がることもあるが朝は15℃まで下がる
・コロンビア・ヴァレーがワシントン州のワインのほとんどの生産地を含んでいる
・ワインの生産地は内陸

生産地について、もうちょっと詳しく見ていきましょう。
ワシントン州AVA地図

地図の中央、大きな三角形をなしているのがコロンビア・ヴァレーです。太平洋から来る湿った風はシアトルには雨を降らしますが、オリンピック山脈とカスケード山脈を越えることによって乾燥してしまうため、コロンビア・ヴァレーでは雨はあまり降りません。

歴史的に見ると「ミズーラ洪水」と呼ばれる極めて巨大な洪水がこの地域の形成に大きな役割を果たしています。

氷河期の時代、ワシントン州の東側、今のモンタナ州の西部に巨大な氷河湖がありました。この氷河が決壊すると、その水が一気に今のコロンビア・ヴァレーのあたりを流れていきます。洪水の高さは200mに達したといいますから、津波の規模をさらに超えていたわけです。そんな洪水が何十回と起こっており、それによってできた堆積物がコロンビア・ヴァレーの土壌の基本となっています。非常に砂が多いのが特徴です。

というわけで、ワシントン州のワイン栽培地域は、土壌に関してはどこもさほど変わらないそうです。

そして、この砂が多い土壌や、冬場の気温の低さ、といった条件により、ワシントン州ではフィロキセラの被害が発生していません。なので、ワインの樹は接ぎ木ではなく自根で育てられています。

自根というのはワシントンにおいては重要な要素です。冬場に冷え込むとき、場合によってはブドウの木全体が死んでしまうことを防ぐために、根だけ残して、幹部分をカットしてしまうようなこともあるそうです。

また、霜にも強くなるよう、樹の幹を2つ撚り合わせたようなユニークな剪定方式も使っているそうです。

このほか、ワインを育てる条件として重要な気温についていえば、緯度経度よりも標高が大きな要素になっています。したがって、山脈に近い標高が高いところが気温が低く、リースリングなど寒いところに強いブドウ向け、標高が低いところがカベルネ・ソーヴィニヨンなど温暖な地域のブドウ向けになります。

グラマシー・セラーズのワインについては後編で紹介します。
Date: 2016/0407 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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世界最大級のワイン会社であるコンステレーション・ブランズが、ヒュネイアス・ヴィントナーズからプリズナーなどのブランドを買収しました(Constellation Buys The Prisoner Wine Company for $285 Million | News | News & Features | Wine Spectator)。総額は2億8500万ドル。日本円では310億円程度になります。
The Prisoner
プリズナーはオリン・スイフトが2000年に作り始めた赤ブレンド。ジンファンデルにカベルネ・ソーヴィニヨンなどをブレンドしています。これが大ヒットしたことが、現在の赤ブレンド・ブームにつながっています。

オリン・スイフトは2010年にプリズナー・ワイン・カンパニーとして分社し、ヒュネイアスに売却。当時の生産量8万5000ケースから現在は17万ケースに成長しています。価格35ドルと高額のワインとしてはかなりの量です。また、プリズナー以外に「サルド」「カッティングス」「ブラインドフォールド」「ソーン」といったブランドも作っており、これらも一緒に売却されています。

コンステレーションは昨年、ケイマスのワグナー家から「メイオミ」を買収しており、それに続く大型買収となりました。

Date: 2016/0407 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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HdVが初めてのピノ・ノワールをリリース、“カリフォルニアのロマネ・コンティ”になるのか?」という記事を以前に書きました。ロマネコンティの共同オーナーであるAubert de Villaine氏がナパに作ったワイナリーがHdV。そこが、初めてピノ・ノワールを作るというニュースでした。

ブドウ自体は他のワイナリーも購入している畑のものなので、これをもってカリフォルニアのロマネコンティと呼んでしまうのはいかがなものか、という気はしますが、それでもそういう取り上げ方で引く手あまたなようです。

調べた範囲では評論家の評価もでていないようですね。

ともかく新ヴィンテージもすぐになくなるでしょうから、気になる方はお早めに。


ここは旧ヴィンテージも残っています。
Date: 2016/0406 Category: 技術系
Posted by: Andy
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Facebookには何回か、どうしようかと考えている話を書いていましたが、結果としては2人とも格安スマホに変えることになりました。

参考になるかどうかわかりませんが、その顛末を書いておきます。

先に変えたのは上の子。こちらはこんど大学2年。今まで使っていたのはXperia Z1(au)。もうバッテリーがダメになってきていて、残りが40%くらいになると落ちてしまう状況。ちょうど2年くらいなので買い換えざるをえない状況。

Xperiaの最新機種だとauかドコモですが、格安SIMへの変更可能性を考えるとドコモにMNPするのも手かなと思いました。ただ、価格を調べると月9000円くらいになってしまう。8GBのプランだとそれだけで月6700円かかるので、ほかを節約してもあまり効果がないことがわかりました。結局ドコモの新料金プランは家族2人以上でシェアできないとメリットはあまりなさそうな気がします。

SIMフリーのXperiaだとXperia J1 Compactがあり「後悔しないスマホ選び SIMフリー7選」という記事でも3年後悔しない機種として選ばれています。これは、楽天モバイルでは扱いがあったので、楽天モバイルのショップにいって実機を見ることにしました。

実際にショップで見ると、思っていた以上にずんぐりむっくりで、ちょっと使う気になる端末ではなく、結局以前から気になっていた機種のひとつだったファーウェイのHonor6 Plusに決めました。

この機種は、カメラのレンズが2つついており、撮影後にピントを変えたりボケさせたりと、かなり面白く使えます。メモリーも多く、CPUもそこそこ速く、電池は3600mAhとかなりの大容量です。

ただ、大きな欠点があって、LTEの対応周波数が少ないのです。まあ、基本的には東京近郊で使うのがほとんどなので、問題はないだろうということで、納得した上で選びました(今のところ問題はないようです)。

格安SIMだとSIMフリーのスマホとSIMは別々に買うことが多いかと思いますが、楽天モバイルで買うと、24分割で買えるというメリットがあります。イニシャルコストが抑えられるのは助かります。また、やっぱり実際に機種を見て触れるというのは決める上で重要だなと思いました。今の格安スマホの弱点の1つかと思います。

さて、これで上の子は決まりました。次は下の子です。

こちらはこんど中3。今まではiPhone5c(au)を使っています。もうちょっと使うこともできそうですが、違約金がないときに安いのに切り替えるとなるとこの春しかありません(ちなみに上の子は違約金が発生しないのは1年後とのことで、違約金についてはあきらめました)。

当初は中古でドコモのiPhone5sを買って格安SIM入れて使うかと思ったのですが、Y!mobileのiPhone5sがまあまあ安いので、それにしようかとも思い。ただ、このiPhone5sはSIMフリーじゃないので2年後にまた悩むことになりそうなのが難点です。

と考えている間にiPhone SEが発表され。Y!mobileよりもiPhone SEのSIMフリー版を格安SIMで運用するほうがトータルでは得になるので、それもいいかと思いました。

ところが、ああだこうだ考えている間に、上の子のHonor6 Plusを見た下の子が、そっちの方がいいと言い出し…

意外な展開で結局2人とも同じ機種になりました。

ただ、下の子は楽天モバイルで買うのではなく、楽天のファーウェイショップで購入しました。分割払いのメリットはなくなりますが、その方が少し安いし、ポイントでさらにメリットがあり、トータル5000円以上差があったので。

ちなみに、楽天モバイルセットを購入したところ、端末は次の日に到着。そこに書かれている番号を入れてSIMカードを申し込むと翌々日には到着。ということで申し込んで3日めにはもう使えるようになりました。

なお、楽天モバイルの申し込みは20歳以上でクレジットカードも必要なので、今回は親の名義です。なのでMNPも使っていません。ちなみにどちらも通話SIMで上の子は10Gバイト(月2960円)、下の子は3.1Gバイト(月1600円)。下の子は本体が一括払いなので月々はこの1600円だけになります。トータルでも二人で6000円弱ですから、これまでの一人分以下。助かります。

Date: 2016/0405 Category: 技術系
Posted by: Andy
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ルンバが家にやってきてから早くも1カ月以上たちました。
参考:ルンバが家にやってきたルンバが家にやってきた~その2(掃除にかかる時間を計ってみる)

実はまだ、留守の間にルンバに掃除をしてもらう、というのは実践していません。というのは、最初に書いたように我が家はものが多く、ルンバに掃除をしてもらうときは、そのエリアのものを動かしてルンバを動かしているのです。大体家を3つないし4つの部分に分けてルンバを動かしています。

ものを動かしておいて留守の間にやっておいてもらってもいいのですが、それだったら、自分が掃除するときに、横でルンバに働いてもらっても大差ないなあと。ということで、ルンバと一緒に楽しく掃除をしています。

しかし、困ったことが。

ルンバが掃除にかかる時間が読めない。

あるとき30分で終わったところが、次は1時間かかったり。はたまた10分くらいで終わってしまったり。

おそらく吸い込んだゴミを検知して、掃除をやめるかどうか判断しているのだろうと思っていますが、ちょっとばらつきが大きいのが気になります。

また、ルンバが実際にどこを掃除したのかわからないので、本当にやり残しがないのかどうかも不明です。

そういったことはありますが、概ね順調ではあります。というか、もうルンバなしで掃除するのはかなり面倒かも…

1ヶ月後にルンバを返して以降が心配です。


Date: 2016/0405 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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イタリアのEnosis Meraviglia社のDonato Lanati博士がGenesisというワイン・ロボットを開発しました(‘Sci-fi robot’ wine fermenter unveiled)。

Genesis Wine Robot

このロボット、記事には「R2-D2にそっくり」と書かれています。

その是非はともかくとして、200kgのブドウから100リットルのワインを作れるのだそうです。さまざまなセンサーを持っており、糖度やpH、抽出可能なアントシアニンなどを測定できるとか。

また、浸漬や酸素投与などもコントロールできるそうです。

ただ、これでできるのは第一段階の醸造までで、その後は別のタンクに移す必要があるとか。

開発者は土着のブドウによるワインを作るのに使うとしていますが、個人的にはどこがすごいのか、もうひとつわかりかねております(笑)。
Date: 2016/0404 Category: テイスティング・ノート
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ポール・ラトーの2013年をシラー/グルナッシュを中心に試飲しました。全般に言えることは、とにかく口当たりがよく飲みやすいこと。アルコール度数は15度を超えているのですが、アルコール度数の高いワインにときどき見られる熱っぽさを感じません。また、レストラン出身だからかワイン単体で飲むより、食事と合わせた美味しさを意識しているようにも感じました。

バランスのいいワインというと、IPOBの活動に代表されるように、アルコール度数の低さが条件とされることがありますが、改めて、アルコール度数が高くてもバランスのいいワインはあるのだなと思いました(同じサンタ・バーバラのワインであるBrewer Cliftonなどにも似た印象を受けることがあります)。

ポール・ラトー

・Paul Lato Chardonnay le Souvenir Sierra Madre Vineyard 2013
ハチミツやトロピカルフルーツの控えめなフレーバー。かすかに樽の印象。酸が強い感じはしないのですが、後味の爽やかさは酸によるものなのでしよう。余韻の長いワイン。

・Paul Lato Syrah Cinematique Larner Vineyard 2013
ブルーベリーなどの青系の果実、すみれのような華やかな香りが特徴的。ケモノっぽさなどは感じません。とても美味しいのだけど、この日のラインナップの中ではちょっと埋もれがちだったかも。

・Paul Lato Syrah il Padrino Bien Nacido Vineyard 2013
これは旨い。Larnerと比べると、よりスパイシーで深みがある味わい。それでいてエレガントなのが凄いワイン。個人的にはこの日のトップかも。

・Paul Lato Grenache Bien Nacido Vineyard 2013
第一印象は同じビエン・ナシードのシラーに似ていましたが、飲み比べてみると、こちらの方がより明るい印象のワイン。シラーは焼き鳥のタレや蒲焼きに合わせたい感じがしましたが、こちらはもう少し軽いものに合わせたい感じでした。

・Paul Lato Syrah/Grenache Kokoro 2013
ポール・ラトーがワインライフ株式会社の杉本さんの依頼で作るブレンドものが『心』。当初のシャルドネ、ピノ・ノワールに加えてシラー/グルナッシュがラインナップに加わっています。
この日のワインの中では一番スパイシーな感じ。微かな苦味も感じます。悪い印象ではなく、食事に合わせるにはむしろ好印象。先日みたマスターオブワインになった大橋健一さんの番組で、和食には苦味があり、ちょっと苦味があるワインが合うと言っていたのを思い出しました。

オマケ Says Farm Merlot 2014
富山の氷見で作られているメルローです。きれいに作ってあり、おしろいのようなフレーバーが印象的。凝縮感に欠けるのは天候のせいなのか、樹齢によるものなのか。今後に期待したいワインでした。

さて、タイトルで「危険なほどスルスル飲める」と書きましたが、実際この日は途中で寝落ちしてしまいました。シラーとグルナッシュの違いや、グルナッシュ間の比較、シラー間の比較など、いろいろ試しているうちに飲み過ぎてしまったようです。危ない危ない。いやほんと、口当たりのいいワインなのです。

Date: 2016/0403 Category: 業界ニュース
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基本的に偶数月の月末に発行されるWine Advocate誌ですが、最近は奇数月にも中間号としていくつか小さな記事を公開しています。

3月にはそんな記事の1つとしてロバート・パーカーがマイケル・デイビッドの試飲をして高評価をあげていました。マイケル・デイビッドといえば「ワイン・エンシュージアストの年間トップ100発表、2位は驚きの18ドルワイン」という記事で紹介したプチ・シラーが最近のヒットであり、また一般には7に下線を付けて7にもZにも見えるようにしたラベルの「7デッドリージン」が有名ですが、今回はそれ以外のワインが中心。21本のワインがレビューされた中で11本に90点以上の評価(最高は94点)がつきました。

また、ワイナリーへのコメントでは、価格と生産量(トータルで70万ケース)を考えると賞賛するほかないとしています。

こちらは89点。6万ケースという生産量でこの品質は素晴らしいと。


こちらはジンファンデルの上級版。93点。


今回のレビューには入っていないですが、以前90点を付けています。Wine Enthusiast誌の年間2位。


ワイナリーの顔的存在のワイン。
Date: 2016/0402 Category: 業界ニュース
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毎年4月と5月に開催されるカリフォルニアワイン バイザグラス キャンペーンが今年も始まりました。

Wine

参加したレストランは、カリフォルニアワインをグラスワインとして提供します。少しずついろいろなワインを飲みたい人に向いています。知らないワインをちょっと試してみるのにもいいですよね。

参加しているのは関東と関西の約230のレストラン。上記のリンクから調べられます。なお、レストランによって参加日程が違っているので注意してください。

今年はすべてのレストランでグラスワインにジンファンデルを入れてもらっているそうです。
Date: 2016/0401 Category: おすすめワイン
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アミューズ・ブーシュは著名なワインメーカーであるハイジ・バレットが手掛けるワインです。最初はメルロー中心のブレンドだけでしたが、近年はラインナップを拡大してきています。

中でも一番コスト・パフォーマンスが高いのが「ヴァン・ペルデュ」。直訳すると失われたワインです。

このワイン、一種のセカンド・ワインです。実際にはアミューズ・ブーシュのほかに、ハイジ・バレットが手がけているランボーンやラ・シレナのブドウをブレンドしています。そのため品種やブレンド比率は毎年変わります。

ラベルも毎年大きく変わります。2013年はカラフルな花火のデザイン。おしゃれですね。

ちなみにWine Advocate誌では90点、Vinousでは91点と高い評価です。

Date: 2016/0331 Category: テイスティング・ノート
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以前「今年からはノリアに専念します――ナカムラ・セラーズ中村倫久社長」という記事でインタビューを紹介したノリアが新たにソーヴィニヨン・ブランをリリースしました。

このインタビューの中で中村倫久さんは「大吟醸をイメージした」とおっしゃっていましたが、私が飲んだときも第一印象は「吟醸酒のようなワイン」でした。

ソーヴィニヨン・ブランらしいちょっとした苦味も感じ、また基本は辛口のワインなのですが、なにかまろやかな味わいで柔らかい雰囲気があります。

日本食に合うワインというノリアのコンセプトによく合ったワインだと思いましt。


Date: 2016/0330 Category: 業界ニュース
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「クヴェ(Kuvée)」という、現在開発中のワインボトルがあります。無線LANに対応し、ワインを開栓後30日間フレッシュに保つといいます。クラウド・ファンディングのIndiegogoで現在出資を受付中。5万ドルの目標のところを6万7000ドル以上集めている有望な製品です。
Kuveeワインボトル
(写真はIndiegogoから)



ちょっとおもしろそうかなという気もするのですが、この製品についての記事を読むと、かなり不思議な製品であることがわかります(Kuvée is trying to reinvent wine with a ridiculous Wi-Fi bottle)。


ビデオや写真で分かるようにクヴェはタッチスクリーンが付いたカバーと、それに差し込むカートリッジから成ります。カバーにカートリッジを差し込むと、タッチスクリーンにラベルやその他のワインの情報が表示されます。カートリッジ中のワインの残量もわかります。カバーは無線LANを経由してインターネットに接続でき、そこからカートリッジを注文できます。

カートリッジの内側はフレキシブルな袋状になっているようです。カートリッジの口は普段は閉じており、それでワインが酸素に触れるのを防いでいるようです。

何が奇妙かというと、まず大したメリットがないことです。30日ワインが持つのはいいですが、それだけなら既にCoravinがあります(「一度開けたワインを何年間もフレッシュに保つ革命的な新製品「Coravin」が登場」を参照)。Coravinなら普通のワインボトルで対応できますし、30日どころではなく数年単位でワインがもちます。

タッチスクリーンにワインの情報が表示されるのも、ラベルが貼ってあればそれを見るので十分だし、そこからワインが注文できなくてもなんら困ることはありません。

一方、金属製のカートリッジにワインが入っているので、どれくらい飲んだのかわかりにくいという問題があります。残量を表示する機能はありますが、正確ではなくあくまで概算で出すだけです。何よりも専用のカートリッジを買わないといけないというのが面倒です。

さらに、タッチスクリーンは結構な電池を消費するので、コンスタントに充電しないといけません。それも6時間くらいしか持たないというのですから、ほとんどずっと充電してつかうようなことになります。

メリットに比べてデメリットの方がかなり多いので、どうしてこれほど出資があるのか不思議な感じがします。
Date: 2016/0329 Category: 業界ニュース
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ワシントン州のワラワラでVital Winesというワイナリーが立ち上がりました。このワイナリーはノンプロフィットで、利益はブドウ畑の作業員たちのヘルスケアに使われます(Non-profit Winery to Fund Workers)。

ブドウ畑の作業員の多くはメキシコなどからの出稼ぎです。ブドウ畑では、刃物による傷を負ったり、ガラガラヘビの被害にあうこともありますが、ヘルスケアは十分とはいえません。ただ、ワラワラには既に、このような人たちでも治療を受けられる「SOS Health Services」というサービスがあり、今回のワインによる収益はそこに寄付されます。

ワインを作るためのブドウや、さまざまな道具、コルクやラベルといったものはすべて寄付でまかなっています。

このような試みがうまく働くといいですね。
Date: 2016/0328 Category: おすすめワイン
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桜の季節に似合うワインというと、やっぱりロゼでしょうね。近年は世界的にロゼの人気は上がっていて、品質も高くなってきているように思います。例えば、ブラッド・ピット夫妻が作っているということで注目を集めているミラヴァル(フランスです)も、Wine Advocate誌で90点が付くなど高い評価を得ています。



フリーマンのロゼは、セニエ法(赤ワインを作る過程で果汁の一部を抜き取り、それをロゼにする方法)を使って作られており、当初は自家消費用だったのが、美味しいから売ってほしいという声が多くなって販売を始めたというもの。個人的には今まで飲んだカリフォルニアのロゼの中では1、2位を争う美味しさ。品種はピノ・ノワールです。



もう1つこれといい勝負だと思うのがルーシーのロゼ。サンタ・ルシア・ハイランズの雄、ピゾーニ家によるロゼです。日本向けには「桜」のラベルで出荷されています。ロゼとしてはかなり色の濃いワイン。これもピノ・ノワールでセニエ法です。




シャトー・イガイタカハのロゼはグルナッシュ・ベース。意外といっては失礼ですが、ちょっとびっくりするくらい美味しいです。


最後はロゼ・スパークリング。ロゼのスパークリングを作っているところはいろいろありますが、ボトルの美しさも含めたら、これが一番だと思っています。個人的にはお祝い
であげるワインとしても、これをよく選びます。もちろん味もよし。
Date: 2016/0328 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2013年にアラウホ夫妻が自身の名の付いたワイナリーを売却したときは、かなり驚きました(参考:シャトー・ラトゥールのオーナー会社がアラウホを買収)。

この記事の最後に、今後は別のところに畑を買って余生を過ごしたいとしていると書いていますが、その新しいプロジェクトが明らかになりました(Anson on Thursday: What the Araujo family did next after selling to Latour owner)。

新しいワイナリーの名前は「Accendo Cellars(アクセンド・セラーズ)」。ソーヴィニヨン・ブランが既に50ドルで発売されており、2016年秋にはカベルネ・ソーヴィニヨンもリリースする予定です。

Accendo Sauvignon Blanc

新しい畑はナパのヴァレー・フロアでシルバラード・トレイルの近くにあるそうです。ただ、今回は自社畑だけでなく購入した複数の畑のブドウをブレンドしてワインを作ることを中心としています。1950年代から60年代ころのイングルヌックやモンダヴィなどのワイン作りに倣いたいとのこと。

なお、ワインメーカーのフランソワーズ・ピションや、コンサルタントのミシェル・ローラン、ヴィンヤード・マネージャーのスティーブ・マサイアソンといったメンバーはアラウホ時代と変わっていません。バイオダイナミクスによる栽培を取り入れていることなども同様。

2016年デビューのワインの中では最も注目されるものの1つとなりそうです。
Date: 2016/0327 Category: 読書感想
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先日、人工知能による囲碁のプログラムAlphaGoが一流のプロ棋士との対戦で4対1と勝利しました。正直、囲碁についてはまだかかるだろうと思っていたので、最初はかなりびっくりしました。しかし、棋譜を見ては感心するしかないレベルで、特にいつの間にか形勢がよくなっていた第2局はAlphaGoにとっては名局だったのかも、なんてことも思いました。

実は僕もかなり遠い昔の高校生時分には碁に打ち込んでおり、また大学では人工知能の周辺的なところを勉強していました。なので、人工知能にとって囲碁がどれほど難しい課題であるか、ざっくりしたイメージは持っており、かつては「コンピュータに負けたら一生碁は打たない」と思っていたこともありました(碁は実質的に全然打ってませんが)。

それだけに近年の人工知能の急速な進歩には驚くばかりであり、何が起こっているのか知りたいと思って読んだのが『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』です。

著者は東京大学の気鋭の研究者である松尾豊さん。

とても分かりやすく書かれている本なので、人工知能やプログラミングなどのバックグラウンドがなくても全く問題なく読めます。あえていえばデータ分析について知っていると、ディープラーニングのところの理解がしやすいかもしれませんが、それも必須ではありません。

これまでの人工知能がどういう方法で何がネックになっていたか、ディープラーニングがその中のどういう部分をどのように解決しているのか、といったことが理解できます。

ディープラーニングのすごさも、限界も分かるので、今の人工知能ができることについては概ねイメージできるようになるでしょう。

今は人工知能は大きなブームになりかけていますが、過去のブームと同じように、買いかぶりすぎな部分もあるし、「人工知能の脅威」的な見方も、まだまだ現状では遠い話でしょう。研究が盛んになって、いろいろな成果が出てくるのはすばらしいですが、思ったように成果が出ないときに「使いものにならない」と思われてしまうのも残念です。

ブームに踊らされるのではなく、正しく理解をして期待もするための第一歩として本書が多くの人に読んでもらえるといいと思います。

ちなみに単行本は1500円を超えますが、電子書籍だと500円弱。お薦めです。


Date: 2016/0326 Category: 業界ニュース
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1年前に「ワインに水道水の許容量の4倍~5倍ものヒ素が含まれていると集団訴訟」という話がありました。

なんだか胡散臭い話だなあと思って見ていると、「「ワインに水道水許容量を超えるヒ素」の件でWine Instituteが声明」とのことで、実際には各国の基準を下回っているとのこと。

それっきり、この話は忘れていたのですが「Lawyers to Fight Dismissal of Arsenic Lawsuit - Wines & Vines」という記事が出ていました。

結局は提訴したものの、裁判官が却下してしまったとのこと。

まだ、上告する可能性はありますが、まず問題はないでしょう。
Date: 2016/0325 Category: おすすめワイン
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3月25日限定でAmazonのタイムセールにガイザー・ピーク(Geyser Peak)のシャルドネとソーヴィニオン・ブランが出ています。ガイザー・ピークというと1000円台の安価なカリフォルニアものが人気ですが、これは1ランク上のAVAもの。シャルドネはソノマ・カウンティ、ソーヴィニオン・ブランはロシアン・リバー・ヴァレー(RRV)となっています。

前者はワイナリー価格で26ドル、後者は22ドルなのが税込みで2169円、2218円。どちらもワイナリー価格よりも安くなっています。

Amazon直売なので送料無料です。




Date: 2016/0325 Category: 業界ニュース
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イタリアのグアラ・クロージャーズ(Guala Closures)はオーストリアのオーセンティック・ヴィジョン(Authentic Vision)社と共同で、偽造を防ぐ技術を入れた栓(クロージャー)を開発したと発表しました(GualaClosures Group — GUALA CLOSURES GROUP PARTNERS WITH AUTHENTIC VISION FOR ‘SMART’ NEW ANTI-COUNTERFEITING CLOSURE SOLUTION)。

Guala Closures

グアラは、一度開けたら元に戻せないような栓の技術を持っており、その栓にオーセンティック・ヴィジョンのタグを埋め込むことで偽造を防ぐそうです。

また、このタグをスマートフォンから読み取ることで、消費者はそのボトルの中身についての情報を調べられるようになっています。

さらには、かかるコストもこれまでとほとんど変わらないとのことで、今後の普及が期待されます。
Date: 2016/0324 Category: 業界ニュース
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世界で最も哀れなブドウの種類ってなんだと思いますか? W.ブレイク・グレイ氏によると「Colorino(コロリーノ)」というブドウだとのことです(The world’s most pathetic wine grape)。

このコロリーノ、イタリアのキャンティで使われているブドウです。とはいってもメインのブドウではありません。キャンティはサンジョベーゼを主体としたワイン。コロリーノは主に赤みを付けるために使われています。「フレーバーは?」、と問われると、生産者でさえ困ってしまうほど。

しかし、このブドウにとってはさらに不幸な転機が訪れます。2006年に、キャンティに白ワイン用の品種を加えることが禁止されたのです。

コロリーノの唯一のメリットは赤い色であり、キャンティやキャンティ・クラシコに白ワイン用のブドウを加えることが認められていたときには、色付け用としての意味を持っていました。

いまやその役割さえも奪われてしまい、存在意義を失いかけています。
Date: 2016/0323 Category: 業界ニュース
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サンフランシスコの東側に位置するマリン・カウンティにおけるワインのパイオニアであり、ナパのテキストブック(Textbook)などのブランドを持つペイ夫妻の妻スーザン・ペイが亡くなりました(Marin winemaking pioneer Susan Pey dies at 52)。

まだ52歳という若さ。乳がんだったそうです。

Scenic Root Winegrowersというサイトによると、マリン・カウンティの「Pey-Marin」、ナパの「Textbook」、ソノマ・コーストの「Spicerack」、そして「The Forager」というブランドを手がけていたようです。

このうちテキストブックは国内にも輸入されています。以前試飲したカベルネ・ソーヴィニヨンはまさにテキストブック的な完成度の高いワイン。ナパのワインとしては価格も安めであり、コスト・パフォーマンスが高いワインでした。

ご冥福をお祈りします。

Date: 2016/0322 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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久しぶりに1000円台のピノ・ノワールを買ってみました。コストコで売っていたEsserというワイナリーのピノ・ノワール2014です。AVAはモントレー・カウンティ。値段は1458円、
Esser Pinot Noir 2014
ストロベリーやチェリーのような赤系の果実の味が中心となった、可愛らしいピノ・ノワール。すごく美味しいってほどではないけれど、1500円のピノ・ノワールとしたらまあまあかな。もうちょっと酸がほしい感じはあるけれど。
Webサイトには2013年のスペックが載っていて、残糖が1リットルあたり3gあるとか。Meiomiなんかを意識した作りなのかもしれないなあ、などと思いました。

なんだかんだ言いつつも、飲みやすいワインではあり、次行ったときも買ってしまいそうな気がします。
Date: 2016/0320 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国の世代別アルコール消費をまとめた記事が載っていました(Millennials Catch Boomers in Wine Consumption - Wines & Vines)。
世代別ワイン消費
それによると、21歳~38歳のミレニアル世代が51歳~69歳のベイビー・ブーマーのワイン消費を超えたとのこと。ベイビー・ブーマーのワイン消費はやや下り坂に入っており、ミレニアル世代の重要性はこれからさらに増していきそうです。また、今後は現在20歳以下の「i世代」が成人になるため、その世代の動向も重要になってきます。

ミレニアル世代は人口的にも7900万人と、ベイビー・ブーマーの7500万、ジェネレーションXの4900万人を上回っています。ただ、人口一人当たりのワイン消費で見ると、今はミレニアル世代とベイビー・ブーマーは同等ですが、逆転は目の前に来ています。

また、週に複数回ワインを飲むようなヘビー・ユーザーが増えている一方で、たまにしか飲まない人は、より飲まなくなってきているといった、格差の拡大も起こっているようです。

ワインを飲む人の56%は女性で、ミレニアル世代のヘビー・ドリンカーで見ると66%とさらに比率は高まります。

ミレニアル世代にリーチするためにはSNSが重要になってきています。34%はFacebookを使っており、YouTubeユーザーやTwitterユーザーは19%。ワイン専用SNSのVivoやDelectableはまだ少なく前者は4%、後者は3%。InstagramとPinterestの重要性は若い世代で上がっています。

また、若い世代ほどカリフォルニアだけでなくいろいろな産地のワインを飲む傾向があります。

公開されているだけでもかなり興味深いレポートなので、フルのレポートを読めば米国のワインマーケットについて非常に勉強になると思います。

いつも思うことですが、日本ではこのレベルのリサーチはされているのでしょうか。サントリーなど大手のメーカーはやっているのかなあ、表に出ないだけで… やみくもに調査すればいいってものではないですが、根拠のある数字を知りたいものです。
Date: 2016/0319 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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リッジ(Ridge)がオーガニックへの転換をゆっくりと進めています。オーガニックの認証を受け始めたのは2008年ですが、そこまで5年間オーガニックでの栽培を行っており、それ以前は10年間かけて持続的な栽培を実践していました。

サンタ・クルーズ・マウンテンズにあるモンテ・ベッロの畑の場合、2010年にはオーガニックの認証を受けた畑がゼロだったのに大して、2015年には73%に達しています。また、ソノマにある畑も2017年にはオーガニックの割合が86%に達するそうです

リッジのSCMの畑

一気に進まないのは、ワインの味への影響が出るのを避けるため。

現在のペースだと2018~2020年にすべてオーガニックになるそうです。
なんとなく、リッジらしい進め方ですね。
Date: 2016/0318 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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レストランでワインリストからワインを選ぶとき、何を選ぶのがいいでしょうか。一番安いもの?

一番安いワインは、実は一番割高なんてこともありえます。そこで、無難な選択肢として安い方から2番めのワインを選ぶのがいい、という法則ができてきました。これを「Second Cheapest Wine Principle」略して「SCWP」といいます。

この法則が本当に成り立っているのか、ニューヨークのレストランで調べた記事がありました(PUNCH | Testing Out the Second-Cheapest Wine Principle)。

結論からいうと、SCWPは多くのレストランで成り立っていました。

ただ、敵もさることながらで、ソムリエが飲んでもらいたいワインを2番めに持ってくるなんてこともあるようです。

そもそもこのSCWPルールがどれだけメジャーなのか分かりませんが、記事の書きっぷりでは、割と手広く使われていそうな感じでした。
Date: 2016/0317 Category: 読書感想
Posted by: Andy
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多湖輝(たこあきら)さんが亡くなりました。『頭の体操』シリーズは小さいころ家に何冊もあって、むさぼるように読んでいたものです。

今でもネットでときどき出回ってくる論理パズル系のクイズはほとんどが『頭の体操』の二番煎じかせいぜい焼き直し程度のように思います。

楽しい問題をたくさんありがとうございます。

子どもたちに解かせてみたら面白いかな。



Date: 2016/0316 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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「ワインセラーパリ16区」のセールでコルギンやハーランのメイデンが安くなっています。今はメイデンで4万円近く、コルギンのIX(ナンバーナイン)エステートだと8万円近くしてしまいますが、メイデンは約3万円、コルギンは約5万円。

コルギンの2006、2007はWine Advocte誌で100点、2005年は98+ですから、今の水準からしたら大盤振る舞い。現地価格より安くなっています。

Date: 2016/0315 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ソノマのアレキサンダー・ヴァレーにあるジョーダン(Jordan)のブログに2016年冬の天候のレポートが載っていました(2016 Vintage Weather Report | Jordan Winery Sonoma County)。

エルニーニョで旱魃に一息、といったところではありますが、降水量は平年の84%。もちろんここ数年と比べれば全然マシですが、これでも平年以下か、というのはありますね。

ただし、Jordanでは水不足に備えてワイナリー内に自社の貯水池を2つ作っており、それらは2つとも満水になったとのこと。完全に安心とは言えないものの、まずは一安心の春になったようです。

2016年がいいシーズンになりますように。

The vines are soaking up this week's rainfall.

Jordan Wineryさん(@jordanwinery)が投稿した写真 -


Date: 2016/0313 Category: 業界ニュース
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スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ(Stag's Leap Wine Cellars)がパリスの審判から今年で40周年になることを記念して、2013年のSLV(Stags Leap Vineyard)カベルネ・ソーヴィニヨンで、復刻ラベルを採用すると発表しました。

1973年SLV
画像はYoutubeから

また、3月1日から5月26日までは、パリスの審判に参加したナパのワイナリーによるパスポート・プログラムが開催されます。参加するのはスタッグス・リープ・ワイン・セラーズのほか、シャトー・モンテリーナ、フリーマーク・アビイ、スプリング・マウンテンヴィンヤード、クロ・デュ・ヴァル。参加費は200ドルで、これらのワイナリーで特別なテイスティングが可能だとのこと。

このほか、5月24日の10時~16時にはシャトー・モンテリーナと共同でオープンハウスを執り行います。

もう40年なのか、やっと40年なのか。確かにエポックメイキングなことではありましたが、そろそろカリフォルニア・ワインにとっても、パリスの審判以外での何かがほしい感じがします。
Date: 2016/0312 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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先日紹介したヴァーナーのシャルドネ、カリフォルニアワインあとりえやパシフィックワインセラーズにも入荷しています。

先日もお知らせしたように、今回の2013ヴィンテージのシャルドネで国内輸入されたのは、ホーム・ブロック、ビー・ブロック、アンフィシアターの単一ブロック(畑はどれも同じ自社畑)ものだけです。一番評価も人気も高いニーリー・ホーリーズ・キュベという名前のブロック・ブレンドものは入ってきていません(あとりえによるとワイナリーが日本割当分を間違って別のところに回してしまったとのこと)。

3ブロックの中ではWAではホーム・ブロックが95点と一番高い評価でビー・ブロックが93+、アンフィシアターは90点と、このワイナリーにしてはちょっと低い点数。ですが、アントニオ・ガッローニのヴィナスはどれも95点以上を付けています。後は好みの問題かと思いますが、ブロックごとの違いまでは私も語れません… 

飲んだことある人には説明不要なワインだと思いますが、ナパやソノマのビッグネームを追い求めている方には、ぜひ騙されたと思って飲んでみてほしいと思います。

Date: 2016/0311 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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著名なワイン評論家のジェームス・サックリングが、2013年のナパのワインのトップ10を発表しています(Top Ten 2013 Napa Reds | Wine ratings, Wine reviews, Wine tasting notes & Wine videos)。

評価の非常に高いヴィンテージだけあって、トップ10のうち7本には100点を付けています。列記すると

Paul Hobbs Cabernet Sauvignon Beckstoffer To-Kalon
Dominus Estate
Opus One
Screaming Eagle
Dana Estates Cabernet Sauvignon Helms Vineyard
Harlan Estate
Realm Cellars Beckstoffer To-Kalon

また、99点のワインは
Continuum
Peter Michael Au Paradis
Bond Pluribus
の3本。

いずれ劣らぬ名ワインであり、ある意味面白みは全然ないのですが、この中でオーパス・ワンとドミナスが入っているのは、他のワインと生産量が全然違うことを考えると立派ですね。

なお、国内流通のヴィンテージで見ると、オーパス・ワンは2012年、ドミナスはまだ2010年です。2013年まではまだまだですが、また価格が上がってしまいそうです。

Date: 2016/0310 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine & Spirits誌は、もう27回目になる恒例のレストランにおけるワインの人気投票「Restaurant Poll」を実施しています。その、今年の結果からシャルドネの好みの傾向を考察した記事がありました(American Wine Drinkers Cut Back on Butter | Wine News & Features | Mobile)。

今年の人気ー位はCakebread(ケークブレッド)、二位はJordan(ジョーダン)で、どちらもコテコテ系ではない「フードフレンドリー」なシャルドネを得意としています。また、投票したソムリエの一人はは、「カリフォルニアのシャルドネはシャブリ的なスタイルになってきている」とコメントしています。

また、コテコテ系(元記事ではButtery)の代表格である、ロンバウアー(Rombauer)やソノマカトラー(Sonona-Cutrer)は近年ランクを大きく落としています。ロンバウアーは2011年までトップ5だったのが今年は47位、ソノマカトラーは昨年三位が今年は16位です。

また、高級系コテコテのキスラー(Kistler)も、昨年8位から25位に落ちています。ただし、キスラーについては「近年はコテコテ系から変わってきた」というコメントもあります。

シャルドネがレストランで一番人気なのは変わりませんがグラスではピノ・ノワールの人気も上がっています。

グラスワインの人気一位はメイオミ(Meiomi)。ケイマスの一族が作ったピノ・ノワール専業ワイナリーで、昨年巨額で売却して話題になりました。

メイオミはピノ・ノワールの中でも甘々系と言われていますが、そうでないワインも入っています。二位にはコパン(Copain)、四位タイにはサンディ(Sandhi)と、IPOBのワイナリー、しかもそれほど規模が大きくないところが入っています。

このように、アメリカ人のワインの好みの変化を表しているように見えるレストラン・ポールですが、気をつけなければいけないことがあります。

一つは調査の回収率。2952軒のレストランに依頼して、回答は250軒にとどまっています。ニューヨークやカリフォルニアといった「意識高い系」の比率が高くなっています。

もう一つは調査の回答は必ずしも実績に基づいていないこと。ソムリエが実際に売った数ではなく、何を売りたいかを表したものであることです。

なるほどなあ、といろいろ勉強になりました。
Date: 2016/0309 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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柳屋にヴァーナーのシャルドネ2013年が入荷しています。良年と言われた2012年を質的には上回ると言われているヴィンテージ。ヴァーナーについてはWAのレイティングはまだ付いていませんが、アントニオ・ガッローニのヴィナスは高評価を与えているようです。

毎年の高評価にもかかわらず、日本での価格があまり変わっていないのはありがたい限りですが、さすがに本国での需要が強いせいか、今年はシャルドネのニーリー・ホーリーズキュベ(複数畑のブレンドもの。毎年これが一番の評価を受けている。WAでは最高98点)が入ってこないそうです。

IPOBにも入っているワイナリーであり、ピュアなワインという言葉がすごく似合うワイン。1万円以下のシャルドネでは、同じサンタクルーズマウンテンズのマウント・エデンと並んで、最高品質のものの一つだと思います。
Date: 2016/0309 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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オンラインWassy'sの店長ハダノリさんの誕生日は今日3月9日(おめでとうございます!)。毎年それにちなんだサンキューセールが開催されています。

今年は今日の10時(本店では7日)から明日の10時までのレアもの放出セールのほか、今日注文された方から39名にペアワイングラスプレゼント(備考欄にその旨書く必要があります)、あすまでの注文の方10人に一人に3900円のポイント(楽天ではなく、本店のですね、多分)プレゼントという大盤振る舞い。

セール品はちゃんと見られてないのですが、スモールヴァインズとかウィリアムズセリウムとかに惹かれました。
Wassy's楽天店はこちら
本店はこちら
ワイン買うなら今日がチャンスですよ〜
Date: 2016/0308 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Advocate誌の223号が発表されました。カリフォルニアでは「Focusing Primarily on Sonoma」というタイトルでロバート・パーカーがソノマのワインを中心にレビューしています。

最近では100点のワインが出るのが当たり前になってしまっていますが、今回も例外ではなく6本のワインに100点がついています。

そのうち3本はマーカッサン(Marcassin)。妥当なところですが、今回はシャルドネだけでなくついにピノ・ノワールでも満点が付きました。2014年のBessie’s Blockという非常に限定されたブロックのブドウを使ったワインのようです。シャルドネは2012年と2013年のMarcassin Vineyardが満点。

このほかポール・ホブズ(Paul Hobbs)が初の満点。ただし、ワインはソノマ産ではなくナパのベクストファー・トカロンとベクストファー・ドクター・クレーンの2本です。

残り1つの満点はスプリング・マウンテンのソノマ側に畑を持つヒドゥン・リッジ(Hidden Ridge)というワイナリー。「 2013 Cabernet Sauvignon Impassable Mountain Reserve」というワインです。「one of the most compelling and profound Cabernet Sauvignons I have ever tasted」ということでレビューの文章も、これ以上はないというほど褒め称えています。

ここは最大斜度55度という急斜面の畑でカベルネ・ソーヴィニヨンを作っています。ワインを作り始めたのは2003年からのようなので、まだ10年ちょっとの若いワイナリー。Wine Advocate誌でのレビューも2008ヴィンテージからとなっています。満点を取ったワインは定価125ドルですが、これですぐプレミアが付くでしょうね。まだリリースされていないようなので、今MLに申しこめばもしかしたらチャンスがあるかもしれません。55ドルのレギュラー版カベルネも97+という高得点。

このほかにも、高得点を取ったワイナリーで、あまり馴染みのないところがいろいろあります。

Bevan Cellars(ビーヴァン・セラーズ)は既にナパのワインで満点を取ったことがありますが、2010年のワインから急に高得点を取り出した、まだ新しいワイナリー。今回はシラーのMoaveni Vineyard 2013が99点。

Bevan CellarsのRussel Bevanがコンサルティング・ワインメーカーを務めるNine Sunsは今回が初登場で、ナパのプリチャード・ヒル産のカベルネ系のブレンドが98点。ワインはまだリリースされていないようです。

2013年のSyrah Obsidian Vineyardが99点を取ったDonelan Familyも2007ヴィンテージから掲載のワイナリー。

Jeff Cohn Cellarsはそれほど新しいワイナリーというわけではありませんが、これまではそれほどレイティングで目立つワイナリーではありませんでした。今回は2本のシラーが98点。どうも2013年のソノマのシラーはかなりいいようですね。

1998年以来16年ぶりに2014年のワインがレビューされたChase CellarsはEstate Reserveのジンファンデルが97点。ただ、ここは新参者でもなんでもなく、Turleyで有名なHayneの畑を持っているワイナリーだそうです。

発音が難しいワイナリーとして知られているGundlach Bundschu。正しくは「ガンロック・バンシュー」ですが、「グンドラック・ブーンドシュー」などと書かれているのを見たこともあります(参考:Gundlach Bundschu: 150年以上の歴史を持つカリフォルニア最古の家族経営ワイナリ)。

ここはカリフォルニアで2番めに古いワイナリーであり、一番古い家族経営のワイナリーなのですが、これまでワインの評価自体はそれほど高くありませんでした。それが今回2013年のメルローとプロプライエタリ・レッドで97点という高得点。ある意味、今回一番驚いたことでした。
ガンロック・バンシュー
Date: 2016/0305 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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リヴァーズ・マリーの高得点ものが一気登場、WA98点で1万円切りも」という記事で紹介したリヴァーズ・マリー(Rivers-Marie、リヴァース・マリー)の高得点ワインがカリフォルニアワインあとりえに再入荷しています。

ただし、元記事タイトルに書いた「WA98点で1万円切り」のシャルドネは再入荷したものの既に売り切れです。

その代わりといってはなんですが、「ジョイ・ロード」というシャルドネが新たに入っています。これはWAでは未評価。

カベルネもお買い得なのでお早めに。


Date: 2016/0304 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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自宅ですき焼きっぽい何かを作ったときに、ワイン飲もうかと、開けたのがこのワインです。
August West Syrah Rosella's 2007
オーガスト・ウエストの最初のラベルデザインのものです。懐かしい。セラーの奥に埋もれていました。

サンタ・ルシア・ハイランズのロゼラズといえばピノ・ノワールが有名ですが、実はシャルドネもすごく美味しいし、シラーもいいんです。

ただ、開けた初日はまだ目覚め切らなかったのか、うちにこもった濃密さを感じるものの、ロゼラズらしい陽性なところがあまり出てきませんでした。

一番美味しかったのは2日め。花が満開になったような明るさが出てきました。濃いだけのシラーは世の中たくさんありますが、ここのシラーは酸がとてもすっきりしていて、バランスが取れているのです。「シラーは飲み疲れする」なんてコメントもいただきましたが、ロゼラズのピノ・ノワールにも通じるこのスタイルは、多くの人が受け入れるのではないかと思います。残念ながら日本では入手できないようですが…

もちろん、ピノ・ノワールも美味しいし、シャルドネもいいです。オーガスト・ウエストのロゼラズでハズレだったことはまだありません。

Date: 2016/0303 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ジャン・シャルル・ボワセ(Jean-Charles Boisset=JCB)がナパのヨントヴィルに新しくテイスティング・サロンを開きました。その訪問記事が出ています(The Coolest New Destination in Napa Valley is in Yountville)。

JCBのワイナリーについては以前「JCBのワイナリーが興味深い」という記事でも書いていますが、ナパのRaymondやソノマのBuena Vistaといった買収したワイナリーで、非常に個性的で面白いツアーを開いています。

ヨントヴィルのサロンはJCBブランドで出ているワインの試飲用。テイスティング用のテーブルに液晶画面が仕込んであって、ワインの情報などを表示できるようになっています。

百聞は一見にしかずといいますが、ここだけは行ってみないとコメントできそうにありません。ともかく、ジャン・シャルル・ボワセが作るものだから、はずれはないでしょう。なお、彼は「平均的なことをやるのには興味が無い」と言っています。今後のさらなる展開に期待します。

サンフランシスコのサロン

なお、写真はサンフランシスコのサロン。中央の男性がJCBです。
どうも彼を見ていると、『チャーリーとチョコレート工場』のジョニー・デップを思ってしまいます(顔は似ていませんが)。ワイナリーやサロンの非現実的な風景がそう思わせるのかもしれません。

うーん、行ってみたいなあ。
Date: 2016/0302 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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レイヴンズウッドのジョエル・ピーターソンが新しいワイナリーを設立しました。名前はワンス&フューチャー(Once &Future)。この3月にジンファンデルとプチ・シラーをリリースします(Joel Peterson set the course for California Zin. Now he returns to his roots - San Francisco Chronicle)
ワンス&フューチャー
画像はホームページから。

レイヴンズウッドと言えば、リッジと並んでジンファンデルの古木からのワインを広めたパイオニア。「No Wimpy Wines」という標語でも知られているように、男性的な力強いワインを作っています。

とはいえ、実はレイヴンズウッドのオーナーは現在はConstellation Brands。元々の共同のオーナーが引退するときに、ジョエルにはそれを買うだけの資金がなく、権利を手放したのでした。

その後、ヴィントナーズ・ブレンドの成功でワイナリーの経営はよくなったのですが、やはりやりたいことが何でもできるわけではないのでしょう。

また、息子のモーガン・トゥエイン・ピーターソンのベッドロックが成功したことが、ジョエルの何かを炊きつけたのかもしれません。

このワイナリーのために、1980年代に使っていた大きなレッドウッドのタンクを引っ張り出してきたとのこと。昔のワイン作りに立ち返ってできた、そのワインはレイヴンズウッドと比べると、かなりデリケートな味わいのものになったようです。

ちなみにジンファンデルの畑はベッドロック(!!)、プチ・シラーはカリストガにある畑からだそうです。生産量はそれぞれ200ケース、270ケース。

なお、レイヴンズウッドを辞めたという話ではないはずです(多分)。

これは興味深いですね。息子のワインと飲み比べしてみたい。

それと、余談ですが、この記事書いているのは元クロニクルのライターのジョン・ボネですね。クロニクルに戻ったのでしょうか?
Date: 2016/0301 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ナパの高級カベルネ・ソーヴィニヨン(やそのブレンド)で最も入手が難しいのは何でしょうか。スクリーミング・イーグル? シュレーダー? ハーラン?

もちろん、これらも高価かつ入手が非常に難しいワインですが、レアさでまさるとも劣らないのがスケアクロウ(Scarecrow)です。

スケアクロウのワイナリー紹介はこちら:Scarecrow Wine: Inglenookの遺産を継ぐもう1つのプレミアム・ワイナリ

Wine Advocate誌では2007年のあと2013年にも100点を取っていますが、そういった評価だけでなく、ナパでおそらく最古といってもいいカベルネ・ソーヴィニヨンの畑であることがさらに興味をそそります。

国内にも輸入されていますが、わずか12本という本数なので、見る機会があればラッキーといったレベルです。

このスケアクロウの「セカンドみたいなもの」がムッシュ・エタン(M. Etain)。「スケアクロウのセカンド(のようなもの)「Mエタン」に良ヴィンテージ2012年が登場」という記事でも紹介していますが、特にセカンドとしてわけているわけではなく、パーカーも「セカンドという範疇には収まらない」と書いています。

2013年はWine Advocate誌で95点という評価。点数的にもセカンドのレベルではありません。

価格も2万円台と安くはないですが、スケアクロウの片鱗でも味わえると思えば、買う価値はありそうです。

Date: 2016/0229 Category: 技術系
Posted by: Andy
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その1はこちらです。
今週もルンバと一緒に掃除してみました。まだ留守中にフリー行動させてはいません。ルンバ君の挙動を調べています。

先週との違いは掃除が終わったときにベースに戻る機能を使うこと。とはいっても、家中を掃除して回るのにどれだけかかるかわからないので、まずは狭い範囲で試してみます。

最初にトライしたのは洗面所。広さは1畳くらいでしょうか。入り口にベースを置いて、外に出ないようにして掃除させたところ、概ね14分かかりました。人が掃除機かけたら1分くらいで終わるでしょうから、ルンバ君相当丁寧です。ただ、ちょっと時間かかり過ぎな気もします。

アルゴリズムとして、ゴミがなくなったことを検知しているのか、それとも何回か回ったらOKとしているのかは不明です。

次は台所。こちらの方が洗面所よりも広いですが、やはり14分くらいで終了しました。

次は廊下と玄関、子供の部屋。子供の部屋はロフトベッドがあり、棚もいろいろあるのでかなり通路が狭いです。

結局、子供の部屋は途中で折れ曲がるところで挫折したらしく、そこから先には行っていませんでした。そして今回は1時間を超えても終わりません。

強制終了させてみたところ、ゴミもルンバのダストボックスがいっぱいになるまで溜まっていました。やはりゴミを検知して終了判定しているのでしょうか。

今回は、あと和室をルンバに掃除してもらい(終了は手動で)、その間にリビングは自分で掃除機をかけました。

ルンバが掃除してくれたところはかなり徹底してゴミを取ってくれているので、かなり省力になったのは確かです。ただ、一回で家中全部掃除させるのはやはり相当ハードルが高そう。一日一箇所ずつとか決めれば留守中の掃除機能でもなんとかなるかもしれません。

なお、ルンバはアイロボット ファンプログラムの企画でモニター利用しています。

おまけ、ルンバでちょっと遊んでみました。笑える。
Date: 2016/0229 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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先日、セミナーの記事を公開したチャド・メルヴィルが、奥さんと作ったワイナリーがサムサラ(Samsara)です。2代目ワインメーカーとなったメルヴィルとの最大の違いは、ホール・クラスター(除梗なし)にこだわっていること。
サムサラ

カリフォルニアでもピノ・ノワールでホール・クラスターを一部使うワイナリーはよくありますが、100%ホール・クラスターで作っているワイナリーとなると、ほかにはブリュワー・クリフトンくらいしか思いつきません。ほとんど自然に任せた醸造過程も含めて、ブリュワー・クリフトンとサムサラは似ているような気がします。

今は100%自社畑に移行したブリュワー・クリフトンですが、かつてはすべて購入したブドウで作っていました。そんなところもサムサラに重なります。チャド・メルヴィルはメルヴィルでグレッグ・ブリュワーのワイン作りをずっと補佐してきたので、もちろん共鳴する部分があったのだろうと思います。

エステート移行前のブリュワー・クリフトンを代表するワインの1つがカーガサキ(Cargasacchi、カルガサッキ)のピノ・ノワール。2007年のブリュワー・クリフトン、カーガサキはWine Advocate誌で97点。ブリュワー・クリフトンのピノ・ノワールとしては最高の評価を得ています。

Wine Advocate誌におけるサムサラのピノ・ノワールでは2012年のMelvilleが95点と一番高い評価ですが、2011年と2012年のカーガサキも94点と非常に高い評価を得ています。先日試飲した、未リリースの2013年と2014年も非常にポテンシャルの高いワインでした。

日本では今のところ2011年のカーガサキおよび、2011年のケースラー・ハーク(WAで92点)が入っています。ブリュワー・クリフトンが好きな人なら、きっとサムサラにもはまるだろうと思います。

Date: 2016/0228 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Vinous
ヴィナス(Vinous)のアントニオ・ガッローニが2014年ヴィンテージのレビューを発表しています。ヴィンテージ評の部分は会員でなくても閲覧できるようになっています。

豊作で質も高いとされた2013年と比べて、収穫量は平年並みだった2014年。特筆すべきなのは収穫時期が早まったことと、海岸近くのエリアでは霧の影響で病気がでやすく、かなりの選果が必要だったことです。

ピノ・ノワールでは、ブドウの実が小さく、相対的に皮の部分が多くなったことから、ワインに複雑さと味わい深さが出たそうです。その結果、少なくとも2009年以降では最良のヴィンテージになったとのこと。

シラーは濃厚ですが、2013年に比べるとミディアム・ボディだとか。2014のナパ・カベと共通する性質があるとしています。

ジンファンデルは畑による差異が大きく、歴史ある畑では他の品種と混じっているので一般化して語るのは難しいのですが、2014年は比較的軽い味わいでピノ・ノワール的なワインになった傾向があるそうです。

シャルドネも非常にいいヴィンテージ。2013年との差異は、出来不出来というよりもスタイルの違いになるだろうとのこと。

悪いと言われた2011年も、今まで飲んだものでは(かなり少ないですが)、不出来さを感じたことはほとんどありません。このサイトを初めてから一番悪かったと思われる1998年でさえ、最近は見直されていることを考えると、どのヴィンテージも「ハズレ」ってことはほとんどなさそうな気がしています(もちろん、その背後にはグロワ―やワインメーカーの努力があるのだと思います)。

とはいっても、やっぱりいいヴィンテージのものは、全体的にクオリティが嵩上げされているような気がしますし、2014年はピノ好きにとっては嬉しいヴィンテージになっていそうで、今からが楽しみです。
Date: 2016/0227 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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メルヴィル(Melville)の創設者Ron Melvilleの息子で、Greg Brewerの退任によってメルヴィルのワインメーカーになったチャド・メルヴィル(Chad Melville)のセミナーに参加しました。チャドはメルヴィルのほかに夫婦でサムサラ(Samsara)というワイナリーも営んでおり、両方のピノ・ノワールを解説しました。なお、チャドのメルヴィル・ワインメーカー就任に伴い、メルヴィルの日本のインポーターは、サムサラを扱っていたアイコニック ワイン・ジャパンになりました。
Chad Melville
セミナーは、完成したメルヴィルやサムサラのワインを飲むのではなく、バレル・サンプルを中心に、土壌や除梗の有無、クローンの違いといったものを味わうという構成。メルヴィル4種とサムサラ5種が提供されました。
image
まず、メルヴィルでは土壌の違いをみました。ワインはどれも2015年、収穫してから半年も経っていないものです。

メルヴィルのあるサンタ・リタ・ヒルズは、かつては海底だったところ。現在は砂や粘土の土壌が中心になっています。
砂地のサンプル
粘土のサンプル

まず最初に試飲したAnna'sというブロックは砂が中心のところ。一方、2番めの「M」というブロックは粘土質です。どちらもクローンは114で、33%除梗していないブドウを使っています。どちらもラズベリーなどの赤い果実の風味にブルーベリーのような紫の果実の風味がありますが、粘土質の「M」の方がよりパワフルで、タンニンもかなりきつくなっています。一般に粘土質の方が男性的なワインができるとのこと。また、サンタ・リタ・ヒルズは2月下旬に芽吹いて、収穫時期は10月に入ることが多いことから、生育期間が非常に長く、それがダークなフルーツの風味に現れてくるそうです。
メルヴィルの畑の説明をするチャド・メルヴィル
次に、除梗の有無による違いを見ます。

3番めと4番めのワインは「Sandy's」の2015年。土壌は砂で、クローンは37という、あまり一般的ではないですが、サンタ・リタ・ヒルズでは近年人気が上がっているというクローン。3番めは完全に除梗、4番めは100%ホール・クラスター(除梗していない)でした。

3番めは明るく親しみやすい味わい。やや軽めです。4番めはフルボディでタンニンもかなり強くスパイシー。これほども違うのかという味わいでした。

ピノ・ノワールで除梗しないのはかなりリスキーなので、カリフォルニアで実践しているワイナリーはあまり多くありません(サンタ・リタ・ヒルズではブリュワー・クリフトンが100%ホール・クラスターです)。チャドはここにかなりこだわりを持っており、生育期間の長さが、茎の成熟にもつながるので、それを活かすためにもホール・クラスターを積極的に使っていきたい意向のようです。

なお、メルヴィルでは、ブロックごとに別々に醸造して樽熟させていますが、ブロックによって、ここはホール・クラスター、ここは除梗、といった違いをもたせているそうです。経験で、このブロックは茎が完全に熟すのでホール・クラスターにしてよい、とか、このブロックは未熟な茎が残るので除梗しないといけない、といった区別が付くとのこと。また、ブドウの実の周りの葉を取り去ってブドウにしっかり日が当たるようにするといった手間をかけていることも、ホール・クラスターには必要だそうです。チャドの知り合いのワインメーカーが畑を見に来て、その徹底さに驚いたほどだとか。

さて、ワインは後半のサムサラに移ります。
すべて自社畑のメルヴィルに対し、サムサラは購入したブドウだけを使っています。また、メルヴィルとの違いとしてはサムサラは天然酵母を使っているとのこと。低温で発酵させてじっくりと風味を引き出しているようです。

まずはカルガサッキ(Cargasacchi)の2013年と2014年を比較します。2014年はバレル・サンプル。2013年はボトリング済みですが、さらに1年寝かせてから出荷するとのことで、まだ市場には出ていないワイン。2013年は40%ホール・クラスターで2014年は70%ホール・クラスター。

どちらも、ダークなフルーツの風味が強く、パワフルでタンニンもしっかりしたピノ・ノワール。個人的には2014年のカルガサッキはすごいワインになりそうな気がしました。パワフルなだけでなく、明るい陽性の風味もあり、非常にポテンシャルのあるワイン。まだ市場に出てくるまで2年あるのでこれからどう成長するのかわかりませんが、極めて興味深いワインでした。

最後の3つはラサマナス(Las Hermanas)という畑のもので、クローンの違いを見ます。3番めは2013年でクローン115とポマールのブレンド、4番めと5番めは2014年。4番めはクローン115のみで5番はポマールのみ。

3番めは親しみやすい味わい。この日のワインの中では軽めですが、スパイスも感じます。4番めは複雑みを感じます。スパイシーで果実味よりも熟成した味わいが楽しみな感じ。5番めは明るく華やかなワイン。ぱあっと味わいが広がる感じがします。

4番で使っているクローン115はDijon系のクローンの中でも人気が高く、これ1つでブレンのしなくてもワインの完成度が高くなるというもの。ちなみにカルガサッキもすべて115です。確かに115は完成度高いかもしれませんが、ブレンドによる面白さも感じた試飲でした。

メルヴィルのワインはこれまでも何度も飲んだことがありますが、実はサムサラは初めて。今回のは完成したワインではないので、そのまま評価はできないでしょうが、メルヴィルに負けない美味しさのワインだと思いました。特に2014年はいろいろ楽しみな感じがします。先日のシャトー・イガイタカハの試飲でも感じましたが、サンタ・リタ・ヒルズの2014年は、非常にいいヴィンテージだった2013年よりもさらに美味しいかもしれません。

最後に、いくつか質問をしたので、プレゼントをいただきました。
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Date: 2016/0226 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2015年の米国のワイン輸出額は16億1000万ドル。2014年より7.6%増えて過去最高でした(California Wine Exports Set Record in 2015: Worldwide Demand Grows, Despite Strong... -- SAN FRANCISCO, Feb. 25, 2016 /PRNewswire-USNewswire/ --)。量は4.1%の増加とのことで、価格の伸びが上回っています。

国・地域別に見るとEUが6億2200万ドル。カナダが4億6100万ドル。どちらも前年をわずかながら上回っています。前年3位の日本は香港に抜かれ4位。価格的にも9600万ドルと前年の1億159万ドルから6%減りました。
Date: 2016/0225 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアに新しいAVA「Lamorinda(ラモリンダ)」ができることが決まりました。3月25日より、正式にAVAとなります(Federal Register | Establishment of the Lamorinda Viticultural Area

場所はコントラコスタ郡。サンフランシスコの東側でオークランドの奥の方になります。市の名前で言うとラファイエット(Lafayette)、オリンダ(Orinda)、モラガ(Moraga、ワイナリーのMoragaとは無関係)に相当します。

AVAの境界

ワイナリーの数はそこそこありますが、どちらかというと都会に近いようなイメージの場所です。
Date: 2016/0224 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパで20回目となるプルミエ・ナパ・ヴァレー・オークションが開催されました。今年の落札総額は500万ドル。昨年、一昨年よりは100万ドルほど減りましたが、それでも過去3番目となる売り上げでした(Premiere Napa Valley Barrel Auction Wows with $5 Million Total)。
オークション風景
毎年2月に開催されるプルミエ・ナパ・ヴァレーは業界向けのイベント。出品するワイナリーはこのオークション専用のロットを作り、ラベルも専用のものが貼られます。生産本数は1ロットあたり60本から240本。どれを取っても、そのワイナリーの粋を凝らしたものとなっています。

今年のトップロットは13万ドルで、Memento MoriとNine Sunsが同額でした。Nine Sunsは今年初参加のワイナリーですが、これから有名になるのでしょうか。

オークションの参加者もプロばかり。日本の中川ワインは落札額上位の常連となっています。

また、今年は初の試みとして226ロットのうち26ロットはオンライン・オークションで売られました。
Date: 2016/0223 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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チャールズ・クリュッグのピーター・モンダヴィ・シニアが亡くなりました(Charles Krug Winery)。享年101歳。お悔やみ申し上げます。

ピーターはロバート・モンダヴィの弟。一家が1943年にチャールズ・クリュッグを買った後、ロバートはセールスとマーケティング、ピーターはワイン作りを担当。1965年にロバートを勘当した後も両親と共にチャールズ・クリュッグを守ってきました。ピーターの二人の息子マークとピーター・ジュニアがワイナリーを引き継いでいます。

Charles Krug

ロバートとはある意味、正反対の性格のピーター。存在は地味ですが、ファミリー・ビジネスとして地道に続いていること、家族の結束が固いことはロバートを反面教師としたのでしょうか。
Date: 2016/0222 Category: 技術系
Posted by: Andy
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ルンバが家にやってきました。最新の885というモデルです。アイロボット ファンプログラムの企画でモニターで3カ月弱という利用期間ですが、ルンバ君、どれだけ働いてくれるか楽しみです。



とはいえ、ものが多すぎる我が家。ルンバ君の居場所を作るのも大変です。

とりあえず、ダイニングテーブルの下に充電器を置いてみましたが、そこからだとルンバが自分で出入りできません。

ルンバの使い方というと、家の人が留守の間に家のお掃除をしてくれるというイメージがありますが、そこまでの道のりは遠そうです。

掃除の友として、拭き掃除をするときにルンバ君にも働いてもらうことにしました。

まずは和室からスタート。リビングとの段差が心配なのですが、「バーチャル・ウォール」という付属デバイスがあって、それを設置すると、そこを越えないようになるとか。結界を張ったような感じですね。

というわけでそれを設置し、部屋の中央にルンバを置いて、スタート。

あらかじめ邪魔になりそうなものは隣室に動かしたので、快調に働きます。

かなり丁寧に同じ所を何度も掃除します。

掃除が終わったら終わりましたとか言うのかと思いましたが、放っておくといつまでも掃除しているようです(それとも部屋が汚いのか?)。頃合いを見計らってストップします。

ルンバにはリモコンも付いていて、何に使うのかと思いましたが、ストップさせるのはこれで簡単にできました。

次はリビング。真ん中のカーペットが登りづらいようです。諦めたのか廊下のほうに掃除に行ってしまいました。なかなか戻ってこないので、強制的に連れ戻し、結界も張って再スタート。

そんなこんなで、3部屋ほど掃除してみたら、ゴミの収納ボックスからあふれるほどゴミが取れていました。

ルンバ、やるじゃないか。

我が家にあった効果的、効率的なルンバの使い方を徐々に探っていきたいと思います。
Date: 2016/0222 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ジンファンデルには「古木信仰」があります。ラベリングのルールとしては何の意味もありませんが「Old Vines」と書いてあれば、それだけで質が高いワインのような気がします。実際、先日来日したベッドロックのように、100年を超える畑から次々と素晴らしいワインを作っているワイナリーもあります。

Gnarly old vines

では、本当に古木はいいワインを作るのだろうか、とSFクロニクルの記事が問いかけています(Do old vines really produce better wine? - San Francisco Chronicle)。

なかなか面白い議論で、元記事を読んでいただきたいところですが、結論から言うと、「古い樹はバランスが取れたワインを作りやすい」ようです。

若い樹は、放っておくと、実を付け過ぎたり、完熟な果実と未熟な果実とバラバラになったりすることがありますが、古い樹は、自然にその樹にあった収量になり、バランスが取れた味わいになるといいます。

実際に、カーライルでは古木の畑の中で、死んでしまった樹のところに、同じ畑の樹の枝を使って、新しい樹を植えています。つまり、樹齢以外は全く同じブドウと言えるわけですが、若い樹と古い樹を別々に収穫して比べてみると、古い樹はバランスが取れているのに対して、若い樹はカリウムの量が多すぎたり、酸が少なすぎたりなど、何かおかしなところが出るそうです。おそらくは根の張り具合などから、そういった違いが出るのでしょう。

古い樹はカリフォルニアの大きな資産だと思います。

Date: 2016/0221 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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今月になって、ドミナスのクリスチャン・ムエックスが作る新しいワイン「ユリシーズ(Ulysses)」が、様々なサイトで取り上げられています。
Inside the new Moueix Napa project: Ulysses – Decanter
Christian Moueix Launches New Upscale Napa Label, Ulysses
My Blog: Welcome to Ulysses - The New Napa Estate of Christian Moueix | Wine ratings, Wine reviews, Wine tasting notes & Wine videos

場所はオークヴィルの西側斜面。1920年代にシュミットという人が植えたもので、2008年にムエックスが購入し、植え替えしています。以前はスワンソンなどで使われていたとのこと。ヨントヴィルにあるドミナスのナパヌックからは1.6kmほど北になります。海からの風の影響が少なくなる分、夏の最高気温はナパヌックより2度ほど高くなります。ブドウが日焼けしてしまうのを避けるため、「ダブル・ダブル・ギュイヨ」という剪定方式を使って密植度を上げているとか。

ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンのみ(ブドウはカベルネ・ソーヴィニヨンが87%)。2016年3月にリリースする2012年のものはドミナスと同じ179ドルになるそうです。すでに、ヴィナスのアントニオ・ガッローニなどが高い評価をつけています。

以下のようなツイートがあり、日本にもエノテカが輸入することになりそうです。


Date: 2016/0220 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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グレッグ・ブリュワーのインタビューを2回にわたって掲載しましたが、それ以外に、シャトー・イガイタカハのワインを試飲してきました。その感想を書いておきます。

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漢字ワインは今回、2013年と2014年、2ヴィンテージ試飲しました。プチバーティカルにもなっているので、ワインごとの個性がより感じられた気がします。

白ではフラグシップの「侍」はさすがの美味しさ。優等生的な味わいで2013年も2014年もどちらもいいできでした。「波紋」は親しみやすい味わいで、「侍」を少しカジュアルにした感じ。2013年も2014年もいいヴィンテージなので、「侍」にかなり近づいている感がありました。コストパフォーマンスで言えばこれが一番かな。

2014年が最後のヴィンテージとなる「花偲」。ステンレスタンクを使ったワインで、ダイアトム復活によって、漢字ワインからはなくなります。樽を使っていないので、非常に酸が強くひきしまった味わい。2014年の方が2013年よりボリュームがあって、おいしく感じられました。

「美夜」は極めて個性的。うちに秘めたパワーを感じます。熟成したらものすごいワインになりそうです。ワインライフの菅原さんは「デカンタして飲むとすごく美味しい」とおっしゃっていました。侍のような優等生的味わいではないので、飲み時や飲み方を選びそうですが、上手に引き出せばこれが一番ではないかとさえ思いました。2013も2014もどちらもすごいワインです。

ピノ・ノワールではフラグシップの「園」がやはり、どこから見てもいいワイン。華やかで複雑さも十分。「鼓動」は酸が少なめで少しダークな味わい。メルヴィルなどのサンタ・リタ・ヒルズの力強いピノ・ノワールに近いものを感じました。グレッグによると、これは完全に除梗しているので、他のワイナリーの味に似ているのかも、とのこと。2014年の「鼓動」は特にパワフルで、面白いワインでした。逆に「風音」は酸が強くライトな味わい。「薄旨」系のピノが好きな人は「風音」が合うでしょう。3種類どれも個性がはっきり分かれたワインでした。

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漢字ワイン以外の家紋シリーズも試飲しました。

ニュージーランドで作るスパークリング「閃」はクリーミーで美味しい泡。意外(といっては失礼ですが)においしかったのが「ジ ウ ヴィオニエ」。白桃のような味わいで、カリフォルニアのヴィオニエとしてはかなりいいワインだと思います。

「カケル グルナッシュ」はピノ・ノワールかと思うようなデリケートな味わいで面白いワイン。「タイガー ジョー シラー」はスパイシーで、リーンなシラー。ボリュームがありすぎるシラーは苦手という人に飲んで欲しいワインです。「ジ ユン ロゼ」はさわやかな味わいで初夏に合いそうなワインでした。
Date: 2016/0219 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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シェーファー(Shafer)が自社のワインから100%ブショネがなくなると宣言しました(Shafer Vineyards :: The End of Corked Corks. Shafer Vineyards Embraces Innovations to Make TCA a Thing of the Past)。
Diam合成コルクを採用したシェーファー
2015年11月にはシャルドネとメルローで合成コルクを使って100%ブショネを排除すると発表(シェーファーが合成コルクを初採用――消費者からの反応は…)。今回はそれに加えて、カベルネ・ソーヴィニヨンやシラーでの対策を明らかにしました。
シェーファーのサイトから
それによると、カベルネ・ソーヴィニヨン(One Point FiveとHillside Select)とシラー(Relentless)ではPortocorkというナチュラル・コルクを採用します。これはガス・クロマトグラフィーを使ってコルクを一つひとつテストし、合格したものだけを利用するというもの。合成コルクでは20年以上の熟成にどういう影響が出るかわからないため、ナチュラル・コルクでの解決策を選んだようです。

このほかに、ワイナリーでブショネの元となるTCAを排除するために、ミュール宇宙ステーションで使われていた空気清浄システムを採用しました。木や段ボールといったTCAがつきやすいものをワイナリーからなくすこともしています。

シェーファーがブショネなしを宣言したのは
2012 Hillside Select
2012 Relentless
2013 One Point Five Cabernet Sauvignon
2013 Merlot
2013 Red Shoulder Ranch Chardonnay
以降のもの。もし、これらのワインでブショネを発見したら、
・ついてきたコルクでそのまま栓をし(ワインで色が付いている方をねじこむ)
・ワインがまだボトルの中に十分ある状態で
・ワイナリーに送付
してほしい、とのことです。

ブショネをなくす努力はどのワイナリーでも行っていますが、100%なしを宣言したのはシェーファーが初めてではないでしょうか。
Date: 2016/0218 Category: インタビュー
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前編はこちら

グレッグ・ブリュワー

――エステートの畑について詳しく教えてください。
グレッグ:最初の畑3D Ranchはシャルドネを中心にしています。9エーカーがシャルドネで3エーカーがピノ・ノワール。西向きの斜面で、砂地。海から一番遠いので、一番暖かい畑です。シャルドネはパワフルでオイリー、かつピュア。ピノ・ノワールはタイトでスパイシーな味わいになります。
 Machado(マシャド)は2008年に植えた畑です。ここは3D Ranchの反対で、ピノ・ノワールが多く植わっています。砂地と粘土が混じった土地です。シャルドネはSweeney Canyonのクローンです。シャルドネは香り豊かでスパイシー、ピノ・ノワールはボリュームと厚みのある味わいです。
 Hapgoodと隣接するAcinはシャルドネが40%、ピノ・ノワールが60%です。シャルドネはパワフルで華やか、生き生きとしたワインになります。ピノ・ノワールはMachadoと同様、ボリュームと厚みがあります。

――ブリュワー・クリフトンはもう20年続けていることになりますが、ワイン作りで変わった点はありますか?
グレッグ:基本的には変わりありません。どの畑も同じレシピで、同じように醸造しています。除梗しない点なども同じです。

――シャトー・イガイタカハのワインについて伺います。ブドウはブリュワー・クリフトンの畑のものを使っていると聞いています。
グレッグ:その通りです。

――では、ワインもブリュワー・クリフトンと全く同じになるのでしょうか?
グレッグ:ブリュワー・クリフトンは単一畑のワインです。それに対して、シャトー・イガイタカハの場合は、エモーショナルなものが先に来ます。漢字の意味から、それに合った味わいを出すのがどのワインかを決めるのです。

――そのためにブレンドする場合もあるのですか。
グレッグ:ときにはブレンドすることもあります。

――最後に、旱魃の影響と、今年のエルニーニョについて教えてください。
グレッグ:旱魃は大きな問題です。土壌のためには灌漑が必要で、なんとか少ない水でやりくりできるようにしています。今年はエルニーニョで降水が増え、カバークロップは今、青々とした状態です。しかし、まだ全然足りていません。雨季の前に言っていたような、大雨にはなっていません。状況が緩和されたのは事実ですが。
Date: 2016/0217 Category: インタビュー
Posted by: Andy
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グレッグ・ブリュワー
シャトー・イガイタカハの漢字シリーズの新ヴィンテージ出荷開始記念で来日したグレッグ・ブリュワーにインタビューしました。ここ数年、イベントなどで顔を合わせる機会はあったものの、じっくりとインタビューするのは久しぶりで、いろいろと教えてもらいました。

――数年前にダイアトム(Diatom)をやめ、昨年はメルヴィル(Melville)のワインメーカーもやめました。今はブリュワー・クリフトン(Brewer-Clifton)とシャトー・イガイタカハだけなのでしょうか。
グレッグ:実を言うと、今いろいろと変化しているところです。ダイアトムは2016年に復活します。それからヒリアード・ブルース(Hiliard Bruce)ではワイナリー・ディレクターという仕事を始めます。

――ダイアトム復活ですか。おめでとうございます。コンセプトは従来通りなのでしょうか。
グレッグ:シャルドネのみ、ステンレスタンクでの発酵といった点はこれまで通りです。ダイアトムは当初、単一畑のシャルドネを作り、それから漢字シリーズで、畑名を明らかにしない形にしました。漢字シリーズはその後シャトー・イガイタカハに移管されたので、今回のダイアトムは、単一畑のワインに戻ります。

――畑はどこになりますか。
グレッグ:ヒューバー(Huber)と、その他2つ程度の畑になると思います。

――ヒリアード・ブルースではどういう仕事をするのですか。
グレッグ:ワイナリー・ディレクターという仕事はワインメーカーではないので、ワインを直接つくることはありません。それ以外のさまざまなワイナリー内のオペレーションを担当することになります。

――ブリュワー・クリフトンは従来通りですか。
グレッグ:実はつい最近、スティーブ・クリフトンはブリュワー・クリフトンから離れることになりました。このほかにシカゴからのパートナーが加わる形になります。

――それはびっくりです。
グレッグ:つい先日のことなので、まだほとんど誰も知らないのです。

――ブリュワー・クリフトンは2012年ヴィンテージ以降、エステート(自社畑のみになること)に移行しました。その理由を教えてください。
グレッグ:1996年にブリュワー・クリフトンを始めたとき、資金は1万ドルしかありませんでした。必然的にブドウ畑を買うことはできず、購入したブドウでワインを作っていました。その後、サイドウェイズによるブームなどもあり、いくつかの畑から契約を打ち切られてしまいました。そこで、もっと自分たちでコントロールできる畑が必要だと考えました。
 まず、畑を管理する会社を作り、2005年のMt. Carmelの畑をそこで管理してみました。うまくいったので2007年に最初の畑3D Ranchを購入しました。

後編に続きます
Date: 2016/0216 Category: 業界ニュース
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革命的なワインの保存器具Coravin(コラヴァン)を作ったGreg Lambrecht氏が新製品の英国での発売に際してロンドンを訪問の
しました(Coravin: sparkling wine device our absolute priority)。
コラヴァン モデル2
現在は、天然コルクを使ったスティルワインのボトルだけでしか使えないCoravinですが、究極の目標はスパークリングワインだとのこと。さまざまなスパークリングワインを買って、栓や圧力などを調査しているそうです。

「いつかは名言できないが必ず実現する」とのことで、最優先課題として取り組んでいることを明らかにしました。

「Coravinの最終ゴールはコンシューマーであろうとレストランであろうと、どんな品質でどんな栓を使ったワインであろうと、好きな量だけ注げるようにすること」。将来はコルク以外に対応したものも登場するのかもしれません。
Date: 2016/0215 Category: 業界ニュース
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2015年のブドウの収穫量の暫定レポートが発表されています(USDA - National Agricultural Statistics Service)。2015年の収穫量は 3,862,385トンで、2014年の4,144,534トンから7%ダウン。2年連続の減少となりました。
2015年の収穫量

1トン当たりの価格は667.31ドル。これも2014年の744ドルから10%下がっています。ただし、ナパは4,328.75ドルで2014年より6%上昇しているなど、高級ワインについては価格は上がっており、二極化が進んでいる様子です。

ブドウの品種別収穫を見ると、1位のシャルドネ、2位のカベルネ・ソーヴィニヨンといったところは例年通り。以下、ジンファンデル、フレンチ・コロンバード、ルビーレッド、メルロー、ピノ・グリ、ピノ・ノワールと続きます。
2015年の品種別比率

Wine Business BlogにはA Few Takeaways from the Preliminary California Grape Crush Reportという、簡単な分析記事があり、10個のポイントを挙げています。1つは前述の二極化についてですが、他のポイントを紹介します。

・10ドル超のカテゴリーが伸びており、需要が供給を超えている
・2012~2014年の豊作をベースに作られたプレミアム・ブランドはブドウが不足している
・収穫が減ったことは市場のバランスとしては良い
・シャルドネは600万ケース減少
・ナパの動向は他の地域と無関係
・ソーヴィニヨン・ブランは供給がタイト
・ますます増えるピノ・グリージョ
・北カリフォルニアの内陸では収穫量は変わらず
・収穫が減ったのは旱魃とは無関係

Date: 2016/0213 Category: おすすめワイン
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Wassy'sにオー・ボン・クリマのフラグシップであるブルー・シリーズのバックヴィンテージが入荷しています。

ブルー・シリーズはラベルが水色のワインで、ピノ・ノワールのイザベルとノックス・アレキサンダー、シャルドネのニュイ・ブランシュ、白ブレンドのヒルデガードがあります。

今回は、1999年から2006年のヴィンテージのものが入荷。もちろんどれも極めて貴重かつ希少なもの。当然現品限りです。オー・ボン・クリマのオーナーであるジム・クレンデネンは毎年のようにWassy'sを訪問しており、昨年IPOBで来日したときもWassy'sのハダノリこと羽田紀子さんを通訳にしていたくらいなので、その仲で実現したバックヴィンテージの入荷なのでしょう。

今回は、イザベルが2000、2002、2004年。ノックスが2000、2004、2006、ニュイ・ブランシュが2002、2005、ヒルデガードが1999、2003、2004となっています。

【イザベル】


【ノックス】


【ニュイ・ブランシュ】


【ヒルデガード】
Date: 2016/0212 Category: 業界ニュース
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東京・上野の国立科学博物館で2月21日まで開催されている「ワイン展」に行ってきました。

ワインの醸造のあれこれや、歴史など、盛りだくさんでお客さんもたくさん。1時間くらいあれば見られるかと思いきや、一通り見るのに3時間くらいかかりました。

個人的に一番おもしろかったのは古代の器や壷などでしたが、そのあたりは撮影禁止だったので、撮影可だったところからフォトレビューでお伝えします。

ワイン展
1800万年前のブドウの葉の化石(あきる野市)
貴重なフィロキセラの資料
いわゆる人工酵母
みんなの悪者。SO2の結晶版
コルク樫の皮。これを剥いた後にいわゆるコルクの層ができる
コルク層
image
昔のコルク打ち機
これがポリフェノール
リーデル提供ワイングラスを作る道具
ピカソによるムートンのラベル
樹齢350年の樹からのワイン
海中にあったシャンパーニュ

Date: 2016/0211 Category: 業界ニュース
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Amazonは電話でソムリエにワインを相談できる「Amazonソムリエ」のサービスを始めました。サービス料金や電話代は無料。

ただし対応時間には制限があります。また、薦めるワインは基本的にAmazonで販売しているものに限られます。

※対応時間:月-金12:00~17:00 祝祭日除く(日本語のみ対応)
※Amazon FB Japanが販売・発送する商品に限ります。

実際に試したレポートを読むと、ちゃんとソムリエ資格を持っている人が対応してくれるようです。

時間制限が厳しいのでちょっと使い勝手は悪いような気がしますが、興味深い試みです。


Date: 2016/0210 Category: 業界ニュース
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●ピノは作らないの?
知る人ぞ知る話ですが、モーガンが最初に作ったワインはピノ・ノワール。しかも、5歳のとき! それから20歳までピノを作ってレストランに卸していましたが、ベッドロックではピノを2009年以来作っていません。それについて聞いてみました。

モーガン:ピノは近隣にいいものを作っているワイナリーがたくさんある。なので今は予定していない。

とのこと。ちょっと残念ですが、スパークリングワインのUnder the WireではAlder Springsなどのピノを使ったものもあります。そっちを期待したいと思います。

●大学でワイン作りを勉強しなかったのはなぜ?
モーガンは東海岸のコロンビア大学で歴史を勉強していました。現在、ベッドロックを一緒にやっているクリス・コトレルとはニューヨークのワインショップでアルバイトをしていたときに知り合っています。UC Davisなどでワイン作りを勉強しなかった理由を聞きました。

モーガン:実のところ、ワイン作りというのはロケットサイエンスのような高度な技術ではありません。畑からいいブドウが来れば、昔からの方法でいいワインを作れます。

ある意味、家庭で英才教育を受けてきたわけですから、いまさら、というところもあったんでしょうね。


DSC01900
Date: 2016/0210 Category: 業界ニュース
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1966年にオープンしたロバート・モンダヴィ。今年はワイナリー開設50周年です(Napa Valley’s Robert Mondavi Winery Kicks Off 50th Anniversary Year | Business Wire)。50周年に向けた新しいワインや、さまざまなイベントが用意されています。

50周年記念のワインは「Maestro」という名称。故ロバート・モンダヴィ翁に捧げるワインです。4月に出荷を始める予定です。

Date: 2016/0209 Category: 業界ニュース
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楽天のワインショップVin du 268(ヴァン・デュ・にろや)はシャトー・イガイタカハの特設ページを作りました。それを記念しして2月一杯は送料無料です、

ヴァン・デュ268の特設ページ

シャトー・イガイタカハのワインは楽天の他ショップでも販売していますが、Vin du 268が以前から多くのワインを紹介しているので特設ページを作ることにしたようです。

なお、Vin du 268もシャトー・イガイタカハもワインライフ株式会hさの傘下となっています。
Date: 2016/0209 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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William Foley率いるFoleyグループがDiageoからシャローン(Chalone)を買収しました(Foley Family Wines Buys Chalone Vineyards | News | News & Features | Wine Spectator)。Diageoは先週AcaciaのプロパティをPejuに売ったところであり、ワインビジネスからは半ば撤退した形になります。

Chalone reopening soon

シャローンはモントレーから少し内陸よりに入ったところ。カレラのあるMt. Harlanとは裏表の関係にあります。カリフォルニアでは数少ない石灰岩の土壌であることもカレラと共通しています。1919年に植えられた古い畑ですが、きちんと手入れされるようになったのは1965年に Richard Graffが買い取ってからです。1976年のパリスの審判では白ワインの3位に入っています。
Date: 2016/0208 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ベッドロックのモーガン・ピーターソンを迎えたイベントの第3弾記事は、この日、飲んだワインを中心にお届けします。

Under the Wire 2011 Brosseau、Bedrock Campagni Portis White Wine 2014、Bedrock Old Vine Zinfandel 2014、Bedrock Heritage 2011、Bedrock Heritage、Bedrock Monte Rosso Zinfandel2014

このうちUnder the Wireについては「スパークリングワインにもテロワールを!モーガン・ピーターソンの新プロジェクト」で紹介したので、ここではベッドロックのワインを取り上げます。

まずは2014 Heritage White Compagni Portis(コンパーニ・ポルティス) Vineyardは一番若い樹が1954年に植えられたという白ワインでは貴重な古木の畑のワインです。品種はゲヴェルツトラミネールやトルーソー・グリ、リースリングなどが混植されています。収量は2トン/エーカー未満。モーガンは子供の頃から自転車でこの畑の横を通っていたそうですが、ベッドロックでワインを作り始めたのは2008年から。その前に2005年からRavenswoodでワインを作り始めました。それまでは、ゲヴェルツトラミネール以外は使われていなかったそうです。

ベッドロックでは半分はスキンコンタクトなし、半分は除梗しないで醸造しています。このワインにかぎらず、ベッドロックでは基本的に自然酵母しか使っていません。1.8g/L程度の残糖があるといいます。

残糖のためか、なんだかとても優しくて懐かしい味のするワインです。果物で言えばライチや白桃系。癒し系ワイン。

次は2014 Old Vine Zinfandel。4000円台で買えるベッドロックの入門的ワインです。もしベッドロックのワインをまだ飲んだことがないという人はこのワインから飲んでみることをお薦めします。とてもコストパフォーマンスが高いワイン。さまざまな畑のブドウをブレンドしていますが、自社畑のBedorock Vineyardなど素晴らしい畑のブドウが入っています。平均樹齢は81歳。2014年のものは72%はソノマのブドウ。ジンファンデル以外の品種は24%を占めています。新樽12%。澱引きしていません。Ravenswoodのワイン作りとの一番の違いは澱引きしないことだと言います。

ジンファンデルは甘いという印象を持っている人が多いかもしれませんが、このワインは酸がとてもしっかりしています。モーガンによると、コントラコスタのエヴァンジェーロという畑のカリニャンがとてもいい酸のベースになっているとのこと。ジンファンデルらしいプラムの風味に、酸とスパイス。酸がしっかりといっても基本的にはフルボディのワインですから味が薄かったり酸味ばかりが強いのではなく、バランスが取れた強さです。こういうワインを常備しておくといいですね。Wine Advocate誌では90点。

次は2011 Bedrock Heritage。ソノマ・ヴァレーの中心地にあり、Bedrockの自社畑で150年以上の歴史があります。フィロキセラでやられた後、1888~1895年に植え替えられた畑です。モーガンは2004年にこの畑を入手しています。石がごろごろしている畑だそうです。ミネラルとスパイスが特徴とモーガンは言っています。

入手したときは、あまりいい状態の畑ではなかったのですが、肥料を入れるのをやめ、灌漑をやめ、カバークロップを植え、などさまざまな手を入れていい畑になってきたそうです。例えば畑のpHは以前4だったのが今は3.4くらい。pHが下がることによって、ワインの酸もしっかりとするようです。

2011年は涼しい年だったので、この日のワインの中でも、一番味わいが酸味寄りだったワイン。ベッドロックのワインとしても異色なほどエレガントでした。モーガンとしても、この年はいろいろなチャレンジをして作った思い出深いヴィンテージだそうです。

次は同じワインの2014年。

こちらは暖かい年であり、ワインもパワフル。味の複雑さ、それらが高次元でまとまっているのはさすが。個人的にはこの日のワインの中でベストでした。今まで飲んだベッドロックではLorenzo Heritage 2012が一番好きだったのですが、現時点ではBedorock Heritage 2014に軍配を上げたい感じ。ただ、Lorenzo最近飲んでいないので、本当を言うと飲み比べたいところです。例えばリッジのリットン・スプリングスあたりが好きな方にも、ベッドロックはぜひ飲んでみてほしいワインです。

最後は2014 Monte Rosso Vineyard Zinfandel。

Monte Rossoはソノマの古木の畑の中でも代表的なものの1つ。名前の通り、赤土の土壌でナパとソノマの間にあるマヤカマス山のソノマ側にあります。Bedrock Vineyardからは標高が400mくらい違うものの土壌は似ており(Bedrockは石が多いですが)、またMonte Rossoはジンファンデルが98%くらいを占めています。

とても酸が強く、ジンファンデルとは思えないくらい引き締まった味わいのワイン。ブラインドで飲んだらカベルネとかと言ってしまうかも。非常に個性的なジンファンデルです。

DSC01888

ベッドロックのイベント報告、基本的にはこれで終わりですが、これまで紹介しなかった小ネタ質問を、もう1本追加する予定です。


Date: 2016/0207 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパやソノマなどカリフォルニアのノース・コーストでピアス氏病が流行しつつあります。その現状や対策などを議論するセミナーがナパのNapa Valley Vineyard Technical Groupによって開かれました(Experts Address PD Outbreak in Grapevines)。

ピアス氏病はブドウなどの農作物の病気で、感染してしまうとそれを治すための薬などは存在していません。カリフォルニアでは1990年代末に南カリフォルニアのテメキュラなどで流行して多くのブドウ畑がなくなりました。

その後、この病気を媒介するガラス羽シャープシューター(Glassy Winged Sharpshooeter)を徹底的にコントロールすることで爆発的な広がりを抑えてきたのですが、最近また流行を始めたのです。

実は、今回の流行はガラス羽シャープシューターによるものではなく、緑青シャープシューター(Blue-green Sharpshooter)によるものだとのことです。
Blue-Green Sharpshooter

このシャープシューターはガラス羽シャープシューターほどの飛翔力はなく、普段住んでいる川沿いを中心に活動しており、それほど珍しい昆虫ではありません。したがって、ガラス羽シャープシューターのように、苗木の流通でコントロールするといった方法は使えません。

また、流行は緑青シャープシューターの数で決まるのではなく、ブドウに感染した時期と、ブドウがどれだけ早く回復するか(それには冬の気温が影響するとのこと。

具体的には6月1日よりも後に感染したブドウの樹は冬の間に回復する可能性が高いとのこと。また、冬は寒い方がブドウは回復しやすいそうです。近年は暖冬傾向にあり、それが流行につながっているようです。

ブドウの樹が冬の間にピアス氏病から回復するメカニズムは明らかになっていませんが、冬の間に剪定することが影響しているようです。

なかなか効果的な対策は見つからないようですが、がんばって流行を抑えてほしいところです。
Date: 2016/0206 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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柳屋にスポッツウッド(Spottswoode)のソーヴィニヨン・ブラン2014が入荷しています。昨年末にWine Enthusiast誌の年間トップ100で48位になったワイン(レイティングは94)。

カリフォルニアのトップ・クラスのソーヴィニヨン・ブランというと、ピーター・マイケルのラプレ・ミディやレイルのジョージア、ホナタのラフロル・デ・ホナータ、アラウホ、ラッド、メリー・エドワーズ、ロキオリ、スポッツウッドあたりの名前が挙がるのではないかと思います。

この中ではスポッツウッドは日本での価格が比較的安く(それでも5000円台になってしまいましたが)、優等生のソーヴィニヨン・ブランだと思っています。といってもそれほど多くの本数が入ってきているわけではないので、通年入手可能なワインではありません。

冬よりも夏向きのワインですが、夏に手に入るかどうかは分からないので、見つけたときに買っておくのが吉でしょう。

Date: 2016/0205 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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モーガン・ピーターソン
ベッドロックのモーガン・ピーターソンへのインタビュー第2弾です。ベッドロックといえば有名なのが「古木の畑」を使ったワインです。畑についていろいろと聞きました。

モーガン:Bedrock Vineyardでは、合計で24種類のブドウが植わっています。これは、畑を歩きまわってブドウの品種を1つずつ調べることでわかりました。品種がはっきりしない場合は、UC DavisでDNA鑑定をしてもらうこともあります。

――どうして、いろいろな種類のブドウを1つの畑に植えたのでしょうか。

モーガン:19世紀に多くのカリフォルニアの畑がフィロキセラでやられました。その後を植え替えるときに、いろいろな品種とルートストックを組み合わせてトライ・アンド・エラーしていたのではないか、というのが1つの理由と考えています。

モーガン:また、1960年代以前は、カリフォルニアではヴァラエタル・ワインというものはありませんでした。ChablisやCalifornia Burgundyなどのジェネリックな名前でワインが作られていました。そのため、特定のブドウ品種というよりも、一定のワインのスタイルを作るために品種を混ぜたという理由もあるようです。

――古木の畑というとジンファンデルが中心になっていますが、その理由は何でしょうか。

モーガン:当時はジンファンデルが人気が高かったと考えています。生産者側からすると、収量が多かったというのも理由ではないかと思っています。

――白ワインの古木もあるのですか。

モーガン:白ワインの古木は非常に少ないです。Bedrockが扱っているCompagni Portis Vineyardは1954年に植えられたもので、白ワインの中では古い畑です。

――古木の畑でブドウの種類はどれくらい見つかっていますか。

モーガン:Bedrock Vineyardでは24種類ですが、Bedrockが扱っている畑全体だと50を超えます。

――ブドウの樹は何歳くらいまで生きるのでしょうか。

モーガン:スペインなどでは樹齢200年を超えるような畑もあります。カリフォルニアでは前述のフィロキセラの理由によって1860年より古い畑はほとんどありませんが、200年くらいの樹齢まで生きる可能性はあるでしょう。

モーガン:ただ、そういう畑は砂地であったりと、いろいろと条件も必要になりそうです。また、ブドウ品種によっても寿命は違います。プチ・シラーは比較的短く、カリニャンやグルナッシュは長いようです。

――さまざまな品種が1つの畑に植わっていると、完熟するタイミングはバラバラになるのではないかと思います。それらは別々に収穫するのでしょうか。

モーガン:Bedrockでは様々な品種があっても一度に収穫してしまいます。当然、未熟なものや、過熟気味の果実もありますが、選果は最低限にして、一緒に発酵させます。それを受け入れることが多様性を生むのではないかと考えています。

大学では歴史の勉強をしていたというモーガン・ピーターソン。古木の畑については古い文献を調べるなど、歴史的にも多くのことを調べているようです。このテーマに関しては、特に熱が入っているような気がしました。
Date: 2016/0204 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ニュースものを3本まとめて紹介します。

まずはナパのワイナリーPeju(ペジュ)がカーネロスにあるAcacia(アケイシア)のプロパティを購入したとのこと(Peju Province Winery buys Acacia Vineyard in the | The Press Democrat)。ただしAcaciaのブランドは含みません。畑やワイナリー設備などの購入となります。

Acaciaは今後どうなるのでしょうね。自然消滅してしまいそうですが。

次はRombauer(ロンバウアー)がソーヴィニヨン・ブランを追加したとのこと(Rombauer introduces its first Sauvignon Blanc)。35年の歴史を持つロンバウアーですが、白ワインのラインナップを増やすのは1982年依頼だとか。

そこまで白ワインを出していないとは恐るべし。

最後はソノマ・ヴァレー・ヴィントナーズのトップであるキャロライン・スターク氏が辞任したとのニュース(Head of Sonoma County Vintners resigns unexpectedly | The Press Democrat)。先日スーパーボウルの記事を書いたばかりなのでびっくりしました。
Date: 2016/0203 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Bedrock(ベッドロック)のモーガン・ピーターソンがパートナーのクリス・コトレルと初来日しました。幸運にもいろいろと話を伺う機会をいただきましたので、3回に分けてお届けしたいと思います。

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まずはモーガンが2011年に始めた新プロジェクト「Under the Wire」(アンダー・ザ・ワイヤー)。パートナーのクリス・コトレルは次のように語ります。
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クリス:カリフォルニアのスパークリングワインは大規模なところが大きい。一方でフランスではグロワーズ・シャンパーニュという小規模なシャンパーニュの動きがある。これにインスピレーションを受けて、単一畑でブドウも単一品種、ヴィンテージも混ぜないスパークリングワインを始めたのがこれだ。

クリス:畑はChalone(シャローン)の隣にあるBrosseau(ブロッソー)。実を言うと、モーガンは最初、そこのシャルドネでスチル・ワインを作るつもりだったんだ。ところが醸造してもアルコール度数が11度までしか上がらない。それだったらスパークリングワインにしてみたら、とひらめいたんだ。

モーガン:シャローンはカリフォルニアでは珍しい石灰岩の土地。酸が多く、pHが上がりにくいという特徴がある。18.5~19Brixで収穫している。一次発酵は自然酵母。使い古しの樽を使っている。

モーガン:大きなスパークリング・ワインのプロデューサーは、糖度を上げすぎないようにするため、非常に早く収穫してしまう。それに対してグロワーズ・シャンパーニュやアンダー・ザ・ワイヤーでは畑のテロワールを引き出すために、糖度がぎりぎりになるまで我慢して収穫する。Under the Wireというのは、電車などに「ぎりぎりまにあって」という意味の言葉だが、ここではぎりぎりになるまで我慢して収穫しているという意味を込めている。

こうしてできた2011年のアンダー・ザ・ワイヤーは6樽、150ケースのみ作られました(量が少ないため日本への輸入は未定)。ドサージュは1g/lと少なく、シャブリかと思うほどきりりとした味わい。泡は控えめ。生ガキに合わせたら良さそうに思いました。

アンダー・ザ・ワイヤーは、次ヴィンテージ以降畑を追加しています。2012年はアンダーソン・ヴァレーのAlder Springs(アルダー・スプリングス)のピノ・ノワール(ロゼ)。2013年にはHirsch(ハーシュ)のピノ・ノワールとブロッソーのピノ・ノワールと追加。2014年と2015年にはさらに増やしていて7つにまでなっています。ただし、1樽しか生産していないものがいくつかあるとのことで生産量は依然としてごくわずかです。

カリフォルニアのスパークリングに新しい風を吹き込むアンダー・ザ・ワイヤー、今後のラインナップにも期待したいです。
Date: 2016/0202 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国時間で2月7日、第50回スーパーボウルがサンフランシスコ49ersの本拠地で開催されます。サンフランシスコと名は付いていますが、試合が行われるスタジアムがあるのは、サンフランシスコから車で40分ほど南下したサンタ・クララ。いわゆるシリコンバレーにあたります。ということでワイン・カントリーからはちょっと距離があるのですが、ナパやソノマも観光客などの誘致に熱心に取り組んでいます(Details of Sonoma County’s Super Bowl pledge shrouded | The Press Democrat)。

Super Bowl 50 Preparations

ソノマではソノマ・カウンティ・ツーリズム、ソノマ・カウンティ・ヴィントナーズ、ソノマ・カウンティ・ワイングロワーズの3団体が合計で100万ドル近くを用意しています。

このうちソノマ・カウンティ・ツーリズムは36万ドルをスーパーボウル用に用意。うちわけには15万ドルのキャッシュと、5万ドルの宿泊サービスが含まれています。ソノマ・カウンティのホテルはこれに加えて5万ドル分のサービスを宿泊や会議用に提供しています。ソノマ・カウンティ・ツーリズムの年間予算は720万ドルだとのことで約5%がスーパーボウルに使われる計算です。

これに対してソノマ・カウンティ・ワイングロワーズは年間予算が100万ドルと少なく、スーパーボウルのプログラムに使う予算も10万ドル未満だとのこと。

ソノマ・カウンティ・ヴィントナーズは詳細については公開しなかったそうです。

せっかくスーパーボウルが地元に来るのだから盛り上がりたいと思いますよね。スーパーボウルもソノマもうまくいくことを願います。それにしても49ersが今年スーパーボウル出場どころかプレーオフにも出られなかったのは残念でした。


Date: 2016/0201 Category: グルメ
Posted by: Andy
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先日、「マツコの知らない世界」で、鍋の素を取り上げておました。そこで紹介されていたものの1つが、石川県のまつやが作る『とり野菜みそ』でした。マツコさんが「これは増産した方がいいわよ」と絶賛していました。

僕も実は以前から存在は知っていて気になっていたのですが、この機会に買ってみました。

『とり野菜みそ』の「とり」とは野菜を「とる」という意味だとのこと。なので白菜をたっぷりいれて煮込みました。

あとの具は割とシンプルに豚バラ、エノキタケ、長ネギ、油揚げ。

白菜からかなり水分が出たので、最初はちょっと薄いかなと思ったのですが、食べていくうちにだんだんやみつきになる美味しさ。特に汁を吸った白菜は絶品なので、ちょっと長めにしっかり煮込むのがいいようです。

これは簡単だし美味しくて安いし、いいですね。常備したくなりました。

なお、今回はピリ辛の方を食べたのですが、かなりマイルドな辛さでした。辛味を全く受け付けないのでなければ、お薦めです。

あと、ネットだと500g入りのパックもあるようです。普通のは1袋200gですが、2袋じゃ多いけど、ちょっと足したいことはあると思います。そういう家庭にはお薦めです(うちか?)。

Date: 2016/0201 Category: 業界ニュース
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米国のワイン業界にはDtCという言葉があります。日本では多分なじみがないと思うのですがDirect to Consumerの略。すなわちワイナリーから消費者に直接ワインを出荷することを指します。

米国ではいまだに禁酒法の名残があり、他州から直接ワインを送付することを禁じている州がいくつもあります。州内の酒類の流通を州内の流通業者に100%委ねることによって、流通をコントロールしたいということなのでしょう。

そのため、ワイナリーからの送付も州によってできたりできなかったりなのですが、それでも着実に増えているという報告が出ています(Wines & Vines - The Voice of the Wine Industry)。

それによると2015年のDtCによる売上は19億6666万8198ドルと、わずかに20億ドルを下回りました。これは2015年に比べると8.1%の増加となっています。2014年は前年の15%増でしたから、それよりは下ですが、2013年の前年比+7%を上回っています。

一部のワイナリーは、既に流通業者を使うのをやめ、DtCだけでワインを販売しています。それほどワイナリーにとってはDtCは重要になってきています。

また、元記事には上位の州ごとに、DtCで出荷されているワインの品種の比率トップ2が出ていて興味深い結果になっています。

カリフォルニア州の場合、一番多いのはピノ・ノワールの17%でカベルネ・ソーヴィニヨンが16%で2位。これがテキサスだとカベルネ・ソーヴィニヨンが19%で1位。2位は赤ブレンドで13%です。

上位の10州ではカベルネ・ソーヴィニヨンと赤ブレンド、ピノ・ノワールの3種類が上位2種類を占めています。しかし、この中でピノ・ノワールが2位以内に入っているのはカリフォルニアのほかはニューヨークとオレゴンのみです。やっぱり米国では赤ブレンドを含めたカベルネ系が好きな人が多いのだなあと思いました。

オレゴンはピノ・ノワールが32%と圧倒し、2位は赤ブレンドで10%でした。
Date: 2016/0131 Category: おすすめワイン
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ミウラ(Miura)というと、真っ黒なボトルに直接プリントされた赤いMiuraの字、そして闘牛の牛のイメージと、マッチョな印象があります。ワインで言えば、ここの代表作ともいえるピゾーニのピノ・ノワールのイメージに近いワイナリーです。
ミウラ・ラベル
ピゾーニだけでなく、ミウラはサンタ・ルシア・ハイランズのピノ・ノワールをいくつも作っており、そこが専門だと思っていたのですが、なんとロキオリからブドウ供給を受けてピノ・ノワールを作り始めたのだそうです。

最初のヴィンテージである2012年はロシアン・リバー・ヴァレーの表記になっていますが、2014年からは晴れてロキオリの名前が使えるようです。2012年も中身は100%ロキオリとのこと。何らかの契約上の制限があるようです。

ロキオリの単一畑で1万円台というのは昨今では貴重な存在でもあります。ロキオリ・ファンにとってもミウラのファンにとっても気になるところでしょう。どういうワインに仕上がっているのか、興味深いですね。



ミウラの入門編としてはこちらをどうぞ。格安です。
Date: 2016/0129 Category: 業界ニュース
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ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズは2016年1月19日、ナパの3生産者が、ワインの名称から「ポート」を抜くことにしたと発表しました。

米国とEUは2006年の合意により、ワインのラベルから「シャンパーニュ」や「ポート」、「シャブリ」などの「セミジェネリック・ネーム」をやめることになりました。ただし、温情的措置として、既存の生産者はラベルの付加的名称として書かれている場合に限って使い続けてもいいことになりました。

今回の3生産者(ボイド・ファミリー・ヴィンヤーズ、フリーマーク・アビー、ジェサップ・セラーズ)は、この「既存の生産者」に相当するので、ルール上はポートの名を使い続けてもよかったのですが、今回自主的に返上することになったわけです。

その昔、とあるスパークリングワインの生産者を訪問したときに、「ラベルにシャンパーニュと書くのはやめた方がいいのではないか」と言ったらすごく小馬鹿にした態度で接されたことを思い出しました。

当時は、まだ他国のブランドに頼る気持ちが多かったのだと思いますが、今となってはむしろ、ナパの名前を守ることの方が重要になったのでしょうね。
Date: 2016/0128 Category: 業界ニュース
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ナパで最高の畑と言えば、まず間違いなく誰もが思うのがトカロン(ToKalon)でしょう。シュレーダーなど様々なワイナリーが、この畑から「パーカー100点」のワインを作っています。トカロンは正確にはロバート・モンダヴィが持つトカロンと、ナパ最大の地主であるアンディ・ベクストファーが持つベクストファー・トカロンがあり、モンダヴィ以外のワイナリーで作られているものは後者の畑のものです。

その、ナパでも伝説の人物となっているアンディ・ベクストファーが現在売り出し中なのがレイク(Lake)郡にあるアンバー・ノールズ(Amber Knolls)という畑です。それについての詳しい記事がSFクロニクルに掲載されていました(Legendary grape grower betting Lake County will be the next Wine Country - San Francisco Chronicle)。
Andy Beckstoffer
アンディ・ベクストファーの畑はナパではブドウの価格が高いことでも知られています。彼の値付け方は普通とは違っており、1トン当たりの価格を最終的なワインのボトル価格から決めます。一番高い畑ではボトル価格の175倍としています。例えばワインが200ドルであれば1トンが3万5000ドル。また、最低価格は1万7500ドルとなり、ナパの平均の5800ドルを大きく上回ります。

その彼が、今回のレイク郡の畑では、無料でブドウを帝京大するというのです。

具体的には次のようなプログラムとなっています。

まず、このブドウでワインを作りたいワイナリーは、その旨申し込みます。その中から10のワイナリーを選び、1エーカー分のブドウを3年間提供します。

アンディ・ベクストファーはこのプログラムを通して、高評価されるワインが出てくることを期待しています。もし複数のワイナリーが高得点を得れば、畑自体の名声も高まるでしょう。

ワシントン州のGramercy Cellarsなど、既にこのプログラムに名乗りを挙げているワイナリーもあります。

数年後、ここのワインがどうなるのか注目です。
Date: 2016/0127 Category: 業界ニュース
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ボルドーで5級に格付けされているシャトー・ポンテ・カネのオーナーであるテスロン夫妻が、2014年に亡くなった俳優のロビン・ウィリアムズさんがナパに持っていた邸宅を購入しました(Pontet-Canet owner buys Robin Williams)。

この邸宅、当初は3500万ドルで売りにでていましたが、その後2950万ドルに値下がりし、最終的には1810万ドルで購入したとのことです。

12 Robin Williams vineyard

このお屋敷、敷地は259ヘクタールと猛烈に広いのですが、そのうちぶどう畑になっているのはわずか7.3ヘクタールです。できたブドウもこれまでは近隣のワイナリーに売却していましたが、今後はテスロン夫妻がワインを作っていくそうです。

ポンテ・カネのテクニカル・ディレクターであるジャン・ミシェル・コム氏は、30年前にパイン・リッジで働いていた経験もあり、ナパへの進出は1つの夢だったよう。今後どういうワインが作られるのか気になるところです。
Date: 2016/0126 Category: テイスティング・ノート
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クラフトビールで有名なサンクトガーレンが作る「チョコ・ビール」を飲んでみました。

インペリアル・チョコレート・スタウト

インペリアル・チョコレート・スタウトというこのビール。チョコレートを使っているわけではなく、黒ビールに使う「ブラック麦芽」よりもわずかに焙煎が弱い「チョコレート麦芽」を使って、チョコレートのような風味を出しています。普通の黒ビールの2.5倍の原料を使って、半分の量しかできないという極めて贅沢なビール。アルコール度数も9%あり、2年間の熟成が可能という、かなり異端なビールです。

飲んでみると、とても濃厚で香ばしいビールなのですが、黒ビールにときどき感じるようなエグみはなく、美味しかったです。この濃厚さは夏よりも冬に飲むのが合います。

甘いモノが苦手な大人の男性へのバレンタイン・ギフトとして、喜ばれるのではないかと思います(僕は甘いのも大歓迎ですが)。

なお、サンクトガーレンではこのバリエーションとしてストロベリーチョコレートスタウト、オレンジチョコレートスタウト、スイートバニラスタウト バレンタインVer.というビールも作っています。ただ、これらはアルコール度数6.5%で賞味期限は90日。インペリアル・チョコレート・スタウトほどの濃厚さはないようです。

Date: 2016/0126 Category: 業界ニュース
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Wines & Vinesの調査によると、2015年のカリフォルニアのワイナリー数は4054。前年を141上回り初めて4000を超えました(Wines & Vines - The Voice of the Wine Industry)。

北米全体のワイナリー数は9436で、カリフォルニアはその42.96%を占めることになります。2番めはワシントン州の718(7.61%)、僅差でオレゴン州の689(7.30%)。以下、ニューヨーク州の367、ブリティッシュコロンビア州の298、ヴァージニア州の262、オンタリオ州の233、テキサス州の228、ペンシルバニア州の220、オハイオ州の181と続きます。カリフォルニアは2位の5倍以上と圧倒的に多いことがわかります。個人的にはテキサス州の228というのが意外に多くてびっくりしました。

ワイナリーとしての設備を持たない「仮想ワイナリー」も増えています。米国だけで2015年に165の仮想ワイナリーが作られ、全体では1640に達したと言います。

ワイナリーの規模は中小が圧倒的に多く、5000ケース未満が6850ワイナリーもあります。逆に50万ケースを超えるのは64ワイナリーしかありません。
Date: 2016/0125 Category: 業界ニュース
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朝ドラ「あさが来た」で、ついにディーン・フジオカさん演じる五代友厚さんが亡くなってしまいましたね。「五代ロス」を感じている方々もたくさんいらっしゃると思いますが、五代友厚さんが、カリフォルニアワインにも大きな貢献をしたことはご存知でしょうか。

カリフォルニアの「ブドウ王」を産んだのは「あさが来た」の五代さんだったというびっくりぽんな話、という記事で以前に書いたものですが、もう少し詳しく書いておきます。

ドラマで描かれるより前の、五代さんがまだ薩摩藩の地元、今の鹿児島にいたときの話です。

五代さんが向かったのは長崎。現在、グラバー園となっているところで、その邸宅の主であるトマス・グラバーに談判しにいったのです。その内容は薩摩藩の若者を英国に留学させたいというもの。そのための金策と、受け入れ先の依頼のためでした。

そして、グラバーの了承を受けて薩摩藩に上申書を提出し、15人の留学生(と4人の視察員)を送り出すことになったのでした。

その一人である磯長彦輔(彼の父は五代さんと長崎で共に航海術を学んだ仲でした)が、偽名(洋行は幕府の命に背くものだったので、万が一のときに藩に迷惑がかからないよう、それぞれ偽名を名乗っていました)として得た名前が長沢鼎(ながさわ・かなえ)。

そして、彼は英国を経て米国に渡り、さらには西海岸のソノマで「ブドウ王」と呼ばれるようにまでなったのでした。

以上の話は『長沢鼎 ブドウ王になったラスト・サムライ』という本に詳しく書かれています。五代さんのことをもっと知りたい方にはお薦めです。また、鹿児島には「薩摩藩英国留学生記念館」という建物があります。

長沢鼎の本に登場する五代友厚


また、長沢鼎が作ったワイナリー「ファウンテングローブ」は、今はもうありませんが、そのゆかりのワイナリーである「パラダイス・リッジ」は、長沢鼎の名前を付けたワインを作っています。ラベルには長沢の写真、裏には日本語で長沢について書かれています。

これを飲んで、約150年前に五代さんの力で英国に渡った若者たちに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。



Date: 2016/0124 Category: 業界ニュース
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サンタ・バーバラのロス・オリボス・ディストリクト(Los Olivos District)が1月21日、AVAとして認められました(Welcome to the World, Los Olivos District AVA! – Wine, Wit, and Wisdom)。2016年2月22日から有効になります。

ロス・オリボスの地図

ロス・オリボス・ディストリクトはサンタ・イネズ・ヴァレーAVA(Santa Ynes Valley)のサブAVAになります。西にはバラード・キャニオン(Ballard Canyon)、東にはハッピー・キャニオン(Happy Canyon)があります。サンタ・イネズの中では比較的温暖なところで、ローヌ系品種を中心とするワイナリーが多いようです。地域のワイナリーは12個あります。

ただ、AVA化を主導したフレッド・ブランダーのブランダー・ヴィンヤード(Brander Vineyard)はソーヴィニヨン・ブランのスペシャリストとして知られており、一部のワインは日本にも輸入されています。

地域の情報についてはThe Los Olivos Winegrowers Allianceで得られます。


Date: 2016/0123 Category: おすすめワイン
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柳屋でもラベル欠損などのワイン(中身に影響なし)がセールになっています。

目玉はアイアン・ホースのオーシャンズ・キュベ。通常は6000円くらいのものが4500円くらいになっています。



Date: 2016/0122 Category: おすすめワイン
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パシフィックワインセラーズでラベル不良ワインの特価セールをやっています。種類は多いですが、大部分が1本のみなので、購入はお早めに。

個人的にはスタッグス・リープ・ワイナリーのプティ・シラーが4000円台というのにかなり惹かれています。
【ラベル不良特価品】ドメーヌ・ド・ラ・テール・ルージュ・シラー・レ・コート・ド・ルエスト [2011]
==>価格3078円

【ラベル不良特価品】ドメーヌ・ド・ラ・テール・ルージュ・イーストン・オールド・ヴァイン・ジンファンデル・リナルディ・ヴィンヤード [2007]
==>価格3645円

【ラベル不良特価品】シエラ・ムーン・ジンファンデル [2007]
==>価格3240円

【ラベル不良特価品】メドロック・エイムズ・レッド・ベル・マウント・ヴィンヤード [2003]
==>価格4860円

【ラベル不良特価品】メドロック・エイムズ・カベルネ・ソーヴィニヨン・ベル・マウント・ヴィンヤード [2003]
==>価格5913円

【ラベル不良特価品】メドロック・エイムズ・メルロ・ベル・マウント・ヴィンヤード [2003]
==>価格5913円

【ラベル不良特価品】メドロック・エイムズ・メルロ・ベル・マウント・ヴィンヤード [2004]
==>価格5265円

【ラベル不良特価品】リンマー・ピノ・ノワール・クワイル・ヒル・キュベ [2002]
==>価格4860円

【ラベル不良特価品】リンマー・ピノ・ノワール・クワイル・ヒル・ヴィンヤード [2007]
==>価格7290円

【ラベル不良特価品】ポーター・クリーク・ピノ・ノワール・リザーヴ [2005]
==>価格9720円

【ラベル不良特価品】ポーター・クリーク・オールド・ヴァイン・ジンファンデル [2009]
==>価格4212円

【ラベル不良特価品】ヘス・コレクション・アローミ・カベルネ・ソーヴィニヨン [2012]
==>価格4010円

【ラベル不良特価品】ヘス・コレクション・アローミ・カベルネ・ソーヴィニヨン [2013]
==>価格4010円

【ラベル不良特価品】スタッグス・リープ・ワイナリー・プティ・シラー [2002]
==>価格6075円

【ラベル不良特価品】スタッグス・リープ・ワイナリー・プティ・シラー [2004]
==>価格4496円

【ラベル不良特価品】ヘス・コレクション・マウント・ヴィーダー・カベルネ・ソーヴィニヨン [2003]
==>価格5103円

【ラベル不良特価品】マッケンジー=ミューラー・カベルネ・ソーヴィニヨン [2008]
==>価格5265円

【ラベル不良特価品】ラストン・ファミリー・ヴィンヤーズ・ラ・マエストラ [2004]
==>価格7047円

【ラベル不良特価品】ラストン・ファミリー・ヴィンヤーズ・ステージコーチ・カベルネ・ソーヴィニヨン [2003]
==>価格5670円

【ラベル不良特価品】スタッグス・リープ・ワイナリー・プティ・シラー [2006]
==>価格4496円

【ラベル不良特価品】ライダー・エステート・ピノ・ノワール [2012]
==>価格1863円

【ラベル不良特価品】ライダー・エステート・シラー [2012]
==>価格1620円

【ラベル不良特価品】コヨーテ・クリーク・シャルドネ [2012]
==>価格1296円

【ラベル不良特価品】コヨーテ・クリーク・シャルドネ [2013]
==>価格1620円

【ラベル不良特価品】ヘンドリー・バレル・ファーメンテッド・シャルドネ [2010]
==>価格3645円

【ラベル不良特価品】ヘンドリー・バレル・ファーメンテッド・シャルドネ [2011]
==>価格4212円

【ラベル不良特価品】ヘス・コレクション・ナパ・ヴァレー・シャルドネ [2013]
==>価格3483円

【ラベル不良特価品】ヘンドリー・HRW・ピノ・ノワール[2012]
==>価格2430円

【ラベル不良特価品】ヘンドリー・HRW・カベルネ・ソーヴィニヨン[2012]
==>価格3483円

【ラベル不良特価品】ディストリクト 7・シャルドネ[2010]
==>価格2106円
Date: 2016/0121 Category: おすすめワイン
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Wine Advocate誌の222号で2つの満点ワインを出したのがモルレ・ファミリー。しかも赤はカベルネ・フラン、白はセミヨンとソーヴィニヨン・ブランなどのブレンドというどちらも初めて満点のワインを出す品種であったのも画期的でした。

さらに言えば、シャルドネでも99点のワインを輩出しており、コングスガードとオーベールがシャルドネで100点を取った今、次のシャルドネ100点もモルレになる可能性が高いでしょう。

ウメムラには、セミヨンとソーヴィニヨンを中心としたブレンド「プロポーション・ドーレ)の前ヴィンテージのものが入っています。満点ではありませんが95点という高得点。米国での人気も高く、税抜きで1万円を切るのはほぼ現地価格なみです。

ほかのものも評価から見ると割安。まだ知名度がそれほど高くないからでしょうか。数年たったらオーベールのように値段が高くなってしまうかもしれません。今のうちがチャンスかも。



Date: 2016/0120 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ガロとIBMがブドウ畑の灌漑のシステムを共同開発しています(IBM and Gallo Winery Built a Big Data Irrigation System for Wine - Fortune)。IBMの深層学習エンジン「ドクター・ワトソン」を使い、最適な灌漑の量を学習していくようです。

学習には衛星からくるデータを使用します。従来は10エーカー近くの単位でしかコントロールできなかったのが、このシステムでは15m四方の単位で制御できます。2014年のヴィンテージでは水の使用を25%減らすことができ、収穫は26%増えたとのことです。

現在のシステムはプロトタイプで、いろいろな面で改善の余地があるとのこと。

いろいろ興味深い流れです。
Date: 2016/0119 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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世界各地のハイアット・グループでクレジットカード情報の漏えいが起きたことが発表されました(ニュース - 「アンダーズ東京」などハイアット国内4施設でカード決済情報漏洩の疑い:ITpro)。

国内だけでなく、海外でも漏えいは起きており、オンラインWassy'sのハダノリさんこと波田紀子さんはなんとナパのハイアットで使ったカード情報が漏えいしていたとのこと。また、ホテル宿泊だけでなく、レストランも対象になっています。

該当する施設や利用日はこちらから調べられます。

また、カードの不正利用を調べるサイトCSIDはハイアットの利用者を対象に、1年間無料で登録できます。登録はこちら
Date: 2016/0118 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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今朝公開の記事で紹介したルシアのゲイリーズが柳屋にも入荷していました。価格は若干こちらが高いですが、店舗留め置きにすれば送料分でわずかに逆転します。

Date: 2016/0118 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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カリフォルニアワインあとりえにルシア(Lucia)のゲイリーズ(Garys')・ピノ・ノワール2013が入荷しています。Wine Advocate誌では96点。これはゲイリーズのピノ・ノワールとしては2008年のルシア、2007年のロアー(Roar)と並んで最高のレイティングです。

ご存じの方が多いと思いますが、ルシアとゲイリーズについて簡単に説明しておきます。サンタ・ルシア・ハイランズ地域を代表する畑がピゾーニ。ラ・ターシュのブドウの枝を持ってきて植えられたと言われています。この畑を作ったゲイリー・ピゾーニが、盟友のゲイリー・フランシオーニと作った畑がゲイリーズ。二人のゲイリーなので複数形になっています。ピゾーニとゲイリーズ、それとゲイリー・フランシオーニの奥さんの名前を付けたロゼラズの3つの畑がサンタ・ルシア・ハイランズの3大人気畑と言っていいでしょう。ゲイリーズは中でも男性的で力強いピノ・ノワールができる畑です。

いろいろなワイナリーがこれらの畑のブドウからワインを作っていますが、ルシアはゲイリー・ピゾーニ家、ロアーはゲイリー・フランシオーニ家のワイナリー。ゲイリー・ピゾーニ家はピゾーニの畑だけはピゾーニという別ワイナリー名で出しており、これらがこの3つの畑の本家的ワイナリーで、評論家の評価も他のワイナリーよりも1ランク上になることが多いのです。

Wine Advocate誌のレビュアーであるジェブ・ダナックは、この地域のトップワインであるだけでなく、カリフォルニア全体を見回してもコスト・パフォーマンスが高いワインであると書いています。



Date: 2016/0115 Category: ワイナリ訪問
Posted by: Andy
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俳優のアラン・リックマンさんが亡くなりました。ハリー・ポッター・シリーズのセブルス・スネイプ役で知られる方ですが、ワイン関係ではパリスの審判を舞台にしたボトル・ドリーム(原題はBottle Shock)に出演しています。アラン・リックマンはスティーブン・スパリエ役でした。

ご冥福をお祈りします。

Date: 2016/0114 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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2006年にスクリーミング・イーグルを買収して一躍有名になったのがチャールズ・バンクス(Charles Banks)です。サンタ・バーバラのホナタ(Jonata)のオーナーでもありましたが2009年には両ワイナリーから手を引き(スクリーミング・イーグルの共同オーナーであったスタンリー・クロンクは残りました)、新たにテロワール・キャピタルというワイナリーに出資する会社を設立しました。

その後はマヤカマス(Mayacamas)やキュペ(Qupe)といった老舗ワイナリーを買収したり、サンディ(Sandhi)やウィンド・ギャップ(Wind Gap)といった新進気鋭のワイナリー設立に協力したりするなど、幅広いワイナリーに出資しています。南アフリカ、ニュージーランド、フランスと、海外のワイナリーにも出資しています。

そのチャールズ・バンクスのインタビュー記事がありました(Charles Banks Venture Capital and Wine - Grapecollective.com)。

下の写真右がチャールズ・バンクス



非常に面白いインタビューなので、ぜひ元記事を読んでいただきたいところですが、ここではいくつかのポイントだけ紹介します。

まず、スクリーミング・イーグルから手を引いた理由ですが、端的に言えばブランドの構築においてやれることがあまりなかった、ということに尽きます。たかだか2000ケースのワイナリーで、既に名声も確立しているところでは、ビジネスを育てる面白みがなかったようです。

キュペについては、ワイン自体には全く問題がなく、プロモーションの仕方がよくないために埋没したブランドになってしまっていました。そこで、作るワインの種類を減らして焦点を明らかにするなどのテコ入れを行っているとのこと。チャールズ・バンクスが一番好きなワインはローヌ系だとのことで、キュペには結構思い入れがありそうです。

マヤカマスには、スクリーミング・イーグルでワインメーカーを務めたアンディ・エリクソンを抜擢。ところが、ブドウの選果をするための最新機器を送ったら、全部突き返してきたとのこと。ここも、従来からのワインの作り方を変える必要は一切ないと、アンディ・エリクソンが判断したそうてす。マヤカマスのワインは熟成能力に定評があり、それを活かすことにしたのです。

その代わりに変えたのはビジネスモデル。作ったワインのうち4割は倉庫に保管しておき、10年、あるいは30年や40年経ってから市場に出そうというのです。

このほか、南アフリカの話もかなり興味深いものでした。

スクリーミング・イーグルを買収したときには、ただの金持ちの道楽なのかと思っていましたが、このインタビューを読んで、完全に見方が変わりました。非常によく考えているし、ワインが好きなことも分かります。やみくもに買収しているのではなく、それなりに勝算があって取り組んでいることも分かりました。彼のこれからに、もっと注目していこうと思います。
Date: 2016/0113 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日、「シャトー・イガイタカハの「侍」、JALのファーストクラス用ワインに選ばれる」という記事を書きましたが、同じくシャトー・イガイタカハの「園」もJALのファーストクラス用ワインに選ばれました。

JAL「園」

ここの内容は月替わりなのでしょうかね。先月「侍」が紹介されていたところに「園」が入る形になっています。

「園」はシャトー・イガイタカハの漢字シリーズのワインの中でピノ・ノワールのフラグシップ。サンタ・リタ・ヒルズのブドウを使い、グレッグ・ブリュワーによって作られるワインの1つです。「園」はピノ・ノワールのフラグシップ。Wine Advocate誌では92点が付いています。

Date: 2016/0113 Category: 業界ニュース
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今やソノマを代表するワイナリーの1つであり、ジンファンデルの古木の第一人者とも言えるベッドロック(Bedrock)。そのオーナーのモーガン・ピーターソンが来日します。それに伴い、輸入元の中川ワインは一般ユーザーが参加できる記念ディナーを開催します(中川ワイン - NAKAGAWA WINE : ベッドロック来日記念ディナーのご案内/Invitation to Bedrock wine dinner on February 2nd, 2016 by NAKAGAWA WINE)。

ベッドロックのワイン

日時:2016年2月2日(火)19時から
場所: トゥーランドット臥龍居(がりゅうきょ)/東京都港区赤坂6-16-10 Y’s Cross Road 1,2F
会費:8,000円(税・サ込)
お支払方法:現金のみ
スタイル:立食・ブッフェ・スタイル(限定50名・先着順受付)
予約受付:お申込みは川ワインまで。連絡先03-3631-7979(受付時間:平日10:00-17:30 土日祝除く)

ベッドロックについては以下の記事をご覧ください
ついに来た!「天才」Morganが作るBedrockが国内正式輸入開始
Bedrock Wine: 5歳からワインを作る天才の夢を載せるワイナリ

僕も初めてモーガンに会えること、大変楽しみにしています。


Date: 2016/0112 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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最大規模のエル・ニーニョと言われる今年、カリフォルニアにもようやく雨がやってきました。100年に1度と言われた旱魃もついに終わるのでしょうか(California drought: How will we know when it)。

結論から言うと、まだまだ解決にはほど遠いようです。「4年間の歴史的旱魃の解消には1週間の雨では足らない」と専門家は述べています。

そもそも、何を持って旱魃の解消といえるのかも明確ではありません。貯水池に水が貯まればいいのか、4年間に降らなかった分を取り返すだけの雨が降ればいいのか、それとも地下水の回復も必要なのか。

1つの意見としては、過去の旱魃の解消時を見ると、シエラネバダ山脈の冠雪が通常の150%に達し、雨量が通常の150%になっているといいます。これが目安になるかもしれません。

ともあれ、雨で貯水池の水が増えているとは言ってもまだ満水の3割近くにとどまっているところが多いようです。まだしばらくはかかるのでしょう。
Date: 2016/0111 Category: 業界ニュース
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カリフォルニアのロウダイ(Lodi)地区といえば、温暖な気候で知られており、古くからジンファンデルの産地となっていました。この地域(AVA)を盛り立てようと始まったのが「ロウダイ・ネイティブ」のプロジェクトです。その仕掛け人への取材を含む記事が公開されていました(Lodi Group Finds Success With Native Wines - Wines & Vines - Wine Industry News Headlines)。

このプロジェクトを始めたのはランディ・カパローソという人。2010年にLodi Winegrape Commisionsによって招かれ、ロウダイのAVAの認知を高めることがミッションとされました。

カパローソは、世界の偉大なワイン栽培地域はすべて素晴らしい畑で知られていると考え、畑を前面に押し出すために、「野生酵母のみを使う」「新樽は使わない」などとワイン作りの成約を決めた「ネイティブ」のプロジェクトを始めました。これまでのワイン作りとは大きな隔たりがあるワイン作りです。

その結果、ワイン評論家などはこのプロジェクトを高く評価しました。

また、ユーザーに、従来のスタイルのものとロウダイ・ネイティブのワインを飲み比べてもらうと、約半数はロウダイ・ネイティブを好むこともわかりました。従来のスタイルを好む人がほとんどだと考えられていたため、これは生産者にとっても大きな発見でした。

生産者の数は現在11。これを12に増やして1ケースに1本ずつ入れるのが当面の目標です。
Date: 2016/0110 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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米国政府が「ダイエタリー・ガイドライン」を発表しました(New U.S. Dietary Guidelines Reaffirm Moderate Drinking As Part of a Healthy Adult Diet - General News - News | DISCUS)。

それによると、「Moderate and responsible beverage alcohol consumption by adults can be part of a healthy lifestyle and diet choice. As with all things, moderation is the key, and the 2015 Dietary Guidelines also make this clear.」とのこと。

すなわち、適切な量のアルコールは健康なライフスタイルやダイエットにつながるとのこと。

適切な量とはどれだけかと言うと「女性で1単位、男性は2単位」とのこと。1単位とはワインだと140mlくらい(アルコール度12%の場合)。カリフォルニアワインだとアルコール度数は14%前後のものが多いから120mlくらいですね。男性で2杯だと240ml。概ね3日でワインボトル1本開くくらいの量になります。

アルコールを飲むことを推奨するかのような今回の発表。政治的な配慮がきになりますが、まずはよかったです。
Date: 2016/0108 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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コミックモーニングで島耕作を見ていたらコルギンのワインが出ていました。

島耕作より

かつてはスクリーミング・イーグルも登場したこの漫画、弘兼憲史さんはカリフォルニアワイン好きなのでしょうか。

それにしても、もう1本選んだワインがケンゾーエステイトの「藍」。これもカベルネ・ソーヴィニヨン主体のワインです。どこまでカベルネ好きなのでしょうか。

ところで、この続きで島耕作はこのワイン、ホームレスのおじさんと茶碗で飲んでしまいます。さすが太っ腹ですね。

なおコルギンの2005年IX(ナンバー・ナイン)エステート、プロプライエタリ・レッドは7万5000円と書いてありますが、5万円台でも買えるようです。WAでは98+という高い評価が付いています(以前は97点でしたが最近の再試飲で98+に変わりました)。パワーとエレガンスを極めて高いレベルで融合したワインです。最近のヴィンテージは7万円以上が当たり前なので、5万円台は結構お得かも(2000年代前半は3万円程度でしたが)。

Date: 2016/0107 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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Wine Enthusiast誌が「America's Best Value Pinot Noirs」という記事で、コスト・パフォーマンスが高いピノ・ノワールを作る米国のワイナリー5つを紹介しています。

登場するワイナリーは
オレゴンのLange、Willamette Valley Vineyards、カリフォルニアのNavvarro(ナヴァロ)、Siduri(シドゥーリ)、Pali(パリ)。

日本にもカリフォルニアから選ばれた3つのワイナリーのワインは輸入されていますが、残念ながらナヴァロのピノ・ノワールは入っていないもよう。

シドゥーリ、パリについては私もいい選択だと思います。シドゥーリではソノマ・カウンティやロシアン・リバー・ヴァレーのピノ・ノワール、パリはハンティントン・ピノ・ノワールが紹介されています。

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Date: 2016/0106 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カリフォルニアのバークレーにある有名なワインショップ「Premier Cru」(プルミエ・クリュ)が破綻の危機に瀕しています。日本のインポーター「フィラデス」などが、購入したワインが送られてこないとして提訴。ショップ側は実店舗を閉鎖してオンラインでの販売に特化すると主張していますが、状況はかなり危ない様子です。

プルミエ・クリュは高級ワインを他のショップよりも安く販売することで有名なショップ。その代わり、多くのワインは「プレ・アライバル」の状態で販売され、顧客に届くのは2年後や3年後となっています。

これまでも、ワインが予定通りに届かないということは頻繁にありましたが、店舗側は最終的にはワインを調達して送ってきたり、顧客の求めに応じてリファンドすることで、大きなトラブルにはなっていませんでした。古くからの顧客が多く、少々のことは辛抱して待っていたようです。

ここ数年は中国人などの新しい顧客が増えたこともあり、予定通りにワインを配達できないことが、よりトラブルにつながってきたようです。そのため、古くからの顧客の中には、新しい顧客の辛抱が足りないのではないかと苦言を呈する人もいます。

ただ、税金の滞納が13万ドルに上るなど、運用がより厳しい状態になっていたのも事実のようです。

今後はどう展開していくのでしょうか。
Date: 2016/0105 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ブドウに貴腐菌がつくと、ブドウの色は黄色からピンクや紫になっていきます。通常、白ワイン用のブドウでは起こらないこのような色の変化をUC Davisの研究者が調べました(Noble Calling: Scientists Studying Botrytis Rot Discover Link to Winegrape Ripeness | News | News & Features | Wine Spectator)。

ブドウの色変化はアントシアニンによって起こります。白ワイン用のブドウでは変異によってその生成が抑えられています。

ブドウに貴腐菌が付いてそれが成長していくと、ブドウの代謝に大きなストレスがかかります。ブドウはそこで熟成を早め、色やフレーバー、アロマの要素を加速的に増やしていきます。その過程が今回の研究で明らかになりました。

さらには、貴腐菌がなくても代謝をコントロールできるようになれば、ブドウの熟成をコントロールすることも可能になると考えられています。

Date: 2016/0104 Category: グルメ
Posted by: Andy
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1年のうち正月の3が日だけはワインより日本酒を飲みます。今年は昨年9月に新潟に旅行したときに買った「鶴齢」の純米吟醸。

鶴齢純米吟醸

きれいな味わいですが、決して水っぽいのではなく、旨味もしっかりあります。非常にバランスのいいお酒でした。



ブログでは紹介しそびれてしまいましたが、9月の新潟旅行はなかなか楽しく、そして美味しいものがたくさんありました。

大地の芸術祭を見たり
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棚田を見たり
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へぎそば食べたり
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舞茸の美味しさに子どもたちが目覚めたのも面白かったです。
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鮎も美味しかった!
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もちろん、魚沼産コシヒカリも!

このとき泊まった「友家ホテル」はリーズナブルな価格で、料理がとても美味しく、のんびりと楽しく過ごすことができました。豪華な設備はありませんが、家族でリラックスして泊まるには最高のところだと思います。また、リピートしたいところが増えてしまいました。

楽天トラベルで友家ホテルを見る

帰りに食べた栃尾の油揚げもおいしく、今もネットでリピートして買っています。

Date: 2016/0102 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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昨年のWine Spectator誌年間トップ100は1位から3位がカリフォルニア、ワシントン、オレゴンの揃い踏みという珍しい結果になりました。

参考:WS2位と3位はワシントン、オレゴンを代表するワイン、 どちらも現物ありWSのワイン・オブ・ザ・イヤーは予想外のカリフォルニア(現物あり)

この中でも注目度が高く、またレア度も高いのが3位のイヴニングランド。WSの評価は98点で、個人的には1位になるのではないかと見込んでいたワインです。いち早く入荷したWassy'sは既に売り切れですが、タカムラには入荷しています。さらに、2位と1位のワインもあるので、トップ3をまとめて買うことも可能です。特にピノ・ノワールについてはお早めの購入をお薦めします。


2位はこちら。ワシントンの雄、クィルシーダ・クリーク。


1位はピーター・マイケルが初めてナパで作るカベルネ・ソーヴィニヨン。
Date: 2016/0102 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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WA222号では北カリフォルニアの特集で1300本を超えるワインがレビューされています。全部を見るのはなかなか困難ですが、目に付いたところでオーパス・ワンの2012年がレビューされていました。

レイティングは96点。オーパス・ワンとしては2004年、2010年と並んで過去最高タイとなります。レビューの文言も極めて好意的で「素晴らしいワールドクラスのワインを作っているように思える」「美しいフルボディのワインでこれから25年から30年は優に飲める」などと書いてあります。

このほか、故ロバート・モンダヴィの長男マイケル・モンダヴィ、次男ティム・モンダヴィの作るワインも高評価でした。

マイケル・モンダヴィの「M」は2013年が95点、ティム・モンダヴィのコンティニュアム(Continuum)は2012年が96点でした。特にコンティニュアムはデビューから失敗ヴィンテージがなく、安定して高評価を続けています。2012年のヴィンテージからはプリチャード・ヒルにある自社畑のブドウ100%になりました。価格的にもオーパス・ワンより1万円近く安いので、非常に魅力的なワインの1つです。

マイケル・モンダヴィの「M」は以前日本への入荷がありましたが、今は輸入されていないようです。

一方、今回のWA222号ではカリフォルニアの老舗のワイナリーに厳しい評価が着く例が多いような気がしました。例えばInglenookのRubiconは88+。シャトー・モントレーナなどもあまり良い評価ではありませんでした。


Date: 2016/0101 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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あけましておめでとうございます。年明け早々ですが、Wine Advocate誌の222号が発表されました。前号に引き続いて北カリフォルニアのパート2が掲載されています。パーカーが自身が経験した37年間でベストと評する2013年のワインが中心となったこともあり、今回も満点のワインがかなり多く出ています。

中でも注目は、マーカッサン(Marcassin、マーカッシン)とピーター・マイケル(Peter Michael)に続く白ワインの100点が3つのワイナリーで出たこと。特にうち1つはシャルドネでもありません。シャルドネでもデザートワインでもない白ワインの100点はカリフォルニアでは初めてです。

赤ワインでも初めての品種で満点が登場しました。

また、初めて100点を取ったワイナリーは8個。今回13ワイナリーの18のワインに満点が付いていますから過半数のワイナリーが初めての満点だったわけです。

WA222号で満点のワイン

白の100点はオーベール(Aubert)、コングスガード(Kongsgaard)、モレ・ファミリー(Morlet Family)の3つ。

コングスガードはもちろん「The Judge」。誰もが満点を取るのは時間の問題と思っていたワインです。オーベールはシャルドネのイーストサイド。オーベールの満点も衆目の一致するところですが、イーストサイドというワインは知らなかったのですが、UVヴィンヤードの1区画だそうです。

もう1つの満点白はモレ・ファミリーの「La Proportion Doree」。65%セミヨンで24%ソーヴィニヨン・ブランという構成。

赤では今回カベルネ・フランに初めての満点が出ました。これもモレ・ファミリー。「Cabernet Franc Force de la Nature」というワインです。

また、初100点ワイナリーはKongsgaard、Myriad、Aubert、Morlet Family、Beau Vigne、Del Dotto、Cliff Ledeとなっています。