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Date: 2023/0415 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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もう1カ月ほど前になりますが、カベルネ・フランの会に参加しました。

ことの発端は、私がFacebookでカベルネ・フランが好きだという話を書いていたのに何人もの方からコメントをいただき、カベルネ・フラン会をやりましょうということになったのですが、最初は持ち寄りでと思っていたところ、カリフォルニアワインの日本でも有数のコレクターの方から、うちでやりませんかというありがたいお声をいただき、プロ並みの料理(というか普通にお金を取ったら大変なことになりそうな高級食材を使ったすごいもの)と合わせて催していただいたのでした。

レアワインのオンパレードとなったこの会のワインを紹介します(というか私の備忘録として書き留めておきます)。



表のラベルを撮り忘れましたが、冒頭の写真の左から2番めです。コリソン(Corison)のSunbasket Vineyardのカベルネ・フラン2014です。普通のコリソンのラベルとは全く違うラベルなので、コリソンと言われなければわからなそうです。カベルネ・フラン100%。

年数的には10年以下ですが、それ以上に熟成を感じます。ハーブやスパイスの風味がここちよく、果実味はレッドチェリーなど赤果実系。温暖なセント・ヘレナの畑ですがカベルネ・ソーヴィニヨンのような重さは全くありません。美味しいなあ…



その次はラ・ホタ(La Jota)のハウエル・マウンテンのカベルネ・フランでヴィンテージはなんと1990年。むちゃくちゃエレガントで品種をきかなかったらピノ・ノワールと思ったかも。さすがにもう強さはなくはかなげな雰囲気ですが、劣化は全くなくとてもきれいな味わいです。こんなワインが飲めて感謝しかありません。

次はこれまたレアなシー・スモーク(Sea Smoke)のスパークリング(開けるときに噴いてしまいました。ほかの人もシー・スモークのスパークリングで同じ経験をしたとのことなので噴きやすいのかも)。ブラン・ド・ノワールです。


次はこの日のハイライトと言っていいでしょう。ハーラン・エステートが「プルミエ・ナパ・ヴァレー」オークション向けに作ったカベルネ・フラン100%のワインです。プルミエ・ナパ・ヴァレーは毎年2月に開催される業界向けのオークション。参加するワイナリーは、最大60本のオークション専用のワインを作ります。ラベルはすべてのワイナリーが共通のものを使います。このワインは1999年の同オークションに出品された「一度限りの」ワインです。

香りが素晴らしいです。ハーラン・エステートと比べると、フランボワーズやザクロのような赤果実の香りをより強く感じます。味わいは濃厚ですが、カベルネ・ソーヴィニヨンのようなずっしりとした重さではなく、軽やかさを感じます。すっきりとした酸もありとてもきれいなワイン。

当初はもう2本、カベルネ・フランを開ける予定でしたが、ハーランの満足感も高く、フランは後1本にしました。Vineyard 29のカベルネ・フラン2014です。この日のフランの中では一番濃厚で黒系果実の風味が強くあります。ただ、やっぱりカベルネ・ソーヴィニヨンとは違う酸の高さがあり、カベルネ・ソーヴィニヨンよりもエレガントな味わいです。

これで一通り終了…だったはずですが、もう一つ違うものを開けましょうとのことでセラー(ウォークインタイプで3方の壁にラックが据えられており所狭しとワインが並んでいます)を物色。お宝ばかりで大興奮(待っていた人たちはいつになったら帰ってくるんだろうt思っていたらしい)しました。その中で、選ばせていただいたのがなんとダイヤモンドクリークの中でも超レアなレイク「Lake」です。ヴィンテージは1987年。同じワインが2本あり、1本ラベルが少し破損していたのでそれをありがたく飲ませていただきました。


超緊張して抜栓する人(笑)。

アルコール度数は12.5%と今の水準では考えられないほど。これもとてもきれいです。もちろん熟成は相当進んでいます。マッシュルームなどの熟成の風味もたっぷり。黒果実がかすかに残っています。この日はエレガントなフランが続いた後だったので、カベルネ・ソーヴィニヨンらしい強さも感じましたが、逆にカベルネ・ソーヴィニヨンがたくさんある中でこれを飲んだらスーパーエレガントに感じたと思います。

この日の料理はカベルネ・フランに合わせて、和食が中心。牛肉もありましたが塩釜焼きで桜の風味がつけてあり、和の要素が強いものでした。

ナパのカベルネ・フラン、数は少なく日本に入っているものも限られており、価格も高いものが中心にはなってしまいますが、カベルネ・ソーヴィニヨンとは違う魅力があります。特にカベルネ・ソーヴィニヨンは飲み疲れてしまう、と思っている人はぜひ試してほしいです。

カベルネ・フランは青臭いワインというイメージをお持ちの方も多いですが、この日のワインで青臭さを感じたことは全くありませんでした。もっとこの魅力を多くの人に知ってほしいです。
Date: 2023/0412 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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ザンダー・ソーレン(Xander Soren)氏の立ち上げたワイナリー「ザンダー・ソーレン」の世界ローンチ・イベントが新宿のパークハイアット東京で開かれ、参加してきました。


ザンダー・ソーレン氏は元アップルのエグゼクティブでiPodやGarageBandなど音楽系の製品開発に長く携わった人。ワイン造りは10年ほど前から始めていましたが、このほど会社を辞め、ワイナリーに専念することになりました。その世界発表の場となったのが東京です。お披露目では、和食のコースにワインを合わせていました。


ワインのラベルも家紋を模したもの(米国西部に咲くフルセラという花にザンダー氏の頭文字の「X」を組み合わせたデザイン)で、ザンダー氏の日本への思い入れの深さがうかがえます。
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日本市場に投入されるのは2019年のヴィンテージからになるようですが、お披露目では2012年のワインなど、これまで作ってきたバックヴィンテージのワインもいただきました。なお、ワインはすべてピノ・ノワールです。

ブドウ畑は南はサンタ・バーバラから北はウエスト・ソノマ・コーストまで、カリフォルニアのピノ・ノワールの銘醸地から厳選された、いずれ劣らぬ銘醸畑ばかりです。例えばサンタ・バーバラではサンフォード&ベネディクトやラ・エンカンターダ、サンタ・ルシア・ハイランズではシエラ・マーやロゼラズ、ソノマではオリヴェット・レーンやユーキ・ヴィンヤードのブドウを使っています。ユーキ・ヴィンヤードはフリーマンがウエスト・ソノマ・コーストに持つ畑で、外部のワイナリーに出すのはザンダー・ソーレンが初めてとのことです。

ワインは食事とのペアリングで出されたので、順番はバラバラでしたが、ここではヴィンテージ順に簡単に紹介します。

2012年セントラル・コースト:畑はサンタ・ルシア・ハイランズのシエラ・マーとサンタ・バーバラ(サンタ・リタ・ヒルズ)のエンカンターダ。10年が過ぎて、熟成による旨味や漬物のような味わいも出てきています。カリフォルニアでは果実味が強いせいか熟成しても漬物感があまり出てこないことが多いですが、これはきれいに熟成しています。果実味もほどよく残っていて飲み頃でしょう。

2013年セントラル・コースト:1年の違いですが、レッド・チェリーやザクロのような果実味がより強く残っています。合鴨によく合いました。

2015年セントラル・コースト:ザクロやフランボワーズのやわらかな果実味。ほどよい酸味。腐葉土やマッシュルームのニュアンス。

2019年セントラル・コースト:サンタ・ルシア・ハイランズのロゼラズのブドウも入っている。フランボワーズなどの赤果実に、カシスのような黒果実の風味も加わり、ちょっとダークな味わい。

2019年ユーキ・ヴィンヤード:赤果実の風味が主体で、複雑味もある。数年熟成させるととても良くなりそう。

2019年オリヴェット・レーン:ロシアンリバー・ヴァレーらしい芳醇な味わい。比較的タンニン強く、ボディがしっかりしている。

2020年オリヴェット・レーン:2019年と似ているが、よりタンニンを感じ、グリップ感がある。

2020年Ludeon:Ludeonはフラッグシップの位置づけで、ほかのラベルが白地なのに対してこれだけは黒字になっています。ほかのワインがかなりエレガントな作りであるのに対して、これはかなりボディが強く、濃い味わい。青さを感じたので全房を使っているのかと思ったらそうではないとのこと。おそらくまだワインが若すぎるのだと思います。もう2、3年たってから飲んだほうが良さそうなワイン。


ワインメーカーはウイリアムズ・セリエムやロアーなどで働いていたShalini Sekhar (シャリニ・セイカ ル)という人。どのワインもそれぞれの地域らしさも出たきれいなワインで、とても優秀なワインメーカーだと思います。

生産量は毎年トータルで600ケースくらいというからかなり少なく、日本に入ってくる量もかなり限られていそうですが、探して飲む価値のあるピノ・ノワールだと思います。

日本では布袋ワインズが輸入元になります。
ザンダー・ソーレン : Hotei Wines







パークハイアット東京の和食レストラン「梢」の料理も実に素晴らしかったです。