8年ぶりのオーベール会、ひときわ美味しかったのはやっぱり…
Date: 2024/12/13
Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
オーベール(Aubert)のワイン会に約8年ぶりに参加しました。以前はメーリング・リストで買われている方が時折開催していたのですが、いろいろな事情で途絶えていたのが、復活した形です。メンバーも懐かしい顔ぶれでした。
今回のラインアップは
Hudson 2014
Eastside 2014
Sugar Shack 2014
CIX 2014
Lauren 2014
Sonoma Coast 2013
Ritchie Vineyard 2012
UV-SL Vineyard 2012
とちょっと熟成したものです。主催者によると以前飲んだヴィンテージとのことでしたが、私の記録には含まれていないようでした。
まず、オーベールを取り上げるのは久しぶりなので、おさらいしておきましょう。オーベールの創設者であるマーク・オーベールは1961年生まれ。1985年にカリフォルニア大フレズノ校卒業後、ナパのモンティチェロ(Monticello)やラザフォードヒル(Rutherford Hill)で働き、カリストガのオール・シーズンズ・カフェでヘレン・ターリーと知り合いました。その後、ソノマのピーター・マイケル(Peter Michael)でヘレン・ターリー(Helen Turley、現Marcassin)の下で働き、1990年にピーター・マイケル(Peter Michael)の第2代ワインメーカーに就任。1999年には再びヘレン・ターリーの後任としてコルギン(Colgin)の第2代ワインメーカーになりました。同年、自身のブランドとしてオーベールを始めています。
カリフォルニアの5大シャルドネと呼ばれるワイナリーの一つであり、パーカー100点をシャルドネで7回取っています。これはマーカッシン、ピーター・マイケルと並んでカリフォルニア最多となっています。
ハドソンのシャルドネから飲んでいきます。ハドソンはこのサイトでも何度も取り上げているナパのカーネロスの畑。自社のシャルドネも素晴らしいものがあります。同じくカーネロスのハイドと双璧をなす銘醸畑ですが、オーベールのワインの中ではハイドとハドソンはちょっと価格が安く、格落ち感があるとのこと。なんとも恐ろしい(笑)。
とはいえ、むちゃくちゃ美味しいです。ミネラル感にやや強めの酸。蜜の香り、パイナップル、アプリコット。麦わらのようなニュアンスもあります。
次のイーストサイドはロシアンリバー・ヴァレーの東側にある契約畑。石がごろごろ転がっている土壌があります。やや温暖なところかと思いますが、ハドソンよりも酸高く、オレンジやミネラルの風味。
3つ目のシュガーシャックからは自社畑が続きます。これだけはナパにある畑。しかもかなり温暖なラザフォードです。シュガーシャックを飲むのは多分初めてなので、どういう味わいになるのか興味深々でした。
ラザフォードのシャルドネをどう仕上げてくるのだろうと思いましたが、予想外にきれいなワインで酸もしっかりあります。どうしたらラザフォードでここまで酸が残せるのでしょう。ほかよりも樽のニュアンスを強めに感じます。バニラや香ばしい香り。ネクタリン。
次のCIXも自社畑。ソノマのグリーン・ヴァレー(ロシアンリバー・ヴァレー、ソノマ・コーストにも含まれており、ソノマ・コーストの畑として書かれていることが多いです)にある畑。ちょっと熟成が進んでナッツの風味が出てきています。アプリコットなど有核果実の味わいも。
白の最後も自社畑のローレンです。ここはオーベールの初期に作られた畑であり、娘の名前を付けたフラッグシップの畑でもあります。実はCIXとは隣り合わせですが、ローレンがゴールドリッジと呼ばれる黄土色の土壌なのに対して、CIXは海の塩のようなテクスチャーを持つ白い土壌。これは石灰質ではないそうです。
過去のテイスティングでもローレンのすばらしさは際立っていたのですが、今回もやはりシャルドネでトップを選ぶとしたら100人中90人以上はローレンを選ぶでしょう。パイナップルのようなトロピカルフルーツの風味にミネラルやナッツ、豊かな酸があり、パワフルなのに恐ろしいほどにきれいなワイン。久しぶりに飲みましたが、改めてオーベールのシャルドネ、特にローレンは素晴らしいと思いました。
この後はピノ・ノワールが3種類です。
最初は唯一のAVAものであるソノマコースト。
レッド・チェリーなどの赤果実の味わいがあり、柔らかなテクスチャ。カリフォルニアらしさのあるピノ・ノワール。美味しいですが、シャルドネのような突出さはなかったような気がします。
次はロシアン・リバー・ヴァレーの銘醸畑リッチー。
ピノ3種の中では一番ボディのあるワイン。アルコール感も少し強く、熟したザクロの風味にブルーベリーも感じます。濃いですが酸もありバランスはいいワイン。
最後はUV-SL。UVはオーベールの畑の管理や開発を任されていた故ユリシス・ヴァルデスの略。SLはStotz Laneという道路の名前です。Rivers-Marieのシルバー・イーグルと実は同じ畑のことです。
3つのピノの中ではこれが一番エレガントで、個人的にも評価の高いワイン。赤い果実にきれいな酸、熟成による腐葉土の風味もでてきています。
久しぶりのオーベール、やはり特にシャルドネは只物ではないです。美味しかったです。