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Date: 2017/0328 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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コスタ・ブラウンのマイケル・ブラウンが作る、新たなピノ・ノワールのプロジェクトがサーク(Cirq)です。

過去記事:
これから伸びてきそうなカリフォルニアのワイナリ
マイケル・ブラウンの新プロジェクト「Cirq」のワインが日本入荷
マイケル・ブラウンの「Cirq」はむちゃくちゃ美味しかった

このサークの2011年から2013年までを試飲する会に参加してきました。

キスラーとサーク

サークはピノ・ノワールしか作っていないので、白ワインはキスラーのシャルドネでした。ヴィンテージは2012年で畑はハドソン(Hudson)とデュレル(Durell)です。

ハドソンはメロンやパイナップルのようなトロピカル・フルーツのフレーバー。バニラ、濃厚ですが、酸がしっかりしているので嫌味ではありません。いかにもカリフォルニアなシャルドネですが、美味しいです。時間が経つと柑橘系が出てきて、より美味しくなってきました。

デュレルはもっとミネラリーな感じ。香りにも塩っぽさがあります。オレンジやレモンなど柑橘系の味わいに、樽の風味が加わり、これも美味しいです。個人的にはデュレルの方がハドソンよりわずかに好印象。でもどちらも美味しいです。キスラーのシャルドネも久しぶりに飲んだような気がしますが、やっぱり美味しいなあと改めて思いました。

余談ですが、自分的評価ではハドソン94点、デュレル95点としていたのですが、パーカーの評価はハドソン96点、デュレル94点。ハドソンが「sexiest」というのは納得ですが点数はちょっと違いました。

サークはツリーハウス(トゥリーハウス、Treehouse)が2011、2012、2013の3本。ブートレガーズ・ヒル(ブートレッガーズヒル、Bootlegger's Hill)が2013年の1本。これまでリリースされたワイン全部です。

ツリーハウスは太平洋から8マイル(13km弱)のところにある畑。AVAはロシアン・リバー・ヴァレーのようですが、おそらくソノマ・コーストにも入っているのではないでしょうか。標高230mくらいの高さがあり、霧のかかるラインよりも上なので、太平洋からの距離が近い割には、昼間の気温があがり、日照もいい畑になっているようです。地質は鉄分に富んだ火山性のもので、保温性が高く、それで果実がよく熟すとのこと。

【追記】ツリーハウスは先日紹介したリヴァース・マリーで使っているシルバー・イーグル(またの名をUV-SL)の隣だそうです。ただし、地質はだいぶ違っており、ツリーハウスは真っ赤、シルバー・イーグルは茶色がかっているとのことです。

一方のブートレガーズ・ヒルも標高は同じくらいですが、地質はゴールドリッジ。軽い砂状の地質で水はけがいいのが特徴です。ツリーハウスよりも少し気温が低いことと、水はけのよさによってブドウの樹が水不足のストレスをより受けることで、ツリーハウスよりもエレガントなワインができるとのこと。

【追記】ブートレガーズ・ヒルはツリーハウスから2kmほど南だそうで、ソノマ・コーストに入っているようです。

まずはツリーハウスの2011年から。第一印象はちょっと熱にあたったかのような感じがあり、ワインの要素がばらけてしまっていました。実は2011年だけが国内の小売店から買ったもので、その他は米国から直接買ったものです。購入後は定温倉庫にずっと預けていたワインなので、流通の過程に何か問題があったのかもしれません。ただ、時間を置くと赤系の果実味がだんだん出てきてワイン自体の味も好印象になってきたので、ワインが閉じているフェーズだった可能性もあります。

ツリーハウスの2012年はバランスよく、明るい味わいのおいしいピノ・ノワール。すごくきれいな味わいです。

ツリーハウスの2013年は思わず「おいしい」と口に出てしまうほどおいしいピノ・ノワール。この中では一番濃く、赤系の果実味だけでなく、ブルーベリーのような青系の果実味もかなり含まれています。ただ、コスタ・ブラウンのような濃い甘系ではなく酸がすごくしっかりとしていてバランスがきちんと取れています。

ブートレガーズ・ヒルの2013年もツリーハウスの2013年に負けていません。旨味が半端なく、おいしいより前に「うまい」と思いました。確かにツリーハウスよりエレガントですが、深みがあります。「シャンボール的」と評していた人もいました。

サークも独断と偏見で採点すると、2011が91点、2012が93点、2013年がどちらも96点。これも今、パーカーの点数を見てみました。パーカーの評価は2011年はなく、2012年が93点、2013年のツリーハウスが97点、ブートレガーズ・ヒルが96点。かなり近いですね。やっぱりパーカーは濃い系の方が評価高いのでしょうか。

どちらもまだ若い畑のようなので、これからもっと美味しくなるでしょうね。コスタ・ブラウン的なワインを期待するとちょっと違う印象になりそうで、むしろコスタ・ブラウンと関係なく飲むのがいいのではないかと思います。カリフォルニアのトップ・レベルのピノ・ノワールの1つだとあらためて思いました。コスタ・ブラウンと比べると知名度が低いので、日本では今のところ入手もそれほど難しくはなさそうです。2013年が日本に入ってくるときは要チェックですよ。

おまけでこの日の持ち込み料理から「黒柳牧場の中ヨークシャー×デュロックの塊肉」をプレゼしたもの。肉も脂もげきうま。
豚肉のプレゼ

チョコレートが絶妙においしいHUGO&VICTORのケーキ。
image

さくらはまだまだ。一番咲いているところで3分咲き程度。目黒川の花見クルーズの船が寒そうでした。
さくら

Date: 2017/0327 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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Seven Deadly Zins

今や米国ナンバーワンのジンファンデル・ブランドとなったマイケル・デイヴィッドのセブン・デッドリー・ジンズ(Seven Deadly Zins)を飲みました。ヴィンテージは2013年です。

マイケル・デイヴィッドは、ロバート・パーカーがここのワインだけの記事を書くほどのお気に入りでもあり、ロウダイを代表するワイナリーになったといっても過言ではないでしょう。

想像していたのは、むちゃくちゃパワフルで甘いジンファンデルだったのですが、飲んでみたら予想以上にバランス重視派。甘みよりもしっかりとした酸を感じるジンファンデルでした。もちろん、ジンファンデルらしさもあるし、果実味もたっぷりあります。

マイケル・デイヴィッド プティ・シラー 

これより前に、同じワイナリーのプティ・シラー「プティ・プティ」を飲んだのですが、こちらも予想以上のいいバランスでしたが果実味爆発度では上でした。ヴィンテージは2014年。

何を求めるかにもよりますが、個人的にはマイケル・デイヴィッドを飲むときは、濃厚で甘い味わいを欲しているような気がして、セブン・デッドリー・ジンズはちょっと肩透かしな感じがあったのは否定できません。なお、パーカーの評価はどちらも90点です。