ブリュワー・クリフトンには、いろいろな思い出がありますから、それを思うとちょっと残念な気もしますが、実質的には大きな影響はないのではないかとも思います。
というのは、シャトー・イガイタカハの漢字シリーズのシャルドネ、ピノ・ノワールはどれもブリュワー・クリフトンの畑のブドウを使ってグレッグ・ブリュワーが作っているからです。
以前の筆者がグレッグ・ブリュワーにインタビューしたときはタカハのワインについて、次のように語っています。
――シャトー・イガイタカハのワインについて伺います。ブドウはブリュワー・クリフトンの畑のものを使っていると聞いています。
グレッグ:その通りです。
――では、ワインもブリュワー・クリフトンと全く同じになるのでしょうか?
グレッグ:ブリュワー・クリフトンは単一畑のワインです。それに対して、シャトー・イガイタカハの場合は、エモーショナルなものが先に来ます。漢字の意味から、それに合った味わいを出すのがどのワインかを決めるのです。
――そのためにブレンドする場合もあるのですか。
グレッグ:ときにはブレンドすることもあります。
「漢字ワインはエモーショナルなんです――グレッグ・ブリュワー インタビュー後編 」より
また、ブリュワー・クリフトンのピノ・ノワールは全房発酵が特徴の1つですが、以前別のセミナーではタカハの「園」については全房発酵で作っていると言っていました(今も同じかどうかはわかりません)。
「シャトー・イガイ・タカハの新作ワインをグレッグ・ブリュワーが解説(後編)」より
同じセミナーでは、シャルドネのクローンについて「美夜の畑はSweeney Canyonのクローン、波紋の畑はSea Smokeのクローン、侍の畑はClone4とHydeのクローン」と語っています。ブリュワー・クリフトンの畑でみるとSweeney Canyonはマチャドの畑、Sea SmokeやHydeは3Dの畑にあるので、それらの畑から来たものと想像できます(これも今も同じかどうかはわかりません)。
ブリュワー・クリフトンのワインとシャトー・イガイタカハのワインを1対1で結びつけることはできませんが、それでもグレッグのワインがこれだけ流通しているのってすごいことだと思います。何よりも日本を愛しているグレッグのことですから、日本で彼のワインが飲めなくなったら、一番悲しむのは彼だと思います。
今回の輸入停止とは関係ありませんが、こういう自社畑に移行するより前のワインを見つけるとこれはこれで懐かしいものがあります。
なお、復活したダイアトム(Diatom)のワインは、シャトー・イガイタカハと同じワインライフ株式会社が輸入します。
リンク先で、ブートレッガーズ・ヒルもトゥリーハウスも両方購入できます。
サーク ピノ・ノワール "ツリーハウス/ブートレッガーズ・ヒル" ルシアンリバーヴァレー [2013] (正規品) CIRQ. Treehouse/Bootlegger's Hill |
2015年は、4年連続の旱魃で雨が極端に少なかったことと、生育が早かったこと、開花時期に天候が不順で収穫量が大幅に減ったこと、といったかなり極端な天候でした。場所によっては全く結実しなかったところもあるそうです。収穫は30~50%も減りました。特にピノ・ノワールは影響が大きく、ピノ・ノワールよりも開花時期が遅いジンファンデルなどは、比較的影響が少なかったとのことです。
ただ、収量が少なくて味が凝縮したことと、生育が早くて酸が落ちてくる前に実が熟したことから、品質的には非常にいいものが多くなったようです。昨日記事を公開したサークや、1週間ほど前に書いたリヴァース・マリーの2013年も素晴らしいできでしたが、2014年はそれ以上にいいという評判があり、2015年はさらにいいとなると、品質(特にピノ・ノワール)はすごいことになりそうです。
ジンファンデルもシラーもいい年でしたが、シャルドネに関しては、賛否両論あるようです。凝縮感が出過ぎてあまりよくなくなっているところもあるとか。
似たような傾向は2014年にもあったので、2015年は2014年の少し極端バージョンと思えばいいのかもしれません。
このほか興味深いのは、「今年良かったものリスト」として、さまざまなワイナリーや品種などの名前を挙げていること。
・2015年のピノ・ノワール(ドラマチックで豊満なピノ・ノワールになった一方で新鮮さも素晴らしかった)
・カーライル(かつては黒系の果実味だったが赤系に変わった)
・セリタス(2014年のピノは誰もが欲しがる)
・デュモル(素晴らしい)
・フェレン(Ferren)(シャルドネがすばらしい)
・ワンス・アンド・フューチャー(ジョエル・ピーターソンの新プロジェクトはインプレッシブ)
・ポール・ホブズの新ピノ・ノワールFraenkle-Cheshierは、これまでのポール・ホブズのピノのベスト
・リトライ(すばらしい、特に2015のシャルドネが)
・マルティネリ(以前より味わいがフレッシュになった
・オキシデンタル(キスラーの新プロジェクトは息を呑むでき)
・ペイ(これまでの最高)
・リヴァース・マリー(ピノもシャルドネもすばらしい。カベルネもそれくらい真面目に作ってくれたらいいのに)
・ロキオリ(2015年のシャルドネがいい)
・ロシアン・リバー・ヴァレーのジンファンデル(2015年はすばらしい)
・ヴェリテ(すばらしい)
・ウォルター・ハンゼル
過去記事:
これから伸びてきそうなカリフォルニアのワイナリ
マイケル・ブラウンの新プロジェクト「Cirq」のワインが日本入荷
マイケル・ブラウンの「Cirq」はむちゃくちゃ美味しかった
このサークの2011年から2013年までを試飲する会に参加してきました。
サークはピノ・ノワールしか作っていないので、白ワインはキスラーのシャルドネでした。ヴィンテージは2012年で畑はハドソン(Hudson)とデュレル(Durell)です。
ハドソンはメロンやパイナップルのようなトロピカル・フルーツのフレーバー。バニラ、濃厚ですが、酸がしっかりしているので嫌味ではありません。いかにもカリフォルニアなシャルドネですが、美味しいです。時間が経つと柑橘系が出てきて、より美味しくなってきました。
デュレルはもっとミネラリーな感じ。香りにも塩っぽさがあります。オレンジやレモンなど柑橘系の味わいに、樽の風味が加わり、これも美味しいです。個人的にはデュレルの方がハドソンよりわずかに好印象。でもどちらも美味しいです。キスラーのシャルドネも久しぶりに飲んだような気がしますが、やっぱり美味しいなあと改めて思いました。
余談ですが、自分的評価ではハドソン94点、デュレル95点としていたのですが、パーカーの評価はハドソン96点、デュレル94点。ハドソンが「sexiest」というのは納得ですが点数はちょっと違いました。
サークはツリーハウス(トゥリーハウス、Treehouse)が2011、2012、2013の3本。ブートレガーズ・ヒル(ブートレッガーズヒル、Bootlegger's Hill)が2013年の1本。これまでリリースされたワイン全部です。
ツリーハウスは太平洋から8マイル(13km弱)のところにある畑。AVAはロシアン・リバー・ヴァレーのようですが、おそらくソノマ・コーストにも入っているのではないでしょうか。標高230mくらいの高さがあり、霧のかかるラインよりも上なので、太平洋からの距離が近い割には、昼間の気温があがり、日照もいい畑になっているようです。地質は鉄分に富んだ火山性のもので、保温性が高く、それで果実がよく熟すとのこと。
【追記】ツリーハウスは先日紹介したリヴァース・マリーで使っているシルバー・イーグル(またの名をUV-SL)の隣だそうです。ただし、地質はだいぶ違っており、ツリーハウスは真っ赤、シルバー・イーグルは茶色がかっているとのことです。
一方のブートレガーズ・ヒルも標高は同じくらいですが、地質はゴールドリッジ。軽い砂状の地質で水はけがいいのが特徴です。ツリーハウスよりも少し気温が低いことと、水はけのよさによってブドウの樹が水不足のストレスをより受けることで、ツリーハウスよりもエレガントなワインができるとのこと。
【追記】ブートレガーズ・ヒルはツリーハウスから2kmほど南だそうで、ソノマ・コーストに入っているようです。
まずはツリーハウスの2011年から。第一印象はちょっと熱にあたったかのような感じがあり、ワインの要素がばらけてしまっていました。実は2011年だけが国内の小売店から買ったもので、その他は米国から直接買ったものです。購入後は定温倉庫にずっと預けていたワインなので、流通の過程に何か問題があったのかもしれません。ただ、時間を置くと赤系の果実味がだんだん出てきてワイン自体の味も好印象になってきたので、ワインが閉じているフェーズだった可能性もあります。
ツリーハウスの2012年はバランスよく、明るい味わいのおいしいピノ・ノワール。すごくきれいな味わいです。
ツリーハウスの2013年は思わず「おいしい」と口に出てしまうほどおいしいピノ・ノワール。この中では一番濃く、赤系の果実味だけでなく、ブルーベリーのような青系の果実味もかなり含まれています。ただ、コスタ・ブラウンのような濃い甘系ではなく酸がすごくしっかりとしていてバランスがきちんと取れています。
ブートレガーズ・ヒルの2013年もツリーハウスの2013年に負けていません。旨味が半端なく、おいしいより前に「うまい」と思いました。確かにツリーハウスよりエレガントですが、深みがあります。「シャンボール的」と評していた人もいました。
サークも独断と偏見で採点すると、2011が91点、2012が93点、2013年がどちらも96点。これも今、パーカーの点数を見てみました。パーカーの評価は2011年はなく、2012年が93点、2013年のツリーハウスが97点、ブートレガーズ・ヒルが96点。かなり近いですね。やっぱりパーカーは濃い系の方が評価高いのでしょうか。
どちらもまだ若い畑のようなので、これからもっと美味しくなるでしょうね。コスタ・ブラウン的なワインを期待するとちょっと違う印象になりそうで、むしろコスタ・ブラウンと関係なく飲むのがいいのではないかと思います。カリフォルニアのトップ・レベルのピノ・ノワールの1つだとあらためて思いました。コスタ・ブラウンと比べると知名度が低いので、日本では今のところ入手もそれほど難しくはなさそうです。2013年が日本に入ってくるときは要チェックですよ。
おまけでこの日の持ち込み料理から「黒柳牧場の中ヨークシャー×デュロックの塊肉」をプレゼしたもの。肉も脂もげきうま。
チョコレートが絶妙においしいHUGO&VICTORのケーキ。
さくらはまだまだ。一番咲いているところで3分咲き程度。目黒川の花見クルーズの船が寒そうでした。
今や米国ナンバーワンのジンファンデル・ブランドとなったマイケル・デイヴィッドのセブン・デッドリー・ジンズ(Seven Deadly Zins)を飲みました。ヴィンテージは2013年です。
マイケル・デイヴィッドは、ロバート・パーカーがここのワインだけの記事を書くほどのお気に入りでもあり、ロウダイを代表するワイナリーになったといっても過言ではないでしょう。
想像していたのは、むちゃくちゃパワフルで甘いジンファンデルだったのですが、飲んでみたら予想以上にバランス重視派。甘みよりもしっかりとした酸を感じるジンファンデルでした。もちろん、ジンファンデルらしさもあるし、果実味もたっぷりあります。
これより前に、同じワイナリーのプティ・シラー「プティ・プティ」を飲んだのですが、こちらも予想以上のいいバランスでしたが果実味爆発度では上でした。ヴィンテージは2014年。
何を求めるかにもよりますが、個人的にはマイケル・デイヴィッドを飲むときは、濃厚で甘い味わいを欲しているような気がして、セブン・デッドリー・ジンズはちょっと肩透かしな感じがあったのは否定できません。なお、パーカーの評価はどちらも90点です。
グルナッシュとシラーで同じ名前を付けたり、昨年の♂と♀のように対になる名前を付けたりすることが多いのですが、2014年はグルナッシュがシャクティ、シラーがピラニア・ウォーターダンスと、全く関係のない名前がついています。
シャクティの方は、ヒンドゥー教における女性的な面を象徴する神様の名前。オーナーのマンフレッド・クランクルはグルナッシュに女性的な面を感じていることから名付けたそうです。
一方、ピラニア・ウォーターダンスはマンフレッド・クランクルがアマゾンに釣りに行ったときの経験から付けた名前で、グルナッシュもシラーもそのときの写真がラベルになっています。
あと、面白いのは今回ボトルの形が違うこと。下の写真で青いラベルの上がグルナッシュ、下がシラーです。シラーの方は普通のサイズのボトルですが、グルナッシュの方は寸詰まりのような形になっています。
ちなみに、Wine Advocateのジェブ・ダナックの評価によるとシラーが97-100、グルナッシュが96-98となっています。2013年はどちらも98点でした。
どのショップも入荷は数本ですので、お早めに。
ステージコーチはジャン・クラップが1995年に購入した畑。プリチャードヒルとアトラス・ピークにまたがっており、1300エーカーの広大な土地に600エーカーの畑があります。標高は360~530m程度。175のブロックに分かれており、カベルネ・ソーヴィニヨンを中心に16種類の品種がうわっています。また、ナパ・グリーン、カリフォルニア・サスティナブル・ワイングローイング・アライアンスなどの認定を受けています。
ステージコーチ自体のワイナリーはありませんが、ジャン・クラップは兄弟とクラップ・ブラザーズというワイナリーを経営しています。例えばクラップ・ブラザーズのM5ステージコーチ・カベルネ・ソーヴィニヨン2015はWine Advocate誌で96-100点を得ており、その他のワインも高い評価を得ています。
ステージコーチは現在クラップ・ブラザーズを含め90のワイナリーにブドウを供給しており、30のワイナリーがステージコーチの名前を付けたワインを売っています。今回の買収後もその契約を続けることをガロは表明しています。
なお、顧客の中にはシャトー・モンテリーナ、ダリオッシュ、ダックホーン、ヘス・コレクション、カーディナル、パルメイヤー、プライドといった有名ワイナリーが含まれています。
また、ガロ傘下のワイナリーの中ではルイ・マルティニとオリン・スイフトがステージコーチのブドウを購入しています。
急に何かが変わるわけではありませんが、こうして巨大資本に買収されるのはこの先にちょっと不安を感じてしまうのは僕だけではないでしょう。
ダニエル・パールマンというこの研究者はワインを注ぐときの液体の流れをビデオに撮って観察し、ボトルにワインが一杯に入っているときに液垂れしやすいここと、ガラスは親水性なため、お尻方向に回った水分が下に落ちずに流れていくこと、を発見しました。
そこで、ボトルの口のすぐ下に切れ込みを入れてみたところ、それ以上後ろに液は回らず、下のグラスに水滴が落ちることがわかりました。
非常におもしろいですが、世紀の大発明となるのでしょうか。。これが製品として世に出るかどうかが気になります。
リバモアでは3月6日には発芽が始まり、パソ・ロブレスあたりでももう9割くらいは発芽したそうです。サンタ・クルーズ・マウンテンズはまだ始まったところのもよう。
昨年や一昨年の旱魃中は発芽はかなり早くなる傾向がありましたが、今年は通常の状態に戻ったといってよさそうです。
ただ、発芽のあとしばらくは、霜の影響を一番受けやすい時期。ワイナリーにとっては霜の害を気にするところでもあります。
今年がいいシーズンになりますように。
興味深かったのがボルドーとの価格の比較。Wine-Searcherで検索の人気ワインを調べると、ボルドーのトップ10では450ドル以下のワインは1つ(ランシュ・バージュ)だけ。ナパでは6本が200ドル以上なので、ボルドーのほうが大分高価です。これだけ見ると、ナパのワインが高いとは言えないような気がします。
ところが、トップ101~110で見ると話は大きく変わります。ナパではこの順位でも10本中4本は200ドル超。一方ボルドーでは10本中8本が100ドル未満。60ドル未満も4本あります。つまり、ボルドーは検索人気順位が下がるにつれ、価格もどんどん下がりますが、ナパのワインは人気順位が下がっても価格はさほど変わらないのです。
マスターソムリエで、サンフランシスコのフェリープラザ・ワイン・マーチャントの共同経営者であるピーター・グラノフは、「ナパのワインはランボルギーニの分野にマーケティングを集中している」と語っています。
店舗では、棚のスペースには限界があり、50ドル以上のワインに割ける領域は限られたものになります。その領域にばかりつぎ込むのは戦略としてどうか、というところです。
元記事は、多様な品種を保持する話と、価格の話が混在しており、ちょっとわかりにくいところがありますが、個人的には品種の多様性よりも、価格の多様性の方が気になるところです。土地の価格が高くブドウの価格も高くなるため、ワインも高くしたいという気持ちはわかりますが、あまりにも高級ワインに偏りすぎな傾向は否めません。
だからこそ、ナパハイランズなどのようにそこそこの価格で美味しいワインを見つけると嬉しくなるのですけどね。
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レストランにとって近年悩みのタネとなっているのが予約客のドタキャン(No Show)問題。トックは、従来のような単なる予約ではなく、料理などを含んだ「チケット」を販売する形にして、ドタキャンを防ぎます。
このほか、トックはレストランで開催するイベントのチケット販売にも使えるなどフレキシブルな点も評価されているようです。
試飲の4番めから続けます。
4番めはオキシデンタル・リッジ・ヴィンヤーズのピノ・ノワール。Failaなども使っている人気の畑で、リヴァース・マリーは2005年から。ヴィンテージは最後の6番目を除いて2013年です。ここはオキシデンタルの町の近くの丘の斜面にある畑。冷涼な風が拭きますが、日照が多いことから密度の高いワインができます。面白いのは10%ほど除梗なしのブドウを使っていること。果実味が出すぎるのを防ぐためだそうです。新樽率は33%。
果実の香り高く、ラズベリーなど赤系の果実にブルーベリーなど青系の果実が少し混じる印象。カバークロップに使っているペニーロイヤルミントから、ワインにもミンティな感じが少し入っています。バランスよく飲みやすいワイン。ちなみにヴィナスのアントニオ・ガッローニは、このワインの評価が95点と一番高いです(2番めは最初に試飲したスーマ・オールド・ヴァインと5番目に試飲するシルバー・イーグルの94点)。
5番目のシルバー・イーグルは、リヴァース・マリーの中では比較的暖かい、ロシアン・リバー・ヴァレーに入る畑です。畑の中にグリーン・ヴァレーの境界線があるとか。ここは、ソノマで畑の管理者として名高いユリシス・ヴァルデスが管理している畑で、すトーツ・レーン沿いにあることから略してUV-SLとも呼ばれています。「オーベールのちょい古ヴィンテージを試飲、ピノとシャルドネで意外な結果」という記事ではオーベールのUV-SLの試飲も紹介しています。このセミナーまでUV-SLとシルバー・イーグルが同じ畑とは知りませんでした。リヴァース・マリーでは2009年から使っています。
これまでの畑と比べると暖かさを感じるワイン。芳醇です。タンニンも比較的強くスパイシー。ボディーがしっかりしており、いわゆるカリピノのイメージに近くなっています。これも10%除梗なしの全房発酵。味わいがキャンディっぽくなるのを防ぐためとのこと。新樽率は30%。
最後はカンツラー・ヴィンヤードの2014年。リヴァース・マリーでは2012年からここのワインを手がけています。やや南東よりのセバストポル・ヒルと呼ばれる辺りにある畑で近くにはダットン・ランチやマルティネリのボンディ・ホームなどがあります。2000年台にコスタ・ブラウンがここのブドウを使ったピノ・ノワールで、Wine Spectatorを中心に高得点を取り、一躍人気になった畑です。
果実味がガツンと来るあたりはコスタ・ブラウンとも少し共通しているような気がします。どちらかというと青系の果実の味が勝っています。最初に試飲したスーマ・オールド・ヴァインとは、これほど違うのかとびっくりするようなワイン。これが畑の個性ということなのでしょう。無理して1つのスタイルに持っていくのではなく、個性をうまく引き出していることに感心しました。なお、このワインは15%全房発酵。新樽率25%。
どれがいいか選ぶのは難しいですが、比較的万人受けしそうなのがシルバー・イーグル。ピノ・ノワール好きが喜びそうなのが、若いのに熟成したような複雑さがあるスーマ・オールド・ヴァイン。ただ、これは価格も高いため、少しおとなしくなるものの、普通のスーマも捨てがたいワインです。
さて、セミナーの後は試飲会もありました。実はこちらがさらに超弩級。彼を有名にしたシュレーダーのカベルネ・ソーヴィニヨンや、シュレーダーが手がけるマーカッシン対抗と言われる超高級ピノ・ノワール「ボアズ・ビュー」なども登場しました。
まず、セミナーとヴィンテージ違いの2012年のスーマとシルバー・イーグルのピノ・ノワールを試飲しました。これが面白いことに、2013年とは違ってスーマの方が濃く、シルバー・イーグルの方がエレガントなのです。理由を聞いたところ、2012年は収穫量が多い、スーマの畑の収穫が普通よりも時間がかかってしまったとのこと。その分、糖度が上がって濃いワインになったそうです。一方、シルバー・イーグルの方は全房発酵の比率が少し高く、果実味が抑えられたとのこと。このあたりの全房発酵比率などは今なお試行錯誤があるようです。
ボアーズ・ビュー(Boars' View)はシュレーダーが手がけるソノマ・コーストのピノ・ノワールのプロジェクト。「マーカッサンを見下ろす親イノシシ?」という記事で紹介しています。今回試飲した2014年は4ヴィンテージめ(多分)で、2012年と2013年はWine Advocate誌で95点ついています。畑の管理はユリシス・ヴァルデスです。
香り高くリッチでパワフル。果実味に加え、紅茶のようなニュアンスを感じます。すごく美味しいですが、まだパワー一辺倒の若さのような感じもしました。もっともっとすごいワインがこれからできそうな気がします。「まだポテンシャルを発揮できていないのではないか」と厳し目の質問をしてみたところ、彼も、「まだ樹齢が若いので、ようやく花開いてきたところだ」とのこと。5年後くらいにはピノ・ノワールのカルトになっている可能性はかなり高いと思います。
もう1つのピノ・ノワールはアストンというワイナリー。ここはこれまで知らなかったのですが、ソノマ・コーストの中でもメンドシーノに近い北の端にあるワイナリーで、ここもシュレーダーが関わっており、畑の管理はユリシス・ヴァルデス。ここはまた、冷涼なソノマ・コーストのお手本のようなワインで、酸がとてもきれいです。個人的には今飲むならこのピノ・ノワールが一番好きかもしれません。ピノ好きであればぜひトライしてほしいワインです。
この後はカベルネ・ソーヴィニヨンで、リヴァース・マリー、プリド~ウォーカー、レヴァーナ、シュレーダーとそれぞれ2種類試飲しました。リヴァース・マリーのカリストガは明記していないもののラークミードの畑のもの。かのアイズリー・ヴィンヤードのクローンを使った区画のブドウだとのこと。濃厚というよりは明るい味わい。もう1つはオークヴィルのロア・ヴィンヤード。こちらはオークヴィルらしい上品かつパワフル。複雑さのあるカベルネ・ソーヴィニヨンでした。
プリド~ウォーカーはメランソンとパネクの2つのカベルネ・ソーヴィニヨン。メランソンはプリチャードヒルにある畑。カシスや黒鉛のフレーバー。美味しいです。パネクはセント・ヘレナのヴァレー・フロアにある畑。バランスの良さを感じるカベルネ・ソーヴィニヨン。
レヴァーナはテロワール・シリーズというナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンとエステートのカベルネ・ソーヴィニヨン。テロワール・シリーズは自社の畑とラークミード、シフレットを1/3ずつブレンドしたワイン。周りのワインがすごすぎて、今回はちょっと埋没してしまった印象。エステートのカベルネ・ソーヴィニヨンは赤系の果実と青系の果実をバランス良く感じるワイン。これも美味しい。
そして最後はシュレーダー。GIIIはベクストファーが管理するジョルジュ・ザ・サード(George III)という畑。かつてはボーリューのジョルジュ・ド・ラ・トゥールに使われていた畑です。しっかりしたタンニン、青系の果実、ボリュームあり骨格も強いワイン。何よりもシルキー。レベルが違う感じです。
シュレーダーのもう1つはRBS。これは、ナパでもだれもが最高の畑と認めるベクストファー・ト・カロンのブドウを使ったもの。前編で取り上げたWSとWAのダブル満点ワインCCSとOld Sparkyも同じ畑ですが、ブドウの区画が違っています。これはクローン337というブドウだけを使っています。これはもう言うことないです。ナパの最高峰の1つというのが納得できるワイン。
これでセミナー6種、試飲会12種の計18種の報告は終わりですが、何よりも驚いたのは作るワインの味わいの幅が極めて広いこと。ピノ・ノワールではリヴァース・マリーのスーマ・オールド・ヴァインとカンツラーでは全然違うし、ボアズ・ビューとアストンもまた、全然別のワインです。「みんな違ってそれがいい」という陳腐な表現しか思いつきませんが、これだけそれぞれが個性的で、しかもどれも素晴らしく美味しいというのは、凄いとしかいいようがありません。カベルネ・ソーヴィニヨンも同様です。
修行時代は比較的短いトーマス・リヴァース・ブラウンがどうやってこのような技能を身に着けたのかも興味深いところですが、セミナーでは、ワインショップ時代に多様なワインに触れたことを挙げていました。おそらくその舌の記憶をきちんと持っているのも類稀な才能の1つなのでしょうね。
ナパのカリストガにあるワインショップでワインのキャリアを始めたトーマスは、1997年にはターリー(Turley)のアシスタント・ワインメーカーに抜擢。2000年にはアウトポストやシュレーダーでワインメーカーになります。当時は無名だったこれらのワイナリーですが、瞬く間に頭角を現し、2008年12月には最初のパーカー100点を獲得しました。当時37歳。最年少でのパーカー100点の記録はいまだに破られていません。また、2007年のシュレーダーのOld SparkyとCCSという2つのワインはWine Advocate誌とWine Spectator誌の両方で100点を取った稀有のワインとなっています。
現在はコンサルタントとして契約しているワイナリーだけでも約40。毎週のように依頼の電話はかかってくるもののほとんど断っているという彼はあまりにも多忙で今回が初来日。
開かれたセミナーでは、彼が妻のジュヌヴィエーヴ・マリー・ウェルシュと作るリヴァース・マリー(Rivers Marie)のピノ・ノワール6種を試飲しました。
試飲の順序はフラグシップのスーマ・オールド・ヴァイン(Summa Old Vine)が最初という異例の構成。トーマス自身の希望で、軽いワインから重いワインへという順番にしたいというのがその理由です。
スーマはソノマ・コーストでも太平洋から約10kmしか離れていないかなり冷涼な地区にある畑で、1980年代から1990年代にかけてはウィリアムズ・セリエムがここのピノ・ノワールを作って人気を博しました。すぐ南側にはシャルドネで有名なティエリオットの畑があり、リヴァース・マリーはそこのシャルドネも作っています(余談ですが、奥さんはシャルドネ好きで、ティエリオットのシャルドネもリヴァース・マリーで作っています。そちらはトーマスではなく奥さんの意見が多く取り入れられているようです)。
2002年にここのブドウを入手できるようになったのがリヴァース・マリーの発端で、最初はわずか130ケースだったそうです。2010年には畑を買い取り、完全に自社畑として運営しています。
スーマ・オールド・ヴァインは新樽率100%なのですが、それを全く感じさせない作り。紅茶や落ち葉のような香りにオレンジのニュアンス。控えめな赤系の果実味。豊かな酸。非常に複雑な味わいです。100点のカベルネを作る人というと、濃いワイン一辺倒なのかと思いがちですが、驚くほどにエレガントなワインです。
2番めに試飲したスーマは、スーマの畑の中でも比較的樹齢が若いブロックのもの。味わいは、1番めのワインをやや親しみやすくしたような感じ。わずかに青系の果実も感じられる分、最初のワインよりは重くなっています。生産量わずか60ケース。
3番めはソノマ・コーストのピノ・ノワール。主に使われているのはリドル・ランチという畑のピノ・ノワール。それ以外に、単一畑に入れられなかったワインや、スーマの畑の樹間に植えられた樹の実などが使われています。
新樽率0%。豊かな果実味と酸。美味しいです。
長くなったので後編に続きます。
まず向かったのは三島の柿田川公園です。昔から行きたいと思いつつなかなか機会がなかったところ。
柿田川はわずか1.2kmの短い川ですが、水のきれいさで、四万十川、長良川と並んで3大清流と言われているそうです。富士山の雪どけ水が10年かかってここから湧き出ています。
写真ではわかりにくいですが、中央の砂のところをはじめ、いろいろなところから水が湧き出ています。湧き出ている箇所は何十カ所もあって数え切れないほどだとか。水量は年間100万トンほどだそうです。まばたき1回する間にドラム缶70本に水が貯まるくらいの量だとか。
ここも湧き出ています。
水草も豊富で、絵葉書を買ったらクレソンをいただきました。
柿田川は沼津のICから10分ほどという便利なところ。お薦めです。
その後は、近年人気スポットになっている沼津港へ。すごい人の数で駐車するのも大変。ちょっと手前の100円パーキングに入れたのですが、正解でした。
お店もたくさんあって、どこも行列しているので、ともかく海鮮丼が充実していそうな店に入ったのですが、ここが良かったのかどうかは分かりません。これはその日あがった地魚による地魚海鮮丼。1300円くらいだったかな。ハマチは脂が乗っていておいしかったです。
その後は、ここも行ってみたかった深海水族館へ。ここはシーラカンスの展示や、最近では深海のアイドルと言われているメンダコの展示などで有名なところ。人気者のダイオウグソクムシもいます。
シーラカンスは剥製のほか冷凍保存の展示も。写真は冷凍保存の方ですが、このような展示をしているのは世界でもここだけだとか。かなりデリケートな温度や湿度の管理が必要だそうです。かなりの迫力で、前から見ると口の中の舌らしきものも見えます。
外から見るとすごく小さい水族館で、その割に入場料はそれなり(大人1600円)にするので、しょぼかったらどうしようと心配したのですが、中の展示は予想以上に充実しており、また大変込み合って活気ある水族館でした。
沼津を後にして、車で1時間ほど、今日の最終目的地は西伊豆土肥にある「大江戸温泉物語 土肥温泉 土肥マリンホテル」です。
昨年「マツコの知らない世界」で「3大CMホテル」というのをやっていたのですが、そこで出てきたホテルニュー塩原が大江戸温泉物語グループに入っているのを知りました。大江戸温泉物語というとお台場のしか知らなかったのですが、最近はホテルグループとして地方のホテルを買い取って再生させているとか。特にバイキングに力を入れていて、そのために品川プリンスホテルの料理長を招いて料理を開発しているそうです。それでいて宿泊費も1泊1万円しないほどと安いので、どんなものだろうと思ってここを選んだのでした。
参考:アーカイブ|TBSテレビ:マツコの知らない世界
この宿泊費では、充実しているといっても、品数だけではないかと内心疑っていたのですが、予想以上においしかったです。ライブキッチンがあり、牛肉の鉄板焼きや天ぷらは焼き立て揚げたてが味わえます。牛肉は肉質も良好で、何回もおかわりしてしまいました。
刺し身も新鮮。マグロはそれなりですが、地元産と思われるキンメダイはとても美味しく、これだけで普通に刺し身定食食べたら何千円かかかるレベルです。タイやカツオのたたきもかなり美味しかったです。
このほか、テーブルで20分火にかけて作る桜えびの釜飯もかなりのもの。あと、フェア中でズワイガニとイチゴが食べ放題。ただカニは悪くないものの、食べるのが面倒なので、あまりバイキング向きではないと思って1回しか取りませんでした。イチゴは小ぶりでしたが味はグッド。それ以外のメニューも悪くなく、最後は胃が痛くなるほど食べすぎてしまいました。
部屋はまあまあといったところでしたが、駿河湾を望んで景色もよく、温泉も充実。アメージングとしてはマンガルームがあったりカラオケ(有料)があったりと、ホテルも堪能しました。
ちなみに朝食もバイキングで、こちらはライブキッチンで作る鯛茶漬けが絶品。これも3杯ほど食べてしまいました。
大江戸温泉物語 土肥温泉 土肥マリンホテル
今回は日曜泊だったというのもありますが、これでひとり1万円しないのは驚異のコスパで、次もこのグループのホテルに行ってしまいそうです。
次の日は、ホテルで朝風呂も楽しんでゆっくりチェックアウトしてから、昨年世界遺産に選ばれた韮山反射炉へ。ここは最近ビジターセンターも新しくできて、かなり充実した展示になっていました。また、事前予約すれば無料でガイドもしてもらえます。行くなら予約は必須です。
反射炉自体はここを一周見るだけなので、何も知識がないとほんと5分で終わってしまい、とてももったいないです。
反射炉の奥にある茶畑の上からは天気がいいと、富士山も見え、反射炉とあわせて2つの世界遺産を同時に見られます。この日はくもって富士山が見えなかったので、展示の写真でご容赦を。
その後は、いちご狩りへ。紅ほっぺは大きなものは一口で食べられないほどの大きさ。30分で50個ほど食べました。
河津桜がほとんど散ってしまって見られなかったのはちょっと残念で、2月にくるとそちらも楽しめると思います。
寄った場所はそれほど多くありませんが、それぞれをとても堪能して充実した小旅行でした。
大江戸温泉物語はほんとお薦めですよ(特にうちのようによく食べる家には)。
ユニークな都市型ワイナリー「ブロック・セラーズ」のロゼ
バレンタインに大切な人としみじみ飲みたい自然派ニューウェーブ
ワイン作りもナチュラル・イーストを使い、樽は中古のもの、SO2も最低限しか加えない形のいわゆる自然派的です。糖度が低いうちに収穫するため、アルコール度数は13%程度。カリフォルニアワインとしては低めになっています。いわゆる「ニュー・カリフォルニア」の中でもかなり先鋭的な部類に入るでしょう。
ちなみにスパークリングワインの「ウルトラマリン」などで注目を集め、2016年にはSFクロニクルのワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを受賞しているマイケル・クルーズと共通点があるのではないかと聞いたところ、「ヴァルディギエを使っているところなど似ている部分はあると思う」とのこと。ただ、特に意識しているわけではなく、たまたま似たような方向を目指しているようです。また、実はマイケル・クルーズのワインに比べると、ブロック・セラーズのワインはかなり安価。お得感はかなりあります。
なお、今回12種の試飲がありましたが、個々のワインの生産量はかなり少なく、ワイナリーでは売り切れているものもかなりあります。米国で買うより日本の方が手に入りやすい、そういう状況になる可能性の高いワインでもあります。
ブドウ品種もほかではあまり使っていないヴァルディギエ(かつてナパ・ガメイと呼ばれていた品種)などを使っています。例えばスパークリングは白がシュナン・ブラン、ロゼがカベルネ・フランを使っています。カベルネ・フランはサンタ・バーバラのハッピーキャニオンの畑ですが、標高差の大きな畑で、下の方は気温が低く、糖度が上がらないためスパークリングに使っているそうです。どちらも酸が非常にきれいなスパークリングでした。
スティルのカベルネ・フランも同じ畑から作っていますが、そちらもカベルネ・フランとしては意外なほどの「薄旨」系。さらっと飲めるワインです。
シャルドネはソノマのグレン・エレンの近くにある畑。「ニュー・カリフォルニア」の中でも、幅広い人から支持されているナパのスティーブ・マサイアソンが管理している畑だとのことで、マサイアソンでも同じ畑のワインを作っているそうです。
第1印象はソーヴィニヨンブランかと思うような味わいでシャブリのような酸が特徴です。非常にアロマティックでもあり、印象に残るワイン。クリス・ブロックウェイ氏自身が「今一番好きなワイン」とのこと。
ジンファンデルはソノマのロシアン・リバー・ヴァレーとソノマ・ヴァレーの2つの畑のブドウを使ったもの。樹齢は20~25年というからオールド・ヴァインというほどではありません。ブロック・セラーズのワインの中では比較的濃い目のワインですが、アルコール度数は12.5%。うまみがあってとても飲みやすいするする飲めてしまうジンファンデルです。おいしいです。
このカリニャンもおいしいです。1870年代に植えられたという樹齢140年近いとても古い畑、この時代の通例で、畑には複数の品種が植えられています。個人的にはこれを一押し。
こちらが噂のヴァルディギエ。ピノ・ノワールっぽい味わいです。親しみやすくするする飲めるワイン。
こちらのピノ・ノワールとガメイのブレンドもするする系。ソギ(SOGI)というのはSouth of Gilman Streetの略とのこと。ワイナリーがギルマン・ストリートの南側にあるからだそうです。北側だったらノギになって、今の日本で受けたかもね、というのはしょうもない親父ギャグ的感想です(通訳の香奈さんはあきれて訳してくれませんでした)。
ブロック・セラーズのワインは大部分が5000円以下。3000円台で買えるものも多いので、まずは一度試してみてほしいワインです。
自然派好きな人はシャルドネやスパークリング、カベルネ・フランあたりで「攻めて」みるのはどうでしょう。
おっかなびっくりという人はジンファンデルやカリニャンが安心して飲めると思います。
何も考えず、飲みやすくおいしいワインがいいという人は、以前紹介したラブ・ホワイトやラブ・レッド、ピノ・ノワール/ガメイ、ヴァルディギエあたりをお薦めします。
大塚食品がオーナーでもあるリッジからはイースト・ベンチのジンファンデル。リッジのワインはちょっとお高いのが難点ではありますが、これは5000円台と、まだ比較的安価です。リットン・スプリングスなどのもつ複雑さはありませんが、しっかりと作られたリッジらしいジンファンデルです。
オルカ・インターナショナルが新たに輸入を始めたキャノンボール。これはかなりコスパ高いです。
アキコさんがワインメーカーを務めるフリーマンはインポーターがワイン・イン・スタイルに変わりました。フラグシップのアキコズ・キュベがおいしいですが、エステートのグロリアもかなりいいワインです(どちらもピノ・ノワールです)。
ワイン・イン・スタイルでは、ブランドごとではなく品種ごとにワインを並べていました(フリーマンは別格扱い)。これはわかりやすくていいですね。ピノ・ノワールの中ではセバスティアーニとクロスバーンが好みでした。
もう1つ日本人が作るワイン。Nakai Vineyardsは、自社で日本への輸入を始めました。ご夫妻の娘さんが住んでいるという横須賀にテイスティングルームを開くそうです。
ヴィノスやまざきが輸入する「ハート・オブ・クラウディア」カベルネ・ソーヴィニヨン。同じく同社が輸入しているパライソと共同開発した製品とのことで、コスト・パフォーマンスは抜群です。
カリフォルニア最古のワイナリーとして知られているブエナ・ヴィスタは現在はジャン・シャルル・ボワセ(JCB)が所有しています。ここもコスパは抜群で、ピノ・ノワールもジンファンデルも2000円台(実売では1000円台のところも)としては最高レベルでしょう。
これは知らなかったワイナリー「レジオ」(Regio)。このジンファンデルもコスパ高いです。
カリフォルニアでは絶大な知名度を誇るのになぜか輸入されていなかったBV(ボーリュー・ヴィンヤード)。ついにインポーターが付いたそうです。ここのラザフォードのカベルネ・ソーヴィニヨンはラザフォードのベンチマーク的ワイン。
一時期ピノ・ノワールで一世を風靡したタンタラ。そこをやめたジェフ・フィンクが現在作っているのがイーサー。味わいもタンタラを彷彿とさせます。
アイコニック ワイン・ジャパンが新たに輸入を始めたストルプマン。サンタ・バーバラのハッピーキャニオンにあるシラーを得意とするワイナリーです。フクロウラベルが印象的なこのワイン「パラ マリア」は3800円としては凝縮感あり、美味しいです。
これも「ジャケ買い」したくなったボデガ デ エドガーのトロ・デ・パソ。テンプラニーリョとグルナッシュ、ムールヴェードルというスペイン系のブレンド。味もいいです(パーカー91点)。
ちょっと高級系ではシャペレーのカベルネ・ソーヴィニヨンは美味しかったです。力強くエレガント。
これもジャケ買い銘柄として有名なマリリン・メルロー(現在のワイナリー名はマリリン・ワインズだそうです)ですが、実は味わいもしっかりしたいいワインです。
カナダの観光局は、すごく魅力的なWebサイトを作って日本向けにカナダ観光をアピールしています。
カナダシアター
祝賀イベントでは、このサイトでカナダ観光局員、秋月菜々役として「モザイク・カナダ」という動画シリーズに出演している安田早紀さんなども参加。
イベント最後にはカナダの食材を使った料理やワインもありました。
ワインはスパークリングとソーヴィニヨンブラン、メルローの3種。
カナダの料理は意外と薄味であっさり系が多く、ワインも比較的あっさりした味わいが多いように感じました。カナダと言うとアイスワインが有名ですが、ドライなワインでも面白いものがありそうです。
地図でピンクのエリアはすでにこのカメムシが住み着いているところ。水色のエリアは発見されたところ。ナパの東隣のYoloでは既に定着しています。
カリフォルニアで最初に発見されたのはロスアンゼルスで2006年のこと。都会を中心に広がる性質があり、サクラメントでも定着し、周りに波及していっているようです。10年でここまで広がってきたということは、今後さらに拡大していく可能性が高そうです。
ブドウ一房あたり3匹のカメムシの混入があると実際に味にも影響が出て来るとのこと。
[追記]当初ワイン1本あたりと書きましたが、ブドウ一房あたりの誤りでした。
ピアス病を媒介するシャープシューターなどと同様、今後コントロールが必要になってくるかもしれません。
数年間続いたカリフォルニア史上最大の旱魃はようやく終わったようです。というか、北カリフォルニアでは洪水が起こるなど、むしろ今では水害の話題が中心になるほど。
それでもサンタ・バーバラあたりなど、セントラル・コーストの南の方や、内陸部ではまだ旱魃状態が続いていたのですが、ようやくほとんどなくなり、過去5年で一番水が多い状態になっています。
例えば1年前の2016年3月初頭では、「中程度の旱魃」の地域が95%以上あったのが2017年2月末には8%台にまで下がりました。また82%あった「深刻な旱魃」の地域(図のオレンジ色)も4%になりました。
ほぼ旱魃は終わったといっていいでしょう。
ただ、サンタ・バーバラはまだ図の「深刻な旱魃」に相当するところが大部分。ここだけ雨が避けているのでしょうか。それでもここ数年よりはよほどましだと思いますが、ちょっと心配です。
【日時】
3月29日(水) 19:30~21:30(受付19:00より)
【会場】
CROSS TOKYO
東京都港区赤坂5-4-7 10F
03-5545-5408
【会費】
お1人様 15,000円
(お食事、ウエルカムドリンク、ドリンクチケット5枚込)
ドリンクチケットは5枚あり、以下のように2枚で飲めるものと1枚で飲めるものがあります。そのほかウェルカムドリンクでは珍しいソーヴィニヨン・ブラン100%のスパークリングも供されます。
チケット2枚
PORTFOLIO 2012
PORTFOLIO 2005
Dunn Howell Mountain 2000
Ramy Napa Cab 2007
チケット1枚
Flowers Chardonnay Sonoma
Rombauer Caneros Chardonnay
TOQUADE Sauvignon Blanc 2010
Wind Gap Sonoma Coast Pino Noir 2013
Siduri Pisoni Vineyard 2012
Rafanelli Zinfandel
Welcome Drink - チケット不要♪
Bodokin (スパークリングワイン 100% Sauvignon Blanc )
白石さんはいろいろな音楽家と共演されているようですね、
申し込みは下記メールまで
返信メッセージ確認後に申込み完了となります。
清家 純:seike@mirai-z.com
三木 香奈:kana.ggwine@gmail.com
10%引きワインの一覧はこちら
5000円以上の買い物で使える500円引きクーポンも出ています。あわせて使えば最大2割近い割引になります。
500円クーポン(5000円以上で利用可能)
パーカーの日本酒評価に疑惑、輸入業者と癒着か?
パーカーの「日本酒評価漏洩疑惑」について編集長がコメント、ただし疑惑は晴れず
疑惑のサイトの価格設定に驚愕
Wine Advocate、日本酒リスト漏洩疑惑まとめ
やっと出たWine Advocateの日本酒レビュー漏洩疑公式声明
その顛末は上記のリストを追っていただければわかると思いますが、ともかく疑惑のミレジムはその後の日本酒レビューには一切かかわらないことになっています。なお、疑惑のThe Taste of Sakeのサイトは消されたままになっているようです。また、この件とは関係なく、ル・カヴォーに問い合わせ先について質問をしたところ、ミレジムの電話番号を教えてくれました。ミレジムとル・カヴォーが無関係なんてよく言えたもんだと思ってしまいましたが、毒を吐くのはこれくらいにしておきましょう。
と歯切れの悪い状態のままではありますが、2回めとなる酒のレビューが229号で出ております。
今回は、兵庫の灘、広島の西条という酒処をめぐったレポートと日本酒21本のレビュー。
今回は前回のような高得点のものだけでなく、90点以上が6本という結果でした。
1つ96点という高い評価になったのは姫路の本田商店が作る龍力の大吟醸「秋津」。それも最初に作った1996年のものという超レア日本酒でした。
そのほか90点以上のものを紹介すると
91点
・八海山 特別大吟醸
・龍力 吉川米田 純米大吟醸
・山本本家 祝 純米大吟醸
90点
・佐浦浦霞 純米大吟醸
・龍力 上三草 純米大吟醸
でした。
海外に販路を作りたい日本酒の酒蔵にとってはWine Advocate誌のレビューは品質の1つの担保になりますから、われこそはというところは、「なぜうちのを評価しないのだ」と思うのではなく積極的に評価をお願いするのがいいと思います。
Wine Advocate誌のリサ・ペロッティ・ブラウン編集長は info@wineadvocate.com あてに連絡をほしいと自ら求めています。
英語の問題で、どう連絡したらいいかわからないという酒蔵があったら、私もお手伝いできますので、Facebookでメッセージを送るか、gmailのandymatsubaraあてに連絡いただけたらと思います。
八海山 大吟醸[720ml 4合瓶][八海醸造] |
【送料無料】【ギフト品】【代引不可】龍力 純米大吟釀 米のささやき 吉川米田 720ml |
山本本家‘神聖’松の翠 純米大吟醸720ml |
浦霞(うらかすみ) 純米大吟醸 山田錦[720ml 4合瓶][株式会社佐浦] |
本田商店【兵庫の酒】720ml純米大吟醸 龍力 米のささやき 上三草(かみみくさ)【あす楽対応_北陸】【あす楽対応_東海】【あす楽対応_近畿】【あす楽対応_中国】【あす楽対応_四国】【あす楽対応_九州】【楽ギフ_包装】【楽ギフ_のし】【02P03Dec16】 |
今回の最大のトピックはレビュアーが変わったこと。これまでのロバート・パーカーに代わって、Wine Advocate誌の編集長であるリサ・ペロッティ・ブラウンが担当になりました。リサは以前は拠点をシンガポールに置いており、編集長でありながら、主要地域を1つも担当していなかったわけですが、米国に拠点を移し、ソノマを担当するようになったようです。
今回、約500本のワインがレビューされていますが、うち約3割が2015年で、6割が2014年。残りがそれ以前のヴィンテージでした。前年のレポートで、パーカーは2014年が2013年と同様の良年だが、どちらかというと2014年がいいと書いていましたが、リサも基本的に同評価です。また2015年は旱魃と開花時期の冷え込みで収穫量が大幅に減り、収穫時期が非常に早くなりました。2014年よりも凝縮感があって、やや重いワインになる傾向があるようです。
高評価のワインを一部紹介すると、キスラー(Kistler)のシャルドネ キュヴェ・キャスリーン(Cuvee Cathleeen)2014年が99点と一番の高得点。同年のキスラー・ヴィンヤードのシャルドネも98+。またキスラーから派生したオキシデンタル(Occidental)のキュヴェ・キャサリン ピノ・ノワールも98+。なお、キュヴェ・キャサリン(Cuvee Catherine)の畑のブドウは2000年代初期に植えられたものですが、カレラ・クローンともう1つ別のいわゆる「スーツケース・クローン」があるそうです。カレラ・クローンはブルゴーニュのロマネ・コンティの畑からと言われているクローンであり、もう1つのクローンも著名な畑から来たもののようです。
2015年のワインではロキオリ(Rochioli)のピノ・ノワール ウエスト・ブロックが98+。デュモル(DuMOL)のピノ・ノワール フィン(Finn)が97-99点。
このほかエレガント派の代表格であるリトライ(Littorai)もチャールズ・ハインツのシャルドネ、トリビチュアリのシャルドネ、ヘイヴンのピノ・ノワールが96点とこれまでの最高点タイの高評価。ヴィンテージは2014年。
■リトライ チャールズ・ハインツ・ヴィンヤード シャルドネ[2014]Littorai Charles Heintz Vineyards Chardonnay[2014]【出荷:7〜10日後】 |
このほかレイミー(Ramey)やポール・ホブズ(Paul Hobbs)も高い評価でした。
トランプ大統領は見直しを求めるにあたって「経済成長を促し、不必要な規制をなくす」ことを念頭に置くようにとしています。
水質規制の条例は1972年に作られたものですが、最初は大きな川だけに適用されていました。しかし、小さな川にも同様の規制が必要なことがわかり、より広範囲に適用する規制をオバマ政権時に決めました。
この規制によって、家を建てるような小規模の開発においても環境コンサルタントによる許可が必要になり、負担がましていたとのこと。
そういう意味ではオバマ政権の規制はちょっと「やり過ぎ」と考えていた人も少なからずいたようです。
しかし、規制がなくなると水質を担保するのが難しくなるのも事実であり、単純になくすのではなく落としどころを見つけるべきでしょう。
トランプ政権に、そういう気があるのかどうかは不明ですが…
今回の目玉はリース(Rhys)。セールはおろか、入手自体が困難なワインです。
ワシントンのグラマシーセラーズのカベルネもあります。ワシントンのカベルネはカリフォルニアと比べると抑制が効いて、よりボルドー的な印象。グラマシーはレベルの高いカベルネやシラー、ヴィオニエなどを使っています。
ほかにはシミのシャルドネ。これはコスパの高さで定番ですね。
すべて現品限りです。
【アウトレット】 リーズ(リース) シャルドネ "ホースシュー・ヴィンヤード" サンタクルーズマウンテンズ [2012] (正規品) Rhys Horseshoe |
【アウトレット】 リーズ(リース) ピノ・ノワール "ベアワロウ・ヴィンヤード" アンダーソンヴァレー [2012] (正規品) Rhys Bearwallow |
【アウトレット】 グラマシー・セラーズ カベルネ・ソーヴィニヨン "ロウワー・イースト" コロンビアヴァレー [2012] (正規品) Gramercy Cellars Lower East |
【アウトレット】 シミ シャルドネ ソノマカウンティ [2015] (正規品) Simi |
実は今回の最大の目玉はロキオリ。これまでは別のインポーターが扱っていたのですが、今回布袋ワインズに移ったのです。しかし、試飲会に私が行ったときにはすでにロキオリはすべてなくなっており、試飲できませんでした。ほかにもいくつかのワインが売り切れになっていました。
今回は4000円以下、4000~8000円、8000円超の3つの価格帯別に紹介します。なお、価格は参考です。
●4000円以下
・スリー・シーヴズ ピノ・グリージョ 2015(1800円)
スリー・シーヴズは1000円台でピノ・グリージョ、シャルドネ、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨンなどが飲めるワイン。非常にコスパ高いです。ピノ・ノワールが予想以上によかったので特におすすめです。
・ブランダー ソーヴィニヨンブラン ロス・オリヴォス・ディストリクト 2015(2900円)
ブランダーのソーヴィニヨンブランは、かなりボディのしっかりしたソーヴィニヨンブラン。おいしいです。2900円。
・ジョエル・ゴット アンオークト・シャルドネ 2015(3300円)
ジョエル・ゴットのシャルドネのノンオーク。ピュアな果実味がよかったです。3000円。
・ベンチ ピノ・ノワール ソノマ・コースト 2014(3300円)
ベンチのピノ・ノワールもコスパ高いです。3300円ですが、5000円クラスの味わい。うまみがしっかりあります。ベンチはカベルネ・ソーヴィニヨンもかなりのできばえ、おすすめです。
・キャッスルロック プチシラー 2012(2300円)
・クライン シラー ソノマ(2200円)
キャッスルロックのプチシラーは2000円台とは思えない濃厚さ。となりにあるクラインのシラーもなかなかでした。
●4000~8000円
・ジェイ ブリュット・ロゼ NV(5600円)
ジェイのロゼ・ブリュットは大好きなワインです。見た目もおしゃれ。
・ロンバウアー シャルドネ カーネロス 2014(6300円)
ロンバウアーのシャルドネは今となってはむしろ珍しくなったコテコテ系。時々飲むとむっちゃおいしいです。
・カリン シャルドネ キュヴェLD 1994(6100円)
10年以上熟成したワインしか売らない変態的なワイナリー。シャルドネは最新リリースで1995年から1994年へと1年遡ってしまいました。カリンのワインは熟成による旨味が基本なのですが、さすがにちょっと酸化した味わいになっていることも珍しくありません。このシャルドネは20年以上経っているのに酸化のニュアンスがほとんどないことに感心しました。
・ホール メルロー ナパ・ヴァレー2012(6000円)
ナパの実力派ホールのメルローはきめ細かく緻密な味わい。これはいいメルローです。
・コン・クリーク ヘリック・レッド ナパ・ヴァレー2013(4200円)
カベルネ・ソーヴィニヨンにシラーなどをブレンドしたいまどきのレッド・ブレンド。芳醇でおいしいです。非常にコスパ高いです。
・セゲシオ・ジンファンデル ソノマ・カウンティ 2014(4700円)
セゲシオのジンファンデルにはずれはないですね。単一畑ものもおいしいですが、コスパではこのカウンティものが一番。
●8000円超
・リトライ ピノ・ノワール ハーシュ2013(12000円)
リトライのハーシュはカリフォルニアの冷涼系ピノの代表といってもいいかもしれません。美味しいです。
・ホール カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー2013(9500円)
コスパではメルローが勝りますがカベルネ・ソーヴィニヨンもうまいです。
・クリフ・レイディ カベルネ・ソーヴィニヨン スタッグス・リープ2013(11900円)
クリフ・レイディはナパのお手本的カベルネ・ソーヴィニヨンを作ります。値段は少々張りますがそれだけの価値はあるかと。