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Date: 2021/1012 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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ブレッド&バターのシャルドネ、人気高いですね。楽天の米国産白ワインランキングでも1位の常連(今チェックしたら1位と2位でした)となっています。これと似たシャルドネはありますかと、以前質問箱でも聞かれたので、いくつかのワインを比べて試飲してみました。

集めたワインは6本。



上段中央がブレッド&バター、シャルドネ 2019です。実売価格は税込み3000円前後。
その左がジャム・セラーズのバター シャルドネ 2019。希望小売価格は3500円。スクリューキャップです。BTSの「Butter」にデザインが似ていることでも話題になりました。
右はウェンテのシャルドネ モーニング・フォグ 2019。実売価格は税込み2000円前後。スクリューキャップです。
下段は左からボーグルのシャルドネ 2020。インポーターの小売価格税込み2475円。
中央がランチ32のシャルドネ 2019。インポーターの小売価格税込み1958円。
右はオレゴンのキング・エステート シャルドネ 2018。インポオーターの小売価格税込み3410円。スクリューキャップ。
下段の3本はインポーターのオルカ・インターナショナルさんのご厚意で提供いただいています。


まずは「本家」のブレッド&バターから。色はかなり濃い目。香りの第一印象はバタースコッチ。その強さに圧倒されそうになりますが、スイカズラやナッツ、マンゴーやパイナップルの要素もあります。もちろんトーストも。フルボディ。酸はやや低め。
名前にちなんでトースト度とバター度をつけていきます。
これは文句なくどちらも10点。


次はジャム・セラーズのバターです。色はブレッド&バターほどではないですがやや濃い目。トーストやパイなどトースト系はかなり感じますが、バター感はそれほど強くありません。ヴァニラやメロン、アフターに軽い苦味。ボディはミディアムプラス、酸はミディアム。
トースト度は7、バター度は5としました。


次はウェンテのモーニング・フォグ。あの「ウェンテ・クローン」を生み出したシャルドネの名門です。このワインは以前から個人的に「推し」の一つです。
レモンやオレンジの柑橘系に品の良いヴァニラ、濡れた石。ミディアムボディで酸はミディアムプラス。
トースト度は4、バター度も4としました。

左から試飲順にグラスを並べました。

やはりブレッド&バターが一番濃いですね。


後半はランチ32からです。なぜか後半はボディと酸のメモがない…
クリームブリュレにスイカズラ、パイナップル。トースト度は7と高めに判定しましたが、バター感はそこまで強くなく、4としました。


次はボーグルです。マイヤーレモンにレーズン、ビスケット、ナッツとバター感は比較的強めで6。トースト度は6としました。


最後はオレゴンのキング・エステート。
これはやはりちょっと別物ですね。ディルなどのハーブやトマトの葉、青りんご、洋梨などの風味が強く、トロピカルフルーツやトーストの印象はあまりありません。トースト度は2、バター度も2としました。


グラス写真で見るとランチ32が一番濃く、ブレッド&バターに近いですね。

というわけで結論としては、トースト度、バター度に関してはブレッド&バターに並ぶワインはありませんでした。ボーグルとジャム・セラーズ、ランチ32が比較的近いところで、バター感こそ低いもののトースト度は高く、実売価格はほぼ半額と圧倒的に安いランチ32が「似たもの候補」としては一押しとします。

ただ、どれが美味しいかというのはブレッド&バターに似ているかとはまた別の問題です。似ているかどうかとは別に個人的評価としては、やはりモーニング・フォグは非常にいいワインだと思います。ランチ32もコスパは抜群で、ちょっとパンチがほしいならモーニング・フォグよりもこちらを選びたいところです。ボーグルやジャム・セラーズは、「ブレッド&バターほど濃くなくていいけど、バターやブレッド感の出ているもの」というときにはいい選択肢です。キング・エステートは、もっとデリケートでフルーツ爆弾でないようなワインが欲しいという人に向くと思います。いいワインですが、ブレッド&バター感を求めるとちょっと違うという感じになりそうです。

しあわせワイン倶楽部です。






ドラジェです。


最後に余談ですが、こんなにシャルドネばかり開けてしまったら後飲むのが大変ですが「コラヴァン使えばいいか」と思っていたのです。ところが実際にはスクリューキャップが3本あったので、それは急いで飲まないといけなくなってしまいました。
Date: 2021/1004 Category: テイスティング・ノート
Posted by: Andy
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ワシントン州で高品質なワインというと、カベルネ・ソーヴィニヨンが代表的な品種でしたが、近年ではむしろシラーが目立っています。パーカー100点を3回取っているカユース、そのライバル的存在がパーカー100点こそ取っていないものの99点は9本も取っており、ワイン・エンスージアストでは100点も取っているKヴィントナーズ。そのKヴィントナーズのオーナーでありワインメーカーであるのがワシントンワインの「顔」とも言えるチャールズ・スミスです。


Kヴィントナーズのシラーは非常に美味しいですが、やや値段が高いのと数が少なくてなかなか入手できないのがたまにきず。そこで登場したのが「リトルK」というシラー。参考小売価格は3900円です。この価格でもロイヤルスロープAVAのフレンチマン・ヴィンヤード単一畑。ロイヤルスロープAVAは2020年に策定された新しいAVAですが、Kのフラッグシップであるロイヤルシティがここのブドウで作られており、生産者からは「州内で最も優れたアペラシオン」という声も上がっています。やや南向きの斜面と標高の高さがここの特徴だとのこと。このAVAで自然農法で作られたブドウを使っており、ロイヤルシティの6分の1のほどの価格になっています。



飲んでみました。
スパイシーでけものっぽさもかなりあります。ブラックベリー、ブルーベリーにコーヒー、ホワイトペッパー。とてもシラーらしいシラーです。甘さはほとんど感じないのでオーストラリア系というよりは北ローヌ系と言っていいでしょう。もちろんロイヤルシティの圧倒的重厚感やビロードやなめし革のような妖艶さはないですが、それはこの価格帯に求めるのが贅沢すぎるでしょう。

最近は癖なく飲みやすいシラーも数多くありますが、もっとガツンと来るものを飲みたい人にお薦めです。

Wassy'sです。


ワインセラーパリ16区です。


古武士屋です。