塩尻ワインサークルの試飲付きオンラインセミナーに参加しました。日本ワインは、年々良くなっているという話は聞いていますが、なかなか自分で試す機会はなく、こういうセミナーはありがたいです。
解説はメルシャンの高瀬秀樹さん。桔梗ヶ原で醸造と最愛を担当されています。メルシャンの桔梗ヶ原メルローといえば、日本を代表する赤ワインですから、当然そこで作られているものと思っていたのですが、実は醸造設備ができたのは2018年と新しく、それまでは山梨の勝沼で醸造していたのだそうです。
桔梗ヶ原のあたりは標高700~900メートルとかなり高く、「黒ぼく土」(色が黒くてぼくぼくした感じの土だそうです)が多く柔らかくて水はけのよい土壌がメルローに向いているようです。
桔梗ヶ原のワイナリーのすぐ脇には「箱庭ヴィンヤード」という畑があり、今回は貴重なそこのブドウのワインも試飲アイテムに入っています。
最初のワインは北信シャルドネ2017。千曲川流域の北信地区(長野市・須坂市・高山村)のブドウを使っています。
おだやかで温かさを感じるシャルドネです。濡れた石や白桃、ネクタリンなど熟した果実の風味がします。芳醇で美味しいですが、個人的にはもう少し酸がほしい感じもしました。
2つ目のワインは桔梗ヶ原メルローロゼ2019。セニエ(赤ワインとして発酵途中の果汁を抜き取ってロゼに使う)を40%とダイレクト(白ワインのように除梗破砕してプレスする)を60%使っています。ダイレクトの比率が高いためか、かなり色が薄めのロゼです。バナナや白桃の風味。
3つ目と4つ目はメルロー。塩尻メルロー2018は桔梗ヶ原を含む塩尻のメルローで、桔梗ヶ原から北東方向にあるメルシャンの片丘ヴィンヤードのブドウも今回始めて使っているそうです。とてもエレガントで黒鉛やカシス、甘草などの風味。ちょっと青っぽさもありますが良質なメルローです。
最後は箱庭ヴィンヤードメルロー。メルシャンが塩尻で初めて垣根式栽培を始めた畑だとのこと。メルローのほか少量のカベルネ・フランもうわっており、このワインにも1%ほどブレンドされています。380本しか作られておらず、通常ではなかなか飲めないワインです。酸もタンニンもかなりしっかりしています。カシスや黒鉛、ミンティな風味もあり硬質でバランス良く美味しい。これはとてもいいですね。
セミナーではワイナリーや畑を歩き回っての映像もあり、とても楽しく勉強になりました。
9月27日にはオンラインでのブラインドワイン会も開催されるそうです。
【塩尻ワインパーティーオンライン/ブラインドワイン会】参加申込書
解説はメルシャンの高瀬秀樹さん。桔梗ヶ原で醸造と最愛を担当されています。メルシャンの桔梗ヶ原メルローといえば、日本を代表する赤ワインですから、当然そこで作られているものと思っていたのですが、実は醸造設備ができたのは2018年と新しく、それまでは山梨の勝沼で醸造していたのだそうです。
桔梗ヶ原のあたりは標高700~900メートルとかなり高く、「黒ぼく土」(色が黒くてぼくぼくした感じの土だそうです)が多く柔らかくて水はけのよい土壌がメルローに向いているようです。
桔梗ヶ原のワイナリーのすぐ脇には「箱庭ヴィンヤード」という畑があり、今回は貴重なそこのブドウのワインも試飲アイテムに入っています。
最初のワインは北信シャルドネ2017。千曲川流域の北信地区(長野市・須坂市・高山村)のブドウを使っています。
おだやかで温かさを感じるシャルドネです。濡れた石や白桃、ネクタリンなど熟した果実の風味がします。芳醇で美味しいですが、個人的にはもう少し酸がほしい感じもしました。
2つ目のワインは桔梗ヶ原メルローロゼ2019。セニエ(赤ワインとして発酵途中の果汁を抜き取ってロゼに使う)を40%とダイレクト(白ワインのように除梗破砕してプレスする)を60%使っています。ダイレクトの比率が高いためか、かなり色が薄めのロゼです。バナナや白桃の風味。
3つ目と4つ目はメルロー。塩尻メルロー2018は桔梗ヶ原を含む塩尻のメルローで、桔梗ヶ原から北東方向にあるメルシャンの片丘ヴィンヤードのブドウも今回始めて使っているそうです。とてもエレガントで黒鉛やカシス、甘草などの風味。ちょっと青っぽさもありますが良質なメルローです。
最後は箱庭ヴィンヤードメルロー。メルシャンが塩尻で初めて垣根式栽培を始めた畑だとのこと。メルローのほか少量のカベルネ・フランもうわっており、このワインにも1%ほどブレンドされています。380本しか作られておらず、通常ではなかなか飲めないワインです。酸もタンニンもかなりしっかりしています。カシスや黒鉛、ミンティな風味もあり硬質でバランス良く美味しい。これはとてもいいですね。
セミナーではワイナリーや畑を歩き回っての映像もあり、とても楽しく勉強になりました。
9月27日にはオンラインでのブラインドワイン会も開催されるそうです。
【塩尻ワインパーティーオンライン/ブラインドワイン会】参加申込書
ひと目見たら忘れられない骸骨のラベルが印象的なクロニック・セラーズ。ラベルが派手なだけの色物のように見えてしまうかもしまいませんが、パソ・ロブレスの秀逸な生産者の一つです。先日コストコにいったら2種類入荷していたので飲んでみました。
左が2019年の「パープル・パラダイス」。セパージュはジンファンデルが70%、プティ・シラー17%、シラー9%、グルナッシュ4%です。ちょっと甘やかで、濃厚。甘草やスミレ、ブルーベリー、ドライプラムなどの味わいです。やわらかでふくよかなワイン。
右が2018年の「ソファ・キング・ブエノ」。セパージュはシラー58%、プティ・シラー27%、グルナッシュ10%、タナ4%、ムールヴェードル1%。スパイシーでやや硬質。フルボディで余韻も長い。個人的にはこちらの方が好みの味わいですが、ちょっと甘やかでふくよかなワインが好きならパープル・パラダイスをおすすめします。
ちなみにパープル・パラダイス2019はワイン・エンスージアストで88点、ソファ・キング・ブエノ2018は同じく90点でした。
今コストコでワイン買うならこれかマイケル・デイヴィッド、ヘスあたりが特にお薦めです。
左が2019年の「パープル・パラダイス」。セパージュはジンファンデルが70%、プティ・シラー17%、シラー9%、グルナッシュ4%です。ちょっと甘やかで、濃厚。甘草やスミレ、ブルーベリー、ドライプラムなどの味わいです。やわらかでふくよかなワイン。
右が2018年の「ソファ・キング・ブエノ」。セパージュはシラー58%、プティ・シラー27%、グルナッシュ10%、タナ4%、ムールヴェードル1%。スパイシーでやや硬質。フルボディで余韻も長い。個人的にはこちらの方が好みの味わいですが、ちょっと甘やかでふくよかなワインが好きならパープル・パラダイスをおすすめします。
ちなみにパープル・パラダイス2019はワイン・エンスージアストで88点、ソファ・キング・ブエノ2018は同じく90点でした。
今コストコでワイン買うならこれかマイケル・デイヴィッド、ヘスあたりが特にお薦めです。
ボーグルの最上級ワイン「ジャガーナット(Juggernaut)」が国内に入荷しています。ただし、非常に少量しか入っていないようなので入手は早いもの勝ち状態です。そして、最上級といっても税込み4000円前後なのがさすがボーグルといったところです。
輸入元のオルカ・インターナショナルの説明では以下のように書かれています。
品種はカベルネ・ソーヴィニヨンとピノ・ノワール。ピノ・ノワールはロシアン・リバー・ヴァレーのAVA表記となっています。ラベルはかなりワイルドな感じ。
シマヤ酒店です。
Wassy'sです。
輸入元のオルカ・インターナショナルの説明では以下のように書かれています。
カリフォルニアの超人気ワインBOGLEが保有する800ha以上の自社畑+91の契約農家のブドウ畑の中の最高ランクのブドウ、丘陵地の斜面/ヒルサイドのブドウのみを使用して造った ”Juggernaut~ジャガーナット”
ジャガーナット:絶対的な力、不可抗力的なもの、人を犠牲にするもの
品種はカベルネ・ソーヴィニヨンとピノ・ノワール。ピノ・ノワールはロシアン・リバー・ヴァレーのAVA表記となっています。ラベルはかなりワイルドな感じ。
シマヤ酒店です。
Wassy'sです。
ナパのラザフォードにある名門ワイナリー「クインテッサ(Quintessa)」の2018年を試飲し、ワイナリーの方々に話を伺いました。昨年に続くインタビューです。
昨年のインタビューはこちら。
進化を遂げつつあるナパの隠れた自然派「クインテッサ」の魅力
クインテッサの説明を全部再掲すると長くなりすぎるので、簡単にまとめておきます。
クインテッサはチリのコンチャ・イ・トロのCEOだったアグスティン・ヒューネウスが1990年に設立。当初から有機栽培、現在はバイオダイナミクスでブドウを栽培しています。ワイナリーの名の付いたカベルネ・ソーヴィニヨン系ワイン1つだけを作っており、セカンドワインも出していません。200エーカーを超える自社畑は斜面や土壌など多様な環境。ほとんど米国内にしか出荷していませんでしたが、2019年からはオーパス・ワンなどと同様に、ボルドーのネゴシアン経由で世界市場にも販売しています。
初めに、昨年の火事の影響(クインテッサはグラスファイアーでワイナリーの直接被害があったところからあまり距離がありません)を聞きました。
2020年はシェーファーなどワインの醸造を諦めたワイナリーも少なからずありましたがクインテッサでは収穫・醸造をしています。一番の理由は「火事はこの年だけでなくまた起こる」から。そのときにどうやって対処するのがいいのかを学ぶために収穫も醸造もしたとのこと。したがって最終的にどういう形でワインになるのか、あるいはならないのかはまだわからないようです。
また、2021年のヴィンテージについては干ばつの影響が大きく、ブドウの木が十分に育たず、タンニンがハードになりがちだとのこと。気温は温暖だが暑くはなく、早めの収穫になりそうだとのことでした。
コロナの影響で収穫の労働力確保が大変という話もありますが、クインテッサでは自社で収穫のチームを持っているため、そういった問題はなさそうです。
クインテッサでは現ジェネラル・マネージャーのロドリゴ・ソト氏の就任以降、畑をより精緻に調べ、最適な栽培法などを追い求めています。昨年話を聞いたときには土壌の影響を調べるために畑に穴を掘って根の張り方などを見ているといったことがありました。例えば火山性の灰が固まった「モン・カリース」という土壌では、想像以上に水を保持せず、それがここの区域のブドウのタンニンをきついものにしていることがわかりました。そこでカバークロップを増やしたり、灌漑の水を増やすことで、やわらかいタンニンに変わりました。それまではブレンドから除外されることも多かったブロックですが、今では最重要なブロックの一つだそうです。
2018年のヴィンテージではイタリアから剪定の専門家を呼んで剪定についても調べているとのことでした。その結果、太い幹を横には這わせないコルドンの方が合っていることがわかってきたそうです。ただ単にバイオダイナミクスで栽培すればそれでいいというわけではなく、ブドウ栽培のいろいろな要素がワインに複雑に絡み合っていることが伺えます。
さて、2018年のワインですが、2017年には入っていなかったカベルネ・フランが加わりました。92%CS、2%Merlot、3%CF、2%Carmenere、1%PVという構成です。カルメネールが入っているのが、コンチャ・イ・トロ出身の創設者のこだわりの一つです。
カベルネ・フランは温かいヴィンテージはあまりよくなく2017年には入れてなかったのですが、2018年は涼しかったので加えたそうです。
カシスやブラックベリー、ブルーベリーといった青黒系の果実未に加え、杉やコーヒー、トースト、タバコといったフレーバーが顕著に見られます。緻密なタンニン。酸はやや高め、フルボディで非常に長い余韻。素晴らしいワインです。モダンナパ系というよりも、CASK23やアイズリー、リッジのモンテ・ベッロのようなクラシックなスタイルに近いワイン。20年30年の熟成でむちゃくちゃ美味しくなると思いますが今も十分に楽しめます。
ちなみにジェームズ・サックリングはこのヴィンテージに99点を付けています。2018年は今月出荷が始まっているので日本市場にも年内には入ってくると思います。リッジのモンテ・ベッロやCASK23、アイズリーと比べれば1万円以上安いですから、このスタイルのワインが好きな人には狙い目のワインの一つです。
こちらは前ヴィンテージの2017。
昨年のインタビューはこちら。
進化を遂げつつあるナパの隠れた自然派「クインテッサ」の魅力
クインテッサの説明を全部再掲すると長くなりすぎるので、簡単にまとめておきます。
クインテッサはチリのコンチャ・イ・トロのCEOだったアグスティン・ヒューネウスが1990年に設立。当初から有機栽培、現在はバイオダイナミクスでブドウを栽培しています。ワイナリーの名の付いたカベルネ・ソーヴィニヨン系ワイン1つだけを作っており、セカンドワインも出していません。200エーカーを超える自社畑は斜面や土壌など多様な環境。ほとんど米国内にしか出荷していませんでしたが、2019年からはオーパス・ワンなどと同様に、ボルドーのネゴシアン経由で世界市場にも販売しています。
初めに、昨年の火事の影響(クインテッサはグラスファイアーでワイナリーの直接被害があったところからあまり距離がありません)を聞きました。
2020年はシェーファーなどワインの醸造を諦めたワイナリーも少なからずありましたがクインテッサでは収穫・醸造をしています。一番の理由は「火事はこの年だけでなくまた起こる」から。そのときにどうやって対処するのがいいのかを学ぶために収穫も醸造もしたとのこと。したがって最終的にどういう形でワインになるのか、あるいはならないのかはまだわからないようです。
また、2021年のヴィンテージについては干ばつの影響が大きく、ブドウの木が十分に育たず、タンニンがハードになりがちだとのこと。気温は温暖だが暑くはなく、早めの収穫になりそうだとのことでした。
コロナの影響で収穫の労働力確保が大変という話もありますが、クインテッサでは自社で収穫のチームを持っているため、そういった問題はなさそうです。
クインテッサでは現ジェネラル・マネージャーのロドリゴ・ソト氏の就任以降、畑をより精緻に調べ、最適な栽培法などを追い求めています。昨年話を聞いたときには土壌の影響を調べるために畑に穴を掘って根の張り方などを見ているといったことがありました。例えば火山性の灰が固まった「モン・カリース」という土壌では、想像以上に水を保持せず、それがここの区域のブドウのタンニンをきついものにしていることがわかりました。そこでカバークロップを増やしたり、灌漑の水を増やすことで、やわらかいタンニンに変わりました。それまではブレンドから除外されることも多かったブロックですが、今では最重要なブロックの一つだそうです。
2018年のヴィンテージではイタリアから剪定の専門家を呼んで剪定についても調べているとのことでした。その結果、太い幹を横には這わせないコルドンの方が合っていることがわかってきたそうです。ただ単にバイオダイナミクスで栽培すればそれでいいというわけではなく、ブドウ栽培のいろいろな要素がワインに複雑に絡み合っていることが伺えます。
さて、2018年のワインですが、2017年には入っていなかったカベルネ・フランが加わりました。92%CS、2%Merlot、3%CF、2%Carmenere、1%PVという構成です。カルメネールが入っているのが、コンチャ・イ・トロ出身の創設者のこだわりの一つです。
カベルネ・フランは温かいヴィンテージはあまりよくなく2017年には入れてなかったのですが、2018年は涼しかったので加えたそうです。
カシスやブラックベリー、ブルーベリーといった青黒系の果実未に加え、杉やコーヒー、トースト、タバコといったフレーバーが顕著に見られます。緻密なタンニン。酸はやや高め、フルボディで非常に長い余韻。素晴らしいワインです。モダンナパ系というよりも、CASK23やアイズリー、リッジのモンテ・ベッロのようなクラシックなスタイルに近いワイン。20年30年の熟成でむちゃくちゃ美味しくなると思いますが今も十分に楽しめます。
ちなみにジェームズ・サックリングはこのヴィンテージに99点を付けています。2018年は今月出荷が始まっているので日本市場にも年内には入ってくると思います。リッジのモンテ・ベッロやCASK23、アイズリーと比べれば1万円以上安いですから、このスタイルのワインが好きな人には狙い目のワインの一つです。
こちらは前ヴィンテージの2017。