昨年から評判だった映画「桐島、部活やめるってよ」のDVDが出ていたので、レンタルで見ました。

話は、バレー部の部長だった桐島が部活をやめた、という話があり、その後数日の様々なエピソードを様々な生徒の立場から描いていくというもの。バレー部の男子、野球部をやめた男子、桐島の彼女、映画研究会のオタク男子、吹奏楽部の部長女子といった、それぞれの目を通して1つのエピソードが繰り返し登場するのが面白いところです。

原作だと、それを生徒ごとに短編の形にしているのですが、映画ではどちらかというとエピソードを主軸として、それを生徒ごとに描いていく形。原作よりも映画の方が面白く感じました。

特に秀逸だったのが映画研究会の撮影で、腹を抱えて笑ってしまった場面もいくつかありました。

また、高校生活における「スポーツができるやつがかっこいい」的な部分が、この作品における主テーマの1つなのですが、そのあたりの描き方は「ああ、こういうことあるよなあ」と多くの人が共感すると思います。

あと、レンタルDVDでは特典映像として、本編とは全く独立した映画研究会の10分ほどのストーリー(シチュエーションだけ決まっていてセリフはすべてアドリブだそうです)があったのですが、これがなかなか秀逸。セル版では、帰宅部と女子部のものも入っているとのことで、それ見るために買ってもいいかなあ、という気になりました。



以下は参考のために、ブクログに書いた書籍版の感想を載せておきます。
でたときから気になっていた小説だが、最近映画化されて、そのインパクトあるタイトルがここかしこで話題になっているので、改めて読んでみた。

青春小説は数あれど、このような作りのものは珍しいのではないかと思う。このような、というのは高校生活における「ヒエラルキー」がテーマの1つになっていること。

イケメンだったり、スポーツが上手といった、ヒエラルキーの上位にいる生徒と、映画研究会でちょっと恥ずかしいタイトルの映画を作っている下位の生徒。多くの小説では、その1つの層にだけ焦点を当てることで、ヒエラルキー自体からは目をそらしている。それに対して本書では、それをストレートに表現してしまっているのだ。

バレーボール部の部長でありながら、部活をやめた桐島。彼は結局、表には1回も登場しないが、部活をやめるというのは、ヒエラルキー的には1つ下がったということなのだろう。

とはいえ、身も蓋もない話ではなく、最後には皆に救いがある。さわやかで良かった。