米国西海岸をベースにワインの分析をてがけるETS研究所の研究者が2017年の火事による煙汚染の影響について報告しています(ETS Laboratories smoke taint research - The viticulture blog)。

過去の研究から、煙の粒子はブドウの実や葉に吸収され、「グリコシル化」されます。これによって、一旦は無臭になるため、収穫時に汚染されたブドウとそうでないブドウを分けるのは困難です。しかし、発酵中にそれは加水分解され、煙臭くなってしまいます。

ラボによる分析では「グアヤコール」の濃度を調べることで、どれくらい汚染されたか調べられます。2015年の火事で煙汚染されたブドウの場合、通常の3から5倍ものグアヤコールが検出されたといいます。

2017年の場合は、1.6倍にとどまっており、思ったほど煙の影響はなさそうなことがわかりました。火事が発生したのが収穫時期の終盤で、ブドウへの吸収がさほど行われなかったのが理由ではないかと考えられています。

また、研究によると、ブドウを洗ったり発酵時間を短くすることは、煙汚染の害を減らすのには役立たないとのこと。葉の混入を防いだり、なるべく小ロットずつ発酵させることを薦めています。一度煙の影響が出てしまうと、そらを取り除く有効な対策は見つかっていません。