シルバー・オークの名前の由来が判明、トゥーミー・メルローも秀逸
シルバー・オーク/トゥーミー(Silver Oak/Twomey)のウェブセミナーを受講しました。インターナショナルのセールス・マネージャーであるヴィヴィアン・ゲイさん(この方とは毎年のようにお会いしています)に加え、なかなか来日はしないワインメーカーのネイト・ヴァイスさんも登場するという、ウェビナーならではの豪華な布陣で面白かったです。
「「7日間ワインチャレンジ」第5日」でもシルバー・オークを取り上げたように、個人的に思い出深いワイナリーであり、アカデミー・デュ・ヴァンの講座でもシルバー・オーク/トゥーミーだけの回をやっており、このワイナリーについては相当詳しいと自負しています。
それでも実は今回初めて知ったのが名前の由来。
実は設立当初は「Dunkan Meyer」というワイナリー名でした。レイ・ダンカンという人とジャスティン・マイヤーという人が設立したのが名前の由来ですが、「ドーナツ屋みたい」ということであまり評判がよくなかったそうです。そこでジャスティン・マイヤーの妻のボニー(かつてはボニーズ・ヴィンヤードというフラッグシップの畑で名前が使われていました)が考えた名前がシルバー・オーク。近くを通るシルバラード・トレイルとオークヴィル・クロスロードから拝借した名前だそうです。レイ・ダンカンはそのときコロラドに住んでいたそうですが、思いついてすぐ電話をして即決だったとか。確かにダンカン・マイヤーよりは覚えやすいし数段いい名前だと思います。名前って大事ですね。
シルバー・オークの設立当初からの3つのポリシーは「カベルネ・ソーヴィニヨンだけを作る」「アメリカンオークを使う」「ワインの発売時期を遅くして、発売すぐでもおいしく飲めるようにする」。今もこれを貫いています。
他のワイナリーと一線を画すのがアメリカンオーク(ほかにはリッジがアメリカンオークを使っていますが、あとはほとんど目にしません)の樽を使うこと。アメリカンオークはヴァニラの風味やウイスキーラクトンという香りが比較的強いそうです。自社好みの樽に仕立てるため2015年にはミズーリ州にある樽工場を買収しています。
これは樽を焼いているとこの写真ですが、直接火をあてず、間接的な炎で焼くことで焼き具合をコントロールしているそうです。樽の風味は何月に焼くかによっても変わるとのことで、いろいろと実験しているそうです。
試飲は2014年のアレキサンダー・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンから。
ヴァニラやココナッツの柔らかいフレーバーに、カシスやブラックベリーの果実味、リコリス、熟成による皮革の風味もでてきています。ミディアムプラスのボディでとても飲みやすい。
カベルネ・ソーヴィニヨンの風味を出しながら、あまり重くならずにすいすい飲めるのが、このワインの魅力で、ほかに似たワインがあまりないと思います。アルコール度数は13.8%と14%未満に抑えています。セパージュは以前はカベルネ・ソーヴィニヨンのみでしたが、近年は数%他の品種もあります。2014年はCS97.7%。新樽率は50%。
次にナパ・ヴァレーの2013年。こちらはCS79%にメルロー15%、カベルネ・フランとプティ・ヴェルドが3%ずつ、とよりボルドー・ブレンドに近い形です。ナパの様々な地域のブドウを使っており、バランスを取るためによりボルドー的な作り方にしています。未リリースの近年のものではマルベックも使い始めているとのこと。地球温暖化への対応も兼ねて、複数品種で味わいを調整しているそうです。新樽率は85%。
アレキサンダー・ヴァレーよりは味わいが濃く、タンニンや香りも強く感じます。カシスやブルーベリーなど青系の果実の風味がより強く、ヴァニラやトーストの風味、リコリス、皮革に加えコーヒーやタバコっぽさもあって複雑さがより増しています。アレキサンダー・ヴァレーと比べるとより「普通」のカベルネ・ソーヴィニヨンに近い風味ですが、よくできていて美味しいです。
さて、トゥーミーからはメルローです。トゥーミー(名前はレイ・ダンカンのミドルネームに由来)はナパのソーダ・キャニオンにある自社畑のメルローが余ってしまい、非常にいいできのブドウだったので、それを使ってワインを作りたいと思ったのが設立のきっかけでした。当時のワインメーカーだったダニエル・バロンはボルドーでペトリュスの経験が長く、メルローには一家言ある人。彼がそのメルローを気に入ったのですから、本物です。また、元ペトリュスのジョンクロードベロエがトゥーミーのメルローのコンサルタントに入っています。
ワイン造りはシルバー・オークとは異なり、フレンチオークを使うなど、ボルドーのスタイルにより近いもの。特にワインの澱を取り除くラッキングは機械を使わず手作業で行っているとのこと。これはナパではドミナスとトゥーミーだけだそうです。その方が香りが素晴らしくなるとのこと。
ここのメルローを試飲したのは久しぶりでしたが、非常によくできています。ナパのメルローとしてはトップクラスの一つと言っていいでしょう。とても余韻も長く、長期熟成も可能だと思います。
ヴィンテージは2014年。メルロー 79.7%、カベルネ・ソーヴィニヨン8.3%、カベルネ・フラン7.9%、プティ・ヴェルド 4.1%。新樽率は30%。
一時間はあっという間でした。普通だったら終わった後でぶら下がりで質問できますが、そういうのがしにくいのはウェビナーの弱点ですね。でもこの状況で試飲付きのセミナーが受けられるだけでも大変な贅沢ですが。
それから、シルバー・オーク/トゥーミーのインポーターのJALUXはYouTubeに動画チャンネルを開設しています。ハーシュのジャスミン・ハーシュなどが登場しており、単に米国向けの動画に字幕を付けるのではなく、オリジナルのインタビューになっています。
JALUXのYouTubeチャンネル
「「7日間ワインチャレンジ」第5日」でもシルバー・オークを取り上げたように、個人的に思い出深いワイナリーであり、アカデミー・デュ・ヴァンの講座でもシルバー・オーク/トゥーミーだけの回をやっており、このワイナリーについては相当詳しいと自負しています。
それでも実は今回初めて知ったのが名前の由来。
実は設立当初は「Dunkan Meyer」というワイナリー名でした。レイ・ダンカンという人とジャスティン・マイヤーという人が設立したのが名前の由来ですが、「ドーナツ屋みたい」ということであまり評判がよくなかったそうです。そこでジャスティン・マイヤーの妻のボニー(かつてはボニーズ・ヴィンヤードというフラッグシップの畑で名前が使われていました)が考えた名前がシルバー・オーク。近くを通るシルバラード・トレイルとオークヴィル・クロスロードから拝借した名前だそうです。レイ・ダンカンはそのときコロラドに住んでいたそうですが、思いついてすぐ電話をして即決だったとか。確かにダンカン・マイヤーよりは覚えやすいし数段いい名前だと思います。名前って大事ですね。
シルバー・オークの設立当初からの3つのポリシーは「カベルネ・ソーヴィニヨンだけを作る」「アメリカンオークを使う」「ワインの発売時期を遅くして、発売すぐでもおいしく飲めるようにする」。今もこれを貫いています。
他のワイナリーと一線を画すのがアメリカンオーク(ほかにはリッジがアメリカンオークを使っていますが、あとはほとんど目にしません)の樽を使うこと。アメリカンオークはヴァニラの風味やウイスキーラクトンという香りが比較的強いそうです。自社好みの樽に仕立てるため2015年にはミズーリ州にある樽工場を買収しています。
これは樽を焼いているとこの写真ですが、直接火をあてず、間接的な炎で焼くことで焼き具合をコントロールしているそうです。樽の風味は何月に焼くかによっても変わるとのことで、いろいろと実験しているそうです。
試飲は2014年のアレキサンダー・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンから。
ヴァニラやココナッツの柔らかいフレーバーに、カシスやブラックベリーの果実味、リコリス、熟成による皮革の風味もでてきています。ミディアムプラスのボディでとても飲みやすい。
カベルネ・ソーヴィニヨンの風味を出しながら、あまり重くならずにすいすい飲めるのが、このワインの魅力で、ほかに似たワインがあまりないと思います。アルコール度数は13.8%と14%未満に抑えています。セパージュは以前はカベルネ・ソーヴィニヨンのみでしたが、近年は数%他の品種もあります。2014年はCS97.7%。新樽率は50%。
次にナパ・ヴァレーの2013年。こちらはCS79%にメルロー15%、カベルネ・フランとプティ・ヴェルドが3%ずつ、とよりボルドー・ブレンドに近い形です。ナパの様々な地域のブドウを使っており、バランスを取るためによりボルドー的な作り方にしています。未リリースの近年のものではマルベックも使い始めているとのこと。地球温暖化への対応も兼ねて、複数品種で味わいを調整しているそうです。新樽率は85%。
アレキサンダー・ヴァレーよりは味わいが濃く、タンニンや香りも強く感じます。カシスやブルーベリーなど青系の果実の風味がより強く、ヴァニラやトーストの風味、リコリス、皮革に加えコーヒーやタバコっぽさもあって複雑さがより増しています。アレキサンダー・ヴァレーと比べるとより「普通」のカベルネ・ソーヴィニヨンに近い風味ですが、よくできていて美味しいです。
さて、トゥーミーからはメルローです。トゥーミー(名前はレイ・ダンカンのミドルネームに由来)はナパのソーダ・キャニオンにある自社畑のメルローが余ってしまい、非常にいいできのブドウだったので、それを使ってワインを作りたいと思ったのが設立のきっかけでした。当時のワインメーカーだったダニエル・バロンはボルドーでペトリュスの経験が長く、メルローには一家言ある人。彼がそのメルローを気に入ったのですから、本物です。また、元ペトリュスのジョンクロードベロエがトゥーミーのメルローのコンサルタントに入っています。
ワイン造りはシルバー・オークとは異なり、フレンチオークを使うなど、ボルドーのスタイルにより近いもの。特にワインの澱を取り除くラッキングは機械を使わず手作業で行っているとのこと。これはナパではドミナスとトゥーミーだけだそうです。その方が香りが素晴らしくなるとのこと。
ここのメルローを試飲したのは久しぶりでしたが、非常によくできています。ナパのメルローとしてはトップクラスの一つと言っていいでしょう。とても余韻も長く、長期熟成も可能だと思います。
ヴィンテージは2014年。メルロー 79.7%、カベルネ・ソーヴィニヨン8.3%、カベルネ・フラン7.9%、プティ・ヴェルド 4.1%。新樽率は30%。
一時間はあっという間でした。普通だったら終わった後でぶら下がりで質問できますが、そういうのがしにくいのはウェビナーの弱点ですね。でもこの状況で試飲付きのセミナーが受けられるだけでも大変な贅沢ですが。
それから、シルバー・オーク/トゥーミーのインポーターのJALUXはYouTubeに動画チャンネルを開設しています。ハーシュのジャスミン・ハーシュなどが登場しており、単に米国向けの動画に字幕を付けるのではなく、オリジナルのインタビューになっています。
JALUXのYouTubeチャンネル