SFクロニクルにカベルネ・フランの記事が掲載されていました。
ナパのトレンディな人気ワイナリーであるアッシュ&ダイヤモンド(Ashes and Diamonds)によると、調達するカベルネ・フランの価格はこの2年間で30%もねあげされたとのこと。ワインの価格も75ドルから80ドルに上げざるを得なくなりましたが、それでも完売を続けているそうです。

カベルネ・フランは遺伝的にはカベルネ・ソーヴィニヨンの親になりますが、育てるのが難しいブドウでもあります。ナパのブドウ価格でいうと、実はカベルネ・ソーヴィニヨンよりも平均価格は高く、一番高額で取引されるブドウになっています。

ナパのラング&リード(Lang and Reed)は1993年の設立時に、他のワイナリーと違うことをやりたいと思い、カベルネ・フランをメインに据えることにしました。今でも45ドルから250ドルまでのカベルネ・フランを作っており、カベルネ・フランのトッププロデューサーと目されています。

ナパでカベルネ・フランを最初に使ったのはジョセフ・フェルプスのインシグニアだったそうです。ボルドー系ブレンドの走りであり、カベルネ・ソーヴィニヨンを主体とするものの、カベルネ・フランなど他のボルドー系品種も加わっていました。とはいえ、少しだけブレンドするというのがほとんどでしたが、1990年代に大ヒットしたダラ・ヴァレのマヤは4割近くカベルネ・フランを入れるという画期的なワインでした。

カベルネ・フランは気難しいブドウであり、正しい土壌に植わっていないとピーマン香の元になる「ピラジン」という物質も増えて青臭さが増してしまいます。そういった面からもなかなか量が増えないといった要素があるようです。

このほか著名ワインメーカーのアンディ・エリクソンもカベルネ・フランに力を入れている一人。自身のファヴィア(Favia)や、コンサルティングをしているアリエッタでカベルネ・フラン主体のワインを作っています。コンステレーション・ブランズ傘下のト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーでもカベルネ・フランの比率を高めた「エリザズ・キュヴェ」をリリースしました。

自然派プロデューサーであるブロック・セラーズ、Lo-Fi、フィールド・レコーディングスもカベルネ・フラン人気の高まりに貢献しています。フィールド・レコーディングスはラベルに「Franc」と入れたワインを作っており、ブロック・セラーズはあえてカベルネ・フランという言葉を避けて「KouKou」という名前のワインで売っています。

それなりに歴史と実績を持つカベルネ・フランですが、まだ適地や栽培方など、まだ進行形な部分も多々あります。これからのカベルネ・フランの成長にますます期待がかかります。