9月9日は今年からカリフォルニアワインの日として記念日協会に登録されました。次のように書かれています。
カリフォルニアワイン協会が制定。カリフォルニアワイン協会(本部・サンフランシスコ)は1000社を超えるカリフォルニアのワイナリーやワイン関連企業から構成される非営利団体で、世界30か国以上でマーケティング活動を行っている。多様な公認産地(AVA)を誇り、プレミアムワインとして世界中で認知されているカリフォルニアワインを、日本でもさらに知ってもらうことが目的。日付はカリフォルニアがアメリカ合衆国の31番目の州として編入された1850年9月9日から。
当日はイベントも開かれます(9月9日はカリフォルニアワインの日、イベントも開催)。

もちろんイベントに参加いただくのもいいですが、近くでイベントがないという場合や、そこまでカリフォルニアワインに思い入れがないし、という人も多いでしょう(というかそういう人が圧倒的でしょう)。普段カリフォルニアワインをあまり飲まないという人も、この日にはカリフォルニアワインを試して、その魅力を感じていただけたらと思っています。

ということで、この記事では品種ごとにお薦めのカリフォルニアワインを紹介します。3000円以下と3000円超6000円以下の2つの価格帯からのチョイスです。できたら両方の価格帯のものを飲んでいただけると、いいものの良さを分かっていただけるのではないかと思います。

赤から行きます。まずはカベルネ・ソーヴィニョンから。3000円以下というのが簡単そうで難しい分野です。もちろん美味しいものはたくさんありますが、突出したものは意外と見つけにくい。また、近年はこの価格帯はやや甘めの作りのレッド・ブレンドが主流になりつつあり、カベルネ・ソーヴィニョンとしての良さがあるワインがやや減っているような気もします。

その中で選んだのは「ランチ32」。モントレーのコスパ王「シャイド・ファミリー」というワイナリーが持つブランドの一つです。3000円までとしながら、ほぼその半額のものを選んだのはコスパ感のすばらしさとバランスの良さから。

ショップはしあわせワイン俱楽部です。以下、ショップ名が書いていないときはこのショップです。


次はピノ・ノワールで「キャッスル・ロック」のモントレーを選びました。2000円台のピノ・ノワールの中ではバランスの秀逸さが際立つワイン。同じワイナリーでメンドシーノのピノ・ノワールもあり、そちらの方がよりエレガントな作り。



ジンファンデルでは文句なくマリエッタを選びました。ここはノン・ヴィンテージで年に2~3回新しいロットを作ってロット番号を付けるというユニークなことをしています。現行のOVR(Old Vine Red)Lot73はこの価格帯でパーカー95点というワイン。ジンファンデルは単に「濃くて甘い」と思っている人にはぜひ飲んでほしいワイン。


赤ワインでもう一つブレンドものから「スラムダンク」を。ちょうどバスケットボールのワールドカップをやっていますしね。これもバランスよくスパイシー感もあっておいしいワイン。ジンファンデルなどのブレンドです。このワイン嫌いな人はいないよね、という味。


白ワインに行きましょう。
シャルドネではウェンテの「モーニング・フォグ」。個人的に大好きなワインです。程よい樽感と酸味、果実味がありバランスが秀逸(だいたい私のセレクションはバランス重視です)。ウェンテはカリフォルニアのシャルドネのふるさとと言っていいようなワイナリー。カリフォルニアのシャルドネの7割がここのクローンをベースにしているという話もあります。みんな大好きキスラーも「うちはウェンテ・クローンの畑しか使わない」と明言しています。


ソーヴィニヨン・ブランは「ジョエル・ゴット」を選びました。樽を使わないすっきり系のソーヴィニヨン・ブランで和食にも合わせやすい。ワイン・スペクテーターの上位評価常連です。


白の最後はヴィオニエ。某大手スーパーのバイヤーさんも一押しと言っていたマックマニスのヴィオニエを選びました。というかこの価格帯でのヴィオニエならこれが一択でしょう。

ショップはココスです。



スパークリングではラック&リドル。カスタム・クラッシュといって、他のワイナリーから製造委託を受けてワインを作る業態があるのですが、ここはそのスパークリングの第一人者。豊富な経験とコネクションから作った自社ブランドですからコスパ抜群です。エレガント系のブラン・ド・ブランを選びましたが、より飲みごたえがあるブリュットやブラン・ド・ノワールもあります。


ここからは3000円超6000円までの価格帯に移ります。

この価格帯のカベルネ・ソーヴィニョンはより取り見取り。大激戦区で外れもほとんどないところです。その中で選んだのはなんと3000円台で買えるデコイ リミテッド カベルネ・ソーヴィニョン。デコイはナパの有名ワイナリーで、特にメルローではトップクラスに君臨するダックホーンの下位ブランド。普通のデコイは3000円前後で買えますが、「リミテッド」は1ランク上。クオリティ的にはダックホーンのカベルネにも迫りますが、価格は普通のデコイより1000円ほど高いだけ。コスパ抜群です。


次はちょっとマイナーですがカベルネ・フランでトレフェッセンのものです。カベルネ・フランは個人的一押しの品種です。このワインふつうは7000円以上するのですが、5000円台で売っているところを見つけてしまいました。

ショップは「酒楽ショップ」


ピノ・ノワールではオーガスト・ウエストのサンタ・ルシア・ハイランズを選びました。7月に亡くなられたインポーターの海老原卓也さんがインポーターを始めるきっかけになったワインがこれ。この美味しいピノを日本人に飲んでもらいたいと脱サラしたのでした。カリフォルニアらしいチャーミングな果実味を持つワイン。

ショップはWassy’s。


ジンファンデルはベッドロックのオールド・ヴァイン・ジンファンデル。ベッドロックのオーナーのモーガン・トゥエイン・ピーターソンはマスター・オブ・ワインを持っており、100年以上の樹齢がある古木の畑の第一人者。彼が古木のワインの入門用としてサービス価格で販売しているのがこのワインです。



赤の最後はシラー。シラーを得意とするストルプマンのワインです。ちょっと珍しいのは、発酵時に「炭酸ガス浸漬法」(カルボニック・マセレーション)を使っていること。ボージョレ・ヌーヴォーで使われている手法で、果実のフレッシュさを出すのに役立っています」。シラーが苦手という人にも飲んでほしいワイン。


白ワインに移ります。シャルドネはタリーのエステート。カリフォルニアの沿岸地域でも特に冷涼な地域のブドウを使っています。涼しいところのシャルドネなので酸のきれいさが素晴らしいワイン。


ソーヴィニヨン・ブランはナパのホーニッグのリザーブ。ナパの一等地にある自社畑のブドウを使っています。新樽も使ってリッチな味わい。


ヴィオニエではカレラ。カレラはピノ・ノワールで有名ですが、創設者のジョシュ・ジェンセンはDRCで収穫を手伝いにいったときに、マダム・ルロワに嫌われて追い出され、その後コンドリューで収穫の手伝いをしたということがありました。そういった由来でヴィオニエにも思い入れがあり、カリフォルニアではかなり早くからヴィオニエの栽培に取り組んでいます。


最後、スパークリングは価格帯オーバーですがドメーヌ・カーネロスのル・レーヴを紹介します。米国で125ドルするのが日本では1万円を切るという不思議価格で何年も販売されていましたが、このほど価格改定で一気に2万円ちかくになってしまいます。現在ショップにある在庫がなくなったらその価格なので、今買わなきゃいけないワインです。テタンジェの系列であり品質的にもカリフォルニアのトップクラス。