日本人にとってCaleraはカリフォルニアのピノ・ノワールの代名詞とも言える存在だ。おそらくマンガ「ソムリエ」に端を発したと思われるそのカルト的ブームはシリコンバレー地元紙のSan Jose Mercuryや,ワインWebサイトのWineTodayなどでも紹介されている。Calera自身にとっても日本は大お得意様であり,出荷量は北カリフォルニアよりも多く,最大の市場なのだという。
オーナーのJosh Jensen氏が2年間かけて探し出したと言われるワイナリの所在地はかなり辺鄙なところである。周囲にはワイナリどころか建物すらほとんどないというところだ。サンフランシスコからは最低2時間,余裕を見て2時間半かかると思っておいたほうがいい。行くときは,以下に書く道順を正確にたどるのが無難である。
まず,101を南に下っていき,San Joseを過ぎ,Gilroyを過ぎてしばらく行くと156 Eastという出口がある(156 Westとは数マイル離れているので注意)。道なりに156に入りずっと進んでいく。二つ目の信号(といっても101から7マイル近くある)を右折(Union Rd.)する。4マイルほど進んでCienega Rd.に右折して入る。Cienegaのワインディング・ロードを8マイルほど行くと左側に「Interface Aviation」という会社の倉庫のような大きな建物がある。Cienega沿いにはほとんど建物がないのでまず見過ごす心配はない。これを過ぎて1マイルほど行ったところ右側に小さくCaleraと書いてある。
Tank
ツアーもテイスティングも要予約である。筆者が行ったときはオーナーのJosh Jensen氏自らワイナリを案内してくれた。山肌に建てられた6階建てのワイナリは収穫したブドウを投入するところから,発酵,樽詰という過程をすべてポンプを使わず斜面に沿って,重力で行う自慢のもの。
ワイナリ自体1000フィートくらいのところに建てられているが,ブドウ畑はさらに1000フィート上の2000フィート辺りにあるという。そのためやや内陸側でありながら気温がそれほど上がらないのだという(ピノ・ノワールは気温が低いところを好むと言われている)。
Library
ワイナリの奥には新築のライブラリもある。
日本に負けず劣らず地震が多いカリフォルニアのこと,地震が来てもボトルが飛び出さないよう棒で押さえる仕組みを付けている。ケースで保存しているものも,ワイヤで棚から飛び出さないように押さえている。ちなみに各製品につき10ケースずつ歴史的価値のために保存しているのだという。最初のビンテージである1975年のジンファンデルも置いてある(ピノ・ノワールはその次の年から)。
テイスティングもワイナリの中のテーブルで行う。筆者が行ったとき(99年8月)はまだ米国では値段も決めていない1996年のReedとJensenを開けてもらった。1996年はCalera最良の年だったとのこと。「6~12年熟成してから飲んで欲しい」(Josh Jensenオーナー)というものの,どちらも口の中にうまみがあふれるほどおいしい。特にJensenはsilkyですばらしかった(念のため,筆者はそれほどいいワインを飲んでいません,もっと詳しい人は別の評価をするかもしれません)。「おいしいというしか言葉がわからない」と伝えると「私も経験を重ねるうちに,ワインを語る言葉はだんだんシンプルになってきている。『おいしい』というのが一番の誉め言葉だ」といってくれた。
ほかのワイナリからはかなり離れたこのワイナリ。敢えてほかと組み合わせて回るならMonterey方面が近い。Montereyの町までも1時間くらいでいけるはずだ。あるいはSanta Cruz Mountainsのワイナリと組み合わせることも可能だろう。サンフランシスコからただ往復するのなら,途中Gilroyに大型のアウトレット・センターがある。人気のNikeやGapなどもあるので,買い物にはお勧めである。