Siduri(シドゥーリ)というのはバビロニアのワインの女神の名前だそうです。このワイナリを作ったのはAdam Lee(アダム・リー)とDiana Lee(ダイアナ・リー)の夫妻。2人共、生まれも育ちもテキサス州。高級デパートNeiman Marcusで働いていて出会いました。
2人がワインを作りたいという夢を持って、カリフォルニアにやってきたのは1990年代初頭のこと。当初はDry Creek Valleyの小さなワイナリで働き、1994年にお金を出しあってAnderson Valleyの畑からブドウを買ってピノ・ノワールのワインを作ることにしました。
通常はブドウの量で契約するところを2人は畑の面積で契約し、自ら畑作業を行って収穫量を減らしました。天然酵母を使って、無濾過で作るなどこだわりのワイン作りをしました。翌年ロバート・パーカーがナパのMeadowood Resortに滞在していると聞きつけ、ホテルのコンシェルジェにワインを預けたところ、パーカーは90点という高評価を付け、「高品質のピノ・ノワールを作ろうとする野心的なワイナリ」と評しました。これでワイナリが見事に離陸しました。
Siduriはピノ・ノワールの専業で、自社畑は持たず、様々な畑からブドウを購入しています。北はオレゴン州のWillamette Valley、南はサンタ・バーバラまで幅広い畑と契約。作っているピノ・ノワールの数も20に達します。特に評価が高いのはSanta Lucia Highlandsにある有名なPisoniの畑のブドウを使ったもの。
ワインのスタイルは、果実味を重視したフルボディなもの。若いうちから飲みやすい、カリフォルニアらしいピノ・ノワールです。価格は比較的安く、入手しやすいピノ・ノワールでもあります。
Adam Leeは若いワインメーカーたちの兄貴分的な存在。サンタ・バーバラのLoring Wine Companyを持つBrian Loringなど、彼を信奉するワインメーカーが多数います。ピノ・ノワール専業という形式でも先駆けとなっています。
兄弟ワイナリに、シラーやジンファンデルなどを作るNovy(ノヴィ)があります。ワイナリ設備などは共用であり、ブランドの違いがあるだけです。