Simi(シミ)は、19世紀に始まった歴史あるワイナリです。現在でもソノマのAlexander Valleyを代表するワイナリとして、米国のみならず日本でも高い人気を誇ります。また、ナパのSpottswoodeと並んで「女系」のワイナリとしても知られています。
創設者のGiuseppe Simiがイタリアから米国に渡ったのは1849年。いわゆる「49er」(一攫千金を狙って1849年にカリフォルニアに移住してきた人たちのこと)の一人でした。Giuseppeは弟のPietroと1876年にワインを作り始めました。これがワイナリのスタートです。
1890年には、現在ラベルにも描かれている石造りのセラーができ、ワイン作りも本格化していきました。1904年に兄弟が相次いで亡くなったあと、Giuseppeの娘のIsabelleが18歳にしてワイナリを引き継ぎました。禁酒法が開けた翌年の1934年にテイスティング・ルームをオープンするなど、Isabelleは先駆的な人だったようです。
1970年にIsabelleは引退、ワイナリはRussel Greenという人に売却されました。1979年にZelma Long(ゼルマ・ロング)がワイン作りに加わりました。Zelmaは米国の女性ワインメーカーの先駆けとして知られており、UC Davisで1970年にワイン作りの修士号を女性として初めて取得した人。1970年代にRobert Mondaviで働いた後、Simiに来たのでした。
1989年から1996年にはZelmaはCEOとしてSimiを牽引しました。Zelma在籍中には1984年のLandslide Vineyard買収や、1989年のRussian River Valleyにおける土地の購入(後のGoldfields Vineyard)など、重要な畑の拡張が行われています。1993年にWine Spectator誌からCalifornia Wine Pioneerで賞を受けるなど、受賞歴も多岐にわたります。
現在は、ワイン作りは2003年に加わったSteve Reederという男性が率いますが、ワイン作りのディレクターと、ワインメーカーはいずれも女性。女系の系譜は今でも守られているようです。
オーナーはLVMH(ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー)を経て1999年からはConstellation Brandsに移行しています。また、ワイン作りには一時期(1980年~1985年)有名なDavid Rameyも参加していました。
ワインはカベルネ・ソヴィニョンが有名。ワイナリのあるAlexander Valleyの畑を生かしています。また、Zelma Longが得意としたシャルドネも人気。特に日本では人気シャルドネの1つになっています。
ワイナリにはピクニックテーブルもあり、Alexander Valleyでは訪問すべきワイナリの1つになっています。