Kendall-Jackson(ケンドール・ジャクソン、あるいはケンダル・ジャクソン)は、米国でプレミアム・ワイン(10ドル以上のワイン)として一番売れているブランドです。Jackson Family Winesのグループに属するあまたあるワイナリのリーダー的存在でもあります。
創設者のJess Jacksonは1930年にサンフランシスコで生まれました。折しも世界恐慌が始まった翌年であり、幼少期の生活は苦しく、5歳から働きに出ていたといいます。法律を学んだ学生時代も、学費を稼ぐために警官や救急車の運転手をやっていたとのこと。
卒業後は不動産関連の弁護士として活躍。1974年に梨と栗の果樹園を購入してシャルドネに植え替えました。当初はブドウを販売していたものの、1982年に自身でワインを作ることにしました。
そうしてできたのがVintner's Reserve Chardonnay。やや残糖があり、フレッシュな果実の味を強く残したワインでした。1983年にこれを発売するとたちまち大ヒット。American Wine Competitionで初めてのダブル・プラチナ・アワードを受けたワインになりました。
1992年にはVintner's Reserve Chardonnayは米国で一番売れたシャルドネになりました。以来20年以上にわたって、米国トップのシャルドネの称号を受け続けています。
Kendall-Jacksonはカリフォルニアの沿岸各地に広大な畑を有しており、畑の面積は全部で1万5000エーカーにも上ります。莫大な生産量を誇るVintner's Reserve Chardonnayもすべて自社畑のブドウを使っています。
ワインのシリーズは下からVintner's Reserve、Grand Reserve、Highland Estates、Statureとなっています。また、2011年にはAVANTという新しいシリーズを追加しています。これは価格帯はVintner's Reserveと同じですが、作りを最近はやりの形に合わせてきたもののようです。例えばシャルドネだと、半分をステンレス・スチール、半分を古い樽を使って発酵させることで、樽のフレーバーを柔らかくし、果実味をより味わえる形になっているとのこと。
日本では、やや過小評価されている感じのあるKendall-Jacksonですが、米国では依然として人気が高く、その人気を裏切らない品質のワインを作り続けています。2011年にJess Jacksonが亡くなった後も、家族を中心に、しっかりと経営している感があります。2012年には社長のRick TignerがCBSテレビの番組「Undercover Boss」に出演して話題になりました。
なお、ワイナリの本拠地はSanta Rosaの近く、Fultonという町にあり、庭園もきれいなところです。このほかHealdsburgのダウンタウンにもテイスティング・ルームがあります。