Peter Michael Winery(ピーター・マイケル)は、英国生まれで「サー」の称号を持つ、Peter Michaelと夫人のLady Michael(Maggie)がソノマのKnights Valleyに作ったワイナリです。ソノマだけでなくカリフォルニアを代表するボルドー・ブレンドやシャルドネ、ピノ・ノワール、ソヴィニョン・ブランを作っています。
評論家などによる評価は極めて高く、2013年にはWine Advocate誌でカリフォルニア・ワインとしては初めてピノ・ノワールの100点(2010年のClos du Ciel《クロ・デュ・シエル》とMa Danseuse《マ・ダンジューズ》)を獲得しています。
それだけでなく同誌ではボルドー・ブレンドのLes Pavots(レ・パヴォ)が最高99点、シャルドネのPoint Rouge(ポイント・ルージュ、ポワン・ルージュ)が最高99点、ソヴィニョン・ブランのL'Après-Midi(ラプレ・ミディ)が最高94点。また、Wine Spectator誌ではLes Pavotsが最高99点、シャルドネのCuvée Indigène(キュベ・インディジェーヌ)が最高98点、ピノ・ノワールのClos du CielとLe Caprice(ル・カプリス)、Ma Danseuseが最高95点、L'Après-Midiが最高93点。特にシャルドネは種類も多く、KistlerやMarcassin、ナパのKongsgaardなどと並んで、カリフォルニア最高峰のワイナリの1つとなっています。
Peter Michaelは英国では実業家として、様々な企業を成功させてきました。カリフォルニアに土地を買ったのは1982年。7年もの歳月をかけて見つけたところは、ナパのカリストガの北西、Mt. St. Helenaの西側の山麓でした。ここに605エーカーの土地を購入して、別荘とブドウ畑を作るのが目的でした。
1983年にはボルドー品種の最初の畑を作りました。1987年に雇ったワインメーカーはHelen Turley。最初のワインはGauer Estate(現Alexander Mountain Estate)から購入したブドウで作ったシャルドネで、次の年には天然酵母で発酵させた、最初のCuvée Indigèneを作りました。
この土地はカリストガより内陸よりなので、暖かいところですが、山麓のため標高が高いところに行くと気温が下がります。そこで低い土地ではボルドー品種を育て、高い土地にはシャルドネの畑を作りました。
1998年にはソノマ・コーストに400エーカーの畑を購入し、ピノ・ノワールを植え、2007年にはナパのオークヴィルにカベルネ・ソヴィニョンの畑を購入しています。
歴代のワインメーカーには才人が並びます。かのHelen TurleyはPeter Michaelで金に糸目をつけずに素晴らしいワインを作って名を挙げ、当時アシスタント・ワインメーカーだったMark Aubertが1990年に後を継ぎました。Aubertも今やスター・ワインメーカーの1人です。1999年に引き継いだVanessa Wongは2000年までの2ヴィンテージを担当し、その後、夫とソノマのPeay Vineyardsを興しています。
2001年にフランス生まれのLuc Morletがワインメーカーになり、2005年まで続けた後、ワインメーカーを弟のNicolas Morletに譲ってコンサルタント・ワインメーカーになりました。Lucは自身のMorlet Familyや、いくつかのワイナリのワインメーカーもしています。
ワインは、これまで紹介しているように、それぞれ独自の名前が付いています。
ボルドー・ブレンドはLes PavotsとL’Esprit des Pavots(レスプリ・デ・パヴォ)の2つ。どちらもKnights Valleyの自社畑で、L’Esprit des Pavotsは植え替えによる若い樹のブドウを使ったものです。
ピノ・ノワールはサンタ・ルシア・ハイランズの著名な畑であるPisoni Vineyardsから購入したブドウで作るMoulin Rouge(1997年~)のほか、2009年以降ソノマ・コーストの自社畑Seaview Vineyardから3種類作っています。Clos du Cielは3つの中で最も温暖なブロックである、力強いワイン。Le Capriceは2007年と2008年は購入したブドウで、2009年から自社畑。最大斜度50度という強烈な斜面のブロックだそうです。Ma Danseuseは最も冷涼なブロック。名前は「私のダンサー」という意味で、サー・ピーター・マイケルが17歳のときに、柔道のクラスからダンスのクラスに移り、未来の妻と出会ったことへの感謝を表しているそうです。
シャルドネは4つの単一畑と2つのバレル・セレクション。Point Rougeがトップで、Cuvée Indigèneがその次という位置付けです。単一畑はいずれもKnights Valleyの自社畑であり、Mon Plaisir(モン・プレジール)、La Carrière(ラ・キャリエール)、Belle Côte(ベル・コート)、Ma Belle-Fille(マ・ベルフィーユ)の4つからなります。
ソヴィニョン・ブランはL’Après-Midiと、セミヨンとのブレンドになるCoeur à Coeur(クール・ア・クール)。以上がラインナップです。
ワイン作りは、伝統的な手法に近代的なものをミックスした形。野生酵母を使い、フランス製の樽や、週1回のバトナージュなどが伝統的な手法。近代的な方法としては、徹底的な実の選別によって、完璧な果実だけをワインに使うことなどが挙げられています。