Walter Hansel(ウォルター・ハンゼル)は、ソノマのRussian River Valleyにある、今どき珍しいちょっと地味なワイナリです。もちろんいい意味で、です。
例えばWebサイトこそ持っていますが、メール・アドレスも公開していなければ、SNSにも参加せず、顧客とのやり取りはもっぱら電話あるいはファックスになります。自社畑で単一畑のワインを少量生産しているのに、ワインの価格は30ドル台と2昔前の水準。ソヴィニョン・ブランは10ドル台です。これでいてワインの評価は高いのですから、極めて良心的なワイナリです。
Walter Hanselはワインの愛好家でしたが、1978年にブドウ畑を作り始めました。その後、息子のStephenが引き継ぎ1980年代に畑を拡大。1996年に初めてワイン(シャルドネとピノ・ノワール)を作りました。2002年からは自社畑のブドウだけを使うようになっています。
場所はRussian River Valleyの南端。北はSanta Rosa Creek、西はLaguna de Santa Rosaという湿地帯に囲まれたところだとのこと。朝晩は霧の影響が強く、最低気温と最高気温の差はしばしば20度以上にもなるところです。
ワインはピノ・ノワール5種とシャルドネ4種。それから自社所有の畑ではありませんが、栽培を担当しているソヴィニョン・ブランが1種。フラグシップは「Cuvee Alyce」(キュベ・アリス)。シャルドネにもピノ・ノワールにもあります。
例えば2011年のヴィンテージで見ると、すべてのシャルドネ、ピノ・ノワールがWine Advocate誌で90点を超える高い評価を得ています。
ワインのスタイルは、はやりのリッチなタイプではなく、酸が効いた、痩せたタイプのものだといいます。電話でワインの注文を受けるときは、好みの味を聞いてから、お薦めを選んでくれるといいますから、かなりこだわりのある作りなのだと思います。