カルディで「決算チャンスボックス」という、ワインくじを買ってみました。
1200円(税抜き)で、一番高いワインだと7500円のシャンパーニュが入っています。安くても1800円ということで損はありません。知り合いの中にはボトルの重さなどから見事シャンパーニュを選んだ人もいます。
こういったものには手を出すことはあまり多くないのですが、店頭で残り5本ということで気が向いて買ってみました。
結果はこれ。ラベルが安っぽい印象だったので、「こりゃ外れだな」と思ったのですが、チラシを調べてみたらシャンパーニュの次に高い4500円のイタリア産ボルドーブレンドでした。
というわけで、残り物には意外に福がありました。ただ、個人的には、どうせイタリアワイン飲むならネッビオーロとかモンテプルチアーノが飲みたかったかな、とも。
たまにこういうのも楽しいですね。
1200円(税抜き)で、一番高いワインだと7500円のシャンパーニュが入っています。安くても1800円ということで損はありません。知り合いの中にはボトルの重さなどから見事シャンパーニュを選んだ人もいます。
こういったものには手を出すことはあまり多くないのですが、店頭で残り5本ということで気が向いて買ってみました。
結果はこれ。ラベルが安っぽい印象だったので、「こりゃ外れだな」と思ったのですが、チラシを調べてみたらシャンパーニュの次に高い4500円のイタリア産ボルドーブレンドでした。
というわけで、残り物には意外に福がありました。ただ、個人的には、どうせイタリアワイン飲むならネッビオーロとかモンテプルチアーノが飲みたかったかな、とも。
たまにこういうのも楽しいですね。
1990年代末から2000年代初期に「カルトワイン」のブームが起こり、スクリーミング・イーグルやハーラン・エステートなど超高品質なワインを少量作るワイナリーが脚光を浴びました。今世紀に入ってからも、その成功をなぞるようなワイナリーがいくつも出てきましたが、その中でもトップの一つに位置するのがレアム(Realm)です。
例えば、「パーカー100点」のワインをこの10年(2012年以降)のヴィンテージで何本取っているかを見ると、一番がハンドレッド・エーカーの18本、2番がコルギンの15本で、3番にレアム(と同率でシネ・クア・ノン)が13本となっています。
レアムは2002年にオークランドで看護師をしていたホアン・メルカドが設立しましたが、実は当初は芽が出ず、2011年には倒産寸前にまで追い込まれていました。ワインメーカーもやめてしまい、新たなワインメーカーとして就任したのがブノワ・トゥケ。この人はボルドー大学を出て、ミシェル・ロランに師事し、ロランの命を受けて米国に行き、アンディ・エリクソンのもとで働いていました。そして偶然ホアンと友人になり、ルームメイトにもなっていたのでした。さらに、ハーランやボンドで財務を担当していたスコット・ベーカーが経営に参加。ベクストファー・ト・カロンのブドウが使えるようになり、一気にスターダムに躍り出たのでした。
そんなレアムのワインを12本も開けるというワイン会に参加させていただきました。
ラベルも非常に素敵なものが多いです。
ワインはソーヴィニヨン・ブランが1本とロゼが1本のほかはすべてボルドー系でした。
最初はソーヴィニヨン・ブランの「フィデリオ(Fidelio)」2018。ナパのワイナリーが作るボルドー系の高級ソーヴィニヨン・ブランというイメージ通りのワイン。酸は中程度で全体に丸みを感じます。樽のニュアンス、青リンゴ、濡れた石、ハーブ。
次は2020年のロゼ。品種はメルロー90%でカベルネ・ソーヴィニヨン10%。2020年は山火事でナパの多くのワイナリーで収穫を諦めたり、ワインを作っても売らない判断をしたりしています。レアムの場合は、煙の害を防ぐために早く収穫したブドウを使ってロゼにしてみたということ。レアムにとって初のロゼであり、もしかしたら最後のロゼになるかもしれません。直接圧搾法で、黒ブドウで白ワインのように作ったワインです。なので色はかなり薄め。トマトやクランベリーの風味がします。色の割には、味わいは意外とふくよかです。
次は「テンペスト(Tempest)」2018。レアムのワインは単一畑の名前と品種名を冠したものと、畑名も品種名も入れていない「プロプライエタリー・ブレンド」のものとに分かれますが、これはプロプライエタリー・ブレンドの中でも初期からあるワイン。メルローが80%とメインになっています。まだ少し若さを感じます。タンニンはやや強く、フルボディで余韻も長いです。
4本目は「ファルスタッフ(Falstaff)」2019。カベルネ・フラン50%にカベルネ・ソーヴィニヨン38%、メルロー12%。ワインの名前はシェイクスピアの劇に登場する喜劇的キャラクターから取っています。ちなみに、プロプライエタリー系のワインの名前はどれもシェイクスピアのモチーフになっています。
第一印象で重心の高さを感じます。一方でインクや黒鉛のしっかりした風味もあります。非常にシルキーなタンニン。ブルーベリーやオリエンタル・スパイスなど、重層的で多彩な味わい。引き寄せられるような魅力があります。その多彩な味わいがファルスタッフの名前にふさわしいのだと思います。この日のワインの中でもかなり人気の高かったワインでした。
5本目は「ザ・バード(The Bard)」2018。The Bardとはシェイクスピアのニックネームで、ラベルにはリチャード二世のテキストが描かれています。レアムの中ではエントリー的な位置付けのワインで、日本にも比較的多く輸入されています。エントリー的といっても評価は高く2018年はワイン・アドヴォケイトで96+、2019年は97点となっています。様々なブランドのセカンドワインの中でも非常にいいワインの一つです。様々な畑のブレンドになっており、非常にバランスが良く、若くても飲みやすいのが特徴。早飲みという意味でもレアムの入門には最適なワインです。
ここから先は単一畑に入っていきます。
6本目はクームズヴィルにある自社畑ファレラ(Farella)のカベルネ・ソーヴィニヨン2018。2018年に自社畑になりましたが、ワインを作り始めたのは2003年。長年調達していた畑を購入した形です。ミネラル感が強く、ハーブや鉱物のニュアンスもかなりある硬質なカベルネ・ソーヴィニヨン。パワフルで、やや山っぽい雰囲気のあるカベルネ・ソーヴィニヨン。
ようやく半分を超え、7本目はプリチャード・ヒルにあるホウイ(Houyi)のカベルネ・ソーヴィニヨン2016。この畑は今年レアムが買い取っています。これもミネラルやハーブのニュアンスがありますが山っぽくはなくシルキーなタンニンが印象的です。美味しい。
8本目は「ムーンレーサー(Moonracer)」2017。2015年に買収したスタッグス・リープの畑のワイン。非常にパワフルですが、濃いだけではなく芯の通った味わい。
9~11本目はベクストファーの3つの畑のカベルネ・ソーヴィニヨン。最初はセント・ヘレナにあるベクストファー・ボーン2018。暖かい地域の畑ですが、ワインからは重心の高さを感じます。非常に美味しい。
次は「ベクストファー・ト・カロン」2018。なんというかスケールの大きなワイン。とても濃くフルボディのワインですが、同時にバランスもよく総じて素晴らしいワイン。さすがト・カロンという出来です。
11本目は「ベクストファー・ドクター・クレーン」2019。ト・カロンよりもさらにパワフルで濃厚。言う事ありません。バランスもよく完璧。2012年から2019年の8ヴィンテージで6回100点を取っていますが、その凄さを垣間見られるワインです。
最後の12本目は「アブサード(Absurd)」2017。レアムのフラッグシップといっていいでしょう。すべてのワインの中から最良のものを選んでブレンドしたワインです。同じようなコンセプトのワインとしてはハンドレッド・エーカーの「レイス(Wrath)」がありますが、アブサードもレイスを彷彿とさせるようなスケールの大きなワイン。
ト・カロンでほぼ完璧と思い、ドクター・クレーンで完璧と思ったわけですが、アブサードはさらにそれを超えてくるような迫力と美味しさがあります。こりゃすごいですね。
後半はすごいとしか書いていない気がしますが、レアムのワイン、期待を裏切らない出来でした。最後の3本は間違いなくナパのカベルネ・ソーヴィニヨンのトップ中のトップに入るレベルですし、カベルネ・フラン主体のファルスタッフも非常に魅力的でした。また、ザ・バードは圧倒的に安いのに品質は高い。ナパにあまたあるセカンドラベルのワインの中でトップクラス間違いないワインです。レアムを体験したければ、まずそこから飲んでみてください。
ワインを提供してくださった谷口慎一郎さん
右は会場となったイル・ド・コリンヌの香奈さん
しあわせワイン倶楽部
柳屋
例えば、「パーカー100点」のワインをこの10年(2012年以降)のヴィンテージで何本取っているかを見ると、一番がハンドレッド・エーカーの18本、2番がコルギンの15本で、3番にレアム(と同率でシネ・クア・ノン)が13本となっています。
レアムは2002年にオークランドで看護師をしていたホアン・メルカドが設立しましたが、実は当初は芽が出ず、2011年には倒産寸前にまで追い込まれていました。ワインメーカーもやめてしまい、新たなワインメーカーとして就任したのがブノワ・トゥケ。この人はボルドー大学を出て、ミシェル・ロランに師事し、ロランの命を受けて米国に行き、アンディ・エリクソンのもとで働いていました。そして偶然ホアンと友人になり、ルームメイトにもなっていたのでした。さらに、ハーランやボンドで財務を担当していたスコット・ベーカーが経営に参加。ベクストファー・ト・カロンのブドウが使えるようになり、一気にスターダムに躍り出たのでした。
そんなレアムのワインを12本も開けるというワイン会に参加させていただきました。
ラベルも非常に素敵なものが多いです。
ワインはソーヴィニヨン・ブランが1本とロゼが1本のほかはすべてボルドー系でした。
最初はソーヴィニヨン・ブランの「フィデリオ(Fidelio)」2018。ナパのワイナリーが作るボルドー系の高級ソーヴィニヨン・ブランというイメージ通りのワイン。酸は中程度で全体に丸みを感じます。樽のニュアンス、青リンゴ、濡れた石、ハーブ。
次は2020年のロゼ。品種はメルロー90%でカベルネ・ソーヴィニヨン10%。2020年は山火事でナパの多くのワイナリーで収穫を諦めたり、ワインを作っても売らない判断をしたりしています。レアムの場合は、煙の害を防ぐために早く収穫したブドウを使ってロゼにしてみたということ。レアムにとって初のロゼであり、もしかしたら最後のロゼになるかもしれません。直接圧搾法で、黒ブドウで白ワインのように作ったワインです。なので色はかなり薄め。トマトやクランベリーの風味がします。色の割には、味わいは意外とふくよかです。
次は「テンペスト(Tempest)」2018。レアムのワインは単一畑の名前と品種名を冠したものと、畑名も品種名も入れていない「プロプライエタリー・ブレンド」のものとに分かれますが、これはプロプライエタリー・ブレンドの中でも初期からあるワイン。メルローが80%とメインになっています。まだ少し若さを感じます。タンニンはやや強く、フルボディで余韻も長いです。
4本目は「ファルスタッフ(Falstaff)」2019。カベルネ・フラン50%にカベルネ・ソーヴィニヨン38%、メルロー12%。ワインの名前はシェイクスピアの劇に登場する喜劇的キャラクターから取っています。ちなみに、プロプライエタリー系のワインの名前はどれもシェイクスピアのモチーフになっています。
第一印象で重心の高さを感じます。一方でインクや黒鉛のしっかりした風味もあります。非常にシルキーなタンニン。ブルーベリーやオリエンタル・スパイスなど、重層的で多彩な味わい。引き寄せられるような魅力があります。その多彩な味わいがファルスタッフの名前にふさわしいのだと思います。この日のワインの中でもかなり人気の高かったワインでした。
5本目は「ザ・バード(The Bard)」2018。The Bardとはシェイクスピアのニックネームで、ラベルにはリチャード二世のテキストが描かれています。レアムの中ではエントリー的な位置付けのワインで、日本にも比較的多く輸入されています。エントリー的といっても評価は高く2018年はワイン・アドヴォケイトで96+、2019年は97点となっています。様々なブランドのセカンドワインの中でも非常にいいワインの一つです。様々な畑のブレンドになっており、非常にバランスが良く、若くても飲みやすいのが特徴。早飲みという意味でもレアムの入門には最適なワインです。
ここから先は単一畑に入っていきます。
6本目はクームズヴィルにある自社畑ファレラ(Farella)のカベルネ・ソーヴィニヨン2018。2018年に自社畑になりましたが、ワインを作り始めたのは2003年。長年調達していた畑を購入した形です。ミネラル感が強く、ハーブや鉱物のニュアンスもかなりある硬質なカベルネ・ソーヴィニヨン。パワフルで、やや山っぽい雰囲気のあるカベルネ・ソーヴィニヨン。
ようやく半分を超え、7本目はプリチャード・ヒルにあるホウイ(Houyi)のカベルネ・ソーヴィニヨン2016。この畑は今年レアムが買い取っています。これもミネラルやハーブのニュアンスがありますが山っぽくはなくシルキーなタンニンが印象的です。美味しい。
8本目は「ムーンレーサー(Moonracer)」2017。2015年に買収したスタッグス・リープの畑のワイン。非常にパワフルですが、濃いだけではなく芯の通った味わい。
9~11本目はベクストファーの3つの畑のカベルネ・ソーヴィニヨン。最初はセント・ヘレナにあるベクストファー・ボーン2018。暖かい地域の畑ですが、ワインからは重心の高さを感じます。非常に美味しい。
次は「ベクストファー・ト・カロン」2018。なんというかスケールの大きなワイン。とても濃くフルボディのワインですが、同時にバランスもよく総じて素晴らしいワイン。さすがト・カロンという出来です。
11本目は「ベクストファー・ドクター・クレーン」2019。ト・カロンよりもさらにパワフルで濃厚。言う事ありません。バランスもよく完璧。2012年から2019年の8ヴィンテージで6回100点を取っていますが、その凄さを垣間見られるワインです。
最後の12本目は「アブサード(Absurd)」2017。レアムのフラッグシップといっていいでしょう。すべてのワインの中から最良のものを選んでブレンドしたワインです。同じようなコンセプトのワインとしてはハンドレッド・エーカーの「レイス(Wrath)」がありますが、アブサードもレイスを彷彿とさせるようなスケールの大きなワイン。
ト・カロンでほぼ完璧と思い、ドクター・クレーンで完璧と思ったわけですが、アブサードはさらにそれを超えてくるような迫力と美味しさがあります。こりゃすごいですね。
後半はすごいとしか書いていない気がしますが、レアムのワイン、期待を裏切らない出来でした。最後の3本は間違いなくナパのカベルネ・ソーヴィニヨンのトップ中のトップに入るレベルですし、カベルネ・フラン主体のファルスタッフも非常に魅力的でした。また、ザ・バードは圧倒的に安いのに品質は高い。ナパにあまたあるセカンドラベルのワインの中でトップクラス間違いないワインです。レアムを体験したければ、まずそこから飲んでみてください。
ワインを提供してくださった谷口慎一郎さん
右は会場となったイル・ド・コリンヌの香奈さん
しあわせワイン倶楽部
柳屋