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Date: 2022/0821 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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江戸時代末期に、薩摩藩から英国に留学し(一行には森有礼や五代友厚もいた)、そこから米国に渡り、ソノマでファウンテン・グローヴ(今はAVAの名前で残っています)というワイナリーを設立し、Grape Kingと呼ばれたのが長澤鼎(ながさわ・かなえ)です。

かつてファウンテン・グローヴがあったところにワイナリーを持つのがパラダイス・リッジで、その縁で「カナエ・ザ・グレープ・キング」と長澤の名前を冠したシャルドネを作っていました。

ところが2017年に莫大な被害を出した山火事で、ワイナリーが焼失してしまいます。長澤の時代から唯一残っていた建物や、長澤鼎の資料館もなくなってしまいました。

ワイナリーはいまだ再建途中で、オーナーも代わり、残念ながら「カナエ・ザ・グレープ・キング」シャルドネも2018年のヴィンテージで終了となってしまいました。

先日、その2018年を試飲しましたが、非常にバランスよく、酸がきれいで上品かつ美味しいワインでした。

最後のワイン、ぜひ買ってあげてください。

カリフォルニアワインあとりえです。


ココスです。


ドラジェです。


柳屋です。送料無料でお買い得です。

Date: 2022/0817 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ソノマ・コーストの北のはずれにアナポリスという人口400人ほどの小さな町があります。太平洋からはわずか8km程度。ソノマ・コーストの中でも有力なワイナリーの多いオクシデンタルからは北西に50kmほども離れた遠いところです。そのさらに北方に畑を持つのがアストン・エステート(Aston Estate)。ナパのベクストファー・ト・カロンのカベルネで一世を風靡したシュレーダー・セラーズのフレッド・シュレーダーと、そのワインメーカーであるトーマス・リヴァース・ブラウンが2001年に始めたワイナリーで、ピノ・ノワールだけを作っています。

2021年にトーマス・リヴァース・ブラウンがすべての権利を買い取って、単独のオーナーになりました。そのことと関係あるのかどうかは不明ですが、2018年のヴィンテージからセカンドラベルを始め、2019年のヴィンテージから日本にもセカンドラベルが輸入され始めました。

個人的にもアストンのピノ・ノワールは大好きです。ソノマ・コーストのピノ・ノワールは、冷涼感を持ちながら、日差しの強さから赤果実だけでなく黒果実の風味まで持つものが多いですが、アストンは海までの近さか標高の影響かは不明ですが鮮烈な赤果実の風味ときれいな酸を持ち、濃厚でありながらエレガントさも感じます。

セカンドラベルは10%新樽使用などワイン造りは基本的にファーストと同じです。違うのは1年早くリリースされること。また「ソノマ・コースト」名義になるので買いブドウを含むことができるのですが、2019年のヴィンテージについてはすべて自社畑のブドウを使っているということです。生産量は400ケースとファーストの650ケースよりも少量です。

価格はファーストの14500円に対して8500円と4割も安くなっています。2019年はジェブ・ダナックが94点と、2018年のファーストの93点よりも高評価を付けています。ファーストの14500円も、クオリティから考えれば高いとは思いませんが、セカンドの8500円はかなりのバーゲンです。

アストンの最大の難点(と個人的には思っている)であるラベルは、ファーストが大きく赤の✕印が入るのに対して、セカンドはそれがなくなっており、そこも好印象。これは「買い」です。


Date: 2022/0813 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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マリエッタ・セラーズ(Marietta Cellars)は1979年に故クリス・ブリブロがソノマで立ち上げたワイナリー。当時はまだ珍しかった、ジンファンデルの古木の畑からワインを作り「オールド・ヴァイン」と名前を付けました。まだ「オールド・ヴァイン」と名乗るワインは2つしかなかったといいます。

それ以上にユニークなのが、ノン・ヴィンテージでロット番号を付けてワインを作ること。年に2回ほど新しいロットを作っており、最新版はロット73になっています。複数ヴィンテージをブレンドしており、例えば2018年12月にリリースしたロット68は2014、2015、2016の3ヴィンテージを使っています。スパークリングワインを除くと、こういうノン・ヴィンテージのワインを作っているのは仮フォルにはではここだけではないでしょうか。

以前からロバート・パーカーの好きなワインとして知られており、2014年には年間のコスパワイン3本の一つとしても取り上げています。SFクロニクルでも2011年にトップ100に選ばれています。

最近ではロット71がワイン・アドヴォケイトで94点と高評価で日本市場でも話題になりましたが、さらに最新のロット73は95点と、18ドルのワインとしては破格の評価を得ています。日本の価格も2000円台前半で、現地価格よりも安いくらいです。

ブドウはメンドシーノの自社畑と、ソノマの契約畑を主に使っています。60%は古い樽で、40%はステンレスタンクで熟成しており、穏やかな樽の風味と、やわらかな果実味のバランスのいいワインです。

トスカニーです。


しあわせワイン倶楽部ではロット71が残っています。


ロット68、ショップはリカータイムです。

Date: 2022/0803 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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ナパのオーク・ノールにあるワイナリー「トレフェッセン(Trefethen)」のセカンドラベル、「エシュコル(Eshcol)」のワインを試飲しました。

トレフェッセンは1968年設立、1979年にはパリで行われた「ワイン・オリンピック」というイベントでシャルドネが世界一に選ばれています。世界一という点ではパリスの審判のシャトー・モンテレーナと較べてもすごいのですが、意外と知られていない歴史です。設立から今まで家族経営を続けています。

オーク・ノールのワイナリーの周囲に400エーカー、マヤカマス山地に40エーカーの自社畑を持っていて、サスティナブルで栽培しています。すべて自社畑のワインで、今回のエシュコルも自社畑を使っています。

ワインは2020年のシャルドネと2019年のレッド・ブレンド。

シャルドネはバランスの良さが際立ちます。先日紹介したテザーのような樽感やバターの風味はなく、白い花や柑橘、ミネラルなど高いトーンの味わいです。ちなみに発酵は樽17%。熟成はフレンチオークの樽ですが、新樽率は5%と隠し味程度です。セカンドラベルといえどナパのシャルドネの中でもバランスの良さでは上位に入りそうです。

レッド・ブレンドはカベルネ・ソーヴィニヨン50%、メルロー44%、プティ・ヴェルド3%、マルベック2%、カベルネ・フラン1%の構成。カシスやブラックベリーの黒系果実にレッド・チェリーの赤系果実の風味もあります。ややパワフルですが濃厚一辺倒ではなく、複雑味もかなりあります。これもセカンドラベルとしては非常に秀逸です。新樽率13%とシャルドネよりは少し高く、アメリカンオークも使っています。

トレフェッセン、ナパのワイナリーの中ではちょっと地味な存在かもしれません。評論家から100点やそれに近い評価を受けているわけでもないし、ワイナリーの場所もオークヴィルやラザフォードのような、輝かしい畑のひしめくところではありません。しかし、ワインは本当に真面目に作っていて、爆発的な味わいはなくてもしみじみ美味しいものばかりです。このエシュコルも先日のテザーと好対照で、テザーがナパらしい爆発感が売りなのに対してこちらはじっくり味わいたいワインです。

また、ナパのワイナリーの多くではセカンドラベル(セカンドティアといった方がいいかもしれません)には、他の栽培家から購入したブドウも使っています。例えばロバート・モンダヴィでは「オークヴィル」などAVA名の付いたものより上だけが自社畑100%で、カベルネ・ソーヴィニヨンなら1万円を超えてきます。エシュロンはシャルドネで4000円前後、レッド・ブレンドで5000円前後ですが、この価格帯で100%自社畑は非常にレアです。

個人的にも非常にいいワイナリーだと思っているし、応援したいところでもあります。ぜひみなさん買ってください。

トスカニーです。



Wassy'sです。


Date: 2022/0801 Category: おすすめワイン
Posted by: Andy
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布袋ワインズが輸入を始めた「テザー(Tether)」のシャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨンを試飲しました。ワインメーカーはアナとマリオのモンティチェリ夫妻。アナはサンテミリオンのシュヴァル・ブランやナパのプリチャード・ヒルにあるブライアント・ファミリーといったトップワイナリーで働き、マリオはイタリアで修行後、フィリップ・メルカのアシスタントやトリンチェロなどで働いた後、自らのブランドを立ち上げました。

すでにスタックハウスというブランドが輸入済みですが、テザーはそれよりちょっと高価格帯になります。

ナパ・ヴァレーAVAのシャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨンでどちらもナパ内の複数のサブAVAからブドウを調達してブレンドしています。

シャルドネは、今どき珍しいほど樽感がしっかりあります。100%マロラクティック発酵しておりバターっぽさもしっかり、クリーミーなテクスチャーが印象的です。樽感とバターというとブレッド&バターを思う人が多いと思いますが、ブレッド&バターよりも全体に上質な味わいで果実味もきれい。上手にまとめています。多くの人が思う「ナパのワインってこういう感じだよねえ」というのをストレートに実現した味わい(意外とそういうワインってありません)。

カベルネ・ソーヴィニヨンの方もモダンスタイルできれいに溶け込んだタンニンと果実味の芳醇さが印象的な味わい。ナパの高級カベルネの入門的な感じもあります。

ヴィンテージはどちらも2019年で、シャルドネはジェブ・ダナック92点、ワイン・アドヴォケイト90点。カベルネはどちらも92点となっています。

ちなみにテザーというのはロープでつながっているということ。世界各地で修行した二人ですが、奥底ではいつもナパとつながってきたということを表しています。ラベルに描かれたロープにつながる宇宙飛行士も印象的です。

しあわせワイン倶楽部です。