10月に書いた「コルクは呼吸などしない」という記事は,割と読まれた記事でしたが,先月今度はshuzさんのブログでワインの熟成とコルクとの関係が議論になりました。また,ここにコメントしているlunatic666さんも,自身のブログにコルクは空気を通すのかどうかについて書かれています。

shuzさんの記事のコメントの最後の方には堀賢一さんも登場しています。堀さんが紹介されたボルドー大学のパウロ・ロペス教授のプレゼン資料(PDF)によると,酸素の透過量はスクリューキャップ<テクニカル・コルク<ナチュラル・コルク<合成コルクだということですが,ナチュラル・コルクの場合であっても最初の1年を過ぎてからの流入はほとんどなく,長期熟成が「コルクの呼吸」によるものだとは,やはり言えないそうです。また,ここでどこからこれらの酸素が透過(あるいは流入)してきたのかは今後の研究が必要だということです。

また,堀賢一さんは
1990年代に、コルク栓が用いられたボトルと不活性な素材よって封栓されたボトルの科学的な分析を試みたイタリアのシエナ大学とピサ大学の共同研究チームは、「コルクは一般に考えられているほど不活性ではなく、ボトル熟成中にワインと能動的に反応して揮発性物質を放出し、ワインに『熟成香』を与えている」と米国のワイン学会ASEVで発表しています。

天然コルク栓とステルヴァンがそれぞれ用いられた、同一の2本のワインを比較試飲した場合に、香りや味わいに違いを感じることがありますが、私はこの「コルクはボトル熟成中にワインと能動的に反応している」という考えに賛成です。
ともコメントされています。コルク自体がワインと反応するというのは意外な感じですが,それで説明できる部分も確かにありそうです。これが真実であれば,長期熟成にはやはりコルクがよいという結論になるのでしょうか。

ブログや掲示板での議論というのは,マイナスに向かってしまうことが多いですが,今回はいろいろと分かって有意義でした。