パルメイヤーのセミナーの続きです。以前ワインメーカーだったヘレン・ターリーの薦めでソノマ・コーストに畑を購入し、造り始めたのがウェイフェアラー。ソノマ・コーストのサブAVAであるフォート・ロス。シーヴューの中にあり、ソノマ・コーストの中でも冷涼なところ。また、畑にたどり着くためには長時間のドライブが必要です。

最初はパルメイアーのワインにブレンドされていましたが、独立したブランドとして造るこおとぉ提唱したのが現社長のクレオさんでした。元々ウェイフェアラー・ファームという農場があったことから名前を取ったそうです。

畑を造ったのはパルメイヤー同様デイビッド・エイブリュー。彼がソノマで手がけた最初の畑だったとのこと。現在は30エーカーの畑を細かなブロックに区切り、ピノ・ノワールを12クローン、シャルドネを4クローン植えています。ピノ・ノワールをこれだけ多くのクローン植えるのはあまり聞いたことがなかったので、その意味を質問したところ、クローンの多様性をブレンドすることによって味に深みを出したいとのこと。ただ、まだ若い畑だけに実験的な側面もあって、いいクローンを見極めるためといったこともあるようです。

ちなみに、醸造設備はなく、ソノマのカスタム・クラッシュで醸造しているそうです。

現在のワインメーカービビアナ・ゴンザレスさんは2012年に就任。最初はウェイフェアラーだけでしたが、現在はパルメイヤーのワインにまで責任を持つようになりました。
ウェイフェアラー
試飲は、2014年のシャルドネ、2013年のピノ・ノワール、そして2013年のピノ・ノワール「マザー・ロック」。

シャルドネはパルメイヤーのシャルドネと比べるとピュアで繊細な酸がとてもきれい。蜜の香り、オレンジ・オイル、ヴァニラ。チョークのニュアンスもあります。これはすばらしい。個人的にはスイートスポットに当たったといってもいいくらいのレベル。ここ1~2年で飲んだシャルドネの中でもトップクラスです。例えばオーベールのローレンあたりと比べても遜色ないと思います。ちなみにヴィナスでは94点。ワイン・エンスージアストでは98点!

ピノ・ノワールの2013年はラズベリーの風味。ミネラルや石のニュアンスも出ています。フルボディのピノ・ノワールですが、重くならず、明るさがあります。これもレベル高い。ちなみにヴィナスではこちらも94点。

ピノ・ノワールのマザー・ロックは、「母岩」が深く根を長く伸ばせる2つのブロックのピノ・ノワールを使ったもの。クローンはDijon37、同777、それからマウント・エデンだそうです。こちらは白い花の香り、ストロベリー、ヴァニラ。シルキーなテクスチャできめこまかなタンニン。先程のピノ・ノワールと比べると少し青系の果実味もあり、深い味わい。個人的には明るいトーンのブレンドものの方に軍配を上げたい感じ。ちなみにヴィナスでは93点。

ウェイフェアラーをじっくり試飲したのは初めてでしたが、やはりおいしいですね。これまでピノ・ノワールだけを注目していましたが、シャルドネのおいしさにはびっくりしました。

なお、セミナーの後の試飲コーナーではピノ・ノワールのマザー・ロック以外の特別なキュベ3種も試飲できました。「ゴールデン・ミーン」はポマール・クローンとスワン・クローンのブレンド。ポマールはテクスチャがあり、スワンは軽く香りがいい。両者の良さをだそうとするワインです。

とてもストラクチャーのあるワイン。オレンジのニュアンス。レベル高いです。

「ペイジズ・リッジ」はDijon667だけを使ったワイン。試飲したのは2012年で2013年以降は輸出はしていないとのこと。濃い果実の味わいにスパイスも感じます。深い味わい。

最後の「ザ・トラベラー」はブルゴーニュから持ち込まれたいわゆる「スーツケース・クローン」によるワイン。明るい色合いで酸の高さと複雑な味わいがあり、とても個性的。熟成させたいワインです。

ウェイフェアラーのピノ3種

このほか、セカンドワインにあたるジェイソンも試飲しました。シャルドネ、ピノ・ノワール、レッド・ワインとありますが、個人的にはレッド・ワインのバランスの良さが気に入りました。1万円未満のカベルネ・ソーヴィニヨン系ワインとしてかなり秀逸だと思います。ピノ・ノワールも軽めの味わいではありますが、ウェイフェアラーの雰囲気は出ています。
ジェイソン