ナパのパルメイヤー(Pahlmeyer)の創業者ジェイソン・パルメイヤーの長女で、現社長のクレオ・パルメイヤーさんが初来日。開催されたセミナーに出席しました。

パルメイヤーといえば、1990年代に映画『ディスクロージャー』でそのワインが重要な役割を果たして、一躍有名になったワイナリー。「昔の名前で出ています」かと思いきや、2017年にはWine Spectatorの年間9位に選ばれ、再び注目されています。さらにソノマ・コーストに設立したウェイフェアラー(Wayferer)はシュレーダーのボアズ・ビュー(Boar's View)、スティーブ・キスラーのオキシデンタル(Occidental)、マイケル・ブラウンのサーク(Cirq)などと並んで新進の高級ピノ・ノワール/シャルドネの一翼を担っています。2016年にはWine Enthusiast誌で年間1位に選ばれています。個人的にもウェイフェアラーには注目しており、楽しみなセミナーでした。

参考:
Pahlmeyer: 映画「ディスクロージャー」で有名になったプレミアムワイナリ
ハイエンド・ピノ・ファンなら注目、ウェイフェアラー
パルメイヤーが手がけるソノマ・コーストのワイン「ウェイフェアラー」
Wine Enthusiast誌、各種年間トップ100を発表
Wine Spectator今年の9位はパルメイヤー
クレオ・パルメイヤー社長

過去記事にも記していますが、1986年に設立されたパルメイヤーの初代ワインメーカーはダン(Dunn)のランディ・ダン。その後シャルドネ専用のワインメーカーとして迎えたのが現在はハーラン・エステートのワインメーカーであるボブ・リーヴィー。彼等を引き継いだのがヘレン・ターリーと、すばらしく豪華なワインメーカーを次々と採用しています。現在は、パルメイヤー、ウェイフェアラーともビビアナ・ゴンザレスがワインメーカー。彼女はサンタ・ルシア・ハイランズを代表するワイナリー「ピゾーニ」(Pisoni)の2代目ジェフ・ピゾーニの奥さんでもあります。

パルメイヤーの畑で使われているカベルネ・ソーヴィニヨンは、元々ボルドーの超有名ワイナリーの畑からのカッティング、いわゆるスーツケース・クローンだったとのこと。それをUCデイヴィスにあずけて増やしてもらったとか。また、マルベックはムエックスの畑からもらったものだそうです。

当初はクームズヴィルに畑があったそうですが、現在の自社畑はアトラスピークのほぼ南端。ナパ・ヴァレーに向いた西側の斜面と、反対側の東側の斜面に大きく分かれています。標高が高く、どちらも霧がかからないところですが、海からの風を受けやすい西側が涼しく、そちらはシャルドネやメルローが中心。東側はカベルネ・ソーヴィニヨンが中心に植わっているそうです。畑を造ったのはデイビッド・エイブリューとこちらも豪華です。

ワインはワイナリー設立当初から造っているボルドー・ブレンドの「プロプライエタリ」と、メルロー。そして白はシャルドネ。どれも自社畑のブドウが中心ではありますが、他の畑からも少し購入しているので、「エステート」の扱いではありません。なお、プロプライエタリではアトラスピークの著名な畑ステージコーチのブドウも使っています。

また、セカンドの「ジェイソン」は上記に使われなかったブドウや、ウェイフェアラーで使われなかったブドウで造られており、シャルドネとピノ・ノワールと赤ブレンドとなっています。シャルドネはナパとソノマ、両方のブドウを使っていることになります。

試飲はウェイフェアラーから行ったのですが、そちらは後編に回し、まずはパルメイヤーから報告します。
パルメイヤー
試飲したのはWine Spectator年間9位になったそのもののシャルドネ2015。それからメルローの2014年と、プロプライエタリ・レッド2014年。

シャルドネはゴージャスという言葉が似合うワイン。いかにもナパのシャルドネという、バニラやオレンジ、ハチミツなどのすばらしい香りと濃厚な果実味を持っています。100%新樽を使っていますが樽の風味は強すぎません。金髪美人が似合うようなワイン。最近はなかなかここまで衒いなくリッチなシャルドネはあまり見かけませんが、おいしいです。ちなみにWine SpectatorだけでなくWine Advocateでも96点の高い評価。

メルローはさわやかな花の香り。カシスやブラックベリーの味わい。思った以上にタニックでフルボディ。しっかりとしたストラクチャーがありますが、しなやかでシルキーな舌触り。これはいいですね。ナパの高級メルローとしてダックホーンのスリー・パームス・ヴィンヤードに匹敵するくらいのレベルだと思います。ちなみにWine Advocateでは94点。

最後はプロプライエタリ・レッド。これは試飲したときは若干閉じているような気がしました。カシスやブルーベリーの青い果実味にかなり強いタンニン。杉のフレーバー。相当長熟型だと思います。おそらくもう5年くらいしてから飲んだ方がずっと美味しくなるでしょう。レベルは高いですが、今飲むならメルローをお薦めします。ちなみにAdvocateでは94点。Spectatorでは95点。
パルメイヤー
パルメイヤーのワインを飲むのは随分久しぶりな気がしますが、どれもレベルは高いです。特に、シャルドネのゴージャスさはわかりやすく多くの人にアピールするワインだと思います。メルローの高品質にもちょっと驚きました。

ウェイフェアラーとジェイソンの試飲は後編で。

今回の最後に、昨年10月の大火事のときの写真を挙げておきます。
パルメイヤー(2017年10月)
火と煙の奥に見えるのがパルメイヤーのアトラスピークの畑(西側)。アトラス・ファイアーという名が付いたとおり、アトラスピークで発生した火事であり、この後山を降りてスタッグス・リープ方面にも被害をもたらしました。パルメイヤーの畑のすぐそばまで火事が来ましたが、ブドウ畑は防火帯的な役割を果たし、また消防の献身的な活動で、大きな被害をまぬがれたとのことです。

ナパを応援するために、ワインを飲んで、また機会があればワイナリーに来て欲しいとのことでした。

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