タンジェント(Tangent)はエドナ・ヴァレーにある白ワイン専門のワイナリー。といっても白の中で圧倒的にメジャーなシャルドネを手がけないというユニークなワイナリーです。パラゴン・ヴィンヤードという自社畑から、ピノ・グリ、ソーヴィニヨン・ブラン、アルバリーニョなどを造っています。

今回、ワインライフさんの厚意で3種類を一度に試させていただきました。

エドナ・ヴァレーはパソ・ロブレスとサンタ・バーバラの間にある、サンルイスオビスポ郡の海沿い(パソ・ロブレスも同じ郡内ですが内陸よりになります)の2つのAVAの一つ。もう一つのアロヨグランデ・ヴァレーと並んで太平洋からの風が吹き抜ける非常に冷涼なAVAとなっています。エドナ・ヴァレーを「カリフォルニアで最も冷涼なAVA」と評す人もいます。

ただ、このAVAは冷涼産地としてのポテンシャルが非常に高いにもかかわらず、メジャーなワイナリーがなく、廉価版のブドウの供給源というイメージが付いてしまっています。個人的には「不遇の産地」と勝手に称しています。

マイナーな産地で、あえてメジャーでない品種に取り組むという、なかなかチャレンジングなワイナリーですが、果たしてそのワインの実力はどうでしょうか。

まずはピノ・グリから。「マイナー品種」と書きましたが、実はピノ・グリはカリフォルニアではシャルドネに次いで2番めの生産量がある品種。ただ、ブドウの販売価格はシャルドネの半分くらいで、全体の平均もだいぶ下回っています。つまり安ワイン専用のような品種になっています。「ピノ・グリ」(あるいはピノ・グリージョ)としてのヴァラエタル・ワインとして日本に輸入されているものはあまりないのではないかと思います。

タンジェントのピノ・グリは白い花の香り、グレープフルーツ、鮮烈な酸で爽やかな味わいですが、少し甘やかなフルーツの味わいもあります。酸の切れ味と、フルーツのコクがある美味しいワインです。

次はソーヴィニヨン・ブラン。こちらは飲む前からソーヴィニヨン・ブランに間違いないと思う香り。味わいもグレープフルーツにグアバなど、青っぽさはほとんどなく、これも酸のキレの良さとフルーツのコクが素晴らしいワイン。一緒に飲んだ方々の間でもこれが一番人気でした。聞いたところによると、ソーヴィニヨン・ブランが一番収穫が遅く10月後半に収穫しているとのこと。それでも酸が落ちないのがさすが冷涼産地ですし、だからこその味わいの充実なのですね。

最後はアルバリーニョ。アルバリーニョは個人的には最近注目している品種の一つ。実は暑いところでも酸が落ちにくいというのが一つの特徴です。ただ、冷涼なエドナ・ヴァレーではこの特徴はあまり関係なさそうです。ではこのワインはどうでしょうか。
もちろん酸はかなりしっかりしています。レモンというよりはオレンジ系の味わい。ミネラル感もかなりあります。冷涼感があるのに意外とふくよかという面白いワイン。これまで飲んだアルバリーニョともちょっと印象が違いますが、これもかなり美味しいワインです。

3つのワインに共通するのは、やはり冷涼産地らしく、キリリと引き締まった酸があること。「カリフォルニアワインは甘い」と思っている人が飲んだらびっくりするかもしれません。一方で、果実味もきれいでボディもあるので、単なる酸っぱい痩せたワインではありません。単純に言えば「コクもあるけどキレもある」という感じです。特に、ソーヴィニヨン・ブランはすごくいいので、ぜひ皆さんに試してもらいたいワインです。

実はタンジェントと別ブランドで造っているグリューナー・ヴェルトリーナーもあるのですが、それは別に試飲したのでまた別記事で紹介します。

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ドラジェです。




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